JPH10231144A - カルコゲナイドガラス用エッチング液及びエッチング方法並びに平滑表面を有する光学部材 - Google Patents
カルコゲナイドガラス用エッチング液及びエッチング方法並びに平滑表面を有する光学部材Info
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- JPH10231144A JPH10231144A JP34682197A JP34682197A JPH10231144A JP H10231144 A JPH10231144 A JP H10231144A JP 34682197 A JP34682197 A JP 34682197A JP 34682197 A JP34682197 A JP 34682197A JP H10231144 A JPH10231144 A JP H10231144A
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- etching
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 カルコゲナイドガラスをエッチングを対象と
する優れたエッチング特性と安全性を有するエッチング
液、エッチング方法及び平滑な表面を有するカルコゲナ
イドガラスからなる光学部材の提供。 【解決手段】 酸、及びカルコゲン化水素に対する反応
性を有する化合物、例えば、酸化剤を含むことを特徴と
するカルコゲナイドガラスまたはオキシカルコゲナイド
ガラス用エッチング液。カルコゲナイドガラス又はオキ
シカルコゲナイドガラスからなる部材を上記エッチング
液に浸漬するガラス部材のエッチング方法。カルコゲナ
イドガラスまたはオキシカルコゲナイドガラスからな
り、表面に潜傷を実質的に有さず、かつ表面に沿う長さ
0.1μm中に存在する凹凸差が1μm以下である光学
部材。
する優れたエッチング特性と安全性を有するエッチング
液、エッチング方法及び平滑な表面を有するカルコゲナ
イドガラスからなる光学部材の提供。 【解決手段】 酸、及びカルコゲン化水素に対する反応
性を有する化合物、例えば、酸化剤を含むことを特徴と
するカルコゲナイドガラスまたはオキシカルコゲナイド
ガラス用エッチング液。カルコゲナイドガラス又はオキ
シカルコゲナイドガラスからなる部材を上記エッチング
液に浸漬するガラス部材のエッチング方法。カルコゲナ
イドガラスまたはオキシカルコゲナイドガラスからな
り、表面に潜傷を実質的に有さず、かつ表面に沿う長さ
0.1μm中に存在する凹凸差が1μm以下である光学
部材。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カルコゲナイドガ
ラス及びオキシカルコゲナイドガラスのエッチングに適
したエッチング剤、カルコゲナイドガラス及びオキシカ
ルコゲナイドガラスのエッチング方法、並びにエッチン
グにより得られるガラス製光学部材に関する。
ラス及びオキシカルコゲナイドガラスのエッチングに適
したエッチング剤、カルコゲナイドガラス及びオキシカ
ルコゲナイドガラスのエッチング方法、並びにエッチン
グにより得られるガラス製光学部材に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】一般に
ガラス表面に存在する変質層やガラス表面に付着した異
物を除去する方法として、表面の研磨やエッチング処理
が広く行われている。しかし、研磨によって変質層や異
物を除去しても、研磨により潜傷が生じ、表面に潜傷が
残ることは避けられない。ガラスの表面に異物が付着し
ていたり研磨の際の潜傷が存在するとガラスの機械的な
強度が著しく低下する。ところで、金属硫化物系カルコ
ゲナイドガラスは、イオン性物質の溶解度が高いことか
ら、発光物質を比較的多量にドープすることができる。
そのため、現在、カルコゲナイドガラスファイバとして
多く作製されているイオン性物質の溶解度の低いヒ素−
硫黄系ガラスに代わる材料として注目されている。しか
るに、硫黄系カルコゲナイドガラスは、ヒ素−硫黄系ガ
ラスに比べて結晶化に対する安定性に欠ける傾向があ
り、表面の異物や潜傷によるガラスの機械的強度の低下
が大きい。そのため、硫黄系カルコゲナイドガラスを線
引き法によりファイバ化する際、ガラスの表面の異物や
潜傷等を核としてガラス表面に結晶が生じ易く、結晶化
してしまうとファイバ化は困難である。発光物質を比較
的多量にドープ可能な硫黄系カルコゲナイドガラスであ
るが、このような事情から、線引き法によりファイバ化
した例は知られていない。
ガラス表面に存在する変質層やガラス表面に付着した異
物を除去する方法として、表面の研磨やエッチング処理
が広く行われている。しかし、研磨によって変質層や異
物を除去しても、研磨により潜傷が生じ、表面に潜傷が
残ることは避けられない。ガラスの表面に異物が付着し
ていたり研磨の際の潜傷が存在するとガラスの機械的な
強度が著しく低下する。ところで、金属硫化物系カルコ
ゲナイドガラスは、イオン性物質の溶解度が高いことか
ら、発光物質を比較的多量にドープすることができる。
そのため、現在、カルコゲナイドガラスファイバとして
多く作製されているイオン性物質の溶解度の低いヒ素−
硫黄系ガラスに代わる材料として注目されている。しか
るに、硫黄系カルコゲナイドガラスは、ヒ素−硫黄系ガ
ラスに比べて結晶化に対する安定性に欠ける傾向があ
り、表面の異物や潜傷によるガラスの機械的強度の低下
が大きい。そのため、硫黄系カルコゲナイドガラスを線
引き法によりファイバ化する際、ガラスの表面の異物や
潜傷等を核としてガラス表面に結晶が生じ易く、結晶化
してしまうとファイバ化は困難である。発光物質を比較
的多量にドープ可能な硫黄系カルコゲナイドガラスであ
るが、このような事情から、線引き法によりファイバ化
した例は知られていない。
【0003】一般に結晶化に対する安定性に欠ける非酸
化物ガラス、例えばフッ化物ガラス、のファイバー化に
際しては、ガラスの表面の異物や潜傷等をエッチングに
より除去することが行われる。例えば、米国特許4,63
1,114には、予めプリフォームまたはチューブの表面
を特殊なエッチング液でエッチングしてプリフォームま
たはチューブ表面の変質層、異物および潜傷を除去する
ことが開示されている。上記エッチング液に必要な特性
としては、ガラス表面の変質層、異物および潜傷を除
去した後、ガラス表面の微細な凹凸を増加させないこ
と、潜傷を助長しないこと、及び新たな変質層を形
成しないことが挙げられる。これらの条件を満たさない
エッチング液でエッチングを施すと、エッチングする前
よりもファイバーの強度を低下させてしまう。さらに、
カルコゲナイドガラス、特に硫化物ガラスの場合、不用
意に酸を含むエッチング液に浸けると、ガラスの溶解に
ともなって有毒な硫化水素等が発生し、危険である。し
たがって、エッチング液はエッチング対象のガラス組成
も考慮して決定される必要がある。しかるに、これまで
硫黄系カルコゲナイドガラスをエッチングの対象とした
上記〜を満足し、かつ安全にも配慮したエッチング
液は知られていなかった。
化物ガラス、例えばフッ化物ガラス、のファイバー化に
際しては、ガラスの表面の異物や潜傷等をエッチングに
より除去することが行われる。例えば、米国特許4,63
1,114には、予めプリフォームまたはチューブの表面
を特殊なエッチング液でエッチングしてプリフォームま
たはチューブ表面の変質層、異物および潜傷を除去する
ことが開示されている。上記エッチング液に必要な特性
としては、ガラス表面の変質層、異物および潜傷を除
去した後、ガラス表面の微細な凹凸を増加させないこ
と、潜傷を助長しないこと、及び新たな変質層を形
成しないことが挙げられる。これらの条件を満たさない
エッチング液でエッチングを施すと、エッチングする前
よりもファイバーの強度を低下させてしまう。さらに、
カルコゲナイドガラス、特に硫化物ガラスの場合、不用
意に酸を含むエッチング液に浸けると、ガラスの溶解に
ともなって有毒な硫化水素等が発生し、危険である。し
たがって、エッチング液はエッチング対象のガラス組成
も考慮して決定される必要がある。しかるに、これまで
硫黄系カルコゲナイドガラスをエッチングの対象とした
上記〜を満足し、かつ安全にも配慮したエッチング
液は知られていなかった。
【0004】そこで本発明の第1の目的は、硫黄系カル
コゲナイドガラスをエッチングの対象とし、上記〜
を満足し、かつ安全性に優れた新たなエッチング液を提
供することにある。さらに本発明の第2の目的は、硫黄
系カルコゲナイドガラスの表面をエッチングして、上記
〜の条件を満足しつつ、ガラス表面の変質層、異物
および潜傷を安全に除去する方法を提供することにあ
る。本発明の第3の目的は、上記エッチング方法を用い
て作製した平滑な表面を有する硫黄系カルコゲナイドガ
ラスからなる光学部品を提供することにある。
コゲナイドガラスをエッチングの対象とし、上記〜
を満足し、かつ安全性に優れた新たなエッチング液を提
供することにある。さらに本発明の第2の目的は、硫黄
系カルコゲナイドガラスの表面をエッチングして、上記
〜の条件を満足しつつ、ガラス表面の変質層、異物
および潜傷を安全に除去する方法を提供することにあ
る。本発明の第3の目的は、上記エッチング方法を用い
て作製した平滑な表面を有する硫黄系カルコゲナイドガ
ラスからなる光学部品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明は以下のとおりである。 〔請求項1〕 酸、及びカルコゲン化水素に対する反応
性を有する化合物を含むことを特徴とするカルコゲナイ
ドガラスまたはオキシカルコゲナイドガラス用エッチン
グ液。 〔請求項2〕 酸が無機酸であり、カルコゲン化水素に
対する反応性を有する化合物が酸化剤である請求項1に
記載のエッチング液。 〔請求項3〕 酸を0.01〜5Nの範囲で含み、かつ
カルコゲン化水素に対する反応性を有する化合物を0.
