JPH10228877A - 熱電界放出電子銃および熱電界放出電子銃用エミッタの製造方法 - Google Patents
熱電界放出電子銃および熱電界放出電子銃用エミッタの製造方法Info
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Abstract
分布の幅が狭く、また、長時間安定してエミッションを
行うことができる熱電界放出電子銃および熱電界放出電
子銃用エミッタの製造方法を実現する。 【解決手段】 エミッタ10の先端部には、層の厚みd
がほぼ0.01nm〜0.2nmである同心円板状の層
が、数〜数十層積み重ねられた積層電子放出面12が形
成される。積層電子放出面12は、一度形成されると、
エミッタ先端半径rがほぼ2μm〜4μmのため、熱電
界放出電子銃の寿命(通例、塗布されたZrOが消失す
るまでの期間、ほぼ5000時間以上)内で、消失する
ことはない。また、エミッタ先端部が積層構造になって
いるため、電界強度が緩和され、エミッタの放出電子密
度分布が、一様な放出電子密度分布となるため、電子間
相互作用が弱まり、エネルギ分布幅ΔEが小さくなる。
Description
の電子ビーム装置に用いられる熱電界放出電子銃および
熱電界放出電子銃用エミッタの製造方法に関する。
置では、高い輝度の熱電界放出電子銃が使用されてい
る。この電子銃では、タングステン等のエミッタを高温
に加熱すると共に、エミッタと引出電極との間に数kV
の引出電圧を印加するようにしている。
電界強度を高め、輝度の高い熱電界放出電子をエミッタ
先端から放出させるために、先端の半径が小さなエミッ
タが使用されている。例えば、タングステン製エミッタ
では、0.4〜0.5μm程度の半径とされている。
m]と、放出電子のエネルギ分布幅(エネルギ分布の半
値幅ΔE[eV])の関係を示している。この図から明
らかなように、電界強度Fを高めると、熱電界放出電子
のエネルギ分布幅(エネルギ分布の半値幅ΔE[e
V])が大きくなる。
て輝度を増すと、走査電子顕微鏡等では、試料に照射さ
れる電子ビームの径が大きくなり、得られる像の分解能
が低下してしまう。
エミッタ先端部に形成されるファセットの結晶面が小さ
くなり、そのため、エミッタ先端での原子が不安定とな
る。すなわち、エミッタ先端部での原子移動は、温度や
電界強度に依存するが、エミッタ先端の半径が小さいた
めに、原子が安定する条件幅が狭く、原子の移動により
エミッタ先端の形状が変動してしまう。そのため、熱電
界放出電子の放出条件が変動し、エミッション電流が不
安定となる。
て、先端部の半径が2μm以上のエミッタを使用した場
合、エミッタ先端半径rが大きいと、電界強度Fを小さ
くできることが確かめられている。この結果、図1から
明らかなように、電界強度Fが小さくできるので、この
電子銃では、熱電界放出電子のエネルギ分布幅を小さく
できる。したがって、このような先端半径の大きなエミ
ッタを使用することで、先端半径の小さなエミッタが有
する各問題が解決される。
出電子銃の、特にエミッタ先端形状を示す。図2におい
て、(a)はエミッタ1の先端部位を真横から見た図、
(b)はエミッタ先端部位を少し傾斜させて見た図であ
る。なお、このようなエミッタは、例えば、米国特許第
4,588,928号に開示されている。
結晶針よりなるエミッタ1の先端部には、平坦な電子放
出面2が形成されている。この平坦電子放出面2の平坦
電子放出面半径bとエミッタ先端半径rとの比(b/
r)は、ほぼ0.3となる。この点については、文献Ap
plicstion of Surfaces Science 8(1981) 「RECENT PRO
GRESS IN THERMAL FIELD ELECTRON SOURCE PERFORMANC
E」に報告されている。
は、前記した米国特許や文献に記載されている例のよう
に、エミッタの先端半径rがほぼ0.5μmの場合に、
エミッタ先端部位にほぼ2×107 (V/cm)〜3×
107 (V/cm)の電界がかけられているときであ
る。この条件において、エミッタから放出される電子ビ
ームのエネルギ分布の半値幅ΔE(eV)は、図1に示
すようにほぼ0.8eV〜1.0eVとなる。
ある。この図において、電子放出面をx軸に垂直な平面
と考え、x=0を金属の表面とする。なお、図中E
