JPH10230179A - 竪型ローラミルによるセメントクリンカの粉砕方法および装置 - Google Patents

竪型ローラミルによるセメントクリンカの粉砕方法および装置

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JPH10230179A
JPH10230179A JP9033617A JP3361797A JPH10230179A JP H10230179 A JPH10230179 A JP H10230179A JP 9033617 A JP9033617 A JP 9033617A JP 3361797 A JP3361797 A JP 3361797A JP H10230179 A JPH10230179 A JP H10230179A
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roller mill
vertical roller
crushed
classifier
ground
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Application number
JP9033617A
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English (en)
Inventor
Yoshihiro Mitsuta
芳弘 光田
Seisuke Sawamura
成介 沢村
Hiroshi Ueda
博 植田
Fuminori Ando
文典 安藤
Mitsuaki Murata
光明 村田
Akihiko Takayama
明彦 高山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kawasaki Heavy Industries Ltd
Taiheiyo Cement Corp
Original Assignee
Chichibu Onoda Cement Corp
Kawasaki Heavy Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比粉砕消費電力割合を小さくし、粒度分布を
セメントクリンカ製品の品質向上に適切な値とするこ
と。 【解決手段】 竪型ローラミルのテーブル下方から、粉
砕物を、実質的に全量、取出し、バケットエレベータに
よって、竪型ローラミルの外部に設けてある分級機に輸
送し、この分級機で得られた粗粉を、竪型ローラミルの
テーブル中央部に戻す。ローラのテーブルへの押し付け
力を、ローラのテーブルへの投影面積でみた平均面厚が
10〜15kg/cm2に選び、さらに分級機から竪型
ローラミルに戻す粗粉の循環流量を、竪型ローラミルの
テーブル中央部に装入する被粉砕物の装入流量の100
〜300%に選ぶ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セメントクリンカ
およびセメント原料などの被粉砕物を粉砕して製品とし
て取出す工程を、竪型ローラミルによって行う竪型ロー
ラミルによるセメントクリンカの粉砕方法および装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】セメントクリンカおよびセメント原料な
どの被粉砕物を粉砕して製品とするために用いられる従
来からの竪型ローラミルは、図24に示されている。こ
の竪型ローラミル1は、いわゆるセパレータ内蔵形であ
り、ハウジング2内には、鉛直軸線まわりに回転される
テーブル3が設けられ、モータ4によって回転駆動され
る。テーブル3上には、複数のローラ5が押し付けられ
る。ハウジング2内には、テーブル3およびローラ5の
上方に分級機6が設けられる。原料シュート7から装入
される被粉砕物は、テーブル3とローラ5との間で圧潰
粉砕される。テーブル3の外周面とハウジング2の内周
面との間のノズルである隙間8に下方から空気を導いて
気流9によって被粉砕物を吹き上げる。吹き上げられた
被粉砕物は、分級機6で分級され、細粉を、管路10か
ら製品として気流搬送する。粗粉は矢符11に示される
ように、再度、テーブル3上に戻して粉砕し、循環させ
る。
【0003】図24に示される従来からの分級機6を内
蔵した竪型ローラミルでは、ローラ5のテーブル3への
投影面積で見た平均面圧を、約8kg/cm2 未満に選
ぶ。これによってセメントに適した製品粒度を得、また
電力原単位を良好にしている。
【0004】図24に示される先行技術の竪型ローラミ
ルでは、被粉砕物の循環比(粉砕機会比、すなわち分級
機6からテーブル3上に戻す粗粉の循環流量の原料シュ
ート7から竪型ローラミルに被粉砕物を装入する装入流
量に対する比)は、1000%以上と言われており、粗
粉を直ちにテーブル3上に戻して再粉砕している。
【0005】図24に示される従来からの竪型ローラミ
ルの他の問題は、管路10から得られる製品の粒度分布
が狭いということである。セメントクリンカの粉砕にあ
たっては、その製品の粒度分布が製品品質に重要なウエ
イトを占める。先行技術では、経年変化等によりこの粒
度分布が変化した場合、これを自由にコントロールする
ことが困難である。
【0006】図24の従来からの竪型ローラミルでは、
微粉の生成量の割合が少ないので、得られる製品は、チ
ューブミルで得られる製品に比べて、中間粒子が多い。
したがってロジン・ラムラ(Rosin−Rammler)線図のn
値が大きく、粒度分布の狭い製品となってしまう。粒度
分布の狭いセメント製品は、標準軟度水量を増し、また
コンクリート試験での単位水量を増す結果になり、品質
が低下する。
【0007】図24に示される従来からの竪型ローラミ
ルのさらに他の問題は、エアースエプト、すなわち気流
搬送によるファン動力が非常に大きいということであ
る。ハウジング2内に設けられた分級機6によって、被
粉砕物の分級を行うために、テーブル3とローラ5との
間で粉砕された被粉砕物を、テーブル3の下方から隙間
8を経て導入される大流量の空気によって、吹き上げて
分級機6に気流搬送させる必要がある。したがって図2
4に示される竪型ローラミル内における圧力損失は、非
常に大きく、このためのファン動力、ファン消費電力が
非常に大きなものとなる。
【0008】図24に示される従来からの竪型ローラミ
ルのさらに他の問題は、製品温度が低くなりすぎるとい
うことである。この先行技術は、被粉砕物の気流搬送の
ために必要な空気の全量を、常温の冷風のまま、取入れ
る構造を有する。したがって冷却性能が大きく、被粉砕
物の温度が低下する。被粉砕物には、セメントクリンカ
とともに、石膏が含まれる。この石膏は、温度の低下に
よって、二水石膏のままセメント製品になる。通常、石
膏の結晶水は、粉砕過程で半水石膏または無水石膏とな
ることが好ましい。先行技術では、二水石膏によるセメ
ント偽凝結の問題が発生する可能性がある。この問題を
解決するには、外部から熱風を取込む設備が必要とな
り、またはファンからの排気を循環させる設備が必要と
なる。したがって多大な設備投資が必要となり、設備コ
ストが大きくなる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、設備
を小形化し、製品の粒度分布を従来よりも広くしてセメ
ントに適した粒度分布を得ることができるようにして品
質を向上し、さらにファン動力を低減することができ、
セメント偽凝結の問題を解決することができるようにし
た竪型ローラミルによるセメントクリンカの粉砕方法お
よび装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、竪型ローラミ
