JP3408840B2 - 生分解性樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

生分解性樹脂発泡体の製造方法

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JP3408840B2 JP19537893A JP19537893A JP3408840B2 JP 3408840 B2 JP3408840 B2 JP 3408840B2 JP 19537893 A JP19537893 A JP 19537893A JP 19537893 A JP19537893 A JP 19537893A JP 3408840 B2 JP3408840 B2 JP 3408840B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、合成樹脂に代って脚光
を浴びてきた生分解性樹脂についての発泡体を製造する
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に普通の合成樹脂は、量産性、成形
性及び耐久性に優れているため多岐の分野に亘って使用
されており、なかでも合成樹脂の発泡体は、軽量で緩衝
性が高いことからガラス製品などの壊れ易い物の保護ケ
ース、運搬物の梱包用緩衝材、飲食用容器更には断熱材
や防音材などに用いられている。ところが合成樹脂品の
廃棄量が莫大になってきたため、種々の問題が提起され
ている。
【0003】即ち合成樹脂は焼却されると大量の有害ガ
スを発生して大気を汚染するし、またそのまま廃棄され
た場合には酸化や光分解が起こらないため長年その形状
を維持し、環境を汚染する。更に合成樹脂は分子間結合
力が非常に強いため、焼却した場合には高熱を発して炉
壁の使用寿命を短かくしてしまう。
【0004】このようなことから最近において生分解性
樹脂が注目されてきており、その開発が盛んに行われて
いる。この生分解性樹脂は、例えばデンプン系高分子を
配合してなるものであって、土中や水中の微生物により
分解されるため、廃棄物対策として非常に有効なもので
ある。
【0005】そして生分解性樹脂の加工技術に関して
は、現在フィルム材の加工技術が実用化されつつある
が、発泡化についても実現できればその用途が非常に広
がり、生分解性樹脂の有利点をより活用することができ
る。ここに樹脂を発泡する技術としては、例えばスチレ
ンビーズを成形型の中に投入し、水蒸気を加えた後減圧
して発泡ビーズ群を得る方法や、押出機の中に例えばス
チレン樹脂を有機溶剤などの発泡剤と共に投入し、樹脂
が押し出されたときの減圧作用により発泡させる方法な
どが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら生分解性
樹脂は通常の合成樹脂と性状が異なるため種々の問題点
がある。その一つの問題点を述べると、シリンダ内で加
熱加圧されて流動状になった生分解性樹脂はノズルから
押し出されて急激に減圧されたときに生分解性樹脂中の
水分が気化膨脹するが、気化膨張した水分はその後降温
して湯気状態で漂ったり、金型や成形体の外郭部分に触
れて結露、水滴化する。一方、生分解性樹脂は吸湿性が
大きくて軟化膨潤し易く、してや、成形体の外郭部分
における発泡した各セルの膜は非常に薄いので、水滴が
触れると直ちに吸水して軟化する。この結果各発泡セル
が潰れて当該個所が収縮し、乾燥して固化する(発泡セ
ルが実質無い固型状となる)ため、所望の緩衝性能が得
られないという問題がある。
【0007】本発明は、このような事情のもとになされ
たものであり、その目的は、生分解性樹脂を発泡するに
あたり、発泡化に寄与した後の水分の再付着に起因する
収縮を抑えて均質な発泡体を得ることのできる生分解性
樹脂発泡体の製造方法を提供することにある。
【0008】本発明の他の目的は、微細に均一に発泡さ
