JPH10227290A - 油回転ポンプ - Google Patents

油回転ポンプ

Info

Publication number
JPH10227290A
JPH10227290A JP28414597A JP28414597A JPH10227290A JP H10227290 A JPH10227290 A JP H10227290A JP 28414597 A JP28414597 A JP 28414597A JP 28414597 A JP28414597 A JP 28414597A JP H10227290 A JPH10227290 A JP H10227290A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
rotary pump
oil rotary
pump
cylinder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Ceased
Application number
JP28414597A
Other languages
English (en)
Inventor
Tadahiro Omi
忠弘 大見
Takehisa Nitta
雄久 新田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
URUTORA CLEAN TECHNOL KAIHATSU
URUTORA CLEAN TECHNOL KAIHATSU KENKYUSHO KK
Original Assignee
URUTORA CLEAN TECHNOL KAIHATSU
URUTORA CLEAN TECHNOL KAIHATSU KENKYUSHO KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by URUTORA CLEAN TECHNOL KAIHATSU, URUTORA CLEAN TECHNOL KAIHATSU KENKYUSHO KK filed Critical URUTORA CLEAN TECHNOL KAIHATSU
Priority to JP28414597A priority Critical patent/JPH10227290A/ja
Publication of JPH10227290A publication Critical patent/JPH10227290A/ja
Ceased legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Applications Or Details Of Rotary Compressors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、稼働している油回転ポンプの油中
に含まれた、気体成分、金属片などの異物、又は/及び
水分を取り除くことにより、広範囲な圧力範囲で高い排
気速度を有する油回転ポンプを提供する。 【解決手段】 本発明の油回転ポンプは、油が供給され
たシリンダの内部をロータが回転する構造体をケースに
内蔵した油回転ポンプにおいて、前記シリンダの外部に
油の循環機構を有し、前記循環機構が、油の循環用ポン
プと、脱気モジュールと、脱気モニタにより構成されて
いることを特徴とする。また、前記循環機構は、フィル
タや熱交換装置を有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、油回転ポンプに係る。
より詳細には、稼働中の油回転ポンプにおいて、油中に
混入した気体成分および異物を除去できる油回転ポンプ
に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体や液晶分野などでは、リアクティ
ブイオンエッチング(RIE)や気相成長法(CV
D)、スパッタリングなど真空を利用するプロセスが多
数存在する。これらのプロセスでは、不純物を徹底的に
低減することが必要であることから、プロセスチャンバ
内部を超高真空まで排気して不純物を除去した後、所望