ルを備える粉砕装置を準備し、この粉砕装置は、鉛直軸
線のまわりに回転するテーブル上に、複数のローラを周
方向に間隔をあけて配置し、テーブルの中央部に供給さ
れる被粉砕物を、テーブルとローラとの間に噛み込ませ
て圧潰粉砕し、こうして粉砕された被粉砕物を、実質的
に全量、テーブルの下方から取出し、分級機を内蔵しな
い竪型ローラミルと、竪型ローラミルの被粉砕物を分級
してセメント製品を得る分級機と、竪型ローラミルから
取出した被粉砕物の少なくとも一部を、分級機に輸送す
る機械的輸送手段とを含み、竪型ローラミルにおけるロ
ーラのテーブルへの押し付け力を、ローラのテーブルへ
の投影面積でみた平均面圧が10〜15kg/cm2
選んだことを特徴とする竪型ローラミルによるセメント
クリンカの粉砕方法である。
【0011】本発明に従えば、竪型ローラミルで粉砕さ
れた被粉砕物は、実質的に全量、テーブルの下方から取
出して、機械的輸送手段、たとえばバケットエレベー
タ、スクリューコンベア、チエンコンベアなどのように
空気力を用いない機械的構成によって輸送し、その被粉
砕物の少なくとも一部を分級機に導き、この分級機で粗
粉を得て、竪型ローラミルに戻して循環する。分級機
は、竪型ローラミルの外部に設けられる。分級機は、空
気力を用いるいわゆる気流式分級機であってもよいけれ
ども、ふるいなどを用いる構成であってもよく、その他
の構成であってもよい。
【0012】したがって本発明に従えば、前述の先行技
術に比べて、ミルの圧力損失が大幅に低減されるため、
ファンの消費電力を小さくすることができる。
【0013】また、分級機の形式が自由に選択できるた
め、たとえばサイクロン捕集式の分級機を用い、分級手
段およびサイクロンに供給する空気を循環して使用する
ことにより分級するために冷風をあまり取り込む必要が
なくなる。これにより被粉砕物の温度が低くなりすぎる
ことはなく、前述の先行技術に関連して述べた二水石膏
によるセメント偽凝結の問題がなく、また設備が簡素化
される。
【0014】竪型ローラミルのみでファン容量が小さく
なるわけではない。分級機までバケットエレベータによ
り被粉砕物を輸送するため、その圧力損失が減少してフ
ァン動力が減少する。また、分級機の形式が選択できる
ので、粉砕温度の問題も解決される。つまり分級機をサ
イクロン捕集式としてエアを循環して使用して、冷風を
取り込む必要がないため、温度が高く保たれる。製品を
冷却しなくてはならない場合もある。
【0015】特に本発明に従えば、ローラのテーブルへ
の投影面積でみた平均面圧を10〜15kg/cm2
選ぶことが重要である。これによって竪型ローラミルに
おける比粉砕消費電力割合を小さくすることができる。
比粉砕消費電力割合というのは、本発明による竪型ロー
ラミルを駆動するモータの消費電力(kWh/ton)
の被粉砕物単位重量あたりの値であり、被粉砕物の単位
重量は、予め定める基準となる粉砕消費電力と等価であ
る。本発明では、前記平均面圧に粉砕効率が大きく左右
され、この平均面圧を上述の範囲に選ぶことは、重要で
ある。
【0016】前記平均面圧が10kg/cm2 未満で
は、比粉砕消費電力割合が悪化し、消費電力が増大す
る。しかも、ロジン・ラムラ線図のn値が大きくなり、
すなわち分級機から得られる細粉である被粉砕物である
製品の粒度分布が狭くなる。したがって標準軟度水量が
増加するとともに、コンクリート試験での単位水量が増
し、ワーカビリティ(workability)が悪化する。
【0017】前記平均面圧が15kg/cm2 を超える
と、比粉砕消費電力割合が悪化する。すなわち前記平均
面圧を15kg/cm2 を超える値としても、粉砕に寄
与しないエネルギが増えるだけであって、粉砕効率はか
えって低下し、また竪型ローラミルの強度をむやみに大
きくしなければならないので、コスト面から不利であ
る。また前記n値が小さくなり、コンクリート試験での
圧縮強度が低下する。前記平均面圧は、好ましくは11
〜14kg/cm2である。
【0018】もしも、前記平均面圧を、図24に関連し
て前述した分級機内蔵竪型ローラミルにおけるように約
8kg/cm2 未満に選ぶとすれば、テーブルの中央部
に供給される被粉砕物をテーブルとローラとの加圧によ
る一粉砕工程で、必要な粒径にまで粉砕するためには、
実際の粉砕面積を相当小さくしなければならなくなる。
そのためには、テーブル上の被粉砕物の層厚を薄くしな
ければならない。そのようにすると、単位時間で必要な
量の被粉砕物を得るには、構成を大形化しなければなら
なくなり、経済的に不利である。この問題を解決するた
めに、本発明では、このような図24の先行技術とは全
く異なる前記平均面圧を選ぶことによって、比粉砕消費
電力割合を低下し、しかも、セメントの品質を向上する
ことができるようになる。
【0019】また本発明は、竪型ローラミルに戻す被粉
砕物の循環流量は、竪型ローラミルに新たに被粉砕物を
装入する装入流量の100〜300%であることを特徴
とする。
【0020】竪型ローラミルには、分級機からの製品と
しての粉砕物の排出される流量に等しい流量だけ、装入
される。
【0021】本発明に従えば、被粉砕物の循環比(すな
わち本発明における竪型ローラミルに戻す被粉砕物の循
環流量(ton/hour)の竪型ローラミルに新たに
装入する被粉砕物の装入流量(ton/hour)に対
する比)を、上述のように100〜300%に選ぶこと
によって、比粉砕消費電力割合を良好にすることができ
るとともに、前記n値をセメント製品として適切な値に
することができる。循環比が100%未満であるとき、
テーブル上に粉砕層が充分形成できず、振動、騒音が増
大し、粉砕効率が低下し、上述のように比粉砕消費電力
割合が増大する。また前記n値が小さくなりすぎ、すな
わち製品として得られる粉砕物の粒度分布が非常に広く
なりすぎて、コンクリートの圧縮強度が低下する。
【0022】循環比が300%を超える値であるとき、
テーブル上のローラに噛み込まれる前後の粉砕層厚の差
が大きくなる。そのためエネルギロスが増大し、その他
粉砕に有効に寄与しないエネルギ、すなわちローラの転
動抵抗、振動および騒音などが増加し、粉砕効率が低下
し、安定した運転が困難である。また前記n値が大きく
なりすぎ、製品の粒度分布が狭い。
【0023】ローラの前記平均面圧と循環比とは密接な
関係がある。前記平均面圧を10〜15kg/cm2
範囲内で10kg/cm2よりも高くするほど、比粉砕
消費電力割合は低くなり、適切なn値を得るための循環
比が100〜300%の範囲内で低くなる。このこと
は、前記平均面圧を高くしてテーブルとローラとの間の
1回の粉砕作用後の被粉砕物の粒径をより細かいものと
する方が良好な結果が得られ、これに対して平均面圧を
低くし、循環比を高くして何回も粉砕作用を繰返して粉
砕することは、比粉砕消費電力割合が低くなり、悪い結
果が得られるということを意味する。
【0024】また本発明は、各ローラよりもテーブルの
回転方向上流側の直前で、テーブルとローラとの相対速
度が零である位置よりもテーブルの半径方向外方で被粉
砕物がテーブルとローラとの間で摩擦粉砕される摩砕領
域にのみ、液体を添加することを特徴とする。また本発
明は、前記液体は、被粉砕物の0.5〜3%であること
を特徴とする。
【0025】本発明に従えば、摩砕領域にのみ、被粉砕
物のたとえば0.5〜3%の液体を添加し、これによっ
て竪型ローラミルの振動を抑制し、安定な運転を可能に
するとともに、大幅な粉砕効率の改善を図り、さらにセ
メントクリンカを粉砕するための竪型ローラミルの課題
である粒度構成幅の狭さを改善し、製品品質の向上を図
