JPH1024482A - 生分解性樹脂発泡体の製造方法並びにこれに使用する製造装置 - Google Patents

生分解性樹脂発泡体の製造方法並びにこれに使用する製造装置

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JPH1024482A
JPH1024482A JP8203247A JP20324796A JPH1024482A JP H1024482 A JPH1024482 A JP H1024482A JP 8203247 A JP8203247 A JP 8203247A JP 20324796 A JP20324796 A JP 20324796A JP H1024482 A JPH1024482 A JP H1024482A
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JP
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biodegradable resin
mold
foam
producing
molding die
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JP8203247A
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Motoyasu Nakanishi
幹育 中西
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Suzuki Sogyo Co Ltd
Teijin Ltd
Original Assignee
Suzuki Sogyo Co Ltd
Teijin Ltd
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Publication date
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  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 注入機から成形型内へ生分解性樹脂を注入す
る際、問題となる狭窄開口出口付近の詰まりを防止す
る。 【解決手段】 本発明の製造方法は、シリンダ1内に発
泡体用生分解性樹脂原料を投入し、これを加熱加圧状態
とした後、急激に解放し、発泡させ、更に成形型Aを回
転させることにより発泡した生分解性樹脂を成形空間R
の外周側から充填していき、最終的に成形空間Rに応じ
た形状に成形するようにしたことを解決手段とする。更
に本発明の製造装置は、通気性を有し、なお且つ回転自
在に設けられる成形型Aと、この成形型Aに生分解性樹
脂を注入する注入機Sとを具えて成ることを解決手段と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、合成樹脂に代わっ
て脚光を浴びてきた生分解性樹脂に関するものであっ
て、特に生分解性樹脂を発泡化し、その用途の拡大を図
った生分解性樹脂発泡体の製造方法並びにこれに使用す
る製造装置に係るものである。
【0002】
【発明の背景】一般に通常の合成樹脂は、量産性、成形
性及び耐久性に優れているため多岐の分野にわたって使
用されており、なかでも合成樹脂の発泡体は、軽量で緩
衝性が高いことから近時急速な消費拡大を遂げ、ガラス
製品などの壊れやすい物の保護ケース、運搬物の梱包用
緩衝材、飲食用容器、更には断熱材や防音材等、種々の
用途に用いられている。一方、これに伴い合成樹脂製品
の廃棄される量も莫大なものとなっており、これに起因
する種々の問題が発生している。
【0003】すなわち合成樹脂は焼却されると大量の有
害ガスを発生して大気を汚染し、焼却されずにそのまま
廃棄されると酸化や光やオゾンによる分解が起こらない
ため、長年そのままの形状を維持し、環境を汚染する。
また合成樹脂は分子間結合力が非常に強いため、焼却し
た場合には高熱を発して焼却炉の炉壁を損傷させ、焼却
炉の使用寿命を短かくしてしまう。
【0004】このようなことから最近において生分解性
樹脂が注目されてきており、その開発が盛んに行われて
いる。この生分解性樹脂は、土中や水中の微生物等によ
り分解されるため、廃棄物対策として非常に有効なもの
であって、特にデンプン系高分子を配合して成る生分解
性樹脂の開発が進められている。
【0005】そしてこのような生分解性樹脂の加工技術
に関しては、フィルム材としての加工技術が実用化され
つつあるが、発泡化についても一部において実用化の試
みがなされており、これが実現できればその用途が非常
に広がり、生分解性樹脂の有利点をより活用することが
できる。一方、合成樹脂を発泡化する技術としては、例
えばスチレンビーズを成形型の中に投入し、水蒸気を加
えた後減圧して発泡ビーズ群を得る方法や、押出機の中
に例えばスチレン樹脂を有機溶剤などの発泡剤と共に投
入し、樹脂が押し出されたときの減圧作用により発泡化
させる方法等が知られている。
【0006】しかしながら生分解性樹脂は、その軟化点
ないし融点と発泡剤の発泡化温度との関係等に起因し、
通常の合成樹脂に対して使用される従来の化学発泡技術
では高発泡化させることが困難である。従って生分解性
樹脂の高発泡化、成形技術をめぐり、以下のような種々
の問題点が存在していた。
【0007】まず第一の問題点として例えば射出成形機
を用いて通常の合成樹脂と同様にして発泡体を製造しよ
うとすると、シリンダ内で加熱加圧されて流動状になっ
た生分解性樹脂はシリンダのノズルから押し出されて減
圧されたときに生分解性樹脂中の水分が気化膨張する
が、気化膨張した水分はその後降温して湯気状態で漂っ
たり、成形型や成形体の外郭部分に触れて結露し、水滴
化する。一方、デンプン系高分子を配合して成る生分解
性樹脂は吸湿性が大きくて軟化膨潤しやすく、ましてや
成形体の外郭部分における発泡した各セルの膜は非常に
薄いので、水滴が触れると直ちに吸水して軟化する。こ
の結果各発泡セルが潰れて当該個所が収縮し、また発泡
時において生分解性樹脂から蒸発した水分の再付着によ
っても発泡セルが潰れ、その結果、形くずれが起こる。
そしてこれが乾燥して固化した場合には、発泡セルが実
質ない固形状のものとなるため、所望の緩衝性能が得ら
れないという問題点が存在していた。またほとんど水分
を吸収しない吸湿性の小さな生分解性樹脂を使用して発
泡体を製造する場合でも、上記問題点が程度の差こそあ
れ、生じており、別途除去、乾燥する作業が必要とな
る。
【0008】また第二の問題点として生分解性樹脂は加
圧状態から解放されるや否や発泡を開始してしまうが、
生分解性樹脂が加熱されて流動状となっているときの粘
度が大きいため、生分解性樹脂が成形型の奥まで入り込
みにくく、このため生分解性樹脂の一部はシリンダ1か
ら押し出されて成形型Aの成形空間R外周に到達する前
に発泡してしまって、図27に示すように狭窄開口1a
の出口付近で詰まってしまいこの結果、成形空間Rの隅
部や入り組んだ個所においては、本来、奥に達して発泡
すべき部分が途中で発泡してその手前に溜まり、これに
よって奥部に空隙が形成され、この状態で続いて押し出
された生分解性樹脂が前方の発泡部分を背面から押圧
し、これにより当該部分が押し潰されてしまう。このよ
うに一旦発泡してもその部分が後方より押し潰されてし
まうと、所望の形状の発泡体が得られないし、また充分
な緩衝性能を有するものが得られないという問題点も存
在していた。
【0009】更に第三の問題点として加熱加圧されて流
動状となった生分解性樹脂が解放されると、生分解性樹
脂中の水分が気化膨張して発泡するが、そのとき発泡体
は気化熱を奪われるため、発泡体の温度は100℃程度
に降下する。そしてこのように急激に温度低下すること
こそが高発泡状態を保持しての固化に有利であるが、気
化膨張により水分が抜けてしまった反動としての雰囲気
圧を受けての収縮と温度低下による収縮とが生じて、水
分が気化膨張した当初の高発泡状態を維持できずに収縮
した状態で固化する。またこのような発泡体全体が集積
され、成形されるため、固化後の発泡体には空洞や鬆が
発生し、不連続な境界が形成されるため、緩衝材として
は不適切なものとなるという問題点も存在していた。
【0010】
【開発を試みた技術的事項】本発明は、このような背景
に基づいてなされたものであり、その目的とするところ
は、生分解性樹脂を発泡化するにあたり、発泡化に寄与
した後の水分の残留付着を防止し、均質な発泡体を得る
ことのできる生分解性樹脂発泡体の製造方法を提供する
こと、微細に均一に発泡させることのできる生分解性樹
脂発泡体の製造方法を提供すること、生分解性樹脂につ
いて所望形状で均質な発泡体を得ることのできる生分解
性樹脂発泡体の製造方法を提供すること、撥水性を有す
る生分解性樹脂発泡体の製造方法を提供すること、空洞
や鬆が生じたとしても、相互壁が極力接着関連させて不
連続境界の発生を防止した生分解性樹脂発泡体の製造方
法を提供すること、そして成形型の成形空間の形状に忠
実で、隅部に欠損等が生ぜず、発泡セルの潰れも生じな
い品質の優れた発泡体を得ることができる生分解性樹脂
発泡体の製造装置を提供することにある。このような目
的の下、生分解性樹脂における高発泡化技術と密接に関
連し、これを実用化し得る生分解性樹脂発泡体の成形技
術の開発を試みたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち請求項1記載の
生分解性樹脂発泡体の製造方法は、前方に狭窄開口を有
するシリンダ内に発泡体用生分解性樹脂原料を投入し、
生分解性樹脂を前記狭窄開口に向けて押送する間に昇温
させて流動状とするとともに、流動状となった生分解性
樹脂をシリンダ内からその前方に位置する通気性の成形
型内に押し出すことでシリンダ内の加熱加圧状態から急
激に解放し、発泡化させ、更に発泡化した生分解性樹脂
は、成形型の回転によって生ずる遠心力により成形空間
の外周側から充填されていき、最終的に成形空間に応じ
た形状に成形されることを特徴として成るものである。
そしてこのような発明特定事項を手段とすることにより
生分解性樹脂中に含有される水分は加圧によって沸点が
上昇するため、シリンダ内では液体として存在し、加熱
加圧状態から急激に解放された後は、前記水分は瞬間的
に蒸発し、生分解性樹脂は発泡化される。またこのとき
生じた水蒸気は成形型が通気性を有することから外部に
放散され、製造された生分解性樹脂発泡体に付着するこ
ともない。更に発泡化した生分解性樹脂は、成形型の回
転によって生ずる遠心力によって狭窄開口出口付近で詰
まることなく、成形空間外周側に移動し、成形空間外周
側から充填されていくため、成形空間の形状に忠実で、
隅部に欠損等が生ぜず、発泡セルの潰れも生じない品質
の優れた発泡体を得ることができ、これらにより前記課
題の解決が図られるのである。
【0012】また請求項2記載の生分解性樹脂発泡体の
製造方法は、前記要件に加え、前記流動状となった生分
解性樹脂を成形型内に押し出すにあたっては、その押出
開始前から、または押出開始後において、成形型の置か
れる雰囲気を減圧または通風雰囲気としたことを特徴と
して成るものである。そしてこのような発明特定事項を
手段とすることにより成形型内の水分は気化膨張後、降
温して湯気状態で漂ったり、成形型や生分解性樹脂発泡
体の外部部分に触れて結露、水滴化することもなく、外
部に排除されるため残留水分の除去、乾燥作業等は不要
となる。更に減圧雰囲気とした場合にはこれらのほか、
気化膨張により水分(内圧)が抜けてしまった反動とし
ての雰囲気圧を受けての収縮を抑え、水分が気化膨張し
た当初の高発泡状態を維持して固化させることが可能と
なり、これらにより前記課題の解決が図られるのであ
る。
【0013】更にまた請求項3記載の生分解性樹脂発泡
体の製造方法は、前記要件に加え、前記流動状となった
生分解性樹脂を成形型内に押し出すにあたっては、前記
狭窄開口に対して設けられるノズルを出発状態において
成形型の奥部側に位置させておき、生分解性樹脂を押し
出しながら前記ノズルを成形型に対して相対的に後退さ
せるようにしたことを特徴として成るものである。そし
てこのような発明特定事項を手段とすることにより生分
解性樹脂は成形型の奥側から順次充填され、このため成
形型内の細部及び隅々に到達するタイミングと発泡のタ
イミングとの差が小さくなるか、あるいは実質的に無く
なる。この結果、成形型内の細部及び隅々まで発泡セル
が行きわたり、このため発泡セルの押し潰れを極力未然
