JPH10237429A - 表面処理材、表面処理方法及び表面処理品 - Google Patents

表面処理材、表面処理方法及び表面処理品

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JPH10237429A
JPH10237429A JP34612697A JP34612697A JPH10237429A JP H10237429 A JPH10237429 A JP H10237429A JP 34612697 A JP34612697 A JP 34612697A JP 34612697 A JP34612697 A JP 34612697A JP H10237429 A JPH10237429 A JP H10237429A
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JP
Japan
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surface treatment
metal oxide
treated
metal
oxide layer
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Pending
Application number
JP34612697A
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English (en)
Inventor
Soichiro Tsujimoto
聡一郎 辻本
Kenichi Tanigawa
健一 谷川
Yutaka Nakazono
豊 中薗
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
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Publication date
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  • Materials Applied To Surfaces To Minimize Adherence Of Mist Or Water (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 被処理物に対してフッ素樹脂コーティングお
よび従来の親水性コーティングでは不十分な表面処理の
効果を向上させる事のできる表面処理技術を提供するこ
と。 【解決手段】 有機金属化合物と金属酸化物微粒子を含
有する表面処理材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被処理物の表面処
理材、及び、被処理物の表面処理方法に関し、具体的に
は、例えば、食器洗浄・乾燥器、食器、シンク、浴室、
浴槽、浴室用具、洗濯槽、洗面台、トイレ手洗いの水使
用側面等の被処理物に付着する水滴の乾燥を促進させる
ための表面処理、蒸発面の水の蒸発を促進させるための
表面処理、鏡、窓ガラス、ゴーグル、ディスプレーパネ
ル、レンズ等の被処理物の表面を曇りにくくするための
表面処理、熱交換機用フィン等の被処理物に水滴が付着
しても、その水滴が被処理物に付着したままになるのを
防止し、前記被処理物表面の有効面積を大きく確保する
ための表面処理を行う技術に関し、さらには、これらの
表面処理品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、被処理物に種々の表面処理を行う
技術が知られている。たとえば、被処理物をフッ素樹脂
コーティングするなどの撥水加工を施し、なるべく水滴
が付着しないようにすることにより、蒸発させるべき水
分量を少なくし、迅速に乾燥させる、あるいは、付着す
る微細な水滴が曇りにならないようにし、曇り止め効果
を発揮させる、あるいは、被処理物表面上で水滴が玉状
になって流れ落ちるのを利用し、なるべく水滴が被処理
物表面上に付着したままになるのを防止し、被処理物表
