JPH10236966A - 血行改善効果を有する組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 【外１】 血改善効果のある組成物を提供する。 【解決手段】 灯盞花を主成分とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は薬用或いは健康食
品用として用いることが可能な血行改善効果を有する組
成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年我が国では急速に高齢化社会を迎え
ており、成人病は増多の一途を示しており、さらに成人
病の若年化が問題になっている。その中特に脳と心臓の
循環系血管系障害は最も多く、ときには致命的である。
これらの血管障害には、一般にリスク因子というものが
あり、多くの例では、糖尿病、高脂血症および高血圧症
が基礎疾患にある。これらの疾患は、血液の凝固・線溶
系因子に悪い影響をもたらし、血栓症や梗塞症をおこ
す。これらの疾患は、漢方医学、または中国伝統医学
（中医）では

【外１】 血（以下「オ血」とする）が原因とされており、このオ
血を改善するものとして中医においては従来よりシソ科
植物である丹参が知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は丹参よりも更
にオ血改善効果の高い組成物を提供することを目的とす
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は灯盞花を主成分とすることを特徴とする。

【０００５】本発明者らは、これまで用いられていた丹
参よりも更にオ血改善効果の高いものを求めて研究を重
ねた。先づ漢方医学または中国伝統医学でいうところの
オ血を西洋医学の立場から考え、その基礎となるような
動物実験を行った。即ち漢方生薬を投与して動脈の血流
量を測定する実験、血中の中性脂肪量を測定する実験、
血液の流動性を測定する実験および赤血球の電気流動実
験を行った。このような研究を重ねた結果、灯盞花がオ
血改善に高い効果を示すことを見い出すに至り、それを
用いた血行改善効果を有する組成物を発明した。

【０００６】オ血とは中医における概念であり血液が濃
くて粘度が高くなり、血小板の凝集性が高いので血が固
まりやすくなって、流動性が悪い状態を云い、脳梗塞や
狭心症、心筋梗塞、高血圧、動脈硬化、糖尿病、ガン、
痴呆症などの成人病に共通した基本的な病態であると考
えられている。

【０００７】一方西洋医学にはオ血という概念はない
が、血液の凝固・線溶系に異常を認める点では、うっ血
と共通している。近年、西洋医学的にも理解される患者
のオ血度を判定するものとして図２に示すオ血スコアが
知られている。オ血度の判定は、各項目の合計点が２０
点以下であれば正常、２０〜４０点は軽度のオ血状態、
４０点以上は高度のオ血障害というように判定されてい
る。一方西洋医学においてはうっ血を表すものとしてＤ
−ｄｉｍｅｒが用いられており、これは血液を凝固させ
るたんぱく質であるフィブリノーゲン（繊維素原）の生
成物の量によって判定するものである。血液が固まりや
すい状態の時は、このＤ−ｄｉｍｅｒの値も高くなるの
が一般的である。そこで灯盞花とＤ−ｄｉｍｅｒ及びオ
血の関係を解析すると、図１に示すように、灯盞花の内
服６ヶ月後にはＤ−ｄｉｍｅｒが著しく低下し、同時に
オ血スコアも有意に低下していることが見い出された。
この患者は７４歳の男性であるが、かなり痴呆が進んで
いたにも拘らず、灯盞花エキスを服用することにより６
ヶ月後には日常生活に支障の無いところまで回復した。
また、脳血栓症の患者に灯盞花を服用させた後、特殊な
アイソトープを用いたＣＴスキャンをとって解析する
と、脳血栓の改善にともない脳内酸素の消費量が増大
し、ＣＴスキャン写真上で赤色部位が増加して行く経過
が、はっきりと確認された。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明は上記知見に基づくもの
で、灯盞花を主成分とすることを特徴とする。灯盞花は
全草を水または低級アルコールなどを用いて熱処理を加
えてそのエキスを抽出し、粉末とすることにより、服用
可能な形態とする。灯盞花を服用することにより、上記
したように血行の改善がみられ、特に脳血流量の増加、
血中脂質等に効果があることが確認された。以下動物実
験の結果を示す。