に防ぐことができるので所望形状で均質な生分解性樹脂
発泡体が得られるようになり、前記課題の解決が図られ
るのである。
【0014】更にまた請求項4記載の生分解性樹脂発泡
体の製造方法は、前記請求項1または3記載の要件に加
え、前記流動状となった生分解性樹脂を成形型内に押し
出すにあたっては、押し出している間は前記成形型内の
雰囲気を加圧状態としておき、押出完了後は前記成形型
内の雰囲気を急激に減圧するようにしたことを特徴とし
て成るものである。そしてこのような発明特定事項を手
段とすることにより生分解性樹脂は水分が閉じ込められ
た状態で成形型内に押し出され、減圧後、水分が瞬間的
に蒸発して生分解性樹脂を発泡化させる。従って生分解
性樹脂が成形型内の隅々に至った状態で発泡するので、
所望形状で均質な生分解性樹脂発泡体が得られるように
なり、前記課題の解決が図られるのである。
【0015】更にまた請求項5記載の生分解性樹脂発泡
体の製造方法は、前記要件に加え、前記流動状となった
生分解性樹脂を成形型内に押し出すにあたっては、前記
狭窄開口から生分解性樹脂を霧化状態で成形型内に射出
するようにしたことを特徴として成るものである。そし
てこのような発明特定事項を手段とすることにより霧化
状態の生分解性樹脂が成形型内の隅々まで行きわたると
ともに、加熱加圧状態から急激に解放されて今まで内部
に閉じ込められていた水分が一気に蒸発しようとして膨
張拡大し、蒸発した水分は通気性の成形型外に放散され
る一方、霧化状態の生分解性樹脂が各々発泡して集合
し、発泡セルが押し潰されることなく所望の形状で均質
な生分解性樹脂発泡体が得られるようになり、前記課題
の解決が図られるのである。
【0016】更にまた請求項6記載の生分解性樹脂発泡
体の製造方法は、前記要件に加え、前記発泡体用生分解
性樹脂原料は、融点が100℃以上の主成分生分解性樹
脂と融点が100℃以下の低融点生分解性樹脂とを含ん
で成ることを特徴として成るものである。
【0017】更にまた請求項8記載の生分解性樹脂発泡
体の製造方法は、前記要件に加え、前記発泡体用生分解
性樹脂原料は、吸湿性の微粒子状物質に水分を吸収さ
せ、更にこれを生分解性樹脂中に添加したものであるこ
とを特徴として成るものである。
【0018】更にまた請求項9記載の生分解性樹脂発泡
体の製造方法は、前記要件に加え、前記発泡体用生分解
性樹脂原料は、生分解性樹脂中に撥水性物質を添加した
ものであることを特徴として成るものである。そして請
求項6、8、9記載の生分解性樹脂発泡体の製造方法
は、このような発明特定事項を手段とすることにより、
所望の発泡化が期待でき、またあらかじめ水分を吸収さ
せた吸湿性の微粒子状物質を前記生分解性樹脂に添加し
ておけば、微粒子は生分解性樹脂との相溶性、分散性が
水分の直接添加よりは高く、発泡時には微粒子中の水分
がその微粒子を基点として発泡し得るので、結果として
微細且つ均一に発泡した生分解性樹脂発泡体が得られ
る。更に撥水性物質として、加熱加圧状態からの解放時
に全部蒸発しないような沸点をもつ物質、例えば天然の
脂肪酸ポリマを用いることにより、撥水性物質が発泡セ
ルの各膜を覆うため、得られた生分解性樹脂発泡体は撥
水性を有し、残留水分の除去、乾燥作業が容易となるほ
か、発泡体製品上においても撥水性が生じて耐水性が付
与され、これらにより前記課題の解決が図られるのであ
る。
【0019】更にまた請求項7記載の生分解性樹脂発泡
体の製造方法は、前記請求項6記載の要件に加え、前記
低融点生分解性樹脂は、ポリカプロラクトンまたはこれ
を含むものから成ることを特徴として成るものである。
【0020】更にまた請求項10記載の生分解性樹脂発
泡体の製造方法は、前記要件に加え、前記発泡体用生分
解性樹脂原料は、生分解性樹脂中に多価アルコール類及
びその誘導体を添加したものであることを特徴として成
るものである。そして請求項7及び10記載の生分解性
樹脂発泡体の製造方法は、このような発明特定事項を手
段とすることにより、低融点生分解性樹脂は直ちに固化
することはなく、主成分生分解性樹脂に対して接着剤と
して機能する。従って空洞や鬆が生じたとしても相互壁
が極力接着関連された生分解性樹脂発泡体を得ることが
できる。特に低融点生分解性樹脂としてポリカプロラク
トンまたはこれを含むものを用いれば、上記接着剤とし
ての機能は充分に発揮され、更に生分解性樹脂に可塑剤
である多価アルコール類及びその誘導体を添加した場合
には、生分解性樹脂中の水分の沸点が上昇するため、発
泡セルは緻密且つ均一となり、これらにより、前記課題
の解決が図られるのである。
【0021】更にまた請求項11記載の生分解性樹脂発
泡体の製造方法は、前記要件に加え、前記発泡体用生分
解性樹脂原料は、生分解性樹脂中に糊成分を添加したも
のであることを特徴として成るものである。そしてこの
ような発明特定事項を手段とすることにより、発泡体の
成形が容易となり、成形後の形崩れ等も生ぜず、前記課
題の解決に寄与し得るのである。
【0022】更にまた請求項12記載の生分解性樹脂発
泡体の製造方法は、前記要件に加え、前記発泡化した生
分解性樹脂を成形空間に応じた形状に成形するにあたっ
ては、前記成形型内に押し出された発泡化した生分解性
樹脂の全部を一体形状に成形するようにしたことを特徴
として成るものである。そしてこのような発明特定事項
を手段とすることにより、比較的体積の大きい生分解性
樹脂発泡体を形成できるほか、種々の形状の生分解性樹
脂発泡体を形成することが可能となり、前記課題の解決
に寄与し得るのである。
【0023】更にまた請求項13記載の生分解性樹脂発
泡体の製造装置は、通気性を有し、なお且つ回転自在に
設けられる成形型と、この成形型に加熱加圧状態の雰囲
気中に存する水分が閉じ込められた流動状の生分解性樹
脂を注入するための注入機とを具えて成ることを特徴と
して成るものである。そしてこのような発明特定事項を
手段とすることにより生分解性樹脂中に含有される水分
は加圧によって沸点が上昇するため、シリンダ内では液
体として存在し、加熱加圧状態から急激に解放された後
は、前記水分は瞬間的に蒸発し、生分解性樹脂は発泡化
される。またこのとき生じた水蒸気は成形型が通気性を
有することから外部に放散され、製造された生分解性樹
脂発泡体に付着することもない。更に発泡化した生分解
性樹脂は、成形型の回転によって生ずる遠心力によって
狭窄開口出口付近で詰まることなく、成形空間外周側に
移動し、成形空間外周側から充填されていくため、成形
空間の形状に忠実で、隅部に欠損等が生ぜず、発泡セル
の潰れも生じない品質の優れた発泡体を得ることがで
き、これらにより前記課題の解決が図られるのである。
【0024】更にまた請求項14記載の生分解性樹脂発
泡体の製造装置は、開閉且つ密閉可能な圧力調整室と、
この圧力調整室内に配置した通気性を有し、なお且つ回
転自在に設けられる成形型と、前記圧力調整室に連結さ
れた急速減圧用の減圧タンクと、前記成形型に加熱加圧
状態の雰囲気中に存する水分が閉じ込められた流動状の
生分解性樹脂を注入するための注入機とを具えて成るこ
とを特徴として成るものである。そしてこのような発明
特定事項を手段とすることにより、圧力調整室内に配置
した通気性を有し、なお且つ回転自在に設けられる成形
型に注入機により加熱加圧状態の雰囲気中に存する水分
が閉じ込められた流動状の生分解性樹脂を注入し、その
後、減圧タンクを圧力調整室に連通させると、生分解性
樹脂が加熱加圧状態から急激に解放されて今まで内部に
閉じ込められていた水分が一気に蒸発しようとして膨張
拡大し、また減圧タンクにより適切なタイミングで急激
に減圧できるので水分は通気性の成形型の外部に急激に
放散され、成形型内に水分が残留するおそれがない。従
って成形型内には成形型に応じた形状の生分解性樹脂に
よる均一な生分解性樹脂発泡体が形成されるほか、残留
水分の除去、乾燥作業も不要となる。更に減圧タンクの
存在により気化膨張により水分(内圧)が抜けてしまっ
た反動としての雰囲気圧を受けての収縮を抑え、水分が
気化膨張した当初の高発泡状態を維持して固化させるこ
とが可能となり、これらにより前記課題の解決が図られ
るのである。
【0025】更にまた請求項15記載の生分解性樹脂発
泡体の製造装置は、前記請求項13または14記載の要
件に加え、前記生分解性樹脂発泡体の製造装置には、成
形型のみを回転させる、あるいは成形型及び型締め機構
を回転させる、またはこれらを収容する圧力調整室全体
を回転させる型回転機構が設けられていることを特徴と
して成るものである。そしてこのような発明特定事項を
手段とすることにより、狭窄開口から成形型内に押し出
された生分解性樹脂は、成形型の回転によって生ずる遠
心力の作用によって成形空間外周側に送られ、成形空間
外周側から充填されていくため、成形空間の形状に忠実
で隅部に欠損等が生ぜず、発泡セルの潰れも生じない品
質の優れた発泡体を得ることができ、これらにより前記
課題の解決が図られるのである。
【0026】更にまた請求項16記載の生分解性樹脂発
泡体の製造装置は、前記請求項15記載の要件に加え、
前記型回転機構は、直列的に配される注入機、成形型及
び型締め機構を結ぶ一直線上に同軸的に設けられ、ある
いはこれとは別異の軸上に設けられ、回転伝達機構を介
して成形型の存する前記軸上に回転伝達するように構成
されていることを特徴として成るものである。そしてこ
のような発明特定事項を手段とすることにより、型回転
機構を成形型等と同軸的に設けた場合には、伝達効率が
良く、部品点数の減少に寄与し、別軸に設けた場合には
メインテナンスが容易となるほか、一基の型回転機構に
よって複数の成形型等を回転させる等の使用態様をとる
ことができ、これらにより前記課題の解決に寄与し得る
のである。
【0027】更にまた請求項17記載の生分解性樹脂発
泡体の製造装置は、前記請求項15または16記載の要
件に加え、前記生分解性樹脂発泡体の製造装置には、成
形型あるいは成形型及び型締め機構、または圧力調整室
を回転自在に支承する回転支承体が設けられていること
を特徴として成るものである。そしてこのような発明特
定事項を手段とすることにより、成形型は常に一定の姿
勢を維持した状態で安定した回転を行うことができるよ
うになり、前記課題の解決に寄与し得るのである。
【0028】更にまた請求項18記載の生分解性樹脂発
泡体の製造装置は、前記請求項13、14、15、16
または17記載の要件に加え、前記注入機及び成形型
は、上方に注入機、その下方に成形型が位置し、発泡体
用生分解性樹脂原料が垂直方向上方から下方に向けて供
給されるように構成されていることを特徴として成るも
のである。そしてこのような発明特定事項を手段とする
ことにより、狭窄開口から成形型への生分解性樹脂の供
給がスクリューによる押出作用に生分解性樹脂の自重に
よる重力落下作用が加わって、より一層円滑なものとな
り、成形型の回転による生分解性樹脂の分散作用と相ま
って成形性の向上が達成され、前記課題の解決に寄与し
得るのである。
【0029】
【発明の実施の形態】以下本発明の生分解性樹脂発泡体
の製造方法並びにこれに使用する製造装置について図面
に基づいて具体的に説明する。なお説明にあたっては、
まず本発明の製造方法並びに製造装置によって製造され
る生分解性樹脂発泡体の構成について簡単に説明し、次
いで本発明の製造装置の構成を図1に示す実施の形態を
例にとってその特徴的発明特定事項である型回転機構、
回転支承体等の構成及び配設態様を中心に説明するとと
もに、この製造装置を使用して行われる本発明の製造方
法の基本的実施の形態について説明した後、部分的構成
を異にする本発明の製造装置の他の種々の実施の形態に
言及し、最後に本発明の製造方法の他の種々の実施の形
態を個々の実施の形態で用いる製造装置の構成と併せて
説明する。
【0030】本発明の製造方法並びに製造装置によって
製造される生分解性樹脂発泡体Bは、水分の気化膨張力
を利用して生分解性樹脂を発泡させることによって得ら
れるものであって、更に請求項6記載の製造方法によっ
て成形される生分解性樹脂発泡体Bにあっては、融点が
100℃以上の主成分生分解性樹脂と融点が100℃以
下の低融点生分解性樹脂とを含んで成る。
【0031】一般に生分解性樹脂とは、生物学的作用に
基づき物性を低下する樹脂材料を意味し、これには樹脂
自体が完全に分解するタイプと、分解しにくい樹脂とブ
レンドし、崩壊性を付与したタイプとがある。前者のタ
イプには微生物による生産物、天然高分子の利用品、石
油系原料からの生成品等があり、後者のタイプにはデン
プンとのブレンド体、脂肪族ポリエステルとのブレンド
