JPH10236985A - 遺伝子治療用製剤 - Google Patents

遺伝子治療用製剤

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JPH10236985A
JPH10236985A JP4216797A JP4216797A JPH10236985A JP H10236985 A JPH10236985 A JP H10236985A JP 4216797 A JP4216797 A JP 4216797A JP 4216797 A JP4216797 A JP 4216797A JP H10236985 A JPH10236985 A JP H10236985A
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JP
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liver
lipid
preparation
pluc
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JP4216797A
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Hiroshi Kiwada
弘志 際田
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Taiho Pharmaceutical Co Ltd
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Taiho Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 30位にC12〜C18アルキル置換された
グリチルリチン又はグリチルリチナミドを膜形成成分の
一成分とする脂質小胞体中に、肝臓で発現し得る遺伝子
を内包せしめた遺伝子治療用製剤。 【効果】 全身循環系投与においても治療用遺伝子を、
肝臓に特異的に集積させ、かつ肝臓において特異的に発
現させることにより、遺伝子治療を効率的に行うことが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は遺伝子治療用製剤に
関し、さらに詳細には遺伝子を肝臓に特異的に集積さ
せ、肝臓でその遺伝子を発現させることのできる遺伝子
治療用製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、遺伝子治療は次世代の治療法と注
目を集め、世界的レベルで研究開発されている。遺伝子
治療を成功させるためには、各疾病に対する治療遺伝子
を同定するだけでなく、遺伝子を望ましい細胞に効率よ
く、正確に、そして安全に送達するためのデリバリーシ
ステムが必要である。そうしたシステムとして、レトロ
ウイルス、アデノウイルス等のウイルスベクター、リポ
ソーム等の脂質小胞体や脂質複合体等の非ウイルスベク
ターが研究されている。
【0003】これらのベクターのうち治療に最も使われ
ているのがウイルスベクターである。その理由はウイル
スの高い感染能力にある。しかし、この感染能力の非特
異性のために、ウイルスベクターではその全身投与によ
って効率よく、正確に、そして安全に治療遺伝子を標的
細胞へ送達することはできない。全身投与では、遺伝子
組み換えによる他の遺伝子の活性化や不活性化、病原性
ウイルスの出現などの懸念も一層大きくなる。そこで実
際には、対象細胞を一度体外に取り出して遺伝子を導入
したのち生体に戻すex vivo法がとられている。したが
って、標的細胞に対する識別性が高く、それゆえ効率よ
く、正確に、そして安全に治療遺伝子を送達することが
可能な非ウイルスベクターの開発が望まれるところであ
る。
【0004】非ウイルスベクターとしての脂質小胞体
は、ウイルスベクターとは異なり、外科的処置を施さず
に直接脈管内に投与することができる。脈管内投与にお
いては血中でのヌクレアーゼによる遺伝子の分解を防ぐ
ことがベクターに要求される。標的指向性は、ある種の
細胞のレセプターを認識するリガンド成分を脂質小胞体
の脂質二重膜表面に組み込むことで付与することが可能
である。この場合、遺伝子はレセプター介在性エンドサ
イトーシスによって細胞内に導入される。しかしなが
ら、レセプター介在性エンドサイトーシスでは、導入遺
伝子はライソゾーム酵素で分解され、その細胞質内への
導入効率が著しく低下するという大きな欠点がある。こ
の点や、血中でのヌクレアーゼによる分解、標的部位へ
の治療遺伝子の送達量不足等のために、in vitroで遺伝