ることができるようになる。
【0026】本発明に従えば、摩砕領域であるローラ幅
の中心近傍からテーブルの半径方向外方の領域のみにお
いて、ローラの噛み込み直前のテーブル上の被粉砕物に
液体を添加し、たとえば噴霧散水することによって、竪
型ローラミルの運転を図24の先行技術に比べて低い循
環比下で安定させ、加えて、粉砕効率の向上と、セメン
ト製品の品質改善を図ることができる。
【0027】摩砕領域では、テーブルとローラ外周面と
の周速度差が大きく、摩擦粉砕が行われる。この摩砕領
域で安定した運転を行うには、テーブルとローラとによ
る被粉砕物の噛み込み状態が常に同一状態に保たれると
ともに、ローラの圧力による粉砕時の圧密原料層が安定
に形成されることが重要である。また高粉砕効率と微粉
生成量の割合の向上とを図って高品質の製品を得るに
は、摩砕領域において、ローラの圧力が効果的に被粉砕
物に充分有効な粉砕圧力として作用することができるこ
とが重要である。このためには、摩砕領域に被粉砕物が
充分な量、存在していなければならない。
【0028】本発明に従えば、竪型ローラミルの被粉砕
物は、実質的に全量、一旦、ミル機外に排出され、竪型
ローラミルの外部に設けられた分級機で分級され、粗粉
は、新たに装入される被粉砕物原料とともに、原料シュ
ートなどによってテーブル中央部に供給される。このテ
ーブル中央部の被粉砕物は、その後、テーブルの回転に
伴う遠心力によって、テーブル上に半径方向外方に拡散
し、ローラで再粉砕される。
【0029】テーブル上のローラが押し付けられる環状
の領域のうち、摩砕領域よりも半径方向内方の圧縮粉砕
領域では、テーブルとローラ外周面との周速度差、すな
わち相対滑りの少ない圧縮粉砕領域が形成される。本発
明に従う竪型ローラミルでは、圧縮粉砕領域と摩砕領域
とにおいて、テーブル上の被粉砕物の量は同一であるの
で、テーブルの半径方向外方になるにつれて、被粉砕物
が拡散するテーブル上の面積が増大し、また粒子拡散速
度が増加することによって、テーブル上の被粉砕物であ
る原料の層の層厚は薄くなる。したがって本発明に従う
竪型ローラミルでは、摩砕領域では原料層が充分な層厚
で形成されず、圧縮粉砕領域にのみ粉砕層が形成されや
すい傾向がある。摩砕領域で原料層が充分な層厚で形成
されないときには、竪型ローラミルには大きな振動が発
生し、非常に不安定な運転となる。特に本発明に従って
循環比を前述のように300%以下に選ぶ構成では、テ
ーブル上の原料の絶対量そのものが、前述の図24の先
行技術に比べて、著しく減少しているので、安定な運転
を続行することは、一層、困難である。
【0030】したがって本発明に従えば、テーブル上の
摩砕領域のみの被粉砕物に、液体を添加する。したがっ
て摩砕領域の被粉砕物の層厚が本発明のように小さい状
態であっても、ローラへの被粉砕物の噛み込み性能を大
幅に改善することができる。したがって摩砕領域に被粉
砕物を充分圧密させ、すなわちテーブルとローラとの間
で被粉砕物を押し付けることができ、ローラの粉砕圧力
を効果的に粉砕力として働かせることができる。この結
果、循環比300%以下の運転であっても、竪型ローラ
ミルの振動を効果的に抑制し、安定した運転を続行する
ことができる。
【0031】さらに本発明によれば、摩砕領域で充分な
粉砕圧力のもとで摩擦粉砕することができるので、微粉
生成能力が著しく向上する。これによってセメント製品
の品質上望ましい粒度構成が得られ、本発明が適用され
る粉砕システムの効果を充分に発揮させることが可能と
なる。
【0032】本件発明者の実験によれば、圧縮粉砕領域
にのみ、液体を添加すると、その液体で固まった被粉砕
物が、ローラの外周面に不安定に付着などして、大きな
振動が生じてしまう。また本件発明者の実験によれば、
摩砕領域だけでなく粉砕領域にも、液体を添加すると、
同様に大きな振動が生じてしまう。さらにまた本件発明
者の実験によれば、竪型ローラミルにおけるテーブル中
央部に装入される被粉砕物に液体を予め添加したときに
も、大きな振動が生じてしまう。
【0033】本発明の考え方によれば、液体は、摩砕領
域のみに供給され、これによって初めて、振動が低減さ
れることが判った。しかもローラ噛み込み直前に、液体
を添加し、これによって原料保有熱によって、添加した
液体がローラに噛み込まれる前に蒸発消失しないように
する。
【0034】液体は、被粉砕物の0.5〜3%に選ばれ
る。液体が3%を超えると、セメントクリンカの化学反
応が生じ、偽凝結が生じるおそれがある。液体が0.5
%未満では、振動防止の効果はない。この液体は、好ま
しくは被粉砕物の約1〜2%に選ばれる。
【0035】液体は、たとえば水だけであってもよいけ
れども、水とジエチレングリコールなどの粉砕助剤との
混合物であってもよい。ジエチレングリコールは、水の
1/100〜1/10の重量比で混合される。
【0036】図24に示される先行技術の竪型ローラミ
ルでは、振動を防止するために、原料シュート7に装入
される被粉砕物に、液体を添加する(たとえば特開昭6
3−159241、特公平7−64603)。この図2
4の先行技術では、ローラ5で粉砕された粉砕物は、テ
ーブル3の下方の風箱から、テーブル3の外周面とハウ
ジング2の内周面との間の隙間8から高速度で吹き出さ
れる気流に乗り、上方の分級機6にまで運ばれ、この分
級機6で細粉である製品と粗粉とに分級される。細粉は
管路10から機外に気流搬送されて製品となる。粗粉
は、テーブル3の中心部に再び戻され、ローラ5で再粉
砕される。
【0037】テーブル3上で、テーブル外周部から飛散
する被粉砕物は、すべて分級機6まで運ばれるわけでは
ない。前記隙間8では、気流速度は、たとえば30m/
s以上となっているけれども、その隙間8の上方近傍で
は、数m/sまで低下する。したがって隙間8における
高速度の気流で吹き上げられた被粉砕物は、その直後の
低速度の気流によって、搬送不可能な粗粒は、分級機6
まで気流搬送されることなく、順次、テーブル3上に落
下し、ローラ5によって再粉砕される。
【0038】したがって図24の先行技術では、粗粒
は、テーブル3の中央部よりもテーブル3の外周部付近
に気流で吹き戻されて、多く落下して存在している。す
なわち被粉砕物は、圧縮粉砕領域に比べて、摩砕領域
に、より多く落下して存在している。したがっておのず
と、テーブル3上で摩砕領域に存在する原料量は、圧縮
粉砕領域の原料量よりも多い。したがって摩砕領域で
は、圧縮粉砕領域に比べて、充分な量の原料がテーブル
3とローラ5との間に噛み込まれることになる。したが
って先行技術では、原料シュート7に供給される被粉砕
物に液体を予め添加することによって、竪型ローラミル
の振動を効果的に抑制することができる。
【0039】ところが本発明では、前述のように本発明
における竪型ローラミルでは摩砕領域の被粉砕物の層厚
は、循環比が先行技術に比べて小さいこと、および圧縮
粉砕領域と摩砕領域とにそれぞれ存在する原料量が等し
いことに起因して、先行技術に比べて著しく薄い。した
がって原料シュート7に供給される被粉砕物に液体を予
め添加するという先行技術を、そのまま本発明に適用し
ても、本発明における竪型ローラミルの振動を抑制する
ことはできない。本発明はこの問題を、上述のように解
決する。
【0040】また本発明は、鉛直軸線のまわりに回転す
るテーブル上に、複数のローラを周方向に間隔をあけて
配置し、テーブルの中央部に供給される被粉砕物を、テ
ーブルとローラとの間に噛み込ませて圧潰粉砕し、こう
して粉砕された被粉砕物を、実質的に全量、テーブルの
下方から取出し、ローラのテーブルへの押し付け力を、