の圧力で各種プロセスを行っている。
【0003】チャンバを超高真空まで排気する手段とし
ては、複数のポンプを多段に接続したものが多用され
る。例えば、ターボ分子ポンプ(TMP)とバックポン
プとの組み合わせが挙げられる。バックポンプとして
は、通常ドライポンプが使用されているが、ドライポン
プは文字どおり潤滑油などの油類を使用しておらず、さ
らにターボ分子ポンプに磁気軸受型のTMPを使用すれ
ば、ポンプからの不純物(油)がチャンバ汚染すること
がなく、チャンバ内部は清浄に保たれる。
【0004】ところで、これらのポンプは「真空技術」
として開発されたものである。すなわち、チャンバ内部
の圧力が十分低い(高真空の)場合に、極少量のガス
(例えば、チャンバ内表面から脱離するH2O)を排気
するために開発されたものである。しかしながら、半導
体分野ではウェハ表面で反応を起こす必要があることか
ら、比較的高い圧力(例えば、10Pa〜10-2Pa
台)で、かつ大量のガス(例えば、数百sccm)を流
しながらプロセスを行っている。ここに大きな違いがあ
るため、現在半導体分野で使用しているポンプは、半導
体プロセスには適しているとは言えない。
【0005】図11は、従来の代表的なドライポンプの
特性曲線(排気速度と吸気口圧の関係)と、1000
(sccm)の窒素ガスを流したときのガス負荷直線と
を示したグラフである。ドライポンプの吸気口圧が1
(Torr)より低くなると、排気速度が急激に減少し
ていることが分かる。ドライポンプの特性曲線とガス負
荷直線の交点が、1000(sccm)のガスを流した
ときのドライポンプの吸気口圧、すなわちTMPの背圧
である。TMPのカタログに載っているデータには、ガ
ス分子の圧縮比がその背圧の関数として与えられている
が、ほとんどの場合は背圧が0.1〜1(Torr)の
領域で急激に圧縮比が劣化する。これは背圧の上昇に伴
い、TMP内で粘性流の領域が低真空側から次第に広が
っていくためで、二次側の不純物の一次側への逆流が増
えることを意味している。1000(sccm)のガス
を流しながら、かつ劣化が起こらない領域、例えば背圧
0.1(Torr)でTMPを使用するためには、TM
Pの背圧すなわちドライポンプの吸気口圧0.1(To
rr)でのドライポンプの排気速度を、図11の点Aま
で上げる必要があるが、これは非常に困難である。
【0006】ところで、ドライポンプ以外の代表的なバ
ックポンプとしては、例えば図12に示すような回転翼
形油回転ポンプが挙げられる。
【0007】図12において、1201は油回転ポンプ
本体のケース、1202はシリンダ、1203はロー
タ、1204は翼板、1205はばね、1206は排気
弁、1207は油回転ポンプの油、1208は吸気口、
1209は排気口である。
【0008】このような油回転ポンプは、油を使用して
排気するポンプであり、0.01〜1(Torr)付近
のやや分子流領域に入ったところでの気密シールは、機
械的なシールであるドライポンプより、油でシールする
油回転ポンプの方が圧倒的に優れているが、油回転ポン
プは油を使用しているため、以下に示すような種々の問
題が存在する。
【0009】(a)油中に気体成分が混入してしまうた
め、ポンプの排気性能が悪くなってしまう。 (b)ポンプ内部で磨耗して発生した金属片や、プロセ
スガスが原因で発生した異物が油中に混入して異物かみ
こみによるトラブルが発生するうえ、加工精度を高めら
れないのでポンプが大型化してしまう。 (c)ポンプを運転していると、その熱によって油回転
ポンプで使用している油が蒸発してチャンバに逆拡散す
る。これは不純物を非常に嫌う半導体プロセスにとって
は致命的な問題である。 (d)排気するガス中に半導体プロセスで多用されてい
る臭素や塩素といった腐蝕性ガスがふくまれると、油中
に含有されている水分(チャンバから混入した水分と大
気側から混入した水分)とがあいまって油が劣化するた
め、油の交換のために装置を停止する必要がある、すな
わち装置の稼働率が低下してしまう。
【0010】上述した問題を解決する方法としては、次