子を発現させることのできる脂質小胞体ベクターでも、
in vivoで脈管内に投与しても標的部位における遺伝子
発現は認めにくくならざるを得ない。実際に、レセプタ
ー介在性エンドサイトーシスを利用した遺伝子導入にあ
っては、全身循環系への投与によって遺伝子発現が認め
られた報告例はアシアロフェツインによる表面修飾を施
した脂質小胞体(Drug Delivery System,vol.11,11〜19
(1996))にみられるのみである。しかし、このケースで
も遺伝子発現量は不充分で発現効率を高める何らかの工
夫が必要であり、現状では全身投与によって標的細胞で
効率よく遺伝子を発現した例はないといってよい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は全身
循環系への投与によっても特異的に標的臓器において効
率良く遺伝子発現を可能とする遺伝子治療用製剤を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者は、上記
課題を解決すべく種々検討した結果、肝臓に高い親和性
を示すグリチルリチン類を膜構成成分として組み込んだ
脂質小胞体に、遺伝子を内包せしめれば、in vitroだけ
でなくin vivoにおいても、特に全身循環系への投与に
よっても特異的に肝臓でのみ充分量の遺伝子を発現させ
ることができることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0007】すなわち、本発明は、次の一般式(1):
【0008】
【化2】
【0009】〔式中、Rは炭素数12〜18のアルキル
基を、XはOまたはNHを示す〕で表される30位置換
グリチルリチン誘導体を膜形成成分の一成分とする脂質
小胞体中に、肝臓で発現し得る遺伝子を内包せしめたこ
とを特徴とする遺伝子治療用製剤を提供するものであ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において遺伝子を内包せし
めるための脂質小胞体は、30位置換グリチルリチン酸
誘導体(1)を膜形成成分の一成分として含有するもの
であり、該グリチルリチン酸誘導体(1)としては、特
開平3−106896号公報記載のものを用いることが
できる。なお、この公報には、グリチルリチン酸誘導体
(1)を膜形成成分の一部とするリポソームが記載され
ているが、これに遺伝子を内包できるか否か、ましてや
該遺伝子を全身循環系投与にて肝臓において特異的にか
つ効率良く発現させ得るか否かについては全く記載され
ていない。
【0011】上記一般式(1)中、Rとしては炭素数1
2〜18の直鎖アルキル基が好ましく、具体的にはドデ
シル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシ
ル基が挙げられ、このうちオクタデシル基(ステアリル
基)が特に好ましい。すなわち、特に好ましい化合物
(1)としては、30−ステアリルグリチルリチン、N
−ステアリル−30−グリチルリチナミドが挙げられ
る。
【0012】脂質小胞体はその構造から大きく分類する
と、多重膜脂質小胞体(MLV、multilamellar vesicle
s)、小さい一枚膜脂質小胞体(SUV、small unilamella
r vesicles)及び大きな一枚膜脂質小胞体(LUV、large
unilamellar vesicles)がある。本発明においては、
脂質小胞体はこれらのいずれの構造にすることも可能で
ある。
【0013】本発明における脂質小胞体に使用される他
の脂質小胞体形成成分としてリン脂質、ステロール類な
どが挙げられる。
【0014】リン脂質としては、ホスファチジルコリ
ン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジル
セリン、ホスファチジルイノシトール、リゾホスファチ
ジルコリン、スフィンゴミエリン、卵黄レシチン、大豆
レシチン等の天然もしくは合成のリン脂質又は水素添加
リン脂質等が例示される。
【0015】本発明における脂質小胞体ではステロール
類は、膜安定化剤として含ませているが、そうした成分
としては、コレステロール、コレスタンなどが挙げられ
るが、このうち、コレステロールが特に好ましい。
【0016】脂質小胞体形成成分のモル比率としては、
リン脂質:コレステロール=1:0〜1:1であること
が望ましい。30位置換グリチルリチン誘導体(1)は
上記の脂質小胞体形成成分に対して、好ましくは1〜5
0%(w/w)含有させるのが望ましい。
【0017】尚、この脂質小胞体には脂質過酸化を防ぐ
目的でビタミンE等のトコフェロール類等の抗酸化剤を
添加してもよい。
