JPH10237665A - 導電膜形成用塗布液、導電膜とその製造方法 - Google Patents

導電膜形成用塗布液、導電膜とその製造方法

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JPH10237665A
JPH10237665A JP4112197A JP4112197A JPH10237665A JP H10237665 A JPH10237665 A JP H10237665A JP 4112197 A JP4112197 A JP 4112197A JP 4112197 A JP4112197 A JP 4112197A JP H10237665 A JPH10237665 A JP H10237665A
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film
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恭宏 真田
Keisuke Abe
啓介 阿部
Kenji Ishizeki
健二 石関
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた電磁波シールド性および膜耐久性を有す
る導電膜および低反射導電膜を形成しうる塗布液の提
供。 【解決手段】Ag、Ru、Pt、Pd、Ni、Cuおよ
びAから選ばれる2種以上の金属元素よりなり、好まし
くは平均一次粒径が100nm以下である、合金微粒子
の分散体を含む導電膜形成用塗布液。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブラウン管パネル
等の基体表面に導電膜を形成するための導電膜形成用塗
布液、導電膜とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ブラウン管は高電圧で作動するために起
動時または終了時に該表面に静電気が誘発される。この
静電気により該表面にほこりが付着し、画像のコントラ
スト低下を引き起こしたり、直接触れた際に軽い電気シ
ョックによる不快感を生じたりすることが多い。
【0003】また、近年、電磁波ノイズによる電子機器
への電波障害が社会問題となり、それらを防止するため
に規格の作成や規制が行われている。電磁波ノイズは人
体に対しての影響、例えば、陰極線管(CRT)上の静
電気チャージによる皮膚癌の恐れ、低周波電界(EL
F)による胎児への影響、その他X線、紫外線等による
害が各国で問題視されている。
【0004】電磁波ノイズは、導電性塗膜をブラウン管
パネル表面に介在させることにより遮断できるが、電磁
波遮断効果を充分に発現させるためには膜の面抵抗値が
1×103 Ω/□未満であることを要する。しかし、従
来はそれほどの良導電性塗膜を得ることは困難であっ
た。例えば、特開平6−234552には、ITO分散
シリケート膜を形成する旨の記載があるが、この場合に
得られる膜の面抵抗値は1×103 Ω/□以上であり、
充分な電磁波遮断効果が得られなかった。
【0005】また、特開平6−310058には、Ag
やCu等の金属塩と還元剤とからなる液を用いてブラウ
ン管表面に金属膜を析出させる旨の記載がある。この場
合には膜は低抵抗化できるが、得られる膜がAgやCu
等の金属膜であり、本質的に膜耐久性が劣り、抵抗が経
時的に増加したり膜が変色する等の実用上の問題があっ
た。特にAgを用いた膜の場合には、材料固有の体積抵
抗は金属中で最も低いものの、簡単にアノード溶解を起
こし、また、塩化物や硫化物の存在で膜の劣化が促進さ
れるといった本質的な問題があり、実用に供するには問
題が多かった。
【0006】また、金属塩と還元剤との混合液をガラス
基体に塗布して膜を形成する場合には、成膜された金属
導電膜はガラス面にメッキされた状態となり、膜の強度
が著しく弱く、かつ該導電膜を洗浄して副生成塩を除去
する工程が必要となる問題があった。さらにAgやCu
等の金属は耐久性に乏しく、通常の空気中でも徐々に酸
化されて膜の抵抗が増加しかつ膜が変色するといった問
題があった。
【0007】また、導電膜および低反射膜のコーティン
グ法による形成は、従来より光学機器においてはいうま
でもなく、民生用機器、特にTVやコンピュータ端末の
陰極線管(CRT)に関しても数多くの検討がなされて
きた。従来の方法は、例えば、特開昭61−11893
1記載のように、ブラウン管表面に防眩効果をもたせる
ために表面に微細な凹凸を有するSiO2 を層を付着さ
せたり、フッ酸により表面をエッチングして表面に凹凸
を設ける等の方法がとられてきた。しかし、これらの方
法は、外部光を散乱させるノングレア処理と呼ばれ、本
質的に低反射層を設ける方法でないために、膜の反射率
の低減には限界があり、また、ブラウン管等において
は、画像の解像度を低下させる原因ともなっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術が
有していた前述の欠点を解消し、優れた電磁波シールド
性および膜耐久性を有する導電膜、該導電膜形成用塗布
