JPH10230134A - 浄化用シートおよびその製造方法 - Google Patents

浄化用シートおよびその製造方法

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JPH10230134A
JPH10230134A JP9032340A JP3234097A JPH10230134A JP H10230134 A JPH10230134 A JP H10230134A JP 9032340 A JP9032340 A JP 9032340A JP 3234097 A JP3234097 A JP 3234097A JP H10230134 A JPH10230134 A JP H10230134A
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JP
Japan
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layer
sheet
fluororesin
photocatalyst
ptfe
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JP9032340A
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Tadanori Domoto
忠憲 道本
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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  • Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 屈曲性を有し、強度が高く、光触媒の機能を
充分に発揮することができ、特にガス分解除去能に優れ
る浄化用シートを提供する。 【解決手段】 金属箔の上にPTFE水分散液を塗布し
て塗膜を形成し、加熱により、前記塗膜中の水の蒸発除
去とPTFEの焼成を行い、PTFE層(基層)13を
形成する。この基層13の上に、活性炭を含有するPT
FE水分散液の塗膜を形成し、前記塗膜中の水の蒸発除
去と前記PTFEの焼成とを行い吸着剤含有PTFE層
12を形成する。この吸着剤含有PTFE層12の上
に、酸化チタンを含有するPTFE水分散液の塗膜を形
成し、前記塗膜中の水の蒸発除去と前記PTFEの焼成
を行い光触媒含有PTFE層11を形成する。前記吸着
剤含有PTFE層12および光触媒含有PTFE層11
の形成を必要回繰り返し、多層シートを作製する。この
多層シートを前記金属箔から剥離し、約2〜5倍で延伸
して多孔質化し、浄化用シート1を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、生活環境
における不快臭、高速道路、トンネル内、交通量の多い
道路周辺等において発生する窒素酸化物等の有害ガス等
を除去することが可能な浄化用シートおよびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化チタン等の光触媒は、光を吸収して
励起された電子により正孔を発生させ、これにより、接
近する有機物若しくは微生物を酸化分解し、また無機酸
化物では最終酸化物まで酸化することが知られている。
このため、光触媒の前記有機物等の分解作用が最近注目
され、これを脱臭、抗菌、環境浄化等に適用する技術の
開発が従来から行われている。
【0003】この技術の一例として、酸化チタン等の光
触媒を、バインダーで固めてシート状やパネル状にした
浄化材がある。この浄化材は、自然光等の光さえあれば
他のエネルギーの供給なしに、有機物等の分解を行うこ
とができ、またその結果生じる無機酸化物が浄化材表面
に残留するが、これは水洗により簡単に除去することが
可能で、これにより浄化材の機能が回復する。したがっ
て、光触媒を適用した浄化材は、半永久的に使用可能と
いえる。
【0004】前記のように、光触媒をバインダーで固め
て浄化材とする場合、光触媒の酸化力は強力でほとんど
の有機物を分解してしまうため、バインダーとしては、
ガラス、セラミック、タイル等の無機材料が多く使用さ
れている。しかし、無機材料をバインダーとして使用す
ると、屈曲性が無いため、形状に自由度がなくなるばか