体等がある。これらの生分解機構としては、リパーゼ、
アミラーゼ、セルラーゼ、プロテアーゼ等の酵素による
分解、活性汚泥中等の微生物による分解、森林や耕作地
等の自然環境における土壌による分解等、種々の態様が
ある。
【0032】更に具体的には、ポリヒドロキシ酪酸及び
その誘導体、プルラン、セルロース−キトサン混合体、
セルロースやアミロースや木粉のエステル化合物、ポリ
エステル−ナイロン共重合体、ポリエステル共重合体、
デンプンとポリエチレンとのブレンド体をはじめ、ポリ
ビニルアルコール、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリ
アミド等が挙げられる。これらはほとんどが低融点を有
し、水の存在下に分解促進されるものである。
【0033】このような生分解性樹脂の市販品として
は、例えば日本合成化学工業株式会社販売の「マタービ
ー(Mater−Bi」(登録商標)がある。これは、
イタリアのモンテジソングループに属するノバモント
(NOVAMONT)社の開発に係るものであって、デ
ンプン等の複数農産物からの誘導品と変性ポリビニルア
ルコールとが分子レベルで相互に相手分子中に潜り込
み、水素結合により結ばれて成る熱可塑性の生分解性ポ
リマーとされているものである。また水を吸収して膨潤
することにより生分解が促進され、微生物生存の環境下
で紙と同等の生分解性を示すとされている。
【0034】この他、セルロースのエステル化合物であ
るアセテートを生分解性樹脂として、またはその一部と
して使用することも可能である。このようなアセテー
ト、またはこれを含む生分解性樹脂は、自然界では微生
物の持つ酵素によって分解され、再び植物や微生物に栄
養源として取り込まれるものであって、国内では帝人株
式会社が「帝人アセテート」としてその製造、販売にあ
たっている。
【0035】また融点が100℃以下の低融点生分解性
樹脂としては、発泡体の成形時において、空洞や鬆を生
じたとしても、相互壁を極力接着関連させるものであ
り、例えばポリカプロラクトンまたはこれを含むものを
好ましくは用いることができる。またこのような低融点
生分解性樹脂の市販品としては、例えば日本ユニカー株
式会社販売の「トーン」(商品名)がある。この「トー
ン」は、ポリカプロラクトンから成り、化学合成された
脂肪族ポリエステルであって、完全分解型生分解性樹脂
である。
【0036】更に必要に応じてこれらの生分解性樹脂中
に多価アルコール類及びその誘導体を添加することも可
能である。特にグリコール類を好ましくは用いることが
できる。多価アルコール類及びその誘導体を添加する
と、生分解性樹脂中の水分の沸点が上昇するため、また
多価アルコール類及びその誘導体自体は可塑剤であるた
め、発泡セルが緻密且つ均一になる。このような多価ア
ルコール類及びその誘導体としては、グリセリン、ポリ
エチレングリコール等が挙げられる。更にまた必要に応
じてこれらの生分解性樹脂中に糊成分を添加することも
可能である。糊成分としてはPVA(ポリビニルアルコ
ール)粉、澱粉が一例として適用でき、このような糊成
分を添加した場合にあっては、発泡体の成形が容易とな
り、成形後の形崩れ等も生じない。
【0037】またこのような生分解性樹脂に水分を存在
させる手段としては、特に限定されないが、発泡用の生
分解性樹脂ペレットを成形するときにあらかじめ適度の
水分を含有させるようにしてもよいし、あるいは生分解
性樹脂の粒体に水分を積極的に含水させる前処理工程を
設けてもよい。また生分解性樹脂と共に水分そのものを
ホッパ内に直接添加してもよいし、ニーダを介してシリ
ンダ内に供給してもよく、実質的に生分解性樹脂と水分
とが供給されればよい。また発泡用ペレットのようにあ
らかじめ水分を吸収させた吸湿性の微粒子状物質、例え
ばタルク(滑石)やシリカを生分解性樹脂に添加してお
けば、微粒子は樹脂との相溶性、分散性が水分の直接添
加よりは高いため、また発泡時には微粒子中の水分がそ
の微粒子を起点として発泡し得るので、結果として微細
且つ均一に発泡した発泡体が得られる。
【0038】このようにして得られた生分解性樹脂発泡
体Bは、加熱加圧状態の雰囲気中に存する水分が閉じ込
められた流動状の生分解性樹脂を水分の気化膨張力を利
用して発泡させると、発泡体は気化熱を奪われるため、
温度が100℃程度に降下する。このとき請求項6記載
の製造方法において使用される生分解性樹脂発泡体Bに
あっては、主成分生分解性樹脂は固化するが、融点が1
00℃以下の低融点生分解性樹脂は直ちに固化すること
はなく、言わば主成分生分解性樹脂に対して接着剤とし
ての機能を発揮するようになる。従って生分解性樹脂発
泡体の成形時に空洞や鬆が生じたとしても、相互壁が極
力接着関連されるから、品質の良好な生分解性樹脂発泡
体Bが得られる。
【0039】またこのような生分解性樹脂発泡体Bの成
形に使用される発泡体用生分解性樹脂原料を生分解性樹
脂中に撥水性物質を添加することにより構成する場合に
は生分解性樹脂を撥水性物質と実質的な水分との存在下
で加熱加圧状態に置くために、例えばあらかじめ生分解
性樹脂に撥水性物質を添加し且つ水分含有させておき、
これを例えば注入機たる射出成形機に投入するようにし
てもよい。撥水性物質としては、シリコーン系化合物、
フッ素系化合物、ワックス類あるいは高級脂肪酸のポリ
マなどが用いられるが、この実施の形態では天然の高級
脂肪酸のポリマとワックス類とを主成分とする商品名
「シグマコート」(株式会社シグマ技術研究所製造:東
燃株式会社販売)を用いる。撥水性物質を生分解性樹脂
に添加する方法としては、例えば前記撥水性物質(商品
名「シグマコート」)を水で希釈するとともに、加熱し
てエマルジョンを生成し、このエマルジョンとして添加
することができる。このようにすれば生分解性樹脂に撥
水性物質及び水分を同時に含有させることができる。ま
た生分解性樹脂に対して撥水性物質及び水分を含有させ
る工程は、別々に行ってもよく、例えば水分を含んだ生
分解性樹脂に撥水性物質を混合するなどの方法を採用す
ることもできる。またこのような生分解性樹脂発泡体B
は、緩衝材としての用途が大いに期待できるが、これに
限定されるものではなく、断熱材や防音材等、従来の発
泡スチロールと同様の用途に用いることが可能である。
【0040】(1)請求項1、2、6、8、12記載の
製造方法の実施の形態 次に本発明の製造方法の基本的実施の形態を、この実施
の形態で用いる製造装置の構成と併せて説明する。まず
本発明の製造方法の基本的実施の形態で用いる製造装置
の実施の形態について図1を参照しながら説明する。図
中、符号1に示すものは筒状容器状のシリンダであり、
その後端部上方には発泡体用生分解性樹脂原料投入用の
ホッパ11が設けられる。このシリンダ1の先端部に
は、前方に狭窄開口1aが形成されるとともに、シリン
ダ1の周囲には加熱用のヒータ13が配置されている。
【0041】前記シリンダ1内には、前後方向に伸びる
スクリュー2がその内壁に近接して配設されており、こ
のスクリュー2の後端はシリンダ1の後端開口部より後
方側に延長形成され、スクリュー2を回転させるための
油圧モータ21に接続されている。更に油圧モータ21
の後部には、射出シリンダ22内に摺動自在に配置され
たピストン23が取り付けられており、従って油圧によ
りピストン23、油圧モータ21及びスクリュー2が一
体となって前後方向に移動するとともに、スクリュー2
は油圧モータ21により回転する。
【0042】こうしていわゆるインラインスクリュー式
射出成形機である注入機Sが構成され、この注入機Sの
先端には、通気性の成形型Aが回転自在に配置されてお
り、この成形型Aは、前記狭窄開口1aに連通するキャ
ビティ31が形成された固定側金型3と、コア41が形
成された可動側金型4とから構成されている。この実施
の形態ではキャビティ31はほぼ三角錐状を成し、また
コア41はキャビティ31の形状より成形品の肉厚分だ
け小さいほぼ三角錐状を成しており、両金型3、4を型
締めしたときに後述の図8に示すような形状の生分解性
樹脂発泡体Bが得られるように互いに直交する三面構造
空間が形成されるようになっている。
【0043】そして前記成形型Aには型締め機構40が
組み合わせて設けられ、この型締め機構40は、例えば
可動側金型4を固定側金型3と対向しつつ接離するよう
にガイドするタイバー42、43や可動側金型4を接離
動作させるための作動機構44などから構成される。
【0044】前記成形型Aは、ほぼ全体において内外を
連通する無数の網組織状の孔を有する多孔質材から成っ
ている。この多孔質材としては、発泡金属が適用できる
ほか、空隙を形成し得る充填材を添加して焼結成形した
金属またはセラミックス等の焼結物、更には金網、パン
チングメタル等をプレス成形し、それらを積層して成る
もの等を使用することができ、簡易な構造としては、一
枚板のパンチングメタルを所定の形状に成形した図6
(a)に示すように構成したものも使用できる。ここで
多孔質材の孔が大きいと、蒸気の排出効率及び通風効率
が良いが、あまり大きくすると発泡後の成形体の表面に
孔による凸凹が強く出て表面が粗れる。このため多孔質
材の孔の大きさは、成形体の用途に応じた表面の平滑性
が得られる範囲内であって、通気抵抗があまり大きくな
らない範囲に設定され、好適なものとしては孔径、孔
数、孔ピッチ等の設定が容易で且つ構造が簡易であるこ
となどから上述のようにパンチングメタルを用いたもの
を挙げることができる。
【0045】前記成形型A及び型締め機構40は、一例
として図1に示すように気密構造の圧力調整室たるチャ
ンバ5内に配置されており、このチャンバ5は、一面の
壁部が固定側金型3の背面に後述する回転支承体を介し
て接合されているとともに、成形後の生分解性樹脂発泡
体Bを取り出すためのドア(図示せず)が設けられてい
る。前記チャンバ5には減圧用バルブV1 及び減圧ポン
プP1 を具えた減圧用配管L1 が接続されるとともに、
チャンバ5内を減圧状態から大気圧に開放させるために
大気圧開放バルブV0 を具えた大気圧開放管L0 が接続
されている。なお生分解性樹脂発泡体Bの成形を圧力調
整下で行わない場合には、上記チャンバ5等は必ずしも
必要とならない。
【0046】次に本発明の製造装置の特徴的発明特定事
項である型回転機構100、回転伝達機構110及び回
転支承体120について説明する。図1に示す実施の形
態にあっては、成形型Aと型締め機構40とを一体とし
て回転させるようにした実施の形態を示すものであっ
て、成形型Aの固定側金型3の背面とチャンバ5の注入
機S側の壁面との間に一例としてボールベアリングによ
って構成される回転支承体120を設けるとともに、型
締め機構40における作動機構44の背面と、チャンバ
5の前記壁面に対向する壁面との間に一例として油圧モ
ータによって構成される型回転機構100を設けること
によって構成されている。
【0047】従って図1に示す実施の形態にあっては、
回転伝達機構110は設けられておらず、型回転機構1
00の回転が直接、型締め機構40及び成形型Aに伝わ
り、成形型Aを型回転機構100と同一方向に同一回転
数で回転させる構成となっている。なお型回転機構10
0と異なる方向に、あるいは異なる回転数で成形型Aを
回転させることも可能であり、このような場合には、例
えば型回転機構100と型締め機構40との間に図示し
ない変速機等を設けるようにする。また成形型Aの回転
方向は常に一定方向とする場合のほか、一定の時間毎に
周期的に回転方向を切り替えるようにすることも可能で
あるし、成形型Aの回転も一定の角度の範囲で行う回動
ないし揺動とすることも可能である。
【0048】更に生分解性樹脂発泡体Bの一連の成形の
過程において成形型Aの回転数を変化させたり、成形型
Aを断続的に回転させるようにすることも可能である。
因みにこのように成形型Aの回転を細かく制御する場合
には、型回転機構100としては、電動モータを使用
し、ロータリーエンコーダ、タイマ等と併用して使用す
る構成とすることも可能である。更に図1に示す実施の
形態にあっては、固定側金型3の背面の一部を突出さ
せ、この突出部分を回転支承体120によって回転自在
に支承するという構成をとったが、固定側金型3の側胴
部を支承する構成とすることも可能であるし、これに加
えて可動側金型4や型締め機構40等の端面や側胴部を
支承する別個の回転支承体120を設けるようにするこ
とも可能である。因みに可動側金型4等を支承する場合
にあっては、成形型Aはラジアル方向のみならず、スラ
スト方向へも移動するため、円錐コロタイプのベアリン
