JPH1023774A - モータの速度変動測定装置及びモータの回転制御装置並びに非真円体の研削装置 - Google Patents

モータの速度変動測定装置及びモータの回転制御装置並びに非真円体の研削装置

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JPH1023774A
JPH1023774A JP8169466A JP16946696A JPH1023774A JP H1023774 A JPH1023774 A JP H1023774A JP 8169466 A JP8169466 A JP 8169466A JP 16946696 A JP16946696 A JP 16946696A JP H1023774 A JPH1023774 A JP H1023774A
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JP
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motor
data
rotation
speed
speed fluctuation
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JP8169466A
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English (en)
Inventor
Takanori Yoneda
隆則 米田
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Nippei Toyama Corp
Original Assignee
Nippei Toyama Corp
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Publication date
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  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)
  • Numerical Control (AREA)
  • Control Of Electric Motors In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 モータで発生するトルクリップルに起因した
速度変動を正確に捉えることができるようにする。 【解決手段】 モータを一定の指令速度で回転させる。
モータが指令通りに回転されたときの理想データと、モ
ータの実際の回転データとを、それぞれ起点がモータの
特定の原点角度から所定角度ずつずれた複数のデータと
して作成する。各データに窓関数を乗じ、乗算により得
られたデータをフーリエ変換して周波数成分に分解す
る。フーリエ変換後の対応する各理想データと各実回転
データとに基づき、複数の伝達関数を求める。モータに
て周期的に発生する速度変動のモータ1回転中における
周期を予め所定の周波数として表し、速度変動の波の起
点を求めるために、前記伝達関数のうちで所定の周波数
でのゲインが最大のものを選択する。予め算出された所
定の周波数での基底波高値と、前記選択された最大のゲ
インとに基づき、モータの速度変動の波の大きさ(誤差
量)を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サーボモータ等の
回転速度変動を測定するための速度変動測定装置、及び
その測定結果に基づきモータを回転制御するモータの回
転制御装置、並びに内燃機関の動弁機構に用いるカム等
の非真円体を研削する非真円体の研削装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来より、被加工物を装着した主軸を回
転させながら、その主軸と直交する方向へ砥石を装着し
た砥石台を相対移動させて、被加工物の外周を非真円形
状に研削する装置として、例えば車両用エンジンにおけ
るカムを研削するためのカム研削盤が知られている。
【0003】この種のカム研削盤においては、所定のカ
ム形状に応じて、主軸の回転角度と回転速度との関係を
設定した速度制御データ及び主軸の回転角度と砥石台の
目標移動位置との関係を設定した位置制御データが、予
め数値制御装置(以下、NC装置という)に記憶されて
いる。そして、それら制御データに基づいて、NC装置
により、主軸を回転させるための主軸用モータ及び砥石
台を移動させるための移動用モータが回転制御される。
その結果、主軸がその回転角度に応じた速度で回転され
るとともに、砥石台が主軸の回転角度に応じて進退移動
されて、主軸に装着された被加工物としてのカムが所定
のカム形状に研削される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、主軸用モー
タに通常使用されるサーボモータは、ステータに対して
ロータが1回転する間に、特定の回転角度での発生トル
クが所定のトルクより若干落ち込む所謂トルクリップル
が発生する。そして、そのトルクリップルが発生する回
転角度においては、モータが指令速度で回転されずにそ
の回転速度が若干落ち込み、モータの回転速度が周期的
に変動する。その結果、カムの回転にふらつきが生じ
る。
【0005】図24は、主軸の回転のために使用される
サーボモータを一定速度N(rpm) で回転するように制御
したときの、モータに対する速度指令データと、モータ
の回転角度に対する実際の回転速度の変化の状態とを例
示するものである。尚、この図24には、モータの回転
角度に対するトルクリップルも併せて例示してある。同
図は、トルクリップルにより、モータの実際の回転速度
が指令データどおりにならずに、周期的に変動すること
を示している。この変動は、カム研削盤においては、主
軸の回転角度と砥石台の移動位置との同期のズレや主軸
の振動となって現れ、この同期ズレや振動が原因で加工
精度の低下を招くという問題が生じていた。
【0006】このような加工精度の低下を防止するため
には、モータのトルクリップルに起因する回転速度変動
を抑制する必要がある。そして、その回転速度変動を抑
制するためには、その回転速度変動がモータのどの回転
角度でどの程度の大きさで発生するのかを正確に把握し
ておく必要がある。従来では、モータの回転速度変動を
ワウフラッタメータ等により測定するのが一般的であっ
た。しかし、モータの回転速度変動はトルクリップル以
外にも様々な要因が絡み合って発生するものであるた