りでなく、浄化材の割れや欠け等の問題が生じる。そこ
で、屈曲性等が要求される場合には、前記バインダーと
して、抗酸化力を持つ高分子材料、例えば、ポリテトラ
フルオロエチレン(以下「PTFE」という)のような
材料を選定する必要がある。
【0005】また、光触媒作用は、光触媒と被酸化物と
が直接接触することにより発揮されるため、この酸化分
解機能を充分に発揮させるためには、光触媒の露出面積
を大きくすることが好ましい。また、被分解対象物がガ
スの場合、光触媒と前記ガスとの接触効率を向上させる
手段として、光触媒と活性炭等の吸着剤とを併用するこ
とが検討されている。例えば、フッ素樹脂微粒子に光触
媒と活性炭を混合し、厚み0.5〜1mmのシート状に
圧延した浄化用シートが作製されている。しかし、この
浄化用シートは強度が弱く、また、光触媒と活性炭の双
方の機能を充分に発揮させることができないという問題
がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、屈曲性を有し、強度が高く、光触媒の機能を充分に
発揮することができ、特にガス分解除去能に優れる浄化
用シートおよびその製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の浄化用シートは、多層構造のフッ素樹脂シ
ートであって、光触媒含有フッ素樹脂層および吸着剤含
有フッ素樹脂層を有し、前記両フッ素樹脂層が、その融
点以上の温度で焼成され、シート上下の2つの最外層の
少なくとも一つの最外層として前記光触媒含有フッ素樹
脂層が配置されているという構成を有する。
【0008】このように、本発明の浄化用シートは、バ
インダーとしてフッ素樹脂を用いていることから屈曲性
に優れ、かつ前記フッ素樹脂がその融点以上の温度で焼
成されていることから、強度も高いものとなる。そし
て、本発明の浄化用シートでは、光触媒と吸着剤とを混
合して用いるのではなく、シートを多層構造にし、光触
媒含有フッ素樹脂層と吸着剤含有フッ素樹脂層とを別々
に設けることにより、光触媒および吸着剤の双方の機能
を充分に発揮させるものである。すなわち、光触媒およ
び吸着剤の効果は、その種類が同じ場合、使用量が増え
るに従い向上する。しかし、従来のように、光触媒およ
び吸着剤を混合して単層のシートにすると、充填できる
総量に上限があるため、双方の充填量を共に多くするこ
とができなかった。そこで、本発明者は、この問題を解
決すべく鋭意検討した。その結果、シートを多層構造に
し、光触媒含有フッ素樹脂層と吸着剤含有フッ素樹脂層
とを別々に設けることにより、光触媒および吸着剤の双
方の充填量を多くすることを実現したのである。また、
光触媒と吸着剤との相互作用も層界面で行うことができ
るので、浄化機能を向上させることができる。これらの
結果、本発明の浄化用シートでは、光触媒および吸着剤
の双方の機能を相乗的にかつ充分に発揮させることがで
き、その結果、有機物等の分解除去、特にガス分解除去
に優れる。
【0009】本発明の浄化用シートは、シート空隙率が
10%以上の多孔質体であることが好ましい。この範囲
であれば、光触媒の露出面積を充分に大きくとることが
できるからである。前記空隙率は、下記の式(数1)に
より算出される。
【0010】
【数1】空隙率(%)=[1−(シートの見掛比重/シ
ートの真比重)]×100
【0011】本発明の浄化用シートにおいて、前記光触
媒含有フッ素樹脂層と前記吸着剤含有フッ素樹脂層とが
隣接していることが好ましい。これらの各層が隣接して
いれば、光触媒と吸着剤との相互作用が多く起るように
なり、ガスの除去効率が向上するようになる。
【0012】本発明の浄化用シートにおいて、充填剤を
含まないフッ素樹脂層を有することが好ましい。充填剤
を含有しないフッ素樹脂層は強度が高く、シートの基層
となる。したがって、この基層の形成により浄化用シー
トの強度をさらに高めることが可能となる。
【0013】本発明の浄化用シートにおいて、充填剤の
含有量はフッ素樹脂に対し30〜80重量%であること
が好ましい。
【0014】つぎに、本発明の浄化用シートの製造方法
は、吸着剤を含有するフッ素樹脂分散液の塗膜を形成
し、前記塗膜中の分散媒の蒸発除去と前記フッ素樹脂の
焼成とを行い吸着剤含有フッ素樹脂層を形成する工程
と、光触媒を含有するフッ素樹脂分散液の塗膜を形成