せることのできる生分解性樹脂発泡体の製造方法を提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、前方
に狭窄開口を備えた筒状容器内に実質的に水分と生分解
性樹脂とを投入し、生分解性樹脂を前記狭窄開口に押送
する間に昇温せしめて流動状とした後、流動状の生分解
性樹脂を、規制された成形空間を有する成形型内に射出
し、筒状容器内の加熱加圧状態から急激に解放させるこ
とによって発泡させ、生分解性樹脂を成形空間に応じた
形状の高発泡体に成形する方法であって、 前記成形型は
通気性を有する状態に形成されるものであり、生分解性
樹脂成形型内に射出する以前からまたは射出開始後
に、成形型が置かれる雰囲気を減圧排気するかまたは通
風雰囲気とし、 気化して生分解性樹脂の発泡に寄与した
後、水蒸気化した水分を成形空間から強制的に除去する
ようにし、成形型内における前記水蒸気化した水分に起
因する発泡体の収縮を防止するようにしたことを特徴と
する。
【0010】請求項2の発明は、前記請求項1記載の要
件に加え、前記筒状容器内に投入される生分解性樹脂に
は、予め水分を吸収させ吸湿性の微粒子状物質を添加
し、微細かつ均一な発泡体を得るようにしたことを特徴
とする。
【0011】
【作用】生分解性樹脂は、筒状容器内を狭窄開口まで押
送されるまでの間に例えば軟化点ないし融点付近に昇温
せしめられて流動状になると共に加圧条件下におかれ
る。このとき生分解性樹脂に含有されている水分は、加
圧によって沸点が上昇するため流動状の生分解性樹脂か
ら蒸発することなくその中に閉じ込められた状態となっ
ている。
【0012】そして生分解性樹脂が狭窄開口から成形型
内に射出されると加熱加圧状態から急激に解放されるの
で、今まで生分解性樹脂内に閉じ込められていた水分が
瞬間的に蒸発して発泡し、成形型を通って放散される。
そのとき、水分は気化膨張の後降温して湯気状態で漂っ
たり、金型や成形体の外郭部分に触れて結露、水滴化し
ようとするが、成形型が置かれる雰囲気が減圧排気され
るか通風雰囲気とされるので水分が外部に排除され、こ
の結果発泡セル膜の吸水、軟化が抑えられ、均質な発泡
体が得られる。
【0013】また例えば請求項1の方法を実施するにあ
たり、予め水分を吸収させた吸湿性の微粒子状物質を生
分解性樹脂に添加しておけば、微粒子は樹脂との相溶
性、分散性が水の直接添加よりは高いため、また、発泡
時には微粒子中の水分がその微粒子を起点として発泡し
得るので、結果として微細かつ均一に発泡した発泡体が
得られる。
【0014】
【実施例】以下に本発明の実施例について説明するが、
具体的な製法について述べる前に先ず生分解性樹脂につ
いて説明する。生分解性樹脂とは生物学的作用に基づき
物性を低下する樹脂材料を意味し、これには樹脂自体が
完全に分解するタイプと、分解し難い樹脂とブレンドし
崩壊性を付与したタイプとがある。そして、前者のタイ
プには微生物による生産物、天然高分子の利用品、石油
系原料からの生成品等があり、また、後者のタイプには
デンプンとのブレンド体、脂肪族ポリエステルとのブレ
ンド体等がある。これらの生分解機構としては、リパー
ゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、プロテアーゼ等の酵素に
よる分解、活性汚泥中等の微生物による分解、森林や耕
作地等の自然環境における土壌による分解等、種々の態
様がある。
【0015】更に具体的には、ポリヒドロキシ酪酸及び
その誘導体、プルラン、セルロース−キトサン混合体、
セルロースやアミロースや木粉のエステル化物、ポリエ
ステル−ナイロン共重合体、ポリエステル共重合体、デ
ンプンとポリエチレンとのブレンド体をはじめ、ポリビ
ニルアルコール、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリア
ミド等が挙げられる。これらはおしなべて低融点を有
し、水の存在下に分解促進されるものである。
【0016】そして、本実施例では、生分解性樹脂に日
本合成化学工業株式会社販売のMater−Bi「マタ
ービー」(登録商標)のペレット状のものを用いたが、
これは、イタリアのモンテジソングループに属するNO
VAMONT社の開発に係り、デンプンなどの複数農産
物からの誘導品と変性ポリビニルアルコールとが分子レ
ベルで相互に相手分子中に潜り込み、水素結合により結
ばれてなる、熱可塑性の生分解性ポリマーとされている
ものである。また、水を吸収して膨潤することにより生
分解促進され、微生物生存の環境下で紙と同等の生分解
性を示すとされている。
【0017】本発明ではこのような生分解性樹脂を実質
的な水分の存在下で後述のシリンダ等より成形空間に射
して発泡させるのであるが、本発明の実施例では、予
め吸湿性の微粒子状物質例えばタルク(滑石)やシリカ
などの粉末に水を吸収させておくと共に、フィルムや無
垢成形品用の一般グレードの生分解性樹脂中に前記粉末
を混合分散させてペレット化し、更にこれを乾燥して含
水率調整した発泡専用のグレード品を用いるようにして
いる。このように発泡専用に調整された生分解性樹脂を
用いれば便利に安定して微細で均一な発泡を行うことが
できるが、微粒子物質を生分解性樹脂内に分散させるた
めには、これに限らず、水を吸収した微粒子と生分解性
樹脂とを独立に射出成形機のホッパ内に投入してもよい
し、水と微粒子と生分解性樹脂とのそれぞれを独立に投
入してもよく、あるいはニーダを介してシリンダ内に供
給するようにしてもよい。
【0018】次に本発明の実施例で用いる製造装置につ
いて図1を参照しながら述べると、1は筒状容器に相当
するシリンダであり、後端部上方には成形材料投入用の
ホッパ11が設けられている。このシリンダ1の先端部
には、先端が狭窄開口をなすノズル12が形成されると
共に、シリンダ1の周囲には加熱用のヒータ13が配置
されている。
【0019】前記シリンダ1内には、前後方向に伸びる
スクリュー2がその内壁に近接して配設されており、こ
のスクリュー2の後端はシリンダ1の後端開口部より後
方側に延び出して、スクリュー2を回転させるための油
圧モータ21に接続されている。更に油圧モータ21の
後部には、射出シリンダ22内に摺動自在に配置された
ピストン23が取り付けられており、従って油圧により
ピストン23、油圧モータ21及びスクリュー2が一体
となって前後方向に移動すると共に、スクリュー2は油
圧モータ21により回転する。
【0020】こうしていわゆるインラインスクリュー式
射出成形機が構成され、この成形機の先端には、通気性
の成形型Aが配置されており、この成形型Aは、ノズル
12の開口(狭窄開口)に連通するキャビティ31が形
成された固定側金型3と、コア41が形成された可動型
金型4とから構成されている。この実施例ではキャビテ
ィ31は略三角錐状をなし、またコア41はキャビティ
31の形状より成形品の肉厚分だけ小さい略三角錐状を
なしており、両金型3、4を型締めしたときに後述の図
3に示す発泡品が得られるように互に直交する三面構
造空間が形成されるようになっている。
【0021】そして前記成形型Aには型締めの機構が組
み合わせて設けられ、この型締め機構40は、例えば可
動側金型4を固定側金型3と対向しつつ接離するように
ガイドするタイバー42、43や可動側金型4を接離動
作させるための作動機構44などから構成される。
【0022】前記成形型Aは、ほぼ全体において内外を
連通する無数の網組織状の孔を有する多孔質材から成っ
ている。この多孔質材としては、発泡金属がある他、空
隙を形成し得る充填材を添加して焼結成形した金属又は
セラミックス等の焼結物、更には金網、バンチングメタ
ル等をプレス賦形しそれらを積層してなるもの等を使用
することができ、簡易な構造としては、枚板のパンチ
ングメタルを所定の形状に成形したものも使用できる。
