JPH10241549A - 電界放出型陰極 - Google Patents

電界放出型陰極

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JPH10241549A
JPH10241549A JP6231897A JP6231897A JPH10241549A JP H10241549 A JPH10241549 A JP H10241549A JP 6231897 A JP6231897 A JP 6231897A JP 6231897 A JP6231897 A JP 6231897A JP H10241549 A JPH10241549 A JP H10241549A
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JP
Japan
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type
type diamond
electron emission
layer
diamond
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JP6231897A
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English (en)
Inventor
Fumio Takamura
文雄 高村
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New Japan Radio Co Ltd
Original Assignee
New Japan Radio Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 通常のCVD法により形成したP型ダイアモ
ンド薄膜を用いて、低電界で電子放出を得ることができ
る電子放出型陰極を提供する。 【解決手段】 P型ダイアモンドを電子放出層とし、電
子注入手段から注入された電子が、P型ダイアモンドの
禁制帯の幅よりわずかに大きい、あるいはわずかに小さ
い禁制帯の幅を有するN型半導体を介して、P型ダイア
モンドに注入されるように構成する。電子注入手段から
N型半導体の伝導帯に供給された電子は、さらにP型半
導体の伝導帯に供給される。P型ダイアモンドの伝導帯
のエネルギー準位は、真空の準位より大きいので、低い
電界を印加するだけでP型ダイアモンド表面から電子が
放出されるようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出層に電界
を印加し、電子を放出させる電界放出型陰極(冷陰極)
に関し、特に、低電界で電子を放出させることができる
電界放出型陰極に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来広く使用されていた熱電子による熱
陰極に較べて、発熱のためにフィラメント等が不要で、
高い電流密度を得ることができ、放電電子の速度分散が
少ない等の理由から、電界放射による冷陰極が提案され
ている(J.A.P.47,p5248-5263,1976)。この種の電界放
出型陰極の構造を図3に示す。図において1は単結晶シ
リコン基板からなる導電性基板、2は二酸化シリコン等
からなる絶縁膜、3はエミッタ電極、4はゲート電極、
5はアノード電極、6は電圧可変電源、7は電源であ
る。このような構造の電界放出型陰極は、以下のような
製造工程により形成される。まず、導電性基板1表面に
絶縁膜2とゲート電極4となる金属膜を積層し、通常の
ホトリソグラフ法より、円形の開口を形成する。その
後、この開口内に、リフトオフ法により、円錐状のエミ
ッタ電極3を形成する。通常、このような構造のエミッ
タ電極が導電性基板1上に複数形成され、電界放出型陰
極を構成する。
【0003】エミッタ電極3は、モリブデン等の仕事関
数の小さい金属からなり、その表面が電子放出層を構成
する。エミッタ電極3を導電性基板1を介して電源7の
負電極に接続し、アノード電極5を正電極に接続する。
また、エミッタ電極3を導電性基板1を介して電圧可変
電源6の負電極に接続し、ゲート電極4を正電極に接続
する。エミッタ、ゲート電極間に約100Vの電圧が印
加されると、エミッタ電極3表面に強電界が加わる。こ
の電界が2〜5×107V/cmを越えたとき、エミッ
タ電極3表面から電子が放出する。放出された電子は、
アノード電極5に向かって真空中を走行する。
【0004】エミッタ電極3をモリブデン等の金属で構
成する場合、電子が放出するために必要な電界が2〜5
×107V/cmと比較的高いため、エミッタ電極3先
端に電界が集中するように、図3に示すようにエミッタ
電極3先端を尖鋭状に加工する必要がある。このような
形状のエミッタ電極3を形成する方法は、リフトオフ法
が最も簡便な方法である。このリフトオフ法は、導電性
基板1に対して垂直方向から金属を蒸着する方法である
ので、エミッタ電極3を形成する導電性基板1の形状
は、平板形状に限られていた。
【0005】さらに、導電性基板1を平板状にしても、
エミッタ電極を構成する金属の蒸着条件によって、エミ
ッタ電極の構造が変化し、再現性良くエミッタ電極を形
成することができなかった。そこで、エミッタ電極形状
を尖鋭状に加工する必要をなくすため、ダイアモンドを
電子放出層として、電子が放出する電界を小さくする方
法が提案されている(Electronics Letters,p74,199
5)。図4に、ダイアモンドにリンと硼素を添加したと
き、それぞれの電子放出特性を示す。リンを添加した場
合(N型の導電型を示す)、硼素を添加した場合(P型
の導電型を示す)と比較して電界強度が小さい場合でも
高い電流密度を得ることができることがわかる。図に示
すように、リンを添加したN型ダイアモンドでは、1.