【0018】これらの膜形成成分によって構成される脂
質小胞体に内包せしめることのできる遺伝子としては、
肝臓(標的臓器)内で発現し、各種疾患の治療のために
有用なタンパク質を産生するものであれば特に制限され
ず、例えば肝癌の治療に有用な癌抑制遺伝子(p53、
p21、p16遺伝子など)、肝炎の治療に有用なイン
ターフェロン産生遺伝子、感染・炎症を伴う疾患や免疫
疾患等の治療に有用なインターロイキン群を含むサイト
カイン産生遺伝子、インスリン様増殖因子(IGF)、
成長ホルモン産生遺伝子、顆粒球コロニー刺激因子(G
−CSF)、エリスロポエチン(FPO)などの造血因
子産生遺伝子、先天性代謝異常などによる酵素欠損に起
因する疾患の治療に有用な酵素補充療法のための欠損酵
素産生遺伝子(アデノシンデアミナーゼ産生遺伝子な
ど)、肝細胞増殖因子(HGF)産生遺伝子等が挙げら
れる。このうち、肝臓から血中への分泌を必要とせずコ
ードされた遺伝子が発現・産生したタンパク質が標的臓
器である肝臓内で作用を発揮するという点から、癌抑制
遺伝子(p53、p21、p16遺伝子など)、インタ
ーフェロン産生遺伝子、肝細胞増殖因子(HGF)産生
遺伝子が特に好ましい。
【0019】従って、これらの遺伝子を用いた治療の対
象疾患としては、肝炎、肝癌などの肝臓疾患のみならず
特定の代謝過程の先天的欠陥により発症する種々の先天
性代謝異常を含む各種疾患、サイトカイン類が関与する
感染・炎症を伴う疾患や免疫疾患、小人症等のホルモン
補充療法の対象となる疾患、酵素補充療法の対象となる
種々の疾患、肝切除術後の肝再生促進、各種増殖因子の
欠損による疾患、造血因子欠損による疾患などが挙げら
れる。
【0020】本発明製剤におけるこれら遺伝子の含有量
は、特に制限されるものではないが、脂質小胞体形成成
分1重量部に対して1/1000〜10重量部が好まし
い。
【0021】本発明の製剤は公知の方法によって製造さ
れる。例えば、リン脂質、コレステロール、30位置換
グリチルリチン誘導体(1)をクロロホルム、テトラヒ
ドロフラン、エタノール等の適当な有機溶媒に溶解し、
得られた溶液から溶媒を留去して脂質薄膜を調製する。
得られた薄膜に電解質溶液等の分散媒を添加して激しく
かき混ぜ均一に分散させる。得られた分散液に加圧噴霧
処理、超音波処理もしくはエクストルージョンを施して
種々の大きさの脂質小胞体を調製する。これらの操作の
前に、凍結融解を施せば均質な脂質小胞体が得られるの
であれば、凍結融解操作を施してもよい。次に、必要あ
れば微粒子膜による濾過もしくは超遠心分離を施し、不
純物や大きな脂質小胞体を除去し、試料の精製および粒
子の大きさの均質化を行う。得られた脂質小胞体懸濁液
に所定量の遺伝子を含む電解質溶液等の分散媒を添加
し、凍結融解操作を施す。所望により、得られた懸濁液
に超音波処理を施し、目的の本発明製剤を得ることがで
きる。
【0022】本発明製剤には、糖、多価アルコールある
いは電解質等の等張化剤をさらに添加することができ
る。
【0023】かくして得られる本発明製剤は、全身循環
系に投与しても肝臓に特異的に集積し、かつ脂質小胞体
に内包された遺伝子が肝臓で特異的に発現するので、注
射剤、特に静脈内投与用製剤として有用である。かかる
注射剤としては、液状注射剤、凍結製剤、凍結乾燥製剤
等の形態が挙げられる。
【0024】
【実施例】次に、実施例、比較例及び試験例を挙げて本
発明を詳細に説明するが、本発明はこれによって限定さ
れるものではない。
【0025】実施例1 水素添加卵黄ホスファチジルコリン、コレステロール、
30−ステアリルグリチルリチン(GLOSt)がモル比で
4:4:1の脂質小胞体形成成分(総質量90μmol)
を10mLのナス型コルベンにとり、約3mLのクロロホル
ムを加えて均一溶液とした。37℃減圧下で、ロータリ
ーエバポレーターにて溶媒を留去し、さらに真空ポンプ
を用いて残留溶媒を完全に取り除き、コルベン内壁に脂
質小胞体形成成分の薄膜を形成させた。このコルベン中
に分散媒として等張リン酸緩衝液(PBS、pH7.4)
2.5mLを加えかき混ぜ、さらにバス型ソニケーター
(Branson 5200)を用いて超音波処理を施すことによ
り、均一な分散液とした。これをプローブ型ソニケータ
ー(UR-200P)を用いて4℃で1時間超音波処理し、GLO
Stを脂質小胞体形成成分として含んだ小さい一枚膜脂質
小胞体(GLOSt-SUV)を得た(総濃度36μmol/mL)。
このGLOSt-SUVをフィルター(0.45μm)濾過により精製
した。 GLOSt-SUV4.5μmolに対し、ホタルのルシフ
ェラーゼ(Luc)をコードした遺伝子(pLuc)(PicaGen