F は、フェルミレベル、φwは仕事関数、−Woは金属
中における電子の実効的なポテンシャルエネルギであ
る。
ると、その近傍にポテンシャル障壁V(x)が発生す
る。また、金属が加熱されると、ポテンシャル障壁の頂
上Vm以上のx方向成分のエネルギを有する金属自由電
子は、この頂上Vmを乗り越えて金属外に放出される。
このような現象はショットキーエミッションと呼ばれて
いる。
と、トンネル効果により金属内電子は、ポテンシャル障
壁V(x)を乗り越えることなく、直接障壁を透過して
金属外に脱出できる。この現象は、金属の温度が比較的
低くても起こり、温度が室温程度の比較的低い場合をコ
ールドエミッション、温度が例えば、1800K程度の
比較的高い場合をサーマルフィールド(TF)エミッシ
ョンと称している。
つの電子放出プロセスがあり、TFエミッションはその
2つのプロセスを混在させている。TFエミッション
は、エミッタ温度が、例えば、1800Kの場合、エミ
ッタ先端での電界強度が1.0×107 V/cm以上に
なると、その混在の絶対量が顕著になり、図1に示すよ
うに、電界強度Fが高くなるにしたがって、放出電子の
エネルギ分布幅(エネルギ分布の半値幅ΔE)も高くな
る。
を示す色収差による電子ビームのプローブ系dC は、 dC =CC α(ΔE/V) で表される。ここで、CC は最終段レンズの色収差係
数、αは電子の試料面への入射角、Vは電子の平均エネ
ルギを示す。この式から、ΔEが大きくなると、色収差
による電子プローブ系dC が大きくなり、電子顕微鏡の
分解能を劣化させてしまう。
ち、エミッタ半径がほぼ0.5μmであるエミッタで
は、エミッタから放出される電子ビームのエネルギ分布
の半値幅ΔEが大きく、電子顕微鏡の分解能が悪かっ
た。また、このようなエミッタでは、図7のAに示すよ
うに電子ビームの電流密度分布が放出電子密度のように
平坦電子放出面半径近傍において、電界強度が増すた
め、高くなってしまい、電子間相互作用が高まり、ΔE
が更に拡がってしまうという問題点があった。
タの先端部温度、および、先端近傍の電界強度を上述し
た条件値(ほぼ1800K、ほぼ2×107 (V/c
m)〜3×107 (V/cm))から外すと(例えば、
前記ΔEを下げるために、電界強度を更に下げる)、エ
ミッタ先端部上にある、平坦電子放出面を形成している
公知のZrO/W(100)複合体が、崩れだし、平坦
電子放出面が小さくなり、やがては消滅してしまう。そ
の過程においては、エミッタから放出される電子ビーム
が安定せず、次第にエミッション量が小さくなり、最後
には、エミッションしなくなるという問題点があった。
もので、その目的は、高い輝度で放出される電子ビーム
のエネルギ分布の幅が狭く、また、長時間安定してエミ
ッションを行うことができる熱電界放出電子銃および熱
電界放出電子銃用エミッタの製造方法を実現するにあ
る。
明する前に、まず、本発明に至った過程と原理について
説明する。熱電界放出電子銃において、先端部の半径が
ほぼ2μm〜4μmの範囲のエミッタを使用して、エミ
ッタ先端近傍での電界強度をほぼ4×106 (V/c
m)〜6×106 (V/cm)の範囲とすることで、電
子放出のプロセスがポテンシャル障壁V(x)を乗り越
えて放出するプロセスとなるショットキーエミッション
となる。
電子のエネルギ分布幅を小さくすることができる。な
お、図3に示すように、仕事関数φwが小さくなれば、
フェルミレベルEF が上昇し、ポテンシャル障壁V
(x)を乗り越えやすくなるので、例えば、エミッタの
先端をZrO2 によって表面処理し、Zr/O/W(1
00)複合体を形成することにより、W(100)方位
の仕事関数を低めることができる。そのため、エミッタ
先端の半径を前記のごとく2.0μm以上にしても、十
分なエミッション量を得ることができる。
ミッタ先端での電界強度とにより変化する。このエミッ
タ形状の変化は、エミッタ先端の半径をr(cm)、時
間をtとすると、エミッタ先端の鈍化率(dr/dt)
で表される。この鈍化率は、次の式により表される。
m]、γは表面張力[dyne/cm]で、(dr/d
t)O は、電界のない場合、すなわち、エミッタ温度T
のみでのエミッタの鈍化率であり、これは、次のように
表される。
面積[cm2 ]、DOは拡散度[cm2 /sec]、E
dは表面拡散活性化エネルギ[eV]、αはエミッタの