3×105V/cmの電界強度で1mA/cm2の電流密
度が得られることがわかる。このような電子放出特性を
示すダイアモンドは、図3に示すような尖鋭な形状を必
要としないことが期待される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ダイア
モンドの形成方法として最も広く利用されているプラズ
マCVD法によってダイアモンド膜を形成し、実効的な
仕事関数を評価してみると、1.00〜1.87eVの
障壁が存在し、必ずしも低電界で電子の放出を得ること
ができていない。これは、プラズマCVD法では、室温
で活性なN型ダイアモンドを形成することができず、電
子放射特性の劣るP型ダイアモンドが形成されてしまう
ためと考えられる。P型ダイアモンドでは、電子放出が
伝導帯電子によらず、禁制帯内にできたサブバンドに起
因するため、高い障壁が存在することが知られている。
【0007】そのため、電子放出層としてプラズマCV
D法で形成したP型ダイアモンドを用いた場合でも、あ
る程度尖鋭な形状を形成する必要があった。
【0008】しかし、プラズマCVD法により形成され
るP型ダイアモンド薄膜を、図3に示す形状に加工する
ことは難しく、比較的仕事関数の小さい(111)面を
有するダイアモンド結晶を選択的に成長させる方法を採
用せざるを得なかった。
【0009】このような結晶の成長面を制御する方法
は、非常に難しく再現性良く、成長させることはできな
かった。本発明は、通常のプラズマCVD法により形成
したP型ダイアモンド薄膜を用いて、尖鋭な形状の加工
を必要とせず、低電界で電子放出を得ることができる電
子放出型陰極を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため、ダイアモンドからなる電子放出層と、該電子
放出層に電子を注入する電子注入手段と、前記電子放出
層表面から真空中に電子を引出すための電界を前記電子
放出層表面に発生させる電圧印加手段とを備えた電界放
出型陰極において、前記電子放出層はP型ダイアモンド
からなり、前記電子注入手段から注入された電子が、N
型半導体を介して前記P型ダイアモンドに注入されるこ
とを特徴とするものであり、N型半導体層を負電極に、
P型ダイアモンドを正電極に接続し、電位を印加する
と、N型半導体層からP型ダイアモンドの伝導帯に電子
が供給され、P型ダイアモンド表面から電子が放出され
る。
【0011】N型半導体をP型ダイアモンドの禁制帯の
幅よりわずかに大きいか、あるいはわずかに小さい半導
体とすることで、N型半導体とP型ダイアモンドの接合
面の伝導帯の障壁を小さくすることができる。これによ
り、N型半導体の伝導帯からP型ダイアモンドの伝導帯
への電子の注入が効率よく行われるように構成したもの
である。
【0012】特にN型窒化硼素、N型窒化アルミニウ
ム、N型硫化亜鉛のいずれかを選択することにより、N
型半導体とP型ダイアモンドの接合面の伝導帯の障壁を
小さくすることができ、N型半導体の伝導帯からP型ダ
イアモンドの伝導帯への電子の注入が効率よく行われ
る。
【0013】また、前記P型ダイアモンドは、前記N型
半導体上に形成された平板状の膜であればよく、尖鋭状
の構造を採らなくても、低電界で電子を放出させること
ができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。図1に本発明の電界放出型陰極を示す。図
において、1は導電性基板、2は絶縁膜、4はゲート電
極、5はアノード電極、6は電圧可変電源、7は電源、
8はN型半導体層、9はP型ダイアモンド層である。
【0015】モリブデン等の金属あるいは単結晶シリコ
ン基板等からなる導電性基板1上に、立方晶窒化硼素か
らなるN型半導体層8を形成する。立方晶窒化硼素の形
成は、六法晶窒化硼素をターゲットとして、2電極バイ
アススッパッタ法により形成する。形成されたN型半導
