JP2002003391A - エゾウコギを用いた薬剤並びに組成物及びその抽出方法 - Google Patents

エゾウコギを用いた薬剤並びに組成物及びその抽出方法

Info

Publication number
JP2002003391A
JP2002003391A JP2000189002A JP2000189002A JP2002003391A JP 2002003391 A JP2002003391 A JP 2002003391A JP 2000189002 A JP2000189002 A JP 2000189002A JP 2000189002 A JP2000189002 A JP 2000189002A JP 2002003391 A JP2002003391 A JP 2002003391A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
extract
brain
concentration
administration
eleuthero
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000189002A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahiko Fujikawa
隆彦 藤川
Hideaki Soya
英昭 征矢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Deal Coms Kk I
I-DEAL COMS KK
Original Assignee
Deal Coms Kk I
I-DEAL COMS KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Deal Coms Kk I, I-DEAL COMS KK filed Critical Deal Coms Kk I
Priority to JP2000189002A priority Critical patent/JP2002003391A/ja
Publication of JP2002003391A publication Critical patent/JP2002003391A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【構成】 エゾウコギ(学名 Acanthopanax
senticosusharms)の抽出物を有効成
分として含有する組成物。 【効果】ストレス性の胃潰瘍、急性腸炎、円形脱毛症、
不眠症、イライラを治療しかつ予防薬として用いること
ができ、脳内モノアミン及びその関連物質濃度に影響を
及ぼして小人症の治療、Well being(情動、
意欲)、短期記憶能力を高めたり活動量のバランスをと
る効果、パーキンソン病や注意力不足活動過多症(AD
HD)の予防や治療に効果を有し、特にストレス性の胃
潰瘍に関してはその作用機構の明らかである組成物また
はエゾウコギの抽出法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ストレス性の胃潰
瘍、急性腸炎、円形脱毛症、不眠症、イライラを予防と
治療に効果があり、Well being(情動、意
欲)や短期記憶能力を高めたり活動量のバランスをとる
効果があり、小人症、パーキンソン病や注意力不足行動
過多症(ADHD)の予防と治療に効果があり、特にス
トレス性の胃潰瘍に関しては生体内プロラクチンの上昇
効果を介したものであるエゾウコギを用いた組成物及び
抽出法に関する。
【0002】
【従来の技術】(1)漢薬は滋養強壮や多くの生理作用
を有することから古来より服用されてきた。最近では抽
出法の改良また作用の増強や調整などの応用を期待して
その薬理作用あるいは生理作用について多くの研究がな
され、有効成分と薬理作用との関係が科学的に明らかに
なりつつある。
【0003】従来、抗ストレス作用を期待して、エゾウ
コギ、ゴミシ、トチュウ、タイソウ、ビャクジュツなど
数種〜数10種の生薬を配合されて服用されてきた。特
開平09−227394号ではストレスによる知的作業
の能率の低下を改善するエゾウコギ、ゴミシ、トチュウ
からなる経口投与用の組成物を提供している。
【0004】漢薬の中でも、ウコギ科(Araliac
ease)、ウコギ属に分類される植物であるエゾウコ
ギ本発明のいうエゾウコギとは学名 Acanthop
anax senticosus harmsが指す植
物と同じであり以下ASHとする場合がある)の有効成
分を抽出したエキスは、ストレスに起因する胃粘膜損
傷、免疫機能の低下、高血圧等を予防することで知られ
ている。中国では刺五加と呼ばれ、血圧調整、強壮、精
神安定、リウマチ性関節痛等に用いられる。また、旧ソ
連ではSiberian Ginseng(旧学名“E
leutherococus senticosus
Maxim”)と呼ばれ、降圧作用、精腺や副腎皮質機
能亢進作用、抗ストレス作用を有することが知られる。
【0005】ASHは同じウコギ科で高価な朝鮮人参と
その効果が類似しているため、効果な朝鮮人参に代わる
安価な漢薬として用いられる。朝鮮人参は有効成分のほ
とんどはすでに明らかにされているといわれるが、エゾ
ウコギの有効成分はそれほど明らかにはなっておらず、
その生化学的な作用機構については知られていなかっ
た。
【0006】(2)又、成長ホルモン(GH)は一般に
成長を促進し、また代謝過程(例えばタンパク質合成、
遊離脂肪酸動員の刺激、炭水化物代謝から脂肪酸代謝へ
のエネルギー代謝の変換)に対して多数の作用をもつ。
GHは成長に関係するホルモンということから小人症の
治療に用いられ、その他ターナー症候群、小児慢性腎疾
患、軟骨異栄養症や成人GH分泌不全症にも臨床応用さ
れる等幅広く使用されている。また最近、GHは免疫機
能の活性化(ナチュラルキラー(NK)活性)を促し
て、短期記憶を高める効果、血中GH濃度が低下した高
齢者または特効薬のない病気の患者の情動、行動、幸福
感を高めるホルモンとしても注目されている。
【0007】GHはペプチドホルモンであるため経口投
与では効果が期待できない。そのため皮下注射の反復投
与が、また長期にわたる投与が必要であるため、患者の
肉体的負担が非常に大きいという問題がある。解決策と
して徐放性製剤を用いて長期にわたりGH濃度を高める
薬剤を大量生産できる方法が提案されている(特開平1
1−158200号)が、正常時に常用しても毒性のな
い予防薬として有効でGH濃度上昇効果のある大量生産
可能できる組成物はなかった。
【0008】(3)また、パーキンソン病患者は黒質線
条体でのドーパミン濃度の異常な低下とニューロンの変
性を特徴とする。薬物療法は数多くの副作用(例として
L−ドーパは悪心、嘔吐、食欲不振、めまい、起立性低
血圧、不整脈、興奮、幻覚、妄想、抑うつ、不眠、ねむ
けが報告され、抗コリン剤は口渇、便秘、悪心、食欲低
下、頻脈、動悸、排尿障害、視力調節障害、緑内障、幻
覚、妄想、注意力低下、記銘力障害が報告され、塩酸ア
