JPH10245369A - セリン誘導体の製造方法 - Google Patents

セリン誘導体の製造方法

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JPH10245369A
JPH10245369A JP9088620A JP8862097A JPH10245369A JP H10245369 A JPH10245369 A JP H10245369A JP 9088620 A JP9088620 A JP 9088620A JP 8862097 A JP8862097 A JP 8862097A JP H10245369 A JPH10245369 A JP H10245369A
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JP
Japan
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Application number
JP9088620A
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English (en)
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Yoshimitsu Nagao
善光 長尾
Shigeki Sano
茂樹 佐野
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Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
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Publication date
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 免疫抑制作用、神経疾患治療作用などの生理
活性を有するα−置換セリン誘導体の合成中間体ともな
り得るセリン誘導体の優れた製造方法の提供。 【解決手段】 α−置換−α−保護アミノマロン酸ジエ
ステル誘導体をエステラーゼによる選択的加水分解に付
する光学活性α−置換−α−保護アミノマロン酸モノエ
ステル誘導体の製造方法、及びこのようにして製造する
ことの出来る光学活性α−置換−α−保護アミノマロン
酸モノエステルをエナンチオ分岐的な還元反応に付する
α−置換−α−保護アミノセリン誘導体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、α−置換−α−保
護アミノマロン酸ジエステル誘導体をエステラーゼによ
る選択的加水分解に付する光学活性α−置換−α−保護
アミノマロン酸モノエステル誘導体の製造方法、及びこ
のようにして製造することの出来る光学活性α−置換−
α−保護アミノマロン酸モノエステルをエナンチオ分岐
的な還元反応に付するα−置換−α−保護アミノセリン
誘導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】冬虫夏草菌Isalia sincla
iriiの代謝産物から単離されたISP−I(ミリオ
シン、サーモチモシジン)は、免疫抑制作用を示すキラ
ルなα−置換セリン誘導体である(Fujita et
al.,J.Antibiotics,47,208
(1994)およびFujita et al.,J.
Antibiotics,47,216(199
4))。その免疫抑制活性機序は、サイクロスポリンA
やFK506と異なり、インターロイキン2依存性の各
種T細胞の増殖を抑制することによることが知られてい
る。興味あることに、ISP−Iは、スフィンゴシン類
似の構造をしており、最近スフィンゴシンの生合成を阻
害するという知見が得られている(Miyake et
al.,Biochem.Biophys.Res.
Commun.,211,396(1995))。ま
た、コナゲニン(Yamashita et al.,
J.Antibiotics,44,557(199
1)およびHatakeyama etal.,Tet
rahedron Lett.,37,4047(19
96))は、T細胞による免疫応答の調節に関与するこ
とが報告されており、ラクタシスチン(Omura e
t al.,J.Antibitics,44,113
(1991)およびOmura et al.,J,A
ntibitics,44,117(1991))は神
経芽腫細胞において顕著な神経突起伸長作用を示し、こ