め、単にワウフラッタメータによる測定だけでは、モー
タの回転速度変動がどのような要因によって発生してい
るのかを特定することができなかった。このため、モー
タの回転速度変動を抑制するための手段を講じることが
困難であった。
【0007】本発明は、上記問題点を解消するためにな
されたものである。その目的は、モータの回転に伴い発
生するトルクリップルに起因した速度変動を正確に捉え
ることができるモータの速度変動測定装置を提供するこ
とにある。
【0008】本発明のその他の目的は、モータの回転速
度変動を抑制して、モータを指令データ通りに円滑に回
転させることができるモータの回転制御装置を提供する
ことにある。
【0009】本発明のその他の目的は、主軸回転用モー
タの回転に伴い発生するトルクリップルに起因した速度
変動を正確に捉えることにより、主軸の回転速度変動を
抑制して、主軸を指令データ通りに円滑に回転させるこ
とができ、被加工物を高精度に加工することができる非
真円体の研削装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1のモータの速度変動測定装置の発明で
は、モータを予め設定された指令データに基づき回転さ
せたときの実際の回転データを検出する実回転データ検
出手段と、前記検出手段より得られた実回転データと前
記指令データとに基づき、モータの回転に伴い同モータ
で周期的に発生する速度変動の位置を算出する第1算出
手段と、前記検出手段より得られた実回転データと前記
指令データとに基づき、モータの回転に伴い同モータで
周期的に発生する速度変動の大きさを算出する第2算出
手段とを備えたものである。
【0011】請求項2のモータの回転制御装置の発明で
は、モータを予め設定された指令データに基づき回転さ
せたときの実際の回転データを検出する実回転データ検
出手段と、前記検出手段より得られた実回転データと前
記指令データとに基づき、モータの回転に伴い同モータ
で周期的に発生する速度変動の位置を算出する第1算出
手段と、前記検出手段より得られた実回転データと前記
指令データとに基づき、モータの回転に伴い同モータで
周期的に発生する速度変動の大きさを算出する第2算出
手段と、前記第1及び第2算出手段より得られた速度変
動の位置及び大きさに基づき、モータを回転制御するた
めの制御データに対してモータの速度変動を打ち消すよ
うな補正値を加えて補正後の制御データを作成する制御
データ補正手段と、補正後の制御データに基づきモータ
を回転制御する制御手段とを備えたものである。
【0012】請求項3のモータの回転制御装置の発明で
は、請求項2において、前記制御データ補正手段に代え
て、前記制御手段がモータを回転制御するための制御デ
ータに基づきモータを回転制御しているときに、前記第
1及び第2算出手段より得られた速度変動の位置及び大
きさに基づき、モータの速度変動を打ち消すようなトル
ク補正量をモータ駆動用のドライバに対して与えるトル
ク補正手段を設けたものである。
【0013】請求項4の非真円体の研削装置の発明で
は、被加工物を装着した主軸を回転させるモータと、被
加工物の外周面を研削する砥石を支持する砥石台を前記
主軸に対して交差する方向へ相対移動させる移動手段
と、主軸の回転角度と回転速度との関係を設定した速度
制御データに基づきモータを回転制御する制御手段とを
備え、モータにより主軸を回転させながら砥石台を移動
させることにより、被加工物の外周面を所定の非真円形
状に研削する非真円体の研削装置において、モータを予
め設定された指令データに基づき回転させたときの実際
の回転データを検出する実回転データ検出手段と、前記
検出手段より得られた実回転データと前記指令データと
に基づき、モータの回転に伴い同モータで周期的に発生
する速度変動の位置を算出する第1算出手段と、前記検
出手段より得られた実回転データと前記指令データとに
基づき、モータの回転に伴い同モータで周期的に発生す
る速度変動の大きさを算出する第2算出手段と、前記第
1及び第2算出手段より得られた速度変動の位置及び大
きさに基づき、前記速度制御データに対してモータの速
度変動を打ち消すような補正値を加えて補正後の速度制
御データを作成する制御データ補正手段とを備え、前記
制御手段は、前記補正後の速度制御データに基づきモー
タを回転制御するものである。
【0014】請求項5の非真円体の研削装置の発明で
は、請求項4において、前記制御データ補正手段に代え
て、前記制御手段が前記速度制御データに基づきモータ
を回転制御しているときに、前記第1及び第2算出手段
より得られた速度変動の位置及び大きさに基づき、モー
タの速度変動を打ち消すようなトルク補正量をモータ駆
動用のドライバに対して与えるトルク補正手段を設けた
ものである。
【0015】従って、請求項1〜5の発明は、次のよう
な作用を奏する。請求項1の発明によれば、モータを予
め設定された指令データに基づき回転させたときの実際
の回転データが検出される。そして、得られた実回転デ
ータと前記指令データとに基づき、モータの回転に伴い
同モータで周期的に発生する速度変動の位置が算出され
る。また、得られた実回転データと前記指令データとに
基づき、モータの回転に伴い同モータで周期的に発生す
る速度変動の大きさが算出される。
【0016】請求項2の発明によれば、請求項1のよう
にして得られた速度変動の位置及び大きさに基づき、モ
ータを回転制御するための制御データに対してモータの
速度変動を打ち消すような補正値が加えられて、補正後
の制御データが作成される。そして、この補正後の制御
データに基づき、モータが周期的な速度変動を生じるこ
となく回転制御される。
【0017】請求項3の発明によれば、モータを回転制
御するための制御データに基づきモータが回転制御され
ているときに、請求項1のようにして得られた速度変動
の位置及び大きさに基づき、モータの速度変動を打ち消
すようなトルク補正量がモータ駆動用のドライバに対し
て与えられる。このため、モータは周期的な速度変動を
生じることなく回転制御される。
【0018】請求項4の発明によれば、請求項2のよう
にして主軸用モータが周期的な速度変動を生じることな
く回転制御されることにより、被加工物を高精度に加工
することが可能となる。
【0019】請求項5の発明によれば、請求項3のよう
にして主軸用モータが周期的な速度変動を生じることな
く回転制御されることにより、被加工物を高精度に加工
することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】先ず、本発明を具体化したサーボ