液と該導電膜の製造方法の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、Ag、Ru、
Pt、Pd、Ni、CuおよびAuからなる群から選ば
れる2種以上の金属元素よりなる合金微粒子分散体を含
むことを特徴とする導電膜形成用塗布液、該塗布液から
なる導電膜、該導電膜の製造方法を提供する。
【0010】本発明の特徴は、導電膜形成用塗布液に含
有される導電性微粒子が合金でありかつこの合金微粒子
がいわゆるゾル状態となった分散体である点にある。こ
れにより電磁波シールド性発現に必要な導電性と実用上
問題のない耐久性を有する導電膜が得られる。
【0011】本発明の塗布液は、あらかじめ合金微粒子
をゾルの形で含有しており、これを基体に塗布した場合
には、従来のメッキ膜とは異なり、微小な孔が導電膜中
に導入されている。さらに、当該導電膜の上に酸化ケイ
素化合物を形成するSiアルコキシドの加水分解物を含
有する塗布液を塗布した場合には、この孔に上記塗布液
が侵入して導電膜の膜強度が著しく向上する。
【0012】また、本発明においては、金属塩と還元液
とからなる塗布液を使用する前記従来法とは異なり、導
電膜の形成時に副生成物が生成せず、導電膜とその上に
形成される膜との間での膜強度の劣化も生じない。した
がって本発明によれば、ブラウン管パネル面等のガラス
基体に、前述の問題点を解決した導電膜を形成できる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明において使用する合金微粒
子は、Ag、Ru、Pt、Pd、Ni、CuおよびAu
からなる群から選ばれる2種以上の金属元素よりなる合
金微粒子である。該微粒子の製法としては特に限定され
ず、種々の方法により製造できるが、特に金属塩溶液に
金属イオンを還元しうる物質を混合して製造することが
好ましい。本発明において好ましい合金は、例えば、A
g−Pd、Ag−Cu−Pd、Ag−Ni、Ru−P
d、Au−Pd、Pt−Pd等である。
【0014】本発明において還元による合金微粒子の生
成に用いられる金属塩としては、特に限定されないが、
硝酸銀、亜硝酸銀、ニトロソ硝酸ルテニウム、硝酸ルテ
ニウム、硝酸パラジウム、硝酸ニッケル、硝酸銅等の硝
酸塩、塩化ルテニウム、塩化ルテニウムアンモニウム、
塩化ルテニウムカリウム、塩化ルテニウムナトリウム、
塩化第一金、塩化第二金、塩化金酸、塩化銀、塩化第一
白金、塩化第一白金アンモニウム、塩化パラジウム、四
塩化パラジウムアンモニウム、六塩化パラジウムカリウ
ム、塩化ニッケル、塩化第一銅、塩化第二銅等の塩化
物、酢酸ルテニウム、酢酸銀、酢酸パラジウム、酢酸ニ
ッケル、酢酸コバルト、酢酸第二銅等の酢酸塩、硫酸パ
ラジウム、硫酸銅、硫酸ニッケル等の硫酸塩が好まし
い。これらの金属化合物は水等の溶媒にそのまま溶解し
て用いることが好ましい。
【0015】また、本発明では合金微粒子を生成するた
めに2種以上の金属塩の水溶液等を混合して用いるが、
用いる金属種が異なるために、それらの還元電位も異な
り、これらの金属種を合金化するには異なる金属の還元
電位を同一にする必要がある。還元電位を同一にするに
は種々の方法が考えられるが、還元する前の少なくとも
一方の金属イオンと錯体を形成しうる物質または溶媒和
しうる溶媒等を添加することが好ましい。
【0016】金属塩と錯体を形成しうる物質としては、
それぞれの金属イオンに対して種々公知の物質が適用で
き、例えば、シュウ酸、クエン酸、EDTAおよびその
誘導体等のカルボン酸およびその塩、アンモニア、トリ
エタノールアミン等が挙げられる。これらのうちでは、
得られる合金微粒子の均一性に優れるため、クエン酸
塩、特にクエン酸ナトリウムが好ましい。
【0017】また、特定の金属イオンに溶媒和する有機
溶媒としては、金属イオンに対する親和性から、特に電
子供与性の高い溶媒が好ましく、この条件を満たせば特
に限定されないが、ジメチルスルホキシド、N−メチル
−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、ジメチルホル
ムアミド、アセトニトリルおよびスルホラン等の溶媒が
好ましい。
【0018】硝酸銀等の化合物を還元して合金を析出し
うる還元剤としては特に限定はないが、FeSO4 やS
nSO4 等の卑金属の塩、ホルマリン、ブドウ糖、ロッ
セル塩、酒石酸、チオ硫酸ソーダ、水素化ホウ素化合
物、次亜リン酸塩等またはエタノール等の有機溶媒が挙
げられる。これらの化合物のうちでは還元速度が比較的
緩やかなFeSO4 やSnSO4 等の卑金属を含む塩を
用いることが好ましい。特にFeSO4 は還元速度が緩
やかで均一な合金微粒子分散液を作りやすいため好まし
い。
【0019】また、生成した合金微粒子表面に吸着して
いわゆる保護コロイドを形成する物質を添加すること
は、得られる分散液中の合金微粒子の粒径が均一となる
ために好ましい。このような物質としては種々公知の物
質が挙げられ、例えば、PVA、PVP、ゼラチン、ア
クリル樹脂等の高分子材料が挙げられる。
【0020】また、本発明においては、上記合金微粒子
分散液中に含まれるアルカリ金属イオン、アンモニウム