面の有効面積を大きく確保するという手法が行われてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の技術に
よれば、乾燥を促進させる目的でフッ素樹脂コーティン
グを行うと、凝縮した水分の流下により、蒸発させるべ
き水分量は確かに減少させることが出来るのであるが、
蒸発すべき水分は凝集し、表面張力により体積の割には
表面積が小さい水滴となった状態になるため、乾燥に要
する時間は大きな(あるいは蒸発のおきにくい)水滴に
依存することになり、水滴をはじいた被処理物表面は迅
速に乾燥するものの水滴が残存してしまった部分につい
ては、やはり乾燥に時間を要するという状況はあまり改
善されていない場合が多く、また、曇り止めの目的にあ
っては、被処理物に対する水蒸気の凝結に基づく曇り防
止にはそれなりの効力を発揮するものの、被処理物に対
して一度に大量の水分が接触したときに生じる水滴に対
しては比較的非力で、水滴の流下した跡に微細な水滴の
すじが出来、視認性が低下するという問題点はなお残っ
ていた。また、水滴の付着防止の目的にあっては、被処
理物の表面に付着した水滴が、幅狭のフィンの間にブリ
ッジを形成するなどすると、水滴がそのまま保持されて
しまう。この状態では、ブリッジを形成した前記水滴は
玉状にならず、前記被処理物の表面から流れ落ちにくい
ために、前記被処理物の表面に維持されたままになり、
前記被処理物表面から除去されず、前記被処理物の表面
を覆ったままになって、その被処理物の表面の有効面積
が小さくなってしまうという欠点があり、さらに水滴の
発生しにくくするための技術が望まれている。
【0004】従って、本発明の課題は、上記実情に鑑
み、被処理物に対してフッ素樹脂コーティング等では不
十分な表面処理の効果を向上させる事のできる、従来よ
り格段に水濡れ性の高い表面処理技術を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、有機金属
化合物と金属酸化物微粒子を含有する処理液を、所定温
度に加熱処理すると、金属酸化物微粒子の凝集体を含有
したきわめて水濡れ性の高い多孔質材料を形成できるこ
とを見いだした。そこで、被処理物の表面に、前記処理
液(ここに、特に断らなければ、単に処理液と言えば有
機金属化合物と金属微粒子を含有する処理液を言うもの
とし、下地処理液については単に処理液とは言わないも
のとする。)をコーティングし、例えば50℃以上70
0℃以下の温度に加熱すると、前記被処理物の表面に多
孔質の金属酸化物層を形成することができ、前記被処理
物の表面を高い親水性を有するものに改質する事ができ
るのである。尚、50℃以上、より好ましくは150℃
以上の温度に加熱するのは、50℃以下では反応が不充
分であり、多孔質の金属酸化物の形成が十分でなく濡れ
性が悪くなり、また、700℃を超えると多孔質構造が
変化し、熱伝達率が向上しにくくなるうえに、加熱処理
に要するコストが嵩むという不都合を生じるからであ
る。尚、さらに好ましくは、200℃以上500℃以
下、さらに好ましくは、250℃以上400℃以下で加
熱処理を行うことが好適である。加熱処理の雰囲気とし
て被処理物の酸化を防止する必要がある場合、不活性ガ
ス雰囲気、空気より酸素濃度を下げた雰囲気が望まし
い。
【0006】すなわち、この多孔質の金属酸化物層は、
表面に開口した多数の孔部を有し、金属酸化物層の表面
開口部から、付着した水が表面張力によって浸透し、そ
のため水と金属酸化物層との接触角が小さくなり、水が
薄層状に広がる。そのため、広がった水は表面積が大き
くなって、外気及び被処理物から気化熱を受けやすくな
るため、その水は蒸発しやすくなる。従って、前記表面
処理材を乾燥促進用表面処理材に用いると前記被処理物
は、急速に乾燥しやすく、乾燥が促進されるのである。
また、この多孔質の金属酸化物層は、金属酸化物層の表
面開口部から、付着した水が表面張力によって浸透す
る。そのため、多孔質構造の内部に水分が浸透しきるま
で被処理物の曇りを防止することが出来るのである。ま