モータの速度変動測定装置の一実施形態を図1〜図10
に基づいて説明する。
【0021】図1に示すように、本実施形態における測
定装置1は、CPU(中央処理装置)2、ROM(リー
ドオンリメモリ)3、RAM(ランダムアクセスメモ
リ)4、キー操作部5、表示部6及びプリンタ7を備え
ている。CPU2は、ROM3或いはRAM4に予め記
憶された各種の演算処理用のプログラムデータ等に基づ
き演算処理を行う。又、RAM4は、CPU2の演算処
理結果等のデータを一時的に記憶する。本実施形態で
は、CPU2、ROM3及びRAM4により、実回転デ
ータ検出手段、第1算出手段及び第2算出手段が構成さ
れている。
【0022】キー操作部5は複数の入力キーを備え、入
力キーの操作に基づきCPU2に対して作業指示を与え
る。表示部6は例えばCRTよりなり、前記キー操作部
5より与えられた作業指示内容やその指示に従ってCP
U2により実行された演算処理結果等の各種情報を表示
する。プリンタ7は演算処理結果等を用紙上に印字出力
する。
【0023】上記測定装置1には、測定対象となるサー
ボモータ9がモータドライバ8を介して接続され、この
サーボモータ9の回転に伴い発生するトルクリップルに
起因した速度変動が、測定装置1により測定される。測
定装置1のCPU2は、例えばキー操作部5より入力さ
れた速度指令等に基づき、モータドライバ8を介してサ
ーボモータ9を指令速度で回転させる。エンコーダ10
はモータ9の回転角度を検出して、回転角度検出信号を
CPU2に出力する。CPU2は、エンコーダ10から
の検出信号に基づき、モータ9の回転角度を検出する。
【0024】次に、上記のように構成された測定装置1
によって、サーボモータ9のトルクリップルに起因した
回転速度変動を測定する方法について、図2及び図3の
フローチャートに従って説明する。尚、この説明は図4
〜図10を参照しながら行う。
【0025】さて、図2は、測定装置1のCPU2によ
って実行されるサーボモータ9の回転速度変動の測定処
理動作を示すフローチャートである。同図に示すよう
に、ステップS1において、先ずモータ9が予め設定さ
れた所定の指令速度N(rpm) で回転制御される。図4
は、モータの回転角度と回転速度との関係を設定した速
度指令データを示すものである。尚、このモータ9の回
転時、CPU2は、速度指令データに基づくモータ9の
回転角度(モータ指令回転角度)と、モータ9の実際の
回転角度(モータ実回転角度)との関係を、エンコーダ
10から入力される検出信号に基づき実際の回転データ
(実回転データ)として検出する。図5(b)はその実
回転データを示すものであり、図5(a)は速度指令デ
ータに基づくモータ9の回転角度(モータ指令回転角
度)と、モータ9の理想の回転角度(モータ理想回転角
度)との関係を示す理想データである。即ち、モータ9
が速度指令データ通りに回転されると仮定した場合に
は、図5(a)の理想データに示すように、モータ9が
速度指令データに従いある回転角度に達すべきときに
は、その回転角度に必ず達し、直線のデータとなる。し
かし、モータ9は実際にはトルクリップル等により速度
指令データ通りに回転されず、図5(b)の実回転デー
タに示すように、モータ9が速度指令データに従いある
回転角度に達すべきときに、その回転角度に達しない現
象が発生する。つまり、モータ9は一定の速度N(rpm)
で回転するように指令されていても、実際の回転速度に
は変動を生じる。
【0026】次に、ステップS2において、モータ1回
転分の理想データ及び実回転データが、それぞれデータ
の起点がモータ9の回転角度にして5/3度ずつずれた
各4種類の第1〜第4データDa1〜Da4,Db1〜Db4と
してRAM4に記憶される。これら第1〜第4理想デー
タDa1〜Da4及び第1〜第4実回転データDb1〜Db4
は、図6(a),(b)にそれぞれ示すように、モータ
指令回転角度に対するモータ9の理想或いは実際の回転
角度の変化の状態として記憶される。
【0027】又、前記第1理想データDa1及び第1実回
転データDb1は、モータ9の特定の回転角度を原点(0
度)としたときに、その原点を起点としたモータ1回転
分のデータである。第2〜第4理想データDa2〜Da4及
び第2〜第4実回転データDb2〜Db4は、モータ9が前
記原点からそれぞれ5/3度、10/3度、5度回転し
たときの角度を起点としたモータ1回転分のデータであ
る。
【0028】尚、本実施形態において測定に使用される
モータ9では、予めそのモータ9の内部の極数等の構造
に基づき、1回転する間にトルクリップルが36回発生
するということが予測されている。つまり、図10に例
示するように、モータ9が1回転する間に、トルクリッ
プルに起因して発生する速度変動の波Wが36周期発生
するということであり、このことは、モータ9が1秒間
で1回転すると仮定した場合に、速度振動の波Wの周波
数が36Hzになることを意味している。そして、この
波Wはサイン波で表すことができ、そのサイン波Wの1
周期(2π)に相当するモータの回転角度は10度(=
360度/36周期)となる。従って、上記図6に示す
第1〜第4理想データDa1〜Da4及び第1〜第4実回転
データDb1〜Db4は、それぞれデータの起点がサイン波
Wの周期にしてπ/3ずつずれたデータと言い換えるこ
とができる。尚、データの起点が5/3度ずつずれた各
4種類のデータを作成する理由については後述する。
【0029】次に、ステップS3において、先に作成さ
れた第1〜第4理想データDa1〜Da4及び第1〜第4実
回転データDb1〜Db4に、それぞれハニング窓関数が乗
算される。図7(a),(b)は、乗算の結果得られた
各ハニングデータを示すものである。続いて、ステップ
S4において、上記各ハニングデータを周波数成分に分
解するために、各ハニングデータがFFT(高速フーリ
エ変換)処理される。次に、ステップS5において、対
応する理想FFTデータと実回転FFTデータとに基づ
き、4個のFFTデータ間のコヒーレントカーブが作成
される。これら作成されたコヒーレントカーブは、例え
ば表示部6上に表示されるとともに、プリンタ7により
印字出力可能である。図8は、作成されたコヒーレント
カーブの一例を示すものである。同図より明らかなよう
に、このコヒーレントカーブにおいては、36Hzの周
波数におけるコヒーレント(整合性)が悪いと言える。
従って、測定対象であるモータ9では1回転中に36回
トルクリップルが発生すると予測したことが正しいとい
うことになる。
【0030】同時に、ステップS6において、対応する
理想FFTデータと実回転FFTデータとに基づき、4