のような技術が開示されている。 (1)オイルボックスの底部にフィルタを設け、油回転
ポンプの排気弁を前記フィルタ下部の沈殿部に通し、水
分や異物を取り除いた油だけ再び油回転ポンプに戻して
利用する方法(特開昭58−13186号公報)。 (2)油回転ポンプの油中に含まれるガス(プロセスガ
ス)を、ガス吸着性中和性フィルタ(例えば、モレキュ
ラーシーブ)で除去する方法(特開昭60−51511
号公報)。 (3)油回転ポンプの油中に含まれる固形の異物はフィ
ルタで除去し、溶存ガスはヒータで加熱して蒸発させて
除去する方法(特開昭59−230602号公報)。 (4)油回転ポンプのオイルケースを仕切板によって上
下二室に分離し、かつ油をフィルタで浄化し、浄化され
た油を再び油回転ポンプに戻して利用する方法(特開昭
61−81596号公報)。 (5)油の浄化装置にN2バブリング装置を設け、油中
に溶存しているプロセスガスを排出する方法(特開昭6
2−7408号公報)。 (6)油回転ポンプにエアーを送り込んで、油中に含ま
れる水分の蒸発を促進する方法(特開平4−14049
3号公報)。
【0011】しかしながら、上記従来技術には、次のよ
うな問題点があった。 上記(1)及び(4)の技術では、溶存ガスの除去
ができない。 上記(2)の技術では、ガスの脱気は不十分。 上記(3)の技術では、油の消費が早く、低コスト
での運用が難しい。 上記(5)の技術では、N2をバブリングすること
により、油中にN2が溶解してしまう。 上記(6)の技術では、水分以外の溶存気体は除去
できない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、稼働してい
る油回転ポンプの油中に含まれた、気体成分、金属片な
どの異物、又は/及び水分を取り除くことにより、広範
囲な圧力範囲で高い排気速度を有する油回転ポンプを提
供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の油回転ポンプ
は、油が供給されたシリンダの内部をロータが回転する
構造体をケースに内蔵した油回転ポンプにおいて、前記
シリンダの外部に油の循環機構を有し、前記循環機構
が、油の循環用ポンプと、脱気モジュールと、脱気モニ
タにより構成されているため、油の循環用ポンプで油中
の気体成分を含む油全体を誘導し、脱気モジュールで油
中の気体成分を取り除き、脱気モニタで油中に残存する
気体成分の量を管理しながら、油回転ポンプを稼働させ
ることができる。その結果、油中に含まれる気体成分の
量を、低水準に安定して維持できるため、優れた排気特
性の油回転ポンプが得られる。
【0014】また、前記循環機構がフィルタを有するこ
とにより、油中に含まれている異物も除去できるため、
油回転ポンプの排気特性が向上する。常に異物が除去さ
れてから、清浄な油が油回転ポンプに供給されるため、
異物かみこみによるトラブル発生が低減する。ポンプの
メンテナンス周期や寿命を延ばすことができるため、油
回転ポンプの稼働率が向上する。また、加工精度を高め
ることができるため、ポンプの大きさが同じでも、排気
速度の向上が可能となる。
【0015】さらに、前記循環機構が熱交換装置を有す
ることにより、循環機構を経て稼働中の油回転ポンプに
戻る油の温度を所望の温度とすることができる。特に、
熱交換装置を水冷構造とすることにより、油の温度上昇
を防ぐとともに、油の温度を室温付近に保つことが可能
となり、油の蒸発量が減少し、油成分が油回転ポンプの
吸気口側に逆流するのを防ぐことができる。すなわち、
吸気口側が接続された各種チャンバの内部を汚染するこ
とが無い油回転ポンプが得られる。また、稼働中の油回
転ポンプに、制御された温度の油が安定して供給される
ため、排気特性がさらに改善する。
【0016】またさらに、前記ケース又は/及び前記シ
リンダに冷却する手段を設けたことにより、油回転ポン
プの内部にある油の温度を所定の温度に維持できるた
め、ポンプ全体さらには油の温度上昇を抑えることがで
き、油成分が油回転ポンプの吸気口側に逆流するのを防
ぐことができる。その結果、より安定な排気特性を有す
る油回転ポンプが得られる。