た、水と金属酸化物層との接触角が小さくなり、水が薄
層状に広がる。そのため、広がった水は表面積が大きく
なって、外気から気化熱を受けやすくなるため、その水
は蒸発しやすくなる。従って、本発明の曇り止め用表面
処理材を用いると、前記被処理物は、水分を浸透させつ
つ乾燥させられるので、尚一層曇りにくくなるのであ
る。また、金属酸化物層の表面開口部から、付着した水
が表面張力によって浸透し、そのため水と金属酸化物層
との接触角が小さくなり、水が薄層状に広がる。そのた
め、その水は嵩高いものとはなりにくく、水滴となって
残存しにくくなる。広がり表面積が大きくなると、外気
から気化熱を受けやすくなるため、その水は蒸発しやす
くなり、本発明の水滴付着防止用表面処理材を用いる
と、水分が付着した状況に基づく不都合についても容易
に解消することが出来る。
【0007】そのため、このような表面処理材を用いた
乾燥促進用表面処理方法を、食器洗浄・乾燥器、食器、
シンク、浴室、浴槽、浴室用具、洗濯槽、洗面台、トイ
レ手洗い等、使用に伴い水分との接触が頻繁に起こり、
かつ、次の使用時には、乾燥していることが望まれるよ
うな被処理物に適用すれば、その表面処理品を快適に利
用することが出来るようになって有効である。
【0008】また同様に、自動車部品、自転車、エクス
テリア、物干し竿等、雨水のかかる被処理物に適用すれ
ば、使用時に乾燥した状態がえられやすく、快適に利用
しやすいという効果に加えて、被処理物への水滴の接触
角がほとんど0℃であるため、付着した水分が特定の形
状の水滴となってその水滴の周りに汚れを蓄積してしま
うことを抑制でき、水滴の付着した形状に汚れが付着し
て見苦しくなるようなことがおきにくい。
【0009】また、このような表面処理材を用いた曇り
止め用表面処理方法を、鏡、窓ガラス、ゴーグル、ディ
スプレーパネル、レンズ等、使用に伴い水分との接触が
頻繁に起こり、かつ、次の使用時には、乾燥しているこ
とが望まれるような被処理物に適用すれば、快適に利用
することが出来るようになって有効である。
【0010】また、このような表面処理材を用いた水滴
付着防止用表面処理方法を、冷蔵庫の冷却用フィン、エ
アコンの室内機用フィン、室外機用フィン、放冷装置用
フィン等の熱交換機用フィン等、使用中に、たとえば結
露に伴い水分が付着することがあり、かつ、使用時に
は、水分の付着していない有効面積の大きな状態を維持
したいような被処理物に適用すれば、水分が滴状になら
ず薄膜化するために有効表面積を大きく維持しやすいの
で冷却効率の大きなものが得られるので有効である。ま
た、水滴により空気の通路が減少しないため、圧力損失
も大きくならない。
【0011】さらに、本発明者らは、有機金属化合物を
含有する下地処理液を、被処理物表面にコーティング
し、前記処理液により形成する金属酸化物層と被処理物
表面との間に介在させておけば、前記金属酸化物層と前
記被処理物表面との密着性をより強固にできることも見
いだした。このようなコーティングをしておけば、前記
金属酸化物層を、被処理物の表面の改質に用いたとして
も、前記金属酸化物層を剥離しにくい強固なものに形成
できて、耐久性の高い改質を行うことができるのであ
る。尚、ここで前記下地処理液を、コーティングしてか
ら、処理液を用いて金属酸化物層を形成するには、前記
下地処理液のコーティングを加熱処理することが好まし
い。ただし、表面処理プロセスを簡易化する点から下地
処理液と処理液をコーティングした後加熱処理をしても
よい。そこで、有機金属化合物を含有する下地処理液
を、被処理物表面にコーティングしたのち、前記金属酸
化物層を形成してもよく、このようにすることにより、
前記金属酸化物層の被処理物表面に対する密着性が向上
し、かつ、コーティング後の加熱処理による金属製の被
処理物の腐食等も抑制できるからである。尚、ここで前
記下地処理液を、コーティングしてから、処理液を用い
て金属酸化物層を形成するには、前記下地処理液のコー
ティングを加熱処理することが好ましい。ただし、表面
処理プロセスを簡易化する点から下地処理液と処理液を