グ等、ラジアル荷重とスラスト荷重の合成荷重に耐えら
れる構造の回転支承体120を選択する。
【0049】以上のような構成の製造装置を用いて本発
明の製造方法を説明すると、まず作動機構44を作動さ
せて、その流体圧あるいはトグル機構等によって成形型
Aを型締めしておくとともに、減圧用バルブV1 を閉じ
てチャンバ5内を大気圧状態にしておき、図1に示すよ
うにホッパ11内に水分と生分解性樹脂の粒体10とを
供給し、スクリュー2によりシリンダ1内を前方に押送
させる。生分解性樹脂の粒体10は、押送される間に、
スクリュー2の回転に伴う剪断力及びヒータ13による
シリンダ1の内壁からの加熱により軟化点または融点程
度の温度に昇温され、スクリュー2の先端側におけるシ
リンダ1の内部空間に流動状になって溜まる。
【0050】このとき当該内部空間は加熱加圧状態とな
っているため、生分解性樹脂の粒体10に含まれていた
水分は、流動状の生分解性樹脂から蒸発することなくそ
の中に閉じ込められた状態となっている。続いてスクリ
ュー2の回転を止め、射出シリンダ22内のピストン2
3を稼働して図7(a)に示すようにスクリュー2を前
進させ、流動状の生分解性樹脂を狭窄開口1aから成形
型A内の成形空間R内に一気に注入する。
【0051】これによって、生分解性樹脂は加熱加圧状
態から急激に大気圧下にさらされることとなるので、こ
れに閉じ込められていた水分が瞬間的に蒸発して発泡す
る。またこのとき、成形型Aは型回転機構100の動力
を受けて型締め機構40と一体となって回転しているか
ら、発泡化した生分解性樹脂は成形型Aの回転によって
生ずる遠心力によって狭窄開口1aの出口付近で詰まる
ことなく、図5に示すように成形空間Rの外周側に移動
し、成形空間Rの外周側から順次充填されていく。なお
生分解性樹脂内にはこの水蒸気の膨張する力が働くが、
その最外郭は成形型Aに接しているためキャビティ31
及びコア41の形状に規制され、このようして例えば図
8に示すように全体が一体の形状に成形された生分解性
樹脂発泡体Bが得られる。
【0052】この際、成形型A内外付近において、水分
は気化膨張の後、降温して湯気状態で漂ったり、成形型
Aや成形体の外郭部分に触れて結露、水滴化しようとす
る。そこで成形型A内へ生分解性樹脂が押し出された直
後に図7(b)に示すように減圧用バルブV1 を開いて
減圧ポンプP1 によりチャンバ5内を例えばゲージ圧力
にて750mmHg程度にまで減圧排気する。この場合
水蒸気の一部は水滴化する前に減圧用配管L1 内に吸い
込まれ、また成形型Aや成形体たる生分解性樹脂発泡体
Bの外郭において結露、水滴化しかかった水分も減圧に
より気化、除去されることとなる。更に気化膨張により
水分(内圧)が抜けてしまった反動としての雰囲気圧を
受けての収縮を抑え、水分が気化膨張した当初の高発泡
状態を維持して固化させることが可能となる。
【0053】所定時間減圧排気を行った後、減圧用バル
ブV1 を閉じ、大気圧開放バルブV0 を開いて大気圧開
放管L0 より空気をチャンバ5内に導入してこの中を大
気圧に戻した後、図7(c)に示すようにスクリュー2
を回転させながら後退させ、これにより再度流動状とな
った生分解性樹脂がスクリュー2の先端側におけるシリ
ンダ1の内部空間に溜まり始め、次の射出に備える。こ
の間に成形型A内の成形空間R内では、成形後の生分解
性樹脂発泡体Bの冷却固化も完了するので作動機構44
を逆方向に作動させて成形型Aを型開きして生分解性樹
脂発泡体Bを取り出し、再び型締めして次の操作を行
う。
【0054】ここで成形型Aは少なくともその一部を連
続多孔質性のもので構成して通気性を得るようにしてい
るため、膨張の際発生するガス圧を適宜成形型A外に逃
すことができて、発泡した生分解性樹脂を自らのガス圧
で押し潰すことがないため、全体として均一に発泡した
成形体が得られ、均質な緩衝材として使用できるほか、
生分解性樹脂の押出終了直後にチャンバ5内を減圧排気
して既述のように発泡化に寄与した後の水分を強制的に
取り除いているので、残留水分の除去、乾燥作業は不要
であり、作業効率を向上させる。また気化膨張により水
分(内圧)が抜けてしまった反動としての雰囲気圧を受
けての収縮を抑え、水分が気化膨張した当初の高発泡状
態を維持して固化させることが可能となる。
【0055】更にこの実施の形態では請求項8に記載す
るように吸湿性の微粒子状物質に例えばあらかじめ水分
を吸収させ、これを先述のように生分解性樹脂中に分散
して得た発泡体用生分解性樹脂原料を発泡グレードとし
て用いることもできる。この場合には、注入機Sから押
し出される流動状の生分解性樹脂中には、水分が微粒子
に担持されて高い均一性で分散し、水分はこの微粒子を
起点として発泡するので微細で均一に発泡させることが
できる。
【0056】以上において、本発明の製造方法を実施す
る製造装置としては例えば図9に示すように、チャンバ
5を可動側分割部51及び固定側分割部52に分割し
て、可動側分割部51が可動側金型4と一体になって可
動できるように構成してもよく、このように構成すれ
ば、成形型A及びチャンバ5を同時に開閉できるので生
分解性樹脂発泡体Bの取り出しが容易である。
【0057】チャンバ5内の減圧排気のタイミングは、
生分解性樹脂が狭窄開口1aから押し出される前、押し
出しの途中、押し出しの完了後のいずれであってもよ
く、また成形型Aを取り巻く雰囲気を減圧排気する代わ
りに、例えば図10に示すように成形型Aを通風ダクト
D内に配置し、この中に設けられた例えば吸込ファンf
により通風ダクトD内を通風し、これにより成形型A内
の水分を排除して水分との接触を抑えるようにしてもよ
い。
【0058】ここで狭窄開口1aは開放されており、ま
たシリンダ1の原料供給側のホッパ11も開放されてお
り、原料や溶融樹脂によりある程度の密閉性が確保され
るものの、シリンダ1内の密閉性が低いと加圧が不充分
になり、生分解性樹脂の軟化点ないし融点と加圧下の水
の沸点との兼ね合いで射出前のシリンダ1内にて一部の
水分が気化し、発泡するおそれがあり、また狭窄開口1
aから鼻垂れ状態で発泡することもある。そこで本実施
の形態では、狭窄開口1aに対しシャットオフバルブを
付設したノズルを設けたり、原料供給側のホッパ11を
密閉したり、更には原料供給口にロータリーバルブを付
設するなどして密閉性を高めることが好ましい。また例
えばポリエチレングリコールなどの不揮発性の溶質を水
に溶かし、この水溶液を添加するようにして、これによ
り水の沸点より上昇させ、射出前のシリンダ1内で生ず
る発泡を抑制するようにしてもよい。
【0059】以上における吸湿性の微粒子状物質を添加
する方法においては、生分解性樹脂発泡体Bの製造プロ
セスは注入機Sたる射出成形機などから成形型A内に押
し出す方法に限らず、密閉した加熱容器内に成形型Aを
配置して、あらかじめ前記微粒子状物質を生分解性樹脂
内に分散させたものを入れておき、加熱容器内に加熱水
蒸気を供給した後、加熱容器内を急激に減圧するように
してもよい。なお吸湿性の微粒子状物質の性状は丸形の
粉末に限られるものではなく、細片状や棒状のものであ
ってももちろん構わない。
【0060】なお本実施の形態では、必ずしも生分解性
樹脂に吸湿性の微粒子物質を添加しなくともよく、この
場合はあらかじめ生分解性樹脂に含水させておいてもよ
いし、大気圧下における平衡水分を含む生分解性樹脂を
用いてもよく、あるいは生分解性樹脂と水分とをそれぞ
れ独立にホッパ11内に投入するようにしてもよい。
【0061】(2)本発明の製造装置の他の実施の形態 前記図1に示す実施の形態と同様、成形型Aと型締め機
構40とを一体として回転させるようにした実施の形態
として図2(a)(b)に示すものがある。これらは前
記図1に示す実施の形態における型回転機構100が直
列的に配される注入機S、成形型A及び型締め機構40
を結ぶ一直線上に同軸的に設けられていたのに対し、こ
の軸とは別異の軸上に型回転機構100を設け、回転伝
達機構110を介して、成形型Aの存する前記軸上に回
転伝達するように構成したものである。
【0062】具体的には、直列的に配される注入機S、
成形型A及び型締め機構40の中心を貫いて設けられる
軸と平行に別異の軸を設け、この別異の軸上に設けた型
回転機構100の回転を図2(a)にあっては、タイミ
ングプーリ及びタイミングベルトから成る回転伝達機構
110により、また図2(b)にあっては、駆動ギヤ、
従動ギヤあるいは必要に応じて設けられる中間ギヤから
構成される回転伝達機構110により、それぞれ成形型
Aに伝えるようにした実施の形態を示すものである。な
お回転伝達機構110としては、この他、スプロケット
とチェーンとによって構成されるもの、ベベルギヤやウ
ォームホイールを使用して直交ないしは斜交する二軸間
において回転伝達するもの等、種々の構成の回転伝達機
構110が採用できる。
【0063】また図3に示すものは、固定側金型3及び
可動側金型4により構成される成形型Aのみを回転させ
るようにした実施の形態を示すものである。具体的には
型締め機構40における作動機構44の中央から延びる
押圧ロッド45の先端に型回転機構100の本体側を固
定し、型回転機構100の出力軸を成形型Aにおける可
動側金型4に固定するとともに、成形型Aにおける固定
側金型3と可動側金型4をそれぞれ内周部と外周部とに
二分割し、これら内周部と外周部との間に回転支承体1
20を配設し、それぞれの内周部のみが回転するように
構成したものである。なお固定側金型3と可動側金型4
との結合を確実にするため、両者の接合部にスプライン
やセレーション等の係合構造を設けたり、固定側金型3
あるいは可動側金型4の一方あるいは双方を電磁チャッ
クとし、磁力により両者を結合するもの等、適宜の結合
手段を併用することが好ましい。因みにこの実施の形態
にあっては、回転する部分が成形型Aのみであるため、
装置の小型化を図る場合に好適である。
【0064】更に図4に示すものは、圧力調整室である
チャンバ5全体を回転させるようにした実施の形態を示
すものである。具体的にはチャンバ5を円筒容器状と
し、その両端部、並びに側胴部の一部を回転支承体12
0によって回転自在に保持するとともに、チャンバ5の
側胴部の他の一部には外歯車状のリングギヤを設け、一
方、このようなチャンバ5の側傍にはチャンバ5の回転
軸と平行な軸上に型回転機構100を配設するととも
に、この型回転機構100の出力軸に設けられる駆動ギ
ヤを前記リングギヤに噛み合わせることによって構成さ
れる。なおこの図4に示す実施の形態にあっては、チャ
ンバ5が回転することに伴い、大気圧開放管L0 及び減
圧用配管L1 は、注入機Sと接続される側と反対側のチ
ャンバ5の端面中心から引き出すという構成をとってい
る。因みにこの実施の形態にあっては、装置が大型化し
てしまうという難点があるものの、成形型A及び型締め
機構40については、既存のものがそのまま利用できる
という利点がある。
【0065】更にまた図6(a)に示すものは成形型A
の構成を異ならせた実施の形態、図6(b)に示すもの
は、注入機S及び成形型Aの配置態様を異ならせた実施
の形態を示すものであるが、前者についてはすでに説明
してあるので、ここではその説明は省略し、図6(b)
に示す後者の実施の形態についてのみ説明することとす
る。すなわち図6(b)に示す実施の形態は上方に注入
機S、その下方に成形型Aを配し、発泡体用生分解性樹
脂原料が垂直方向上方から下方に向けて供給されるよう
に構成したものである。因みにこの実施の形態にあって
は、発泡体用生分解性樹脂原料の供給がスクリュー2に
よる押出作用に発泡体生分解性樹脂原料の自重による重
力落下作用が加わって、より一層円滑なものとなる。
【0066】(3)請求項3記載の製造方法の実施の形
態 請求項3記載の製造方法の実施の形態の説明に先立ち、
この実施の形態において使用する製造装置について図1
1を参照しながら説明する。なお製造装置の基本的構成
については、前述の図1に示す製造装置と同様であるの
でここではその詳細は省略し、相違する部分についての
みの説明とする。
【0067】すなわち図11に示す実施の形態の場合に
は、狭窄開口1aに対し、更に長尺なノズル12が設け
られるものであって、これに伴いヒータ13の設置個所
もシリンダ1の周囲に設けるほか、このノズル12にも
内蔵しておくようにすることももちろん可能である。ま
た固定側金型3の背面(注入機S側の面)の壁部には前
記ノズル12が挿通できるようにキャビティ31から連
通する挿通孔32が形成される。
【0068】また本実施の形態では、前記成形型A及び