種類の伝達関数が求められる。そして、ステップS7に
おいて、求められた各伝達関数に基づき、4種類のボー
ド線図が作成される。これらボード線図は例えば表示部
6上に表示されるとともに、プリンタ7により印字出力
可能である。図9は、4種類のボード線図のうち、第1
理想データDa1と第1実回転データDb1とに基づき作成
されたボード線図の一例を示すものである。同図に示す
ように、このボード線図の上側には周波数とフェーズ
(位相)との関係が示されており、下側には周波数とゲ
インとの関係が示されている。この図より明らかなよう
に、このボード線図においては、36Hzの周波数にお
けるゲインが大きくなっていることが判る。
【0031】次に、ステップS8において、4種類のボ
ード線図において、該当する周波数(即ち36Hzの周
波数)におけるゲインのうち、最大のゲインGが選択さ
れる。そして、前述した図6における第1〜第4データ
Da1〜Da4,Db1〜Db4のうち、この最大のゲインGを
有するボード線図に対応するデータが、前述した図10
におけるサイン波Wの波高値が最大のものに相当する。
この場合、最大のゲインGを有するボード線図に対応す
るデータの起点は、サイン波Wの起点と一致する。一
方、トルクリップルの位置は、サイン波Wのマイナス側
の最大波高値の位置に相当すると考えられる。従って、
最大のゲインGを有するボード線図に対応するデータの
起点に基づき、モータ9にて発生するトルクリップルの
位置を求めることができる。
【0032】例えば、最大のゲインGを有するボード線
図に対応するデータがDa1,Db1であったと仮定する。
なお、前述のように、このデータDa1,Db1の起点はモ
ータ9の原点と一致している。従って、図10に示すよ
うに、トルクリップルが発生する見かけ上のモータ9の
原点からの回転角度は7.5度となり、モータ9におい
てはその7.5度の位置から10度毎にトルクリップル
が発生するということが判る。また、例えば、最大のゲ
インGを有するボード線図に対応するデータがDa2,D
b2であったと仮定する。このデータDa2,Db2の起点は
モータ9の原点から5/3度ずれた位置なので、トルク
リップルが発生する見かけ上のモータ9の原点からの回
転角度は、5/3度+7.5度となる。
【0033】このように、モータ9にて発生するトルク
リップルの位置を求めるために、起点が5/3度ずつず
れた各4種類のデータDa1〜Da4,Db1〜Db4を作成
し、それらデータの中からサイン波の波高値が最大にな
るものを選択するようにしている。
【0034】次に、ステップS9において、該当する周
波数、つまり36Hzの周波数での基底波高値Pが算出
される。図3のフローチャートは、この基底波高値Pの
算出手順を示すものである。同図に示すように、この算
出手順においては、先ずステップS21において、図2
のステップS2で記憶された第1理想データDa1にハニ
ング窓関数が乗算される。続いて、ステップS22にお
いて、得られたハニングデータを周波数成分に分解する
ために、ハニングデータがFFT処理される。次に、ス
テップS23において、下記の式(1)に従って、該当
する周波数(36Hzの周波数)での波高値(基底波高
値)Pが算出される。
【0035】 P=2×√(Rl2 +Im2 ) ・・・(1) ここで、Rlは36Hzの周波数でのリアルデータの大
きさを表し、Imは36Hzの周波数でのイメージデー
タの大きさを表し、それぞれRl=0.0000138×10-3(de
gree), Im=-1.229×10-3(degree)となる。従って、
上記式(1)に従って算出された36Hzの周波数での
基底波高値Pは、「2.458 ×10-3(degree)」となる。
【0036】次に図3に戻り、ステップS10におい
て、前記ステップS9で算出された基底波高値Pと、前
記ステップS8で選択された最大ゲインGとに基づき、
下記の式(2)に従って、36Hzの周波数での振れ量
(波高値)が算出される。
【0037】 振れ量(degree)=P×(10(G/20)−1) ・・・(2) 続いて、ステップS11において、先に求められた振れ
量が2倍にされて、実回転データの誤差量が算出され
る。そして、この誤差量が、モータ9のトルクリップル
に起因して発生する速度変動の波の大きさ、言い換えれ
ばモータ9が目標とする回転角度に対して何度のずれを
生じるかを表している。
【0038】本実施形態における測定装置1は上記のよ
うに動作するので、モータ9で生じる回転速度変動の要
因の1つであるトルクリップルが、モータ9のどの回転
角度でどの程度の大きさで発生するのかを正確に知るこ
とができる。即ち、前記ステップS8において、4種類
のボード線図において、36Hzの周波数におけるゲイ
ンのうち最大のゲインGが選択される。そして、第1〜
第4データDa1〜Da4,Db1〜Db4のうち、この最大の
ゲインGを有するボード線図に対応するデータの起点に
基づき、トルクリップルが発生するモータ9の原点から
の回転角度が求められる。モータ9が1回転中に36回
のトルクリップルを10度毎に発生するということは、
モータ9の構造(巻線によるコア数等)に基づき予め経
験的に予測されており、しかもその予測が正しいことも
確認されている。従って、今回の測定に使用されたモー
タ9では、前記選択されたデータの起点に基づき求めら
れた回転角度から10度ずつ回転した角度においてトル
クリップルが発生するということを、容易かつ正確に知
ることができる。しかも、そのトルクリップルの大きさ
も、前記ステップS10の式(2)等に従って容易かつ
正確に求めることができる。このため、モータ9のトル
クリップルに起因した回転速度変動を抑制するために、
適正な手段を講じることが可能となる。又、モータ9自
身が有する特性を正確に把握することができるので、例
えばモータ9を各種の装置に使用したり、或いはモータ
9の改良等を行ったりする場合において、非常に有益な
データとすることができる。
【0039】次に、上記速度変動測定装置1による測定
結果に基づき、カム研削盤における主軸回転用サーボモ
ータのトルクリップルに起因した回転速度変動を抑制す
る方法について、図11〜図21に従って説明する。
【0040】先ずカム研削盤の構成について説明する
と、図11及び図12に示すように、ワーク支持台11
は基台12の一側上面に図示しない移動機構により水平
方向(Z方向)へ移動可能に支持されている。主軸台1
3はワーク支持台11の上面に配設され、カムシャフト
Wの一端を着脱可能に支持するための主軸14及びその
主軸14を回転させるためのサーボモータよりなる主軸