体8の不純物濃度、厚さは、導電性基板1から注入され
た電子を効果的にP型ダイアモンド層に注入するように
適宜設定する。
【0016】N型半導体層8上に、P型ダイアモンド層
9を形成する。P型ダイアモンド層は、一例として、水
素99.5%、メタン0.5%の混合ガスを原料とし、
不純物源としてジボランを原料ガスに対して所定の割合
で混合する。マイクロ波出力500W、基板温度を90
0℃とするし、所定の時間成長を行うと、N型半導体膜
8上に、不純物濃度が1×1019atom/cm3、厚
さが1ミクロンのP型ダイアモンド層9が成長する。
【0017】ここで、P型ダイアモンド層9は、ジボラ
ンとメタンの流量比をジボラン/メタン=100〜10
00ppmの範囲とし、所定の時間成長を行うようにコ
ントロールし、不純物濃度が1×1017〜1×1019a
tom/cm3、厚さが、0.5〜5.0ミクロンの範
囲内で適宜選択するのが好ましい。不純物濃度と膜厚
は、良好な電子放射特性を得るため、少なくとも均一な
膜を形成することができ、かつ抵抗値の小さいダイアモ
ンド薄膜を形成することができるように選択される。厚
さが0.5ミクロン以下では均一な膜が形成することが
できず、5.0ミクロンを越えると不純物濃度を高くし
ても高抵抗化し、好ましくない。また、不純物濃度が1
×1017atom/cm3以下では膜厚を厚くしても高
抵抗化し、1×1019atom/cm3以上では不純物
を安定に添加することができず、好ましくない。
【0018】P型ダイアモンド層9上に絶縁膜2を介し
てゲート電極4となる金属を形成し、通常のホトリソグ
ラフ法によりパターニングを行い、ゲート電極4を形成
するとともに、P型ダイアモンド層9を露出させる。P
型ダイアモンド層9をN型半導体層8および導電性基板
1を介して電源7の負電極に接続し、アノード電極5を
正電極に接続する。また、P型ダイアモンド層9をN型
半導体層8および導電性基板1を介して電圧可変電源6
の負電極に接続し、ゲート電極4を正電極に接続する。
【0019】不純物濃度が1×1019atom/cm
3、厚さが1ミクロンのP型ダイアモンド層を電子放出
膜とし、真空状態(1×10-7Torr以下)で、アノ
ード電極5との間隔を0.5mm、P型ダイアモンド層
9(カソード)、ゲート電極4間電圧50V(電界強度
1×102V/cm)、P型ダイアモンド層9(カソー
ド)、アノード電極5間電圧100Vの条件で電子放出
を測定したところ、0.8A/cm2の電流を得ること
ができた。
【0020】図4に示すように、比較的電子放出特性の
優れたN型ダイアモンドについて、1.3×105V/
cmの電界強度で1mA/cm2の電子放出特性であっ
たのに対し、本発明の電界放出型陰極では、2×103
V/cmの電界強度で0.8A/cm2の電流が得ら
れ、本発明の電流特性が優れていることがわかる。ま
た、CVD法で形成したP型ダイアモンドは、N型ダイ
アモンドに較べて電子放出特性が劣るから、P型ダイア
モンドで形成した本発明の電界放出型陰極の電子放出特
性が優れていることは明らかである。
【0021】以上のように本発明の電界放出型陰極は、
尖鋭な形状を形成することなく、高い電子放出特性を得
ることができた。尖鋭な形状を必要としないから、導電
性膜の形状を様々に変形することができる。例えば、導
電性基板1を金属棒で形成し、その表面にN型半導体層
およびP型ダイアモンド層を形成すれば、円周方向に電
子放出する電界放出型陰極を形成することができ、マク
ネトロン用陰極として利用することも可能となる。
【0022】以上の説明は、N型半導体膜として禁制帯
の幅が約6.4eVの立方晶窒化硼素膜について説明し
たが、これに限定されるものではない。図2にバンド図
を示すように、P型ダイアモンドに較べて禁制帯の幅が
大きく変わらないN型半導体を選択すればよい。P型ダ
イアモンドに較べてN型半導体の禁制帯の幅が大きすぎ
る場合、PN接合部の伝導帯に電子が通過できない障壁