型締め機構40は移動台6の上に載置され、回転自在に
支承されており、更にこの移動台6は、ガイドレール6
1に沿って転動する車輪62、63を具える構成となっ
ている。前記移動台6の後端部(図11中、左端部)に
は枠板部64が取り付けられ、この枠板部64はこの枠
板部64の後方に位置するとともに、油圧シリンダ65
内を移動するピストン66に連結されている。油圧シリ
ンダ65は図示しない支承台などに固定され、ピストン
66に油圧を与えることにより移動台6を移動させる。
すなわちこの実施の形態ではこれら移動台6、ガイドレ
ール61、車輪62、63、枠板部64、油圧シリンダ
65及びピストン66により移動機構60が構成され、
更に回転支承体120及び図示しない型回転機構100
等が搭載されるという構成になっている。なお本実施の
形態では、油圧シリンダ65及びピストン66を設けず
に移動台6が生分解性樹脂の押出圧力によりフリーな状
態で動くようにしてもよいが、この場合には図11に同
時に示すように例えば界磁電流の調整部71が接続され
た電磁石による制動機構7を例えば車輪62に配設し
て、移動台6の後退速度を制御することが望ましい。
【0069】以上のような構成の製造装置を用いて請求
項3記載の本発明の製造方法を説明すると、まず成形型
Aを型締めしておくとともに、図11に示すように狭窄
開口1aに対して設けたノズル12の先端が成形型Aに
おける成形空間Rの奥側に位置するように移動台6を前
進位置に設定しておく。この位置設定は、例えばガイド
レール61にストッパを設けておくことにより行うこと
ができる。そして図11に示すようにホッパ11内に水
分と生分解性樹脂の粒体10を供給し、スクリュー2に
よりシリンダ1内を前方に押送させる。生分解性樹脂の
粒体10は、押送される間にスクリュー2の回転に伴う
剪断力及びヒータ13によるシリンダ1の内壁からの加
熱により軟化点または融点程度の温度に昇温され、スク
リュー2の先端側におけるシリンダ1の内部空間に流動
状になって溜まる。
【0070】このとき当該内部空間は加熱加圧状態とな
っているため、生分解性樹脂の粒体10に含まれていた
水分は、流動状の生分解性樹脂から蒸発することなくそ
の中に閉じ込められた状態となっている。続いてスクリ
ュー2の回転を止め、射出シリンダ22内のピストン2
3を稼働して図12(a)に示すようにスクリュー2を
前進させ、流動状の生分解性樹脂をノズル12から成形
型Aの成形空間R内に一気に注入する。
【0071】これによって生分解性樹脂は加熱加圧状態
から急激に大気圧下にさらされることとなるので、閉じ
込められていた水分が瞬間的に蒸発して発泡するととも
に、発泡した生分解性樹脂は成形型Aの回転に伴って、
成形空間Rの外周側に移動する。また油圧シリンダ65
の油圧により成形型Aが後方側(図12中、左側)へ後
退し、この結果、生分解性樹脂は成形型Aにおける成形
空間Rの奥側から順次押し出されながら発泡し、奥部外
周側から充填されていくこととなる。なお成形型Aの後
退速度は、油圧シリンダ65における油圧制御により調
整されるが、その速度があまり速いと成形型Aの手前側
に押し出される生分解性樹脂の量が多過ぎて、予定より
手前側で発泡してしまうし、逆にその速度が遅過ぎると
成形型Aの奥側で発泡した発泡セルが後続の生分解性樹
脂の押し出しにより押し潰されてしまうので、これらの
兼ね合いを考慮して生分解性樹脂が奥側から適量ずつ押
し出されるように成形型Aの後退速度を決定することが
望ましい。そして生分解性樹脂内には水蒸気の膨張する
力が働くが、その最外郭は成形型Aに接しているためキ
ャビティ31の形状に規制される一方、水蒸気は成形型
Aの多孔質部分を通って外部に放散され、このようにし
て全体が一つに成形された生分解性樹脂発泡体Bが得ら
れる。一方、図12(c)に示すようにスクリュー2を
回転させながら後退する間に再度流動状となった生分解
性樹脂がスクリュー2の先端側におけるシリンダ1の内
部空間に溜まり始め、次の射出に備える。この間に成形
型A内のキャビティ31内では、成形後の生分解性樹脂
発泡体の冷却固化も完了するので成形型Aを型開きして
生分解性樹脂発泡体Bを取り出し、再び型締めして次の
操作を行う。
【0072】そして上述の実施の形態では、ノズル12
を、はじめ成形型Aの奥側に位置させておいて、生分解
性樹脂を成形型A内に押し出しながらノズル12を後退
させているため、生分解性樹脂がこれから詰まっていく
成形型Aにおける成形空間Rとノズル12の押出口とが
接近した状態で生分解性樹脂が押し出されることとな
り、従って本来発泡すべき位置の成形空間Rにおいて押
し出される。このため生分解性樹脂が成形型空間R内の
隅々まで入り込んだ状態で発泡が完了するため、発泡セ
ルが成形空間Rの内面から浮いた位置に溜まって後方か
ら生分解性樹脂の押圧により無理に押し込まれて潰され
るという不具合を緩和あるいは回避することができ、従
って一旦発泡した発泡セルの押し潰しを抑えることがで
きるので所望の形状で均質な生分解性樹脂発泡体Bを得
ることができ、この結果充分な緩衝性能を得ることがで
きる。
【0073】以上において成形型Aとノズル12とを相
対的に進退させるにあたっては、成形型A側を進退自在
に構成する代わりに注入機S側を進退自在に構成しても
よく、あるいは両方を進退自在に構成してもよいし、ノ
ズル12が気密性を保持しつつ伸縮する構成を採用して
もよい。そして成形型Aとノズル12との相対的移動の
速度を例えば油圧シリンダなどにより制御すれば、発泡
密度(充填度合)を制御することができ、従って例えば
成形型Aの表面を硬く、内層を柔らかくするといったこ
ともできる。
【0074】ここでノズル12については、生分解性樹
脂が霧状に噴射されるようにその押出口の口径をかなり
小さくしてもよく、このようにすれば更に複雑な形状の
成形型Aにも対応できるという利点がある。そしてまた
本実施の形態では、図13に示すように成形型Aやその
型締め機構40を気密構造のチャンバ5内に収納配置す
るとともに、減圧ポンプP1 及び減圧用バルブV1 を具
えた減圧用配管L1 と、大気圧開放バルブV0 を具えた
大気圧開放管L0 とをチャンバ5に接続し、減圧ポンプ
1 によりチャンバ5内を減圧するようにすれば、生分
解性樹脂から発生した水蒸気が成形型Aの周囲から強制
的に外部に放出されるため、気化膨張して発泡に寄与し
た後の水分の残留付着が防止できるという利点がある。
ただしこの場合、チャンバ5内を減圧する代わりに通風
するようにしても同様の効果が得られる。なおこの場
合、チャンバ5は成形型Aのみを囲むように構成され、
型締め機構40はチャンバ5外に配置されるような構成
とすることも可能である。
【0075】(4)請求項4記載の製造方法の実施の形
態 請求項4記載の製造方法の実施の形態の説明に先立ち、
この実施の形態において使用する製造装置について図1
4を参照しながら説明する。なお製造装置の基本的構成
については前述の図1に示す製造装置と同様であるの
で、ここではその詳細は省略し、相違する部分について
のみの説明とする。
【0076】すなわち図14に示す製造装置の場合に
は、チャンバ5に対し加圧用配管L3及び減圧開放管L
4 が接続されるものであって、図1に示す製造装置にお
いて設けられている減圧用配管L1 、減圧用バルブ
1 、減圧ポンプP1 は排除された構成となっている。
また前記加圧用配管L3 はチャンバ5内を加圧するため
に加圧用バルブV3 を介してコンプレッサCに接続され
ている。一方、減圧開放管L4 は図1に示す製造装置に
おける大気圧開放管L0 に相当するものであり、減圧開
放バルブV4 を介して大気に開放される。
【0077】以上のような構成の製造装置を用いて請求
項4記載の本発明の製造方法を説明すると、まず成形型
Aを型締めしておくとともに、コンプレッサCにより圧
力調整室たるチャンバ5内を加圧状態にしておき、図1
4に示すようにホッパ11内に水分と生分解性樹脂の粒
体10を供給し、スクリュー2によりシリンダ1内を前
方に押送させる。生分解性樹脂の粒体10は、押送され
る間にスクリュー2の回転に伴う剪断力及びヒータ13
によるシリンダ1の内壁からの加熱により軟化点または
融点程度の温度に昇温され、スクリュー2の先端側にお
けるシリンダ1の内部空間に流動状になって溜まる。
【0078】このとき当該内部空間は加熱加圧状態とな
っているため、生分解性樹脂の粒体10に含まれていた
水分は、流動状の生分解性樹脂から蒸発することなくそ
の中に閉じ込められた状態となっている。続いてスクリ
ュー2の回転を止め、射出シリンダ22内のピストン2
3を稼働して図15(a)に示すようにスクリュー2を
前進させ、流動状の生分解性樹脂を狭窄開口1aから成
形型Aの成形空間R内に一気に注入する。
【0079】ここでチャンバ5内は加圧状態になってい
るため、成形型Aの多孔質部分を介してチャンバ5内に
連通している成形型Aのキャビティ31及びコア41も
加圧状態であり、その圧力を狭窄開口1aから注入され
る生分解性樹脂の温度例えば170℃における水蒸気圧
より高い圧力例えば10kgf/cm2 程度に設定して
おくことにより、生分解性樹脂は、その中に水分が閉じ
込められたまま前記成形空間R内に押し出される。
【0080】そして前記成形空間R内に生分解性樹脂が
充填された後、図15(b)に示すように減圧開放バル
ブV4 を一気に開いてチャンバ5内を大気に開放する
と、生分解性樹脂は加熱加圧状態から急激に大気圧下に
さらされることとなるので、これに閉じ込められていた
水分が瞬間的に蒸発して発泡する。また発泡した生分解
性樹脂は、成形型Aの回転に伴って成形空間Rの外周側
に移動し、成形空間Rの外周側から充填されていく。そ
して生分解性樹脂内にはこの水蒸気の膨張する力が働く
が、その最外郭は成形型Aに接しているためキャビティ
31及びコア41の形状に規制される一方、水蒸気は成
形型Aの多孔質部分を通ってチャンバ5内に放散される
とともに、生分解性樹脂内部には気泡H(発泡セル)が
形成され、こうして例えば図8に示すように全体が一体
形状に成形された生分解性樹脂発泡体Bが得られる。
【0081】一方、図15(c)に示すようにスクリュ
ー2を回転させながら後退する間に再度流動状となった
生分解性樹脂がスクリュー2の先端側におけるシリンダ
1の内部空間に溜まり始め、次の射出に備える。この間
に成形型Aの成形空間R内では、成形後の生分解性樹脂
発泡体Bの冷却固化も完了するので、成形型Aを型開き
して生分解性樹脂発泡体Bを取り出し、再び型締めして
次の操作を行う。
【0082】そして上述の方法では、流動状の生分解性
樹脂が狭窄開口1aから成形空間R内に押し出されるま
ではキャビティ31及びコア41により形成される成形
空間R内は加圧状態とされているため、発泡が起こるこ
とがなく、その後、成形空間R内が急激に減圧されて発
泡が起こるため、成形空間Rの形状に忠実でしかも均質
な生分解性樹脂発泡体Bを得ることができ、良質な緩衝
材として使用できる。
【0083】すなわち上述の方法は、狭窄開口1aから
押し出された生分解性樹脂の発泡のタイミングをチャン
バ5内を加圧状態から減圧することで調整しているので
あるが、この減圧のタイミング、つまり発泡のタイミン
グについては生分解性樹脂が成形空間R内にすべて充填
された後に限られるものではなく、成形空間R内に押し
込んでいる途中で減圧させるようにしてもよい。このタ
イミングは例えば狭窄開口1aからの押出速度や生分解
性樹脂の加熱温度などにより適宜設定すればよい。
【0084】そしてまたチャンバ5内を減圧するにあた
っては、大気圧または大気圧より低いかあるいは大気圧
より高くてもよいが、大気圧より低い圧力に減圧すれば
大きな圧力差が得られるので、発泡セルが大きくなって
高発泡化ができるとともに、水蒸気がチャンバ5外に排
出されるので、気化膨張して発泡に寄与した後の水分の
残留付着が防止されるという利点がある。
【0085】以上において、本実施の形態に係る製造方
法を実施するための製造装置としては、例えば図16に
示すようにチャンバ5を可動側分割部51及び固定側分
割部52に分割して、可動側分割部51が可動側金型4
と一体になって可動できるように構成してもよく、この
ように構成すれば、成形型A及びチャンバ5を同時に開
閉できるので、生分解性樹脂発泡体Bの取り出しが容易
となる。
【0086】(5)請求項5記載の製造方法の実施の形
態 請求項5記載の製造方法の実施の形態の説明に先立ち、
この実施の形態において使用する製造装置について図1
7を参照しながら説明する。なお製造装置の基本的構成