用モータ15を備えている。又、カムシャフトWには被
加工物としての複数のカムWaが軸線方向へ所定の間隔
をおいて形成され、これらカムWaの外周面が被研削面
Wbとなっている。
【0041】ホルダ16は主軸14との間隔を調整自在
にワーク支持台11の上面に配設され、前記カムシャフ
トWが主軸14とこのホルダ16との間においてZ方向
へ延びるように回転可能にかつ着脱可能に支持される。
そして、カムシャフトWは、この支持状態で主軸用モー
タ15の駆動に伴い所定の方向へ回転される。エンコー
ダ17は主軸用モータ15に取り付けられ、このエンコ
ーダ17から出力される検出信号が後述するNC装置2
8に入力される。
【0042】砥石台18は前記基台12上にカムシャフ
トWの軸線と直交する水平方向(X方向)へ移動可能に
支持されている。サーボモータよりなる移動用モータ1
9は基台12の側部に取り付けられ、この移動用モータ
19によりボールスクリュー20が回転されて、砥石台
18がワークであるカムシャフトWと接近又は離間する
方向へ移動される。本実施形態では、移動用モータ19
及びボールスクリュー20等により、移動手段が構成さ
れている。エンコーダ21は移動用モータ19に取り付
けられ、このエンコーダ21から出力される検出信号が
後述するNC装置28に入力される。回転砥石22は、
カムシャフトWと対向するように砥石台18の一端に支
軸23により回転可能に支持されている。砥石回転用モ
ータ24は砥石台18上に配設され、この砥石回転用モ
ータ24によりプーリ25,26及びベルト27を介し
て砥石22が一方向へ回転される。
【0043】制御手段及び制御データ補正手段を構成す
るNC装置28は、装置全体の動作を制御するためのも
のである。このNC装置28は、各種演算処理を行うC
PU(中央処理装置)29、装置全体の動作を制御する
ためのプログラム等を記憶したROM(リードオンリメ
モリ)30及び各種情報を一時的に記憶するRAM(ラ
ンダムアクセスメモリ)31等を有している。
【0044】前記RAM31には、加工対象となる所定
のカムWaに応じて、主軸14の回転速度を制御するた
めの主軸速度制御データと砥石台18のX方向における
位置を制御するための砥石台位置制御データとが予め記
憶されている。図16に例示するように、主軸速度制御
データは主軸14(即ちモータ15)の回転角度θと回
転速度Nとの関係を、主軸14の所定単位回転角度毎に
設定したものであり、主軸回転角度θに対して理想とす
る主軸回転速度Nを設定したものである。この主軸速度
制御データでは、図17に示すように、カムWaの回転
角度θは、カムWaの基礎円の中間が砥石22に接触し
ている状態を0度として設定してある。そして、この主
軸速度制御データに基づきカムWaを回転させた場合に
は、カムWaは回転角度θに応じてその回転速度Nが変
更される。尚、砥石台位置制御データについては特に図
示しないが、このデータは主軸14の回転角度θと砥石
台18の移動位置との関係を設定したものである。
【0045】次に、前記のように構成されたカム研削盤
の作用について説明する。さて、このカム研削盤では、
主軸用モータ15のトルクリップルに起因した回転速度
変動を抑制するために、CPU29の制御のもとで図1
3のフローチャートに示すような動作が行われる。即
ち、先ずステップS31において、主軸用モータ15で
発生するトルクリップルの大きさ及び位相ズレ量が、前
記測定装置1によって算出されてRAM31に記憶され
る。このトルクリップルの大きさ及び位相ズレ量は、モ
ータ15の回転速度N(rpm) を前記図16に示す主軸速
度制御データにおける回転速度の範囲内で少しずつ変え
ながら、各回転速度毎にそれぞれ算出される。図14
は、モータ15の各回転速度N(rpm) に対応して算出さ
れたトルクリップルの大きさS及び位相ズレ量Pを示す
表である。
【0046】なお、位相ズレ量とは、トルクリップルに
起因して発生する速度変動の波をサイン波Wで表したと
き、そのサイン波Wの起点とモータ15の原点との間の
角度を示すものである。より詳しくは、位相ズレ量は、
前記図2に示すフローチャートのステップS8において
最大のゲインGが選択されたとき、その選択された最大
のゲインGを有するボード線図に対応するデータの起
点、つまり速度変動を表すサイン波Wの起点によって示
されるモータ回転角度である。又、トルクリップルの大
きさSとは、図2に示すフローチャートのステップS1
1において算出された誤差量のことである。
【0047】前記トルクリップルの大きさS及び位相ズ
レ量Pは、同じモータ15であっても、モータ15の回
転速度N(rpm) が変化するのに応じて変化する。即ち、
モータ15の回転速度Nが速いほど、モータ15におい
て見かけ上現れる速度変動の波が、モータ15において
発生するトルクリップルの実際のタイミングよりも大き
く遅れるとともに、モータ15において見かけ上現れる
トルクリップルの大きさSが小さくなる。前記の測定装
置1では、エンコーダ10による検出結果を基にして、
モータ15において見かけ上現れるトルクリップルを捉
えている。従って、図14に示すように、トルクリップ
ルの大きさS及び位相ズレ量Pを、モータ15の各回転
速度N毎に求めておく必要がある。
【0048】次に、ステップS32において、主軸用モ
ータ15でトルクリップルに起因して発生する速度変動
を表すサイン波(速度変動波形)が作成される。図15
は、作成された速度変動波形f(i) を例示するものであ
る。この速度変動波形f(i)は、後の処理を行い易くす
るために、主軸用モータ15でトルクリップルに起因し
て発生する速度変動をサイン波として便宜上表したもの
である。この速度変動波形f(i) は下記の式(3)で表
すことができる。
【0049】 f(i) =1×sin(B・θi −Pi ) ・・・(3) ここで、θi はモータ15の回転角度を表し、Pi は位
相ズレ量を表す。又、Bは該当する周波数、言い換えれ
ばモータ15が1回転中に発生するトルクリップルの回
数を表す。例えば、この主軸用モータ15が1回転中に
36回のトルクリップルを発生するものであれば、Bの
値は「36」になる。
【0050】続いて、ステップS33において、RAM
31に記憶されている図16の主軸速度制御データ(角
度−速度データ)Hが時間で積分されて、図18に示す
ような時間−角度データIが作成される。同図に示すよ
うに、この時間−角度データIでは、カムWaの回転角
度θと回転速度Nとの関係を設定した主軸速度制御デー
タが、時間tの経過に対するカムWaの回転角度θの変
化の状態として表される。