の化合物に基づくアルツハイマー病などの神経疾患治療
薬開発の可能性が示唆されている。このように、α−置
換セリン誘導体は生化学的に非常に興味深い化合物であ
る。以上の化合物の構造を下に示す。
【0003】
【化3】
【0004】本発明者らは、既にキラルなビスラクチム
エーテルカルボン酸エステル体とMg(II)およびS
n(II)系ルイス酸とを活用する高ジアステレオ選択
的アルドール反応の開発に成功し、α−置換セリン誘導
体の不斉合成を達成している(Sano etal.,
Tetrahedron Lett.,36,2097
(1995)およびSano et al.,Tetr
ahedron Lett.,36,4101(199
5)、なお、下記Scheme 1)。
【0005】
【化4】
【0006】本発明者らは、また、プロキラルなσ対称
ジエステル体の高エナンチオ選択的な酵素加水分解反応
にも成功している(Nagao et al.,Che
mistry Lett.,239(1989)および
Tamai et al.,Chemistry Le
tt.,2381(1904))。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前項記載の従来技術の
背景下に、本発明の目的は、上記のような生理活性を有
するα−置換セリン誘導体の合成中間体ともなり得るセ
リン誘導体の優れた製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前項記載の
目的を達成すべく鋭意研究の結果、α−置換−α−保護
アミノマロン酸ジエステルは、アルカリで加水分解処理
するとモノエステル体を得ることは出来るが、このモノ
エステルはラセミ体であり立体選択的でないところ、酵
素的加水分解反応によれば高いエナンチオ選択性でモノ
エステルの生成すること、および、更にエナンチオ分岐
的な還元反応によりα−置換セリン誘導体の立体選択的
な合成を達成しうることを見い出し、このような知見に
基づいて本発明を完成した(下記Scheme 2)。
【0009】
【化5】
【0010】すなわち、本発明は、下記一般式(I)で
示されるα−置換−α−保護アミノマロン酸ジエステル
誘導体をエステラーゼ存在下に選択的に加水分解するこ
とを特徴とする下記一般式(II)で示される光学活性
α−置換−α−保護アミノマロン酸モノエステル誘導体
の製造方法、および、前記一般式(II)で示される光
学活性α−置換−α−保護アミノマロン酸モノエステル
誘導体をエナンチオ分岐的な還元反応に付することを特
徴とする下記一般式(III)で示されるα−置換−α
−保護アミノセリン誘導体の製造方法に関する。
【0011】
【化6】
【0012】ただし、上式中、Rはα−置換基、R
およびRはそれらの少なくとも1つがアミノ基の保護
基で残りは水素原子、そしてRはエステルのアルコー
ル残基を示す。
【0013】
【化7】
【0014】ただし、上式中、R〜Rは前記式(I
I)におけると同じであり、そしてRは前記一般式
(II)におけるRと同じかまたは水素原子を示す。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】本発明は、第1に、前記一般式(I)で示
されるジエステルをエステラーゼによる選択的加水分解
に付することにより前記一般式(II)で示されるモノ
エステルを製造する方法に関する。
【0017】一般式(I)および(II)において、R
はα−置換基を示し、具体例としては、ヘテロ原子で
置換されていてもよい直鎖状または分岐状の炭素原子数
1〜10の飽和または不飽和のアルキル基、ヘテロ原子
で置換されていてもよい炭素原子数6〜15のアリール
基、ヘテロ原子で置換されていてもよい炭素原子数7〜
20のアラルキル基などを挙げることができる。R
よびRは、それらの少なくとも1つがアミノ基の保護
基で残りは水素原子を示す。アミノ基の保護基は、アミ
ノ基の保護基であれば特別の制限がなく、具体例とし
は、メトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル
基、ベンジルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル
基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンジル
基、ジベンジル基、フタルイミド基、トシル基、ベンゾ
イル基などを挙げることができる。これらのうち、フタ
ルイミド基は、周知のように、RおよびRが結合し
た、アミノ基のN原子を含む環状の保護基であって、N