イオン、多価金属イオン等の陽イオンおよび鉱酸等の無
機陰イオン、酢酸、ギ酸等の有機陰イオン等を脱イオン
して用いることが好ましい。この場合には分散液中のイ
オン量は種々の方法で測定しうるが、例えば、伝導度で
測定した場合に、塗布液の伝導度が500μS/cm以
下、特には200μS/cm以下であることが好まし
い。脱イオンが不充分で液中のイオン量が多くなると、
液中の合金微粒子が凝集し、所定の面抵抗を有する導電
膜が得られなくなるのみならず、得られる膜の外観が悪
化するために好ましくない。
【0021】脱イオンの手法としては特に限定されず、
例えば、限外ろ過、イオン交換等が使用できる。特に得
られた合金微粒子分散液とイオン交換樹脂とを接触する
手法は、合金微粒子分散液の安定性を損なわずに脱塩が
でき好ましい。上記手法で得られる合金微粒子分散液に
おいては合金微粒子の平均一次粒径が100nm以下で
あることが好ましい。これは平均一次粒径が100nm
超では可視光の散乱が増大し膜のヘーズ値が上昇し、画
像表示部の解像度の低下が生じるためである。特に50
nm以下が好ましい。
【0022】合金微粒子分散液はそのままで種々の溶媒
で希釈または置換して本発明の導電膜形成用塗布液とし
て使用できる。この場合に使用する溶媒としては特に限
定されず、水以外にも種々公知の有機溶媒が適用でき
る。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、
ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール等の
多価アルコール類、エチルセロソルブ、メチルセロソル
ブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールメチルエ
ーテル等のエーテル類、2,4−ペンタンジオン、ジア
セトアルコール等のケトン類、乳酸エチル、乳酸メチル
等のエステル類、またはN−メチル−2−ピロリドン等
のアミド類、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫
黄化合物が使用できる。
【0023】導電膜形成用塗布液中の合金微粒子濃度は
0.01〜5重量%、特には0.05〜2重量%となる
ように調整されることが好ましい。5重量%超では形成
される膜の透明性が著しく低下し、0.01重量%未満
では形成される膜の抵抗が上昇するために好ましくな
い。また、塗布液中には膜の透過率または色調等の物性
を変えるために、Sn、In、Sb、Zn、Al、T
i、SiおよびGaからなる群から選ばれる1種以上の
化合物を添加できる。使用する化合物には特に限定はな
いが、SnをドープしたIn23 、Sbをドープした
SnO2 を用いた場合には形成される膜の抵抗を上昇さ
せずに透過率を制御できるために好ましい。
【0024】また、SiO2 、特にケイ酸エチル等を加
水分解して得られるSiO2 ゾルを用いた場合には、塗
布液の塗布性が向上するために好ましい。また、TiO
2 を用いた場合にも、塗布液の塗布性および形成される
膜の色調を制御できるために好ましい。特にTiO2
関しては、窒素原子をチタン原子と酸素原子の合計に対
して0.3〜30重量%含有するTiOx 微粒子(2.
0>x≧1.0)で示される還元TiO2 を用いた場合
には、得られる膜の耐光性向上に効果がある。この窒素
原子含有酸化チタン微粒子は、酸化チタン微粒子または
水酸化チタン微粒子を、窒素ガスまたはアンモニアガス
を含む雰囲気で加熱処理することにより得られる。この
場合の粒子製造時の加熱処理温度は粒径との関係で適宜
決められるが、好ましくは300〜850℃で加熱す
る。
【0025】この窒素原子含有酸化チタン微粒子の窒素
原子含有量は0.3〜30重量%の範囲が好ましく、
0.3重量%未満では紫外線照射時の酸素ラジカルの生
成を低減させがたく、したがって、合金微粒子の励起状
態への移行を抑制する効果が薄い。また、30重量%超
では膜が酸化されやすく、膜自体の耐酸化性が劣化す
る。このような窒素原子含有酸化チタン微粒子の粒径は
一般的には100nm以下であり、好ましくは80nm
以下である。
【0026】これらの窒素原子含有酸化チタン微粒子
は、微粒子またはアルコキシドの加水分解物の形態で前
述の合金微粒子分散液に添加することもでき、また、超
音波分散機、サンドミル等の分散機により分散した液と
して本発明の導電膜形成用塗布液に添加することもでき
る。これらの窒素原子含有酸化チタン微粒子の添加量
は、合金微粒子100重量部当たり0〜50重量部、特
には1〜20重量部の範囲が好ましい。さらに本発明の
導電膜形成用塗布液には、被塗布基体への濡れ性を向上
させるために種々の界面活性剤も添加できる。
【0027】上記で合成した本発明の塗布液の基体上へ
の塗布方法としては、スピンコート、ディップコート、
スプレーコート等の方法が好適である。また、スプレー
コート法を用いて表面に凹凸を形成して膜に防眩効果を
付与してもよく、また、その上にシリカ被膜等のハード
コートを設けてもよい。さらには、本発明の導電膜をス
ピンコートまたはスプレーコートで形成し、その上にS