マタジンはめまい、立ちくらみ、悪心、嘔気、嘔吐、食
欲不振、不安、幻覚、妄想、下腿浮腫、網状青斑が報告
され、麦角・非麦角アルカロイドは悪心、食欲不振、胃
部不快感、起立性低血圧、不整脈、幻覚、妄想、眠気が
報告され、塩酸セレギンは悪心・嘔吐、食欲不振、不随
意運動、幻覚、めまい・ふらつきが報告され、L―ドプ
スは悪心、嘔吐、食欲不振、便秘、血圧上昇、不整脈、
動悸、四肢冷感、まぶしい、排尿障害、幻覚、妄想、付
随意運動、パーキンソン病の悪化が報告される。)を伴
う。特願平08−512055号で哺乳動物の正常な細
胞代謝と相互作用せず、または非−細胞毒性様式で相互
作用し、経口投与され、かつ哺乳動物が1日15−80
0mg/kgの投与量で長期間耐容することができ、哺
乳動物の腎臓組織によって容易に吸収され、そして腎毒
性結果を生じることなく哺乳動物の尿中に排泄されるこ
とを特徴とする薬剤について述べられている。
【0009】(4)さらに、Gainetdinov
R.R.et al.:Roleof seroton
in in the paradoxical cal
ming effect of psychostim
ulants on hyperactivity.S
cience,283,397−401(1999)に
はDAトランスポーター欠損マウス(細胞外のDA濃度
の上昇)の注意力不足過多症(ADHD)様の行動異常
に対して少量のリタリン(精神興奮剤)の投与による5
−HT濃度の上昇を介した鎮静効果があると報告されて
いることからADHDには線条体でのセロトニン(5−
HT)濃度の上昇が有効であるといえる。Peter
Montague,RACHEL’S ENVIRON
MENT&HEALTH WEEKLY#678,De
cember2,1999“ADHD AND CHI
LDREN’S ENVILONMENT”によるとリ
タリンはマウスに肝臓癌を引き起こし、ラットではその
ような現状が認められなかったという報告があることか
らリタリンは長期投与に関する確認を必要としている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
(1)に対応して、急性腸炎、円形脱毛症、不眠症、イ
ライラを治療する作用をもつことに加えて正常時に常用
しても毒性のない予防薬としても有効な組成物はなく、
そのような効果を有するエゾウコギの抽出法は知られて
いなかった。ストレス性の胃潰瘍を治療する作用をもつ
ことに加えて正常時に常用しても毒性のない予防薬とし
ても有効な経口投与用組成物は知られていたが、その作
用機構は知られておらず、そのような作用機構が明確で
あるエゾウコギの抽出法は知られていなかった。また朝
鮮人参は高価であり、長期にわたり正常時に服用すると
逆に毒性を有するため、安価で正常時に常用可能で予防
に適した生薬からなる組成物が待望される。本発明でい
う正常時とは身体が健康な状態で恒常性が保たれている
状態のことであり、本発明でいう毒性とは恒常性のバラ
ンスを崩す要因となる性質のことである。また、生薬の
抗ストレス作用を評価する場合、ストレスにはしばしば
様々な因子が関係していることが多く、生薬自体は非常
に多くの成分が混在しいるため、抗ストレス作用機構の
より初期段階を明らかにするなら、有効成分の化学的な
評価の明瞭化をすること、有効成分の効果の効率的な増
強または調整、また目的の薬効をもつ薬剤の製造法を最
適化するために有利であるため、有効成分の作用機構の
解明が待望されていた。
【0011】また、上記(2)に対応して、皮下注射に
よる患者の負担を軽減するために経口投与により成長ホ
ルモンの上昇作用を有する薬剤が待望されており、特に
予防に際しては経口投与形態が望ましい。さらに正常時
に長期にわたり常用しても毒性のない予防薬としても有
効な経口投与用組成物はなかった。
【0012】さらに、上記(3)に対応して、エゾウコ
ギの熱水による抽出物で、ドーパミン濃度上昇効果があ
ることに加えて正常時に常用しても毒性のないパーキン
ソン病の予防薬として有効な経口投与用組成物はなかっ
た。
【0013】上記(4)に対応して、エゾウコギの熱水
による抽出物で、ADHDに効果があることに加えて正
常時に服用しても毒性のない予防薬としても有効な経口
投与用組成物はなかった。
【0014】さらに、ストレス性の胃潰瘍、急性腸炎、
不眠症、イライラの治療効果、GH濃度向上作用を有す
るエゾウコギ抽出物の抽出法は知られておらず、またド
ーパミン濃度上昇効果、セロトニン濃度上昇効果を有す
るエゾウコギ抽出物の熱水による抽出法は知られていな
かった。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、ストレス性胃潰瘍の治療または予防に有効でありエ
ゾウコギの抽出物による生体内プロラクチンの上昇効果
を介してストレス性胃潰瘍に対して効果を有する薬剤で
ある。
【0016】請求項2に記載の発明は、エゾウコギの抽
出物を有効成分として含有して、ストレス性急性腸炎の
治療または予防に有効な薬剤である。
【0017】請求項3に記載の発明は、エゾウコギの抽
出物を有効成分として含有して、ストレスによる不眠症
の治療または予防に有効な薬剤である。
【0018】請求項4に記載の発明は、エゾウコギの抽
出物を有効成分として含有して、ストレスによるイライ
ラの治療または予防に有効な薬剤である。
【0019】請求項5に記載の発明は、エゾウコギの抽
出物を有効成分として含有して、ストレスによる円形脱
毛症の治療または予防に有効な薬剤である。
【0020】請求項6に記載の発明は、エゾウコギの抽
出物を有効成分として含有して、血液中の成長ホルモン
濃度を上昇させ、脳実質細胞のGHmRNAを上昇させ
る作用を有する、小人症治療または予防に有効であり経
口投与形態で用いることのできる薬剤である。
【0021】請求項7に記載の発明は、エゾウコギの抽
出物を有効成分として含有して、ドーパミン濃度上昇効
果によるWell being(情動、意欲)または短
期記憶能力を高めまた活動量のバランスをとり、また低
下を予防する薬剤である。
【0022】請求項8に記載の発明は、エゾウコギの熱
水による抽出物を有効成分として含有して、パーキンソ
ン病の治療または予防に有効な薬剤である。
【0023】請求項9に記載の発明は、エゾウコギの熱
水による抽出物を有効成分として含有して、注意力不足
活動過多症の治療または予防に有効な薬剤である。
【0024】請求項10に記載の発明は、ストレス性の
胃潰瘍、急性腸炎、不眠症、イライラの予防かつ治療効
果や、GH濃度向上作用、ドーパミン濃度上昇効果、セ
ロトニン濃度の低下予防または低下時における上昇効果
を有するエゾウコギの熱水による抽出法である。
【0025】
【発明の実施の形態】本願発明の経口投与用組成物はエ
ゾウコギから抽出したエキスを有効成分とし、好ましく
はエタノールと蒸留水で順次抽出したエキスもしくは熱
水で抽出したエキスを用い、エタノールと蒸留水で順次
抽出する場合さらに好ましくは100%エタノール、5
0%エタノール、蒸留水で順次抽出した後混合したエキ