原子上に残るH原子はない。他の保護基は、N原子上の
H原子1つのみを置換しておればよく、未置換のH原子
が1つ残る。Rはエステルのアルコール残基を示し、
具体例としては、ヘテロ原子で置換されていてもよい直
鎖状または分岐状の炭素原子数1〜6の飽和または不飽
和アルキル基、ヘテロ原子で置換されていてもよい炭素
原子数6〜15のアリール基、ヘテロ原子で置換されて
いてもよい炭素原子数の7〜20のアラルキル基を挙げ
ることができる。
【0018】一般式(I)のジエステルの選択的加水分
解は、エステラーゼの作用により行われる。このような
エステラーゼの具体例としては、ブタ肝臓エステラーゼ
(PLE)、ウサギ肝臓エステラーゼ(RLE)などを
挙げることができる。
【0019】エステラーゼによる選択的加水分解反応条
件そのものには特別の制限はなく、常法に準ずることが
できる。なお、本項の後半の説明及び後掲の実施例を参
照のこと。
【0020】この酵素的加水分解反応においては、通
常、一般式(II)で示されるモノエステルのR体を得
ることができる。
【0021】因みに、一般式(I)で示されるジエステ
ルは既知であるが、一般式(II)で示されるモノエス
テルについては、ラセミ体は既知であるが、R体および
S体はいずれも新規物質である。
【0022】本発明は、第2に、前記一般式(II)で
示されるモノエステルをエナンチオ分岐的な還元反応に
付することにより、前記一般式(III)で示されるセ
リン誘導体の製造方法に関する。
【0023】一般式(III)におけるR、Rおよ
びRは一般式(II)におけると同じであり、そして
は一般式(II)におけるRまたは水素原子を示
す。
【0024】一般式(II)のモノエステルのエナンチ
オ分岐的還元反応は、還元剤を選ぶことによって行われ
る。このような還元剤としては、例えば、テトラヒドロ
ホウ酸ナトリウム、テトラヒドロホウ酸リチウムを挙げ
ることができる。
【0025】このような還元剤によるエナンチオ分岐的
還元反応の反応条件そのものには特別の制限はなく、常
法に準ずることができる。なお、本項の後半の説明およ
び後掲実施例を参照のこと。
【0026】このエナンチオ分岐的還元反応において、
R体のカルボン酸を還元すると、R体の一般式(II
I)で示されるセリン誘導体が得られ、またR体のエス
テルを還元するとS体を得ることができる。
【0027】以下、σ対称分子アミノマロンサンジエチ
ルエステル体を例にして、その選択的加水分解と、それ
に続くエナンチオ分岐的還元反応を説明する。
【0028】(1)σ対称分子アミノマロン酸ジエチル
エステル体酵素加水分解反応 (a)各種α−アルキル−α−アミノマロン酸ジエチル
エステル体の合成:酵素反応の基質となるプロキラルな
σ対称分子であるα−アルキル−α−アミノマロン酸ジ
エチルエステル(化合物3a−c)は、以下の方法によ
り合成することができる。まず、α−アミノマロン酸ジ
エチルエステル(化合物1)のアミン部分をベンジルオ
キシカルボニル基(Z基)で保護する。その後、THF
中NaHと各種ハロゲン化アルキルを室温もしくは5
0℃で反応させることにより目的とするα−アルキル−
α−アミノマロン酸ジエチルエステル(化合物3a−
c)を得ることができる(下記Scheme3)。
【0029】
【化8】
【0030】(b)各種α−アルキル−α−アミノマロ
ン酸ジエチルエステル体の酵素加水分解反応:α−アル
キル−α−アミノマロン酸ジエステル体(化合物3a−
c)の酵素加水分解反応についての反応条件は、例えば
次の通りである。すなわち、溶媒については、化合物3
a−cの溶解性を考慮し、リン酸緩衝液−アセトニトリ
ル(10:1)の混合溶媒系を用いることができる。酵
素としては、ブタ肝臓エステラーゼ(PLE)あるいは
ウサギ肝臓エステラーゼ(RLE)を用いることができ
る。
【0031】そのような反応条件による結果は、例え
ば、下記Scheme4に示すように、PLEによるメ
チル体(化合物3a)、およびベンジル体(化合物3
b)の酵素加水分解反応は、高い化学収率(86〜97
%)ならびに高い光学収率(92〜97%ee)で進行
した(Entries1〜3)。アリル体(化合物3
c)については、PLEを用いた場合化合物4cの化学
収率は90%と高かったものの、光学収率は60%ee
であった(Entry4)。しかしながら、RLEを用
いることによって92%eeという光学収率でモノエス
テル体(化合物4c)を得ることができた(Entry
5)。立体選択性については、PLEおよびRLEのい
ずれを用いた場合にも同一の立体化学を有する(化合物
4c)が主生成物として得られた。