iアルコキシドを含む溶液をスプレーコートして、表面
に凹凸を有するシリカ被膜のノングレアコートを設けて
もよい。
【0028】本発明における合金微粒子を分散してなる
液を含む導電膜形成用塗布液は、それ自体で基体上への
塗布液として供するために低沸点溶媒を添加した場合
は、室温下の乾燥で塗膜が得られるが、沸点が100〜
250℃の中〜高沸点溶媒を用いる場合には、室温乾燥
では溶媒が塗膜中に残留するために、加熱処理を行う。
加熱温度の上限は基板として用いられるガラス、プラス
チック等の軟化点によって決定される。この点も考慮す
ると加熱温度は100〜500℃が好ましい。
【0029】こうして形成される本発明の導電膜の膜厚
は、その用途によって異なるが、一般には0.01〜
0.3μmが好ましい。導電膜の膜厚が0.01μm未
満では導電性が不充分であり、導電膜の膜厚が0.3μ
m超では膜の光学透過率および強度の点で不充分であ
る。より好ましい膜厚は0.02〜0.1μmである。
【0030】本発明では、光の干渉作用を利用して低反
射導電膜を形成できる。例えば、基体がガラスの場合
(屈折率n=1.52)、上記導電膜の上に、n(導電
膜)/n(低屈折率膜)の比の値が約1.23となるよ
うな、低屈折率膜を形成すると導電膜の反射率を最も低
減させうる。導電膜の反射率の低減には、可視光領域に
おいて、特に、555nmの反射率を低減することが好
ましいが、実用上は反射外観等を考慮して適宜決定する
ことが好ましい。
【0031】かかる2層からなる低反射導電膜の最外層
の低屈折率膜としては、MgF2 ゾルを含む溶液や、S
iアルコキシドを含む溶液のうちから選ばれる1種以上
よりなる溶液を用いて形成できる。膜の屈折率の点から
は上記材料中ではMgF2 が最も低く、反射率低減のた
めにはMgF2 ゾルを含む溶液を用いることが好ましい
が、膜の硬度や耐擦傷性の点ではSiO2 を主成分とす
る膜を形成しうるSiアルコキシドを含む溶液を用いる
ことが好ましい。
【0032】かかる低屈折率膜形成用のSiアルコキシ
ドを含む溶液としては種々のものが使用できるが、Si
(OR)y R’4-y (yは3または4。R、R’はアル
キル基。)で示されるSiアルコキシドまたはそれらの
部分加水分解物を含む液が挙げられる。例えば、Siエ
トキシド、Siメトキシド、Siイソプロポキシド、S
iブトキシドのモノマーまたは重合体が好ましい。
【0033】Siアルコキシドはアルコール、エステ
ル、エーテル等に溶解して用いることもでき、また、前
記溶液に塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、ギ酸、マレイン酸、
フッ酸、またはアンモニア水溶液を添加して加水分解し
て用いることもできる。また、前記Siアルコキシドは
溶媒に対して固形分換算で30重量%以下の量で含まれ
ていることが好ましい。固形分量があまり大きいと保存
安定性が悪いために、かかる固形分量が好ましい。
【0034】こうして形成される低屈折率膜の膜厚は、
その用途によって異なるが、一般的には0.02〜0.
2μmであり、低屈折率膜の膜厚がこの範囲未満でもこ
の範囲を超えても所定の光学特性(低反射性)が得られ
ない。より好ましい膜厚は0.04〜0.1μmであ
る。
【0035】この溶液には膜の強度向上のためにバイン
ダとして、Zr、Ti、Sn、Al等のアルコキシド
や、これらの部分加水分解物を添加して、ZrO2 、T
iO2、SnO2 、Al23 から選ばれる1種以上を
MgF2 またはSiO2 と同時に析出させてもよい。基
体との濡れ性を向上させるために界面活性剤を添加して
もよい。添加される界面活性剤としては、直鎖アルキル
ベンゼンスルホン酸ナトリウムやアルキルエーテル硫酸
エステル等が挙げられる。
【0036】本発明の導電膜の製造方法は、多層干渉効
果による低反射導電膜にも応用できる。反射防止性能を
有する多層の低反射膜の構成としては、反射防止をした
い光の波長をλとして、基体側より、高屈折率層−低屈
折率層を光学厚みλ/2−λ/4、またはλ/4−λ/
4で形成した2層の低反射膜、基体側より中屈折率層−
高屈折率層−低屈折率層を光学厚みλ/4−λ/2−λ
/4で形成した3層の低反射膜、基体側より低屈折率層
−中屈折率層−高屈折率層−低屈折率層を光学厚みλ/
2−λ/2−λ/2−λ/4で形成した4層の低反射膜
等が典型例として知られている。本発明の導電膜は、前
記の中屈折率層や、高屈折率層として使用できる。
【0037】また、ディスプレイ機器、特にTVディス
プレイ、コンピュータディスプレイ等の陰極線管を使用
した表示装置は光の3原色(RGB)により画像を表示
するが、RGBのそれぞれの発光スペクトルは全く独立
ではなく、一部の波長領域において重なりが生じてい
る。
【0038】本発明の合金微粒子を含有する膜は可視光
領域全般にわたって吸収を生じるため、RGBの発光ス
ペクトルの重なり部分自体も吸収し、RGBの重なる波
長領域の光が透過しないため、コントラストの向上にも
寄与し、かつ低反射性にも優れる。
【0039】合金微粒子を含有する本発明の導電膜およ