スを用いる。また、熱水で抽出する場合はさらに好まし
くはエゾウコギを約5倍量の60℃の熱水中に入れ、2
昼夜抽出した後、遠心分離後に抽出液と残さにわけ、残
さを再度約3倍量の100℃の熱水を加えて1昼夜抽出
を行い、遠心した後、60℃で抽出した抽出液と100
℃で抽出した抽出液を混合したものをエゾウコギ抽出液
とする。さらには、この抽出液を約50℃でろ過を行っ
た後、再度15℃まで冷めた後にでろ過を行い、その後
減圧下で濃縮し、さらに凍結乾燥を行い、その後必要に
応じて蒸留水に溶解して用いてもよい。熱水による抽出
法によって、エタノールと水による抽出法と同様の効果
をより容易な方法で得ることができる。
【0026】本発明は通常経口投与形態であり、常法に
より液剤、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、ドライシ
ロップ剤などの剤型にすることができるが、特に限られ
たものではない。場合によっては、患部に塗布すること
もできる。
【0027】以下に経口投与形態の実施形態の例を示
す。
【0028】(例1)NK活性へのエタノール・蒸留水
抽出(混合抽出)ASHエキスの効果抽出物の調整:A
SHの茎と葉などを100%エタノール、50%エタノ
ール、蒸留水で順次抽出したエキスを混合した混合エキ
ス(商品名リンパザイム、植物核酸開発(株式会社)製、
ASHが500mg/kgb.w.)を1mlの蒸留水
に溶かした液剤(以下混合ASHエキス)を調整した。
【0029】試験方法:ラットに1日1回、ゾンデを用
いて2週間、前記混合ASHエキスを経口投与したラッ
トと、対照群として蒸留水をラットに1日1回、同じ方
法で経口投与したラットを、午後1時頃(ラットの活動
量の高い時間帯)から金網製の拘束ゲージ(高さ17c
m×幅7cm×奥行き4cm)に入れ、そして水温23
±0.5℃の中にラットの胸部までつかるように上から
吊るした。水浸拘束ストレス7時間後、即座にラットを
断頭した。ここに報告した実験は三重大学と実験動物繁
殖研究所の国際研究審議会(DHEW発行(米国衛生研
究所)85−23)で作成された実験動物の保護と使用
のガイドラインに従った。
【0030】前記水浸拘束ストレスを加えたラットと非
ストレス負荷ラットから、即座に脾臓を摘出し、RPM
I1640培養液で洗浄後、リンパ球をとりだし1×1
7細胞/mlに調整した(作用細胞)。また、標的細
胞としてラット由来のYAC−1細胞に51Crを取り込
ませた後、そのYAC−1細胞を1×105に調整し
た。その後、96穴のウェルに作用細胞:標的細胞=2
00:1から12.5:1の比率で加え、37℃、4.
5時間のインキュベーションを行った。インキュベート
終了後、遠心を行い、上清をルーマープレートに移し、
ガンマー線を測定することにより、混合抽出ASHエキ
スのNK活性を解析した。
【0031】試験結果:図1は水浸拘束ストレスを与え
たときの混合抽出ASHエキスのNK活性への影響を表
す。非ストレス負荷ラットに比べて、7時間のストレス
負荷ラットのNK活性は89%まで低下した。この時、
2週間の混合抽出ASHエキス前投与したラットの場
合、NK活性の低下が有意に抑制された。表1は水浸拘
束ストレスによるNK活性の減少への混合抽出ASHエ
キスの抑制効果を表す。
【0032】
【表1】 この表からわかる通り、混合抽出ASHエキス投与群の
抑制率は28%であった。
【0033】(例2)脳・下垂体成長ホルモン(GH)
に対する混合抽出ASHエキスの効果抽出物の調整:前
記例1と同様にして、混合抽出ASHエキスを調整し
た。
【0034】試験方法:前期例1と同様にして、混合抽
出ASHエキスまたは蒸留水を与えた後、Chmocz
ynskiとSacchiらによって記載されたイソチ
オシアン酸グアニジュウム−フェノール−クロロホルム
法を用いることによって水浸拘束ストレスを加えたラッ
トの脳及び下垂体からそれぞれRNAを抽出した。RT
反応は100UのM−MLV逆転写酵素を用いて、42
℃、1時間行い、GHmRNAに特異性の高いプライマ
ー(センスプライマーとアンチセンスプライマー)を得
られたcDNA溶液に加え、1U Taq DNAポリ
メラーゼを用いて35サイクルのPCR(熱変性94℃
で45秒、アニ−リング60℃で2分、伸張反応72℃
で2分)を行った。そして増幅した360bpのGHc
DNAフラグメントを得た。用いたプライマーは5’−
CTGTTTGCCAATGCTGTGCT−3’
(5’−end)と5’−GTCTTCCAGCTCC
TGCATCA−3’(3’end)である。
【0035】増幅したPCR産物は1.6%のアガロー
スゲルの電気泳動によって分離後、ナイロンメンブレン
に移した。そのメンブレンを変性したサケ精子DNAを
含む6×SET溶液で37℃、2時間の前ハイブリダイ
ゼーション後、32PラベルしたGHのオリゴプローブ
で37℃、8時間のハイブリダイゼーションを行った。
そのメンブレンを洗浄後、x‐線フィルムに16〜24
時間曝した。そしてメンブレンの放射活性をBAS20
00バイオイメージアナライザーにて測定した。
【0036】試験結果:図2は混合抽出ASHエキスに
よるラットの下垂体のGHmRNAの変化を表す。対照
群と比較して、混合抽出ASHエキスの2週間投与は下
垂体におけるGHmRNAの発現を有意に上昇させた。
この結果は混合抽出ASHエキスが下垂体前葉でのGH
合成を高めていることを示している。図3はラットの脳
のGHmRNAの変化を表す。GHmRNAは脳内に発
現しており、混合抽出ASHエキスは対照群と比較して
脳内GHmRNAの発現も有意に上昇させた。
【0037】(例3)血清成長ホルモン(GH)濃度に
対する混合抽出ASHエキスの効果抽出物の調整:前記
例1と同様にして、混合抽出ASHエキスを調整した。
【0038】試験方法:前期例1と同様にして、混合抽
出ASHエキスまたは蒸留水を与えた後、前記水浸スト
レスを加えたラットと加えないラットの血清GHを二抗
体RIA法を用いて測定した。標品としてのホルモンと
抗体はNIDDK Hormone Distribu
tion Programから供与して頂いた。GH濃
度の検出感度は0.76ng/mlであった。
【0039】試験結果:図4(A)は混合抽出ASHに
よる水浸ストレスを加えないラットの血清GHの変化を
表す。混合抽出ASHエキスの2週間投与は対照群と比
較して血清GHを有意に上昇させ、その上昇は対照群の
血清GHの2倍に達した。図4(B)は混合抽出ASH
エキスによる前記水浸ストレスを加えたラットの血清G
Hの変化を表す。7時間のストレスは血清GH濃度を顕
著に低下させた。この時混合抽出ASHエキスの2週間
投与は7時間のストレスによる血清GH濃度の低下を有
意に抑制することを認めた。
【0040】(例4)脳内モノアミン及びその関連物質
代謝に対する混合抽出ASHエキスの効果 抽出物の調整:前記例1と同様にして、混合抽出ASH
エキスを調整した。
【0041】試験方法:8週令の雄性SDラットをSL
Cから購入し、2週間の予備飼育とハンドリングを10