eTM Control Vector 301-02821)を1μg/μL濃度で含
む水溶液20μLを添加した。これを−130℃で凍結
し、室温で融解したのち、超音波処理を数秒間行い、pL
uc封入GLOSt-SUVを得た。
【0026】実施例2 卵黄ホスファチジルコリン、コレステロール、GLOStが
モル比で5:4:1の脂質小胞体形成成分(総質量90μ
mol)を10mLのナス型コルベンにとり、約3mLのクロ
ロホルムを加えて均一溶液とした。37℃減圧下で、ロ
ータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、さらに真空
ポンプを用いて残留溶媒を完全に取り除き、コルベン内
壁に脂質小胞体形成成分の薄膜を形成させた。このコル
ベン中に分散媒としてPBS 2.5mLを加えかき混ぜ、さ
らにバス型ソニケーター(Branson 5200)を用いて超音
波処理を施すことにより、均一な分散液とした。これを
プローブ型ソニケーター(UR-200P)を用いて4℃で1
時間超音波処理し、GLOStを脂質小胞体形成成分として
含んだGLOSt-SUVを得た(総濃度36μmol/mL)。このGLO
St-SUVをフィルター(0.45μm)濾過により精製した。
GLOSt-SUV2μmolに対し、2μg/μLのpLuc水溶液を重
量比で10:1になるよう適量添加した。これを−80
℃で30分間凍結し、4℃で30分間融解し、さらに同
じ凍結融解操作を4回繰り返したのち、超音波処理を数
秒間行い、pLuc封入GLOSt-SUVを得た。
【0027】実施例3 卵黄ホスファチジルコリン、コレステロール、GLOStが
モル比で5:4:1の脂質小胞体形成成分(総質量90μ
mol)を10mLのナス型コルベンにとり、約3mLのクロ
ロホルムを加えて均一溶液とした。37℃減圧下で、ロ
ータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、さらに真空
ポンプを用いて残留溶媒を完全に取り除き、コルベン内
壁に脂質小胞体形成成分の薄膜を形成させた。このコル
ベン中に分散媒として放射性同位体14C-イヌリンを含む
PBS 2.5mLを加えかき混ぜ、さらにバス型ソニケータ
ー(Branson 5200)を用いて超音波処理を施すことによ
り、均一な分散液とした。これをプローブ型ソニケータ
ー(UR-200P)を用いて4℃で1時間超音波処理し、 GL
OStを脂質小胞体形成成分として含んだ14C標識GLOst-SU
Vを得た(総濃度36μmol/mL)。このGLOSt-SUVをフィル
ター(0.45μm)濾過により精製した。
【0028】比較例1 リポフェクチン10μg/μLあたり、1μg/μLの割合で
pLuc水溶液を添加し、リポフェクチンとpLucの10:1
の複合体を調製した。
【0029】試験例1 実施例3の14C標識GLOSt-SUVを、エーテル麻酔したラッ
トに頸静脈より100μmol脂質/kgの投与量で全身投与
した。4時間後、エーテル麻酔下で開腹し下大静脈より
採血後、肝臓をPBSにて脱血ののち肝臓及び脾臓を摘出
した。得られた血液をただちに遠心分離し、血漿を得
た。血漿及び各臓器をアルカリ溶解脱色後、液体シンチ
レーションカクテルを加え、液体シンチレーションカウ
ンターで放射能量を測定した。尚、脂質小胞体の血中濃
度はヘマトクリット値を用いて血漿中濃度を補正するこ
とにより、また脂質小胞体の全血液中量はラットの血液
の体積を体重の6.5%としてそれぞれ算出した。
【0030】この試験の結果を表1に示した。全身投与
後4時間で投与量の約67%のGLOSt-SUVが肝臓に分布
し、27%が血中に残存し、脾臓にはほとんど分布しな
かった。これより、GLOSt-SUVが肝臓に非常に選択的に
取り込まれることが示された。
【0031】
【表1】
【0032】試験例2 実施例2のpLuc封入GLOSt-SUV、比較例1のpLuc−リポ
フェクチン複合体を用いて、初代培養肝細胞へのpLuc導
入に対する血清の影響を検討した。ラットより分離した
肝細胞をディッシュに播種した。4時間後、培地を除去
し新たに0、5、10及び50%新生牛血清を含有する
ウィリアムE培地を添加し、さらに同時にpLuc封入GLOSt
-SUV及びpLuc−リポフェクチン複合体を添加した。4時
間のインキュベーションののち培地を取り除いて細胞を
分離し、PBSで3回洗浄後、細胞溶解剤とともに10〜
15分間放置した。細胞を掻き取り、細胞溶解液ととも
にエッペンドルフチューブに移し、ただちに遠心分離を
行い上清を得た。この上清20μLを用いて、pLucの発
現量をルシフェラーゼ測定システムでルシフェラーゼ活