びその上層に形成されるケイ素化合物を主成分とする膜
よりなる低反射導電膜を形成する基体としては、ブラウ
ン管パネル、複写機用ガラス板、計算機用パネル、クリ
ーンルーム用ガラス、CRTまたはLCD等の表示装置
の前面板等の各種ガラスやプラスチック基板が挙げられ
る。
【0040】
【実施例】次に実施例および比較例を挙げて本発明をさ
らに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されな
い。なお、「%」は「重量%」である。以下の実施例お
よび比較例において、得られた膜の評価方法は次のとお
りである。
【0041】1)導電性:ローレスタ抵抗測定器(三菱
油化製)により膜表面の表面抵抗を測定した。 2)視感反射率:GAMMA分光反射率スペクトル測定
器により多層膜の400〜700nmでの視感反射率を
測定した。
【0042】3)視感透過率:日立製作所製スペクトロ
フォトメータU−3500により380〜780nmで
の視感透過率を測定した。 4)耐擦傷性:1kg荷重下で(LION製消しゴム5
0−50)で膜表面を50回往復後、その表面の傷つき
具合を目視で判断した。評価基準は、○:傷が全くつか
ない、△:傷が多少つく、×:一部に膜剥離が生じる、
とした。
【0043】5)耐候性:センエンジニアリング製フォ
トドライクリーナPL7−200により254nmを主
波長とする紫外線を100時間照射した後での膜の表面
抵抗値を測定した。 6)耐薬品性:5%NaCl液に100時間浸漬した後
の膜の表面抵抗値を測定した。
【0044】また、得られたゾル中の粒子の平均一次粒
径は透過型電子顕微鏡によって測定し、また、凝集粒径
は大塚電子製レーザー回折式粒径測定装置LPA−31
00により測定した。
【0045】(実施例1) 「Ag−Pd合金微粒子分散液の調製」 (1−1)5重量%硝酸パラジウム水溶液7.5gにN
−メチル−2−ピロリドンを3.5g添加した後15分
間撹拌した。この液に10重量%硝酸銀水溶液20gを
添加した後15分間撹拌した。 (1−2)30重量%硫酸鉄水溶液20gに35重量%
クエン酸三ナトリウム水溶液35gを添加し、さらにこ
の液に上記(1−1)で得られた液を添加した。 (1−3)上記(1−2)で得られた液を遠心分離によ
り固液分離後、沈殿物に純水30gを添加して撹拌し
た。この液に10分間超音波照射した後、30重量%ク
エン酸三ナトリウム水溶液を30g添加した。
【0046】(1−4)上記工程(1−3)を2回繰り
返した後、遠心分離により固液分離後、純水35gを添
加し、さらに20分間超音波照射した。 (1−5)上記(1−4)で得られた液に、陽イオン交
換樹脂を添加し15分間撹拌した後、陽イオン交換樹脂
を濾別し、さらに陰イオン交換樹脂を添加して18分間
撹拌した後、陰イオン交換樹脂を濾別し、Ag−Pd合
金微粒子分散液を得た。この分散液のAg−Pd合金微
粒子の平均一次粒径は8nmであり、液中の凝集粒径は
60nm、その固形分濃度は3.5重量%であった(A
1液)。
【0047】「導電膜用塗布液の調製」 (1−6)A1液をエタノールおよび水で希釈し、エタ
ノール重量80%、固形分重量0.27%となるように
調整した(A2液)。 「ケイ素化合物含有液の調製」 (1−7)ケイ酸エチル50gをエタノール200gに
溶解し、撹拌下で濃硝酸1.5gと純水33gとの混合
溶液を滴下し、室温で2時間撹拌してSiO2 濃度4.
9重量%の液を得た(B1液)。このB1液を、プロピ
レングリコールモノメチルエーテル/イソプロパノール
/ジアセトンアルコール=50:40:10(重量比)
の混合溶媒でSiO2 固形分が0.70重量%となるよ
うに希釈した(B2液)。
【0048】「塗布および硬化」 (1−8)A2液25gを、表面温度48℃に加温した
14インチブラウン管パネル表面にスピンコート法で、
硬化時の膜厚が40nmになるよう100rpm、60
秒間の条件で塗布した後、B2液20gをA2液の塗布
時と同一のスピンコート条件で硬化時の膜厚が60nm
になる塗布量で塗布した後、160℃で30分間加熱す
ることにより本発明の導電膜付き陰極線管用ガラスを得
た。この導電膜は、低反射性を有する低反射導電膜であ
る。
【0049】(実施例2) 「Ag−Cu−Pd合金微粒子分散液の調製」 (2−1)5重量%硝酸パラジウム水溶液7.5gにN
−メチル−2−ピロリドンを3.5g添加した後15分
間撹拌した。この液に8重量%硝酸銅水溶液10gを添
加した後15分間撹拌し、さらにこの液に10重量%硝
酸銀水溶液15gを添加した後15分間撹拌した。 (2−2)30重量%硫酸鉄水溶液20gに35重量%
クエン酸三ナトリウム水溶液35gを添加し、さらにこ
の液に上記(2−1)で得られた液を添加した。 (2−3)上記(2−2)で得られた液を遠心分離によ
り固液分離後、沈殿物に純水20gを添加して撹拌し
た。この液に15分間超音波照射した後、30重量%ク
エン酸三ナトリウム水溶液を25g添加した。
【0050】(2−4)上記工程(2−3)を3回繰り
返した後、遠心分離により固液分離後、純水30gを添
加し、さらに30分間超音波照射した。 (2−5)上記(2−4)で得られた液に、陽イオン交