【0017】次に、油回転ポンプの吸気口側に、該油回
転ポンプが排気する真空チャンバ内で行われるプロセス
に影響しないガスの導入手段を有することにより、油成
分が油回転ポンプの吸気口側に逆流するのを防ぐことが
できる。また、排気口側に不活性気体の導入手段を有す
ることにより、油と大気成分(特に水分)が混合するこ
とを防ぐことができる。その結果、油の劣化を防ぐこと
が可能となり、油の交換が不要になる、もしくは交換頻
度が大幅に減少する。
【0018】また、油回転ポンプのロータがスクリュー
構造であり、かつ、そのスクリュー構造の回転軸を重力
の働く方向と平行に配置するとともに、油回転ポンプの
吸気口をスクリュー構造の上方に、油回転ポンプの排気
口は該スクリュー構造の下方に、それぞれ設けた場合
は、スクリュー構造の回転軸を重力の働く方向と垂直に
配置した場合に比べて、30%程度油の逆拡散を抑制す
ることができる。
【0019】さらに、油回転ポンプのロータがスクリュ
ー構造であり、かつ、そのスクリュー構造は、減圧側か
ら大気圧側に近づくにつれてスクリューのピッチが徐々
に狭くなっている又は/及びスクリューの傾斜角が小さ
くなっているので、同じ容量のポンプでも、ポンプ本体
の大きさを小さくすることができる。換言すれば、ポン
プ本体の大きさが従来のポンプと同じ場合は、より排気
速度が大きく、排気特性の優れた油回転ポンプが得られ
る。
【0020】またさらに、シリンダの内部へ油を供給す
る油供給口を、スクリュー構造の回転軸と平行に配置さ
れたシリンダの側壁に設けたことにより、スクリューの
ピッチの設定やスクリューの傾斜角の設定に影響される
ことなく、油回転ポンプの吸気口と排気口との間におい
て任意の位置から油の供給が可能となる。
【0021】特に、スクリュー構造の回転軸と平行に配
置されたシリンダの側壁に設けた油供給口の位置を、油
回転ポンプの吸気口と排気口の中間領域に設けることに
よって、油の逆拡散を低く抑えるとともに、ポンプの吸
気口における到達真空度を向上させることができる。
【0022】また、油回転ポンプの吸気口に流れ込むガ
スの流量に応じて、ロータの回転速度を制御する手段を
備えたことにより、該油回転ポンプが排気する真空チャ
ンバ内でプロセスが中断されている場合には、ロータの
回転速度を下げることが可能となる。油回転ポンプの吸
気口に所定の流量ガスを流すことによって、ロータの回
転速度を下げても、真空チャンバ内への逆拡散の発生を
防ぐことができる。その結果、ポンプの電力使用量を抑
えることが可能となり、大幅なランニングコストの低減
を図ることができる。
【0023】さらに、油回転ポンプのシリンダがガスに
接触する部分の温度を120℃以上に均一に保持する手
段を備えたことによって、長期間使用した際に発生した
シリンダ内部への堆積膜の付着量を著しく減らすことが
可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る油回転ポン
プの一例を示す概略図である。図1において、101は
油が供給されたシリンダの内部をロータが回転する構造
からなる油回転ポンプ本体、102は前記シリンダの外
部に設けた前記シリンダの内部にある油の循環機構であ
る。
【0025】ポンプ本体101は、真空排気される内部
空間を有するチャンバ(不図示)に繋がる吸気口(不図
示)と、吸気口から取り込んだ気体をポンプ本体101
の外(すなわち大気圧空間)に排出する排気口(不図
示)を有する。
【0026】油の循環機構102は、油の循環用ポンプ
103と、脱気モジュール104と、脱気モニタ105
により構成されている。
【0027】油の循環用ポンプ103は、油回転ポンプ
本体101のケース内部にある油を、油の循環機構10
2に設けた脱気モジュール104へ強制的に移動させる
ための手段である。
【0028】脱気モジュール104としては、例えば図
2に示すものが挙げられる。図2において、201は脱
気モジュール本体、202は脱気モジュール本体の中に
設けられた多数の中空糸状の脱気膜、203は中空糸の
中を排気する排気手段(不図示)に繋がる排気口、20