コーティングした後加熱処理をしてもよい。また、加熱
処理の温度は各処理液に含まれる有機金属化合物が縮重
合して金属酸化物を生成する温度を適宜選択すればよ
い。なお、処理液を構成する金属酸化物微粒子は加熱に
よってもそのまま化学反応をしないで、金属酸化物微粒
子の凝集体として多孔質金属酸化物層を構成することと
なる。また、下地処理液のコーティングを行わなくて
も、処理液のコーティングを小さい膜厚で形成(好まし
くは0.5μm以下)した後加熱処理し、さらに処理液
のコーティングと加熱処理を行うことにより密着性の高
い多孔質の金属酸化物層を形成することができる。
【0012】前記処理液の有機金属化合物(金属酸化物
換算)と金属酸化物微粒子との含有比率が1:5〜5:
1であれば、得られる金属酸化物層が表面に開口した多
孔質で濡れ性の高いものとなり、しかも、被処理物との
高い密着性も確保でき、処理液を取り扱い容易な粘度の
ものにできるので好ましい。尚、さらには、1:2〜
2:1であることがより望ましい。
【0013】また、前記有機金属化合物が金属アルコキ
シド、金属アセチルアセトネート、金属カルボキシレー
トから選ばれる少なくとも一種以上の化合物であっても
よく、具体的には、前記金属アルコキシドが、ジルコニ
ウム、アルミニウム、ケイ素、チタンから選ばれる少な
くとも一種以上の金属と、メトキシル、エトキシル、プ
ロポキシル、ブトキシルから選ばれる少なくとも一種以
上のアルコキシドとから構成されるもの、あるいは、前
記金属アセチルアセトネートが、インジウムアセチルア
セトネート、あるいは、前記金属カルボキシレートが、
酢酸鉛であってもよい。
【0014】具体的には、前記金属アルコキシドとして
は、テトラエトキシシラン(TEOS,(C2 5 O)
4 Si)、テトラエトキシチタン((C2 5 O)4
i)、テトラエトキシジルコニウム((C2 5 O)4
Zr)等の金属エトキシド、ペンタプロポキシタンタル
((C3 7 O)5 Ta)等の金属プロポキシド、ある
いは、ポリテトラエトキシシラン(PTEOS,(C2
5 O)((C2 5O)2 SiO)n (C2 5 ))
等の金属アルコキシド縮重合物等が挙げられ、また、前
記金属アセチルアセトネートとしては、インジウムアセ
チルアセトネート(In(acac)3 )、鉄アセチル
アセトネート(Fe(acac)3 )等が挙げられ、特
に好ましい例として、テトラ(n−ブトキシ)ジルコニ
ウム((n−C4 9 O)4 Zr)、テトラエトキシジ
ルコニウム((C2 5 O)4 Zr)、トリブトキシア
ルミニウム((C4 9 O)3 Al)、トリイソプロポ
キシアルミニウム((i−C3 7 O)3 Al)ポリテ
トラエトキシシラン(PTEOS)、テトラエトキシシ
ラン(TEOS)、テトラエトキシチタン((C25
O)4 Ti)が挙げられる。
【0015】また、前記金属カルボキシレートとして
は、酢酸鉛((CH3 COO)2 Pb)等が挙げられ、
加熱処理により金属酸化物を形成できるものを用いれば
よい。また、このような有機金属化合物に対応する金属
酸化物粒子、たとえば酸化珪素(SiO2 )、酸化アル
ミニウム(Al2 3 )、酸化チタン(TiO2 )、酸
化インジウム(In2 3 )、酸化ジルコニウム(Zr
2 )、酸化タンタル(Ta2 5 )、酸化鉄(Fe
O,Fe2 3 、Fe3 4 )等を含む少なくとも一種
の金属酸化物粒子を混合した状態で加熱処理を行うと多
孔質で親水性の高い金属酸化物層を形成できるのであ
る。より好ましくは、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸
化チタン、酸化ジルコニウムから選ばれる少なくとも一
種以上が用いられる。
【0016】また、この種の処理液あるいは下地処理液
の溶媒もしくは分散媒としては、メタノール・エタノー
ル・プロパノール・ブタノール等のアルコール類、酢酸
エチル、エチレンオキシド、エチレングリコール、トリ
エタノールアミン、キシレン等の有機溶媒を用いること
ができ、有機金属化合物の溶解度等にあわせて適宜選択