01モル/リットル以上の濃度で含む請求項1又は2に
記載のエッチング液。 〔請求項4〕 カルコゲナイドガラスまたはオキシカル
コゲナイドガラスを構成する少なくとも1種の陽イオン
のエッチング液への溶解速度を抑制する性質を有する化
合物をさらに含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の
エッチング液。 〔請求項5〕 カルコゲン化水素に対する反応性を有す
る化合物が塩であり、かつこの塩を構成する陽イオン
が、カルコゲナイドガラスまたはオキシカルコゲナイド
ガラスを構成する少なくとも1種の陽イオンのエッチン
グ液への溶解速度を抑制する性質を有する請求項1〜4
のいずれか1項に記載のエッチング液。 〔請求項6〕 カルコゲナイドガラス及びオキシカルコ
ゲナイドガラスがカルコゲン元素として硫黄を含み、か
つカルコゲン化水素が硫化水素である請求項1〜5のい
ずれか1項に記載のエッチング液。 〔請求項7〕 カルコゲナイドガラス又はオキシカルコ
ゲナイドガラスからなる部材を請求項1〜6のいずれか
1項に記載のエッチング液に浸漬することを特徴とする
ガラス部材のエッチング方法。 〔請求項8〕 研磨による潜傷を有するガラス部材をエ
ッチングする請求項7に記載のエッチング方法。 〔請求項9〕 カルコゲナイドガラスまたはオキシカル
コゲナイドガラスからなり、表面に潜傷を実質的に有さ
ず、かつ表面に沿う長さ0.1μm中に存在する凹凸差
が1μm以下であることを特徴とする光学部材。 〔請求項10〕 請求項7又は8に記載のエッチング方
法により得られたものである請求項9に記載の光学部
材。
明は以下のとおりである。 〔請求項1〕 酸、及びカルコゲン化水素に対する反応
性を有する化合物を含むことを特徴とするカルコゲナイ
ドガラスまたはオキシカルコゲナイドガラス用エッチン
グ液。 〔請求項2〕 酸が無機酸であり、カルコゲン化水素に
対する反応性を有する化合物が酸化剤である請求項1に
記載のエッチング液。 〔請求項3〕 酸を0.01〜5Nの範囲で含み、かつ
カルコゲン化水素に対する反応性を有する化合物を0.
01モル/リットル以上の濃度で含む請求項1又は2に
記載のエッチング液。 〔請求項4〕 カルコゲナイドガラスまたはオキシカル
コゲナイドガラスを構成する少なくとも1種の陽イオン
のエッチング液への溶解速度を抑制する性質を有する化
合物をさらに含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の
エッチング液。 〔請求項5〕 カルコゲン化水素に対する反応性を有す
る化合物が塩であり、かつこの塩を構成する陽イオン
が、カルコゲナイドガラスまたはオキシカルコゲナイド
ガラスを構成する少なくとも1種の陽イオンのエッチン
グ液への溶解速度を抑制する性質を有する請求項1〜4
のいずれか1項に記載のエッチング液。 〔請求項6〕 カルコゲナイドガラス及びオキシカルコ
ゲナイドガラスがカルコゲン元素として硫黄を含み、か
つカルコゲン化水素が硫化水素である請求項1〜5のい
ずれか1項に記載のエッチング液。 〔請求項7〕 カルコゲナイドガラス又はオキシカルコ
ゲナイドガラスからなる部材を請求項1〜6のいずれか
1項に記載のエッチング液に浸漬することを特徴とする
ガラス部材のエッチング方法。 〔請求項8〕 研磨による潜傷を有するガラス部材をエ
ッチングする請求項7に記載のエッチング方法。 〔請求項9〕 カルコゲナイドガラスまたはオキシカル
コゲナイドガラスからなり、表面に潜傷を実質的に有さ
ず、かつ表面に沿う長さ0.1μm中に存在する凹凸差
が1μm以下であることを特徴とする光学部材。 〔請求項10〕 請求項7又は8に記載のエッチング方
法により得られたものである請求項9に記載の光学部
材。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明のエッチング液は、酸、及
びカルコゲン化水素に対する反応性を有する化合物を含
有する。酸は、有機酸及び無機酸のいずれでも良い。有
機酸としては、例えば、酢酸を例示でき、また無機酸と
しては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸を例示でき
る。また、これらの混合物であっても良い。酸、特に無
機酸はカルコゲナイドガラス及びオキシカルコゲナイド
ガラスを溶解させる効果が強い。酸の濃度は、0.01
〜5N(規定)の範囲とすることが適当である。濃度が
この範囲より低いとエッチング速度が不足して、ガラス
表面に水和層が厚く付き、例えば、プリフォームの場
合、線引きの際の表面結晶化を促進してしまう。また、
濃度が高過ぎるとエッチング速度が大きくなり過ぎて、
潜傷を助長し、表面の凹凸を多くする傾向がある。
びカルコゲン化水素に対する反応性を有する化合物を含
有する。酸は、有機酸及び無機酸のいずれでも良い。有
機酸としては、例えば、酢酸を例示でき、また無機酸と
しては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸を例示でき
る。また、これらの混合物であっても良い。酸、特に無
機酸はカルコゲナイドガラス及びオキシカルコゲナイド
ガラスを溶解させる効果が強い。酸の濃度は、0.01
〜5N(規定)の範囲とすることが適当である。濃度が
この範囲より低いとエッチング速度が不足して、ガラス
表面に水和層が厚く付き、例えば、プリフォームの場
合、線引きの際の表面結晶化を促進してしまう。また、
濃度が高過ぎるとエッチング速度が大きくなり過ぎて、
潜傷を助長し、表面の凹凸を多くする傾向がある。
【0007】また、カルコゲン化水素に対する反応性を
有する化合物としては、例えば、酸化剤や酸に不溶な金
属硫化物を生成する化合物を挙げることができる。酸に
不溶な金属硫化物を生成する化合物としては、例えば、
ロジウム(Rh)含有化合物を挙げることができる。酸
化剤としては、例えば、塩素酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸
塩、次亜塩素酸塩、過マンガン酸塩、クロム酸塩、重ク
ロム酸塩、過酸化水素、過炭酸塩及びこれらの混合物を
挙げることができる。尚、これらの酸化剤を構成する塩
は、ナトリウム塩やカリウム塩等の溶解性の高い塩であ
ることが好ましい。上記以外に、La(NO3)3、La(Cl
O3)3 、BF3 、並びにCe4+、Sn4+及びPb4+の化合物であ
るCe(BO2)4、Sn(BO2)4等を挙げることができる。これら
カルコゲン化水素に対する反応性を有する化合物は、
0.01モル/リットル以上の濃度となるように添加す
ることが適当である。尚、濃度の上限は飽和溶解度であ
り、比較的高い濃度とする場合には、水に対する溶解性
が高い化合物を選択することが好ましい。
有する化合物としては、例えば、酸化剤や酸に不溶な金
属硫化物を生成する化合物を挙げることができる。酸に
不溶な金属硫化物を生成する化合物としては、例えば、
ロジウム(Rh)含有化合物を挙げることができる。酸
化剤としては、例えば、塩素酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸
塩、次亜塩素酸塩、過マンガン酸塩、クロム酸塩、重ク
ロム酸塩、過酸化水素、過炭酸塩及びこれらの混合物を