が生じ、好ましくない。また、N型半導体の禁止帯の幅
が小さすぎる場合でも、同様に障壁が生じ、好ましくな
いからである。経験的には、P型ダイアモンドの禁制帯
の幅に較べて、1.5eVより大きくない、あるいは小
さくないN型半導体を選択すると、良好な電子放出特性
が得られる。例えば、P型ダイアモンドの禁制帯の幅
は、5.5eVであるので、N型半導体としては、禁制
帯の幅が6.0eVの窒化アルミニウム、4.5eVの
硫化亜鉛等が選択される。
【0023】いずれのN型半導体においても、N型半導
体を介して電子をP型ダイアモンドに注入する構成とす
ることで、N型半導体とP型ダイアモンドの接合面に形
成される伝導帯の障壁を小さくすることができ、P型ダ
イアモンドの伝導帯に供給された電子が、真空中に放出
される。
【0024】P型ダイアモンドの伝導帯のエネルギー準
位は、真空のエネルギー準位より小さいから、低い電界
を印加するだけでP型ダイアモンド表面から電子が放出
される。
【0025】なお、窒化アルミニウムは、アルミニウ
ム、アンモニアの分子線を照射して、基板上に堆積させ
る方法や、窒素とアルゴンの混合ガスによる高周波イオ
ンプレーティング法によって形成することができる。ま
た、硫化亜鉛も同様に、硫化亜鉛の分子線を照射して、
基板上に堆積させる方法によって形成することができ
る。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように本発明の電子放出型
陰極は、P型ダイアモンド層を電子放出層として用いる
ことにより、高い電子放出特性を得ることができた。こ
のP型ダイアモンド膜は、尖鋭な形状に加工する必要が
ないので、様々な形状の陰極を容易に形成することがで
き、適用範囲が広くなるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電界放出型陰極の構造を示す説明図で
ある。
【図2】本発明の電界放出型陰極のエネルギーバンド図
である。
【図3】従来の電界放出型陰極の構造を示す説明図であ
る。
【図4】ダイアモンドの電子放出特性を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1 導電性基板 2 絶縁膜 3 エミッタ電極 4 ゲート電極 5 アノード電極 6 電圧可変電源 7 電源 8 N型半導体層 9 P型ダイアモンド層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイアモンドからなる電子放出層と、該
    電子放出層に電子を注入する電子注入手段と、前記電子
    放出層表面から真空中に電子を引出すための電界を前記
    電子放出層表面に発生させる電圧印加手段とを備えた電
    界放出型陰極において、前記電子放出層はP型ダイアモ
    ンドからなり、前記電子注入手段から注入された電子
    が、N型半導体を介して前記P型ダイアモンドに注入さ
    れることを特徴とする電界放出型陰極。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の電界放出型陰極におい
    て、前記N型半導体は、窒化硼素、窒化アルミニウム、
    硫化亜鉛のいずれかであることを特徴とする電界放出型
    陰極。
  3. 【請求項3】 請求項1乃至2記載の電界放出型陰極に
    おいて、前記P型ダイアモンドは、前記N型半導体上に
    形成された平板状の膜であることを特徴とする電界放出
    型陰極。
JP6231897A 1997-02-27 1997-02-27 電界放出型陰極 Pending JPH10241549A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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