【0032】
【化9】
【0033】なお、上記において、光学純度は逆相キラ
ルカラム「CHIRACEL OJ−R」を用いた高速
液体クロマトグラフ(HPLC)分析法により決定し
た。機器分析に用いた種々のラセミ化合物4a−cは、
含水エタノール中でのNaOHによる加水分解反応を行
うことにより合成した。
【0034】例として、下にRLEによる加水分解反応
で得られた化合物4cおよびそのラセミ体のHPLCの
チャートを示す(Figure1)。
【0035】
【化10】
【0036】(2)エナンチオ分岐的な還元反応による
α置換セリン誘導体の合成 (a)2−メチルセリン誘導体の合成:2−アルキルア
ミノマロン酸モノエステル体からエナンチオ分岐的な還
元反応による絶対配置の異なるα−置換セリン誘導体の
合成は、例えば、経路1(エステルをアルコールへと還
元する)ならびに経路2(カルボン酸をカルボン酸弗素
化物に導いた後アルコールに還元する)を経由すること
により達成することができる(下記Scheme5)。
【0037】
【化11】
【0038】2−メチルアミノマロン酸モノエステル
(R)−4aからR配置およびS配置のα−置換セリン
誘導体を得るための、エナンチオ分岐的な還元反応の実
例は、例えば、次の通りである。テトラヒドロホウ酸リ
チウム(LiBH)でエステルの還元を行うことによ
り、53%の収率で(S)−5aを得ることができた
(Chen et al.,J.Am.Chem.So
c.,103,3580(1981))。また、2,
4,6−トリフルオロ−1,3,5−トリアジンをピリ
ジン存在下作用させカルボン酸フッ化物に誘導し、単離
することなくテトラヒドロホウ酸ナトリウム(NaBH
)で還元することにより、62%の収率でカルボン酸
の還元体(R)−6aを得た(Kokotos et
al.,J.Org.Chem.,61,6994(1
996))。次に、含水エタノール中炭酸カリウムによ
る加水分解反応を行うことにより化合物(R)−5aを
得た。両還元反応によって異なった絶対配置をもつα−
置換セリンが得られたことは、化合物5aの旋光度を測
定することによって確認した。
【0039】さらに化合物(S)−5aを接触還元して
Z基を除去し既知化合物である2−メチルセリン(化合
物7、Moon et al.,J.Am.Chem.
Soc.,116,7405(1994))へと導くこ
とにより絶対配置を決定することができた(Schem
e5)。
【0040】(b)2−ベンジルセリンおよび2−アリ
ルセリン誘導体の合成:2−ベンジルアミノマロン酸モ
ノエステル体 (化合物(R)−4b)は、メチル体の
場合と同じく、例えば、テトラヒドロホウ酸リチウムを
用いる還元反応によって化合物(S)−5bへ、またカ
ルボン酸フッ化物とした後テトラヒドロホウ酸ナトリウ
ムを用いる還元反応によって化合物(R)−6bへと変
換することがきる(下記Scheme6)。
【0041】
【化12】
【0042】アリル体(R)−4cについても、同様の
方法により化合物(S)−5cおよび化合物(R)−6
cを合成することができる(下記Scheme7)。
【0043】
【化13】
【0044】以上、約言すると、プロキラルなσ対称分
子である、例えば、α−アルキル−α−アミノマロン酸
ジエチルエステル体(化合物3a−d)の加水分解反応
を酵素を用いて行うことにより、メチル体(化合物3
a)、ベンジル体(化合物3b)、およびアリル体(化
合物3c)のいずれについても高エナンチオ選択的にモ
ノエステル体を得ることができる。更に、このようにし
て得ることのできるモノエステル体のエナンチオ分岐的
な還元反応を行なうことによって、(R)−および
(S)−α−置換セリン誘導体の選択的な合成を達成す
ることができる(下記Scheme14)。
【0045】
【化14】
【0046】このような本発明の方法によれば、α−ア
リル置換セリン誘導体が高い光学純度で容易に合成でき
ることから、アリル部位を基盤とした種々の誘導体の合
成が可能となる。また、このような本発明の方法による
α−置換セリン誘導体の合成法は簡便であり、広くα−
置換セリン構造を有する生理活性化合物の合成に応用す
ることができる。
【0047】
【実施例】以下、実施例により、本発明を更に説明す
る。
【0048】なお、以下の実施例において、H−NH
Rスペクトルは「JEOL−FX200」NMR装置で
測定し、化学シフトはテトラメチルシラン(THS)を
内部標準物質としてppmで示した。IRスペクトルは
「PERKIN−ELME1720 Infrared
Fourier Transform Spectr