については前述の図1に示す製造装置と同様であるの
で、ここではその詳細は省略し、相違する部分について
のみの説明とする。
【0087】すなわち図17に示す製造装置の場合に
は、図1に示す製造装置においてほぼ三角錐状としたキ
ャビティ31を一例として方形筐体状とし、図1に示す
製造装置において、これより成形品の肉厚分だけ小さい
ほぼ三角錐状としたコア41を一例として方形状の一面
に小さな方形筐体状の凸部を有する形状としている。ま
たここで狭窄開口1aの口径は、加熱加圧状態の流動状
物を狭窄開口1aから霧化状態でキャビティ31とコア
41とにより形成される成形空間Rに射出するために従
来の一般の射出成形機のノズルよりも小径とすることが
必要である。すなわち従来の一般の射出成形機のノズル
の口径は例えば2〜5mmとされているが、この実施の
形態では、例えば狭窄開口1aの口径を1mm程度の小
径なものとしている。
【0088】以上のような構成の製造装置を用いて請求
項5記載の本発明の製造方法を説明すると、まず成形型
Aを型締めしておき、ホッパ11内に水分と生分解性樹
脂の粒体10を供給し、図18(a)に示すようにスク
リュー2によりシリンダ1内を前方に押送させる。生分
解性樹脂の粒体10は、押送される間にスクリュー2の
回転に伴う剪断力及びヒータ13によるシリンダ1の内
壁からの加熱により軟化点または融点程度の温度に昇温
され、スクリュー2の先端側におけるシリンダ1の内部
空間に流動状物になって溜まる。このとき当該内部空間
は加熱加圧状態となって生分解性樹脂の粒体10に含ま
れていた水分はその流動状物から蒸発することなくその
中に閉じ込められた状態となっている。
【0089】続いて図18(b)に示すようにスクリュ
ー2の回転を止め、射出シリンダ22内のピストン23
を稼働してスクリュー2を前進させ、流動状物を狭窄開
口1aから成形型A内のキャビティ31とコア41とに
より形成される成形空間R内に霧化状態で一気に噴射す
る。
【0090】ここで霧化状態で噴射するためには、上述
のように狭窄開口1aの口径を従来一般のものよりも小
径とした上、スクリュー2による流動状物の射出速度
と、当該流動状物の押出前後の圧力差を適宜調整すれば
よい。なお霧化状態とするために必要な狭窄開口1aの
口径は流動状物の押出速度によっても変動するので、必
ずしも上述のように1mm程度に限定されるものではな
い。
【0091】一方、成形型Aの外部は大気に開放されて
いるので、通気性の成形型Aの多孔質部分を介してその
成形空間Rも大気圧となっている。従って霧化状態で成
形空間R内に一気に射出された生分解性樹脂は加熱加圧
状態から急激に大気圧下にさらされることとなるので、
これに閉じ込められていた水分が瞬間的に蒸発して発泡
する。また発泡した生分解性樹脂は、成形型Aの回転に
伴って成形空間Rの外周側に移動し、成形空間Rの外周
側から充填されていく。そして生分解性樹脂内にはこの
水蒸気の膨張する力が働くが、その最外郭は成形型Aに
おけるキャビティ31とコア41の内壁に接し規制され
ている。そして水蒸気は成形型Aの多孔質部分を通って
外部に放散される。一方、生分解性樹脂内部の各粒子ご
とに発泡が行われて気泡H(発泡セル)が形成され、こ
れら粒子が絡み合い、融着し合って全体が一つに成形さ
れた生分解性樹脂発泡体Bが得られる。
【0092】次いで図18(c)に示すようにスクリュ
ー2を回転させながら後退させると、その間に再度流動
状となった生分解性樹脂がスクリュー2の先端側におけ
るシリンダ1の内部空間に溜まり始め、次の射出に備え
る。この間に成形型A内の成形空間R内では、成形後の
生分解性樹脂発泡体Bの冷却固化も完了するので、成形
型Aを型開きして生分解性樹脂発泡体Bを取り出し、再
び型締めして次の操作を行う。
【0093】そして上述の方法では、流動状の生分解性
樹脂が狭窄開口1aから霧化状態で大気圧下の成形空間
R内に射出されるので、霧化状態の生分解性樹脂がキャ
ビティ31とコア41とにより形成される成形空間R内
の隅々まで充填されるとともに、この霧化状態の生分解
性樹脂を構成する粒子が各々発泡して集合する。このた
め生分解性樹脂が成形型A内の隅々まで入り込んだ状態
で発泡が完了するので、成形型Aの形状が複雑であって
も発泡セルが成形空間Rの内面から浮いた位置に溜まっ
て後方から生分解性樹脂の押圧により無理に押し込まれ
て潰されるという不具合を緩和あるいは回避することが
でき、従って一旦発泡した発泡セルの押し潰しを抑える
ことができるので所望の形状で均質な生分解性樹脂発泡
体Bを得ることができ、この結果充分な緩衝性能を得る
ことができる。
【0094】本実施の形態においては、成形型Aの外部
を通風雰囲気としてもよく、この場合は水蒸気が成形型
Aの外に強制的に放出されるので、気化膨張して発泡に
寄与した後の水分の残留付着が防止されるという利点が
ある。
【0095】なお成形型Aをチャンバ5の内部に配置し
て成形型Aの外部雰囲気を大気圧以下に減圧してもよ
く、この場合は大きな圧力差が得られるので、より高発
泡化させることができるとともに、水蒸気の強制放出作
用がより大きくなって成形型Aにおける結露が抑えられ
る。
【0096】また本実施の形態では狭窄開口1aに対し
てノズル12を設けることも可能であり、この場合、ノ
ズル12は一本に限定されず、例えば図19に示すよう
に複数のノズル12を設けてもよいし、場合によっては
図20に示すようにシリンダ1の先端に多数の微細な噴
射孔14を具えたシャワー部15を設けてもよい。更に
図示しないが、ランナー、ゲートを経由して成形型A内
に生分解性樹脂が導入される場合には、ランナーやゲー
トの口径を小さくするなどして、生分解性樹脂が霧化状
態で成形型A内に導入されるようにすればよい。
【0097】更に本実施の形態では、図21に示すよう
に互いに気密な複数の減圧室53、54、55に分割さ
れたチャンバ5を成形型Aを取り囲むように設けるとと
もに、各室に対応する減圧開放管L4 をそれぞれを設
け、各減圧開放管L4 による減圧の程度を変化させるこ
とにより、霧化状態の生分解性樹脂が成形空間Rの奥か
ら効率良く順次に充填されるように充填状態を調整する
ようにしてもよい。この場合、チャンバ5は、例えば成
形型Aと同時に開閉できるように構成される。
【0098】(6)請求項9記載の製造方法の実施の形
態 請求項9記載の製造方法の実施の形態の説明に先立ち、
この実施の形態において使用する製造装置について簡単
に触れておく。すなわち図22に示すものがこの製造装
置であって、その基本的構成は前述の図1に示す製造装
置と同様であって、図1に示す製造装置において設けた
チャンバ5を省略した構成となっている。
【0099】以上のような構成の製造装置を用いて請求
項9記載の本発明の製造方法を説明すると、まず成形型
Aを型締めしておくとともに、図22に示すようにホッ
パ11内に撥水性物質と実質的な水分とを含有した生分
解性樹脂の粒体10を供給し、スクリュー2によりシリ
ンダ1内を前方に押送させる。生分解性樹脂の粒体10
は押送される間にスクリュー2の回転に伴う剪断力及び
ヒータ13によるシリンダ1の内壁からの加熱により軟
化点または融点程度の温度、例えば170℃に昇温され
て流動状となり、その流動状物質がスクリュー2の先端
側におけるシリンダ1の内部空間に溜まる。
【0100】このとき当該内部空間は加熱加圧状態とな
って、生分解性樹脂の粒体10に含まれていた水分は流
動状の生分解性樹脂から蒸発することなくその中に閉じ
込められた状態となっている。続いてスクリュー2の回
転を止め、射出シリンダ22内のピストン23を稼働し
て図23(a)に示すようにスクリュー2を前進させ、
流動状の生分解性樹脂を狭窄開口1aから成形型A内の
成形空間R内に一気に注入する。
【0101】これによって、生分解性樹脂は加熱加圧状
態から急激に大気圧下にさらされることとなるので、こ
れに閉じ込められていた水分が瞬間的に蒸発して発泡す
る。また発泡した生分解性樹脂は、成形型Aの回転に伴
って成形空間Rの外周側に移動し、成形空間Rの外周側
から充填されていく。そして一方、前記撥水性物質は沸
点が水より高いため、そのほとんどが生分解性樹脂中の
発泡セルの表面に被膜として残る。生分解性樹脂内には
この水蒸気の膨張する力が働くが、その最外郭は成形型
Aにおけるキャビティ31及びコア41の内壁に接し、
規制されており、こうして例えば図24に示すように全
体が一体形状に成形された生分解性樹脂発泡体Bが得ら
れる。その後、図23(b)に示すようにスクリュー2
を回転させながら後退させ、これにより再度流動状とな
った生分解性樹脂がスクリュー2の先端側におけるシリ
ンダ1の内部空間に溜まり始め、次の射出に備える。こ
の間に成形型A内の成形空間R内では、成形後の生分解
性樹脂発泡体Bの冷却固化も完了するので成形型Aを型
開きして生分解性樹脂発泡体Bを取り出し、再び型締め
して次の操作を行う。
【0102】そして上述の方法では、撥水性物質が生分
解性樹脂の成形体の発泡セルの各膜を覆うため、成形体
に水分が付着したとしても、その水分の除去、乾燥作業
は容易となり、発泡体製品上においても撥水性が生じて
耐水性が付与される。更に撥水性物質として天然の脂肪
酸ポリマを用いているのでこれも生分解性であり、従っ
て生分解性樹脂発泡体Bの構成成分全体が生分解性とな
るため好適である。
【0103】ここで本実施の形態では図25に示すよう
に成形型Aを可動側分割部51と固定側分割部52に分
割可能な気密構造のチャンバ5内に配置し、生分解性樹
脂を狭窄開口1aから押し出す前からあるいは押し出し
後、所定のタイミングで例えば1秒後に減圧用バルブV
1 を開いて減圧ポンプP1 により減圧用配管L1 を介し
て減圧するようにしてもよいし、図10に示すように成
形型Aを通風ダクトD内に配置して吸込ファンfにより
強制的に通風してもよく、このようにすれば水分が成形
型Aから強制的に除去されるので、残留水分の除去、乾
燥作業は不要となる。なお図25中、符号L0 に示すも
のは大気圧開放管、V0 は大気圧開放バルブである。
【0104】以上において本実施の形態では、生分解性
樹脂の粒体10、水分及び撥水性物質を別個のホッパ1
1内に投入してもよいし、あるいはまたシリンダ1に別
途の注入口を設けてここから水分または撥水性物質を直
接注入するようにしてもよい。更にまた本実施の形態で
は成形型Aにより一つの成形体をバッチ式に得るのでは
なく、口金から連続的に押し出して口金形状に合致した
適宜の断面形状を有する連続の棒状体として得るように
してもよい。この場合、それらの複数本をその後に接合
したり、押し出され発泡しつつある複数本を縒り合わせ
て相互に融着させたりして、太物の連続棒状体を得るよ
うにしてもよい。
【0105】更にまた本実施の形態は、狭窄開口1aの
前方に成形型Aを配置する代わりに通気性の筒状体を接
続し、ここから押し出されて筒状に成形された成形体を
複数用意して、例えば並行状に接着剤により接合して一
つの成形体とする場合にも適用できる。
【0106】更にまた本実施の形態は射出成形機などを
用いた押出発泡法に限らず、密閉した加熱容器内に通気
性の成形型Aを配置して、撥水性物質を含有した所定量
の生分解性樹脂を成形型A内に入れておき、加熱容器内
に加熱水蒸気を供給した後、加熱容器内を減圧する方法
などに適用してもよいし、更に生分解性樹脂を発泡させ
る工程とそれを用いて成形する工程とを別々に行うよう
にしてもよい。
【0107】最後に成形型A内の圧力調整メカニズムに
特徴を有する本発明の製造装置の実施の形態並びにこの
製造装置を使用する本発明の他の製造方法について言及
する。 (7)請求項14記載の製造装置の実施の形態 図26に示すものが請求項14記載の本発明の製造装置
であって、その基本的構成については前述した図1に示
す製造装置と同様であるので、その詳細は省略するが、
本実施の形態では狭窄開口1aの口径、あるいはこの狭
窄開口1aにノズル12を設ける場合のそのノズル12
の口径は6mm程度とするのが望ましい。またノズル1
2を設ける場合はシャットオフバルブを付設したノズル
12を使用することが推奨される。
【0108】以下前述した図1に示す製造装置との相違
する部分を中心に本発明の製造装置の構成を具体的に説
明する。まず注入機Sの先端には圧力調整室たるチャン
バ5が設けられている。この実施の形態ではチャンバ5
は、いわゆる射出成形機における金型を利用して構成さ
れており、狭窄開口1aに連通するキャビティ31が形
成された固定側金型3とコア41が形成された可動側金
型4とから構成されており、固定側金型3、可動側金型