【0051】次に、ステップS34において、積分の結
果得られた時間−角度データIに補正値が加えられて、
図19に示すような補正後の時間−角度データJが作成
される。つまり、この補正後の時間−角度データJは、
図18に示す時間−角度データIに対して、トルクリッ
プルに起因して生じるモータ15の速度変動の波を打ち
消すような値を補正値として加えたものになる。具体的
には、図18の時間−角度データI上において、ある時
間ti でのモータ回転角度をθi としたとき、その回転
角度θi でのモータ回転速度Ni が図16に示す主軸速
度制御データ(角度−速度データ)Hより求められる。
そして、その求められた回転速度Ni でのトルクリップ
ルの大きさSi が、図14に示す表より求められる。
又、前記式(3)に従い、モータ15の回転角度がθi
のときの値f(i) が求められる。尚、この式(3)にお
ける位相ズレ量Pi は、先に図16の主軸速度制御デー
タより求められた回転速度Ni に対応して図14の表よ
り求められるものである。上記のようにして、図18の
時間−角度データI上における時間ti を少しずつ変え
ながら、各時間ti での回転角度θi にそれぞれ対応す
る値Si ,f(i) が求められる。そして、このようにし
て求められた値Si ,f(i) に基づき、下記の式(4)
に従って図19に示すような補正後の時間−角度データ
Jが作成される。
【0052】J=I−f(i) ×Si ・・・(4) 次に、ステップS35において、補正後の時間−角度デ
ータJが微分されて、図20に示すような時間−速度デ
ータKが作成される。続いて、ステップS36におい
て、図19に示す補正後の時間−角度データJと図20
に示す時間−速度データKとに基づき、図21に示すよ
うな補正後の主軸速度制御データ(角度−速度データ)
Lが作成され、これが主軸用モータ15を回転制御する
ためのデータとしてRAM31に記憶される。
【0053】そして、実際のカム研削加工においては、
先ずカムシャフトWが主軸4とホルダ16との間に支持
された状態でワーク支持台11がZ方向へ割り出し移動
され、カムシャフトW上の所定のカムWaが砥石22と
対向配置される。この状態で、NC装置28は、前述の
ようにして求められた補正後の回転速度制御データL及
びエンコーダ17から入力される検出信号に基づき、主
軸用モータ15を回転制御する。又、NC装置28は、
RAM31内の砥石台位置制御データ及びエンコーダ2
1からの検出信号に基づき移動用モータ19を回転制御
する。その結果、カムWa(即ち主軸14)がその回転
角度に応じた速度で回転されるとともに、砥石台18が
主軸14の回転角度に応じてX方向へ進退移動されて、
カムWaが所定の非真円形状に研削される。
【0054】主軸用モータ15の回転制御に使用される
補正後の回転速度制御データLは、元の回転速度制御デ
ータH(図16参照)に対して、トルクリップルに起因
して生じる速度変動の波を打ち消すような補正値を加え
たものである。従って、主軸用モータ15の回転時に
は、トルクリップルに起因した回転速度変動が確実に抑
制され、結果的に、主軸用モータ15は、図16に示す
回転速度制御データ通りに、言い換えればモータ15の
理想的な回転状態を表す制御指令データ通りに円滑に回
転される。このため、カムWaの加工精度が向上する。
【0055】又、主軸用モータとして、トルクリップル
による悪影響が大きく表れるような安価なモータを使用
した場合でも、トルクリップルに起因した回転速度変動
を確実に抑制できるので、加工精度を低下させることな
く、安価なモータを使用することが可能となる。
【0056】以上のように、このカム研削盤では、主軸
用モータ15で生じるトルクリップルが、モータ15の
どの回転角度でどの程度の大きさで発生するのかを測定
装置1によって正確に求めておき、その求めた結果に基
づき、主軸用モータ15の回転制御に使用する補正後の
回転速度制御データLを作成するようにしている。そし
て、その制御データLに基づき、主軸用モータ15をト
ルクリップルに起因した回転速度変動が生じることなく
回転させるようにしている。このため、トルクリップル
に起因した回転速度変動を抑制するために、単に回転速
度制御データを補正するのみでよく、カム研削盤の機械
的構成或いは電気的構成を変更する必要がないので、容
易かつ安価に実現できる。
【0057】尚、この発明は例えば以下のように変更し
て具体化してもよい。 (1)前記実施形態では、カム研削盤における主軸用モ
ータ15の回転速度変動を抑制するために、回転速度制
御データを補正するようにしていたが、それに代えて次
のような手段を採用してもよい。即ち、前記図11及び
図12では特に図示しなかったが、図22に示すよう
に、NC装置28はモータドライバ32を介して主軸用
モータ15を回転制御するようになっている。そして、
ここでは、NC装置28は、前記実施形態の制御データ
補正手段に代えてトルク補正手段を構成しており、カム
研削加工時において、前記図16に示す回転速度制御デ
ータに基づきモータドライバ32に速度指令を与えると
ともに、先に求められたモータ15のトルクリップルの
大きさSi と、値f(i) {速度変動波形を表す数式
(3)}とに基づき、モータ15の速度変動の波を打ち
消すようなトルク補正量をモータドライバ32に対して
与える。
【0058】即ち、この(1)の実施形態では、主軸用
モータ15のトルクリップルに起因した回転速度変動を
抑制するために、CPU29の制御のもとで図23のフ
ローチャートに示すような動作が行われる。先ず、実際
の研削加工動作が開始される前に、前記図13のフロー
チャートのステップS31及びS32と同じく、トルク
リップルの大きさS及び位相ズレ量Pがモータ15の各
回転速度N毎に求められるとともに、トルクリップルに
起因して発生する速度変動を表すサイン波f(i) が作成
される。そして、研削加工動作の開始に伴い、図16に
示す主軸速度制御データHに基づきモータ15が回転制
御されると、先ずステップS41において、所定の微小
な単位時間毎に、エンコーダ17によりモータ15の回
転角度θi が検出される。次に、ステップS42におい
て、検出された回転角度θi でのモータ回転速度Ni が
図16に示す主軸速度制御データHより求められる。続
いて、ステップS43において、その求められた回転速
度Ni でのトルクリップルの大きさSi が、図14に示
す表より求められる。更に、ステップS44において、
前記式(3)に従い、前記検出された回転角度θi でか
つその回転角度θiに対応して求められた回転速度Ni
であるときの値f(i) が求められる。そして、ステップ
