JPH102364A

JPH102364A - 摩擦装置

Info

Publication number: JPH102364A
Application number: JP9070962A
Authority: JP
Inventors: Wolfgang Jahn; ヤーンヴォルフガング
Original assignee: Hoerbiger and Co; Hoerbiger Antriebstechnik Holding GmbH
Current assignee: Hoerbiger and Co; Hoerbiger Antriebstechnik Holding GmbH
Priority date: 1996-03-25
Filing date: 1997-03-25
Publication date: 1998-01-06
Also published as: ATA53596A; EP0798482B1; DE59707387D1; AT402961B; EP0798482A1; KR19980073851A; US5958608A

Abstract

(57)【要約】【課題】公知の摩擦装置の欠点が回避され、かつ特に
広い荷重範囲でオイルに依存しない一定の摩擦係数とき
わめて低い摩耗量とを与える摩擦装置が形成されるよう
に冒頭に記載の形式の摩擦装置を構成する。【解決手段】摩擦ライニングが表面から直角の方向に
離れるに従って低下する熱容量対熱伝導率比を有してお
り、この比が表面の個々の摩擦点において熱によるオイ
ル除去下でしかも摩擦体の侵食傾向を生じることなしに
固体摩擦を形成するようになっている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、互いに相対的に移
動可能な２つの摩擦体を備えていて、そのうちの少なく
とも一方の摩擦体が、力の作用下に他方の摩擦体と摩擦
接続接触可能であって、しかも接触状態において力を伝
達する領域に摩擦ライニングを有しており、両摩擦体の
少なくとも接触領域がオイルで濡らされる形式の摩擦装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】このような湿式で運転する、例えばプレ
ート、ディスク、ドラム、コーン、シンクロナイジング
リングおよび類似のものの形状の摩擦部材を備えた摩擦
装置はたいていは片面に摩擦ライニングを被覆される。
ライニングの課題は高く、安定的な摩擦係数とできる限
り小さな摩耗量（Verschleissrate）との組合せを与え
ることである。公知の構成では、たいていは支持部材上
に焼結され、みぞを付けられ、かつ規格に合わされた焼
結摩擦ライニングまたは基材上に接着され、かつみぞを
付けられ、かつ洗浄された有機摩擦ライニングが使用さ
れる。焼結摩擦ライニングか有機摩擦ライニングかの選
択は所定の使用条件に応じて行われる。

【０００３】上記の形式の公知の装置のすべてにおい
て、特に摩擦係数および摩耗量がそれぞれ特定の荷重、
各相手の摩擦面（対向摩擦面）および使用されるオイル
に著しく左右されるのが欠点である。例えば有機摩擦ラ
イニングは高い圧着圧力では機能しないか、または高い
荷重および不十分な冷却ではいわゆる“ホットスポッ
ト”を生む。他方焼結摩擦ライニングでは達成可能であ
る摩擦係数に関して使用オイルへの依存性が大きく、か
つ高い相対速度および冷却不足の状態では対向面への焼
結移行（Sinteruebertrag）を生じ、かつ低い面圧では
作用が不一様になる。これらすべての欠点は最終的には
摩擦装置ないしはこれを備えた下位アセンブリ（例えば
クラッチ、ブレーキ、同期装置および類似のもの）の故
障に導く。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
の公知の装置の上記の欠点が回避され、かつ特に広い荷
重範囲でオイルに依存しない一定の摩擦係数ときわめて
低い摩耗量とを与える摩擦装置が形成されるように冒頭
に記載の形式の摩擦装置を構成することである。

【０００５】本発明は、このような装置におけるオイル
から十分に独立した高い摩擦係数は第１に摩擦体同士間
の直接的な固体摩擦（境界摩擦）の割合を高めることに
よって達成可能であるという考えから出発する。これに
は、このような湿式運転の摩擦装置では、領域的なない
しは少なくとも点状の固体摩擦を達成するための摩擦体
間の油膜の破壊は、明らかなことであるが力ないしは圧
力によるのみではできないという対立する事情がある。
このことを考慮して本発明はさらに、固体摩擦の可能性
のある領域に通常常に依然として存在する薄い油膜を最
終的に除去するために熱の助けを借りて両摩擦体の動力
学的な運動状態における圧力によっては取除くことので
きないこれらの領域の油膜を蒸発させることから出発す
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】これらの思索ないしは知
識から出発して、上記の課題は、本発明によれば冒頭に
記載の形式の摩擦装置において、摩擦ライニングが表面
から直角の方向に離れるに従って低下する熱容量対熱伝
導率比を有し、この比が表面の個々の摩擦点において熱
によるオイル除去下に摩擦体の侵食傾向（Fressneigun
g）なしに固体摩擦を形成することによって解決され
る。被覆摩擦体側における熱容量および熱伝導率の材料
特性のこの特定の経過によって、一方では摩擦層の表面
には摩擦自体によって発生される熱が油膜の蒸発下に
（さもなければ残存する）点状のないしは領域的な固体
摩擦を生ぜしめるのに十分保持され、他方では発生する
摩擦熱が、直接両摩擦体が協働する領域内に多すぎる程
は残ることなく、従って“ホットスポット”の出現ない
しは摩擦体間の侵食が回避されることが保証される。