ローラのテーブルへの投影面積でみた平均面圧が10〜
15kg/cm2 に選ばれ、分級機を内蔵しない竪型ロ
ーラミルと、竪型ローラミルの被粉砕物を分級してセメ
ント製品を得る分級機と、竪型ローラミルから取出した
被粉砕物の少なくとも一部を、分級機に輸送する機械的
輸送手段とを含むことを特徴とする竪型ローラミルによ
るセメントクリンカの粉砕装置である。また本発明は、
竪型ローラミルに戻す被粉砕物の循環流量は、竪型ロー
ラミルに新たに被粉砕物を装入する装入流量の100〜
300%であることを特徴とする。また本発明は、テー
ブルの回転方向上流側で各ローラの直前に配置され、テ
ーブルとローラとの相対速度が零である位置よりもテー
ブルの半径方向外方で被粉砕物がテーブルとローラとの
間で摩擦粉砕される摩砕領域にのみ、被粉砕物の0.5
〜3%の液体を噴射するノズルを含むことを特徴とす
る。
【0041】本発明に従えば、設備を小形化し、セメン
トクリンカの品質を向上することができ、さらにファン
動力を低減することができ、さらに二水石膏によるセメ
ント偽凝結の問題の発生を防ぐことができ、これによっ
て設備をさらに簡素化することができ、このことは前述
と同様である。
【0042】また本発明は、ノズルは、前記液体を、テ
ーブルの半径方向に延びる偏平な形状で噴射するノズル
孔を有することを特徴とする。
【0043】さらに本発明に従えば、ノズル孔から噴射
される液体は、テーブルの半径方向に延びる偏平な言わ
ば扇形の形状であり、したがってできるだけ少ない数の
ノズルを用いて、摩砕領域に均一に液体を散布して添加
することができる。
【0044】また本発明は、機械的輸送手段は、竪型ロ
ーラミルから取出した被粉砕物の全量を分級機に輸送す
ることを特徴とする。また本発明は、機械的輸送手段に
よって輸送された被粉砕物の一部を分級機に輸送し、残
余の被粉砕物を竪型ローラミルに直接に輸送して戻す分
配手段をさらに含むことを特徴とする。
【0045】本発明に従えば、請求項9のように、竪型
ローラミルから取出した被粉砕物の全量を分級機に輸送
してもよいけれども、そのほかに特に請求項10のよう
に、竪型ローラミルから取出された被粉砕物の一部を機
械的輸送手段によって分級機に輸送して粗粉を得るとと
もに、その竪型ローラミルから取出した被粉砕物の残余
とともに、前記粗粉とともに竪型ローラミルに再び戻す
ようにしてもよい。この請求項10の構成によって分級
機から得られる細粉である製品中には、粒径が比較的小
さい微粉が含まれることになり、製品の粒度分布を広げ
ることができ、セメントの品質向上に役立つ。
【0046】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態の
全体の構成を示すブロック図である。セメントクリンカ
の粉砕装置は、基本的には、竪型ローラミル11と、分
級された粗粉を竪型ローラミル11に戻して循環する分
級機37と、竪型ローラミル11から取出した被粉砕物
を、分級機37に輸送する機械的輸送手段であるバケッ
トエレベータ38とを含む。分級機37で分級された細
粉は、管路39を経て気流搬送され、バグフィルタ40
で捕集され、製品となる。バグフィルタ40には、誘引
ファン41が接続される。分級機37で分級して得られ
た粗粉は、管路46を介して、管路47の被粉砕物とと
もに、原料シュート27から竪型ローラミル11に戻さ
れて循環される。
【0047】図2は、図1に示される竪型ローラミル1
1の簡略化した縦断面図である。この竪型ローラミル1
1は、ほぼ直円筒状のハウジング12を有する。ハウジ
ング12内には、鉛直軸線33を有するテーブル13が
配置される。テーブル13は、その下方に設けられた減
速機14を介してモータ15によって回転駆動される。
【0048】テーブル13上には、周方向に間隔をあけ
て複数のローラ16が、粉砕作用軌道径Dφ上に配置さ
れる。ローラ16は、テーブル13の半径方向に延びる
回転軸線を有し、アーム17に枢支される。アーム17
は、水平軸線を有する支持部18によって固定位置に設
けられた支柱19に取付けられる。ローラ16およびア
ーム17は、支軸18のまわりに仮想線20で示すよう
に退避して保守点検などを行うことができる。
【0049】アーム17は、加圧装置を構成する油圧シ
リンダ21のピストン棒22に、ピン23を介して連結
される。シリンダ21は、クレビスピン24によって、
固定位置に取付けられたブラケット26に連結される。
シリンダ21のピストン棒22を縮小することによっ
て、ローラ16をテーブル13上に押し付けて圧接する
ことができる。
【0050】ハウジング12内でテーブル13の鉛直軸
線に一致する軸線を有する原料シュート27が設けられ
る。この原料シュート27内には、セメントクリンカお
よびセメント原料などの被粉砕物が、矢符28のように
装入される。シュート27の下部からは、被粉砕物がテ
ーブル13の中央部に落下して供給される。
【0051】テーブル13の中央部に供給された被粉砕
物は、テーブル13の粉砕作用軌道径Dφ上に配置され
たローラ16との間に噛み込まれて粉砕軌道の圧潰粉砕
領域Zで圧潰粉砕される。
【0052】粉砕された被粉砕物は、実質的に全量、テ
ーブル13の半径方向外方に移動し、テーブル13の外
周面とハウジング12の内周面との隙間を経て、そのテ
ーブル13の下方に設けられた無端環状の受台29上に
落下する。受台29上の粉砕された被粉砕物は、テーブ
ル13に固定されたスクレーパ30によって周方向に移
動され、受台29の排出孔31から、出口シュート32
を経て取出される。出口シュート32からの被粉砕物
は、管路42を経てバケットエレベータ38に導かれ
る。バケットエレベータ38によって上昇された被粉砕
物は、管路43から分級機37に供給される。
【0053】竪型ローラミル11のハウジング12の上
部には、管路44が接続され、分級機37に接続され、
発塵が防止される。
【0054】図3は、竪型ローラミル11のローラ16
上方から見た簡略化した水平断面図である。ローラ16
は、この実施の形態では、周方向に等間隔をあけて合計
3個、配置される。テーブル13の回転方向は矢符45
で示される。
【0055】図4は、テーブル13上の被粉砕物である
原料層48がローラ16によって圧潰粉砕される状態を
示す周方向に展開した簡略化した側面図である。ローラ
16には、矢符49で示されるように、油圧シリンダ2
1によって押し付け力が作用する。分級機47から竪型
ローラミル11に供給される粗粉の流量が大きく、した
がって循環比が高い状態は、図4(1)に示されてお
り、その本発明に従って粗粉の流量が小さく、循環比が
低い状態は、図4(2)に示されている。テーブル13
の矢符45の回転によって、ローラ16は矢符50で示
されるように回転される。図4(1)に示されるように
循環比が高いとき、原料層48の層厚d1は大きく、こ
れに比べて圧潰粉砕後の層厚d2は小さく、その差(=
d1−d2)が大きい。
【0056】これに対して循環比が小さい図4(2)の
状態では、粉砕されるべき原料層48の層厚d3は、前
述の層厚d1未満であり(d3<d1)、その圧潰粉砕
後の層厚d4との差(=d3−d4)は小さい。また図
4(1)の状態では、ローラ16によって原料層48に
作用する押し付け力がその原料層48に有効に作用し、
最大値Pmax1は、図4(2)の循環比が小さい状態
における押し付け力の最大値Pmax2未満である(P
max1<Pmax2)。したがって図4(1)のよう
に循環比が高い状態では、エネルギロスが増大し、その
他粉砕に有効に寄与しないエネルギ、すなわちローラ1
6の転動抵抗、振動および騒音などが増加し、粉砕効率