ometer」にて測定した。質量スペクトル(HRE
I−MS、HRFAB−MS)は「JEOL JMS−
D3000 spectrometer」及び「JEO
L JMS SX−102A」で測定した。元素分析は
柳本CHN−Corderを使用して実施した。旋光度
計は日本分光「DIP−370型旋光計」で測定した。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は「CHIR
ACEL OJ−R」を装着した「JASCO PU−
980/UV−970」で行った。
【0049】すべての反応は、薄層クロマトグラフ法
(E.Merck:0.25mmシリカゲルプレート6
0F254使用)により紫外線照射および発色試薬(1
0%リンモリブデン酸溶液に浸してからホットプレート
で加熱)を用いてモニターした。分取薄層クロマトグラ
フ法では0.5mmシリカゲルプレート(E.Herc
k:「60 F254」)を用いた。カラムクロマトグ
ラフフィー及びフラシュカラムクロマトグラフィーにお
いては「シリカゲル60 K070」(片山化学工業、
70−230mesh)及び「Silica Gel
60」(E.Merck:230−240mesh)を
それぞれ用いた。溶出溶媒の混合比は、容量比で表し
た。常法処理とは、有機層を洗浄(飽和食塩水を使
用)、乾燥(無水硫酸マグネシウムを使用)し、ろ紙ろ
過した後減圧下にろ液の溶媒を留去する一連の操作を意
味する。
【0050】反応に用いたTHFおよびエーテルは、ベ
ンゾフェノンと金属ナトリウムより得られるketyl
radicalで用時調製し無水としたものを用い
た。無水ジクロロメタンは、水素化カルシウムを用いて
用時調製し無水としたものを用いた。
【0051】実施例1:Diethyl 2−(ben
zyloxycarbonyl)aminomalon
ate(化合物2) 化合物1(4g、18.9mmol)とNaHCO
(4.13g、49.14mmol)とを水(35m
l)に溶かし、室温にて撹拌しながらZ−Cl(1.7
5ml、12.28mmol)およびエーテル(35m
l)を加えた。2時間後、再びZ−Cl(1.75m
l)およびNaHCO(2.06g、24.57mm
ol)を加えて3時間撹拌した。エーテル層を減圧濃縮
後、酢酸エチルを加えて溶解し、5%HClおよび水で
洗浄した有機層を、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧
濃縮して得られた粗生成物をフラッシュカラムクロマト
グラフ法[ヘキサン−酢酸エチル(4:1)]により精
製し、化合物2を得た(5.68g、97%)。無色油
状物質;H−NMR(200MHz,CDCL)δ
1.23(6H,t,J=7.0Hz),4.27(4
H,q,J=6.6Hz),5.10(1H,d,J=
7.8Hz),5.14,(2H,s),5.79(1
H,br),7.36(5H,s);IR(NaCl)
3376,2985,2361,1505,1217,
1026,742cm−1・Anal.calcd f
or C1519N:C,58.25;H,6.
19;N,4.53.Found:C,58.21;
H,6.17;N,4.40。
【0052】実施例2:Diethyl 2−(ben
zyloxycarbonyl)amino−2−me
tylmalonate(化合物3a) 化合物2(1.5g、4.85mmol)のテトラヒド
ロフラン溶液を、水素化ナトリウム(233mg、5.
82mmol)のテトラヒドロフラン溶液中へ窒素気流
下0℃で加え、同温で20分間撹拌した。その後、ヨウ
化メチル(607μl、9.70mmol)を加えた
後、室温で17時間撹拌後、50℃に加温し2時間撹拌
した。反応液を減圧濃縮し、酢酸エチルで溶解し、5%
HClで洗浄後、常法処理を行い赤褐色油状の粗生成物
を得た。カラムクロマトグラフ法[ヘキサン−酢酸エチ
ル(6:1)]により精製し化合物3b(1.27g、
81%)を得た。無色油状物質;H−NMR(200
MHz,CDCL)δ1.23(6H,t,J=7.
1Hz),1.77(3H,s),4.23(4H,
q,J=6.9Hz),5.10(2H,s),6.2
1(1H,br),7.35(5H,s);IR(Na
Cl)3423,2985,1732,1499,13
76,1206,754cm−1;Anal.calc
d for C1621N:C,59.43;
H,6.55;N,4.33.Found:C,59.
03;H,6.52;N,4.51;HREI−MS
calcdfor C1621N:MW323.
