JPH10230339A - 鋳物砂用バインダ - Google Patents

鋳物砂用バインダ

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JPH10230339A
JPH10230339A JP5224997A JP5224997A JPH10230339A JP H10230339 A JPH10230339 A JP H10230339A JP 5224997 A JP5224997 A JP 5224997A JP 5224997 A JP5224997 A JP 5224997A JP H10230339 A JPH10230339 A JP H10230339A
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JP
Japan
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molding sand
mixture
added
binder
sand
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JP5224997A
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Saburo Imoto
三郎 井本
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I T C KK
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I T C KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋳型製造時および注湯時に発生する揮発性有
機化合物等の有害ガスを皆無とし、また鋳型製造時にお
いて可使用時間の制限を受けない鋳物砂用バインダを提
供する。 【解決手段】 従来のフェノール樹脂およびフラン樹脂
等の熱硬化性樹脂のかわりに、シラノール基0.05モ
ル%を含有するポリビニルアルコールおよび1分子中に
2個以上のカルボキシル基を有する水溶性高分子化合物
の混合物を、鋳物砂に対して0.2〜5重量%添加し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は鋳物砂用バインダ
に関し、更に詳細には、ホルマリン(ホルムアルデヒド)
等の揮発性有機化合物をバインダ成分として使用するの
を廃止して、鋳型製造時に揮発性有機化合物が作業雰囲
気中に揮発するのを防止すると共に、鋳型への注湯時に
シアンガス等が発生するのを防止し得るようにした鋳物
砂用バインダに関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋳物砂から鋳型を製造する際は、鋳型と
して成形される鋳物砂に経時的な自硬性を持たせて該鋳
型の自己崩壊を防止する必要がある。そこで鋳物砂を結
合する有機粘結剤として、フェノール樹脂およびフラン
樹脂等のバインダが用途に応じて選択的に使用される。
これらのバインダは何れも熱硬化性樹脂のため良好な耐
熱性を有している。従って鋳型へ溶融金属を注入(注湯)
しても、該鋳型は溶湯による高温で急速に熱分解するこ
とがなく、その型形状を維持し得るものである。なお鋳
型の製造に際しては、前記バインダを鋳物砂に対し適量
添加して混合物とし、サンドミルや連続ミキサ等の混合
手段で前記混合物を充分に混錬した後に、鋳物砂に所要
の成形を施して鋳型を製造する方法が一般的に採用され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記のフェノール樹脂
およびフラン樹脂等は初期縮合物であって、可使用時間
には制限がある。またその成分中に揮発性有機化合物の
ホルマリン等を含んでいる。従って鋳物砂とバインダと
の混合作業中にも該ホルマリン等は常時蒸発して作業環
境に充満し、これを作業者が吸引することによる健康へ
の悪影響が問題となっている。また、このように製造し
た鋳型へ注湯して鋳込みを行なうと、該溶融金属の高熱
により前記バインダが熱分解し、例えばシアンガス等の
有害なガスを発生する。この場合は、作業環境および作
業者に対して一層大きい悪影響を及ぼすことになる。な
お鋳型製造にはレゾール型フェノール樹脂の初期縮合物
にジイソシアネート化合物を加えるイソキュアー法が知
られているが、この方法による場合も、鋳込み時におけ
るバインダの熱分解により発生するガスが作業環境およ
び作業者に対して悪影響を与えるものである。
【0004】
【発明の目的】この発明は、前述した従来技術に内在し
ている問題点を解決するべく提案されたものであって、
鋳型の製造時に作業環境や人体に悪影響を及ぼす有機化
合物の成分が作業雰囲気中に揮発することがなく、また
鋳型への注湯時に発生する熱分解ガスも作業環境や人体
に悪影響を及ぼすこともなく、更にバインダの経時的変
化および可使用時間の制限がない鋳物砂用バインダを提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を克服し、所期
の目的を好適に達成するため本発明は、シラノール基
0.05〜5モル%を含有するポリビニルアルコールお
よび1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する水溶
性高分子化合物の混合物を、鋳物砂に対して0.2〜5