コーン角[rad]である。
t)の符号は、1−(γF2 /8πr)により定まるこ
とがわかる。すなわち、エミッタ先端での電界強度Fの
値により、鈍化率(dr/dt)の符号は、次のように
分類される。
で、エミッタ先端半径は次第に大きくなり、エミッタ形
状が変化していき、エミッションが不安定となる。条件
(b)の場合は、表面拡散力と静電力とが釣り合ってい
る状態で、鈍化率(dr/dt)は0となり、計算上で
はエミッタ形状は変化しない。しかし、エミッタ先端で
の電界強度は非一様なために、この状態を維持するのは
極めて困難であり、実際にはエミッタ形状が変化する。
dt)が負で、計算上ではエミッタ形状は細くなる。し
かし、実際には、鈍化率(dr/dt)が負であっても
0に近いときに、フィールドビルトアップ(Field Buil
dup )と呼ばれる複雑な工程が発生し、エミッタ表面に
多面体が生じ、エミッタ先端に形状の安定したファセッ
トが形成される。すなわち、前記した条件(a)および
(b)の場合には、エミッタ形状が不安定となり、条件
(c)の場合には安定となる。これらのことから、エミ
ッションは、条件(c)において、エミッタ先端での電
界強度Fが条件(b)の場合の電界強度より少し大きい
場合に安定することがわかる。
いては、エミッタ半径rが、ほぼ0.5μmの場合、エ
ミッタ先端部の電界強度をほぼ2×107 (V/cm)
〜3×107 (V/cm)に、エミッタ先端部の温度を
ほぼ1800Kにすることで得られる。この場合に、エ
ミッタ先端部には、前記平坦電子放出面が形成される
が、上述した問題点が残るのである。
するために、エミッタ先端近傍の電界強度Fをほぼ4×
106 (V/cm)〜6×106 (V/cm)にするた
めに、エミッタ先端半径rをほぼ2.0μm〜4μmと
したものである。これは、前記した条件(b)の(dr
/dt)=0となる場合の電界強度条件式 FO =(8πγ)1/2 ≠8.1×104 r-1/2 [V/
cm] から、r=2.0μmの時、FO =5.7×106 (V
/cm)、r=4.0μmの時、FO =4.05×10
6 (V/cm)となることから見積もった。
106 (V/cm)より小さくなると、エミッション量
が電子顕微鏡に供するには小さくなってしまい、このこ
とから、エミッションが安定し、かつ、ΔEをほぼ0.
5eVにするエミッタ先端半径の大きさは、最大r=
4.0μmくらいが限度である。
の大きさが大きくなってしまい、かえって電子プローブ
径を大きくしてしまう。更に、従来のエミッタ半径rが
ほぼ0.5μmのエミッタでは、エミッタ先端部の安定
条件(c)を少しでも外れると、式(1)による(dr
/dt)が大きいため、エミッタ先端での形状が崩れだ
し、すぐに、エミッションがなくなってしまう。しか
し、エミッタ半径がほぼ2μm〜4μmでは、条件
(c)から外れても、drが極めて小さいため、エミッ
タ先端部位が崩れることはなく、エミッションも安定す
る。
の熱電界放出電子銃のように、電子ビームを安定化させ
る条件(c)を満足するような、ほぼ2×107 (V/
cm)〜3×107 (V/cm)の電界強度をエミッタ
先端部にかけ、平坦電子放出面を形成する必要はなく、
ΔEを下げるために、むしろ、条件(a)となるような
電界強度を与える。
電子放出システムの設計に用いられる条件(c)を満足
するようなエミッタ先端径rに見合う電界強度をかけ
て、平坦電子放出面を形成するのではなく、本発明で
は、エミッタ半径rをほぼ2μm〜4μmにし、条件
(a)を満足するようなエミッタ半径rに見合う電界強
度をかけ、ΔEを低め、かつ、電子ビームの安定度を得
るようにしている。
界放出電子銃は、エミッタと引出電極とを備えており、
エミッタを加熱すると共に、エミッタと引出電極との間
に引出電圧を印加するようにした熱電界放出電子銃にお
いて、エミッタ先端部の半径をほぼ2μm〜4μmと
し、エミッタの先端部に数層から数十層の積層電子放出
面を設けたことを特徴としている。
径をほぼ2μm〜4μmとし、エミッタの先端部に数層
から数十層の積層電子放出面を設けた。請求項2の発明
は、請求項1記載の熱電界放出電子銃において、数層か
ら数十層の積層電子放出面により、エミッタ先端部の形
状をほぼ球状としたことを特徴としている。
放出電子銃において、積層電子放出面の近傍の電界強度