4は脱気モジュール本体201の内壁と脱気膜202と
の間に形成された空間に油を供給する供給口であり、2
05は排出口である。脱気膜202の中は、排気手段
(不図示)により適宜減圧状態にあり、脱気モジュール
本体201の内壁と脱気膜202との間に供給された油
から、気体のみを吸引・除去することができる。油中に
含まれた気体が除去された油は、排出口205を通して
脱気モジュール104から排出される。このとき脱気膜
202を形成する中空糸としては、例えば太さが外径
0.6mm、内径0.4mm程度のシリコンゴムからな
るものが好適に用いられる。また、図2では、脱気膜2
02の中を減圧し、脱気モジュール本体201の内壁と
脱気膜202との間に油を供給したが、減圧と油の供給
を逆にしても構わない。すなわち、脱気膜202の中に
油を流し、脱気モジュール本体201の内壁と脱気膜2
02との間を減圧する構造としても良い。
【0029】脱気モニタ105は、脱気モジュール10
4から排出された油に含有される残存ガスを調べる手段
である。例えば、N2モニタ、CO2モニタなど、熱伝導
を利用した各種モニタが好適に用いられる。脱気モニタ
105を常時on又は適宜onしながら、油の循環機構
102を動作させることによって、油回転ポンプを稼働
させながら油中の残存ガス量の監視が可能となる。
【0030】図4は、本発明に係る油回転ポンプの他の
一例を示す概略図であり、図1における油の循環用ポン
プ103と脱気モジュール104との間に、フィルタ1
06を設けた場合である。フィルタ106としては、例
えば日本ポール社製のPMMメタルメンブレン(0.1
μmを90%)からなるフィルタなどが挙げられる。
【0031】図5は、本発明に係る油回転ポンプの他の
一例を示す概略図であり、図1における脱気モニタ10
5の後に熱交換装置107を設けた場合である。熱交換
装置707としては、例えば図6に示すような構造を有
するものが挙げられる。図6の熱交換装置は、伝熱性が
高く、強度的にも優れた材料(例えば、ステンレス)か
らなる隔壁601を設け、隔壁一方の側に油を流し、他
方の側に冷却水を流すことによって、油の温度を減少さ
せることができる。
【0032】図7は、本発明に係る油回転ポンプの他の
一例を示す概略図であり、図1における油回転ポンプ本
体101のケース又は/及びシリンダに、冷却する手段
108を設けた場合である。シリンダを冷却する手段1
08は、シリンダの内壁及び外壁に接している油の温度
上昇を抑えることが目的である。
【0033】図8は、本発明に係る油回転ポンプの他の
一例を示す概略図であり、図1における油回転ポンプ本
体101の吸気口側又は/及び排気口側に、不活性気体
の導入手段109を設けた場合である。不活性気体と
は、窒素ガス、希ガス(Heガス、Arガス、Xeガス
等)を指す。不活性気体の導入手段109は、不活性気
体の供給源と、その供給量を制御する機構からなり、供
給量は適宜調整される。
【0034】図9は、本発明に係る油回転ポンプのロー
タがスクリュー構造からなっている状態を示す概略図で
ある。図9(a)はロータの外観を示しており、図9
(b)は、そのスクリュー構造は、減圧側から大気圧側
に近づくにつれてスクリューのピッチが徐々に狭くなっ
ている様子を示す模式図である。
【0035】図9において、901は油回転ポンプの外
壁、902はシリンダ、903は油回転ポンプの油、9
04はスクリュー構造のロータ、905はモータ、90
6はモータ905の回転をロータに伝える回転軸、90
7は排気弁である。
【0036】図9において、不図示の油供給口からポン
プ内に注入された油回転ポンプの油903は、シリンダ
とモータ軸の接する部分(付近)からシリンダ内部に供
給される。その油はモータ軸を伝わって、あるいはシリ
ンダ内部に滴下したあと、ロータ外周部に回り込み、ロ
ータとシリンダとの間でシール材として作用する。その
のち、気体を含んだ油は、他の気体とともに排気弁90
7からシリンダ外に出て、再び油903と混合される。
油903は、油循環機構102によって脱気、浄化、室
温まで冷却され、再び油903と混合する。