重量%添加するようにしたことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】次に本発明に係る鋳物砂用バイン
ダにつき、好適な実施例を挙げて以下説明する。シラノ
ール基(≡SiOH)を含むポリビニルアルコール(以下
「Si−PVA」という)は、鋳物砂に対して選択的に吸
着される。その選択吸収性は、Si−PVA中のシラノ
ール基の含有量に比例して向上するが、反対に水に対す
る溶解度(水溶性)は低下するので、pHをアルカリ側に
保持しないと水溶性が得られなくなる。更に水溶液の濃
度依存性および温度依存性も大きくなって不安定にな
り、そのため該水溶液の粘性は濃度および温度の僅かな
変化に依存して高くなって、遂にはゲル化するに至る。
従って鋳物砂に対して効果的な選択吸着性を示し、かつ
pH、濃度および温度に対する依存性の少ないシラノー
ル基の含有量の範囲は、0.05〜5モル%、好ましく
は0.2〜3モル%であることを知見した。
【0007】鋳物砂をSi−PVA水溶液で処理する
と、シラノール基の作用によってSi−PVAは水溶液
中から鋳物砂表面に選択的に吸着される。そしてその乾
燥過程において、鋳物砂との親和性の良好なポリビニル
アルコール(PVA)部分の作用により、Si−PVAは
個々の鋳物砂の表面を被覆する。また1分子中に2個以
上のカルボキシル基を含有する水溶性高分子化合物も、
Si−PVAと同様に水溶液中で鋳物砂に吸着され、そ
の乾燥過程において鋳物砂表面を被覆するに至る。
【0008】先に述べた如く表面処理の施された鋳物砂
を用いて鋳型を製造する場合、Si−PVAだけにより
被覆された鋳物砂を使用するよりも、同時に1分子中に
2個以上のカルボキシル基を有する水溶性高分子にも被
覆された鋳物砂を使用すれば、鋳物砂の結合力が強化さ
れて強度の大きい鋳型が得られるものである。
【0009】ところで前述の表面処理された鋳物砂で鋳
型を製造する場合、該鋳物砂に付与された粘着性によっ
て砂自体の充填性が阻害されるのは好ましくない。従っ
て、Si−PVAおよび1分子中に2個以上のカルボキ
シル基を有する水溶性高分子化合物の添加量は制限され
ることになる。その添加量は、何れも鋳物砂に対して
0.5〜5重量%、好ましくは0.3〜3重量%の範囲で
ある。
【0010】1分子中に2個以上のカルボキシル基を有
する水溶性高分子化合物としては、例えばポリアクリル
酸およびその誘導体、ポリメタアクリル酸およびその誘
導体、マレイン酸の共重合物(例えばスチレン−無水マ
レイン酸共重合物、イソブチレン−無水マレイン酸共重
合物)等が挙げられる。
【0011】Si−PVAで表面処理された鋳物砂を使
用して複雑な形状を呈する鋳型を製作するに際して、そ
の型添い(鋳物砂の充填密度)を良好なものとするために
は、例えば100℃以下の水溶液中でSi−PVAと相
溶性のある多価アルコールを添加するのが効果的であ
る。これは多価アルコールの適量添加によって、可塑効
果が得られるためである。これらの多価アルコールは、
1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する水溶性高
分子化合物のみで処理した鋳物砂も湿潤させ、鋳型製作
時における鋳物砂同士の結合力を増大させることができ
る。
【0012】前述した多価アルコールは、1分子中に2
〜3個の水酸基を有する水溶性の脂肪族多価アルコール
であって、例えばエチレングリコール、ジエチレングリ
コール、トリエチレングリコール、トリメチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、グリセリン等が挙げられる。これらの多価アルコー
ルの添加量は、Si−PVAおよび1分子中に2個以上
のカルボキシル基を有する水溶性高分子化合物の総量に
対して、20〜200重量%、好ましくは50〜150
重量%の範囲である。
【0013】また鋳物砂で鋳型を製造する際に、成形さ
れた鋳型を木型から良好に型離れ(離型)させるために
は、分子量300〜10,000のパラフィンワックス
あるいはポリオレフィンワックスがエマルジョン(乳化
液)として好適に使用される。これらのワックスは、鋳
物砂に対し固形分として0.004〜0.15重量%が鋳
物砂用バインダ水溶液に添加される。しかしそれ以上の
添加は逆効果となり、却って鋳型の強度低下を招くもの
である。
【0014】以上に説明した構成からなる鋳物砂用バイ
ンダは、何れも400℃以下の温度で熱分解するので、
鋳型の強度保持および注湯時の鋳型崩壊阻止を両立させ
ることができる。また熱分解時に発生するガスは水蒸気
および炭酸ガスのみであって、人体に有害なホルマリン
やシアンガス等を生ずることはない。以下に実験例を挙
げて、比較例と対比しながら説明する。
【0015】(実験例1)100メッシュの篩で粒径を揃
えた珪砂に対して、0.5モル%のシラノール基を含有
するポリビニルアルコール((株)クラレの商品名「R−2
105」)の10%水溶液と、イソブチレン−無水マレイ
ン酸共重合物((株)クラレの商品名「イソバン−104」)
の10%水溶液とを添加した。このときの添加量合計
は、珪砂に対し固形分として1重量%とし、夫々添加物
毎の添加量の固形分重量%は第1表の通りとした。
【0016】前記珪砂および2種の添加物の混合物を良
く混合し、90℃の温度下に60分間乾燥処理し、厚さ
3cmで気孔率50%の板状成形物を製作した。この板状
成形物の気孔率、圧縮強さおよび嵩比重について測定し
た。その結果は第1表の通りであって、イソバン−10
4の添加によって成形物の圧縮強さが向上する事実が確