が低下する。このことから、ローラ16の平均面圧を低
くして循環比を高くし、被粉砕物を何回も繰返して圧潰
粉砕することは、比粉砕消費電力割合が高くなり、悪い
結果が得られる。したがって本発明では、図4(2)の
ように、ローラ16の平均面圧を高くして1回の粉砕作
用後の粒径をより細かいものとする。
【0057】図5はローラ16の側面図であり、図6は
ローラ16の正面図であり、図7はそのローラ16の平
面図である。ローラ16の回転軸線は参照符34で示さ
れる。このローラ16の回転軸線34に平行な平面35
への投影面積をSとするとき、投影面積Sは、ローラ1
6の回転軸線24に平行な投影面35上におけるローラ
16の幅をaとし、直径をbとするとき、ほぼ、S=a
・bである。投影面積Sでみたローラ16によるテーブ
ル13への押し付け力の平均面圧は、本発明に従えば、
10〜15kg/cm2に選ばれる。
【0058】図8は、本件発明者の実験結果を示すグラ
フである。図1〜図7の構成において、原料シュート2
7から装入される被粉砕物は、セメントクリンカであ
り、被粉砕性を表すワークインデックス(work i
ndex)Wiは、14〜16kW・h/tonであ
り、テーブル13およびローラ16はハイクロム鋳鉄製
であり、ローラ16の幅a=340mm、直径b=90
0mmφであり、テーブル13の粉砕作用軌道径Dφ=
1300mmであり、テーブル13の回転速度45.4
rpmであり、原料シュート27に新たに装入される被
粉砕物であるクリンカの粒度は、80%パス粒径25m
mである。
【0059】この図8の実験結果から、ローラ16の投
影面積でみた平均面圧が10〜15kg/cm2の範囲
では、モータ15の比粉砕消費電力割合が比較的小さ
く、好ましいことが判る。平均面圧が10kg/cm2
未満では、比粉砕消費電力割合が大きく、また同様に1
5kg/cm2を越えると、比粉砕消費電力割合が大き
くなる。この比粉砕消費電力割合が小さい平均面圧の好
ましい範囲は、11〜14kg/cm2であり、さらに
好ましくは平均面圧が11.3〜13.3kg/cm2
であり、最も好ましくは平均面圧が12.2kg/cm
2である。
【0060】なお図24に関連して前述した先行技術の
竪型ローラミルにおいて設定される平均面圧8kg/c
2以下の範囲では、本発明の構成においては、比粉砕
消費電力割合が著しく悪化していることが判る。
【0061】図9は、本件発明者の他の実験結果を示す
グラフである。この図9では、ローラ16のテーブル1
3への投影面積でみた平均面圧と、ロジン・ラムラ線図
のn値との関係を示す。平均面圧が高いほど、n値は小
さく、すなわち製品粒度が広くなり、セメント製品とし
て良好な結果が得られることが判る。平均面圧を15k
g/cm2を越える値に設定しても、粉砕に寄与しない
エネルギが増えるのみで、粉砕効率は、前述の図8に関
連して述べたようにかえって低下するのであまり効果が
ない。またこの平均面圧を15kg/cm2を越える値
に選ぶと、竪型ローラミル11の強度をむやみに大きく
しなければならないので、コスト面で不利である。
【0062】図10は本件発明者の実験結果を示すロジ
ン・ラムラ線図のn値とコンクリート強度との関係を示
すグラフである。n値は、約1.2に選ばれることが、
コンクリート強度を大きくするために好ましく、n値
は、約1.1〜1.3の範囲に定められる。
【0063】図11は、本件発明者の実験結果を示すグ
ラフである。ロジン・ラムラ線図のn値とコンクリート
試験での単位水量との関係を示すグラフである。n値
を、前述のように約1.1〜1.3の範囲に定めること
によって、単位水量は小さく、好ましいことが判る。
【0064】したがって図10および図11から、n値
は、約1.1〜1.3の範囲に選ばれることが必要であ
り、このためには、前述の図9に示されるように、平均
面圧は、10〜15kg/cm2の範囲に、本発明によ
って選ばれる。
【0065】図12は、本件発明者の実験による比粉砕
原料の循環比と比粉砕消費電力割合との関係を示すグラ
フである。ライン53は、前記平均面圧を10〜15k
g/cm2の範囲に定めたときの特性を示す。ライン5
4は、前記平均面圧を7.8〜10.5kg/cm2
範囲に定めたときの特性を示す。この実験結果から、循
環比を100〜300%に選ぶことによって、比粉砕消
費電力割合を小さくすることができることが判る。
【0066】また図12から判るように、前記平均面圧
と循環比とは密接な関係がある。平均面圧を、10〜1
5kg/cm2の範囲に選ぶことによって、低い循環比
で、比粉砕消費電力割合を低くすることができる。なお
循環比が300%を越えると、振動が大きくなり、安定
した運転が困難であった。
【0067】この図12に示される実験結果から、平均
面圧を高くしてテーブルとローラとの間の1回の粉砕作
用後の被粉砕物の粒径をより細かいものとする方が良好
な結果が得られ、これに対して平均面圧を低くし、循環
比を高くして何回も粉砕作用を繰返して粉砕すること
は、比粉砕消費電力が低くなり、悪い結果が得られるこ
とが判る。
【0068】図13は、本件発明者の実験結果を示し、
循環比とロジン・ラムラ線図のn値との関係を示すグラ
フである。図13におけるライン55は、前記平均面圧
10〜15kg/cm2 であるときの特性を示し、ライ
ン56は平均面圧8〜10.5kg/cm2 であるとき
の特性を示す。循環比を、小さくすることによって、n
値を小さくし、すなわち製品粒度を広くすることがで
き、セメント製品として品質が向上することが判る。前
述の図24に関連して述べた先行技術における平均面圧
8kg/cm2 を、もしも仮に、本発明に適用すれば、
特性56が得られ、n値が大きく、粒度分布が狭くな
り、セメント製品品質が低下してしまう。
【0069】本発明に従えば、振動を抑制して安定な運
転を可能にするとともに、大幅な粉砕効率の改善を図
り、さらにセメント製品の粒度構成幅の狭さを改善して
製品品質の向上を図るために、図3に示されるように、
各ローラ16よりもテーブル13の回転方向45上流側
の直前に、液体を噴霧散布するためのノズル59がそれ
ぞれ設けられる。このノズル59によって、液体を後述
のように摩砕領域Z2にのみ供給する。
【0070】図14はノズル59の側面図であり、図1
5はそのノズル59の縦断面図であり、図16はノズル
59の斜視図である。このノズル59は、テーパネジ6
0と、スパナ掛合部61とを有し、その下部62には、
ノズル孔63が形成される。ノズル59のテーパネジ6
0は、テーブル13の半径方向に延びるヘッダ81に結
合され、液体が圧送される。ノズル59は、ヘッダ81
に複数個設けられてもよい。下部62の外形は直円筒状
であり、軸線66に垂直に延びて下方に拡がった逆V字
状のノズル孔63が形成される。このノズル孔63は、
ノズル59内に形成されたほぼ直円筒状の液体供給空間
64に連通する。この空間64の下部には、下方になる
につれて小さい内径に形成された湾曲部65が形成され
る。
【0071】ノズル59は、その軸線66を含む対称面
に関して、図15の左右に対称に構成される。この対称
面は、ローラ16の回転軸線24を含む鉛直面に平行で
あり、テーブル13の鉛直回転軸線を含む半径方向に延
びる鉛直面と一致し、または平行である。
【0072】図17はノズル59から液体67が噴射さ
れている状態を示す斜視図である。このノズル59から
噴射される液体67は、ノズル孔63から偏平な形状で
噴射され、扇状に形成される。この偏平に噴射される液
体67が形成する平面は、テーブル13のほぼ半径方向
に延び、前述の対称面に一致し、ローラ16の回転軸線