が、ほぼ4×106 (V/cm)〜6×106 (V/c
m)の範囲となるように、引出電圧を設定したことを特
徴としてる。
放出電子銃において、放出される電子ビームのエネルギ
幅をほぼ0.5eV以下としたことを特徴としている。
請求項5の発明は、請求項3記載の熱電界放出電子銃に
おいて、エミッタの温度をほぼ1800Kとしたことを
特徴としている。
放出電子銃において、エミッタ先端部の半径rと、エミ
ッタ先端に形成された積層電子放出面の積層電子放出面
最外郭半径aとの比(a/r)をほぼ0.4としたこと
を特徴としている。
電極とを備えており、エミッタを加熱すると共に、エミ
ッタと引出電極との間に引出電圧を印加するようにした
熱電界放出電子銃用のエミッタの製造方法において、真
空中においてエミッタをほぼ1800Kに加熱しつつ、
エミッタ先端部の電界強度をほぼ4×106 (V/c
m)〜6×106 (V/cm)の範囲に維持し、エミッ
タ先端部に数層から数十層からなる積層電子放出面を形
成させるようにしたことを特徴としている。
施の形態を詳細に説明する。図4は本発明に基づく熱電
界放出電子銃の基本構成を示している。図中10はエミ
ッタであり、エミッタ10はタングステン単結晶の先端
をZrO2 によって表面処理をして形成されており、Z
r/O/W(100)複合体とされている。このエミッ
タ10は、図示していないが、タングステン製のフィラ
メントにスポット溶接等により取り付けられている。こ
のフィラメントに加熱電流を供給することにより、フィ
ラメントを加熱し、その結果、間接的にエミッタ10を
加熱するように構成されている。
が配置され、エミッタ10と引出電極11との間には、
図示していない引出電圧電源から所望の引出電圧が印加
される。この引出電圧の印加により、エミッタ10先端
部の電子放出面12から電子が放出される。放出された
電子は、引出電極11の先に設けられた接地電位のアノ
ード(図示せず)によって加速される。なお、エミッタ
10とアノードとの間には、加速電圧が印加される。
す。図5(a)はエミッタ10の先端部位を真横から見
た図、図5(b)はエミッタ先端部を少し傾斜させて見
た図である。
作される。まず、エミッタ半径rをほぼ2μm〜4μm
にし、真空中にて、前記した条件(a)を満足するよう
なエミッタ先端半径rに見合う電界強度(ほぼ4×10
6 (V/cm)〜6×106(V/cm))をかける。
そして、エミッタ先端部温度をほぼ1800Kとして、
電子放出をほぼ24時間続ける。
の先端部には、結晶成長とエミッタ先端部位の表面張力
と電界による吸引力との釣り合いから、層の厚みdがほ
ぼ0.01nm〜0.2nmである(100)方位に垂
直な半径の異なる同心円板状の層が、数〜数十層積み重
ねられた積層電子放出面12が形成される。この積層電
子放出面12の拡大図を図6に示す。
は、一度形成されると、エミッタ先端半径rがほぼ2μ
m〜4μmのため、(dr/dt)が極めて小さく、熱
電界放出電子銃の寿命(通例、塗布されたZrOが消失
するまでの期間、ほぼ5000時間以上)内で、消失す
ることはない。
出面12を形成すると、エミッタ先端部が従来の平坦電
子放出面ではなく、積層構造になっているため、電界強
度が緩和され、エミッタの放出電子密度分布が、一様な
放出電子密度分布となるため、電子間相互作用が弱ま
り、エネルギ分布幅ΔEが更に小さくなる。
の放出角(rad)であり、縦軸は放出電子密度であ
る。この図7のAの分布は従来の平坦電子放出面による
もの、Bの分布は本発明の積層構造の電子放出面による
ものである。
の先端に形成された積層電子放出面の積層電子放出面最
外郭半径aとの比(a/r)は、従来の熱電界放出電子
銃における、エミッタ先端半径rと平坦電子放出面の平
坦電子放出面半径bとの比(b/r)がほぼ0.3であ
るのに対し、ほぼ0.4となる。なお、このメカニズム
は不明だが、実験的にほぼ0.4となり、本発明による
エミッタの特徴である。また、エミッタ10の先端部1
4は、積層電子放出面12を含め、全体として球状に形
成される。
施の形態に限定されない。例えば、エミッタの材料はタ
ングステンに限定されず、他の材料からなるエミッタで
も使用することができる。
半径をほぼ2μm〜4μmとし、エミッタの先端部に数
層から数十層の積層電子放出面を設けた。その結果、放
