JPH10233176A - カラー受像管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 垂直方向のビームミスランディングを発生さ
せることなく、水平方向のビームミスランディングを低
減するビームランディング補正方法を提供する。 【解決手段】 マグネット１０のＮ極とＳ極を結ぶ軸線
Ａ−Ａを傾斜させた状態で樹脂１１で矩形状にモールド
したマグネット構体をカラー受像管のガラスファンネル
表面３の上に設置する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はカラー受像管に関
し、特にビームランディング補正用マグネットの配設構
造に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えばテレビジョン受像機などに使用さ
れるブラックマトリクス型カラー受像管は、漏斗状のフ
ァンネルと、このファンネルの一端に封着されたパネル
と、このパネルの内面に形成された赤、緑、青３色の蛍
光体ドットからなる蛍光面と、この蛍光面に対向配設さ
れたシャドウマスクと、ファンネルの他端に形成された
ネックとこのネックの内部に配置された３本の電子ビー
ムを射出するための電子銃を具備している。そして、電
子ビームをネックの外側に配設された偏向ヨークで偏
向、走査することにより蛍光体ドットを発光させ文字、
画像などを表示している。

【０００３】蛍光体ドットの位置はシャドウマスクを介
して電子ビーム軌道と一致していなければならないが、
蛍光体ドットをパネル内面に形成する際に、光源から放
射される紫外線の方向を光学レンズにより曲げてシャド
ウマスクを介して露光することにより蛍光膜を感光硬化
させているため、電子ビームの軌道とは完全には一致し
ていない。したがって、発光表示させた場合、特にパネ
ルの発光面１のコーナー部で図５に示すような電子ビー
ム軌道と蛍光体ドットの位置ずれ、すなわちビームミス
ランディング２が発生し、色純度を低下させる。

【０００４】このビームミスランディングを補正するた
め、図６に示すようにガラスファンネル表面３にＮ極、
Ｓ極が同時に接するようにマグネット４を貼り付ける方
法が一般的になされていたが、この方法ではビームミス
ランディングの補正が十分でないため、さらに特開平５
−２６６８２４号公報に開示されているように、図７
（ａ）に示すように、ガラスファンネル表面３の上に上
面と底面がＮ極とＳ極に分かれてマグネット５を貼り付
ける方法が提案されている。この場合、ファンネル表面
に接する側のマグネットの極性６を図７（ｂ）のように
すると、ビームミスランディングの補正方向と補正量は
同図の符号７のようになるため、図５のビームミスラン
ディング方向をマグネット５で補正すると、図７（ｃ）
のようにビームミスランディング量が小さくなり、カラ
ー受像管の色純度が向上して品質が向上する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、蛍光面が
赤、緑、青の各蛍光体をドット状ではなく垂直方向のス
トライプ状に配設したストライプ型のカラー受像管で
は、垂直方向のビームミスランディングはなく、図８
（ａ）に示すように垂直方向のビームミスランディング
が生じ、色純度を低下させている。そこで、図６または
図７（ａ）示した従来のマグネットをストライプ型カラ
ー受像管に適用してビームミスランディングを補正する
場合、例えば、図７（ａ）の上面と底面にＮ極またはＳ
極を有するマグネット５を図７（ｂ）の極性６のように
ファンネル上に設置すると、ストライプ型カラー受像管
のビームミスランディング方向は図８（ａ）から図８
（ｂ）のように変化する。ビームミスランディングの水
平成分は減少することはなく、しかも、新たに垂直成分
８（破線の矢印）が発生する。このビームミスランディ
ングの垂直成分は画歪を生じるという問題があった。

【０００６】そこで、本発明は上記問題点に鑑みて提案
されたもので、その目的は、垂直方向のビームミスラン
ディングを発生させることなく、水平方向のビームミス
ランティングを低減させたカラー受像管を提供すること
にある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の技術的手段として、本発明は、ガラスパネルと、該ガ
ラスパネルに封着され真空外囲器を形成するガラスファ
ンネルと、前記ガラスパネルの内面に形成された蛍光面
と、該蛍光面と一定の間隔をおいて配置されたシャドウ
マスクとを備え、前記ガラスファンネルの表面にビーム
ランディング補正用マグネットを配設したカラー受像管
において、マグネットがＮ極とＳ極を通る軸線をガラス
ファンネルの表面に対して傾斜させて配設されているこ
とを特徴とする。

【０００８】また、マグネットが傾斜した状態で樹脂モ
ールドされていることを特徴とする。

【０００９】また、マグネットが傾斜角度調整機構付き
支持体に配設されていることを特徴とする。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明のマグネットを傾斜配設し
た実施例について図を用いて説明する。図１は本発明の
マグネット構体の第１の実施例を示す斜視図である。図
において、矩形状のマグネット１０が支持体である直方
体形状の樹脂１１により底面１１ａに対して傾斜した状
態でモールドされている。このマグネット構体はガラス
ファンネル３の表面にビームミスランディングが最も小
さくなるような方向、位置に設置され、底面１１ａにあ
らかじめ塗布された接着剤（図示しない）などにより接
着固定されている。図１ではファンネルに近い側がＮ極
で、ファンネルから遠い側がＳ極になっているが、この
逆の極性でもよい。マグネット１０の一方の極がファン
ネルの表面に近接し、他の極がファンネルの表面から離
れていることが重要であり、このため、マグネットのＮ
極とＳ極を結ぶ軸線Ａ−Ａが底面１１ａに対し所定の角
度を有している。この角度はマグネットの着磁の強度、
寸法、形状、ミスランディング量などを考慮して最適角
度が選定される。図１のような傾斜配設されたマグネッ
ト構体をガラスファンネルの適切な箇所に設置すること
により、簡便な方法でビームランディングの補正ができ
る。