【０００９】実験例１ ＜血液循環に対する実験＞ 犬を用いて次のように未発明物の血液循環改善実施を行
なった。 Ａ：灯盞花エキス大量投与群、投与物：２０％灯盞花エ
キス懸濁液 Ｂ：灯盞花小量投与群、投与物：１０％灯盞花エキス懸
濁液 Ｃ：対照群（蒸留水群）、投与物：蒸留水 ・投与後、３０、４０、５０、６０、７０、８０、１０
０、１２０分毎に頸動脈の血流量、椎動脈の血流量、血
圧、心拍等の指標を記録した。 ・実験対象：各群犬５匹（体重１０〜１８Ｋｇ） ・投与方法：毎キロ体重に４ｍｌ十二指腸より投与 上記の条件で実験を行なったところ、Ｃの対照群と比較
すると、それぞれ飛躍的な血流量の増加を示した。灯盞
花エキスを使用したＡ、Ｂともに、脳血流量が増加する
ピーク値は投与後６０分後で、使用開始時と比べると、
脳血流量は３倍にまで上がり、最終測定値でも初期値よ
り高い血流量を示し血行が改善された。（図３） また脳血管の抵抗に対する影響を見ると、Ａ、Ｂとも
に、対照群とは全く異なり、脳血管の抵抗を著しく低下
させるラインを示した。また最終測定値も、初期値より
低い数値に終わり、著しい血行改善が認められた。（図
４） 更に心筋の張力指数もすべて対照群の１／２以下に下が
り、最終測定値も初期値よりかなり低いところで落ち着
いている。このことは、動物の心筋の酸素消費量も降下
させることができることを物語っており、心疾患に有効
なことが確認された。（図５） 以上３つの結果から、灯盞花は脳血管を拡張し、脳血流
量を増やして脳の血液循環を著しく改善することがわか
り、高血圧や狭心症など循環系疾患の予防と病態の改善
に非常に有効な効果を示す結果を得た。

【００１０】実験例２ ＜血中脂肪に対する実験＞ラットを用いて灯盞花エキス
の投与による血中の脂肪について検討した。 Ａ：正常対照群、投与物：蒸留水 Ｂ：高脂肪血症モデル群、投与物：蒸留水 Ｃ：灯盞花エキス大量投与群、投与物：２０％灯盞花エ
キス懸濁液 Ｄ：灯盞花エキス小量投与群、投与物：１０％灯盞花エ
キス懸濁液 ・正常対照群には通常の飼料、他の３群には高脂肪飼料
（組成：基礎飼料８８％、豚脂肪１０％、コレステロー
ル２％、プロピルチオウラシル０．２％）を連続投与
し、１４日間観察した。 ・実験動物：各群ラット８匹（体重１８０〜２３０ｇ） ・投与方法：毎キロ体重に１０ｍｌ経胃投与 灯盞花エキス大量投与群のＣ群は、高脂肪飼料を与えた
３群の中で、血清中性脂肪と、血清コレステロール量が
ともに最も低い値を示し、また灯盞花小量群のＤはモデ
ル群のＢより血清の中性脂肪が低かった。

【００１１】実験例３ ＜血液の流動性に対する実験＞ラットを用いて血液の流
動性について実験を行った。 Ａ：正常対照群、投与物：蒸留水 Ｂ：高脂肪血症モデル群、投与物：蒸留水 Ｃ：灯盞花エキス大量投与群、投与物：２０％灯盞花エ
キス懸濁液 Ｄ：灯盞花エキス小量投与群、投与物：１０％灯盞花エ
キス懸濁液 ・正常対照群には通常の飼料、他の３群には高脂肪飼料
（組成：基礎飼料８８％、豚脂肪１０％、コレステロー
ル２％、プロピルチオウラシル０．２％）を連続投与
し、１４日間観察した。 ・実験動物：各群ラット８匹（体重２００〜２５０ｇ） ・投与方法：毎キロ体重に１０ｍｌ経胃投与 灯盞花エキス大量投与群であるＣ群と小量群のＤ群とも
に、実験対象の全血粘度、血漿比粘度は、Ｂのモデル群
に比べて明らかに低い値を示した。このことから、灯盞
花は血行改善への高い効果が証明され、血液の流れをス
ムーズにする効果を有することがわかった。

【００１２】実験例４ ＜赤血球電気泳動の異常変化の改善＞赤血球泳動時間、
赤血球の沈降速度（血沈、ＥＳＲ）、赤血球容積率（ヘ
マトクリット値、Ｈｔ）血沈方程Ｋ値などの血流変学デ
ータはＣの灯盞花大量投与群が最もその効果が大きい値
を示した。これにより、赤血球泳動の異常変化の改善に
は、灯盞花エキスの投与が非常に優れていることがわか
った。