換樹脂を添加し8分間撹拌した後、陽イオン交換樹脂を
濾別し、さらに陰イオン交換樹脂を添加して8分間撹拌
した後、陰イオン交換樹脂を濾別し、Ag−Cu−Pd
合金微粒子分散液を得た。この分散液のAg−Cu−P
d合金微粒子の平均一次粒径は10nmであり、液中の
凝集粒径は98nm、その固形分濃度は2.5重量%で
あった(A3液)。
【0051】「導電膜用塗布液の調製」 (2−6)A3液をエタノールおよび水で希釈し、エタ
ノール重量70%、固形分重量0.27%となるように
調整した(A4液)。 「塗布および硬化」 (2−7)A4液30gを、表面温度48℃に加温した
14インチブラウン管パネル表面にスピンコート法で、
硬化時の膜厚が45nmになるよう100rpm、60
秒間の条件で塗布した後、B2液20gをA4液の塗布
時と同一のスピンコート条件で硬化時の膜厚が60nm
になる塗布量で塗布した後、160℃で30分間加熱す
ることにより本発明の導電膜付き陰極線管用ガラスを得
た。
【0052】(実施例3) 「Ag−Ni合金微粒子分散液の調製」 (3−1)10重量%硝酸ニッケル水溶液7.5gに1
0重量%硝酸銀水溶液20gを添加した後30分間撹拌
した。 (3−2)35重量%クエン酸三ナトリウム水溶液35
gに上記(3−1)で得られた液を添加した後、5重量
%水素化ホウ素ナトリウム水溶液20gを添加した。 (3−3)上記(3−2)で得られた液を遠心分離によ
り固液分離後、沈殿物に純水20gを添加して撹拌し
た。この液に15分間超音波照射した後、30重量%ク
エン酸三ナトリウム水溶液を25g添加した。
【0053】(3−4)上記工程(3−3)を2回繰り
返した後、遠心分離により固液分離後、純水30gを添
加し、さらに30分間超音波照射した。 (3−5)上記(3−4)で得られた液に、陽イオン交
換樹脂を添加し5分間撹拌した後、陽イオン交換樹脂を
濾別し、さらに陰イオン交換樹脂を添加して5分間撹拌
した後、陰イオン交換樹脂を濾別し、Ag−Ni合金微
粒子分散液を得た。この分散液のAg−Ni合金微粒子
の平均一次粒径は12nmであり、液中の凝集粒径は8
5nm、その固形分濃度は2.2重量%であった(A5
液)。
【0054】「導電膜用塗布液の調製」 (3−6)(A5液)をエタノールおよび水で希釈し、
エタノール重量70%、固形分重量0.27%となるよ
うに調整した(A6液)。 「塗布および硬化」 (3−7)A6液30gを、表面温度48℃に加温した
14インチブラウン管パネル表面にスピンコート法で、
硬化時の膜厚が45nmになるよう100rpm、60
秒間の条件で塗布した後、B2液20gをA6液の塗布
時と同一のスピンコート条件で硬化時の膜厚が60nm
になる塗布量で塗布した後、160℃で30分間加熱す
ることにより本発明の導電膜付き陰極線管用ガラスを得
た。
【0055】(実施例4) 「Pd−Ru合金微粒子分散液の調製」 (4−1)6.5重量%塩化パラジウム水溶液7.5g
にN−メチル−2−ピロリドンを2.5g添加した後1
5分間撹拌した。この液に3.6重量%塩化ルテニウム
水溶液15gを添加した後15分間撹拌した。 (4−2)35重量%クエン酸三ナトリウム水溶液35
gに上記(4−1)で得られた液を添加した後、5重量
%水素化ホウ素ナトリウム水溶液40gを添加した。 (4−3)上記(4−2)で得られた液を遠心分離によ
り固液分離後、沈殿物に純水20gを添加して撹拌し
た。この液に15分間超音波照射した後、30重量%ク
エン酸三ナトリウム水溶液を10g添加した。
【0056】(4−4)上記工程(4−3)を2回繰り
返した後、遠心分離により固液分離後、純水30gを添
加し、さらに30分間超音波照射した。 (4−5)上記(4−4)で得られた液に、陽イオン交
換樹脂を添加し5分間撹拌した後、陽イオン交換樹脂を
濾別し、さらに陰イオン交換樹脂を添加して5分間撹拌
した後、陰イオン交換樹脂を濾別し、Pd−Ru合金微
粒子分散液を得た。この分散液のPd−Ru合金微粒子
の平均一次粒径は13nmであり、液中の凝集粒径は7
5nm、その固形分濃度は1.8重量%であった(A7
液)。
【0057】「導電膜用塗布液の調製」 (4−6)A7液をエタノールおよび水で希釈し、エタ
ノール重量70%、固形分重量0.27%となるように
調整した(A8液)。 「塗布および硬化」 (4−7)A8液30gを、表面温度48℃に加温した
14インチブラウン管パネル表面にスピンコート法で、
硬化時の膜厚が45nmになるよう100rpm、60
秒間の条件で塗布した後、B2液20gをA8液の塗布
時と同一のスピンコート条件で硬化時の膜厚が60nm
になる塗布量で塗布した後、160℃で30分間加熱す
ることにより本発明の導電膜付き陰極線管用ガラスを得
た。
【0058】(実施例5) 「Au−Pd合金微粒子分散液の調製」 (5−1)6.5重量%塩化パラジウム水溶液7.5g
にN−メチル−2−ピロリドンを2.5g添加した後1
5分間撹拌した。この液に3重量%塩化金酸水溶液20
gを添加した後15分間撹拌した。 (5−2)30重量%硫酸鉄水溶液20gに35重量%
クエン酸三ナトリウム水溶液35gを添加し、さらにこ