S45において、前記のようにして求められた2つの値
Si ,f(i)を乗算して得られた結果が、モータ15の
速度変動の波を打ち消すためのトルク補正量としてモー
タドライバ32に出力される。
【0059】その結果、前記実施形態と同様に、主軸用
モータ15の回転時にはトルクリップルに起因した回転
速度変動が確実に抑制されて、主軸用モータ15が円滑
に回転され、カムWaの加工精度が向上する。又、加工
精度を低下させることなく、安価なモータを使用するこ
とが可能となるという効果も、前記実施形態と同様であ
る。
【0060】このように、主軸用モータ15のトルクリ
ップルに起因した回転速度変動を抑制するために、元の
主軸速度制御データを予め補正しておくのに代えて、元
の主軸速度制御データに基づきモータ15を回転制御し
ているときに、モータ15の回転変動を抑制するための
トルク補正量をドライバ32に逐次与えるようにしても
よい。
【0061】(2)測定装置1は、サーボモータの回転
速度変動を測定するための単独の装置として構成しても
よいし、カム研削盤のNC装置28に一体的に組み込ん
でもよい。カム研削盤のNC装置28に測定装置1が組
み込まれている場合には、主軸用モータ15のトルクリ
ップルを測定した後に、その測定結果をそのまま補正の
ためのデータとすればよい。カム研削盤に測定装置1が
組み込まれていない場合には、単独で構成された測定装
置1によって主軸用モータ15のトルクリップルを測定
した後に、その測定結果をフロッピーディスク等の記憶
媒体或いは所定の通信手段等を用いてカム研削盤のNC
装置28に入力するようにすればよい。
【0062】(3)主軸用モータ15だけでなく、砥石
台移動用モータ19についても、トルクリップルに起因
した回転速度変動を抑制するための制御を行うようにす
ること。このようにすれば、カムWaの加工精度が更に
向上する。
【0063】(4)前記実施形態ではカム研削盤におけ
る主軸用モータ15の回転速度変動を抑制する場合につ
いて説明したが、これに限定されるものではなく、本発
明を各種装置におけるモータの回転速度変動を抑制する
場合に応用することは、勿論構わない。
【0064】上記実施形態から把握できる技術的思想に
ついて、以下に記載する。 (a)モータを一定速度で回転させるための指令データ
に基づきモータを回転させて、そのモータが指令データ
通りに回転されたときの理想データと、モータを指令デ
ータに基づき回転させたときの実際の回転データとを算
出する回転データ算出手段と、前記理想データ及び実回
転データに関して、それぞれ算出されたデータの起点を
モータの原点から所定角度ずつずらして複数のデータを
作成するデータ作成手段と、前記作成された複数の理想
データ及び複数の実回転データにそれぞれ窓関数を乗じ
るとともに、その窓関数を乗じることによって得られた
データを周波数成分に分解するためにフーリエ変換する
フーリエ変換手段と、前記フーリエ変換後の各理想デー
タと、各理想データにそれぞれ対応するフーリエ変換後
の各実回転データとに基づき、複数の伝達関数を求める
伝達関数算出手段と、モータの回転に伴い周期的に発生
する速度変動のモータ1回転中における周期を、予め所
定の周波数として表しておき、その速度変動の起点を求
めるために、前記伝達関数のうちで所定の周波数でのゲ
インが最大のものを選択する選択手段と、前記所定の周
波数に対応して予め算出された基底波高値と、前記選択
された最大のゲインとに基づき、モータの回転に伴い周
期的に発生する速度変動の大きさを算出する変動量算出
手段と、モータ1回転中における速度変動の周期とその
速度変動の起点に相当するモータの原点からの回転角度
とに基づき、モータの速度変動を表す所定の数式を作成
する作成手段と、前記求められたモータの速度変動の大
きさとその速度変動を表す数式とに基づき、モータを回
転制御するための制御データに対してモータの速度変動
を打ち消すような補正値を加えて、補正後の制御データ
を作成する制御データ補正手段と、前記補正後の速度制
御データに基づきモータを回転制御する制御手段とを備
えたモータの回転制御装置。
【0065】(b)前記制御データ補正手段に代えて、
前記制御手段がモータを回転制御するための制御データ
に基づきモータを回転制御しているときに、前記求めら
れたモータの速度変動の大きさとその速度変動を表す数
式とに基づき、モータの速度変動を打ち消すようなトル
ク補正量をモータ駆動用のドライバに対して与えるトル
ク補正手段を設けた上記(a)に記載のモータの回転制
御装置。
【0066】上記(a),(b)では、CPU2、RO
M3及びRAM4が、回転データ算出手段、データ作成
手段、フーリエ変換手段、伝達関数算出手段、選択手段
及び変動量算出手段を構成している。また、NC装置2
8が、制御手段、作成手段、制御データ補正手段及びト
ルク補正手段を構成している。これらのようにすれば、
モータのトルクリップルに起因した回転速度変動を確実
に抑制することができ、モータを指令通りに円滑に回転
させることができる。
【0067】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば次
のような優れた効果を奏する。請求項1の発明によれ
ば、モータの回転に伴い発生するトルクリップルに起因
した速度変動を正確に捉えることができる。このため、
モータのトルクリップルに起因した回転速度変動を抑制
するために、適正な手段を講じることが可能となる。
又、モータ自身が有する特性を正確に把握することがで
きるので、例えばモータを各種の装置に使用したり、或
いはモータの改良等を行ったりする場合において、非常
に有益なデータとすることができる。
【0068】請求項2及び3の発明によれば、モータの
トルクリップルに起因した回転速度変動を確実に抑制す
ることができ、モータを指令通りに円滑に回転させるこ
とができる。
【0069】請求項4及び5の発明によれば、主軸回転
用モータの回転に伴い発生するトルクリップルに起因し
た速度変動を正確に捉えることにより、主軸の回転速度
変動を確実に抑制して、主軸を指令通りに円滑に回転さ
せることができ、被加工物を高精度に加工することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の速度変動測定装置の一実施形態を示
す回路構成図。
【図2】 モータの回転速度変動の測定処理動作を示す
フローチャート。
【図3】 基底波高値の算出手順を示すフローチャー
ト。
【図4】 速度指令データを示す説明図。
【図5】 (a)は理想データを示すグラフ、(b)は