34を含む鉛直面と一致し、または平行である。この形
式のノズル59を用いることにより、少量の散水量で大
きな効果を得ることができる。
【0073】図18(1)は、竪型ローラミル11にお
けるテーブル13と、テーブル13の鉛直回転軸線を含
む鉛直面内の縦断面図である。ローラ16の外周面70
は、接触中心線71上の位置を中心とする円弧面となっ
ている。接触中心線71は、ローラ16の回転軸線34
に垂直であり、そのローラ16の軸線方向両端面から等
距離を有する中央位置にある。
【0074】テーブル13には、ローラ16の外周面7
0に対応して円弧状にくぼんだ表面72が形成される。
ローラ16の外周面70とテーブル13の表面72との
間の距離Δdは、テーブル13の半径方向外方になるに
つれて小さくなるように、表面72が、テーブル13の
回転軸線まわりに環状に形成される。この表面72の半
径方向外方の端部には、ダムリングと呼ばれる環状突起
73が形成される。環状突起73の半径方向内方の端部
74は、表面72側に、すなわちテーブル13の半径方
向内方に突出し、いわゆるオーバハング形状となってい
る。
【0075】ローラ16の外周面70とテーブル13の
表面72とによって、被粉砕物は圧潰粉砕領域Zが形成
される。この領域Zは、圧縮粉砕領域Z1と、その圧縮
粉砕領域Z1よりも半径方向外方の摩砕領域Z2とから
成る。
【0076】図18(2)は、テーブル13とローラ1
6との粉砕動作を説明する図である。ライン75は、ロ
ーラ16の外周面70のテーブル13半径方向に沿う回
転軸線34まわりの周速度を示し、テーブル13の半径
方向に沿って上に凸となるように変化する。ライン76
は、テーブル13の半径方向に沿う回転速度の分布を示
し、一直線状である。同期点77は、ライン75,76
の交点であって、テーブル16の外周面70とテーブル
13の表面72との相対速度が零である位置である。同
期点77よりも半径方向内方では、斜線78で示される
ようにテーブル13の表面72とローラ16の外周面7
0との周速度差が小さく、相対滑りが少なく、被粉砕物
は、主として圧縮粉砕が行われる。
【0077】同期点77よりもテーブル13の半径方向
外方では、斜線79で示されるように、周速度差が圧縮
粉砕領域Z1におけるよりも大きく、ここでは被粉砕物
は主として摩擦粉砕が行われる。本発明の考え方に従え
ば、ノズル59からの液体67は、摩砕領域Z2におけ
る散布域80のみに、噴射される。
【0078】本発明の竪型ローラミル11では、粉砕さ
れた被粉砕物の実質的に全量が、テーブル13の外周面
82とハウジング12の内周面との間の隙間から下方
に、前述のように取出されるので、圧縮粉砕領域Z1と
摩砕領域Z2とにおいて、テーブル13上の被粉砕物の
量は同一である。したがって圧縮粉砕領域Z1よりも半
径方向外方にある摩砕領域Z2では、テーブル13上の
被粉砕物である原料の層の層厚は薄くなる。これによっ
て竪型ローラミル11には大きな振動が発生し、非常に
不安定な運転となる。この問題を解決するためにノズル
59から液体を、添加し、これによって層厚が薄い摩砕
領域Z2における被粉砕物を、テーブル13とローラ1
6との間で確実に押し付け、ローラ16の粉砕圧力を効
果的に粉砕力として働かせることができるようになる。
したがって竪型ローラミル11の振動を効果的に抑制
し、安定した運転を続行することができる。しかも摩砕
領域Z2で充分な粉砕圧力のもとで摩擦粉砕することが
できるので、微粉生成能力が著しく向上し、セメント製
品の品質上望ましい粒度構成が得られる。
【0079】本件発明者の実験によれば、圧縮粉砕領域
Z1に液体を添加すると、大きな振動が生じてしまっ
た。また竪型ローラミル11におけるテーブル13中央
部に装入される被粉砕物に液体を予め添加したときに
も、大きな振動が生じてしまうことが判った。したがっ
て液体は、摩砕領域Z2のみに供給される。
【0080】液体は、被粉砕物の0.5〜3%に選ばれ
る。液体が3%を超えると、セメントクリンカの化学反
応が生じ、偽凝結のおそれが生じる。液体が0.5%未
満では、振動防止の効果はない。この液体は、好ましく
は被粉砕物の約1〜2%に選ばれる。
【0081】液体は、たとえば水だけであってもよいけ
れども、水とジエチレングリコールなどの粉砕助剤との
混合物であってもよい。ジエチレングリコールは、水の
1/100〜1/10の重量比で混合される。
【0082】本件発明者の実験によれば、図1〜図18
に示される実施の一形態において、液体を添加しないと
きには、竪型ローラミル11のテーブル13の振動振幅
は30〜50μmであったけれども、本発明に従って被
粉砕物の1〜2%の液体の添加を行ったところ、振動振
幅は15〜30μmに大幅に小さくなり、非常に安定し
た運転が可能となり、しかも電力原単位が液体を添加し
ないときに比べて約15%向上し、大幅な粉砕効率の向
上を図ることができることが確認された。
【0083】また前述の図8〜図13に示される実験結
果は、液体を添加しないときだけでなく、液体を本発明
に従って添加したときにもほぼ同一結果が得られること
が確認された。
【0084】図19は、本件発明者の実験結果を示すロ
ジン・ラムラ線図を示す。液体を散布したとき、ライン
84の特性が得られ、液体を散布しないときライン85
の特性が得られた。図19の横軸はセメント製品の粒径
Dpである。縦軸は、R(Dp)を、粒径Dpよりも大
きい粒子、すなわち積算オーバサイズ出量、すなわち残
留量(%)とするとき、log{log(100/R
(Dp))}である。通過量は、log{log(10
0−R(Dp))}で表される。図19におけるロジン
・ラムラ線図における傾きtanθは、前記n値であ
る。
【0085】液体を用いない運転では、ライン85で示
されるように、n値=1.33であって大きく、したが
って粒度構成の幅が狭い製品が得られたけれども、液体
を添加することによって、n値=1.16になり、大幅
に粒度構成範囲が広い製品を得ることができた。この粒
度構成範囲の広い良好な製品は、従来から用いられてい
るチューブミルから得られる製品のn値1.1〜1.2
に近似していて好ましい。
【0086】図20は、本発明の実施の他の形態の全体
の構成を示す系統図である。この実施の形態では、バケ
ットエレベータ38によって輸送されたセメントクリン
カである被粉砕物を、分配手段87によって、一部を管
路43から分級機37に供給するとともに、残余の被粉
砕物を、管路88に導く。分級機37から管路46に得
られる粗粉と、管路88からの被粉砕物とを、管路89
から、新たな被粉砕物とともに、本発明の竪型ローラミ
ル11の原料シュート27に装入する。この構成によれ
ば、分級機37から、したがってバグフィルタ40から
得られる細粉である製品中には、粒径が比較的小さい微
粉が含まれることになり、製品の粒度分布をひろげるこ
とができ、セメント製品の品質向上に役立つ。
【0087】分配手段87によって管路88に分配する
被粉砕物の流量は、管路43を経て分級機37に送る被
粉砕物の流量の約30%であってもよい。分配手段87
は、バケットエレベータ38から排出される被粉砕物を
導く管路90が、2つの管路43,88に分岐され、そ
の分岐位置に、水平な揺動軸線を有するダンパ91が設
けられ、このダンパ91の角度を変化して調整する構成
であってもよい。こうして製品の粒度分布を、より幅広
く自由にコントロール可能とすることができる。
【0088】図21は分級機37の断面図であり、図2
2は図21の切断面線XXII−XXIIから見た断面
図である。ハウジング93の上部には、外筒94が連結
され、その内部に中空円錐台状のシュート95が設けら
