JPH10237142A - 感熱粘着剤組成物の製造方法および感熱粘着シート - Google Patents

感熱粘着剤組成物の製造方法および感熱粘着シート

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JPH10237142A
JPH10237142A JP5251597A JP5251597A JPH10237142A JP H10237142 A JPH10237142 A JP H10237142A JP 5251597 A JP5251597 A JP 5251597A JP 5251597 A JP5251597 A JP 5251597A JP H10237142 A JPH10237142 A JP H10237142A
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JP
Japan
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sensitive adhesive
copolymer
meth
acrylate
pressure
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Application number
JP5251597A
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English (en)
Inventor
Hitoshi Kato
仁 加藤
Daisuke Kamiya
大介 神谷
Hiroyuki Ota
博之 太田
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Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】常温では非粘着性または粘着性が極めて低く、
一方、加熱した場合に粘着性を発現する、粘着シートお
よび粘着テープなどに有用な感熱粘着剤組成物の製造方
法を提供する。 【解決手段】下記共重合体(a)の存在下に、(メタ)
アクリル酸アルキルエステルを主成分とする、ガラス転
移温度が−30℃以下の重合体を与えるラジカル重合性
単量体を乳化重合させることを特徴とする感熱粘着剤組
成物の製造方法。 ○共重合体(a):α,β−エチレン性不飽和カルボン
酸および疎水性のラジカル重合性単量体単位を主構成単
位とする共重合体であって、該共重合体中のカルボキシ
ル基の一部または全量が塩基で中和されている、カラス
転移温度が−20〜15℃の水溶性または水分散性の共
重合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エマルジョン型粘
着剤組成物の製造方法および該組成物から得られる感熱
粘着シートに関する。さらに詳しくは、常温または60
℃以下で乾燥させた塗膜は非粘着性であるかまたは極め
て粘着性が低く、一方、加熱すると粘着性を発現すると
いう性質を有し、かつ耐水性および耐湿性に極めて優れ
る感熱粘着剤組成物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】通常、粘着シートには粘着面に剥離紙
(離型紙)が被覆され、保存、流通および販売などがな
されている。また、粘着テープのような巻上げ式の製品
では、使用時に巻き戻しが可能なように、裏面が剥離処
理された基材が用いられている。しかしながら、粘着シ
ートを物品に貼った後は、剥離紙は不要なものとなるも
のであり、省資源の点や低コスト化等の理由から、剥離
紙の不要な粘着シートが求められている。さらに、粘着
テープにおいても基材としてその裏面に剥離処理を施し
ていないものを用いることができれば、粘着テープ基材
の製造工程を簡略化することができ、しかも低コスト化
が可能になる。
【0003】剥離紙の不要な粘着シートとして、ディレ
ードタック型粘着剤を塗工した感熱粘着シート(特公昭
62−21835号および特開平6−10084号公報
等)が知られており、同公報には、ディレードタック型
粘着剤として、フタル酸ジシクロヘキシル等の固体可塑
剤またはその表面をコロイドによりコーティングしたも
のを、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂
に混合した粘着剤が開示されている。そして、これらの
刊行物には、それらの粘着剤が常温では非粘着性であ
り、加熱により可塑剤が融解し粘着力が発現すると記載
されている。
【0004】しかしながら、固体可塑剤が配合された上
記ディレードタック型粘着剤においては、以下の(イ)
〜(ニ)に挙げるような種々の問題があり、限られた特
殊な用途にしか使用できないのが現状である。 (イ)固体可塑剤の結晶化が進んだ後は、粘着力がなく
なるため、一度被着体から剥がすと、再度被着体に貼着
することができない。 (ロ)粘着性を発現させる加熱温度が固体可塑剤の融点
に依存するため、加熱温度を自由に設定できない。 (ハ)結晶化が進んだ後は粘着剤が硬くなり柔軟性を失
うため、粘着シートを被着体に貼着した後に被着体を曲
げたり、被着体に振動を与えると、粘着剤層が被着体に
追随できず、剥離する危険がある。 (ニ)粘着シートに用いられる基材が上質紙等の場合に
は、該粘着シートの加熱時にシート表面に可塑剤が滲み
出しやすい。
【0005】さらに、上記の問題点を改良したディレー
ドタック型粘着剤組成物(特開平8−269420号公
報)が提案され、同公報には、ガラス転移温度が20℃
以上のカルボキシル基を含有する樹脂含有溶液とガラス
転移温度が−30℃以下のアクリル系樹脂水性エマルジ
ョンからなる組成物が開示され、その粘着剤組成物は常
温では非粘着性であり、加熱により粘着力が発現すると
記載されている。
【0006】しかしながら、前記ディレードタック型粘
着剤組成物は、粘着性発現温度が高いため、熱ロールを