すればよいが、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、イソプロパノール、ブタノールあるいはこれらの混
合物が好適に用いられ、特にエタノールを主成分とする
ものを用いれば、沸点が低いために施工時の乾燥速度が
はやい、毒性が少ない等の面から好ましい。尚、溶媒も
しくは分散媒に水を含有させる場合には、有機金属化合
物を加水分解させる当量以下、つまり、有機金属化合物
を全て加水分解できる量を最大限として、それ以下にす
ることが好ましく、具体的には2/3当量以下とするこ
とが好ましい。また前記加水分解を進める上で1/10
当量以上が望ましい。
【0017】具体的には、前記金属酸化物微粒子が直径
20Å以上1000Å以下であることが好ましい。とい
うのは、直径20Å以下では、金属酸化物層は十分に多
孔質構造にならない。また1000Å以上では多孔質層
ができるが膜の強度が小さくなり、剥離しやすくなるか
らである。尚、さらに望ましくは50Å〜500Åであ
ることが好ましく、この範囲のものが前記処理液に対す
る前記金属酸化物の分散性や前記処理液自体の粘度の調
整等に役立つからである。
【0018】前記処理液が熱分解型発泡剤を含有してい
てもよい。その熱分解型発泡剤としては、アゾジカルボ
ンアミド(ADCA,C2 4 4 2 )、アゾビスイ
ソブチロニトリル(AIBN,C8 124 )、パラト
ルエンスルホニルヒドラジド(TSH,C7 102
2 S)、N,N−ジニトロソペンタメチレンテトラミン
(DPT,C5 106 2 )、p,p’−オキシビス
(ベンゼンスルホヒドラジド)(OBSH,C1214
4 5 2 )等が挙げられ、このような熱分解型発泡剤
を用いると生成する多孔質構造の気孔率等の調整がしや
すいので有利である。
【0019】また、処理液等のコーティングは必要に応
じて複数回行ない、所望の膜厚を得るようにしてもよ
い。複数回コーティングを繰り返す場合には、各コーテ
ィング工程の間に乾燥工程を設けることが好ましく、こ
の乾燥工程により、前記被覆層の密着性を向上させるこ
とが出来る。乾燥工程は、室温にて自然乾燥しても良い
し、温風、熱風による強制乾燥であっても良い。尚、処
理液等をディップコーティングする際には、その処理液
等の組成にも依存するが、15℃〜30℃の環境で行う
ことが好ましい。というのは、15℃以下では、コーテ
ィング作業後に水分が凝縮しやすく、その凝縮した水分
によりコーティング不良や強度低下を招来するような不
都合を生じやすくなり、また、30℃以上では、処理液
等の劣化が速く、実用上の問題となり易いためであり、
上記環境が、このような水分の凝縮による不都合、処理
液の劣化等を回避する上で有効である。ただし、コーテ
ィング方法は、前記ディップコーティングに限らない。
【0020】また、前記処理液や下地処理液には、耐食
性改良のために、硝酸鉄、硝酸ニッケル等の金属塩や、
縮重合を促進するのための触媒として、塩酸、硫酸、硝
酸、酢酸、フッ化水素酸、アンモニア等の酸、アルカリ
を添加することが好ましい。中でも酢酸、塩酸が好まし
い。また同様に、前記処理液や下地処理液には、安定剤
としてアセト酢酸エチル、アセチルアセトン等のキレー
ト剤を配合しても良く、有機金属化合物としてジルコニ
ウムアルコキシドや、アルミニウムアルコキシドを採用
する場合に特に有効である。
【0021】尚、被処理物表面には、多孔質の金属酸化
物層を形成してあれば良く、また、有機金属化合物を含
有する下地処理液を、被処理物表面にコーティングした
後、前記金属酸化物層を形成してあってもよく、多孔質
金属酸化物層が金属酸化物微粒子群を含んでもよく、ま
た、前記金属酸化物微粒子が、酸化珪素、酸化アルミニ
ウム、酸化チタン、酸化インジウム、酸化ジルコニウ
ム、酸化タンタル、酸化鉄から選ばれる少なくとも一種
以上の化合物であってもよく、より好ましくは、酸化珪
素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム
から選ばれる少なくとも一種以上が用いられる。