1369,Found m/e 323.1372(M
+)。
【0053】実施例3:Diethyl 2−benz
yl−2−(benzyloxycarbonyl)a
minomalonate(化合物3b) 化合物2(2g、6.47mmol)のテトラヒドロフ
ラン溶液を、水素化ナトリウム(0.34g、8.41
mmol)のテトラヒドロフラン溶液中へ窒素気流下0
℃で加え、同温で20分間撹拌した。その後、臭化ベン
ジル(0.85ml、7.11mmol)を加え、室温
で18時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、酢酸エチル
で溶解し、5%HClで洗浄後、常法処理を行い油状の
粗生成物を得た。カラムクロマトグラフ法[ヘキサン−
酢酸エチル(9:1)]により精製し化合物3a(2.
15g、83%)を得た。無色油状物質;H−NMR
(200MHz,CDCL)δ1.25(6H,t,
J=7.1Hz),3.62(2H,s),4.24
(4H,q,J=6.8),5.16(2H,s),
5.97(1H,br),6.92−6.96(2H,
m),7.13−7.25(3H,m),7.38(5
H,s);IR(NaCl)3426,2983,17
42,1495,1370,1212,1074,74
9cm−1;Anal.calcd for C22
25N:C,66.15;H,6.31;N,3.
51.Found:C,65.91;H,6.27;
N,3.48;HREI−MS calcd for
2225N:MW399.1682,Foun
d m/e399.1662(M+)。
【0054】実施例4:Diethyl 2−ally
l−2−(benzyloxycarbonyl)am
inomalonate(化合物3c) 化合物2(1.5g、4.85mmol)のテトラヒド
ロフラン溶液を、水素化ナトリウム(233mg、5.
82mmol)のテトラヒドロフラン溶液中へ窒素気流
下0℃で加え、同温で20分間撹拌した。その後、3−
臭化−1−プロペン(0.84ml、9.70mmo
l)を加えた後、室温で25時間撹拌した。反応液を減
圧濃縮し、酢酸エチルで溶解し、5%HClで洗浄後、
常法処理を行い油状の粗生成物を得た。カラムクロマト
グラフ法[ヘキサン−酢酸エチル(9:1)]により精
製し化合物3c(1.31g、77%)を得た。無色油
状物質;H−NMR(200MHz,CDCL)δ
1.23(6H,t,J=7.0Hz),3.07(2
H,d,J=7.2Hz),4.23(4H,q,J=
7.2Hz),5.07(2H,brs),5.10
(2H,s),5.51−5.71(1H,m),6.
16(1H,br),7.35(5H,s);IR(N
aCl)3067,1741,1643,1495,1
227,1138,1029,927,741c
−1;Anal.calcd forC1823
N:C,61.88;H,6.64;N,4.01.
Found:C,61.55;H,6.52;N,3.
95;HREI−MS calcd for C18
23N:MW349.1525,Found m/
e 349.1531(M+)。
【0055】実施例5:(+)−(R)−Ethyl
2−benzyloxycarbonyl−2−met
hylmalonate(化合物4a) 化合物3a(100mg、0.309mmol)の1/
15Mリン酸緩衝液(pH7.0)−CHCN(1
0:1)溶液(30ml)に、PLE(18μl、c
a.400units)を加え室温で12時間撹拌し
た。反応液に5%HClを加えてpH2とした後、酢酸
エチル抽出(100ml、50ml)し、常法処理して
粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフ法
[ジクロロメタン−メタノール(85:15)]により
精製し、化合物4aを得た(89mg、98%)。アモ
ルファス;[α]D22+35.9゜(c0.51,E
tOH);H−NMR(200M Hz,CD
D)δ1.17(3H,t,J=6.9Hz),1.6
8(3H,s),4.14(2H,q,J=6.6H
z),5.07(2H,d,J=3.0Hz),7.3
3(5H,s);IR(KBr)3396,2988,
1726,1499,1455,1407,1360,
1278,1120,1064cm−1;HRFAB−
MS calcd forC1417NNa M
W 318,0954,Found m/e318.0
963(M++Na)。
【0056】上述と同様の操作により化合物4bおよび
4cを得た。
【0057】(+)−(R)−Ethyl 2−ben
zyl−2−(benzyloxycarbonyl)
aminomalonate(化合物4b):アモルフ
ァス;[α] 21−32.5゜(c1.02,EtO
H);H−NMR(200MHz,CDOD)δ
1.19(3H,t,J:7.1Hz),3.52(2
H,s),4.10−4.22(2H,m),5.11
(2H,d,J=3.6Hz),6.99−7.01
(2H,m),7.12−7.13(3H,m),7.