使用して高速で瞬間的に粘着性を発現させ貼り付けを行
う用途には向かず、限られた特殊な用途にしか使用でき
ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、常温
では非粘着性であるかまたは粘着性が極めて低く、その
ため剥離紙や基材裏面の剥離処理などのような粘着剤層
に対する剥離処理を必ずしも行わなくても商品としてそ
のまま取り扱うことができ、一方、加熱した場合に粘着
性を発現して、粘着シートおよび粘着テープなどに有効
に使用することのできる感熱粘着剤組成物の製造方法を
提供することである。すなわち、従来のディレードタッ
ク型粘着剤における問題点(イ)〜(ニ)がなく、さら
に、比較的低い温度で粘着性が発現される感熱粘着剤組
成物の製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討を行った結果、塩基で中和さ
れたカルボキシル基を有する特定の共重合体の存在下
に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とす
る特定のラジカル重合性単量体を乳化重合させて得られ
る水性エマルジヨンが、常温では粘着性を全く示さない
かまたは粘着性を殆ど示さず、加熱した場合に粘着性を
発現するだけでなく、前記共重合体と(メタ)アクリル
酸アルキルエステルを主成分とする水性エマルジヨンを
単なる混合させた場合と比較して、その耐水性および耐
湿性が格段優れていることを見出し、本発明を完成する
に至った。
【0009】すなわち、本発明は、下記共重合体(a)
の存在下に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主
成分とする、ガラス転移温度が−30℃以下の重合体を
与えるラジカル重合性単量体を乳化重合させることを特
徴とする感熱粘着剤組成物の製造方法である。 ○共重合体(a):α,β−エチレン性不飽和カルボン
酸単位および疎水性のラジカル重合性単量体単位を主構
成単位とする共重合体におけるカルボキシル基の一部ま
たは全量が塩基で中和されている、ガラス転移温度が−
20℃〜15℃の水溶性または水分散性の共重合体。さ
らに、第2発明は、前記製造方法により得られた感熱粘
着剤組成物よりなる粘着剤層を有する感熱粘着シートで
ある。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳しく説
明する。なお、本発明における重合体のガラス転移温度
(以下「Tg」と略記することがある)は、以下の計算
式(1)から求められる値である。
【0011】
【数1】 1/Tg={W(a) /Tg(a) }+{W(b) /Tg(b) }+・・・・・(1) 上記の式中; Tg =重合体のTg(絶対温度) W(a) =重合体における単量体(a) からなる構造単位の
重量分率 W(b) =重合体における単量体(b) からなる構造単位の
重量分率 Tg(a) =単量体(a) の単独重合体のガラス転移温度
(絶対温度) Tg(b) =単量体(b) の単独重合体のガラス転移温度
(絶対温度)
【0012】本発明における共重合体(a)のTgは−
20℃〜15℃であり、好ましくは−10℃〜15℃で
あり、より好ましくは0℃〜13℃である。Tgが−2
0℃未満であると、得られる粘着剤層が室温下で乾燥し
ても非粘着性または低粘着性にならず、15℃を越える
と、得られる粘着剤層の粘着力を発現させるための温度
が高くなり、高速で粘着力を発現させることが困難とな
る。
【0013】共重合体(a)の構成成分の1つである
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸としては、アクリ
ル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸、シトラコン酸および無水マレイン酸等
が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いること
ができる。共重合体(a)においては、塩基で中和する
前の共重合体(中和前共重合体)の酸値が、中和前共重
合体1g当たり30〜260mgKOHであることが好
ましく、中和前共重合体の酸価が、中和前共重合体1g
当たり30mgKOH未満であると、これを塩基で中和
しても水に良好に溶解または分散し得る共重合体を得る
ことが困難になり、一方、260mgKOH/gを超え
ると耐水性が劣ったものとなる。前記好ましい酸価を与
えるα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の使用量は、
不飽和カルボン酸の種類によって異なるが、中和前共重
合体の製造に用いられる全単量体の合計重量に基づい
て、3〜40重量%程度である。
【0014】共重合体(a)の構成成分である疎水性の
ラジカル重合性単量体としては、水100gに対する溶
解度が2g以下のものが好ましく、例えば、メタクリル
酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリ
ル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、
(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イ
ソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)
アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、
(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸
イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メ