【0037】また、図10に示すように、油回転ポンプ
のロータが2個のスクリュー構造からなるもの(904
a、904b)であっても構わない。図10において、
実線で示したものがスクリュー構造からなるロータ(9
04b)の回転軸である。
【0038】ここで、図9及び図10は模式図であり、
図中に示した構造物のサイズは実際のサイズとは異な
る。また、スクリューの凹凸形状や凹凸の差などピッチ
以外の因子は、適宜調整して構わない。
【0039】図13は、2個のスクリュー構造からなる
ロータを備えた油回転ポンプの一例を示す模式的な断面
図である。
【0040】図13において、1301はスクリュー構
造の回転軸と平行に配置されたシリンダの側壁すなわち
ステーター、1302はロータとして機能する2個のス
クリュー構造、1303は吸気口、1304は排気口、
1305は2つのベアリング、1306はタイミングギ
ヤ、1307はモータ、1308、1309は油供給口
である。
【0041】図13に示した油回転ポンプでは、モータ
1307の回転は、タイミングギヤ1306を介して2
つのベアリング(1305a、1305b)に伝えら
れ、これによって2個のスクリュー構造(1302a、
1302b)は互いに同じ回転数で逆に回転する。
【0042】不図示のガス供給手段を用いて、吸気口に
はプロセスに影響しないガスを、排気口には不活性ガス
を適宜流すことにより、油の逆拡散や油と大気成分(特
に水分)の混合を防ぐことができる。
【0043】吸気口へプロセスに影響しないガスを流し
た場合の効果を調べるための測定系としては、例えば図
15に示すものが挙げられる。図15において、150
1は油回転ポンプ、1502は吸気口、1503は吸気
口へ導入するプロセスに影響しないガス(例えばN2
ス)の流量を調べるマスフローコントローラ、1504
は流量調節弁、1505はターボ分子ポンプ、1506
はバックポンプ、1507は四重極質量分析装置、15
08はB−Aゲージからなる真空計、1509はシュル
ツゲージからなる真空計である。これらは、図15に示
すように配管によって接続されている。ここで、吸気口
にはプロセスに影響しないガスを流す手段は、マスフロ
ーコントローラ1503とガスを吸気口に導く配管部で
あり、油の逆拡散を把握する手段は、四重極質量分析装
置1507である。吸気口における到達真空度を調べる
手段は、真空計1509を用いる。
【0044】また、スクリュー構造1302は、減圧側
から大気圧側に近づくにつれてスクリューのピッチが徐
々に狭くする又は/及びスクリューの傾斜角を小さくす
ることで、排気速度が向上するため好ましい。すなわ
ち、図14に示した、等ピッチ・等傾斜角のスクリュー
構造(a)に比べて、不等ピッチ・不等傾斜角のスクリ
ュー構造(b)の方が、優れた排気特性が得られる。
【0045】さらに、シリンダの内部へ油を供給する油
供給口(1308、1309)を、スクリュー構造の回
転軸と平行に配置されたシリンダの側壁すなわちステー
ター1301に設けることで、油回転ポンプの吸気口と
排気口との間において任意の位置から油の供給が可能な
り、特に、油回転ポンプの吸気口と排気口の中間領域に
設けることによって、油の逆拡散が抑制でき、かつ、ポ
ンプの吸気口における到達真空度も向上できる。
【0046】また、シリンダのガスに接触する部分の温
度を120℃以上に均一に保持する手段を備えること
で、シリンダ内部への堆積膜の付着量が減少できる。
【0047】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の油回転ポンプ
を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。
【0048】(実施例1)本例では、図1に示した油回
転ポンプを用い、油回転ポンプの吸気側に流す窒素ガス
の流量を変えることにより油回転ポンプの吸気側の圧力
を変化させて、油回転ポンプの排気速度を調べた。窒素
ガスは、油回転ポンプの吸気側に接続した、ほぼ球形の
内壁を有するテスト・ドーム内に導入した。吸気側の圧