週令まで行ったラットを用いた。2週間予備飼育したラ
ットに前記混合抽出ASHエキスをゾンデを用いて1回
及び2週間、経口投与した。また、対照群として蒸留水
を前記ラットに1日1回、同じ方法で経口投与した。こ
れらのエキス又は蒸留水を経口投与したラットは投与3
時間後に断頭し、Growinskiらの方法を参考に
して氷上ですばやく脳を10分割(前頭頂部と前側頭部
の大脳皮質、後頭頂部と後側頭部の大脳皮質、視床下部
前部(主に、内側思索前野と室傍核)、視床下部後部
(主に、腹内側核、弓状核)、線条体、海馬、黒質、橋
及び延髄)した。これらの脳ブロックを5匹のラットか
ら集め、HPLC−ECD(高速液体クロマトグラフィ
ー電気化学検出法)でドーパミン(DA)、ノルエピネ
フリン(NE)、エピネフリン(E)、セロトニン(5
−HT)及びそれらの関係代謝産物(3−メトキシチラ
ミン(3−MT)、3,4−ジヒドロキシフェニールア
ラニン(MHPG)、ホモバレリル酸(HVA)、4−
ヒドロキシ−3メトキシフェニールグリコール(DOP
AC)、5−ヒドロキシインドール−3−酢酸(5−H
IAA))の各脳分画組織含量(ng/g脳分画重量)
を測定した。
【0042】試験は三重大学及び実験動物繁殖研究所の
国際研究審議会(DHEW(米国衛生研究所)85−2
3)で作成された実験動物の保護と使用のガイドライン
に基づいて行われた。
【0043】試験結果:図5(A)は水1回投与による
脳内DA濃度を表す。横軸にある脳の分画組織は、それ
ぞれ1.大脳皮質前部頭頂部、2.大脳皮質前部側頭
部、3.大脳皮質後部頭頂部、4.大脳皮質後部側頭
部、5.視床下部前部、6.視床下部後部、7.線条
体、8.海馬、9.黒質、10.橋および延髄を表す
(以下同様にして脳の分画組織について表す)。図5
(B)は混合抽出ASHエキス1回投与による脳内DA
濃度を表す。混合抽出ASHエキス1回投与と対照群を
比較することにより混合抽出ASHエキス1回投与によ
る脳内DA濃度の影響をみると、混合抽出ASHエキス
1回投与は対照群と比較して線条体でDA濃度の上昇と
黒質でのDA濃度の低下を誘導した。しかしながら、混
合抽出ASHエキス1回投与の黒質のHVA/DA比は
対照群に比べて低かった。図6(A)は水2週間投与に
よる脳内DA濃度を表す。図6(B)は混合抽出ASH
エキス2週間投与による脳内DA濃度を表す。混合抽出
ASHエキス2週間投与と対照群の比較により混合抽出
ASHエキス2週間投与による脳内DA濃度への影響を
みると、混合抽出ASHエキス2週間投与は大脳皮質前
部及び線条体のDA濃度をそれぞれ24%、32%高め
た。
【0044】図7(A)は水1回投与による脳内N、N
E濃度を表す。図7(B)は混合抽出ASHエキス1回
投与による脳内N、NE濃度を表す。混合抽出ASHエ
キス1回投与と対照群の比較により混合抽出ASHエキ
ス1回投与による脳内N、NE濃度への影響をみると、
混合抽出ASHエキス1回投与は対照群と比較して脳全
体のNE濃度を高め、大脳皮質前野部、大脳皮質後部、
海馬、黒質でのNE濃度をそれぞれ171%、187
%、127%、150%高めた。加えて、混合抽出AS
Hエキスの一回投与は対照群に比べて脳全体でのMHP
G/NE比を上昇させた。図8(A)は水2週間投与に
よる脳内N、NE濃度を表す。図8(B)は混合抽出A
SHエキス2週間投与による脳内N、NE濃度を表す。
混合抽出ASHエキス2週間投与と対照群の比較により
混合抽出ASHエキス2週間投与による脳内N、NE濃
度への影響をみると、混合抽出ASHエキス2週間投与
は大脳皮質前野及び視床下部のNE濃度を僅かに高めた
ものの、上記以外の脳部位では統計学上、対照群との間
に有意な差は認められなかった。また混合抽出ASHエ
キス2週間投与は1回投与と同様に対照群と比較して脳
全体でのMHPG/NE比の上昇傾向を示した。脳内E
濃度に対して、混合抽出ASHエキス投与(1回投与及
び2週間投与)は対照群との間に有意な差は認められず
明らかな影響を及ぼさなかった。
【0045】図9(A)は水1回投与による脳内5−H
T濃度を表す。図9(B)は混合抽出ASHエキス1回
投与による脳内5−HT濃度を表す。混合抽出ASHエ
キス1回投与と対照群を比較することにより混合抽出A
SHエキス1回投与による脳内5−HT濃度への影響を
みると、混合抽出ASHエキスの1回投与は線条体での
み5−HT濃度を高め、その割合は25%であった。し
かし、大脳皮質全体、視床下部全体、黒質では対照群に
比べて逆に5−HT濃度の明らかな低下を認めた。ま
た、混合抽出ASHエキス1回投与は対照群と比べてほ
ぼ脳全体で明らかに5−HIAA/5−HT比を上昇さ
せた。
【0046】図10(A)は混合抽出ASHエキス2週
間投与による脳内5−HT濃度を表す。図10(B)は
混合抽出ASHエキス2週間投与による脳内5−HT濃
度を表す。混合抽出ASHエキス2週間投与と対照群の
比較により混合抽出ASHエキス2週間投与による脳内
5−HT濃度への影響をみると、混合抽出ASHエキス
の2週間投与は対照群と比べて5−HT濃度(大脳皮質
(前部:157%、後部:103%)、視床下部全体1
83%、線条体254%、海馬42%)を高めた。また
混合抽出ASHエキスの2週間投与は対照群と比べてほ
ぼ脳全体で5−HIAA/5−HT比を明らかに低下さ
せた。
【0047】(例5)NK活性への熱水抽出ASHエキ
スの効果 抽出物の調整:ASHの茎と葉などを熱水で抽出したエ
キスを1mlの蒸留水に溶かした液剤(以下熱水抽出A
SHエキス)を調整した。
【0048】試験方法:ASHエキスが例5の抽出物の
調製で示した熱水抽出物であることを除けば例1に示し
た方法と同様である。
【0049】試験結果:図11は水浸拘束ストレスを与
えたときの熱水抽出ASHエキスのNK活性への影響を
表す。非ストレス負荷ラットに比べて、7時間のストレ
ス負荷ラットのNK活性は87%低下したが、この時、
2週間の熱水抽出ASHエキス前投与は7時間のストレ
スによるNK活性の低下を有意に抑制した。表2は水浸
拘束ストレスによるNK活性の減少への熱水抽出ASH
エキスの抑制効果を表す。
【0050】
【表2】 この表からわかる通り、熱水抽出ASHエキス投与群の
抑制率は77%であった。
【0051】(例6)脳・下垂体成長ホルモン(GH)
に対する熱水抽出ASHエキスの効果 抽出物の調製:例5と同様にして、熱水抽出ASHエキ
スを調整した。
【0052】試験方法:ASHエキスが例5の抽出物の
調製で示した熱水抽出物であることを除けば例2に示し
た方法と同様である。
【0053】試験結果:図12は熱水抽出ASHエキス
によるラットの下垂体のGHmRNAの変化を表す。対
照群と比較して、熱水抽出ASHエキスの2週間投与は
下垂体におけるGHmRNAの発現を有意に上昇させ
た。この結果は混合抽出ASHエキスが下垂体前葉での
GH合成を高めていることを示している。図13はラッ
トの脳のGHmRNAの変化を表す。GHmRNAは脳
内に発現しており、熱水抽出ASHエキスは対照群と比