タ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸2−エ
チルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルおよ
び(メタ)アクリル酸パーフルオロアルキル等の(メ
タ)アクリル酸エステル;スチレン、ビニルトルエンお
よびα−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;メタ
クリロニトリル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、フ
ッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、エチ
レンおよびトリクロルエチレン等を挙げることができ、
これらの単量体の1種または2種以上を使用することが
できる。これらの中でも、炭素数1〜4のアルキル基を
有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル類が好まし
く用いられる。上記疎水性単量体の使用量は、共重合体
(a)を構成する全単量体の合計量を基準にして30〜
80重量%が好ましい。
【0015】また、前記α,β−エチレン性不飽和カル
ボン酸以外の親水性ラジカル重合性単量体を必要に応じ
て使用することもでき、かかる親水性ラジカル重合性単
量体としては、アクリル酸メチル、酢酸ビニル、アクリ
ロニトリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メ
タ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリ
ル酸ジメチルアミノエチル、ポリエチレングリコールモ
ノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモ
ノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アミド、
N−メチロールアクリルアミド、メタクリル酸グリシジ
ル、スチレンスルホン酸およびそのナトリウム塩ならび
に2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸
およびそのナトリウム塩等が挙げられる。
【0016】共重合体(a)の製造に際しては、前記式
(1)に基づいて計算される共重合体(a)のTgが−
20〜15℃となるように、α,β−エチレン性不飽和
カルボン酸、疎水性のラジカル重合性単量体および必要
に応じて用いるα,β−エチレン性不飽和カルボン酸以
外の親水性のラジカル重合性単量体の種類および使用割
合を選択する。
【0017】前記中和前共重合体を得るための重合法と
しては、ラジカル重合開始剤を用いる方法および放射線
照射による重合方法などの公知の方法を使用できるが、
ラジカル重合開始剤を用いる方法が、重合操作の容易性
および分子量調節の容易性などの点から好ましい。ま
た、重合法としては溶液重合法、バルク重合法、懸濁重
合法、乳化重合法および沈殿重合法などが挙げられる
が、これらの中でも、溶液重合法および乳化重合法が好
ましい。溶液重合法では、α,β−エチレン性不飽和カ
ルボン酸およびその他の共重合性単量体を有機溶媒に溶
解させ、適当なラジカル重合開始剤を用いて重合を行う
ことによって中和前共重合体を円滑に得ることができ
る。乳化重合法では、例えば、特開平6−271779
号公報に開示されている方法に準じて、α,β−エチレ
ン性不飽和カルボン酸およびその他の共重合性単量体を
乳化剤と共に水に混合分散させて単量体エマルションを
調製した後、反応器に連続添加しながら、適当なラジカ
ル重合開始剤を用いて重合を行うことによって中和前共
重合体を円滑に得ることができる。
【0018】均質で安定な共重合体(a)を得るために
は、可能な限り反応系中の単量体比率を一定に保つよう
に単量体の滴下速度をコントロールすることが望まし
い。具体的には、共重合性が乏しく反応性の低い単量体
を重合の初期にその一部または全量を反応器中に仕込
み、そして反応速度の速い単量体を反応の途中に滴下す
る方法、反応速度の遅い単量体の一部と反応速度の速い
単量体の一部を反応器に仕込んでおいて反応速度の速い
単量体の消費速度に合わせて反応速度の遅い単量体を反
応器中に滴下する方法などを採用することによって均質
な共重合体(a)を得ることができる。
【0019】溶液重合で好ましく用いられる有機溶媒と
しては、アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイ
ソブチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチルおよび酢
酸ブチル等の酢酸エステル系溶媒;ベンゼン、トルエン
およびキシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキ
サン、ヘキサンおよびヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶
媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、メチ
ルセロソルブ、エチルセロソルブ、ノルマルブチルセロ
ソルブ、エチレングリコール、プロピレングリコール、
トリメチロールプロパンおよびグリセリン等のアルコー
ル系溶媒;テトラヒドフラン、ジオキサン、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシドおよびヘキサメチル
ホスホアミド等を挙げることができ、これらの中でも、
メチルエチルケトンおよびイソプロピルアルコールがよ
り好ましい。これらの有機溶媒は単独で使用してもまた
は2種以上併用してもよい。。
【0020】また、前記ラジカル重合開始剤としては、
一般のラジカル重合に用いられているいずれもが使用可