【０００７】

【発明の効果】本発明により構成された摩擦装置はオイ
ル依存性の動摩擦係数レベルの点で意想外に明らかな改
善を与えた。従来使用されるオイルの種類に左右された
５０％に達する摩擦係数の変動は本発明による構成では
約５％に低減することができた。本発明による構成でも
って達成可能であるこの改善は、従来摩擦仕事（Reibar
beit）約３．６Ｊ／ｍｍ^２までかつ摩擦力約５Ｗ／ｍｍ
^２までの上昇とともに動摩擦係数が連続的に減少し、か
つ摩耗量がそれだけ増大していた点で当業者にとっても
意想外のことである。オイルＴＡＦ２３，７５Ｗ−９０
中で荷重４．３Ｎ／ｍｍ^２で６ｍ／ｓで２００００サイ
クルで運転されたシンクロナイジングリングから成る本
発明による摩擦装置によって実際に一定の摩擦係数０．
１２が摩擦面当り０．０３ｍｍの摩耗量で得られた。本
発明による摩擦装置のこの驚くべき優れた性質には摩擦
ライニングの熱容量と熱伝導率の比が重要である。摩擦
点ないしは摩擦領域において発生せしめられた熱と摩擦
ライニングの下方の領域ないしは支持体内へ排出される
熱量との適正な比によって安定的な動摩擦係数およびき
わめて小さな摩耗量が保証され得る。

【０００８】本発明の特に優れた構成では、摩擦ライニ
ングが少なくとも２つの、それ自体少なくとも十分に均
質な層から構成されている。本発明による摩擦装置の構
成に関しては、組成および従って性質が表面に対する直
角の方向でいずれにしても連続的に変化する摩擦ライニ
ングも可能ではあるが、製作の容易さに重点が置かれる
場合にはこの構成が特に有利である。この場合には各層
の材料特性を比較的簡単に互いに調和させることができ
る。

【０００９】本発明の上記の構成のもう１つの実施形に
おいては、高い熱伝導率を持つ、有利には銅合金製の下
側の伝導層が有機バインダーを含む、有利には炭素およ
びオキシドセラミックの形状の摩擦学的に安定な材料か
ら製作された薄い弾性の摩擦層によって覆われている。
摩擦装置のこの構成は簡単な形式で所期の効果の達成に
必要な材料特性ないしは摩擦ライニングの表面から直角
の方向における材料特性の必要な経過の提供を保証す
る。

【００１０】本発明のもう１つの構成においては下側の
伝導層と上側の摩擦層の熱容量の比は、有利には１．３
５：１から１４：１の範囲内にあり、かつ相応する熱伝
導率比は４４：１から１２３：１の範囲内にある。これ
らの範囲は摩擦ライニングの上記の層構成との関連して
きわめて有利な、一方の摩擦係数と他方の摩耗量とを与
える。

【００１１】本発明の他の有利な構成によれば下側の伝
導層は少なくともほぼ３．８Ｊ／ｃｍ^３゜Ｋの熱容量お
よび少なくともほぼ１．７Ｗ／ｃｍ゜Ｋの熱伝導率を持
つ多孔性の銅−亜鉛−錫合金層から成り、上側の摩擦層
は少なくともほぼ０．７Ｊ／ｃｍ^３゜Ｋの熱容量および
少なくともほぼ０．０２Ｗ／ｃｍ゜Ｋの熱伝導率を持つ
有機結合された炭素−オキシドセラミック層から成る。
この構成でもって摩擦ライニングの表面から直角方向に
離れる方向においてきわめて有利な熱容量対熱伝導率比
の経過とともに簡単な製作が得られる。

【００１２】本発明のもう１つの有利な構成によれば、
上側の摩擦層と下側の伝導層との膜厚の比は１：４から
１：１１の範囲にあり、これは上記の熱容量と熱伝導率
との比と一緒に摩擦ライニングの熱経済の一層の改善を
与える。