較して脳内GHmRNAの発現も有意に上昇させた。
【0054】(例7)血清成長ホルモン(GH)濃度に
対する熱水抽出ASHエキスの効果 抽出物の調製:例5と同様にして、熱水抽出ASHエキ
スを調整した。
【0055】試験方法:ASHエキスが例5の抽出物の
調製で示した熱水抽出物であることを除けば例3に示し
た方法と同様である。
【0056】試験結果:図14(A)は熱水抽出ASH
による水浸ストレスを加えないラットの血清GHの変化
を表す。熱水抽出ASHエキスの2週間投与は対照群と
比較して血清GHを有意に上昇させ、その上昇は対照群
の血清GHの1.5倍に達した。図14(B)は熱水抽
出ASHエキスによる前記水浸ストレスを加えたラット
の血清GHの変化を表す。7時間のストレスは血清GH
濃度を顕著に低下させた。この時熱水抽出ASHエキス
の2週間投与は7時間のストレスによる血清GH濃度の
低下を有意に抑制することを認めた。
【0057】(例8)脳内モノアミン及びその関連物質
代謝に対する熱水抽出ASHエキスの効果 抽出物の調製:例5と同様にして、熱水抽出ASHエキ
スを調整した。
【0058】試験方法:ASHエキスが例5の抽出物の
調製で示した熱水抽出物であることを除けば例4に示し
た方法と同様である。
【0059】試験結果:図15(A)は水1回投与によ
る脳内DA濃度を表す。図15(B)は熱水抽出ASH
エキス1回投与による脳内DA濃度を表す。熱水抽出A
SHエキス1回投与と対照群を比較することにより熱水
抽出ASHエキス1回投与による脳内DA濃度への影響
をみると、熱水抽出ASHエキス1回投与は対照群と比
較して線条体でDA濃度の上昇と黒質でのDA濃度の低
下を誘導した。しかしながら、熱水抽出ASHエキス1
回投与の黒質のHVA/DA比は対照群に比べて低かっ
た。図16(A)は水2週間投与による脳内DA濃度を
表す。図16(B)は熱水抽出ASHエキス2週間投与
による脳内DA濃度を表す。熱水抽出ASHエキス2週
間投与と対照群を比較することにより熱水抽出ASHエ
キス2週間投与による脳内DA濃度への影響をみると、
熱水抽出ASHエキス2週間投与は大脳皮質前部、視床
下部、線条体、黒質のDA濃度をそれぞれ24%、18
%、71%、142%高めた。
【0060】図17(A)は水1回投与による脳内N、
NE濃度を表す。図17(B)は熱水抽出ASHエキス
1回投与による脳内N、NE濃度を表す。熱水抽出AS
Hエキス1回投与と対照群を比較することにより熱水抽
出ASHエキス1回投与による脳内N、NE濃度への影
響をみると、熱水抽出ASHエキス1回投与は対照群と
比較して脳全体のNE濃度を高め、線条体、海馬、黒
質、橋・延髄でのNE濃度をそれぞれ113%、195
%、96%、187%高めた。図18(A)は水2週間
投与による脳内N、NE濃度を表す。図18(B)は熱
水抽出ASHエキス2週間投与による脳内N、NE濃度
を表す。熱水抽出ASHエキス2週間投与と対照群を比
較することにより熱水抽出ASHエキス2週間投与によ
る脳内N、NE濃度への影響をみると、熱水抽出ASH
エキス2週間投与は大脳皮質前野及び視床下部のNE濃
度をそれぞれ51%、54%高めた。脳内E濃度に対し
て、熱水抽出ASHエキス投与(1回投与及び2週間投
与)は対照群との間に有意な差は認められず明らかな影
響を及ぼさなかった。
【0061】図19(A)は水1回投与による脳内5−
HT濃度への影響を表す。図19(B)は熱水抽出AS
Hエキス1回投与による脳内5−HT濃度への影響を表
す。熱水抽出ASHエキス1回投与と対照群を比較する
ことにより熱水抽出ASHエキス1回投与による脳内5
−HT濃度への影響をみると、熱水抽出ASHエキスの
1回投与は黒質以外の脳全体で5−HT濃度を高め、大
脳皮質前部、大脳皮質後部、視床下部、線条体、橋・延
髄での5−HT濃度をそれぞれ394%、63%、24
%、49%、70%高めた。黒質での5−HT濃度は9
5%低下した。図20(A)は水2週間投与による脳内
5−HT濃度を表す。図20(B)は熱水抽出ASHエ
キス2週間投与による脳内5−HT濃度を表す。熱水抽
出ASHエキス2週間投与と対照群を比較することによ
り熱水抽出ASHエキス2週間投与による脳内5−HT
濃度への影響をみると、熱水抽出ASHエキスの2週間
投与は対照群と比べて5−HT濃度(大脳皮質(前部:
117%、後部:77%)、視床下部全体83%、線条
体273%、海馬151%、黒質122%、橋・延髄1
28%)を高めた。また熱水抽出ASHエキスの2週間
投与は対照群と比べてほぼ脳全体で5−HIAA/5−
HT比を明らかに低下させた。
【0062】(例9)抽出物の調整:50%エタノール
によって抽出したエタノール抽出エキスを試験方法:8
週齢の雄ラットを購入後、1週間の予備飼育を行い、そ
の後ハンドリングを2週間行う。購入から1週間後、ラ
ットにゾンデを用いてASHエキス(500mg/k
g,bw)を1ml投与した。このとき、対照群には蒸
留水を1ml投与した。投与は1日に1回午前中に行っ
た。断頭当日は断頭の3時間前にASHエキスまたは蒸
留水を投与した。断頭後、脳を取り出し、即座にドライ
アイスで凍らせ、以下のIn situ hybrid
izationを行うまで−80℃で保存した。また血
液はプロラクチンや成長ホルモンを測定するまで−20
℃で保存した。
【0063】In situ hybridizati
onは脳をクリオスタットを用いて14μmの切片を作
成し、シランコートしたスライドグラスに貼り付けた。
その後、4%パラホルムアルデヒドで固定を行った。さ
らに、常法に従ってハイブリ溶液を作成し、その液が1
735Sでラベルしたプロラクチン受容体mRNAプ
ローブ溶液になるようにした。固定したスライドグラス
上にそのプロラクチン受容体mRNAプローブを100
μl加え、カバーグラスを乗せた後、DNAオーブンを
用いて58℃、24時間のハイブリダイゼーションを行
った。ハイブリダイゼーション後、4×SSC、2×S
SC、1×SSC、0.5×SSCにて洗浄後、RNa
se処理を行った。さらにアルコール脱水を行った後、
乾燥させ、暗室内にてその乾燥したスライドの上にx-
フィルムを乗せ、カセット内にて2週間放置後、現像を
行った。現像後、プロラクチン受容体mRNAの脳内発
現部位を特定し、その部位を写真に取り、スキャナーを
用いて写真をコンピューターに取り込み、NIHソフト
1.61によってシグナル強度を測定した。
【0064】試験結果:図21(A)は混合抽出ASH
エキス1回投与によるストレス性の胃粘膜損傷に対する
影響を表す。図21(B)は混合ASHエキス2週間投
与によるストレス性の胃粘膜損傷に対する影響を表す。
1回投与、2週間投与ともにエキスのASH濃度に依存
して胃粘膜損傷の抑制率が高く、その抑制率はASH濃
度が500mg/kg/dayで、1回投与の場合1
1.7%、2回投与の場合59.7%であった。
【0065】図22(A)は混合抽出ASHエキスの血
清中プロラクチン(PRL)濃度への影響を表す。図2
2(B)は混合抽出ASHエキスの血清中成長ホルモン