れる。管路44を介する竪型ローラミル11から抽気さ
れた空気は、外部から取込まれる空気とともに、外筒9
4内に導かれる。この外筒94の上部には、管路39が
接続される。ハウジング93の下部には、粗粉を竪型ロ
ーラミル11に導く管路46が接続される。シュート9
5の下方には、分散板96が設けられる。この分散板9
6には、羽根部材97が周方向に等間隔に固定される。
【0089】図23は、図21の分散板96および羽根
部材97を示す水平断面図である。分散板96には、鉛
直回転軸98の下端部が固定される。この駆動軸98は
モータ99によって回転駆動される。
【0090】管路44からの被粉砕物および空気は、外
筒94内に、下方から導かれる。被粉砕物は、分散板9
6および羽根部材97によって気流とともに旋回されて
飛散され、その遠心力および慣性によって分級され、粗
粉は、ハウジング93の下方から管路46に導かれる。
細粉は、気流によって浮遊し、管路39からバグフィル
タ40に気流搬送されて捕集され、製品となる。
【0091】バグフィルタ40の代りにサイクロンなど
であってもよい。
【0092】他の分級機37aとして、サイクロン、フ
ァンで気流が循環している構成としてもよい。これによ
って、前述の図24に関連して説明した先行技術におけ
る大流量の冷風を必要とすることはなく、しかも被粉砕
物の温度が低下しすぎるおそれがなく、二水石膏のまま
セメント製品になるおそれはなく、セメントの品質を向
上することができる。
【0093】本発明は、上述の実施の各形態に関連して
実施されるだけでなく、その他の構成に関連してもま
た、本発明を実施することができる。
【0094】
【発明の効果】請求項1の本発明によれば、竪型ローラ
ミルの振動を防止し、比粉砕消費電力割合を小さくして
良好な結果を得ることができ、粉砕効率を向上し、最適
な運転状態を安定して維持することができる。
【0095】さらに本発明によれば、セメントの製品品
質を向上することができる。すなわちロジン・ラムラ線
図のn値を、1.15〜1.3の範囲に保ち、好ましく
はn=1.2程度の値に保つことができ、これによって
標準軟度水量を小さくし、コンクリート試験での単位水
量を小さくしてワーカビリティを増すことができるよう
になり、さらにコンクリートの圧縮強度を向上すること
ができるセメントクリンカを生産することができる。
【0096】また本発明によれば、竪型ローラミルのテ
ーブル下方から被粉砕物を取出し、機械的輸送手段によ
って分級機に輸送するようにしたので、ファン動力を小
さくすることができる。
【0097】分級機の形式によっては、サイクロン、フ
ァンで気流が循環する構成とすることによって、大流量
の空気を必要としないので、被粉砕物の温度が低くなる
ことがない。これによって石膏水分によるセメント偽凝
結の問題が生じることはなく、しかも前述の先行技術に
関連して述べたように熱風を取入れる設備および大流量
の排気ファンの排気を循環させる設備などが不要とな
り、設備が簡素化、小形化される。
【0098】請求項2の本発明によれば、循環比が前述
の先行技術に比べて著しく小さく、これによって比粉砕
消費電力割合が低くなり、粉砕効率が向上される。また
このように循環比を小さくしても、竪型ローラミルの振
動を抑制することができ、安定した運転を続行すること
ができ、このことによってもまた、粉砕効率を向上する
ことができる。
【0099】さらに本発明によれば上述のように循環比
を従来技術に比べて小さくすることによって、前記n値
を小さくし、セメントクリンカの製品品質を向上するこ
とができるようになる。
【0100】請求項3の本発明によれば、摩砕領域にの
み、液体を添加することによって、安定した運転を可能
とするとともに、大幅な粉砕効率の改善を図り、さらに
前述の図24の先行技術における竪型ローラミルにおけ
る課題である粒度構成幅の狭さを、本発明では改善し、
製品品質の向上を図ることができるようになる。すなわ
ち循環比が先行技術に比べて小さいけれども、竪型ロー
ラミルの振動を効果的に抑制し、安定運転が可能になる
とともに、摩砕領域での充分な粉砕圧力のもとで摩擦粉
砕が行われるので、微粉生成能力が著しく向上し、上述
のようにセメントクリンカの製品品質上望ましい粒度構
成が得られるのである。
【0101】請求項4の本発明によれば、セメントクリ
ンカの固化する化学反応を防ぎ、しかも竪型ローラミル
の振動を効果的に防止することができる。
【0102】請求項5〜7の本発明によれば、上述のよ
うに、設備を小形化し、セメントクリンカの製品品質の
向上を図り、ファン動力を低減し、石膏水分によるセメ
ント偽凝結の問題が生じることを防ぐことができる。
【0103】請求項8の本発明によれば、摩砕領域のみ
の被粉砕物に、均一に液体を散布することができる。し
たがって竪型ローラミルの振動を確実に防ぎ、しかも粉
砕効率の改善を確実に図ることができるようになる。
【0104】請求項9の本発明によれば、竪型ローラミ
ルから取出した被粉砕物の全量を分級機に輸送して、そ
の分級機で分級された粗粉を竪型ローラミルに戻し、こ
れによってセメントに適した粒度構成を有する製品を得
ることができる。
【0105】請求項10の本発明によれば、竪型ローラ
ミルから取出した被粉砕物の一部だけを分級機に輸送
し、ここで得られた粗粉を、竪型ローラミルからの残余
の被粉砕物とともに、さらに新たな被粉砕物とともに、
竪型ローラミルに、分配手段によって戻す。この構成に
よれば、竪型ローラミルから取出される被粉砕物に含ま
れる細粉もまた、竪型ローラミルに戻される。こうして
分配手段によって分級機および直接に竪型ローラミルに
輸送する被粉砕物の流量を制御することによって、製品
中の微粉の混合割合を任意に調整することができ、セメ
ントとして好適する粒度構成を有する製品を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の全体の構成を示す系統
図である。
【図2】竪型ローラミル11の構成を示す縦断面図であ
る。
【図3】竪型ローラミル11のテーブル13およびロー
ラ16を示す水平断面図である。
【図4】テーブル13上の被粉砕物48をローラ16の
働きによって圧潰粉砕する状態を示す簡略化した断面図
である。
【図5】ローラ16をその回転軸線34に平行なテーブ
ル13上の面35に投影したときの状態を示す正面図で
ある。
【図6】ローラ16を面35に投影したときの状態を示
す側面図である。
【図7】ローラ16を面35に投影したときの状態を示
す平面図である。
【図8】本件発明者の実験結果を示すローラ16の平均
面圧と比粉砕消費電力割合との関係を示すグラフであ
る。
【図9】本件発明者の実験結果によるローラ16の平均
面圧とロジン・ラムラ線図のn値との関係を示すグラフ
である。
【図10】本件発明者の実験結果によるロジン・ラムラ
線図のn値とコンクリート強度との関係を示すグラフで
ある。
【図11】本件発明者の実験によるロジン・ラムラ線図
のn値とコンクリート試験での単位水量との関係を示す
グラフである。
【図12】本件発明者の実験による被粉砕物の循環比と
比粉砕消費電力割合との関係を示すグラフである。
【図13】本件発明者の実験による被粉砕物の循環比と
ロジン・ラムラ線図のn値との関係を示すグラフであ
る。
【図14】ノズル59の側面図である。
【図15】ノズル59の断面図である。
【図16】ノズル59の斜視図である。
【図17】ノズル59によって液体67を噴射している
状態を示す斜視図である。
【図18】竪型ローラミル11におけるテーブル13と
ローラ16とによる圧潰粉砕動作を説明するための図で
ある。