し、前記塗膜中の分散媒の蒸発除去と前記フッ素樹脂の
焼成を行い光触媒含有フッ素樹脂層を形成する工程と、
シートを延伸処理する工程とを備え、シート上下の2つ
の最外層の少なくとも一つの最外層として前記光触媒含
有フッ素樹脂層を形成するという方法である。この製造
方法によれば、本発明の浄化用シートを作製できる。
【0015】なお、本発明の浄化用シートの製造方法に
おいて、前記吸着剤含有フッ素樹脂層を形成する工程お
よび前記光触媒含有フッ素樹脂層を形成する工程は、製
造しようとする浄化用シートの多層構造に応じて必要回
数繰り返される。また、シートを延伸処理することによ
り、シートが多孔質化されるが、この延伸処理は、シー
トの空隙率が10%以上となるような処理であることが
好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態につ
いて説明する。
【0017】図1の断面図に、本発明の浄化用シートの
一例を示す。図示のように、この浄化用シート1は、5
層構造であり、充填剤を含有しないフッ素樹脂層(基
層)13の上に、吸着剤含有フッ素樹脂層12、光触媒
含有フッ素樹脂層11、吸着剤含有フッ素樹脂層12お
よび光触媒含有フッ素樹脂層11が、この順序で積層形
成されている。
【0018】本発明で使用されるフッ素樹脂としてして
は、例えば、PTFE、テトラフルオロエチレン−パー
フルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、
テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共
重合体(FEP)等があげられる。
【0019】また、前記吸着剤としては、例えば、ゼオ
ライトや活性炭等を使用することが好ましい。
【0020】前記光触媒としては、最も優れた光触媒活
性を示すアナターゼ型酸化チタン微粒子を使用するのが
好ましい。また、前記酸化チタン微粒子の粒径は、通
常、0.007〜0.5μmである。
【0021】本発明の浄化用シートの構造は、前記5層
構造に限定されず、この他に、例えば、光触媒含有フッ
素樹脂層と吸着剤含有フッ素樹脂層とが積層された2層
構造、この2層構造にさらに充填剤を含有しないフッ素
樹脂層(基層)を形成した3層構造、吸着剤含有フッ素
樹脂層の上下に光触媒含有フッ素樹脂層をそれぞれ形成
した3層構造、この3層構造にさらに充填剤を含有しな
いフッ素樹脂層(基層)を形成した4層構造等がある。
【0022】本発明の浄化用シートにおいて、光触媒含
有フッ素樹脂層の厚みは、通常、10〜50μmであ
り、吸着剤含有フッ素樹脂層の厚みは、通常、10〜5
0μmである。また、シート全体厚みは、シート構造に
より異なるが、通常、30〜200μmである。
【0023】つぎに、本発明の浄化用シートの製造方法
について、充填剤を含有しないフッ素樹脂層(基層)の
上に吸着剤含有フッ素樹脂層および光触媒含有フッ素樹
脂層がこの順序で形成された3層構造の浄化用シートの
例をとって説明する。
【0024】まず、フッ素樹脂分散液を担体上に塗布し
て塗膜を形成する。なお、このフッ素樹脂分散液には充
填剤は含まれていない。前記フッ素樹脂分散液として
は、フッ素樹脂の水分散液があげられ、フッ素樹脂粒子
の粒径は、通常、約0.2〜0.3μmである。また、
フッ素樹脂分散液の濃度は、フッ素樹脂の種類等により
適宜決定されるが、通常、約40〜60重量%である。
前記担体は、分散媒の蒸発除去やフッ素樹脂の焼成の際
の加熱によっても変形せず、またその上に形成されたシ
ートが剥離可能なものであれば、特に制限されず、例え
ば、金属箔や金属シート等が使用でき、好ましくは、ス
テンレス鋼箔があげられる。前記塗布の方法は、特に制
限するものでなく、例えば、担体をフッ素樹脂分散液中
に浸漬して引き上げるディッピング法、スプレーや刷毛
で塗布する方法、担体上にフッ素樹脂分散液を流延する
方法等があげられる。この塗膜の形成方法は、光触媒含
有フッ素樹脂層および吸着剤含有フッ素樹脂層の形成に
おいても同様である。なお、、塗膜の厚みは、浄化用シ
ートの種類等により適宜決定され、これも、光触媒含有
フッ素樹脂層および吸着剤含有フッ素樹脂層の形成にお
いて同様である。
【0025】そして、加熱して、前記塗膜中の分散媒の
蒸発除去を行うとともにフッ素樹脂の焼成を行い、前記