能であり、例えば、過硫酸カリウムおよび過硫酸アンモ
ニウム等の過硫酸塩系重合開始剤;2,2’−アゾビス
イソブチロニトリルおよび2,2’−アゾビス(2−メ
チルブチロニトリル)等のアゾ系重合開始剤;過酸化ベ
ンゾイルおよびラウロイルパーオキサイド等の有機過酸
化物;クメンヒドロパーオキサイド、tert−ブチルハイ
ドロパーオキサイドおよびジイソプロピルベンゼンハイ
ドロパーオキサイド等の有機ハイドロパーオキサイド類
からなる酸化剤と、ロンガリット、亜硫酸水素ナトリウ
ムおよびアスコルビン酸等の還元剤との組み合わせによ
るレドックス系重合開始剤等を挙げることができる。重
合開始剤の好ましい使用量は、単量体の合計量を基準に
して0.1〜5重量%である。
【0021】また、前記溶液重合では、得られる中和前
共重合体の分子量調整のために、連鎖移動剤を重合系に
適宜添加してもよく、連鎖移動剤としては、例えば、メ
ルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−プロパン
チオール、1−ブタンチオール、2−メチル−2−プロ
パンチオール、2−メルカプトエタノール、エチルメル
カプトアセテート、チオフェノール、2−ナフタレンチ
オール、ドデシルメルカプタンおよびチオグリセロール
等を挙げることができる。
【0022】重合反応における重合温度は、10〜15
0℃程度であるのが好ましく、60〜100℃であるの
がより好ましい。また、重合時間は1〜100時間が適
当であり、より好ましくは3〜10時間である。
【0023】また、中和前共重合体はその数平均分子量
が1,000〜50万であることが好ましい。中和前共
重合体の数平均分子量が1,000未満であると、耐水
性または耐湿性に劣る恐れがあり、一方、50万を超え
ると高粘度となって中和前共重合体自体の製造が困難に
なる。
【0024】次に、上記により得られた中和前共重合体
中のカルボキシル基の一部または全部を塩基により中和
させる。中和に用いる塩基としては、沸点が110℃以
下が好ましく、例えば、アンモニア、メチルアミン、エ
チルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブ
チルアミン、アミルアミン、ジメチルアミン、ジエチル
アミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ト
リメチルアミン、トリエチルアミンおよびアリルアミン
等を挙げることができ、これらの中でもアンモニアが特
に好ましい。中和に用いる塩基の沸点が110℃を超え
ると、粘着剤層の耐水性または耐湿性が劣る恐れがあ
る。
【0025】前記中和におけるカルボキシル基の中和割
合は、カルボキシル基の30モル%以上であることが好
ましく、50モル%以上であることがより好ましい。カ
ルボキシル基の中和量が30モル%未満であると、共重
合体(a)の界面活性能および水溶性が低下し易い。
【0026】また、前記中和においては、溶液重合など
により得られた中和前共重合体を、反応媒体から回収せ
ずにそのまま反応媒体中に存在させた状態(特に有機溶
媒中に溶解した状態)で、中和用の塩基を添加して行う
のが操作が容易である点から好ましい。その際に、中和
用の塩基を、水溶液として添加すると、カルボキシル基
の中和が円滑に行われるのでより好ましい。
【0027】上記方法により得られた共重合体(a)
は、中和処理を行った反応溶液から分離させて(メタ)
アクリル酸アルキルエステルを主とするラジカル重合性
単量体の乳化重合に用いたり、あるいは、反応溶液から
分離せずに、存在する有機溶媒を適当な方法(例えば減
圧下)で除去して共重合体(a)の濃度が10〜60重
量%程度の水溶液または水性分散液の形態にし、その一
部または全量を取り出して次の水性エマルジヨンの乳化
重合に用いることができる。乳化重合によって得られた
中和前共重合体は、カルボキシル基を中和して反応媒体
中に共重合体(a)を形成させた後、そのままの状態で
次の水性エマルジョンの製造工程で用いることが好まし
い。
【0028】次に、前記共重合体(a)の存在下に行
う、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とす
るラジカル重合性単量体の乳化重合について説明する。
本発明における(メタ)アクリル酸アルキルエステルを
主成分とするラジカル重合性単量体としては、(メタ)
アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、必要に応じ
てこれと共重合し得る他のラジカル重合性単量体(以下
これを「共重合性単量体」ということがある)を少量併
用したものが好ましく用いられる。
【0029】(メタ)アクリル酸アルキルエステルとし
ては、アルキル基の炭素数が1〜12である(メタ)ア
クリル酸アルキルエステルが好ましく、例えば、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸
n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メ
タ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アク
リル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オ
クチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)ア
クリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、
(メタ)アクリル酸デシルおよび(メタ)アクリル酸ラ
ウリル等が挙げられ、これらの(メタ)アクリル酸アル
キルエステルの1種または2種以上を用いることができ
る。特に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとし
て、アルキル基の炭素数が4〜9である(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステルの1種または2種以上を主成分と
して用いるのが好ましい。
【0030】また、(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル以外の共重合性単量体も使用でき、該共重合性単量体
としては、スチレン、α−メチルスチレンおよびビニル
トルエン等のビニル芳香族系単量体;(メタ)アクリル
酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸およ
びマレイン酸等の不飽和カルボン酸;イタコン酸モノエ
チルエステル、フマル酸モノブチルエステルおよびマレ
イン酸モノブチルエステル等の不飽和ジカルボン酸のモ
ノアルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキ
シエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピ
ル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート
およびポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ート等の水酸基含有ビニル単量体;(メタ)アクリロニ
トリル、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、N−メ
チロールアクリルアミド、メタクリル酸グリシジル、酢
酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、ブ
タジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酪酸ビ
ニルおよびピバリン酸ビニル等を挙げることができ、こ
れらの1種または2種以上を用いることができる。
【0031】前記共重合性単量体を用いる場合は、ラジ
カル重合性単量体の合計重量に基づいて、共重合性単量
体の使用割合が40重量%以下であることが好ましい。
共重合単量体の使用割合が40重量%を超えると、得ら
れる粘着剤層の粘着性が不足しやすくなり、粘着性が発
現しにくくなる恐れがある。また、(メタ)アクリル酸
アルカリエステル系重合体のTgは−30℃以下であ
り、Tgが−30℃よりも高いと加熱しても十分な粘着
力が発現しない。
【0032】前記乳化重合は公知の乳化重合と同様に行
うことができ、例えば、共重合体(a)の存在下に、
(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするラ
ジカル重合性単量体を水性媒体中に均一に分散させ、重
合開始剤を用いて乳化重合させることにより水性重合体
エマルジヨンを得ることができる。かかる乳化重合にお
いては、共重合体(a)が界面活性剤(乳化剤)として
機能するので、乳化重合時に界面活性剤などの使用量を
通常の乳化重合の場合よりも少量とすることができ、所
望により乳化剤は一切使用しないことも可能である。そ
の結果、本発明における製造方法で得られる感熱粘着剤
組成物は、通常の乳化重合によって得られる水性エマル
ジヨンの場合と比較して耐水性および耐湿性に優れてい
る。
【0033】重合開始剤としては、一般的に乳化重合に
用いられている重合開始剤のいずれもが使用可能であ
り、例えば、前記共重合体(a)において説明した有機
過酸化物、無機過酸化物およびアゾ系化合物等が挙げら
れる。重合開始剤の好ましい使用量は、単量体の合計量
を基準にして0.1〜5重量%である。
【0034】乳化重合において、得られる重合体の分子
量の調節のために連鎖移動剤を使用してもよく、かかる
連鎖移動剤としては、共重合体(a)において説明した
メルカプト基を有する連鎖移動剤が好ましく用いられ
る。
【0035】また、重合反応における重合温度は、0〜
150℃程度であるのが好ましく、20〜90℃である
のがより好ましい。また、その際の重合時間は1〜24
時間程度であるのが好ましく、3〜8時間程度であるの
がより好ましい。
【0036】乳化重合に際して使用される(メタ)アク
リル酸アルキルエステルを主成分とするラジカル重合性
単量体の量は、共重合体(a)部分と(メタ)アクリル
酸アルキルエステル系重合体の合計重量を基準として、
共重合体(a)部分が5〜50重量%となる量であるこ
とが好ましく、10〜30重量%であることがより好ま
しい。共重合体(a)が5重量%未満であると、得られ
る粘着剤層の常温(25℃)での粘着力が大きくなり剥
離処理(剥離紙や剥離剤による処理)が必要となる恐れ
があり、一方、共重合体(a)部分の割合が50重量%
を超えると、水性重合体エマルジヨンから形成される粘
着剤層のTgが高くなり、加熱により発現する粘着性能
が劣ったものになり易い。
【0037】本発明における製造方法により得られる感
熱粘着剤組成物は、共重合体(a)と(メタ)アクリル
酸アルキルエステルを主成分とするラジカル重合性単量
体からなる重合体部分[以下これを「(メタ)アクリル
酸アルキルエステル系重合体部分」ということがある]
が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体部分
がコアで共重合体(a)がシェルとなるコア/シェル構
造を構成しているものと推測される。
【0038】前記感熱粘着剤組成物は、その用途に応じ
て、一般的な粘着剤に使用される消泡剤、界面活性剤、
防カビ剤、香料、中和剤、粘着付与剤、増粘剤、レベリ
ング調整剤、凍結防止剤、発泡剤、酸化防止剤、紫外線
吸収剤、補強剤、充てん剤、顔料、蛍光増白剤、帯電防
止剤、抗ブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、可塑剤、滑