の液に上記(5−1)で得られた液を添加した。 (5−3)上記(5−2)で得られた液を遠心分離によ
り固液分離後、沈殿物に純水30gを添加して撹拌し
た。この液に10分間超音波照射した後、30重量%ク
エン酸三ナトリウム水溶液を30g添加した。
【0059】(5−4)上記工程(5−3)を3回繰り
返した後、遠心分離により固液分離後、純水35gを添
加し、さらに30分間超音波照射した。 (5−5)上記(5−4)で得られた液に、陽イオン交
換樹脂を添加し15分間撹拌した後、陽イオン交換樹脂
を濾別し、さらに陰イオン交換樹脂を添加して18分間
撹拌した後、陰イオン交換樹脂を濾別し、Au−Pd合
金微粒子分散液を得た。この分散液のAu−Pd合金微
粒子の平均一次粒径は5nmであり、液中の凝集粒径は
52nm、その固形分濃度は3.5重量%であった(A
9液)。
【0060】「導電膜用塗布液の調製」 (5−6)A9液をエタノールおよび水で希釈し、エタ
ノール重量80%、固形分重量0.25%となるように
調整した(A10液)。 「塗布および硬化」 (5−7)A10液35gを、表面温度48℃に加温し
た14インチブラウン管パネル表面にスピンコート法
で、硬化時の膜厚が50nmになるよう100rpm、
60秒間の条件で塗布した後、B2液20gをA2液の
塗布時と同一のスピンコート条件で硬化時の膜厚が60
nmになる塗布量で塗布した後、160℃で30分間加
熱することにより本発明の導電膜付き陰極線管用ガラス
を得た。
【0061】(実施例6) 「Pt−Pd合金微粒子分散液の調製」 (6−1)6.5重量%塩化パラジウム水溶液7.5g
にN−メチル−2−ピロリドンを2.5g添加した後1
5分間撹拌した。この液に3重量%塩化白金酸水溶液1
5gを添加した後15分間撹拌した。 (6−2)30重量%硫酸鉄水溶液20gに35重量%
クエン酸三ナトリウム水溶液35gを添加し、さらにこ
の液に上記(6−1)で得られた液を添加した。 (6−3)上記(6−2)で得られた液を遠心分離によ
り固液分離後、沈殿物に純水30gを添加して撹拌し
た。この液に10分間超音波照射した後、30重量%ク
エン酸三ナトリウム水溶液を30g添加した。
【0062】(6−4)上記工程(6−3)を4回繰り
返した後、遠心分離により固液分離後、純水35gを添
加し、さらに60分間超音波照射した。 (6−5)上記(6−4)で得られた液に、陽イオン交
換樹脂を添加し5分間撹拌した後、陽イオン交換樹脂を
濾別し、さらに陰イオン交換樹脂を添加して5分間撹拌
した後、陰イオン交換樹脂を濾別し、Pt−Pd合金微
粒子分散液を得た。この分散液のPt−Pd合金微粒子
の平均一次粒径は6nmであり、液中の凝集粒径は63
nm、その固形分濃度は2.1重量%であった(A11
液)。
【0063】「導電膜用塗布液の調製」 (6−6)A11液をエタノールおよび水で希釈し、エ
タノール重量80%、固形分重量0.25%となるよう
に調整した(A12液)。 「塗布および硬化」 (6−7)A12液35gを、表面温度48℃に加温し
た14インチブラウン管パネル表面にスピンコート法
で、硬化時の膜厚が55nmになるよう100rpm、
60秒間の条件で塗布した後、B2液20gをA2液の
塗布時と同一のスピンコート条件で硬化時の膜厚が60
nmになる塗布量で塗布した後、160℃で30分間加
熱することにより本発明の導電膜付き陰極線管用ガラス
を得た。
【0064】(実施例7) 「窒素を含有するTiOx (1.0≦x<2.0)微粒
子分散液の調製」 (7−1)窒素を3重量%含有するTiOx (1.0≦
x<2.0)微粒子15gをあらかじめpH3.5に調
整した水溶液85g中に添加してサンドミルで4時間粉
砕し、90℃で1時間加熱した。 (7−2)上記(7−1)で得られた液に、陽イオン交
換樹脂を添加し30分間撹拌した後、陽イオン交換樹脂
を濾別し、さらに陰イオン交換樹脂を添加して30分間
撹拌した後、陰イオン交換樹脂を濾別し、蒸留水で濃度
10重量%に調整し、平均凝集粒径43nmの分散液を
得た。この分散液に水を添加して、固形分3.5重量%
となるように調整した(C1液)。
【0065】「導電膜用塗布液の調製」 (7−3)実施例1に記載のA1液と上記C1液をA1
液:C1液=20:1となるように混合した後、30分
間超音波分散処理を行い、その後エタノールおよび水で
希釈し、エタノール重量80%、固形分重量0.30%
となるように調整した(A13液)。
【0066】「塗布および硬化」 (7−4)A13液35gを、表面温度48℃に加温し
た14インチブラウン管パネル表面にスピンコート法
で、硬化時の膜厚が40nmになるよう100rpm、
60秒間の条件で塗布した後、B2液20gをA13液
の塗布時と同一のスピンコート条件で硬化時の膜厚が6
0nmになる塗布量で塗布した後、160℃で30分間
加熱することにより本発明の導電膜付き陰極線管用ガラ
スを得た。
【0067】(実施例8) 「ケイ素化合物含有液の調製」 (8−1)ケイ酸エチル35gをエタノール215gに
溶解し、撹拌下で濃硝酸1.5gと純水33gとの混合
溶液を滴下し、室温で2時間撹拌してSiO2 濃度3.