【0022】尚、金属酸化物層の厚さとしては0.05
μm以上50μm以下であることが望ましく、さらに
は、0.2〜10μmであることがより好ましい。とい
うのは、薄いと冷媒の浸透による濡れ性が不十分になり
やすく、分厚いと剥離しやすくなるからである。
【0023】前記金属酸化物層が、その金属酸化物層を
水平保持したときの0.01mlの水が水平方向へ濡れ
広がる濡れ幅が10mm以上のものであれば、濡れ性と
して優れた性能であると言え好ましく、さらに、この濡
れ幅は、15mm以上であることが望ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態につい
て説明する。尚、下記に示す処理液、下地処理液として
は、表1、2に示す種々の組成のものを用いた。また、
表中NSi−500とあるものは、日本曹達(株)製ア
トロンNSi−500をさし、有機珪素化合物の縮重合
体をSiO2 換算で5%含有する有機溶液であり、他の
ものも同様に表3の組成のものである。また、化合物の
組成で示す物は、標準的な試薬類から調整した。尚、被
処理物1aに金属酸化物層1cを形成した表面処理品1
の構成を図1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】〈1〉陶磁器製のタイルの表面側に表1お
よび2の条件で表面を改質して浴室用タイルを得た。
【0029】その結果、表2のNo.1,5,6,10
〜15,17〜34,36,38,39のタイルは強度
が大きく表面に付着した水の接触角がほぼ0°になるこ
とが分かり、付着した水滴は、多孔質の金属酸化物層
に、毛細管現象により拡散しつつ広がり、大きな表面積
になるため、周囲から気化熱を受けやすくなり、素早く
蒸発することが分かった。同表の他のタイルは形成した
金属酸化物の剥離強度が小さいかあるいは表面に付着し
た水の接触角が大きく、水滴の広がりは小さいことがわ
かった。
【0030】同様の状況の得られる用途としては、浴室
内で用いられる浴槽、浴室用具等にも適用できる。
【0031】〈2〉食器洗浄・乾燥器の内面の塗装面を
前記下地処理液及び処理液を用いてコーティングした。
その結果、表2のNo.1,5,6,10〜15,17
〜34,36,38,39の金属酸化物層については水
滴の蒸発が迅速に行われるようになった。また、このよ
うな場合に、前記金属酸化物層は、前記乾燥器の繰り返
し使用に対しても高い耐久性を示し、熱により剥離する
などの不都合は生じなかった。同表の他の金属酸化物層
については剥離強度が小さいかあるいは表面に付着した
水の接触角が大きく水滴の蒸発が迅速に行なわれなかっ
た。
【0032】〈3〉陶磁器製の食器に対しても同様のコ
ーティングを施したところ、やはり、表2No.1,
5,6,10〜15,17〜34,36,38,39に
ついては同様に迅速に乾燥しやすい食器を得ることが出
来た。また、金属製の食器、樹脂製の食器についても同
様の効果が得られることがわかった。
【0033】〈4〉流し台の金属製シンク表面に対して
も同様のコーティングを施したところ、やはり、表2の
No.1,5,6,10〜15,17〜34,36,3
8,39についてのみ水切れが素早く迅速に乾燥する剥
離強度の大きい金属酸化物層を得ることが出来ることが
わかった。また、このようにして得られた金属酸化物層
は、洗剤等に対しても強い耐久性を発揮することがわか
った。同様の状況が得られる用途としては洗濯機の洗濯
槽内面、洗面台、トイレ手洗い等が挙げられ、このよう
な用途にも適用することが出来、錆、黴の防止にも役立
てることができる。 〈5〉自転車に対しても同様にコーティングを施し、金
属酸化物層を形成したところ、やはり表2のNo.1,
5,6,10〜15,17〜34,36,38,39に
ついてのみ迅速に乾燥しやすい剥離強度の大きい金属酸
化物層が得られ、また、雨水の水切れが良く、埃等をよ
せつけにくくできたことで、汚れ、錆等の防止効果を発
揮することができた。
【0034】〈6〉鏡の表面側に表1および表2の条件
で表面を改質して鏡を得た。その結果、表2のNo.