挙げることができる。尚、これらの酸化剤を構成する塩
は、ナトリウム塩やカリウム塩等の溶解性の高い塩であ
ることが好ましい。上記以外に、La(NO3)3、La(Cl
O3)3 、BF3 、並びにCe4+、Sn4+及びPb4+の化合物であ
るCe(BO2)4、Sn(BO2)4等を挙げることができる。これら
カルコゲン化水素に対する反応性を有する化合物は、
0.01モル/リットル以上の濃度となるように添加す
ることが適当である。尚、濃度の上限は飽和溶解度であ
り、比較的高い濃度とする場合には、水に対する溶解性
が高い化合物を選択することが好ましい。
【0008】酸化剤はガラスが酸に溶解したとき発生す
る硫化水素ガスを直ちに酸化して無害化する効果があ
る。したがって、エッチングで取り去るガラス量に応じ
て等量よりも多めに添加することが好ましい。添加量が
少な過ぎると、硫黄が溶液中に生成してエッチング対象
物表面の凹凸を多くしたり、硫化水素が発生することが
ある。但し、添加量が多い分にはこのような問題生じな
い。
る硫化水素ガスを直ちに酸化して無害化する効果があ
る。したがって、エッチングで取り去るガラス量に応じ
て等量よりも多めに添加することが好ましい。添加量が
少な過ぎると、硫黄が溶液中に生成してエッチング対象
物表面の凹凸を多くしたり、硫化水素が発生することが
ある。但し、添加量が多い分にはこのような問題生じな
い。
【0009】さらに、本発明のエッチング液は、カルコ
ゲナイドガラスまたはオキシカルコゲナイドガラスを構
成する少なくとも1種の陽イオンのエッチング液への溶
解速度を抑制する性質を有する化合物をさらに含むこと
ができる。カルコゲナイドガラスまたはオキシカルコゲ
ナイドガラスを構成する陽イオンは、後述するように、
例えば、ナトリウム、ガリウム、ランタン、アルミニウ
ム等である。これらの陽イオンのエッチング液への溶解
速度を抑制する性質を有する化合物とは、例えば、これ
らの陽イオンのエッチング液中での濃度(活量)を予め
高めることができる水溶性塩、またはこれらの陽イオン
と不溶性の塩等を形成する化合物である。そのような化
合物の例として、ナトリウムに対しては、例えば、ハロ
ゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、メタ
リン酸塩、酢酸ウラニル塩等を挙げることができる。ガ
リウム、ランタン及びアルミニウムに対しては、フッ化
物等のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、ホウ酸塩、リン
酸塩、メタリン酸塩を挙げることができる。但し、これ
らの化合物(塩)が還元性の強い陰イオンを含むと、共
添加した酸化剤を消費してしまうので、還元性の少ない
陰イオンを含む塩を用いることが適当である。
ゲナイドガラスまたはオキシカルコゲナイドガラスを構
成する少なくとも1種の陽イオンのエッチング液への溶
解速度を抑制する性質を有する化合物をさらに含むこと
ができる。カルコゲナイドガラスまたはオキシカルコゲ
ナイドガラスを構成する陽イオンは、後述するように、
例えば、ナトリウム、ガリウム、ランタン、アルミニウ
ム等である。これらの陽イオンのエッチング液への溶解
速度を抑制する性質を有する化合物とは、例えば、これ
らの陽イオンのエッチング液中での濃度(活量)を予め
高めることができる水溶性塩、またはこれらの陽イオン
と不溶性の塩等を形成する化合物である。そのような化
合物の例として、ナトリウムに対しては、例えば、ハロ
ゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、メタ
リン酸塩、酢酸ウラニル塩等を挙げることができる。ガ
リウム、ランタン及びアルミニウムに対しては、フッ化
物等のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、ホウ酸塩、リン
酸塩、メタリン酸塩を挙げることができる。但し、これ
らの化合物(塩)が還元性の強い陰イオンを含むと、共
添加した酸化剤を消費してしまうので、還元性の少ない
陰イオンを含む塩を用いることが適当である。
【0010】上記化合物は、ガラス中の特定のイオン種
が溶出することを選択的に防ぐ効果がある。したがっ
て、Naを多量に含むガラスに対しては、ナトリウムイオ
ンのエッチング液への溶解速度を抑制する性質を有する
化合物を用い、Ga、Al等を主成分とするガラスに対して
は、ガリウムやアルミニウムイオンのエッチング液への
溶解速度を抑制する性質を有する化合物を用いると、こ
れらのイオンの溶出を抑制できる。これらの化合物のエ
ッチング液に対する添加量は、ガラス種または組成比に
よって最適値が異なるが、おおむね0.01 mol/l から
飽和濃度までが適当な範囲である。
が溶出することを選択的に防ぐ効果がある。したがっ
て、Naを多量に含むガラスに対しては、ナトリウムイオ
ンのエッチング液への溶解速度を抑制する性質を有する
化合物を用い、Ga、Al等を主成分とするガラスに対して
は、ガリウムやアルミニウムイオンのエッチング液への
溶解速度を抑制する性質を有する化合物を用いると、こ
れらのイオンの溶出を抑制できる。これらの化合物のエ
ッチング液に対する添加量は、ガラス種または組成比に
よって最適値が異なるが、おおむね0.01 mol/l から
飽和濃度までが適当な範囲である。
【0011】カルコゲン化水素に対する反応性を有する
化合物が塩であり、かつこの塩を構成する陽イオンが、
カルコゲナイドガラスまたはオキシカルコゲナイドガラ
スを構成する少なくとも1種の陽イオンのエッチング液
への溶解速度を抑制する性質を有するものであることも
できる。そのような化合物の例として、塩素酸ナトリウ
ム、塩素酸ガリウム、塩素酸アルミニウム、臭素酸ナト
リウム、臭素酸ガリウム、臭素酸アルミニウム、ヨウ素
酸ナトリウム、ヨウ素酸ガリウム、ヨウ素酸アルミニウ
ム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ガリウム、次亜
塩素酸アルミニウム、過マンガン酸ナトリウム、過マン
ガン酸ガリウム、過マンガン酸アルミニウム、クロム酸
ナトリウム、クロム酸ガリウム、クロム酸アルミニウ
ム、重クロム酸ナトリウム、重クロム酸ガリウム、重ク
ロム酸アルミニウム、過酸化水素ナトリウム、過酸化水
素ガリウム、過酸化水素アルミニウム、過炭酸ナトリウ
ム、過炭酸ガリウム、過炭酸アルミニウム等を挙げるこ
とができる。これらの化合物のエッチング液に対する添
加量は、おおむね0.01 mol/l から飽和濃度までが適
当な範囲である。
化合物が塩であり、かつこの塩を構成する陽イオンが、
カルコゲナイドガラスまたはオキシカルコゲナイドガラ
スを構成する少なくとも1種の陽イオンのエッチング液
への溶解速度を抑制する性質を有するものであることも
できる。そのような化合物の例として、塩素酸ナトリウ
ム、塩素酸ガリウム、塩素酸アルミニウム、臭素酸ナト
リウム、臭素酸ガリウム、臭素酸アルミニウム、ヨウ素
酸ナトリウム、ヨウ素酸ガリウム、ヨウ素酸アルミニウ
ム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ガリウム、次亜
塩素酸アルミニウム、過マンガン酸ナトリウム、過マン