濃度への影響を表す。混合抽出ASHエキスは血清中P
RL濃度、血清中成長ホルモン濃度を上昇させた。
【0066】図23はラットPRLまたはラット成長ホ
ルモンをストレス性の胃粘膜損傷ラットに6日間皮下処
理した場合のストレスに対する影響を表す。成長ホルモ
ンの場合は有意な影響を及ぼさなかったのに対して、P
RLの場合は有意にストレス性の胃粘膜損傷を抑制し、
その抑制率は86%であった。
【0067】図24はラットPRLまたはラット成長ホ
ルモンをストレス性の胃粘膜損傷ラットに1回腹腔内投
与した場合のストレスに対する影響を表す。PRLの場
合1μl/200μlから25μl/200μlの低濃
度では濃度に依存して抑制した。とりわけ50μl/2
00μlの場合は顕著に抑制しその抑制率は93%であ
った一方、同濃度のGH投与の場合は15.6%にとど
まった。
【0068】図25はラットPRLまたはラット成長ホ
ルモンをストレス性の胃粘膜損傷ラットに1回側脳室内
投与した場合のストレスに対する影響を表す。PRLの
場合濃度に依存して有意に抑制し、500ng/5μl
の場合は抑制率が74.6%であった。一方同濃度のG
H投与の場合は10.7%にとどまった。
【0069】図26は混合抽出ASHエキスをラットに
経口投与した場合の脳内PRL−R(レセプター) m
RNAの発現に対する影響を表す。水投与の対照群に対
して混合抽出ASHエキスは脳内PRL−R m−RN
A発現量を有意に上昇させた。
【0070】以上の結果より混合抽出ASHエキスは生
体中のPRL濃度を上昇させて脳に影響を及ぼすことに
より、ストレス性胃潰瘍を抑制することがわかった。
【0071】例1乃至例9の試験では、北海道産のエゾ
ウコギまたは中国産のエゾウコギを用いたが、どちらを
用いた場合でも同様の効果が見られ、又混合抽出AS
H、エタノール抽出ASH、熱水抽出ASHのどれを用
いても同様の効果が見られた。
【0072】
【実施例】(実施例1)26歳の男性、ストレスのたま
る仕事に従事しており、ストレス性胃潰瘍で1週間入
院。退院6日後、再度、腹痛を訴え、10%エゾウコギ
エキスを1日4回毎食前と寝る前に5滴づつ服用、2週
間で痛みがとれた。
【0073】(実施例2)30歳の男性、お酒を飲んで
いる途中、腹痛を訴え、緊急入院。診断結果、ストレス
性急性腸炎。診断後、すぐに10%エゾウコギエキスを
1日4回毎食前と寝る 前に5滴づつ服用、1カ月間服
用後、主な症状が改善した。
【0074】(実施例3)56歳の女性、ストレス性円
形脱毛症のため、10%エゾウコギエキスを1日4回毎
食前と寝る前に3滴づつ服用、と同時に入浴後、1%に
薄めたエゾウコギエキスを頭の脱毛部分にぬり、6カ月
間使用後、主な症状が改善した。
【0075】(実施例4)60歳の男性、ストレス性円
形脱毛症のため、10%エゾウコギエキスを1日4回毎
食前と寝る前に1滴づつ服用、と同時に入浴後、1%に
薄めたエゾウコギエキスを頭の脱毛部分にぬり、12カ
月間使用後、主な症状が改善した。
【0076】(実施例5)57歳の女性、閉経のためイ
ライラと不眠症を生じた。10%エゾウコギエキス を
1日1回寝る前にのみ3滴づつ服用、3日後、イライラ
と不眠症が改善した。
【0077】(実施例6)70歳の女性、痴呆症と診断
後、10%エゾウコギエキスを1日3回毎食前2滴づつ
服用、1ヵ月後、記憶力が徐々に改善しはじめた。
【0078】
【発明の効果】本願の請求項1に記載の発明は、ストレ
ス性胃潰瘍を治療する効果をもち、正常時に長期に服用
しても毒性がない薬剤を提供でき、治療効果の増強や調
整または抽出法の改良を行いやすいという効果がある。
【0079】本願の請求項2乃至5に記載の発明は、急
性腸炎、不眠症、イライラを治療する効果をもち、正常
時に長期に服用しても毒性がない薬剤を提供できるとい
う効果がある。
【0080】本願の請求項6と7に記載の発明は、下垂
体に作用して血液中のGH濃度を上昇させることによる
血液を介した脳への作用及び脳実質細胞のGHmRNA
の上昇作用を有するため、小人症の治療または予防効果
や、また短期記憶を高め、血中GH濃度が低下した高齢
者または特効薬のない病気の患者の情動、行動、幸福感
を高める効果を有し、皮下注射による患者の負担が伴わ
ず、正常時に常用しても毒性がなく、大量生産できる薬
剤を提供できるという効果がある。
【0081】本願の請求項8に記載の発明は、黒質線条
体のドーパミン濃度を高めることによるパーキンソン病
の治療または予防効果があり、正常時に常用しても毒性
のない薬剤を提供できるという効果がある。また、エタ
ノールと水による抽出法と同様の効果をより容易な方法
で行うことが可能になるという効果がある。
【0082】本願の請求項9に記載の発明は、線条体で
のセロトニン濃度を高める作用を有するため、注意力不
足過多症の治療または予防に効果があり、正常時に常用
しても毒性はない薬剤を提供できるという効果がある。
また、エタノールと水による抽出法と同様の効果をより
容易な方法で行うことが可能になるという効果がある。
【0083】本願の請求項10に記載の発明は、エゾウ
コギの熱水抽出法であり、ストレス性の胃潰瘍、急性腸
炎、不眠症、イライラを治療する作用、小人症の治療、
Well being(情動、意欲)や短期記憶能力を
高めたり活動量のバランスをとる効果、パーキンソン病
や注意力不足行動過多症(ADHD)の予防や治療に効
果がある。また、エタノールと水による抽出法と同様の
効果をより容易な方法で行うことが可能になるという効
果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】水浸拘束ストレスを与えたときの混合抽出AS
HエキスのNK活性への影響を示したグラフである。
【図2】混合抽出ASHエキスによるラットの下垂体の
GHmRNAの変化を示したグラフである。
【図3】混合抽出ASHエキスによるラットの脳のGH
mRNAの変化を示したグラフである。
【図4】(A)は混合抽出ASHによる水浸ストレスを
加えないラットの血清GHの変化を示したグラフであ
り、(B)は混合抽出ASHエキスによる前記水浸スト
レスを加えたラットの血清GHの変化を示したグラフで
ある。
【図5】(A)は水1回投与による脳内DA濃度を示し
たグラフであり、(B)は混合抽出ASHエキス1回投
与による脳内DA濃度を示したグラフである。
【図6】(A)は水2週間投与による脳内DA濃度を示
したグラフであり、(B)は混合抽出ASHエキス2週
間投与による脳内DA濃度を示したグラフである。
【図7】(A)は水1回投与による脳内N、NE濃度へ
の影響を示したグラフであり、(B)は混合抽出ASH
エキス1回投与による脳内N、NE濃度への影響を示し
たグラフである。
【図8】(A)は水2週間投与による脳内N、NE濃度
を示したグラフであり、(B)は混合抽出ASHエキス
2週間投与による脳内N、NE濃度を示したグラフであ
る。
【図9】(A)は水1回投与による脳内5−HT濃度を
示したグラフであり、(B)は混合抽出ASHエキス1
回投与による脳内5−HT濃度を示したグラフである。