4はそれぞれ射出成形機の型締め機構40における固定
側ダイプレート40A、可動側ダイプレート40B上に
装着される。キャビティ31は例えば方形筐体状であっ
て、同じく方形筐体状のコア41と共に成形空間Rを構
成し、この成形空間Rには通気性の成形型Aが配置され
ている。この実施の形態の成形型Aの成形空間Rは例え
ばコーナーアングルとしての断面がL字形の方形状を成
しており、チャンバ5内に配置された位置決め杆30に
よりその位置が固定されている。なおこの成形型Aの成
形空間Rの形状は特に限定されず、種々の形状の成形型
Aをあらかじめ用意しておいて適宜交換して使用するこ
とも可能である。またこの実施の形態ではチャンバ5及
び型締め機構40が大気に開放された状態で配置されて
いる。
【0109】チャンバ5には減圧用配管L1 が接続され
るとともに、その途中に減圧用バルブV1 が設けられ、
この減圧用バルブV1 を介して急速減圧用の減圧タンク
1が連結され、この減圧タンクT1 には更に減圧ポン
プP1 が接続されている。減圧タンクT1 の内部はあら
かじめ減圧ポンプP1 により所定の圧力、例えば真空下
に近く減圧されており、減圧用バルブV1 が開かれたと
きにチャンバ5の室内と連通するようになっている。な
お減圧タンクT1 はチャンバ5の室内と連通したときに
当該室内を急激に減圧できるに充分な容量を有する必要
がある。
【0110】以上の装置によれば、例えば次のようにし
て生分解性樹脂発泡体Bが形成される。まずチャンバ5
を型締め機構40により型締めしてその室内を例えば大
気圧の状態で密閉する。次いで前述の本発明の製造方法
に従い流動状となった生分解性樹脂を狭窄開口1aから
成形型A内に一気に注入する。注入後、減圧用バルブV
1 を開いて減圧タンクT1 をチャンバ5と連通させ、チ
ャンバ5の室内を例えばゲージ圧で750mmHg程度
にまで急激に減圧すると、これまで生分解性樹脂に閉じ
込められていた水分が瞬間的に蒸発して発泡する。また
発泡した生分解性樹脂は、成形型Aの回転に伴って成形
空間Rの外周側に移動し、成形空間Rの外周側から充填
されていく。そして水蒸気が成形型Aの通気孔から減圧
タンクT1 内に一気に排出される。このとき生分解性樹
脂内にはこの水蒸気の膨張する力が働くが、その最外郭
は成形型A内のキャビティ31及びコア41の内壁に接
しているため発泡部分はこれらにより形成される成形空
間Rの形状に規制され、所定の形状の生分解性樹脂発泡
体Bが形成される。
【0111】次いで減圧用バルブV1 を閉じて、減圧タ
ンクT1 とチャンバ5との連通を遮断した後、スクリュ
ー2を回転させながら後退させるとその間に再度流動状
となった生分解性樹脂がスクリュー2の先端側における
シリンダ1の内部空間に溜まり始め、次の注入に備え
る。そしてこれと同時に減圧ポンプP1 を稼働して、再
び減圧タンクT1 内部を初期状態の圧力に減圧する。こ
の間に成形型A内では成形後の生分解性樹脂発泡体Bの
冷却固化も完了するので、可動側金型4を固定側金型3
から離れる方向に移動させる型開きをして生分解性樹脂
発泡体Bを取り出し、再び型締めをして次の操作を行
う。
【0112】
【発明の効果】本発明の生分解性樹脂発泡体の製造方法
並びにこれに使用する製造装置は、以上述べたような実
施の形態によって具現化される請求項1〜18記載の発
明特定事項を有することによって成るものであり、この
ような構成を有することによって以下のような効果が発
揮される。すなわち請求項1記載の生分解性樹脂発泡体
の製造方法は、昇温され、流動状となった生分解性樹脂
を加熱加圧状態から急激に解放するとともに、更に通気
性の成形型内に押し出し、成形型Aを回転させながら所
定の形状に成形するといった構成をとる。これにより生
分解性樹脂中に含有される水分は加圧によって沸点が上
昇するため、シリンダ1内では液体として存在し、加熱
加圧状態から急激に解放された後は、前記水分は瞬間的
に蒸発し、生分解性樹脂は発泡化される。またこのとき
生じた水蒸気は成形型Aが通気性を有することから外部
に放散され、製造された生分解性樹脂発泡体Bに付着す
ることもない。更に発泡化した生分解性樹脂は成形型A
の回転によって生ずる遠心力によって狭窄開口1aの出
口付近で詰まることなく、成形空間Rの外周側に移動
し、成形空間Rの外周側から充填されていくため、成形
空間Rの形状に忠実で隅部に欠損等が生ぜず、発泡セル
の潰れも生じない。
【0113】また請求項2記載の生分解性樹脂発泡体の
製造方法は、成形型Aの置かれる雰囲気を生分解性樹脂
の押出開始前から、または押出開始後において減圧また
は通風雰囲気とする構成をとる。これにより成形型A内
の水分は気化膨張後、降温して湯気状態で漂ったり、成
形型Aや生分解性樹脂発泡体Bの外部部分に触れて結
露、水滴化することもなく、外部に排除される。従って
残留水分の除去、乾燥作業等は不要となる。更に減圧雰
囲気とした場合にはこれらのほか、気化膨張により水分
(内圧)が抜けてしまった反動としての雰囲気圧を受け
ての収縮を抑え、水分が気化膨張した当初の高発泡状態
を維持して固化させることが可能となる。
【0114】更にまた請求項3記載の生分解性樹脂発泡
体の製造方法は、狭窄開口1aに対して設けられるノズ
ル12を出発状態において成形型Aの奥部側に位置させ
ておき、生分解性樹脂を押し出しながら成形型Aに対し
て相対的に後退させるという構成をとる。これにより生
分解性樹脂は成形型Aの奥側から順次充填され、このた
め成形型A内の細部及び隅々に到達するタイミングと発
泡のタイミングとの差が小さくなるか、あるいは実質的
に無くなる。この結果、成形型A内の細部及び隅々まで
発泡セルが行きわたり、このため発泡セルの押し潰れを
極力未然に防ぐことができるので所望形状で均質な生分
解性樹脂発泡体Bが得られる。
【0115】更にまた請求項4記載の生分解性樹脂発泡
体の製造方法は、生分解性樹脂を成形型A内に押し出し
ている間は、成形型A内の雰囲気を加圧状態としてお
き、押出完了後は急激に減圧するという構成をとる。こ
れにより生分解性樹脂は水分が閉じ込められた状態で成
形型A内に押し出され、減圧後、水分が瞬間的に蒸発し
て生分解性樹脂を発泡化させる。従って生分解性樹脂が
成形型A内の隅々に至った状態で発泡するので、所望形
状で均質な生分解性樹脂発泡体Bが得られる。
【0116】更にまた請求項5記載の生分解性樹脂発泡
体の製造方法は、生分解性樹脂を霧化状態で狭窄開口1
aから成形型A内に射出するという構成をとる。これに
より霧化状態の生分解性樹脂が成形型A内の隅々まで行
きわたるとともに、加熱加圧状態から急激に解放されて
今まで内部に閉じ込められていた水分が一気に蒸発しよ
うとして膨張拡大し、蒸発した水分は通気性の成形型A
外に放散される一方、霧化状態の生分解性樹脂が各々発
泡して集合し、発泡セルが押し潰されることなく所望の
形状で均質な生分解性樹脂発泡体Bが得られる。
【0117】更にまた請求項6、8、9記載の生分解性
樹脂発泡体の製造方法は、前記発泡体用生分解性樹脂原
料を融点が100℃以上の主成分生分解性樹脂と融点が
100℃以下の低融点生分解性樹脂、吸湿性の微粒子状
物質に水分を吸収させたものを生分解性樹脂中に添加し
たもの、または生分解性樹脂中に撥水性物質を添加した
ものにより構成している。これにより所望の発泡化が期
待でき、またあらかじめ水分を吸収させた吸湿性の微粒
子状物質を生分解性樹脂に添加しておけば、微粒子は生
分解性樹脂との相溶性、分散性が水分の直接添加よりは
高く、発泡時には微粒子中の水分がその微粒子を起点と
して発泡し得るので、結果として微細且つ均一に発泡し
た生分解性樹脂発泡体Bが得られる。更に撥水性物質と
して、加熱加圧状態からの解放時に全部蒸発しないよう
な沸点をもつ物質、例えば天然の脂肪酸ポリマを用いる
ことにより、撥水性物質が発泡セルの各膜を覆うため、
得られた生分解性樹脂発泡体Bは撥水性を有し、残留水
分の除去、乾燥作業が容易となるほか、発泡体製品上に
おいても撥水性が生じて耐水性が付与される。
【0118】更にまた請求項7、10記載の生分解性樹
脂発泡体の製造方法は、低融点生分解性樹脂をポリカプ
ロラクトンまたはこれを含むものにより構成し、生分解
性樹脂中に多価アルコール類及びその誘導体を添加する
という構成をとる。これにより低融点生分解性樹脂は直
ちに固化することはなく、主成分生分解性樹脂に対して
接着剤として機能する。従って空洞や鬆が生じたとして
も相互壁が極力接着関連された生分解性樹脂発泡体Bを
得ることができる。特に低融点生分解性樹脂としてポリ
カプロラクトンまたはこれを含むものを用いれば、上記
接着剤としての機能は充分に発揮され、更に前記生分解
性樹脂に可塑剤である多価アルコール類及びその誘導体
を添加した場合には、生分解性樹脂中の水分の沸点が上
昇するため、発泡セルは緻密且つ均一となる。
【0119】更にまた請求項11記載の生分解性樹脂発
泡体の製造方法は、生分解性樹脂中に糊成分を添加する
という構成をとる。これにより発泡体の成形が容易とな
り、成形後の型崩れ等は生じない。
【0120】更にまた請求項12記載の生分解性樹脂発
泡体の製造方法は、成形型A内に押し出された発泡化し
た生分解性樹脂の全部を一体形状に成形するという構成
をとる。これにより比較的体積の大きい生分解性樹脂発
泡体Bを形成できるほか、種々の形状の生分解性樹脂発
泡体Bを形成することが可能となる。
【0121】更にまた請求項13記載の生分解性樹脂発
泡体の製造装置は、通気性を有し、なお且つ回転自在に
設けられる成形型Aと、この成形型Aに流動状の生分解
性樹脂を注入するための注入機Sとを具えることにより
構成されている。これにより生分解性樹脂中に含有され
る水分は加圧によって沸点が上昇するため、シリンダ1
内では液体として存在し、加熱加圧状態から急激に解放
された後は、前記水分は瞬間的に蒸発し、生分解性樹脂
は発泡化される。またこのとき生じた水蒸気は成形型A
が通気性を有することから外部に放散され、製造された
生分解性樹脂発泡体Bに付着することもない。更に発泡
化した生分解性樹脂は成形型Aの回転によって生ずる遠
心力によって狭窄開口1aの出口付近で詰まることな
く、成形空間Rの外周側に移動し、成形空間Rの外周側
から充填されていくため、成形空間Rの形状に忠実で隅
部に欠損等が生ぜず、発泡セルの潰れも生じない。
【0122】更にまた請求項14記載の生分解性樹脂発
泡体の製造装置によれば、圧力調整室内に配置した通気
性を有し、なお且つ回転自在に設けられる成形型Aに注
入機Sにより加熱加圧状態の雰囲気中に存する水分が閉
じ込められた流動状の生分解性樹脂を注入し、その後、
減圧タンクT1 を圧力調整室に連通させると、生分解性
樹脂が加熱加圧状態から急激に解放されて今まで内部に
閉じ込められていた水分が一気に蒸発しようとして膨張
拡大し、また減圧タンクT1 により適切なタイミングで
急激に減圧できるので水分は通気性の成形型Aの外部に
急激に放散され、成形型A内に水分が残留するおそれが
ない。従って成形型A内には成形型Aに応じた形状の生
分解性樹脂による均一な生分解性樹脂発泡体Bが形成さ
れるほか、残留水分の除去、乾燥作業も不要となる。更
に減圧タンクT1 の存在により気化膨張により水分(内
圧)が抜けてしまった反動としての雰囲気圧を受けての
収縮を抑え、水分が気化膨張した当初の高発泡状態を維
持して固化させることが可能となる。
【0123】更にまた請求項15記載の生分解性樹脂発
泡体の製造装置によれば、成形型Aのみ、成形型Aと型
締め機構40、あるいは圧力調整室全体を回転させる型
回転機構100が設けられる。これにより狭窄開口1a
から成形型A内に押し出された生分解性樹脂は、成形型
Aの回転によって生ずる遠心力の作用によって成形空間
R外周側に送られ、成形空間R外周側から充填されてい
くため、成形空間Rの形状に忠実で隅部に欠損等が生ぜ
ず、発泡セルの潰れも生じない品質の優れた発泡体を得
ることができる。
【0124】更にまた請求項16記載の生分解性樹脂発
泡体の製造装置によれば、型回転機構100は成形型A
等と同軸的に設けられ、あるいは回転伝達機構110を
介して別軸に設けられる。これにより型回転機構100
を成形型A等と同軸的に設けた場合には、伝達効率が良
く、部品点数の減少に寄与し、別軸に設けた場合にはメ
インテナンスが容易となるほか、一基の型回転機構10
0によって複数の成形型A等を回転させる等の使用態様
をとることができる。
【0125】更にまた請求項17記載の生分解性樹脂発
泡体の製造装置によれば、成形型A、成形型A及び型締
め機構40または圧力調整室を回転自在に支承する回転