ガン酸ガリウム、過マンガン酸アルミニウム、クロム酸
ナトリウム、クロム酸ガリウム、クロム酸アルミニウ
ム、重クロム酸ナトリウム、重クロム酸ガリウム、重ク
ロム酸アルミニウム、過酸化水素ナトリウム、過酸化水
素ガリウム、過酸化水素アルミニウム、過炭酸ナトリウ
ム、過炭酸ガリウム、過炭酸アルミニウム等を挙げるこ
とができる。これらの化合物のエッチング液に対する添
加量は、おおむね0.01 mol/l から飽和濃度までが適
当な範囲である。
【0012】本発明のエッチング液は、上記の成分以外
にもその他の添加剤を適宜含むことができ、例えば、エ
ッチング液の粘度を調節する目的で、グリセリン、珪酸
ナトリウム、ポリビニルアルコール、硫酸カルシウム、
テトラメトキシシラン、トリメトキシシラン、テトラエ
トキシシラン等の粘度調整剤を添加することができる。
にもその他の添加剤を適宜含むことができ、例えば、エ
ッチング液の粘度を調節する目的で、グリセリン、珪酸
ナトリウム、ポリビニルアルコール、硫酸カルシウム、
テトラメトキシシラン、トリメトキシシラン、テトラエ
トキシシラン等の粘度調整剤を添加することができる。
【0013】本発明において、カルコゲナイドガラス及
びオキシカルコゲナイドガラスはカルコゲン元素として
硫黄を含むガラスであり、特にイオン性物質の溶解度の
高い硫化物系ガラスを包含する。硫化物系ガラスは、例
えば、一般式A3+−D2+−E+ −Sで表され、AはG
a、Al及びInの1種または2種以上であり、DはC
d、Ca、Sr、Ba、Pb、Zn及びHgの1種また
は2種以上であり、EはLi Na K Ce Rb及
びTlの1種または2種以上であるガラスである。さら
に具体的には、例えば、Ga−Na−S、Ga−Na−Cd−S、
Ga−Ge−S、Ga−La−S、B−Na−S、Ga−Ge−La−
S、Al−La−S、Ge−Na−S等のカルコゲナイドガラス
を挙げることができる。また、オキシカルコゲナイドガ
ラスは上記カルコゲナイドガラスにさらに酸素を含むも
のであり、例えば、Ga−Na−S−O、Ga−La−S−O、
Ga−Ge−La−S−O、Al−La−S−O等を挙げることが
できる。また、本発明のエッチング液で、上記硫化物系
ガラスをエッチングした場合、酸の作用により発生する
カルコゲン化水素は硫化水素であり、この硫化水素は、
「カルコゲン化水素に対する反応性を有する化合物」と
反応して、有毒な硫化水素が系外に漏出するおそれはな
い。
びオキシカルコゲナイドガラスはカルコゲン元素として
硫黄を含むガラスであり、特にイオン性物質の溶解度の
高い硫化物系ガラスを包含する。硫化物系ガラスは、例
えば、一般式A3+−D2+−E+ −Sで表され、AはG
a、Al及びInの1種または2種以上であり、DはC
d、Ca、Sr、Ba、Pb、Zn及びHgの1種また
は2種以上であり、EはLi Na K Ce Rb及
びTlの1種または2種以上であるガラスである。さら
に具体的には、例えば、Ga−Na−S、Ga−Na−Cd−S、
Ga−Ge−S、Ga−La−S、B−Na−S、Ga−Ge−La−
S、Al−La−S、Ge−Na−S等のカルコゲナイドガラス
を挙げることができる。また、オキシカルコゲナイドガ
ラスは上記カルコゲナイドガラスにさらに酸素を含むも
のであり、例えば、Ga−Na−S−O、Ga−La−S−O、
Ga−Ge−La−S−O、Al−La−S−O等を挙げることが
できる。また、本発明のエッチング液で、上記硫化物系
ガラスをエッチングした場合、酸の作用により発生する
カルコゲン化水素は硫化水素であり、この硫化水素は、
「カルコゲン化水素に対する反応性を有する化合物」と
反応して、有毒な硫化水素が系外に漏出するおそれはな
い。
【0014】エッチング対象であるカルコゲナイドガラ
ス及びオキシカルコゲナイドガラスの種類と、各ガラス
の種類に応じて好適な本発明のエッチング液(酸、カル
コゲン化水素に対する反応性を有する化合物(酸化
剤)、及びカルコゲナイドガラスまたはオキシカルコゲ
ナイドガラスを構成する少なくとも1種の陽イオンのエ
ッチング液への溶解速度を抑制する性質を有する化合
物)の組合せを表1〜5に示す。
ス及びオキシカルコゲナイドガラスの種類と、各ガラス
の種類に応じて好適な本発明のエッチング液(酸、カル
コゲン化水素に対する反応性を有する化合物(酸化
剤)、及びカルコゲナイドガラスまたはオキシカルコゲ
ナイドガラスを構成する少なくとも1種の陽イオンのエ
ッチング液への溶解速度を抑制する性質を有する化合
物)の組合せを表1〜5に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】
【表4】
【0019】
【表5】
【0020】本発明は、カルコゲナイドガラス又はオキ
シカルコゲナイドガラスからなる部材を上記本発明のエ
ッチング液に浸漬することを特徴とするガラス部材のエ
ッチング方法を包含する。エッチング液へのガラス部材
の浸漬は、例えば、1〜50℃の液温のエッチング液に
0.1〜3600秒浸漬することで行うことができる。上
記温度及び浸漬時間は、エッチング液の組成やガラス部
材を構成するガラスの組成等を考慮して適宜決定でき
る。エッチング後は、例えば、純水でリンスし、後にア
ルコール類、ケトン類等の有機溶剤でリンスするか、ま
たは直接アルコール類、ケトン類等の有機溶剤でリンス
して表面の余剰なエッチング液を完全に除去し、乾燥空
気中または不活性ガス中で乾燥させることができる。本
発明のエッチング方法により、例えば、表面に研磨によ
る潜傷を有するガラス部材であっても、潜傷を除去する
ことができる。
シカルコゲナイドガラスからなる部材を上記本発明のエ
ッチング液に浸漬することを特徴とするガラス部材のエ
ッチング方法を包含する。エッチング液へのガラス部材
の浸漬は、例えば、1〜50℃の液温のエッチング液に
0.1〜3600秒浸漬することで行うことができる。上
記温度及び浸漬時間は、エッチング液の組成やガラス部
材を構成するガラスの組成等を考慮して適宜決定でき
る。エッチング後は、例えば、純水でリンスし、後にア
ルコール類、ケトン類等の有機溶剤でリンスするか、ま
たは直接アルコール類、ケトン類等の有機溶剤でリンス
して表面の余剰なエッチング液を完全に除去し、乾燥空
気中または不活性ガス中で乾燥させることができる。本
発明のエッチング方法により、例えば、表面に研磨によ
る潜傷を有するガラス部材であっても、潜傷を除去する
ことができる。
【0021】上記本発明のエッチング方法により、表面
に潜傷を実質的に有さず、かつ表面に沿う長さ0.1μ
m中に存在する凹凸差が1μm以下であることを特徴と
するガラス製光学部材を得ることができる。本発明の光
学部材は、例えば、レーザー媒体、光アンプ媒体、レン
ズ、光学窓等を含む。本発明のエッチング方法により得
られる光学部材の表面の平滑性は、光学部材がレンズや
プリズムの場合、表面に沿う長さ0.1μm中に存在す
る凹凸差が100nm以下であることが好ましい。ま
た、本発明の光学部材が、ガラス表面に薄膜を形成する
用途では、表面に沿う長さ0.1μm中に存在する凹凸
差が10nm以下であることが好ましい。
に潜傷を実質的に有さず、かつ表面に沿う長さ0.1μ
m中に存在する凹凸差が1μm以下であることを特徴と
するガラス製光学部材を得ることができる。本発明の光