【図10】(A)は水2週間投与による脳内5−HT濃
度を示したグラフであり、(B)は混合抽出ASHエキ
ス2週間投与による脳内5−HT濃度を示したグラフで
ある。
【図11】水浸拘束ストレスを与えたときの熱水抽出A
SHエキスのNK活性への影響を示したグラフである。
【図12】熱水抽出ASHエキスによるラットの下垂体
のGHmRNAの変化を示したグラフである。
【図13】熱水抽出ASHエキスによるラットの脳のG
HmRNAの変化を示したグラフである。
【図14】(A)は熱水抽出ASHによる水浸ストレス
を加えないラットの血清GHの変化を示したグラフであ
り、(B)は熱水抽出ASHエキスによる前記水浸スト
レスを加えたラットの血清GHの変化を示したグラフで
ある。
【図15】(A)は水1回投与による脳内DA濃度を示
したグラフであり、(B)は抽熱水出ASHエキス1回
投与による脳内DA濃度を示したグラフである。
【図16】(A)は水2週間投与による脳内DA濃度を
示したグラフであり、(B)は熱水抽出ASHエキス2
週間投与による脳内DA濃度を示したグラフである。
【図17】(A)は水1回投与による脳内N、NE濃度
を示したグラフであり、(B)は熱水抽出ASHエキス
1回投与による脳内N、NE濃度を示したグラフであ
る。
【図18】(A)は水2週間投与による脳内N、NE濃
度を示したグラフであり、(B)は熱水抽出ASHエキ
ス2週間投与による脳内N、NE濃度を示したグラフで
ある。
【図19】(A)は水1回投与による脳内5−HT濃度
を示したグラフであり、(B)は熱水抽出ASHエキス
1回投与による脳内5−HT濃度を示したグラフであ
る。
【図20】(A)は水2週間投与による脳内5−HT濃
度を示したグラフであり、(B)は熱水抽出ASHエキ
ス2週間投与による脳内5−HT濃度を示したグラフで
ある。
【図21】(A)は混合抽出ASHエキス1回投与によ
るストレス性の胃粘膜損傷に対する影響を示したグラフ
であり、(B)は混合ASHエキス2週間投与によるス
トレス性の胃粘膜損傷に対する影響を示したグラフであ
る。
【図22】(A)は混合抽出ASHエキスの血清中プロ
ラクチン(PRL)濃度への影響を示したグラフであ
り、(B)は混合抽出ASHエキスの血清中成長ホルモ
ン濃度への影響を示したグラフである。
【図23】ラットPRLまたはラット成長ホルモンをス
トレス性の胃粘膜損傷ラットに6日間皮下処理した場合
のストレスに対する影響を示したグラフである。
【図24】ラットPRLまたはラット成長ホルモンをス
トレス性の胃粘膜損傷ラットに1回腹腔内投与した場合
のストレスに対する影響を示したグラフである。
【図25】ラットPRLまたはラット成長ホルモンをス
トレス性の胃粘膜損傷ラットに1回側脳室内投与した場
合のストレスに対する影響を示したグラフである。
【図26】混合抽出ASHエキスをラットに経口投与し
た場合の脳内PRL−R mRNAの発現に対する影響
を示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 17/14 A61P 17/14 25/00 101 25/00 101 25/14 25/14 25/16 25/16 25/20 25/20

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エゾウコギ(学名Acanthopan
    ax senticosus harms)の抽出物を
    有効成分として含有して、生体内プロラクチンの上昇効
    果を介してストレス性胃潰瘍の治療または予防に有効な
    薬剤。
  2. 【請求項2】 エゾウコギの抽出物を有効成分として含
    有して、ストレス性急性腸炎の治療または予防に有効な
    薬剤。
  3. 【請求項3】 エゾウコギの抽出物を有効成分として含
    有して、ストレスによる不眠症の治療または予防に有効
    な薬剤。
  4. 【請求項4】 エゾウコギの抽出物を有効成分として含
    有して、ストレスによるイライラの治療または予防に有
    効な薬剤。
  5. 【請求項5】 エゾウコギの抽出物を有効成分として含
    有して、ストレスによる円形脱毛症の治療または予防に
    有効な薬剤。
  6. 【請求項6】 エゾウコギの抽出物を有効成分として含
    有して、小人症の治療または予防に有効な薬剤。
  7. 【請求項7】 エゾウコギの抽出物を有効成分として含
    有して、Well being(情動、意欲)または短
    期記憶能力を高めまた活動量のバランスをとる組成物。
  8. 【請求項8】 エゾウコギの熱水による抽出物を有効成
    分として含有して、パーキンソン病の治療または予防に
    有効な薬剤。
  9. 【請求項9】 エゾウコギの熱水による抽出物を有効成
    分として含有して、注意力不足活動過多症の治療または
    予防に有効な薬剤。
  10. 【請求項10】 エゾウコギを熱水によって抽出する方
    法。
JP2000189002A 2000-06-23 2000-06-23 エゾウコギを用いた薬剤並びに組成物及びその抽出方法 Pending JP2002003391A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000189002A JP2002003391A (ja) 2000-06-23 2000-06-23 エゾウコギを用いた薬剤並びに組成物及びその抽出方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000189002A JP2002003391A (ja) 2000-06-23 2000-06-23 エゾウコギを用いた薬剤並びに組成物及びその抽出方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002003391A true JP2002003391A (ja) 2002-01-09

Family

ID=18688698

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000189002A Pending JP2002003391A (ja) 2000-06-23 2000-06-23 エゾウコギを用いた薬剤並びに組成物及びその抽出方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002003391A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006092992A1 (ja) * 2005-02-28 2006-09-08 Kao Corporation 予防的抗ストレス剤
WO2010035946A1 (ko) * 2008-09-23 2010-04-01 주식회사 휴럼 오가피 추출물을 유효성분으로 함유하는 위장질환의 예방 또는 치료용 조성물