ここで多孔質材の孔が大きいと、蒸気の排出効率及び通
風効率が良いが、あまり大きくすると発泡後の成形体の
表面に孔による凸凹が強く出て表面が荒れる。このため
多孔質材の孔の大きさは、成形体の用途に応じた表面の
平滑性が得られる範囲内であって、通気抵抗があまり大
きくならない範囲に設定され、好適なものとしては孔径
の設定が容易でかつ構造が簡易であることなどからパン
チングメタルを用いたものを挙げることができる。
【0023】前記成形型A及び型締め機構40は、気密
構造のチャンバ5内に配置されており、このチャンバ5
は、一面の壁部が固定側金型3の背面に接合されている
と共に、生分解性樹脂の成形体を取り出すためのドア
(図示せず)が設けられている。前記チャンバ5にはバ
ルブV1及び減圧ポンプ61を備えた減圧排気管6が接
続されると共に、チャンバ5内を減圧状態から大気圧に
開放させるためにバルブV2を備えた大気開放管62が
接続されている。
【0024】以上のような構成の製造装置を用いて本発
明の製造方法を説明すると、先ず成形型Aを型締めして
おくと共に、バルブV1を閉じてチャンバ5内を大気圧
状態にしておき、図1に示すようにホッパ11内に生分
解性樹脂の粒体10を供給し、スクリュー2によりシリ
ンダ1内を前方に押送せしめる。生分解性樹脂の粒体1
0は、押送される間に、スクリュー2の回転に伴う剪断
力及びヒータ13によるシリンダ1の内壁からの加熱に
より軟化点または融点程度の温度に昇温され、スクリュ
ー2の先端側におけるシリンダ1の内部空間に流動状に
なって溜まる。
【0025】このとき当該内部空間は加熱加圧状態とな
っているため、生分解性樹脂の粒体10に含まれていた
水分は、流動状の生分解性樹脂から蒸発することなくそ
の中に閉じ込められた状態となっている。続いてスクリ
ュー2の回転を止め、射出シリンダ22内のピストン2
3を稼働して図2(a)に示すようにスクリュー2を前
進させ、流動状の生分解性樹脂をノズル12から成形型
A内の成形空間(キャビティ31内)に一気に注入す
る。
【0026】これによって、生分解性樹脂は加熱、加圧
状態から急激に大気圧下にさらされることとなるので、
これに閉じ込められていた水分が瞬間的に蒸発して発泡
する。生分解性樹脂内にはこの水蒸気の膨張する力が働
くが、その最外郭は成形型Aに接しているためキャビテ
ィ31の形状に規制され、こうして例えば図3に示すよ
うに全体が一つに成形された生分解性樹脂の発泡体Bが
得られる。
【0027】この際、成形型A内外付近において、水分
は気化膨張の後降温して湯気状態で漂ったり、金型や成
形体の外郭部分に触れて結露、水滴化しようとする。そ
こで成形型A内へ生分解性樹脂が射出された直後に図2
(b)に示すようにバルブV1を開いて減圧ポンプ61
によりチャンバ5内を例えばゲージ圧力にて750mm
Hg程度にまで減圧排気する。この場合水蒸気の一部は
水滴化する前に減圧排気管6内に吸い込まれ、また成形
型Aや生分解性樹脂の外郭において結露、水滴化しかか
った水分も減圧により気化、除去されることとなる。
【0028】所定時間減圧排気を行った後バルブV1を
閉じ、バルブV2を開いて大気解放管62より空気をチ
ャンバ5内に導入してこの中を大気圧に戻した後図2
(c)に示すようにスクリュー2を回転させながら後退
させ、これにより再度流動状となった生分解性樹脂がス
クリュー2の先端側におけるシリンダ1の内部空間に溜
まり始め、次の射出に備える。この間に成形型A内のキ
ャビティ31内では、成形後の生分解性樹脂発泡体の冷
却固化も完了するので成形型Aを型開きして発泡体Bを
取り出し、再び型締めして次の操作を行う。
【0029】ここで成形型Aは少なくともその一部を連
続多孔質のもので構成して通気性を得るようにしてい
るため、膨張の際発生するガス圧を適宜金型外に逃す
ことができて、発泡した生分解性樹脂を自らのガス圧で