剤、有機溶剤または着色剤等の1種または2種以上を含
有していてもよい。
【0039】本発明の第2発明における感熱粘着シート
は、適当な基材の一方または両方の面に、前記感熱粘着
剤組成物を塗布し、それを適当な方法で乾燥することに
より製造される。基材の種類は特に制限されず、用途に
応じて種々のものを使用することができ、例えば、布、
紙、皮革、木材、金属、ガラスおよび各種プラスチック
などからなるフィルムおよびシート、板ならびに発泡プ
ラスチックシート等などを挙げることができる。また、
前記プラスチックとしては、ポリエステル、ポリアミ
ド、塩化ビニル系重合体、ポリエチレン、ポリプロピレ
ンおよびポリウレタンなどを挙げることができる。さら
に、基材の形状は、長尺体、所定の寸法に切断したもの
(例えば方形、円形、楕円形、その他の形状にあらかじ
め切断したもの)などのいずれであってもよい。
【0040】基材への感熱粘着剤組成物の塗布方法は特
に制限されず、例えば、ロールコーター塗布、スプレー
塗布、流延塗布、ドクタープレート塗布およびハケ塗り
などの方法を用いて行うことができる。また、基材上に
塗布した粘着剤組成物の乾燥に当たっては、最終的に得
られる粘着シートにおいてその粘着剤層が常温で粘着性
を発現しないような温度で加熱することが必要であり、
乾燥温度は60℃以下が望ましい。
【0041】前記感熱粘着シートにおける粘着剤層の厚
さは、用途などに応じて適宜調節することができるが、
一般に、約1μm〜1mm程度にしておくのが好まし
く、それによって感熱粘着シートを被着体に貼着させる
ために加熱したときに、粘着剤層に良好な粘着性を発現
させ得ることができる。
【0042】本発明の第2発明における感熱粘着シート
は、JIS Z 0237に規定する180度ひきはが
し法による温度25℃での粘着力が、30g/25mm以
下程度という常温で粘着性を示さないかまたは常温にお
ける粘着力が極めて小さいので、その粘着剤層に対する
剥離処理、例えば離型紙の張り合わせを施すことなく、
通常の粘着性をもたない製品と同じように単にそのまま
包装し、または包装せずに、保存、流通および販売する
ことができる。勿論、必要により、例えば25℃での粘
着力が3〜30g/25mmである場合、粘着シートの用
途によっては剥離処理を施して使用してもよい。
【0043】感熱粘着シートを被着体に貼着させるに当
たっては、感熱粘着シートの粘着剤層を加熱するか、被
着体側を加熱するか、または感熱粘着シートの粘着剤層
と被着体の両方を加熱することによって、感熱粘着シー
トを被着体に貼着することができる。粘着剤層に粘着性
を発現させるための加熱温度は、粘着剤組成物中に含ま
れる共重合体(a)に依存するが、70℃〜120℃が
好適である。120℃以上でも粘着性は発現するが、高
速で粘着性能を発現するためには低い温度が好ましく、
120℃以上では本発明の特徴が失われてしまう。
【0044】また、感熱粘着シートは、加熱だけでな
く、加圧によっても粘着性が発現される場合もある。加
圧によって粘着性を発現させる場合には、ボールペンを
用いて筆記するときの筆圧程度の押圧力を感熱粘着シー
トに加えることによって、感熱粘着シートを被着体に貼
着させることができる。さらに、加熱と加圧の両方を併
用して感熱粘着シートに粘着性を発現させてもよい。
【0045】一旦被着体に貼着された感熱粘着シート
は、温度が常温に戻ってもまたは押圧力を解除しても、
その粘着性を失わずに、被着体に良好に貼着していて、
そのまま自然に剥がれてしまうことがない。そして、被
着体から感熱粘着シートを剥がしたいときには、汎用の
粘着シートと同様に、手などで引っ張ることによって被
着体から容易に剥がすことができ、その剥がしたもので
はその粘着剤層が粘着性を保っているので、同じ被着体
または別の被着体に再度貼着することができる。
【0046】前記感熱粘着シートを貼着できる被着体の
素材や種類は特に制限されず、例えば、布、紙、皮革、
木材、金属、ガラス、コンクリート、セラミック、ポリ
エステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビ
ニル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、
ポリイミド、スチレン系重合体およびゴム類などのいず
れのものにも良好に貼着することができる。
【0047】
【実施例】以下に、本発明について合成例、実施例およ
び比較例をあげて具体的に説明するが、本発明はそれに
より何ら限定されない。以下の各例において、特に断ら
ない限り、「部」および「%」は、それぞれ「重量部」
および「重量%」を示す。また、粘着シートの粘着力お
よび耐水性は次に示す方法によって測定および評価を行
なった。
【0048】(1)粘着シートの粘着力:50μmの厚
みのポリエステルフィルムに、乾燥後の塗膜の厚みが2
0μm〜30μmとなるように粘着剤組成物を塗布し、
50℃で5分間乾燥して粘着シートを作る。その粘着シ
ートを幅25mm、長さ約250mmに切って試験片と
した。試験片を(1)加熱することなくそのままで(2
5℃)、(2)80℃に1分間加熱した後に、(3)1
00℃に1分間加熱した後に、または(4)120℃に
1分間加熱した後に、それぞれ試験板である研磨したス
テンレス板に貼り2Kgのゴムローラーを一往復して圧
着し、30分後に300mm/minの引張速度で試験
板に対する180℃引き剥がし粘着力をJIS Z 0
237記載の粘着力測定方法に準じて測定した。
【0049】(2)粘着シートの耐水性:上記粘着シー
トを20℃の水中に24時間浸漬してその白化状態を肉
眼で観察して、白化が生じなかった場合を○、わずかに
白化した場合を△、明瞭に白化した場合を×として評価
した。
【0050】<合成例1>[共重合体(a1)水溶液の
調製] (1)アクリル酸ブチル45部、メタクリル酸メチル4
0部、アクリル酸15部、ドデシルメルカプタン3部、