【００１３】上側の摩擦層の摩擦係数にさらに影響を与
えるためには、本発明の優れた構成によれば、炭素の割
合対オキシドセラミック分の割合の比を変えることがで
きる。例えば専らすすおよびコークスの形状の炭素を比
３３：２０で使用して摩擦係数０．１１が得られる。こ
の比をすす：コークス：石英比３３：２０：２０に変え
ると、摩擦係数０．１２が得られる。この比をすす：石
英比３３：２０へ変えると、摩擦係数０．１４が得られ
る。これらの摩擦係数は、性能特性ＧＬ４を持つトラン
スミッションオイルＴＡＦ２３，７５Ｗ−９０ないしは
性能特性ＧＬ５を持つＳＡＦ６６，７５Ｗ−９０および
完全合成オイル内、ならびに純粋なポリアルファオレフ
ィン内でブレーキでは３．６Ｊ／ｍｍ^２までの荷重下
に、および同期装置（Synchronisation）では２．０５
Ｊ／ｍｍ^２までの荷重下に達成される。

【００１４】上記の本発明による摩擦装置を使用する
と、設計者にとっても、またブレーキ、クラッチ、同期
装置および類似のもののユーザーにとっても著しい利点
が得られる。オイルに左右されない一定の摩擦係数は一
方で設計者の目指す効果を保証し、他方で持続的な荷重
の下での過荷重または故障を回避する。このようなオイ
ルおよび過重に左右されない摩擦係数は特に同期装置で
の使用で重要である、それというのも低下する摩擦係数
は同期装置の作用限界を下回る程低下し、かつ上昇する
摩擦係数は例えばコーンからのシンクロナイジングリン
グの解離不能、ひいてはトランスミッション破損を惹起
するからである。

【００１５】

【発明の実施の形態】図面で符号１で示された領域は摩
擦装置の対向摩擦体、例えばブレーキドラムである。対
向摩擦体は通常焼き戻し鋼から製作される。摩擦装置の
他方の被覆された摩擦体の表面膜、すなわち本来の摩擦
層が符号２で示されており、比較的低い熱伝導性を持
つ。比較的高い熱伝導性を持つ層、あるいは伝導層が符
号３で示されており、これは例えば銅に富んだマトリク
スから製作される。

【００１６】摩擦層２と伝導層３との間には結合層が符
号４で示されており、結合層は通常厚さ約０．０２ｍｍ
を有し、かつ被覆時に伝導層３の孔内へ摩擦層２の成分
が侵入して形成される。層３と２の相互の侵入によって
両者間の高い付着強度が保証される。

【００１７】両摩擦体間の油膜が略示図において符号５
で示されている。例えば鋼製の支持体が符号６で示され
ており、支持体上にはこの実施例では層２〜４から成る
摩擦ライニングが取付けられている。最後に符号７で摩
擦層２の熱バリアによって油膜５の蒸発が行われる、な
いしは所望の固体摩擦が行われる個々の領域が示されて
いる。

【００１８】以下の実施例では可能な場合には上記の略
示図の構成の符号を用いて指示される。

【００１９】１．直径φ１７７．５ｍｍの鋼製の支持体
６が散乱焼結法（Streusinterverfahren）で銅−錫合金
８５／１５を用いて０．８０ｍｍの伝導層３を焼結さ
れ、かつ篩プレス法（Siebdruckverfahren）を用いて膜
厚０．０７ｍｍの層をプレスされる。この摩擦層２はす
す３１Ｍ％、コークス２０Ｍ％および石英５Ｍ％を含む
ニトリルゴム−フェノール樹脂−ベースから製作されて
いる。６０℃で乾燥後２００℃で２０分間フェノール樹
脂の硬化を行う。次いで２つの層から成る複合体に一緒
にみぞを付け、かつ規格に合わせる。最後に０．５ｍｍ
厚の下側のブロンズ層（伝導層）３、０．０２ｍｍの移
行層（結合層）４、０．０５ｍｍ厚の上側の弾性層（摩
擦層）２から成る複合摩擦体が出来上る。

【００２０】銅−錫−散乱焼結層（伝導層）３の熱容量
は３．４３Ｊ／ｃｍ^３゜Ｋであり、かつ熱伝導率は１．
５７Ｗ／ｃｍ゜Ｋである。表面膜（摩擦層）２の熱伝導
率は０．０４Ｗ／ｃｍ゜Ｋおよび熱容量は０．７９Ｊ／
ｃｍ^３゜Ｋである。したがって下の層と上の層の熱伝導
率比は３９．２５である。摩擦仕事２．４６Ｊ／ｍｍ^２
および摩擦力０．９６Ｗ／ｍｍ^２、１．７４Ｗ／ｍｍ^２
および２．６７Ｗ／ｍｍ^２におけるこの摩擦装置の試験
は、ポリアルファオレフィンベースの完全合成オイル内
で各１００００回の切換えを経て平均摩擦係数０．１１
５を与えた。摩擦面の摩耗は１００００回の切換えの後
０．０２２ｍｍであった。