押し潰すことがないことは勿論、生分解性樹脂の射出
了直後にチャンバ5内を減圧排気して既述のように発泡
化に寄与した後の水分を強制的に取り除いて水分との接
触を抑えているため、一旦発泡した発泡セルが潰れるこ
とがなく、従って全体として均一に発泡した成形体が得
られ、均質な緩衝材が得られる。
【0030】またこの実施例では吸湿性の微粒子状物質
に例えば予め水分を吸収させ、これを先述のように生分
解性樹脂中に分散して得た発泡グレ−ドを用いているた
め、成形機から射出される流動状の生分解性樹脂中に
は、水分が微粒子に担持されて高い均一性で分散し、水
分はこの微粒子を起点として発泡するので微細で均一に
発泡させることができる。
【0031】以上において、本発明を実施する装置とし
ては例えば図4に示すように、チャンバ5を可動側分割
部51及び固定側分割部52に分割して、可動側分割部
51が可動側金型4と一体になって可動できるように構
成してもよく、このように構成すれば、成形型A及びチ
ャンバ5を同時に開閉できるので生分解性樹脂の発泡体
Bの取り出しが容易である。
【0032】ここで本発明の効果を確認するために次の
ような実験を行った。 〈実験内容〉 ノズル12より生分解性樹脂の射出が開始されてから減
圧排気を開始するまでの時間(開放経過時間)と、減圧
排気を行った時間(減圧時間)とを種々変えて、得られ
た成形体を観察した。 〈実験条件〉 射出成形機としては日精樹脂工業(株)製の型番PS6
0E12ASEを用いた。この射出成形機の仕様は、ス
クリュー径:36mm、射出速度:12.3cm/se
c、射出圧力:1825kg/cm2、スクリュー回転
数:高トルク0〜190rpm、低トルク0〜250r
pm、背圧60kg/cm2であり、実験のときの射出
条件は、射出速度:98%、射出圧力:98%、スクリ
ュー回転数90%、背圧30%、計量値40mmとし
た。
【0033】また成形型としては、約1.2mm程度の
孔が全面に穿設された板1.5mmのパンチングメタ
ルを箱形に溶接等で成形したもの(100×100×5
0mm)を用い、また、チャンバ5は図4に示す方式に
て容積50lのものを用い、ゲ−ジ圧にて750mmH
gに減圧した。 〈実験結果〉 結果は表1に示す通りである。
【0034】
【表1】 状態の記号については、×:収縮が激しい、△:空隙が
多い、○:収縮が少ない、◎:収縮がほとんどない、を
夫々表わしている。減圧時間0(2段目)の実験は、減
圧排気を行わずチャンバ5内を大気圧のままにしたもの
である。この結果からわかるように減圧排気を行うこと
によって生分解性樹脂の収縮が緩和されることが理解さ
れる。
【0035】本発明では、チャンバ内の減圧排気のタイ
ミングは、生分解性樹脂がノズルから射出される前、
途中、射出完了後のいずれであってもよく、また成形
型を取り巻く雰囲気を減圧排気する代りに、例えば図5
に示すように成形型Aを通風ダクト7内に配置し、この
中に設けられた例えば吸い込みファン71によりダクト
7内を通風し、これにより成形型A内の水分を排除して
水分との接触を抑えるようにしてもよい。
【0036】ここで射出成形機のノズルは開放されてお
り、またシリンダの原料供給側のホッパも開放されてお
り、原料や溶融樹脂により有る程度の密閉度が確保され
るものの、シリンダ内の密閉性が低いと加圧が不十分に
なり、生分解性樹脂の軟化点ないし融点と加圧下の水の
沸点との兼ね合いで射出前シリンダ内にて一部の水分が
気化し、発泡するおそれがあり、またノズルから鼻垂れ
状態で発泡することもある。そこで本発明では、ノズル
をバルブ付きのものにしたり、原料供給部側のホッパを
密閉したり、さらには原料供給口にロータリバルブを付
設するなどして密閉性を高めることが好ましい。また、
例えばポリエチレングリコールなどの不揮発性の溶質を
水に溶かし、この水を添加するようにして、これにより
水の沸点を上昇させ射出前シリンダ内発泡を抑制するよ