およびメチルエチルケトン100部の混合液に、2,
2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5部を溶解さ
せ、攪拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を備え
たフラスコに仕込み、窒素雰囲気下80℃で4時間加熱
した後、さらに0.5部の2,2’−アゾビスイソブチ
ロニトリルを投入し、同温度で5時間加熱し、固形分含
量が50%の中和前共重合体(酸価97mgKOH/g
共重合体)のメチルエチルケトン溶液を得た。 (2)上記(1)で得られた中和前共重合体のメチルエ
チルケトン溶液200部に、撹拌しながら20%アンモ
ニア水を徐々に加えて中和前共重合体におけるカルボキ
シル基の中和を行って反応液のpHを7〜8程度とした
後、減圧下に温度50℃でメチルエチルケトンを除去し
た後、脱イオン水を添加して固形分を調整し、カルボキ
シル基の中和された共重合体(a)(固形分含量50
%)の水溶液(pH7.7)を得た〔以下これを「共重
合体(a1)水溶液」という〕。なお、この重合体の計
算Tgは12℃であった。
【0051】<合成例2>[共重合体(a2)水溶液の
調製] (1)アクリル酸ブチル50部、スチレン35部、メタ
アクリル酸15部、ドデシルメルカプタン3部混合して
単量体混合物を調製した。 (2)上記(1)で調製した単量体混合物に、ラウリル
硫酸ナトリウム1部および脱イオン水40部を加えて、
スリーワンモーターにより乳化させて、水性乳化分散体
を調製した。 (3)合成例1と同様なフラスコに、脱イオン水50部
および炭酸ナトリウム(中和剤)0.2部を添加し、窒
素雰囲気下で内温を70℃に保ち、撹拌しながら過硫酸
アンモニウム水溶液(過硫酸アンモニウム/脱イオン水
=0.1部/0.9部)10部および上記(2)で調製
した水性乳化分散体140部を3時間かけて滴下し、滴
下後同温度でさらに2時間反応を継続させて重合を終了
して、固形分含量が53%の中和前共重合体(酸価97
mgKOH/g共重合体)の水分散液を得た。 (4)上記(3)で得られた中和前共重合体200部
に、撹拌しながら20%アンモニア水を徐々に加えて中
和前共重合体におけるカルボキシル基の中和を行って反
応液のpHを7〜8程度とした後、脱イオン水を添加し
て固形分を調整し、カルボキシル基の中和された共重合
体(a)(固形分含量50%)の水溶液(pH7.7)
を得た〔以下これを「共重合体(a2)水溶液」とい
う〕。なお、この重合体の計算Tgは5℃であった。
【0052】<合成例3〜7>後記表2に記載の単量体
および中和用塩基を使用する以外は、合成例1と同様な
方法により、共重合体(a3)〜共重合体(a7)をそ
れぞれ合成した。なお、下記表2および表3では単量体
を略号で示したが、略号とその内容は下記表1に示すと
おりである。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】<実施例1> (1)アクリル酸2−エチルヘキシル95部およびメタ
クリル酸2−ヒドロキシエチル5部を混合して単量体混
合物を調製した。 (2)撹拌機、温度計、コンデンサー、窒素導入管を備
えたフラスコに、脱イオン水90部および合成例1で調
製した共重合体(a1)水溶液40部を添加し、窒素雰
囲気下で60℃に昇温した後、t−ブチルハイドロパー
オキシドの10%水溶液5部、ロンガリット(商品名;
ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート二水塩)
の10%水溶液5部および上記で調製した単量体混合物
100部を別供給で3時間かけて滴下した。滴下後同温
度でさらに2時間反応を継続させて重合を終了して、固
形分濃度が約50%の水性重合体エマルジヨンを得た。 (3)上記で得られた水性重合体エマルジヨンから前記
方法により粘着シートを作成し、粘着シートの粘着力お
よび耐水性を前記方法で測定および評価した。結果を後
記表4に示す。
【0056】<実施例2> (1)アクリル酸ブチル25部、アクリル酸2−エチル
ヘキシル70部、アクリロニトリル5部を混合して単量
体混合物を調製した。 (2)合成例2で調製した共重合体(a2)水溶液40
部と脱イオン水40部を上記で調製した単量体混合物と
混合し、スリーワンモーターにより乳化させて水性乳化
分散体を調製した。 (3)実施例1と同様なフラスコに、脱イオン水50部
および炭酸ナトリウム(中和剤)0.2部を入れ、窒素
を吹き込みながら、フラスコの内温を70℃に保ち、撹
拌しながら、過硫酸アンモニウム水溶液(過硫酸アンモ
ニウム/脱イオン水=0.3部/9.7部)10部と、
上記で調製した水性乳化分散体180部を3時間かけて
滴下した後、さらに2時間反応を継続させて重合を終了
して、固形分濃度が約50%の水性重合体エマルジヨン
を調製した。 (4)上記で得られた水性重合体エマルジヨンを用い
て、実施例1と同様にして粘着シートを作成し、同様な
測定および評価を行い、その結果を表4に示す。
【0057】<実施例3〜7および比較例1〜2>共重
合体(a)および単量体を後記表3に示す割合で使用し
て、実施例1と同様に粘着シートを作成し、その粘着力
および耐水性を同様な方法で測定および評価し、その結
果を表4に示す。
【0058】<比較例3> (1)アクリル酸ブチル25部、アクリル酸2−エチル
ヘキシル70部、アクリロニトリル5部を混合して単量
体混合物を調製した。 (2)ラウリル硫酸ソーダ1部と脱イオン水40部を上
記で調製した単量体混合物と混合し、スリーワンモータ
ーにより乳化させて水性乳化分散体を調製した。 (3)実施例1と同様なフラスコに、脱イオン水50部
および炭酸ナトリウム(中和剤)0.2部を入れ、窒素
を吹き込みながら、フラスコの内温を70℃に保ち、撹
拌しながら、過硫酸アンモニウム水溶液(過硫酸アンモ