学部材は、例えば、レーザー媒体、光アンプ媒体、レン
ズ、光学窓等を含む。本発明のエッチング方法により得
られる光学部材の表面の平滑性は、光学部材がレンズや
プリズムの場合、表面に沿う長さ0.1μm中に存在す
る凹凸差が100nm以下であることが好ましい。ま
た、本発明の光学部材が、ガラス表面に薄膜を形成する
用途では、表面に沿う長さ0.1μm中に存在する凹凸
差が10nm以下であることが好ましい。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに説明す
る。 実施例1 0.1 mol/l の塩酸1リットルに塩化ナトリウム550
g及び塩素酸カリウム20gを順次溶解させて本発明の
エッチング液を調製した。このエッチング液に組成Ga2S
3 :67mol %、Na2S:33mol %を有する硫黄系カル
コゲナイドガラス板(20mm×20mm×2mm )を回転させな
がら浸漬して、室温(20℃)で5分エッチングを行っ
た。次いで、0℃の水で約1秒リンスし、次にアセトン
で超音波を印加しながら約1分程度洗浄し、乾燥空気中
で乾燥させた。ガラス表面には、エッチング前は光学顕
微鏡下の観察で表面におよそ10個/mm2 (1000個/cm
2)程度の結晶化による異物が観察されたが、エッチング
後はまったく見られなくなった。また、0.1 mol/l 塩
酸のみでエッチングするとガラス表面には青色を呈する
干渉膜が生成し、明らかに表面に組成ずれが生じている
のが観察されたが、本実施例で用いたエッチング液では
干渉膜は観察されなかった。また、本実施例で用いたエ
ッチング液を利用してエッチングを行った面を走査電子
顕微鏡で観察したところ、非常に滑らかな面となってお
り、表面に沿って長さ0.1 μm中に存在する凹凸差が1
μm以下であった。このガラスを酸に浸漬した後、光学
顕微鏡で表面を観察した。その結果、ガラス表面の潜傷
によって生じる網目状の筋は見られなかった。また、通
常、表面に潜傷がある場合、網目状に生じる筋がさらに
伸長して干渉色を呈するクラックが観察されるが、本実
施例ではこのようなクラックも見られなかった。
る。 実施例1 0.1 mol/l の塩酸1リットルに塩化ナトリウム550
g及び塩素酸カリウム20gを順次溶解させて本発明の
エッチング液を調製した。このエッチング液に組成Ga2S
3 :67mol %、Na2S:33mol %を有する硫黄系カル
コゲナイドガラス板(20mm×20mm×2mm )を回転させな
がら浸漬して、室温(20℃)で5分エッチングを行っ
た。次いで、0℃の水で約1秒リンスし、次にアセトン
で超音波を印加しながら約1分程度洗浄し、乾燥空気中
で乾燥させた。ガラス表面には、エッチング前は光学顕
微鏡下の観察で表面におよそ10個/mm2 (1000個/cm
2)程度の結晶化による異物が観察されたが、エッチング
後はまったく見られなくなった。また、0.1 mol/l 塩
酸のみでエッチングするとガラス表面には青色を呈する
干渉膜が生成し、明らかに表面に組成ずれが生じている
のが観察されたが、本実施例で用いたエッチング液では
干渉膜は観察されなかった。また、本実施例で用いたエ
ッチング液を利用してエッチングを行った面を走査電子
顕微鏡で観察したところ、非常に滑らかな面となってお
り、表面に沿って長さ0.1 μm中に存在する凹凸差が1
μm以下であった。このガラスを酸に浸漬した後、光学
顕微鏡で表面を観察した。その結果、ガラス表面の潜傷
によって生じる網目状の筋は見られなかった。また、通
常、表面に潜傷がある場合、網目状に生じる筋がさらに
伸長して干渉色を呈するクラックが観察されるが、本実
施例ではこのようなクラックも見られなかった。
【0023】実施例2 0.05 mol/lの塩酸1リットルに塩化ナトリウム51
0g及び塩素酸ナトリウム50gを順次溶解させて本発
明のエッチング液を調製した。無水研磨した組成Ga
2S3 :65mol %、Na2S:35mol %の硫黄系カルコゲ
ナイドガラス板(20mm×20mm×1mm )を上記エッチング
液に回転させながら浸漬し、室温(20℃)で5分エッ
チングを行った。次いで、20℃の99.5%エタノール
で超音波を印加しながら約1秒リンスし、次にアセトン
で約1分程度洗浄し、乾燥空気中で乾燥させた。上記無
水研磨をしたガラス板を0.1 mol/l 塩酸のみでエッチ
ングするとガラス表面には青色を呈する干渉膜が生成
し、また、研磨の際の潜傷が深く伸びているのが観察さ
れたのに対し、本実施例で用いたエッチング液では干渉
膜は観察されず、また、潜傷はその幅が広がって浅くな
っていくのが観察できた。本実施例で用いたエッチング
液を利用してエッチングを行ったガラスの表面には結晶
化による異物が見られず、また潜傷も観察されなかっ
た。さらに、実施例1と同様にして走査電子顕微鏡で観
察した結果、表面に沿って長さ0.1 μm中に存在する凹
凸差が1μm以下であり、非常に滑らかな表面を有して
いた。
0g及び塩素酸ナトリウム50gを順次溶解させて本発
明のエッチング液を調製した。無水研磨した組成Ga
2S3 :65mol %、Na2S:35mol %の硫黄系カルコゲ
ナイドガラス板(20mm×20mm×1mm )を上記エッチング
液に回転させながら浸漬し、室温(20℃)で5分エッ
チングを行った。次いで、20℃の99.5%エタノール
で超音波を印加しながら約1秒リンスし、次にアセトン
で約1分程度洗浄し、乾燥空気中で乾燥させた。上記無
水研磨をしたガラス板を0.1 mol/l 塩酸のみでエッチ
ングするとガラス表面には青色を呈する干渉膜が生成
し、また、研磨の際の潜傷が深く伸びているのが観察さ
れたのに対し、本実施例で用いたエッチング液では干渉
膜は観察されず、また、潜傷はその幅が広がって浅くな
っていくのが観察できた。本実施例で用いたエッチング
液を利用してエッチングを行ったガラスの表面には結晶
化による異物が見られず、また潜傷も観察されなかっ
た。さらに、実施例1と同様にして走査電子顕微鏡で観
察した結果、表面に沿って長さ0.1 μm中に存在する凹
凸差が1μm以下であり、非常に滑らかな表面を有して
いた。
【0024】実施例3 3 mol/l の硝酸1リットルに金属ガリウム140gと
過マンガン酸カリウム5gを順次溶解させて本発明のエ
ッチング液を調製した。無水研磨した組成Ga2S3 :70
mol %、La2S3 :30mol %の硫黄系カルコゲナイドガ
ラス板(10mm×10mm×1.5mm )を上記エッチング液に回
転させながら浸漬して室温(20℃)で5分エッチング
を行った。次いで、20℃の99.5%エタノールで超音
波を印加しながら約1秒リンスし、次にアセトンで約1
分程度洗浄し、乾燥空気中で乾燥させた。上記研磨した
ガラス板を1 mol/l の硝酸のみでエッチングするとガ
ラス表面には青色を呈する干渉膜が生成したが、本実施
例で用いたエッチング液では干渉膜は観察されなかっ
た。本実施例で用いたエッチング液を利用してエッチン
グを行ったガラスの表面には結晶化による異物が見られ
ず、また潜傷も観察されなかった。さらに、実施例1と
同様にして走査電子顕微鏡で観察した結果、表面に沿っ
て長さ0.1 μm中に存在する凹凸差が1μm以下であ
り、非常に滑らかな表面を有していた。