1,5,6,10〜15,17〜34,36,38,3
9についてのみ剥離強度が大きくかつ表面に付着した水
の接触角がほぼ0°になることが分かり、付着した水滴
は、多孔質の金属酸化物層に、毛細管現象により拡散し
つつ広がり、大きな表面積になるため、周囲から気化熱
を受けやすくなり、素早く蒸発することが分かった。ま
た、このような金属酸化物層は、厚みが2μ以下の範囲
では、透明性を失わず、かつ、剥離しにくいものとなる
ことがわかった。また、表2のNo.38〜45につい
て鏡の表面を水平に保持して0.01mlの水が水平方
向へ濡れ広がる濡れ幅を測定した。その結果を表4に示
す。その結果38、39のみが10mm以上の高い濡れ
性を示した。
【0035】
【表4】
【0036】同様の状況の得られる用途としては、窓ガ
ラス、ゴーグル、ディスプレーパネル、レンズ等の透明
性を要求されるようなガラス、樹脂製品にも適用でき
る。
【0037】〈7〉エアコンの室外機のアルミニウム製
のフィンの表面側に表1および表2の条件で前記被処理
物の表面に多孔質の金属酸化物層を形成した。
【0038】前記フィンを室内を暖房する条件下で使用
した結果、表2のNo.1,5,6,10〜15,17
〜34,36,38,39についてのみ前記フィンの金
属酸化物の剥離強度が大きくかつ表面に付着した水の接
触角がほぼ0°になることが分かり、付着した水滴は、
多孔質の金属酸化物層に、毛細管現象により拡散しつつ
広がりやすくなって、ブリッジを形成しにくくなるた
め、前記フィンの通路の断面積の減少もなく、表面積を
大きく確保することが出来るようになり、外気による加
熱効率が向上し、暖房能力が8%〜15%増大した。
【0039】同様の状況の得られる用途としては、エア
コンの室内機のフィン、冷蔵庫の冷却用フィン、放冷装
置用フィン等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面処理品の概略図
【符号の説明】
1 表面処理品 1a 被処理物 1b 下地処理層 1c 金属酸化物層

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機金属化合物と金属酸化物微粒子を含
    有する表面処理材。
  2. 【請求項2】 前記有機金属化合物(金属酸化物換算)
    と前記金属酸化物微粒子との含有比率が1:5〜5:1
    である請求項1に記載の表面処理材。
  3. 【請求項3】 前記有機金属化合物が金属アルコキシ
    ド、金属アセチルアセトネート、及び、金属カルボキシ
    レートからなる群より選ばれる少なくとも一種以上の化
    合物である請求項1又は2に記載の表面処理材。
  4. 【請求項4】 前記金属アルコキシドが、ジルコニウ
    ム、アルミニウム、ケイ素、チタンから選ばれる少なく
    とも一種以上の金属と、メトキシル、エトキシル、プロ
    ポキシル、ブトキシルから選ばれる少なくとも一種以上
    のアルコキシドとから構成されるものである請求項3に
    記載の表面処理材。
  5. 【請求項5】 前記金属アセチルアセトネートが、イン
    ジウムアセチルアセトネートである請求項3に記載の表
    面処理材。
  6. 【請求項6】 前記金属カルボキシレートが、酢酸鉛で
    ある請求項3に記載の表面処理材。
  7. 【請求項7】 前記金属酸化物微粒子が、酸化珪素、酸
    化アルミニウム、酸化チタン、酸化インジウム、酸化ジ
    ルコニウム、酸化タンタル、酸化鉄から選ばれる少なく
    とも一種以上の化合物である請求項1〜6のいずれか1
    項に記載の表面処理材。
  8. 【請求項8】 前記金属酸化物微粒子が直径20Å以上
    1000Å以下である請求項1〜7のいずれか1項に記
    載の表面処理材。
  9. 【請求項9】 熱分解型発泡剤を含有する請求項1〜8
    のいずれか1項に記載の表面処理材。
  10. 【請求項10】 前記熱分解型発泡剤が、アゾジカルボ
    ンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、パラトルエン
    スルホニルヒドラジド、N,N−ジニトロソペンタメチ
    レンテトラミン、p,p’−オキシビス(ベンゼンスル
    ホヒドラジド)から選ばれる少なくとも一種以上の化合