ニウム/脱イオン水=0.3部/9.7部)10部と、
上記(2)で調製した水性乳化分散体140部を3時間
かけて滴下した後、さらに2時間反応を継続させて重合
を終了して、固形分濃度が約50%の水性重合体エマル
ジョンを得た。 (4)上記で得られた水性重合体エマルジョンから、実
施例1と同様に粘着シートを作成し、その粘着力および
耐水性を測定および評価し、結果を表4に示す。
【0059】<比較例4> (1)比較例3で得られた水性重合体エマルジョン20
0部に合成例1で得られた共重合体(a1)を40部加
えて撹拌し水性重合体エマルジョンを調整した。 (2)上記で製造した水性重合体エマルジョンを用い
て、実施例1と同様にして粘着シートを作成し、その粘
着力および耐水性を測定および評価し、結果を表4に示
す。
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】上記表4の結果から、本発明における感熱
粘着シートは、JIS Z 0237記載の180度ひ
きはがし法による温度25℃での粘着力が20g/25
mm以下であり、常温では粘着性を示さないこと、一
方、加熱すると良好な粘着性を発現し、感熱粘着シート
として有効に使用できることがわかる。
【0063】一方、比較例1に示す、Tgが−20℃よ
りも低い共重合体の存在下に、(メタ)アクリル酸アル
キルエステルを主成分とするラジカル重合性単量体を乳
化重合して得られた水性重合体エマルジヨンからなる粘
着シートの場合は、常温でも高い粘着性を既に有してお
り、感熱特性はない。
【0064】また、比較例2に示す、Tgが15℃より
も高い共重合体の存在下に、(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステルを主成分とするラジカル重合性単量体を乳化
重合して得られた水性重合体エマルジヨンからなる粘着
シートの場合は、加熱しても十分な粘着力が発現しな
い。
【0065】また、比較例3の結果から、通常の界面活
性剤を用いて(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主
成分とするラジカル重合性単量体を乳化重合して得られ
る水性重合体エマルジヨンからなる粘着シートでは、そ
の粘着剤層は常温でも既に粘着性を示し、その粘着性は
加熱処理の前後で基本的に変わらない。
【0066】また、比較例4の結果から、通常の界面活
性剤を用いて(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主
成分とするラジカル重合性単量体を乳化重合して得られ
る水性重合体エマルジヨンと共重合体(a)を混合して
得られる水性重合体エマルジヨンからなる粘着シートに
おいては耐水性が劣ることが明らかである。
【0067】
【発明の効果】本発明における製造方法により得られた
感熱粘着剤組成物は、常温では粘着性を示さないかまた
は粘着性を殆ど示さないので、剥離紙の使用や基材裏面
への剥離剤の塗布などのような粘着剤層に対する剥離処
理を施す必要がなく、そのまま包装してまたは包装せず
に、保存、流通および販売することができ、省資源、粘
着シート製造時の工程の簡略化およびコストなどの点で
極めて優れている。さらに、前記感熱粘着剤組成物は、
低分子量の界面活性剤をほとんど含まないため、通常の
乳化重合によって得られた粘着剤組成物に比較して、耐
水性および耐湿性に極めて優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09J 151/00 C09J 151/00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記共重合体(a)の存在下に、(メタ)
    アクリル酸アルキルエステルを主成分とする、ガラス転
    移温度が−30℃以下の重合体を与えるラジカル重合性
    単量体を乳化重合させることを特徴とする感熱粘着剤組
    成物の製造方法。 ○共重合体(a):α,β−エチレン性不飽和カルボン
    酸単位および疎水性のラジカル重合性単量体単位を主構
    成単位とする共重合体であって、該共重合体中のカルボ
    キシル基の一部または全量が塩基で中和されている、ガ
    ラス転移温度が−20℃〜15℃の水溶性または水分散
    性の共重合体。
  2. 【請求項2】請求項1記載の製造方法により得られた感
    熱粘着剤組成物よりなる粘着剤層を有する感熱粘着シー
    ト。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003057738A1 (fr) * 2001-12-28 2003-07-17 Clariant International Ltd. Emulsion de resine synthetique, compositions d'adhesif autocollant facilement gonflables a l'eau contenant l'emulsion, et procede de production de l'emulsion
US7144944B2 (en) 2001-03-19 2006-12-05 Gelanese International Corporation Coating composition for ink-jet recording medium and ink-jet recording medium
EP3781622B1 (de) * 2018-04-20 2022-10-12 Basf Se Haftklebstoffzusammensetzung mit auf vernetzung über keto- oder aldehydgruppen beruhendem gelgehalt

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