支承体120が設けられる。これにより成形型Aは常に
一定の姿勢を維持した状態で安定した回転を行うことが
できるようになる。
【0126】更にまた請求項18記載の生分解性樹脂発
泡体の製造装置によれば、上方に注入機S、その下方に
成形型Aが位置する。これにより狭窄開口1aから成形
型Aへの生分解性樹脂の供給がスクリュー2による押出
作用に生分解性樹脂の自重による重力落下作用が加わっ
て、より一層円滑なものとなり、成形型Aの回転による
生分解性樹脂の分散作用と相まって成形性の向上が達成
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の生分解性樹脂発泡体の製造方法を実施
するにあたり使用する製造装置の一例を示す骨格的縦断
側面図である。
【図2】本発明の製造装置において回転伝達機構の構成
を異ならせた二種の実施の形態を示す骨格的縦断側面図
である。
【図3】本発明の製造装置において成形型のみを回転さ
せるようにした実施の形態を示す骨格的縦断側面図であ
る。
【図4】本発明の製造装置において圧力調整室全体を回
転させるようにした実施の形態を示す骨格的縦断側面図
である。
【図5】本発明の製造装置における成形型内に注入され
た生分解性樹脂の流れを示す骨格的縦断側面図である。
【図6】成形型の構成を異ならせた他の実施の形態並び
に注入機と成形型との配置態様を異ならせた他の実施の
形態を併せ示す縦断側面図である。
【図7】本発明の製造方法を段階的に示す説明図であ
る。
【図8】成形後の生分解性樹脂発泡体を示す斜視図であ
る。
【図9】本発明の製造方法を実施するにあたり使用する
他の製造装置を示す骨格的縦断側面図である。
【図10】同上更に他の製造装置を示す骨格的縦断側面
図である。
【図11】本発明の他の製造方法を実施するにあたり使
用する製造装置の一例を示す骨格的縦断側面図である。
【図12】同上製造方法を段階的に示す説明図である。
【図13】同上製造方法を実施するにあたり使用する他
の製造装置を示す骨格的縦断側面図である。
【図14】本発明の更に他の製造方法を実施するにあた
り使用する製造装置の一例を示す骨格的縦断側面図であ
る。
【図15】同上製造方法を段階的に示す説明図である。
【図16】同上製造方法を実施するにあたり使用する他
の製造装置を示す骨格的縦断側面図である。
【図17】本発明の更に他の製造方法を実施するにあた
り使用する製造装置の一例を示す骨格的縦断側面図であ
る。
【図18】同上製造方法を段階的に示す説明図である。
【図19】狭窄開口に対して設けるノズルの他の実施例
を示す斜視図である。
【図20】シリンダの先端にシャワー部を設けた実施例
を示す斜視図である。
【図21】同上製造方法を実施するにあたり使用する他
の製造装置を示す骨格的縦断側面図である。
【図22】本発明の更に他の製造方法を実施するにあた
り使用する製造装置の一例を示す骨格的縦断側面図であ
る。
【図23】同上製造方法を段階的に示す説明図である。
【図24】成形後の生分解性樹脂発泡体の他の実施の形
態を示す斜視図である。
【図25】同上製造方法を実施するにあたり使用する他
の製造装置を示す骨格的縦断側面図である。
【図26】本発明の生分解性樹脂発泡体の製造装置の一
例を示す骨格的縦断側面図である。
【図27】従来の生分解性樹脂発泡体の製造装置の問題
点を示す骨格的縦断側面図である。
【符号の説明】
1 シリンダ 1a 狭窄開口 2 スクリュー 3 固定側金型 4 可動側金型 5 チャンバ 6 移動台 7 制動機構 10 生分解性樹脂の粒体 11 ホッパ 12 ノズル 13 ヒータ 14 噴射孔 15 シャワー部 21 油圧モータ 22 射出シリンダ 23 ピストン 30 位置決め杆 31 キャビティ 32 挿通孔 40 型締め機構 40A 固定側ダイプレート 40B 可動側ダイプレート 41 コア 42 タイバー 43 タイバー 44 作動機構 45 押圧ロッド 51 可動側分割部 52 固定側分割部 53 減圧室 54 減圧室 55 減圧室 60 移動機構 61 ガイドレール 62 車輪 63 車輪 64 枠板部 65 油圧シリンダ 66 ピストン 71 調整部 100 型回転機構 110 回転伝達機構 120 回転支承体 A 成形型 B 生分解性樹脂発泡体 C コンプレッサ D 通風ダクト f 吸込ファン H 気泡 L0 大気圧開放管 L1 減圧用配管 L3 加圧用配管 L4 減圧開放管 P1 減圧ポンプ R 成形空間 S 注入機 T1 減圧タンク V0 大気圧開放バルブ V1 減圧用バルブ V3 加圧用バルブ V4 減圧開放バルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08J 9/12 C08J 9/12 B29K 105:04 C08L 101:00

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前方に狭窄開口を有するシリンダ内に発
    泡体用生分解性樹脂原料を投入し、生分解性樹脂を前記
    狭窄開口に向けて押送する間に昇温させて流動状とする
    とともに、流動状となった生分解性樹脂をシリンダ内か
    らその前方に位置する通気性の成形型内に押し出すこと
    でシリンダ内の加熱加圧状態から急激に解放し、発泡化
    させ、更に発泡化した生分解性樹脂は、成形型の回転に
    よって生ずる遠心力により成形空間の外周側から充填さ
    れていき、最終的に成形空間に応じた形状に成形される
    ことを特徴とする生分解性樹脂発泡体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記流動状となった生分解性樹脂を成形
    型内に押し出すにあたっては、その押出開始前から、ま
    たは押出開始後において、成形型の置かれる雰囲気を減
    圧または通風雰囲気としたことを特徴とする請求項1記
    載の生分解性樹脂発泡体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記流動状となった生分解性樹脂を成形
    型内に押し出すにあたっては、前記狭窄開口に対して設
    けられるノズルを出発状態において成形型の奥部側に位
    置させておき、生分解性樹脂を押し出しながら前記ノズ
    ルを成形型に対して相対的に後退させるようにしたこと
    を特徴とする請求項1または2記載の生分解性樹脂発泡
    体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記流動状となった生分解性樹脂を成形
    型内に押し出すにあたっては、押し出している間は前記
    成形型内の雰囲気を加圧状態としておき、押出完了後は
    前記成形型内の雰囲気を急激に減圧するようにしたこと
    を特徴とする請求項1または3記載の生分解性樹脂発泡
    体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記流動状となった生分解性樹脂を成形
    型内に押し出すにあたっては、前記狭窄開口から生分解
    性樹脂を霧化状態で成形型内に射出するようにしたこと
    を特徴とする請求項1、2、3または4記載の生分解性
    樹脂発泡体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記発泡体用生分解性樹脂原料は、融点
    が100℃以上の主成分生分解性樹脂と融点が100℃
    以下の低融点生分解性樹脂とを含んで成ることを特徴と
    する請求項1、2、3、4または5記載の生分解性樹脂
    発泡体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記低融点生分解性樹脂は、ポリカプロ
    ラクトンまたはこれを含むものから成ることを特徴とす
    る請求項6記載の生分解性樹脂発泡体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記発泡体用生分解性樹脂原料は、吸湿
    性の微粒子状物質に水分を吸収させ、更にこれを生分解
    性樹脂中に添加したものであることを特徴とする請求項
    1、2、3、4、5、6または7記載の生分解性樹脂発
    泡体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記発泡体用生分解性樹脂原料は、生分
    解性樹脂中に撥水性物質を添加したものであることを特
    徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8記
    載の生分解性樹脂発泡体の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記発泡体用生分解性樹脂原料は、生
    分解性樹脂中に多価アルコール類及びその誘導体を添加
    したものであることを特徴とする請求項1、2、3、
    4、5、6、7、8または9記載の生分解性樹脂発泡体
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記発泡体用生分解性樹脂原料は、生
    分解性樹脂中に糊成分を添加したものであることを特徴
    とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9また
    は10記載の生分解性樹脂発泡体の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記発泡化した生分解性樹脂を成形空
    間に応じた形状に成形するにあたっては、前記成形型内
    に押し出された発泡化した生分解性樹脂の全部を一体形
    状に成形するようにしたことを特徴とする請求項1、
    2、3、4、5、6、7、8、9、10または11記載
    の生分解性樹脂発泡体の製造方法。
  13. 【請求項13】 通気性を有し、なお且つ回転自在に設
    けられる成形型と、この成形型に加熱加圧状態の雰囲気
    中に存する水分が閉じ込められた流動状の生分解性樹脂
    を注入するための注入機とを具えて成ることを特徴とす
    る生分解性樹脂発泡体の製造装置。
  14. 【請求項14】 開閉且つ密閉可能な圧力調整室と、こ
    の圧力調整室内に配置した通気性を有し、なお且つ回転
    自在に設けられる成形型と、前記圧力調整室に連結され
    た急速減圧用の減圧タンクと、前記成形型に加熱加圧状
    態の雰囲気中に存する水分が閉じ込められた流動状の生
    分解性樹脂を注入するための注入機とを具えて成ること
    を特徴とする生分解性樹脂発泡体の製造装置。
  15. 【請求項15】 前記生分解性樹脂発泡体の製造装置に
    は、成形型のみを回転させる、あるいは成形型及び型締
    め機構を回転させる、またはこれらを収容する圧力調整
    室全体を回転させる型回転機構が設けられていることを
    特徴とする請求項13または14記載の生分解性樹脂発
    泡体の製造装置。
  16. 【請求項16】 前記型回転機構は、直列的に配される
    注入機、成形型及び型締め機構を結ぶ一直線上に同軸的
    に設けられ、あるいはこれとは別異の軸上に設けられ、
    回転伝達機構を介して成形型の存する前記軸上に回転伝
    達するように構成されていることを特徴とする請求項1
    5記載の生分解性樹脂発泡体の製造装置。
  17. 【請求項17】 前記生分解性樹脂発泡体の製造装置に
    は、成形型あるいは成形型及び型締め機構、または圧力
    調整室を回転自在に支承する回転支承体が設けられてい
    ることを特徴とする請求項15または16記載の生分解
    性樹脂発泡体の製造装置。
  18. 【請求項18】 前記注入機及び成形型は、上方に注入
    機、その下方に成形型が位置し、発泡体用生分解性樹脂
    原料が垂直方向上方から下方に向けて供給されるように
    構成されていることを特徴とする請求項13、14、1
    5、16または17記載の生分解性樹脂発泡体の製造装
    置。
JP8203247A 1996-07-11 1996-07-11 生分解性樹脂発泡体の製造方法並びにこれに使用する製造装置 Pending JPH1024482A (ja)

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