    物である請求項9に記載の表面処理材。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれか1項に記載
    の表面処理材からなる蒸発・乾燥促進用表面処理材。
  12. 【請求項12】 請求項1〜10のいずれか1項に記載
    の表面処理材からなる曇り止め用表面処理材。
  13. 【請求項13】 請求項1〜10のいずれか1項に記載
    の表面処理材からなる水滴付着防止用表面処理材。
  14. 【請求項14】 請求項1〜10のいずれか1項に記載
    の表面処理材を被処理物の表面にコーティングした後、
    加熱して前記被処理物の表面に金属酸化物層を形成させ
    る表面処理方法。
  15. 【請求項15】 前記被処理物が、食器洗浄・乾燥器、
    食器、シンク、浴室、浴槽、浴室用具、洗濯槽、洗面
    台、トイレ手洗いの水使用側面自動車部品、自転車、エ
    クステリア、物干し竿から選ばれる一種のものである請
    求項14に記載の蒸発・乾燥促進用の表面処理方法。
  16. 【請求項16】 前記被処理物が、鏡、窓ガラス、ゴー
    グル、ディスプレーパネル、レンズから選ばれる一種の
    ものである請求項14に記載の曇り止め用の表面処理方
    法。
  17. 【請求項17】 前記被処理物が、冷蔵庫の冷却用フィ
    ン、エアコンの室内機用フィン、室外機用フィン、放冷
    装置用フィン等の熱交換機用フィンから選ばれる一種の
    ものである請求項14に記載の水滴付着防止用の表面処
    理方法。
  18. 【請求項18】 前記被処理物を請求項14に記載の表
    面処理方法により金属酸化物層を形成した表面処理品。
  19. 【請求項19】 前記被処理物を請求項15に記載の蒸
    発・乾燥促進用の表面処理方法により金属酸化物層を形
    成した表面処理品。
  20. 【請求項20】 前記被処理物を請求項16に記載の曇
    り止め用の表面処理方法により表面処理した表面処理
    品。
  21. 【請求項21】 前記被処理物を請求項17に記載の水
    滴付着防止用の表面処理方法により表面処理した表面処
    理品。
  22. 【請求項22】 有機金属化合物を含有する下地処理液
    を、被処理物の表面にコーティングしたのち、前記金属
    酸化物層を形成する請求項14に記載の表面処理方法。
  23. 【請求項23】 有機金属化合物を含有する下地処理液
    を、被処理物の表面にコーティングしたのち、前記金属
    酸化物層を形成する請求項15に記載の蒸発・乾燥促進
    用の表面処理方法。
  24. 【請求項24】 有機金属化合物を含有する下地処理液
    を、被処理物の表面にコーティングしたのち、前記金属
    酸化物層を形成する請求項16に記載の曇り止め用の表
    面処理方法。
  25. 【請求項25】 有機金属化合物を含有する下地処理液
    を、被処理物の表面にコーティングしたのち、前記金属
    酸化物層を形成する請求項17に記載の水滴付着防止用
    の表面処理方法。
  26. 【請求項26】 多孔質の金属酸化物層が金属酸化物粒
    子を含むことを特徴とする請求項18〜21のいずれか
    1項に記載の表面処理品。
  27. 【請求項27】 前記金属酸化物粒子が、酸化珪素、酸
    化アルミニウム、酸化チタン、酸化インジウム、酸化ジ
    ルコニウム、酸化タンタル、酸化鉄から選ばれる少なく
    とも一種以上の化合物である請求項26に記載の表面処
    理品。
  28. 【請求項28】 金属酸化物層の厚さが0.05μm以
    上50μm以下である請求項18〜21,26,27の
    いずれか1項に記載の表面処理品。
  29. 【請求項29】 金属酸化物層を水平保持したとき、
    0.01mlの水が水平方向へ濡れ広がる濡れ幅が10
    mm以上のものである請求項18〜21または26〜2
    8のいずれか1項に記載の表面処理品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015110313A (ja) * 2013-10-31 2015-06-18 セントラル硝子株式会社 親水性被膜形成物品、親水性被膜形成用塗布液及び親水性被膜形成物品の製造方法

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