【００１１】マグネットの軸線の方向はビームミスラン
ディングの補正方向と関連があることが知られている。
例えば、図６に示すようなＮ極とＳ極とが共にファンネ
ルの表面に接するマグネット配置の場合は、Ｎ極とＳを
結ぶ軸線はファンネルの表面と平行になっており、この
場合にはガラスパネルの矩形の発光面において主として
対角線方向（ラジアル方向）のビームミスランディング
を補正するのに適している。また、図７に示すようなマ
グネット配置では軸線がファンネルの表面と垂直にな
り、この場合には発光面において前記対角線方向と垂直
方向（タンジェンシャル方向）のビームミスランディン
グを補正するのに適している。本発明のマグネットの傾
斜配置では、前記の図６と図７の各々のマグネット配置
による作用を合成した作用が得られ、ビームミスランデ
ィングの垂直成分を生じることなく水平方向のビームミ
スランディングを補正でき、画歪がなく色純度を向上さ
せたカラー受像管を提供できる。

【００１２】図２は本発明のマグネット構体の第２の実
施例を示すもので、円柱状マグネット１２を使用した例
である。図１の矩形状マグネット１０にくらべてマグネ
ットの加工が容易で、コスト的に有利である。作用効果
は図１のマグネット構体と同様である。

【００１３】図３は本発明のマグネット構体の第３の実
施例を示すもので、マグネット１０がアルミニウム、プ
ラスチックなどの非磁性体からなるケース１３に装着さ
れている。ケース１３には位置決め用舌片１３ａ、若干
のバネ性を有する固定用舌片１３ｂ、傾斜位置出し部１
３ｃなどが形成されている。図３のマグネット構体はマ
グネットの傾斜角が一定の場合のものであるが、傾斜角
を最適化するための調整機構を設けることもできる。

【００１４】図４は本発明の第４の実施例であり、傾斜
角調整機構付きのマグネット構体の一例である。一端に
雌ネジ部１４を形成し、他端に雄ネジ１５を具備した調
整機構付き支持体１６を有し、ネジ１５を回転すること
により底面１６ａに対し傾斜部１６ｂの角度を変え、マ
グネット１０の傾斜角を調整できる。これによりビーム
ランディングの微妙な補正が容易にできる。なお調整機
構はこれらに限らない。

【００１５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明はマグネッ
トのＮ極とＳ極を結ぶ軸線をファンネルの表面に対して
傾斜させてマグネットを配設することにより、容易にビ
ームミスランディングの垂直成分を生じることなく水平
方向のビームランディングを補正することができ、画歪
がなく色純度の優れたストライプ型カラー受像管を提供
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の第１実施例を説明するガラスファン
ネル表面上のマグネット構体の斜視図

【図２】 本発明の第２実施例を説明するガラスファン
ネル表面上のマグネット構体の斜視図

【図３】 本発明の第３実施例を説明するガラスファン
ネル表面上のマグネット構体の斜視図

【図４】 本発明の第４実施例を説明する角度調整機構
付きマグネット構体の斜視図

【図５】 従来のドット型カラー受像管のビームミスラ
ンディングの方向を示す発光面の平面図

【図６】 従来のカラー受像管のビームランディング補
正方法の一例を説明するガラスファンネル表面上のマグ
ネットの斜視図

【図７】 従来のカラー受像管のビームランディング補
正方法の他の例と補正結果を説明する斜視図と平面図

【図８】 図６に示す従来のビームランディング補正方
法をストライプ型カラー受像管に適用した場合のビーム
ミスランディングの垂直成分の発生を説明する発光面の
平面図

【符号の説明】

３ ガラスファンネル表面 １０ 矩形状マグネット １１ 樹脂（支持体） １１ａ 底面 １２ 円柱状マグネット １３ ケース（支持体） １４ 雌ネジ部 １５ 雄ネジ １６ 角度調整機構付き支持体 １６ａ 底面 １６ｂ 傾斜部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ガラスパネルと、該ガラスパネルに封着
   され真空外囲器を形成するガラスファンネルと、前記ガ
   ラスパネルの内面に形成された蛍光面と、該蛍光面と一
   定の間隔をおいて配置されたシャドウマスクとを備え、
   前記ガラスファンネルの表面にビームランディング補正
   用マグネットを配設したカラー受像管において、 マグネットがＮ極とＳ極を通る軸線をガラスファンネル
   の表面に対して傾斜させて配設されていることを特徴と
   するカラー受像管。
2. 【請求項２】 マグネットが傾斜した状態で樹脂モール
   ドされていることを特徴とする請求項１に記載のカラー
   受像管。
3. 【請求項３】 マグネットが傾斜角度調整機構付き支持
   体に配設されていることを特徴とする請求項１に記載の
   カラー受像管。