過マンガン酸カリウム5gを順次溶解させて本発明のエ
ッチング液を調製した。無水研磨した組成Ga2S3 :70
mol %、La2S3 :30mol %の硫黄系カルコゲナイドガ
ラス板(10mm×10mm×1.5mm )を上記エッチング液に回
転させながら浸漬して室温(20℃)で5分エッチング
を行った。次いで、20℃の99.5%エタノールで超音
波を印加しながら約1秒リンスし、次にアセトンで約1
分程度洗浄し、乾燥空気中で乾燥させた。上記研磨した
ガラス板を1 mol/l の硝酸のみでエッチングするとガ
ラス表面には青色を呈する干渉膜が生成したが、本実施
例で用いたエッチング液では干渉膜は観察されなかっ
た。本実施例で用いたエッチング液を利用してエッチン
グを行ったガラスの表面には結晶化による異物が見られ
ず、また潜傷も観察されなかった。さらに、実施例1と
同様にして走査電子顕微鏡で観察した結果、表面に沿っ
て長さ0.1 μm中に存在する凹凸差が1μm以下であ
り、非常に滑らかな表面を有していた。
【0025】実施例4 2.5 mol/l の硫酸0.5リットルに金属ガリウム70g
及び1 mol/l フッ化水素酸0.5リットルを順次添加混
合(溶解)した後、さらに塩素酸ナトリウム25gを溶
解させて本発明のエッチング液を調製した。組成Ga:5
mol %、Ge:25mol %、S:70mol %の硫黄系カル
コゲナイドガラス板(5mm ×5mm ×1mm)を上記エッチ
ング液に回転させながら浸漬して室温(20℃)で5分
エッチングを行った。次いで、0℃の水で約1秒リンス
し、次に超音波を印加しながらアセトンで約1分程度洗
浄し、乾燥窒素中で乾燥させた。エッチング後のガラス
表面に干渉膜は観察されなかった。本実施例で用いたエ
ッチング液を利用してエッチングを行ったガラスの表面
には結晶化による異物が見られず、また潜傷も観察され
なかった。さらに、実施例1と同様にして走査電子顕微
鏡で観察した結果、表面に沿って長さ0.1 μm中に存在
する凹凸差が1μm以下であり、非常に滑らかな表面を
有していた。
及び1 mol/l フッ化水素酸0.5リットルを順次添加混
合(溶解)した後、さらに塩素酸ナトリウム25gを溶
解させて本発明のエッチング液を調製した。組成Ga:5
mol %、Ge:25mol %、S:70mol %の硫黄系カル
コゲナイドガラス板(5mm ×5mm ×1mm)を上記エッチ
ング液に回転させながら浸漬して室温(20℃)で5分
エッチングを行った。次いで、0℃の水で約1秒リンス
し、次に超音波を印加しながらアセトンで約1分程度洗
浄し、乾燥窒素中で乾燥させた。エッチング後のガラス
表面に干渉膜は観察されなかった。本実施例で用いたエ
ッチング液を利用してエッチングを行ったガラスの表面
には結晶化による異物が見られず、また潜傷も観察され
なかった。さらに、実施例1と同様にして走査電子顕微
鏡で観察した結果、表面に沿って長さ0.1 μm中に存在
する凹凸差が1μm以下であり、非常に滑らかな表面を
有していた。
【0026】実施例5 実施例1のエッチング液(0.1 mol/l の塩酸1リット
ルに塩化ナトリウム550g及び塩素酸カリウム20g
を順次溶解)にグリセリン50mlを添加溶解して本発明
のエッチング液を調製した。このエッチング液は、実施
例1のエッチング液よりやや粘稠であった。このエッチ
ング液を用いて実施例1と同様にしてガラス板をエッチ
ングした。得られたガラス板は、光学顕微鏡観察の結
果、干渉膜は観察されず、さらに走査電子顕微鏡観察の
結果、非常に滑らかな面となっており、表面に沿って長
さ0.1 μm中に存在する凹凸差が1μm以下であった。
また、グリセリンの代わりに10mlの珪酸ナトリウムを
添加したエッチング液でも同様の結果が得られた。
ルに塩化ナトリウム550g及び塩素酸カリウム20g
を順次溶解)にグリセリン50mlを添加溶解して本発明
のエッチング液を調製した。このエッチング液は、実施
例1のエッチング液よりやや粘稠であった。このエッチ
ング液を用いて実施例1と同様にしてガラス板をエッチ
ングした。得られたガラス板は、光学顕微鏡観察の結
果、干渉膜は観察されず、さらに走査電子顕微鏡観察の
結果、非常に滑らかな面となっており、表面に沿って長
さ0.1 μm中に存在する凹凸差が1μm以下であった。
また、グリセリンの代わりに10mlの珪酸ナトリウムを
添加したエッチング液でも同様の結果が得られた。
【0027】実施例6 0.1 mol/l の塩酸1リットルに塩化ナトリウム550
g及び塩素酸カリウム20gを順次溶解させて本発明の
エッチング液を調製した。このエッチング液に組成Ga2S
3 :64mol %、Ga2O3 :3mol %、Na2S:33mol %
を有するオキシカルコゲナイドガラス板(20mm×20mm×
2mm )を回転させながら浸漬して、室温(20℃)で5
分エッチングを行った。次いで、0℃の水で約1秒リン
スし、次にアセトンで超音波を印加しながら約1分程度
洗浄し、乾燥空気中で乾燥させた。ガラス表面には、エ
ッチング前は光学顕微鏡下の観察で表面におよそ10個
/mm2 (1000個/cm2)程度の結晶化による異物が観察さ
れたが、エッチング後はまったく見られなくなった。ま
た、0.1 mol/l 塩酸のみでエッチングするとガラス表
面には青色を呈する干渉膜が生成し、明らかに表面に組
成ずれが生じているのが観察されたが、本実施例で用い
たエッチング液では干渉膜は観察されなかった。また、
本実施例で用いたエッチング液を利用してエッチングを
行った面を走査電子顕微鏡で観察したところ、非常に滑
らかな面となっており、表面に沿って長さ0.1 μm中に
存在する凹凸差が1μm以下であった。このガラスを酸
に浸漬した後、光学顕微鏡で表面を観察した。その結
果、ガラス表面の潜傷によって生じる網目状の筋は見ら
れなかった。また、通常、表面に潜傷がある場合、網目
状に生じる筋がさらに伸長して干渉色を呈するクラック
が観察されるが、本実施例ではこのようなクラックも見
られなかった。
g及び塩素酸カリウム20gを順次溶解させて本発明の
エッチング液を調製した。このエッチング液に組成Ga2S
3 :64mol %、Ga2O3 :3mol %、Na2S:33mol %
を有するオキシカルコゲナイドガラス板(20mm×20mm×
2mm )を回転させながら浸漬して、室温(20℃)で5
分エッチングを行った。次いで、0℃の水で約1秒リン
スし、次にアセトンで超音波を印加しながら約1分程度
洗浄し、乾燥空気中で乾燥させた。ガラス表面には、エ
ッチング前は光学顕微鏡下の観察で表面におよそ10個
/mm2 (1000個/cm2)程度の結晶化による異物が観察さ
れたが、エッチング後はまったく見られなくなった。ま
た、0.1 mol/l 塩酸のみでエッチングするとガラス表
面には青色を呈する干渉膜が生成し、明らかに表面に組
成ずれが生じているのが観察されたが、本実施例で用い
たエッチング液では干渉膜は観察されなかった。また、
本実施例で用いたエッチング液を利用してエッチングを
行った面を走査電子顕微鏡で観察したところ、非常に滑
らかな面となっており、表面に沿って長さ0.1 μm中に
存在する凹凸差が1μm以下であった。このガラスを酸
に浸漬した後、光学顕微鏡で表面を観察した。その結
果、ガラス表面の潜傷によって生じる網目状の筋は見ら