うにしてもよい。また吸湿性の微粒子状物質の性状は丸
形の粉末に限られるものではなく、細片状や棒状のもの
であってもよい。
【0037】なお本発明では、必ずしも生分解性樹脂に
吸湿性の微粒子物質を添加しなくともよく、この場合は
予め生分解性樹脂に含水させておいてもよいし、大気下
における平衡水分を含む生分解性樹脂を用いてもよく、
あるいは生分解性樹脂と水とをそれぞれ独立にホッパ内
に投入するようにしてもよい。また本発明により得られ
る生分解性樹脂発泡体は、緩衝材としての用途に限定さ
れるものではなく、断熱材や防音材などに用いるもので
あってもよい。
【0038】
【発明の効果】以上のように請求項1の発明によれば、
気化膨張して発泡化に寄与した後の水分を強制的に排除
しているため、一旦発泡して得られた発泡セルの潰れが
防止でき、この結果均質な発泡体が得られ、従来の合成
樹脂の発泡体の代替品として使用することによりゴミ公
害などの環境汚染の軽減に寄与することができる。
【0039】また請求項2の発明によれば、吸湿性の微
粒子状物質に水分を担持させて生分解性樹脂中に分散さ
せているため、微細で均一に発泡し、所望の緩衝性能が
得られるなどの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の一実施例に用いられる製造装置の
一例を示す概略縦断面図である。
【図2】インラインスクリュー式射出成形機を用いて本
発明方法の一実施例を実施する様子を示す概略縦断面図
である。
【図3】本発明方法の一実施例で得られた生分解性樹脂
の発泡体の一例を示す斜視図である。
【図4】本発明方法を実施するための他の製造装置の要
部を示す概略縦断面図である。
【図5】本発明方法を実施するための他の製造装置の要
部を示す概略縦断面図である。
【符号の説明】
1 筒状容器 2 スクリュー 3 固定側金型 4 可動側金型 5 チャンバ 6 減圧排気管 ダクト 10 生分解性樹脂の粒体11 ホッパ 12 ノズル 13 ヒータ 21 油圧モータ 22 射出シリンダ 23 ピストン 31 キャビティ40 型締め機構 41 コア42 タイバー 43 タイバー 44 作動機構 51 可動側分割部 52 固定側分割部 61 減圧ポンプ62 大気開放管 71 吸い込みファン A 成形型 発泡体 V1 バルブ V2 バルブ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前方に狭窄開口を備えた筒状容器内に実
    質的に水分と生分解性樹脂とを投入し、生分解性樹脂を
    前記狭窄開口に押送する間に昇温せしめて流動状とし
    、流動状の生分解性樹脂を、規制された成形空間を有
    する成形型内に射出し、筒状容器内の加熱加圧状態から
    急激に解放させることによって発泡させ、生分解性樹脂
    を成形空間に応じた形状の高発泡体に成形する方法であ
    って、 前記成形型は 通気性を有する状態に形成されるものであ
    り、生分解性樹脂成形型内に射出する以前からまたは
    射出開始後に、成形型が置かれる雰囲気を減圧排気する
    かまたは通風雰囲気とし、 気化して生分解性樹脂の発泡に寄与した後、水蒸気化し
    た水分を成形空間から強制的に除去するようにし、成形
    型内における前記水蒸気化した水分に起因する発泡体の
    収縮を防止するよう にしたことを特徴とする生分解性樹
    脂発泡体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記筒状容器内に投入される生分解性樹
    脂には、予め水分を吸収させ吸湿性の微粒子状物質を
    添加し、微細かつ均一な発泡体を得るようにした ことを特徴とす
    請求項1記載の生分解性樹脂発泡体の製造方法。
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