【００１３】＜臨床例＞以下臨床研究を行った結果を示
す。下記成分エキスから成る組成物を粉末状にし４００
ｍｇの錠剤に成形し、薬効の確認試験を行った。比較例
として丹参片を用いた。灯盞花：５７．６９wt％、丹参
葉：７．２５wt％、鶏血藤：６．０７wt％、降香：４．
２１wt％、山査子：５．８８wt％、郁金：４．２１wt
％、紅花：６．０７wt％、桂皮：２．４５wt％、生姜：
１．８６wt％、蜜柑皮：１．８６wt％、人参：２．４５
wt％。上記各成分の薬原と効能を下記に示す。この中丹
参葉は丹参の葉のみのエキスであり、従来丹参片は知ら
れていたものの、丹参の葉と灯盞花とを併用することに
よりオ血改善効果に大きな効果があることが判明した。 丹参葉：シソ科植物 血管拡張、脳血流量増加、抗凝血、血圧降下、鎮静安定 紅花 ：キク科植物 微小循環改善、抗凝血、脳組織の酵素活性化 降香 ：ミカン科植物 活血理気鎮痛、止血 山査子：バラ科植物 血管拡張、血圧降下、血脂の減少、消化促進、殺菌 鶏血藤：マメ科植物 血行改善、通絡（抗リウマチ）、補血（造血促進） 鬱金 ：ショウガ科植物 疏肝利胆健胃、活血理気鎮痛、解鬱開竅 桂皮 ：クスノキ科植物 発汗解表解熱止痛、血管の痙攣緩解、血液循環の促進 陳皮 ：ミカン科植物 健胃止嘔整腸、理気鎮痛、化痰 生姜 ：ショウガ科植物 発汗解表、化痰、健胃止吐、食欲増進 上記成分比は一例であり、一般的に灯盞花４０wt％以上
とするのが望ましい。またこれに丹参葉を１５wt％以下
混合することにより、オ血改善効果が上昇する。その他
の成分は任意であり、適宜１０wt％以下混合することが
可能である。虚血性脳卒中と高脂血症、脳動脈硬化症に
ついて、１９９５年１０月から１９９６年５月にかけ、
中華人民共和国衛生部中薬新薬臨床薬理基地と長春中医
学院付属病院において下記方法で系統的に臨床研究を行
った。 ＊２８日間の観察期間中は上記の薬物以外、虚血性脳卒中を治療する漢方薬、西 洋薬ともに使用しない。 急性虚血性脳卒中の患者６０例を随意に本発明組成物投
与群３０例、対照群３０例の２組に分け、単盲法（医者
のみが知っている）で観察した。両組の性別、年齢、職
業、経過、病状など各方面でバランスをとっているの
で、結果の信憑性は高いものになっている。総合評価は
表１に示すように、本発明の組成物の急性虚血性脳卒中
に対する著効率２３．３３％、総有効率は８６．６７％
に達し、対照群の著効率０％、総有効率５６．６７％を
大きく上回った。中医で言う気虚血於（半身麻痺）に対
して特に有効であり、総有効率９２．８６％という高い
結果を得た（表２）。また、風痰於血や痺阻脈絡に関し
ても、対照群と大きな差異は認められなかったものの、
その有効率は８１．２５％と高い値を示した。このほ
か、頭痛や目まい、吐き気、言語障害等の改善において
も顕著な改善が見られ、しかも、めまいにおいては明ら
かに対照群より著しい改善効果が確認された。（表
３）。本発明組成物を投与した３０例の患者において
は、吐き気、嘔吐、胃痛、目まい、倦怠感、動悸、血圧
などの異常やアレルギー反応は全く認められなかった。
また、血、尿、便などの一般検査や心電図、胸部Ｘ線、
肝腎機能、神経系にも異常は認められず、使用上の安全
性、信頼性は極めて高いことが確認された。

【表１】

【表２】

【表３】

【００１４】

【図面の簡単な説明】

【図１】灯盞花とＤ−ｄｉｍｅｒ及びオ血スコアの関係
を示すグラフ。

【図２】オ血スコアを示す表。

【図３】灯盞花の血液循環に対する実験を示すグラフ。

【図４】灯盞花の血中脂肪に対する実験を示すグラフ。

【図５】灯盞花の血液の流動性に対する実験を示すグラ
フ。

フロントページの続き (72)発明者 山 上 末 人 東京都中野区中央４丁目26番10−605号 (72)発明者 松 繁 克 道 千葉県船橋市宮本８丁目22番19号 (72)発明者 石 濱 義 明 東京都調布市飛田給１丁目３番15−203号

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 灯盞花を主成分とする血行改善効果を有
   する組成物。
2. 【請求項２】 灯盞花と丹参葉を主成分とする血行改善
   効果を有する組成物。
3. 【請求項３】 灯盞花を主成分とし、更に下記成分の中
   の１以上を含有する、ことを特徴とする血行改善効果を
   有する組成物。丹参葉、鶏血藤、降香、山査子、郁金、
   紅花
4. 【請求項４】 下記成分の中の１以上を更に含有する、
   ことを特徴とする請求項１又は２に記載の血行改善効果
   を有する組成物。桂皮、生姜、蜜柑皮、人参
5. 【請求項５】 灯盞花：４０wt％以上、丹参葉：１５wt
   ％以下、鶏血藤、降香、山査子、郁金、紅花、桂皮、生
   姜、蜜柑皮、人参、を夫々１０wt％以下含有する、こと
   を特徴とする血行改善効果を有する組成物。
6. 【請求項６】 灯盞花：５７．６９wt％、丹参葉：７．
   ２５wt％、鶏血藤：６．０７wt％、降香：４．２１wt
   ％、山査子：５．８８wt％、郁金：４．２１wt％、紅
   花：６．０７wt％、桂皮：２．４５wt％、生姜：１．８
   ６wt％、蜜柑皮：１．８６wt％、人参：２．４５wt％、
   を含有する、ことを特徴とする血行改善効果を有する組
   成物。
7. 【請求項７】 前記灯盞花が灯盞花全草のエキスであ
   る、請求項１乃至６に記載の血行改善効果を有する組成
   物。