【００２１】２．最終直径１００ｍｍのシンクロナイジ
ングリング扁平部材が散乱焼結法で銅−亜鉛−錫合金７
５／２０／５を用いて０．５５ｍｍの膜厚の層３を焼結
され、かつ篩プレス法を用いて膜厚０．１１ｍｍの層２
をプレスされる。この摩擦層２の組成はすす３３Ｍ％、
コークス１５Ｍ％および石英２０Ｍ％を含むニトリルゴ
ム−フェノール樹脂−ベースから成る。扁平部材ブラン
クの被覆は両面において行われた。乾燥および硬化の後
扁平部材の引抜き加工による変形によってみぞを有する
シンクロナイジングリングが形成される。散乱焼結層は
熱容量２．８３Ｊ／ｃｍ^３゜Ｋであり、かつ熱伝導率
１．５５Ｗ／ｃｍ゜Ｋを持つ。表面膜は熱伝導率０．０
３Ｗ／ｃｍ゜Ｋおよび熱容量０．８１Ｊ／ｃｍ^３゜Ｋを
持つ。したがって熱伝導率比は９４．３である。摩擦仕
事０．４６Ｊ／ｍｍ^２および摩擦力０．９６Ｗ／ｍｍ^２
並びに１．８４Ｗ／ｍｍ^２におけるこの両面シンクロナ
イジングリングの試験は摩擦係数０．１３および４００
００回の切換え後、軸方向寸法の摩耗０．１５ｍｍを示
した。これはライニングの０．０２ｍｍを下回る摩耗量
に相当する。

【００２２】３．部材は例２と同様に製作されたが、す
べて純粋なポリアルファオレフィン内で試験された。摩
擦係数は０．１２８に達し、かつ軸方向寸法の摩耗は
０．１１ｍｍであった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による摩擦装置の略示図である。

【符号の説明】

１対向摩擦体、２摩擦層、３伝導層、４
結合層、５油膜、６支持体

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】摩擦装置であって、互いに相対的に移動
可能な２つの摩擦体から成っており、そのうちの少なく
とも一方が、力の作用下に他方の摩擦体と摩擦接続接触
可能であって、しかもその接触時に力を伝達する領域に
摩擦ライニングを有しており、両摩擦体の少なくとも接
触範囲がオイルで濡らされる形式のものにおいて、摩擦
ライニングが表面から直角の方向に離れるに従って減少
する熱容量対熱伝導率比を有しており、この比が表面の
個々の摩擦点において熱によるオイル除去下に摩擦体の
侵食傾向を生じることなしに固体摩擦を形成するように
なっていることを特徴とする、摩擦装置。
【請求項２】摩擦ライニングが少なくとも十分に均質
である少なくとも２つの層から構成されている、請求項
１記載の摩擦装置。
【請求項３】下側の高い熱伝導率を有する伝導層が薄
い、弾性の摩擦層によって覆われている、請求項２記載
の摩擦装置。
【請求項４】下側の伝導層と上側の摩擦層の熱容量比
が１．３５：１から１４：１の範囲内にあり、かつ相応
する熱伝導率比が４４：１から１２３：２の範囲内にあ
る、請求項２または３記載の摩擦装置。
【請求項５】下側の伝導層が熱容量少なくともほぼ
３．８Ｊ／ｃｍ^３゜Ｋおよび熱伝導率少なくともほぼ
１．７Ｗ／ｃｍ゜Ｋを持つ多孔性の銅−亜鉛−錫合金層
から製作されており、上側の摩擦層が熱容量少なくとも
ほぼ０．７Ｊ／ｃｍ^３゜Ｋおよび熱伝導率少なくともほ
ぼ０．０２Ｗ／ｃｍ゜Ｋを持つ有機結合された炭素−オ
キシドセラミック層から製作されている、請求項２から
４までのいずれか１項記載の摩擦装置。
【請求項６】上側の摩擦層と下側の伝導層の膜厚比が
１：４から１：１１の範囲内にある、請求項２から５ま
でのいずれか１項記載の摩擦装置。
【請求項７】上側の伝導層の摩擦係数に影響を与える
ために、炭素分とオキシドセラミック成分との比が変更
される、請求項１から６までのいずれか１項記載の摩擦
装置。