36(5H,s);IR(KBr)3402,297
9,1718,1635,1497,1385,126
3,1072,750cm−1;HRFAB−MSca
lcd for C2021NNaMW 39
4.1267,Found m/e394.1241
(M++Na)。
【0058】(+)−(R)−Ethyl 2−all
yl−2−(benzyloxycarbonyl)a
minomalonate(化合物4c):アモルファ
ス;[α] 22+20.5゜(c1.04,EtO
H);H−NMR(200MHz,CDOD)δ
1.17(3H,t,J=6.9Hz),2.98(2
H,d,J=6.6Hz),4.12(1H,d,J=
6.3Hz),4.18(1H,d,J=6.3H
z),5.00(2H,s),5.07(2H,s),
5.55−5.76(1H,m),7.33(5H,
s);IR(KBr)3404,2983,1724,
1485,1387,1268,1071,699cm
−1;HRFAB−MS calcd for C16
19NNaMW344.1110,Found
m/e 344.1162(M++Na)。
【0059】実施例6:(+)−(S)−2−(ben
zyloxycarbonyl)amino−2−me
tyl−3−hydroxypropionic ac
id(化合物(S)−5a) 化合物(R)−4a(50mg、0.169mmol)
のエーテル−THF(3:1)溶液に、室温でテトラヒ
ドロホウ酸リチウム(6mg、0.203mmol)を
加え窒素雰囲気下1時間加熱還流した。反応液に5%H
Clを加えてpH2とした後、酢酸エチル抽出し、5%
HClで洗浄後常法処理して粗生成物を得た。粗生成物
をカラムクロマトグラフ法[ジクロロメタン−メタノー
ル(85:15)]により精製し、化合物(S)−5a
(22.8mg、53%)を得た。無色結晶状;[α]
22+6.4゜(c0.87,EtOH);H−N
HR(200MHz,CDOD)δ1.44(3H,
s),3.80(1H,d,J=11.0Hz),3.
93(1H,d,J=11.0Hz),5.04(2
H,s),7.34(5H,s)。
【0060】化合物(S)−5aと同様の操作に従って
化合物(S)−5bおよび(S)−5cを合成した。
【0061】(−)−(S)−2−benzyl−2−
(benzyloxycarbonyl)amino−
3−hydroxypropionic acid(化
合物(S)−5b):収率58%、無色結晶状;[α]
22−74.5゜(c0.91,EtOH);H−
NMR(200MHz,CDOD)δ3.08(1
H,d,J=14.7Hz),3.27(1H,d,J
=14.1Hz),3.92(1H,d,J=10.0
Hz),4.11(1H,d,J=10Hz),4.9
4(1H,d,J=12.5Hz),7.08(5H,
s),7.34(5H,s)。
【0062】(+)−(S)−2−Allyl−2−
(benzyloxycarbonyl)amino−
3−hydroxypropionic acid(化
合物(S)−5c):収率49%、無色結晶状;[α]
25+5.3゜(c0.44,EtOH);H−N
MR(200MHz,CDOD)δ2.44−2.5
4(1H,m),2.73−2.84(1H,m),
3.81(1H,d,J=10.6Hz),4.01
(1H,d,J=10.6Hz),4.94−4.52
(3H,m),5.57−5.78(1H,m),7.
33(5H,s)。
【0063】実施例7:(−)−(R)−Ethyl
2−(benzyloxycarbonyl)amin
o−2−methyl−3−hydroxypropi
onate(化合物(R)−6a) 化合物(R)−4a(30mg、0.102mmol)
のジクロロメタン溶液に、0℃窒素雰囲気下ピリジン
(8μl、0.102mmol)ついで2,4,6−ト
リフルオロ−1,3,5−トリアジン(18μl、0.