担体上に充填剤を含有しないフッ素樹脂層を形成する。
前記焼成は、フッ素樹脂の融点以上の温度で行うので、
加熱条件は、フッ素樹脂の種類により適宜決定される
が、例えば、PTFEの場合、通常、360〜400℃
の範囲である。また、作業効率の観点観点から、前記分
散媒の蒸発除去とフッ素樹脂の焼成とは同時に行っても
よいが、まず蒸発除去を行った後、フッ素樹脂の焼成を
行う2段階の工程でもよい。これら分散媒の蒸発除去、
フッ素樹脂の焼成の条件および操作等は、光触媒含有フ
ッ素樹脂層および吸着剤含有フッ素樹脂層の形成におい
ても同様である。
【0026】つぎに、吸着剤を含有するフッ素樹脂分散
液を、前記充填剤不含フッ素樹脂層(基層)の上に塗布
して塗膜を形成し、加熱により分散媒の蒸発除去とフッ
素樹脂の焼成を行い、吸着剤含有フッ素樹脂層を形成す
る。前記吸着剤を含有するフッ素樹脂分散液において、
フッ素樹脂濃度は、通常、約40〜60重量%であり、
吸着剤の配合割合は、特に制限されずフッ素樹脂の種類
等により適宜決定されるが、例えば、重量比で、PTF
E:吸着剤=7:3〜2:8の割合である。なお、浄化
用シートの光触媒機能を高めるために、前記吸着剤を含
有するフッ素樹脂分散液に、若干量の光触媒を配合して
もよい。
【0027】つぎに、前記吸着剤含有フッ素樹脂層の上
に、光触媒を含有するフッ素樹脂分散液を塗布して塗膜
を形成し、加熱により分散媒の蒸発除去とフッ素樹脂の
焼成を行い、光触媒含有フッ素樹脂層を形成する。前記
光触媒を含有するフッ素樹脂分散液において、フッ素樹
脂濃度は、通常、約40〜60重量%であり、光触媒の
配合割合は、特に制限されずフッ素樹脂の種類等により
適宜決定されるが、例えば、重量比で、PTFE:光触
媒=7:3〜2:8の割合である。なお、浄化用シート
の吸着機能を高めるために、前記光触媒を含有するフッ
素樹脂分散液に、若干量の吸着剤を配合してもよい。ま
た、浄化用シート表面を着色する目的で、前記光触媒を
含有するフッ素樹脂分散液に、無機顔料を配合してもよ
い。
【0028】つぎに、前記担体上に形成された3層構造
のシートを剥離し、これを延伸処理する。この延伸処理
によって前記シートが多孔質となる。前記延伸処理は、
一軸延伸でも二軸延伸でもよく、その延伸倍率は、先に
述べたように、シートの空隙率が10%以上となる倍率
が好ましく、具体的には、通常、2〜5倍、好ましくは
3〜4倍である。この延伸処理には、ロール延伸機やテ
ンター延伸機等、従来から使用されている延伸機を用い
ることができる。
【0029】このようにして、3層構造の本発明の浄化
用シートが得られる。なお、光触媒含有フッ素樹脂層ま
たは吸着剤含有フッ素樹脂層を複数形成する場合は、そ
れぞれの層の形成工程を複数繰り返せばよい。また、充
填剤不含フッ素樹脂層(基層)を形成しない場合は、そ
の形成工程を省略し、担体上に、直接、光触媒含有フッ
素樹脂層または吸着剤含有フッ素樹脂層を形成すればよ
い。また、1回の層形成工程では所定の層厚みが得られ
ない場合は、所定の層厚みが得られるまで、各層の形成
工程を繰り返せばよい。
【0030】
【実施例】つぎに、実施例について比較例と併せて説明
する。
【0031】(実施例1)厚さ50μmのステンレス鋼
箔(担体)を、PTFE濃度40重量%の水性分散液
(旭アイシーアイフロロポリマーズ社製、フルオンAD
−1)中に浸漬して引き上げて塗膜を形成し、これを温
度110℃で60秒間加熱して水を除去し、ついで温度
390℃で90秒間加熱してPTFEを焼成した。この
操作を4回繰り返し、厚さ40μmのPTFE層を形成
した。
【0032】つぎに、PTFE40重量%(固形分)お
よびゼオライト60重量%(固形分)を含む水性分散液
中に、上記のPTFE層を形成したステンレス鋼箔を浸
漬し引き上げ塗膜を形成した。そして、これを、100
℃で60秒間加熱して水を除去し、ついで温度390℃
で90秒間加熱してPTFEを焼成し、吸着剤含有PT
FE層を形成した。
【0033】つづいて、PTFE40重量%(固形分)
およびアナターゼ型酸化チタン微粒子(石原産業社製、
商品名ST−01)60重量%(固形分)を含む水性分
散液中に、上記のゼオライト含有PTFE層が形成され
たステンレス箔を浸漬し引き上げ塗膜を形成した。そし
て、これを、温度100℃で60秒間加熱して水を除去