認された。
【0017】
【0018】また、圧縮強さ測定後の板状成形物片を4
00℃の雰囲気に放置し、発生するガスの成分を分析し
たところ、フェノール樹脂およびフラン樹脂等をバイン
ダとして使用した際に発生するホルマリン等の有害ガス
は全く認められなかった。
【0019】(実験例2)100メッシュの篩で粒径を揃
えた珪砂に対して、0.5モル%シラノール基を含有す
るポリビニルアルコール((株)クラレの商品名「R−21
05」)の10%水溶液と、スチレン−無水マレイン酸共
重合物の10%水溶液を添加した。そのときの添加量合
計は、珪砂に対し固形分として2重量%であり、夫々の
添加物毎の添加量は、両者の重量比が50/50(夫々珪
砂に対し固形分として1重量%)となるように設定し
た。更に前述の珪砂および2種の添加物の混合物に、グ
リセリンを珪砂に対し1.5重量%添加した。
【0020】℃の温度下に40分間乾燥処理した。その
乾燥処理物を、圧力10kgf/cm2で圧縮成形して厚さ1
0mmの板状成形物を製作した。また板状成形物の比較物
として、実験例2の処方からグリセリンを使用を除外し
て得られる板状成形物を製作(比較例1)して、夫々の嵩
比重および気孔率を測定した。
【0021】
【0022】第2表に示すように、同一条件での実験例
2の成形物の気孔率は、比較例1の成形物に比べて低く
なっている。従ってグリセリンの添加により、鋳型成型
時の型添いが向上する事が判る。
【0023】(実験例3)100メッシュの篩で粒径を揃
えた珪砂100gに対して、0.5モル%シラノール基
を含有するポリビニルアルコール((株)クラレの商品名
「R−2105」)の10%水溶液を5g、イソブチレン
−無水マレイン酸共重合物((株)クラレの商品名「イソバ
ン−104」)の10%水溶液を5g、グリセリンを1
g、パラフィンワックスエマルジョンを固形分で0.0
3g添加した。
【0024】前述の方法で得られた珪砂と4種の添加物
の混合物を充分良く混合し、前記実験例2の方法に従っ
て板状成形物を製造した。またそれらの比較物として、
実験例3の処方からパラフィンワックスエマルジョンの
使用を除外して得られる板状成形物を製作(比較例2)し
て、その離型後の成形物の表面の状態について目視にて
観察した。その結果、比較例2に比べて実験例3のもの
は型離れ(離型)が良好であり、得られた成形物の表面は
平滑であった。
【0025】
【発明の効果】以上に説明した如く、本発明に係る鋳物
砂用バインダによれば、従来技術に係る鋳物砂用バイン
ダに比べ、作業環境および作業者への悪影響が懸念され
るホルマリン等の揮発性有機化合物を使用する必要がな
いので、鋳型製造時に揮発性有機化合物が作業雰囲気中
に揮発することがなく、また製造後の鋳型へ注湯した際
に、バインダ自体の熱分解によって発生するシアンガス
等の有害ガスを皆無とし得るものである。更に従来の熱
硬化性樹脂を使用する必要がないので、可使用時間に制
限を受けることがなく、鋳型製造時の時間的制約がなく
なるものである。
【手続補正書】
【提出日】平成9年4月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】前述の方法で得られた珪砂と3種の添加物
の混合物を充分良く混合し、85℃の温度下に40分間
乾燥処理した。その乾燥処理物を、圧力10kgf/cm2
圧縮成形して厚さ10mmの板状成形物を製作した。また
板状成形物の比較物として、実験例2の処方からグリセ
リンを使用を除外して得られる板状成形物を製作(比較
例1)して、夫々の嵩比重および気孔率を測定した。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シラノール基0.05〜5モル%を含有
    するポリビニルアルコールおよび1分子中に2個以上の
    カルボキシル基を有する水溶性高分子化合物の混合物
    を、鋳物砂に対して0.2〜5重量%添加するようにし
    たことを特徴とする鋳物砂用バインダ。
  2. 【請求項2】 前記混合物を溶解させた100℃以下の
    水溶液中に、この混合物と相溶する1分子中に2〜3個
    の水酸基を有する多価アルコールを20〜200重量%
    添加してなる請求項1記載の鋳物砂用バインダ。
  3. 【請求項3】 前記混合物を溶解させた水液中に、分子
    量300〜10,000のパラフィンワックスまたはポ
    リオレフィンワックスエマルジョンの固形分を、鋳物砂
    に対し0.004〜0.15重量%添加してなる請求項1
    記載の鋳物砂用バインダ。
  4. 【請求項4】 前記混合物を溶解させた水溶液に対し、
    分子量300〜10,000のパラフィンワックスまた
    はポリオレフィンワックスエマルジョンの固形分を、鋳
    物砂に対し0.004〜0.15重量%添加し、更に10
    0℃以下の該水溶液に対し、前記混合物と相溶する1分
    子中に2〜3個の水酸基を有する多価アルコールを20
    〜200重量%添加してなる請求項1に記載の鋳物砂用
    バインダ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2004041460A1 (ja) * 2002-11-08 2004-05-21 Sintokogio, Ltd. 乾燥骨材混合物、その乾燥骨材混合物を用いた鋳型造型方法及び鋳造用中子
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