実回転データを示すグラフ。
【図6】 (a)は起点が異なる4種類の第1〜第4理
想データを示すグラフ、(b)は起点が異なる4種類の
第1〜第4実回転データを示すグラフ。
【図7】 (a)は理想データに関するハニングデータ
を示すグラフ、(b)は実回転データに関するハニング
データを示すグラフ。
【図8】 コヒーレントカーブを示すグラフ。
【図9】 ボード線図を示すグラフ。
【図10】 トルクリップルに起因して発生する速度変
動の波を説明するための説明図。
【図11】 カム研削盤を示す一部破断側面図。
【図12】 研削盤の平面図。
【図13】 補正後の回転速度制御データの算出手順を
示すフローチャート。
【図14】 モータの各回転速度に対応して算出された
トルクリップルの大きさ及び位相ズレ量を示す表。
【図15】 速度変動の波を表すサインカーブを示す説
明図。
【図16】 元の回転速度制御データを示す説明図。
【図17】 カムの基礎円の中間が砥石に接触している
状態を示す部分拡大側面図。
【図18】 時間−角度データを示す説明図。
【図19】 補正後の時間−角度データを示す説明図。
【図20】 時間−速度データを示す説明図。
【図21】 補正後の回転速度制御データを示す説明
図。
【図22】 モータの回転速度変動を抑制するための別
の手段を概略的に示すブロック図。
【図23】 研削時におけるモータの制御動作を示すフ
ローチャート。
【図24】 モータに対する速度指令データと、実際の
回転速度の変化の状態とを示す説明図。
【符号の説明】
1…測定装置、2…CPU、3…ROM、4…RAM、
8…モータドライバ、9…サーボモータ、10…エンコ
ーダ、14…主軸、15…主軸用モータ、17…エンコ
ーダ、18…砥石台、19…移動手段を構成する移動用
モータ、20…移動手段を構成するボールスクリュー、
21…エンコーダ、22…回転砥石、28…NC装置、
29…CPU、30…ROM、31…RAM、32…モ
ータドライバ、Wa…被加工物としてのカム、Wb…被
研削面。CPU2、ROM3及びRAM4は、実回転デ
ータ検出手段、第1算出手段及び第2算出手段を構成し
ている。NC装置28は、制御手段、制御データ補正手
段及びトルク補正手段を構成している。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モータを予め設定された指令データに基
    づき回転させたときの実際の回転データを検出する実回
    転データ検出手段と、 前記検出手段より得られた実回転データと前記指令デー
    タとに基づき、モータの回転に伴い同モータで周期的に
    発生する速度変動の位置を算出する第1算出手段と、 前記検出手段より得られた実回転データと前記指令デー
    タとに基づき、モータの回転に伴い同モータで周期的に
    発生する速度変動の大きさを算出する第2算出手段とを
    備えたモータの速度変動測定装置。
  2. 【請求項2】 モータを予め設定された指令データに基
    づき回転させたときの実際の回転データを検出する実回
    転データ検出手段と、 前記検出手段より得られた実回転データと前記指令デー
    タとに基づき、モータの回転に伴い同モータで周期的に
    発生する速度変動の位置を算出する第1算出手段と、 前記検出手段より得られた実回転データと前記指令デー
    タとに基づき、モータの回転に伴い同モータで周期的に
    発生する速度変動の大きさを算出する第2算出手段と、 前記第1及び第2算出手段より得られた速度変動の位置
    及び大きさに基づき、モータを回転制御するための制御
    データに対してモータの速度変動を打ち消すような補正
    値を加えて補正後の制御データを作成する制御データ補
    正手段と、 補正後の制御データに基づきモータを回転制御する制御
    手段とを備えたモータの回転制御装置。
  3. 【請求項3】 前記制御データ補正手段に代えて、前記
    制御手段がモータを回転制御するための制御データに基
    づきモータを回転制御しているときに、前記第1及び第
    2算出手段より得られた速度変動の位置及び大きさに基
    づき、モータの速度変動を打ち消すようなトルク補正量
    をモータ駆動用のドライバに対して与えるトルク補正手
    段を設けた請求項2に記載のモータの回転制御装置。
  4. 【請求項4】 被加工物を装着した主軸を回転させるモ
    ータと、被加工物の外周面を研削する砥石を支持する砥
    石台を前記主軸に対して交差する方向へ相対移動させる
    移動手段と、主軸の回転角度と回転速度との関係を設定
    した速度制御データに基づきモータを回転制御する制御
    手段とを備え、モータにより主軸を回転させながら砥石
    台を移動させることにより、被加工物の外周面を所定の
    非真円形状に研削する非真円体の研削装置において、 モータを予め設定された指令データに基づき回転させた
    ときの実際の回転データを検出する実回転データ検出手
    段と、 前記検出手段より得られた実回転データと前記指令デー
    タとに基づき、モータの回転に伴い同モータで周期的に
    発生する速度変動の位置を算出する第1算出手段と、 前記検出手段より得られた実回転データと前記指令デー
    タとに基づき、モータの回転に伴い同モータで周期的に
    発生する速度変動の大きさを算出する第2算出手段と、 前記第1及び第2算出手段より得られた速度変動の位置
    及び大きさに基づき、前記速度制御データに対してモー
    タの速度変動を打ち消すような補正値を加えて補正後の
    速度制御データを作成する制御データ補正手段とを備
    え、 前記制御手段は、前記補正後の速度制御データに基づき
    モータを回転制御する非真円体の研削装置。
  5. 【請求項5】 前記制御データ補正手段に代えて、前記
    制御手段が前記速度制御データに基づきモータを回転制
    御しているときに、前記第1及び第2算出手段より得ら
    れた速度変動の位置及び大きさに基づき、モータの速度
    変動を打ち消すようなトルク補正量をモータ駆動用のド
    ライバに対して与えるトルク補正手段を設けた請求項4
    に記載の非真円体の研削装置。
JP8169466A 1996-06-28 1996-06-28 モータの速度変動測定装置及びモータの回転制御装置並びに非真円体の研削装置 Pending JPH1023774A (ja)

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