【図19】本件発明者の実験結果を示すロジン・ラムラ
線図である。
【図20】本発明の実施の他の形態の全体の構成を示す
系統図である。
【図21】図1および図20に示される分級機37の構
成を示す縦断面図である。
【図22】図21のXXII−XXIIから見た簡略化
した水平断面図である。
【図23】分級機37における分散板96と羽根部材9
7とを示す水平断面図である。
【図24】先行技術の断面図である。
【符号の説明】 11 竪型ローラミル 12 ハウジング 13 テーブル 15 モータ 16 ローラ 27 シュート 32 出口シュート 37 分級機 38 バケットエレベータ 40 バグフィルタ 41 誘引ファン 59 ノズル 63 ノズル孔 67 液体 77 同期点 87 分配手段 91 ダンパ 97 羽根部材 S 投影面積 Z 圧潰粉砕領域 Z1 圧縮粉砕領域 Z2 摩砕領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沢村 成介 兵庫県神戸市中央区東川崎町3丁目1番1 号 川崎重工業株式会社神戸工場内 (72)発明者 植田 博 兵庫県神戸市中央区東川崎町3丁目1番1 号 川崎重工業株式会社神戸工場内 (72)発明者 安藤 文典 兵庫県神戸市中央区東川崎町3丁目1番1 号 川崎重工業株式会社神戸工場内 (72)発明者 村田 光明 東京都港区西新橋2丁目14番1号 秩父小 野田株式会社内 (72)発明者 高山 明彦 東京都港区西新橋2丁目14番1号 秩父小 野田株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 竪型ローラミルを備える粉砕装置を準備
    し、 この粉砕装置は、 鉛直軸線のまわりに回転するテーブル上に、複数のロー
    ラを周方向に間隔をあけて配置し、テーブルの中央部に
    供給される被粉砕物を、テーブルとローラとの間に噛み
    込ませて圧潰粉砕し、こうして粉砕された被粉砕物を、
    実質的に全量、テーブルの下方から取出し、分級機を内
    蔵しない竪型ローラミルと、 竪型ローラミルの被粉砕物を分級してセメント製品を得
    る分級機と、 竪型ローラミルから取出した被粉砕物の少なくとも一部
    を、分級機に輸送する機械的輸送手段とを含み、 竪型ローラミルにおけるローラのテーブルへの押し付け
    力を、ローラのテーブルへの投影面積でみた平均面圧が
    10〜15kg/cm2 に選んだことを特徴とする竪型
    ローラミルによるセメントクリンカの粉砕方法。
  2. 【請求項2】 竪型ローラミルに戻す被粉砕物の循環流
    量は、竪型ローラミルに新たに被粉砕物を装入する装入
    流量の100〜300%であることを特徴とする請求項
    1記載の竪型ローラミルによるセメントクリンカの粉砕
    方法。
  3. 【請求項3】 各ローラよりもテーブルの回転方向上流
    側の直前で、テーブルとローラとの相対速度が零である
    位置よりもテーブルの半径方向外方で被粉砕物がテーブ
    ルとローラとの間で摩擦粉砕される摩砕領域にのみ、液
    体を添加することを特徴とする請求項1または2記載の
    竪型ローラミルによるセメントクリンカの粉砕方法。
  4. 【請求項4】 前記液体は、被粉砕物の0.5〜3%で
    あることを特徴とする請求項3記載の竪型ローラミルに
    よるセメントクリンカの粉砕方法。
  5. 【請求項5】 鉛直軸線のまわりに回転するテーブル上
    に、複数のローラを周方向に間隔をあけて配置し、テー
    ブルの中央部に供給される被粉砕物を、テーブルとロー
    ラとの間に噛み込ませて圧潰粉砕し、こうして粉砕され
    た被粉砕物を、実質的に全量、テーブルの下方から取出
    し、ローラのテーブルへの押し付け力を、ローラのテー
    ブルへの投影面積でみた平均面圧が10〜15kg/c
    2 に選ばれ、分級機を内蔵しない竪型ローラミルと、 竪型ローラミルの被粉砕物を分級してセメント製品を得
    る分級機と、 竪型ローラミルから取出した被粉砕物の少なくとも一部
    を、分級機に輸送する機械的輸送手段とを含むことを特
    徴とする竪型ローラミルによるセメントクリンカの粉砕
    装置。
  6. 【請求項6】 竪型ローラミルに戻す被粉砕物の循環流
    量は、竪型ローラミルに新たに被粉砕物を装入する装入
    流量の100〜300%であることを特徴とする請求項
    5記載の竪型ローラミルによるセメントクリンカの粉砕
    装置。
  7. 【請求項7】 テーブルの回転方向上流側で各ローラの
    直前に配置され、テーブルとローラとの相対速度が零で
    ある位置よりもテーブルの半径方向外方で被粉砕物がテ
    ーブルとローラとの間で摩擦粉砕される摩砕領域にの
    み、被粉砕物の0.5〜3%の液体を噴射するノズルを
    含むことを特徴とする請求項5または6記載の竪型ロー
    ラミルによるセメントクリンカの粉砕装置。
  8. 【請求項8】 ノズルは、前記液体を、テーブルの半径
    方向に延びる偏平な形状で噴射するノズル孔を有するこ
    とを特徴とする請求項7記載の竪型ローラミルによるセ
    メントクリンカの粉砕装置。
  9. 【請求項9】 機械的輸送手段は、竪型ローラミルから
    取出した被粉砕物の全量を分級機に輸送することを特徴
    とする請求項5〜8のうちの1つに記載の竪型ローラミ
    ルによるセメントクリンカの粉砕装置。
  10. 【請求項10】 機械的輸送手段によって輸送された被
    粉砕物の一部を分級機に輸送し、残余の被粉砕物を竪型
    ローラミルに直接に輸送して戻す分配手段をさらに含む
    ことを特徴とする請求項5〜8のうちの1つに記載の竪
    型ローラミルによるセメントクリンカの粉砕装置。
JP9033617A 1997-02-18 1997-02-18 竪型ローラミルによるセメントクリンカの粉砕方法および装置 Pending JPH10230179A (ja)

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DE69807268T DE69807268T2 (de) 1997-02-18 1998-02-11 Verfahren und Vorrichtung zum Mahlen von Zementklinker mittels einer vertikalen Walzenmühle
EP98102375A EP0858839B1 (en) 1997-02-18 1998-02-11 Cement clinker grinding method using vertical roller mill and apparatus thereof
TW087101847A TW370473B (en) 1997-02-18 1998-02-11 Cement clinker grinding method using vertical roller mill and apparatus thereof
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106733066A (zh) * 2015-11-23 2017-05-31 安徽真信涂料有限公司 一种粉碎筛选装置
WO2019244357A1 (ja) * 2018-06-22 2019-12-26 川崎重工業株式会社 粉砕システム
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