203mmol)を加え1.5時間撹拌した。反応液に
氷冷水を注いで反応を止めた後、ジクロロメタン抽出
し、氷冷水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、
約2mlまで減圧濃縮した。濃縮液へ−20〜−10℃
でテトラヒドロホウ酸ナトリウム(8mg、0.203
mmol)を加えメタノールを5分間かけて滴下した。
ただちに5%HClで中性とし、酢酸エチルで抽出し、
5%HClで洗浄後常法処理を行い粗生成物を得た。粗
生成物をカラムクロマトグラフ法[ヘキサン−酢酸エチ
ル(2:1)]により精製し、化合物(R)−6aを得
た(18mg、62%)。無色油状物質;[α] 24
−2.4゜(c1.40,CHCl);1H−NMR
(200MHz,CDCL)δ1.26(3H,t,
J=7.1Hz),1.50(3H,s),3.05
(1H,br),3.82(1H,d,J=11.4H
z),4.02(1H,d,J=11.4),4.22
(2H,q,J=7.0Hz),5.09(2H,
s),7.35(5H,s)。
【0064】化合物(R)−6aと同様の操作にしたが
って化合物(R)−6bおよび(R)−6cを合成し
た。
【0065】(−)−(R)−Ethyl 2−ben
zyl−2−(benzyloxycarbonyl)
amino−3−hydroxypropionate
(化合物(R)−6b):収率77%、無色油状物質;
[α] 24+58.5゜(c1.78,CHC
);H−NHR(200MHz,CDCL)δ
1.26(3H,t,J=7.1Hz),1.50(3
H,s),3.05(1H,br),3.82(1H,
d,J=11.4Hz),4.02(1H,d,J=1
1.4Hz),4.22(2H,q,J=7.0H
z),5.09(2H,s),7.35(5H,s)。
【0066】(−)−(R)−Ethyl2−ally
l−2−(benzyloxycarbonyl)am
ino−3−hydroxypropionate(化
合物(R)−6c):収率77%、無色油状物質;
[α] 24−2.1゜(c1.56,CHCl);
H−NMR(200MHz,CDCL)δ1.28
(3H,t,J=7.1Hz),2.42−2.58
(1H,m),2.63−2.83(1H,m),3.
18(1H,brt),3.86(1H,brt),
4.13−4.29(3H,m),5.10(3H,
s),5.15(1H,s),5.52−5.73(2
H,m),7.36(5H,s);IR(NaCl)3
419,2981,1715,1605,1505,1
456,1375,1051,744cm−1
【0067】
【発明の効果】本発明により、免疫抑制作用、神経疾患
治療作用などの生理活性を有するα−置換セリン誘導体
の合成中間体ともなり得るセリン誘導体の優れた製造方
法が提供されるところとなった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C07M 7:00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で示されるα−置換−
    α−保護アミノマロン酸ジエステル誘導体をエステラー
    ゼ存在下に選択的に加水分解することを特徴とする下記
    一般式(II)で示される光学活性α−置換−α−保護
    アミノマロン酸モノエステル誘導体の製造方法。 【化1】 ただし、上式中、Rはα−置換基、RおよびR
    それらの少なくとも1つがアミノ基の保護基で残りは水
    素原子、そしてRはエステルのアルコール残基を示
    す。
  2. 【請求項2】 前記一般式(II)で示される光学活性
    α−置換−α−保護アミノマロン酸モノエステル誘導体
    がR体であることを特徴とする請求項1記載の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記一般式(II)で示される光学活性
    α−置換−α−保護アミノマロン酸モノエステル誘導
    体。
  4. 【請求項4】 前記一般式(II)で示される光学活性
    α−置換−α−保護アミノマロン酸モノエステル誘導体
    をエナンチオ分岐的な還元反応に付することを特徴とす
    る下記一般式(III)で示されるα−置換−α−保護
    アミノセリン誘導体の製造方法。 【化2】 ただし、上式中、R〜Rは前記式(II)における
    と同じであり、そしてRは前記一般式(II)におけ
    るRと同じかまたは水素原子を示す。
  5. 【請求項5】 前記一般式(III)で示される光学活
    性α−置換−α−保護アミノセリン誘導体がR体である
    ことを特徴とする請求項4記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記一般式(III)で示される光学活
    性α−置換−α−保護アミノセリン誘導体がS体である
    ことを特徴とする請求項4記載の製造方法。 【0001】
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WO2020145584A1 (ko) * 2019-01-07 2020-07-16 주식회사 아스트로젠 중추신경계 질환의 예방 또는 치료용 세린 유도체 화합물

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