し、ついで温度390℃で90秒間加熱してPTFEを
焼成し、酸化チタン含有PTFE層形成した。
【0034】さらに、前記吸着剤含有PTFE層の形成
および前記酸化チタン含有PTFE層の形成を繰り返し
行い、5層構造のシート(厚み100μm)を得た。そ
して、この5層シートを、ステンレス鋼箔から剥離した
後、130℃の雰囲気下、ロール延伸機を用い、縦方向
(長手方向)に3倍延伸して多孔質化した。このように
して、シート上の最外層として酸化チタン含有PTFE
層が形成された全体厚み78μmで5層構造の浄化用シ
ート(図1参照)を作製した。この浄化用シーとについ
て、前記式(数1)により、空隙率を算出したところ、
44%であった。
【0035】このようにして得られた浄化用シートにつ
いて、有機ガスの分解性能を調べた。
【0036】すなわち、まず、市販の15Wのブラック
ライトをセットした内容積4リットルの密閉容器の中
に、浄化用シート(縦5cm×横5cm)を、その酸化
チタン含有PTFE層側をブラックライトに向けた状態
で、配置した。そして、有機ガスとしてトリメチルアミ
ン(悪臭ガス)を前記密閉容器内に100ppmの濃度
になるように注入した。その後、前記ブラックライトを
点灯し1mW/cm2 の紫外光が浄化用シートに照射さ
れるようにした。ブラックライト点灯から30分後、ガ
スクロマトグラフを用いて、前記容器内のトリメチルア
ミンの濃度を測定した結果、3ppmに減少していた。
さらに、前記トリメチルアミンの注入およびブラックラ
イトの点灯を前記と同条件で3回繰り返したところ、ト
リメチルアミン濃度は5ppmまで減少した。
【0037】他方、前記ブラックライトを点灯せず、前
記と同様の条件でトリメチルアミンの分解試験を行っ
た。その結果、紫外線照射がない場合でも、トリメチル
アミンの濃度は、10ppmに減少した。さらに、前記
トリメチルアミンの注入をブラックライト無点灯の状態
で前記と同条件で3回繰り返したところ、トリメチルア
ミンの濃度は、45ppmまでしか減少しなかった。
【0038】(実施例2)実施例1と同様にして5層シ
ートを作製し、これを縦方向(長手方向)に2倍、幅方
向に2倍に延伸し、シート上の最外層として酸化チタン
含有PTFE層が形成された全体厚み70μmで5層構
造の浄化用シート(図1参照)を作製した。この浄化用
シートの空隙率を、前記式(数1)により算出したとこ
ろ、55%であった。
【0039】この浄化用シートについて、実施例1と同
様にして、トリメチルアミンの分解試験を行なった。そ
の結果、紫外線照射の場合はトリメチルアミン濃度が2
ppmに減少し、紫外線照射のない場合は8ppmに減
少した。また、トリメチルアミンの注入操作を3回繰り
返した場合、紫外線照射の場合は4ppmまで減少し、
紫外線照射のない場合は、50ppmまでしか減少しな
かった。
【0040】(比較例1)厚さ50μmのステンレス鋼
箔を、PTFE濃度40重量%の水性分散液中に浸漬し
て引き上げて塗膜を形成し、これを温度110℃で60
秒間加熱して水を除去し、ついで温度390℃で90秒
間加熱してPTFEを焼成した。この操作を4回繰り返
し、厚さ40μmPTFE層を形成した。
【0041】つぎに、PTFE60重量%(固形分)、
アナターゼ型酸化チタン30重量%(固形分)およびゼ
オライト10重量%(固形分)を含む水性分散液中に、
上記PTFE層を形成したステンレス鋼箔を浸漬して引
き上げ塗膜を形成した。そして、これを、100℃で6
0秒間加熱して水を除去し、ついで温度390℃で90
秒間加熱してPTFEを焼成し、光触媒と吸着剤を含有
するPTFE層を形成した。この操作を4回繰り返し、
厚み100μmの2層シートを得た。
【0042】そして、この2層シートを、ステンレス鋼
箔から剥離した後、130℃の雰囲気下、ロール延伸機
を用い、縦方向(長手方向)に3倍に延伸した。このよ
うにしてシート上の最外層として光触媒と吸着剤の両方
を含有するPTFE層が形成された全体厚み79μmで
2層構造の浄化用シートを作製した。この浄化用シート
について、前記式(数1)により空隙率を算出したとこ
ろ、45%であった。
【0043】この浄化用シートについて、実施例1と同
様にして、トリメチルアミンの分解試験を行なった。そ
の結果、紫外線照射の場合はトリメチルアミン濃度が2
0ppmまでしか減少せず、紫外線照射のない場合は7