れなかった。また、通常、表面に潜傷がある場合、網目
状に生じる筋がさらに伸長して干渉色を呈するクラック
が観察されるが、本実施例ではこのようなクラックも見
られなかった。
【0028】実施例7 0.1 mol/l の塩酸1リットルに塩化ナトリウム550
g及び塩素酸カリウム20gを順次溶解させて本発明の
エッチング液を調製した。このエッチング液に組成Ga2S
3 :64mol %、Na2S:32mol %、CdS :4mol %を
有する硫黄系カルコゲナイドガラス板(20mm×20mm×2m
m )を回転させながら浸漬して、室温(20℃)で5分
エッチングを行った。次いで、0℃の水で約1秒リンス
し、次にアセトンで超音波を印加しながら約1分程度洗
浄し、乾燥空気中で乾燥させた。ガラス表面には、エッ
チング前は光学顕微鏡下の観察で表面におよそ10個/
mm2 (1000個/cm2)程度の結晶化による異物が観察され
たが、エッチング後はまったく見られなくなった。ま
た、0.1 mol/l 塩酸のみでエッチングするとガラス表
面には青色を呈する干渉膜が生成し、明らかに表面に組
成ずれが生じているのが観察されたが、本実施例で用い
たエッチング液では干渉膜は観察されなかった。また、
本実施例で用いたエッチング液を利用してエッチングを
行った面を走査電子顕微鏡で観察したところ、非常に滑
らかな面となっており、表面に沿って長さ0.1 μm中に
存在する凹凸差が1μm以下であった。このガラスを酸
に浸漬した後、光学顕微鏡で表面を観察した。その結
果、ガラス表面の潜傷によって生じる網目状の筋は見ら
れなかった。また、通常、表面に潜傷がある場合、網目
状に生じる筋がさらに伸長して干渉色を呈するクラック
が観察されるが、本実施例ではこのようなクラックも見
られなかった。
g及び塩素酸カリウム20gを順次溶解させて本発明の
エッチング液を調製した。このエッチング液に組成Ga2S
3 :64mol %、Na2S:32mol %、CdS :4mol %を
有する硫黄系カルコゲナイドガラス板(20mm×20mm×2m
m )を回転させながら浸漬して、室温(20℃)で5分
エッチングを行った。次いで、0℃の水で約1秒リンス
し、次にアセトンで超音波を印加しながら約1分程度洗
浄し、乾燥空気中で乾燥させた。ガラス表面には、エッ
チング前は光学顕微鏡下の観察で表面におよそ10個/
mm2 (1000個/cm2)程度の結晶化による異物が観察され
たが、エッチング後はまったく見られなくなった。ま
た、0.1 mol/l 塩酸のみでエッチングするとガラス表
面には青色を呈する干渉膜が生成し、明らかに表面に組
成ずれが生じているのが観察されたが、本実施例で用い
たエッチング液では干渉膜は観察されなかった。また、
本実施例で用いたエッチング液を利用してエッチングを
行った面を走査電子顕微鏡で観察したところ、非常に滑
らかな面となっており、表面に沿って長さ0.1 μm中に
存在する凹凸差が1μm以下であった。このガラスを酸
に浸漬した後、光学顕微鏡で表面を観察した。その結
果、ガラス表面の潜傷によって生じる網目状の筋は見ら
れなかった。また、通常、表面に潜傷がある場合、網目
状に生じる筋がさらに伸長して干渉色を呈するクラック
が観察されるが、本実施例ではこのようなクラックも見
られなかった。
【0029】実施例8 0.1 mol/l の塩酸1リットルに塩化ナトリウム550
g及び塩素酸カリウム20gを順次溶解させて本発明の
エッチング液を調製した。このエッチング液に組成Ga2S
3 :67mol %、Na2S:33mol %を有する硫黄系カル
コゲナイドガラスレンズ(直径20mm)を回転させながら
浸漬して、室温(20℃)で5分エッチングを行った。
次いで、0℃の水で約1秒リンスし、次にアセトンで超
音波を印加しながら約1分程度洗浄し、乾燥空気中で乾
燥させた。ガラス表面には、エッチング前は光学顕微鏡
下の観察で表面におよそ10個/mm2 (1000個/cm2)程
度の結晶化による異物が観察されたが、エッチング後は
まったく見られなくなった。また、0.1 mol/l 塩酸の
みでエッチングするとガラス表面には青色を呈する干渉
膜が生成し、明らかに表面に組成ずれが生じているのが
観察されたが、本実施例で用いたエッチング液では干渉
膜は観察されなかった。また、本実施例で用いたエッチ
ング液を利用してエッチングを行った面を走査電子顕微
鏡で観察したところ、非常に滑らかな面となっており、
表面に沿って長さ0.1 μm中に存在する凹凸差が1μm
以下であった。このガラスを酸に浸漬した後、光学顕微
鏡で表面を観察した。その結果、ガラス表面の潜傷によ
って生じる網目状の筋は見られなかった。また、通常、
表面に潜傷がある場合、網目状に生じる筋がさらに伸長
して干渉色を呈するクラックが観察されるが、本実施例
ではこのようなクラックも見られなかった。
g及び塩素酸カリウム20gを順次溶解させて本発明の
エッチング液を調製した。このエッチング液に組成Ga2S
3 :67mol %、Na2S:33mol %を有する硫黄系カル
コゲナイドガラスレンズ(直径20mm)を回転させながら
浸漬して、室温(20℃)で5分エッチングを行った。
次いで、0℃の水で約1秒リンスし、次にアセトンで超
音波を印加しながら約1分程度洗浄し、乾燥空気中で乾
燥させた。ガラス表面には、エッチング前は光学顕微鏡
下の観察で表面におよそ10個/mm2 (1000個/cm2)程
度の結晶化による異物が観察されたが、エッチング後は
まったく見られなくなった。また、0.1 mol/l 塩酸の
みでエッチングするとガラス表面には青色を呈する干渉
膜が生成し、明らかに表面に組成ずれが生じているのが
観察されたが、本実施例で用いたエッチング液では干渉
膜は観察されなかった。また、本実施例で用いたエッチ
ング液を利用してエッチングを行った面を走査電子顕微
鏡で観察したところ、非常に滑らかな面となっており、
表面に沿って長さ0.1 μm中に存在する凹凸差が1μm
以下であった。このガラスを酸に浸漬した後、光学顕微
鏡で表面を観察した。その結果、ガラス表面の潜傷によ
って生じる網目状の筋は見られなかった。また、通常、
表面に潜傷がある場合、網目状に生じる筋がさらに伸長
して干渉色を呈するクラックが観察されるが、本実施例
ではこのようなクラックも見られなかった。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、ガラス表面の変質
層、異物および潜傷を除去した後、ガラス表面の微細な
凹凸を増加させず、潜傷を助長せず、かつ新たな変
質層を形成しないエッチング液であって、硫黄系カルコ
ゲナイドガラスに対してであっても安全に使用できるエ
ッチング液を提供することができる。さらに本発明によ
れば、上記〜の条件を満足しつつ、ガラス硫黄系カ
ルコゲナイドガラスの表面の変質層、異物および潜傷を
安全に除去できる方法を提供できる。また、本発明によ
れば、上記エッチング方法により、平滑な表面を有する
硫黄系カルコゲナイドガラスからなる光学部材を提供で
き、この部材は、表面性状が優れ、機械的強度が大き
く、長期にわたり使用しても信頼性の高い、例えば、レ
ーザー媒体、光アンプ媒体、レンズ、光学窓等のガラス
製光学部材である。本発明によれば、カルコゲナイドガ