出される電子ビームのエネルギ分布幅を著しく小さくす
ることができる。また、一様な放出電子密度の電子ビー
ムを得ることができると共に、長時間安定なエミッショ
ンを維持させることができる。
り、エミッタ先端部にかかる電界強度が緩和されるた
め、積層電子放出面が崩れにくくなり、エミッションノ
イズを極めて小さくすることができる。そして、このよ
うな電子銃を電子顕微鏡に用いると、電子レンズによる
色収差を小さくできるので、電子顕微鏡の分解能を向上
させることができる。
放出電子銃において、数層から数十層の積層電子放出面
により、エミッタ先端部の形状をほぼ球状としたことを
特徴としている。したがって、電子放出方向が球を中心
とする放射状に近付き、仮想光源を小さくすることがで
きる。
放出電子銃において、積層電子放出面の近傍の電界強度
が、ほぼ4×106 (V/cm)〜6×106 (V/c
m)の範囲となるように、引出電圧を設定したことを特
徴としており、請求項1と同様な効果が達成される。
放出電子銃において、放出される電子ビームのエネルギ
幅をほぼ0.5eV以下としており、電子ビームのエネ
ルギ分布幅を著しく小さくすることができる。
放出電子銃において、エミッタの温度をほぼ1800K
としたことを特徴としており、請求項1と同様な効果が
達成される。
放出電子銃において、エミッタ先端部の半径rと、エミ
ッタ先端に形成された積層電子放出面の積層電子放出面
最外郭半径aとの比(a/r)をほぼ0.4としてお
り、請求項1と同様な効果が達成される。
電極とを備えており、エミッタを加熱すると共に、エミ
ッタと引出電極との間に引出電圧を印加するようにした
熱電界放出電子銃用のエミッタの製造方法において、真
空中においてエミッタをほぼ1800Kに加熱しつつ、
エミッタ先端部の電界強度をほぼ4×106 (V/c
m)〜6×106 (V/cm)の範囲に維持し、エミッ
タ先端部に数層から数十層からなる積層電子放出面を形
成させるようにしたことを特徴としている。したがっ
て、このような製造方法に基づいて作成されたエミッタ
を用いる電子銃は、請求項1と同様な効果が得られる。
分布幅との関係を示す図である。
示す図である。
ある。
Claims (7)
- 【請求項1】 エミッタと引出電極とを備えており、エ
ミッタを加熱すると共に、エミッタと引出電極との間に
引出電圧を印加するようにした熱電界放出電子銃におい
て、エミッタ先端部の半径をほぼ2μm〜4μmとし、
エミッタの先端部に数層から数十層の積層電子放出面を
設けたことを特徴とする熱電界放出電子銃。 - 【請求項2】 数層から数十層の積層電子放出面によ
り、エミッタ先端部の形状をほぼ球状とした請求項1記
載の熱電界放出電子銃。 - 【請求項3】 積層電子放出面の近傍の電界強度が、ほ
ぼ4×106 (V/cm)〜6×106 (V/cm)の
範囲となるように、引出電圧を設定した請求項1記載の
熱電界放出電子銃。 - 【請求項4】 放出される電子ビームのエネルギ幅がほ
ぼ0.5eV以下である請求項1記載の熱電界放出電子
銃。 - 【請求項5】 エミッタの温度をほぼ1800Kとした
請求項3記載の熱電界放出電子銃。 - 【請求項6】 エミッタ先端部の半径rと、エミッタ先
端に形成された積層電子放出面の積層電子放出面最外郭
半径aとの比(a/r)をほぼ0.4とした請求項1記
載の熱電界放出電子銃。 - 【請求項7】 エミッタと引出電極とを備えており、エ
ミッタを加熱すると共に、エミッタと引出電極との間に
引出電圧を印加するようにした熱電界放出電子銃用のエ
ミッタの製造方法において、真空中においてエミッタを
ほぼ1800Kに加熱しつつ、エミッタ先端部の電界強
度をほぼ4×106 (V/cm)〜6×106 (V/c
m)の範囲に維持し、エミッタ先端部に数層から数十層
からなる積層電子放出面を形成させるようにした熱電界
放出電子銃用のエミッタの製造方法。
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JP02870797A JP3397616B2 (ja) | 1997-02-13 | 1997-02-13 | 熱電界放出電子銃および熱電界放出電子銃用エミッタの製造方法 |
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