0ppmまでにしか減少しなかった。また、トリメチル
アミンの注入操作を3回繰り返した場合、紫外線照射の
場合は35ppmまでにしか減少せず、紫外線照射のな
い場合は85ppmであり、ほとんど減少しなかった。
【0044】
【発明の効果】以上のように、本発明の浄化用シート
は、多層構造のフッ素樹脂シートであって、光触媒含有
フッ素樹脂層および吸着剤含有フッ素樹脂層を有し、前
記両フッ素樹脂層が、その融点以上の温度で焼成され、
シート上下の2つの最外層の少なくとも一つの最外層と
して前記光触媒含有フッ素樹脂層が配置されている。こ
のため、本発明の浄化用シートは、屈曲性を有し、強度
が高く、光触媒の機能を充分に発揮することができ、特
にガス分解除去能に優れる。したがって、本発明の浄化
用シートは、例えば、トンネル内壁面のような湾曲した
部分にも配置することができ、その優れた有機物等の分
解作用により、効率的に長期間に渡って有害ガスや悪臭
原因物質を除去することが可能であり、この結果、環境
浄化に貢献することができる。また、本発明の浄化用シ
ートは、光触媒含有フッ素樹脂層に顔料を配合すること
により自由に着色でき、また、屈曲性を有し自由に成形
できるため、例えば、これを用いて、防音壁や観葉植物
を模した置物を作製することができ、この結果、景観を
損なうことなく環境浄化に貢献することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の浄化用シートの一実施例の構成を示す
断面図である。
【符号の説明】
1 浄化用シート 11 光触媒含有フッ素樹脂層 12 吸着剤含有フッ素樹脂層 13 充填剤を含有しないフッ素樹脂層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B01D 53/56 B01D 53/36 102D 53/94

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多層構造のフッ素樹脂シートであって、
    光触媒含有フッ素樹脂層および吸着剤含有フッ素樹脂層
    を有し、前記両フッ素樹脂層が、その融点以上の温度で
    焼成され、シート上下の2つの最外層の少なくとも一つ
    の最外層として前記光触媒含有フッ素樹脂層が配置され
    ている浄化用シート。
  2. 【請求項2】 シートの空隙率が10%以上の多孔質体
    である請求項1記載の浄化用シート。
  3. 【請求項3】 光触媒含有フッ素樹脂層と吸着剤含有フ
    ッ素樹脂層とが隣接している請求項1または2記載の浄
    化用シート。
  4. 【請求項4】 充填剤を含まないフッ素樹脂層を有する
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の浄化用シート。
  5. 【請求項5】 吸着剤を含有するフッ素樹脂分散液の塗
    膜を形成し、前記塗膜中の分散媒の蒸発除去と前記フッ
    素樹脂の焼成とを行い吸着剤含有フッ素樹脂層を形成す
    る工程と、光触媒を含有するフッ素樹脂分散液の塗膜を
    形成し、前記塗膜中の分散媒の蒸発除去と前記フッ素樹
    脂の焼成を行い光触媒含有フッ素樹脂層を形成する工程
    と、シートを延伸処理する工程とを備え、シート上下の
    2つの最外層の少なくとも一つの最外層として前記光触
    媒含有フッ素樹脂層を形成する浄化用シートの製造方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002096434A (ja) * 2000-09-21 2002-04-02 Fuji Electric Co Ltd 有害ガス処理シートとその製造方法
US7674514B2 (en) * 2005-12-02 2010-03-09 Thomas E Frankel Multiple layered membrane with thin fluorine containing polymer layer
WO2011059861A3 (en) * 2009-11-12 2011-09-15 Gore Enterprise Holdings, Inc. Cleaning article

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