5重量%の液を得た(B3液)。
【0068】「導電膜用塗布液の調製」 (8−2)実施例1記載のA1液と実施例7記載のC1
液と上記B3液をA1液:C1液:B3液=50:3:
47となるように混合した後、30分間超音波分散処理
を行い、その後エタノールおよび水で希釈し、エタノー
ル重量70%、固形分重量1.1%となるように調整し
た(A14液)。
【0069】「塗布および硬化」 (8−3)A14液35gを、表面温度48℃に加温し
た14インチブラウン管パネル表面にスピンコート法で
100rpm、60秒間の条件で塗布した後160℃で
30分間加熱することにより本発明の導電膜付き陰極線
管用ガラスを得た。
【0070】(比較例1) (9−1)10重量%硝酸銀水溶液20gに29%NH
3 水溶液3gを添加した後10分撹拌した(D1液)。 (9−2)9重量%ブドウ糖水溶液100gに0.8重
量%酒石酸水溶液100gを添加し、さらにエタノール
を20g添加した(D2液)。 (9−3)上記D1液とD2液を混合後直ちに、表面温
度48℃に加温した14インチブラウン管パネル表面に
スピンコート法で100rpm、60秒間の条件で50
gを塗布し、成膜した後、蒸留水1リットルを同様に1
00rpm、600秒間かけ、膜を洗浄し、その上にB
2液20gをA13液の塗布時と同一のスピンコート条
件で塗布した後、160℃で30分間加熱することによ
り導電膜付き陰極線管用ガラスを得た。
【0071】(比較例2) (10−1)30重量%硫酸鉄水溶液20gに35重量
%クエン酸三ナトリウム水溶液35gを添加し、さらに
この液に10重量%硝酸銀水溶液25gを添加した。 (10−2)上記(10−1)で得られた液を遠心分離
により固液分離後、沈殿物に純水30gを添加して撹拌
した。この液に5分間超音波照射した後、30重量%ク
エン酸三ナトリウム水溶液を25g添加した。
【0072】(10−3)上記工程(10−2)を4回
繰り返した後、遠心分離により固液分離後、純水35g
を添加し、さらに20分間超音波照射した。 (10−4)上記(10−3)で得られた液に、陽イオ
ン交換樹脂を添加し30分間撹拌した後、陽イオン交換
樹脂を濾別し、さらに陰イオン交換樹脂を添加して30
分間撹拌した後、陰イオン交換樹脂を濾別し、Ag微粒
子分散液を得た。この分散液のAg微粒子の平均一次粒
径は10nmであり、液中の凝集粒径は75nm、その
固形分濃度は3.5重量%であった(E1液)。
【0073】「導電膜用塗布液の調製」 (10−5)(E1液)をエタノールおよび水で希釈
し、エタノール重量80%、固形分重量0.27%とな
るように調整した(E2液)。 「塗布および硬化」 (10−6)E2液20gを、表面温度45℃に加温し
た14インチブラウン管パネル表面にスピンコート法
で、硬化時の膜厚が42nmになるよう100rpm、
60秒間の条件で塗布した後、B2液20gをE2液の
塗布時と同一のスピンコート条件で硬化時の膜厚が60
nmになる塗布量で塗布した後、160℃で30分間加
熱することにより導電膜付き陰極線管用ガラスを得た。
【0074】(比較例3) (11−1)塩化インジウムと塩化スズをIn/Sn=
85/15となるように混合し、アンモニア水でpH1
0に調整し50℃に保持した溶液中に添加し、水酸化物
を沈殿析出させた。この沈殿物を洗浄濾別し、100℃
で12時間乾燥後450℃3時間5%水素95%アルゴ
ン雰囲気下で焼成し、ITO微粒子を得た。この微粒子
をサンドミルで2時間湿式解膠粉砕した。解膠粉砕後の
液中の平均凝集粒径は65nmであった。その後濃縮を
行い、濃度6.8重量%の液を得た(F1液)。
【0075】「導電膜用塗布液の調製」 (11−2)F1液をエタノールおよび水で希釈し、エ
タノール重量80%、固形分重量2.5%となるように
調整した(F2液)。 「塗布および硬化」 (11−3)F2液30gを、表面温度45℃に加温し
た14インチブラウン管パネル表面にスピンコート法
で、硬化時の膜厚が120nmになるよう100rp
m、60秒間の条件で塗布した後、B2液20gをE2
液の塗布時と同一のスピンコート条件で硬化時の膜厚が
60nmになる塗布量で塗布した後、160℃で30分
間加熱することにより導電膜付き陰極線管用ガラスを得
た。
【0076】[評価結果]実施例1〜8および比較例1
〜3で得られた各導電膜の種類および物性を表1〜3に
示す。表において2E2は2×102 を意味し、他も同
様である。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
【発明の効果】本発明によれば、従来技術が有していた
種々の欠点を解消し、耐候性、耐薬品性に優れかつ実用
上充分な膜強度、電磁波シールド能を有し、さらには反
射防止効果にも優れた導電膜を形成できる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Ag、Ru、Pt、Pd、Ni、Cuおよ
    びAuからなる群から選ばれる2種以上の金属元素より
    なる合金微粒子分散体を含むことを特徴とする導電膜形
    成用塗布液。
  2. 【請求項2】合金微粒子の平均一次粒径が100nm以
    下である請求項1記載の導電膜形成用塗布液。
  3. 【請求項3】窒素原子をチタン原子と酸素原子の合計に
    対して0.3〜30重量%含有するTiOx 微粒子
    (2.0>x≧1.0)および/またはケイ素化合物を
    さらに含むことを特徴とする請求項1または2記載の導
    電膜形成用塗布液。
  4. 【請求項4】請求項1、2または3記載の導電膜形成用
    塗布液を、基体上に塗布し、硬化させて形成することを
    特徴とする導電膜の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1、2または3記載の導電膜形成用
    塗布液を基体上に塗布して形成されてなることを特徴と
    する導電膜。
  6. 【請求項6】請求項5記載の導電膜の上に該導電膜の屈
    折率よりも低屈折率の膜が積層されて低反射性を有する
    ことを特徴とする導電膜。
  7. 【請求項7】請求項5または6記載の導電膜が表面に形
    成されてなることを特徴とするガラス物品。
  8. 【請求項8】請求項5または6記載の導電膜が表面に形
    成されてなることを特徴とする陰極線管用のガラス。
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