性を測定することにより評価した。尚、リポフェクチン
は培養細胞に対する遺伝子導入用試薬で用いられてお
り,陽性の対照として使用した。
【0033】この試験の結果を表2に示した。血清0%
のときのルシフェラーゼ活性を100%としたときの相
対値でデータを表記した。pLuc封入GLOSt-SUV、pLuc−
リポフェクチン複合体ともに血清の存在量が大きくなる
ほど、ルシフェラーゼの活性が低下しpLucの発現量の低
下が認められたが、その低下の割合は両者で異なった。
すなわち、50%血清存在下でもpLuc封入GLOSt-SUVで
は57%のルシフェラーゼ活性の保持が認められたのに
対して、リポフェクチン複合体では僅か3.7%の活性
しか認められなかった。pLucの発現量の低下は肝細胞へ
のpLuc導入量の低下を意味しており、本試験結果は、リ
ポフェクチン複合体に比べGLOSt-SUVの方が肝細胞への
遺伝子導入において血清の影響を受けにくいことを示
す。これは、血清成分によるpLucの分解がGLOSt-SUVへ
の封入により大きく抑えられたためであり、pLuc封入GL
OSt-SUVが血中のヌクレアーゼに対し高い抵抗性を示す
ことが示唆される。
【0034】
【表2】
【0035】試験例3 実施例2のpLuc封入GLOSt-SUV、比較例1のpLuc−リポ
フェクチン複合体及びpLucのPBS溶液をエーテル麻酔し
たラットに頸静脈より100μmol脂質/kgの投与量で全
身投与した。4時間後、エーテル麻酔下で開腹し下大静
脈より採血し、肝臓をPBSにて脱血ののち肝臓及び脾臓
を摘出した。得られた血液を直ちに遠心分離し、血漿を
得た。肝臓及び脾臓は全量ホモジネートとし、超純水で
一定量にメスアップしたのち、その1mLをエッペンドル
フチューブにとり、ただちに遠心分離し上清を得た。こ
れらの上清及び血漿20μLを用いて、pLucの発現量を
ルシフェラーゼ測定システムでルシフェラーゼ活性を測
定することにより評価した。
【0036】血漿及び各臓器におけるルシフェラーゼ活
性測定結果を表3に示した。GLOSt-SUVとして投与した
場合、培養細胞に対する遺伝子導入用試薬であるリポフ
ェクチンとの複合体としての投与と比較して、肝臓にお
いて明らかに高いルシフェラーゼ活性が検出され、pLuc
が高く発現していることがわかる。これらの投与では、
血漿および脾臓でルシフェラーゼ活性が検出されておら
ず、GLOSt-SUVとしての投与により肝臓において特異的
にpLucが発現したことが示される。pLuc単独で投与した
場合(PBS溶液投与)に肝臓でほとんどルシフェラーゼ
活性が検出されないこと、及び試験例1の結果から、GL
OSt-SUVとしての投与による肝臓特異的なpLuc発現がGLO
St-SUVの高い肝臓集積性に起因すると考えることができ
る。
【0037】
【表3】
【0038】
【発明の効果】本発明によれば全身循環系投与において
も肝臓で発現し得る遺伝子を、肝臓に特異的に集積さ
せ、かつ肝臓において特異的に発現させることにより、
遺伝子治療を効率的に行うことができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式(1): 【化1】 〔式中、Rは炭素数12〜18のアルキル基を、XはO
    またはNHを示す〕で表される30位置換グリチルリチ
    ン誘導体を膜形成成分の一成分とする脂質小胞体中に、
    肝臓で発現し得る遺伝子を内包せしめたことを特徴とす
    る遺伝子治療用製剤。
  2. 【請求項2】 脂質小胞体の膜形成成分として、さらに
    リン脂質及びコレステロールを含むものである請求項1
    記載の遺伝子治療用製剤。
  3. 【請求項3】 全身循環系投与用製剤である請求項1又
    は2記載の遺伝子治療用製剤。
JP4216797A 1997-02-26 1997-02-26 遺伝子治療用製剤 Pending JPH10236985A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002525123A (ja) * 1998-09-30 2002-08-13 パッカード バイオサイエンス ベスローテン フェンノートシャップ Atpを検出する方法

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002525123A (ja) * 1998-09-30 2002-08-13 パッカード バイオサイエンス ベスローテン フェンノートシャップ Atpを検出する方法

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