WO2012161358A1 (ko) * 2011-05-24 2012-11-29 주식회사 유유제약 테르펜락톤이 강화된 은행엽 추출물을 함유하는 주의력 결핍 과잉 행동 장애(adhd)의 예방 또는 치료용 약학 조성물
CN103285246A (zh) * 2012-02-29 2013-09-11 黑龙江康元神经专科医院有限责任公司 治疗儿童多动症的中药制剂
WO2018181135A1 (ja) * 2017-03-31 2018-10-04 株式会社サン・クロレラ 学習効果改善剤及び学習効果改善用食品組成物の製法並びにその関連技術
JP2020189800A (ja) * 2019-05-21 2020-11-26 備前化成株式会社 エゾウコギ抽出物の製造方法
WO2023018255A1 (ko) * 2021-08-12 2023-02-16 주식회사 머스카 천연물의 수면 유도 및 수면 질 향상 용도
WO2023018256A1 (ko) * 2021-08-12 2023-02-16 주식회사 머스카 수면 유도 및 수면 질 향상 음료
KR20230025645A (ko) * 2021-08-12 2023-02-22 주식회사 머스카 천연물의 수면 유도 및 수면 질 향상 용도

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006092992A1 (ja) * 2005-02-28 2006-09-08 Kao Corporation 予防的抗ストレス剤
WO2010035946A1 (ko) * 2008-09-23 2010-04-01 주식회사 휴럼 오가피 추출물을 유효성분으로 함유하는 위장질환의 예방 또는 치료용 조성물
WO2012161358A1 (ko) * 2011-05-24 2012-11-29 주식회사 유유제약 테르펜락톤이 강화된 은행엽 추출물을 함유하는 주의력 결핍 과잉 행동 장애(adhd)의 예방 또는 치료용 약학 조성물
CN103285246A (zh) * 2012-02-29 2013-09-11 黑龙江康元神经专科医院有限责任公司 治疗儿童多动症的中药制剂
JP7127782B2 (ja) 2017-03-31 2022-08-30 株式会社サン・クロレラ 学習効果改善剤及び学習効果改善用食品組成物の製法並びにその関連技術
WO2018181135A1 (ja) * 2017-03-31 2018-10-04 株式会社サン・クロレラ 学習効果改善剤及び学習効果改善用食品組成物の製法並びにその関連技術
JPWO2018181135A1 (ja) * 2017-03-31 2020-02-06 株式会社サン・クロレラ 学習効果改善剤及び学習効果改善用食品組成物の製法並びにその関連技術
JP2020189800A (ja) * 2019-05-21 2020-11-26 備前化成株式会社 エゾウコギ抽出物の製造方法
JP7350286B2 (ja) 2019-05-21 2023-09-26 備前化成株式会社 エゾウコギ抽出物の製造方法
WO2023018255A1 (ko) * 2021-08-12 2023-02-16 주식회사 머스카 천연물의 수면 유도 및 수면 질 향상 용도
WO2023018256A1 (ko) * 2021-08-12 2023-02-16 주식회사 머스카 수면 유도 및 수면 질 향상 음료
KR20230025645A (ko) * 2021-08-12 2023-02-22 주식회사 머스카 천연물의 수면 유도 및 수면 질 향상 용도
KR102548951B1 (ko) * 2021-08-12 2023-06-29 주식회사 머스카 천연물의 수면 유도 및 수면 질 향상 용도

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Sutton et al. Androgen responses during physical exercise
Mathison et al. Cushing's syndrome with hypertensive crisis and mixed adrenal cortical adenoma-pheochromocytoma (corticomedullary adenoma)
Williams et al. Thiouracil in the Treatment of Thyrotoxicosis
JPH04507091A (ja) 体重減量医薬組成物
Isaacs et al. Urticaria and pruritus: uncommon manifestations of hyperthyroidism
JP2002003391A (ja) エゾウコギを用いた薬剤並びに組成物及びその抽出方法
JP2011522844A (ja) 血糖レベルを低下させる組成物及びその用途
WO2017101889A1 (zh) 一种疏肝中草药组合物的配方、制备方法及应用
Beattie et al. Acute intermittent porphyria: response of tachycardia and hypertension to propranolol
Arnold et al. Apathetic thyrotoxicosis
CN102048825B (zh) 一种治疗重症肌无力的马钱子胶囊剂及其制备工艺
HUE028293T2 (en) Honey Composition with L-Alanyl-L-Glutamine
CN107744571B (zh) 一种改善血管内皮功能障碍的药物组合物及其制备方法和用途
CN109512948B (zh) 一种预防和治疗化疗所致周围神经病变的中药组合物及其应用
CN111588800B (zh) 一种中药组合物及其制备方法和应用
CN111588763B (zh) 血栓通脉药物、制备方法及含量测定方法
CN101066294B (zh) 一种补肾散寒止湿缩尿的中药制剂及其制备方法
TW201438728A (zh) 治療老年癡呆的藥物組合物及其製備方法
CN110624067B (zh) 具有减肥作用的中药组合物及其药膏的制备方法
BLUMENTHAL et al. Carcinoid syndrome following reserpine therapy in thyrotoxicosis
Curtis et al. The normal urinary iodine of man
WO2020233459A1 (zh) 一种改善记忆的组合物及其制备方法
Severino et al. Premenstrual syndrome
JP2005524604A (ja) 活性炭を含有する経口製剤及びその用途
CN113633712B (zh) 一种治疗痛风的中药组合物及基于其的口服制剂

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040706

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20041102