ラスもしくはオキシカルコゲナイドガラス、特にイオン
性物質の溶解度の高い硫化物系ガラスについて、その表
面の欠陥(結晶、異物、潜傷)等を除去あるいは無害化
することができるので、機械的に高強度で信頼性が高
く、かつ表面性状の優れたガラス製部材を作製すること
ができる。この際、エッチング液に酸化剤が添加されて
いるので硫化水素等の有害なガスを発生させることな
く、安価な設備のもとで安全に作業を行うことができ
る。
層、異物および潜傷を除去した後、ガラス表面の微細な
凹凸を増加させず、潜傷を助長せず、かつ新たな変
質層を形成しないエッチング液であって、硫黄系カルコ
ゲナイドガラスに対してであっても安全に使用できるエ
ッチング液を提供することができる。さらに本発明によ
れば、上記〜の条件を満足しつつ、ガラス硫黄系カ
ルコゲナイドガラスの表面の変質層、異物および潜傷を
安全に除去できる方法を提供できる。また、本発明によ
れば、上記エッチング方法により、平滑な表面を有する
硫黄系カルコゲナイドガラスからなる光学部材を提供で
き、この部材は、表面性状が優れ、機械的強度が大き
く、長期にわたり使用しても信頼性の高い、例えば、レ
ーザー媒体、光アンプ媒体、レンズ、光学窓等のガラス
製光学部材である。本発明によれば、カルコゲナイドガ
ラスもしくはオキシカルコゲナイドガラス、特にイオン
性物質の溶解度の高い硫化物系ガラスについて、その表
面の欠陥(結晶、異物、潜傷)等を除去あるいは無害化
することができるので、機械的に高強度で信頼性が高
く、かつ表面性状の優れたガラス製部材を作製すること
ができる。この際、エッチング液に酸化剤が添加されて
いるので硫化水素等の有害なガスを発生させることな
く、安価な設備のもとで安全に作業を行うことができ
る。
Claims (10)
- 【請求項1】 酸、及びカルコゲン化水素に対する反応
性を有する化合物を含むことを特徴とするカルコゲナイ
ドガラスまたはオキシカルコゲナイドガラス用エッチン
グ液。 - 【請求項2】 酸が無機酸であり、カルコゲン化水素に
対する反応性を有する化合物が酸化剤である請求項1に
記載のエッチング液。 - 【請求項3】 酸を0.01〜5Nの範囲で含み、かつ
カルコゲン化水素に対する反応性を有する化合物を0.
01モル/リットル以上の濃度で含む請求項1又は2に
記載のエッチング液。 - 【請求項4】 カルコゲナイドガラスまたはオキシカル
コゲナイドガラスを構成する少なくとも1種の陽イオン
のエッチング液への溶解速度を抑制する性質を有する化
合物をさらに含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の
エッチング液。 - 【請求項5】 カルコゲン化水素に対する反応性を有す
る化合物が塩であり、かつこの塩を構成する陽イオン
が、カルコゲナイドガラスまたはオキシカルコゲナイド
ガラスを構成する少なくとも1種の陽イオンのエッチン
グ液への溶解速度を抑制する性質を有する請求項1〜4
のいずれか1項に記載のエッチング液。 - 【請求項6】 カルコゲナイドガラス及びオキシカルコ
ゲナイドガラスがカルコゲン元素として硫黄を含み、か
つカルコゲン化水素が硫化水素である請求項1〜5のい
ずれか1項に記載のエッチング液。 - 【請求項7】 カルコゲナイドガラス又はオキシカルコ
ゲナイドガラスからなる部材を請求項1〜6のいずれか
1項に記載のエッチング液に浸漬することを特徴とする
ガラス部材のエッチング方法。 - 【請求項8】 研磨による潜傷を有するガラス部材をエ
ッチングする請求項7に記載のエッチング方法。 - 【請求項9】 カルコゲナイドガラスまたはオキシカル
コゲナイドガラスからなり、表面に潜傷を実質的に有さ
ず、かつ表面に沿う長さ0.1μm中に存在する凹凸差
が1μm以下であることを特徴とする光学部材。 - 【請求項10】 請求項7又は8に記載のエッチング方
法により得られたものである請求項9に記載の光学部
材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34682197A JPH10231144A (ja) | 1996-12-20 | 1997-12-16 | カルコゲナイドガラス用エッチング液及びエッチング方法並びに平滑表面を有する光学部材 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8-341977 | 1996-12-20 | ||
JP34197796 | 1996-12-20 | ||
JP34682197A JPH10231144A (ja) | 1996-12-20 | 1997-12-16 | カルコゲナイドガラス用エッチング液及びエッチング方法並びに平滑表面を有する光学部材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10231144A true JPH10231144A (ja) | 1998-09-02 |
Family
ID=26577111
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34682197A Pending JPH10231144A (ja) | 1996-12-20 | 1997-12-16 | カルコゲナイドガラス用エッチング液及びエッチング方法並びに平滑表面を有する光学部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10231144A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7182877B2 (en) | 2002-12-10 | 2007-02-27 | Seiko Epson Corporation | Method for manufacturing electro-optical device, electro-optical device, and electronic apparatus |
CN103880296A (zh) * | 2014-01-20 | 2014-06-25 | 北京工业大学 | 一种软材质光学玻璃锆基抛光液的制备方法 |
-
1997
- 1997-12-16 JP JP34682197A patent/JPH10231144A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7182877B2 (en) | 2002-12-10 | 2007-02-27 | Seiko Epson Corporation | Method for manufacturing electro-optical device, electro-optical device, and electronic apparatus |
CN103880296A (zh) * | 2014-01-20 | 2014-06-25 | 北京工业大学 | 一种软材质光学玻璃锆基抛光液的制备方法 |
CN103880296B (zh) * | 2014-01-20 | 2016-08-17 | 北京工业大学 | 一种软材质光学玻璃锆基抛光液的制备方法 |
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