力は、テスト・ドームに設けた真空計で測定した。
【0049】図1の油回転ポンプ本体101としては、
ゲーデ型油回転ポンプを用いた。ポンプ本体のケース内
にある油の循環機構102を設けた。油の循環機構10
2は、油の循環用ポンプ103と、脱気モジュール10
4と、脱気モニタ105により構成されている。
【0050】ポンプ本体のケース内にある油は、油の循
環用ポンプ103を用いて単位時間あたり40リットル
循環させた。脱気モジュール104は図中に示すよう
に、多数の中空糸状の脱気膜から構成されている。中空
糸の外側に油を流し、中空糸の内側は不図示のポンプで
真空に排気した。このため、油に含有されている気体成
分のみ中空糸の外側から内側に排気される。脱気モニタ
105は、脱気モジュール104を通過した油に残存し
ている気体の量、すなわち脱気の程度を調べれるために
設けた。
【0051】図3は、油回転ポンプの吸気側の圧力と、
油回転ポンプの排気速度との関係を調べた結果を纏めた
グラフである。図3における曲線が、油の循環機構1
02を設けて油を脱気した本例の結果である。
【0052】(比較例1)本例では、油回転ポンプに油
の循環機構を用いなかった点が実施例1と異なる。すな
わち、本例は、脱気モジュールを持たない従来例に相当
する。他の点は、実施例1と同様とした。
【0053】図3における曲線が、油の循環機構10
2を設けず油を脱気しなかった本例の結果である。
【0054】図3から、実施例1の油の循環機構102
を有する油回転ポンプは、吸気側の広い圧力範囲に対し
て高い排気速度が得られることが分かった。また、実施
例1の油の循環機構102を有する油回転ポンプでは、
排気速度が急激に低下する吸気口圧力が比較例1に比べ
て1桁程度低圧側にシフトしており、高い排気速度が安
定して得られる吸気口圧力の範囲が広くなっていること
も確認された。
【0055】また、脱気モニタの測定から、実施例1の
油の循環機構102を有する油回転ポンプを用いた場合
には、油中に含まれる窒素ガスの量が著しく減っている
ことが分かった。
【0056】(実施例2)本例では、図5に示す油の循
環機構102を有する油回転ポンプを検討した。すなわ
ち、油の循環用ポンプ103と脱気モジュール104と
の間に、フィルタ106を付加した点が実施例1と異な
る。他の点は、実施例1と同様とした。
【0057】実施例1と同様に、油回転ポンプの吸気側
に流す窒素ガスの流量を変えることにより油回転ポンプ
の吸気側の圧力を変化させて、油回転ポンプの排気速度
を調べた。
【0058】図3における曲線が、油の循環機構10
2にフィルタを設けた本例の結果である。
【0059】図3の曲線は、曲線より高い排気速度
が得られることが分かった。また、排気速度が急激に低
下する吸気口圧力も、さらに低圧側にシフトしており、
高い排気速度が安定して得られる吸気口圧力の範囲も広
がった。
【0060】また、上記排気特性を調べた後、油の循環
機構102に設けたフィルタの表面分析を行った。その
結果、油に含有していた異物が多数検出された。
【0061】(実施例3)本例では、図5に示す油の循
環機構102を有する油回転ポンプを検討した。すなわ
ち、脱気モニタ105の後に熱交換装置107を付加し
た点が実施例2と異なる。他の点は、実施例2と同様と
した。
【0062】実施例1と同様に、油回転ポンプの吸気側
に流す窒素ガスの流量を変えることにより油回転ポンプ
の吸気側の圧力を変化させて、油回転ポンプの排気速度
を調べた。
【0063】図3における曲線が、油の循環機構10
2に熱交換装置を設けた本例の結果である。
【0064】図3の曲線は、曲線に比べて排気速度
が急激に低下する吸気口圧力が、さらに低圧側にシフト
しており、高い排気速度が安定して得られる吸気口圧力
の範囲が広がることが分かった。
【0065】(実施例4)本例では、図7に示すとお
り、油回転ポンプ本体101のケースに、冷却する手段
108を付加した点が実施例3と異なる。他の点は、実
施例3と同様とした。
【0066】実施例1と同様に、油回転ポンプの吸気側
に流す窒素ガスの流量を変えることにより油回転ポンプ
の吸気側の圧力を変化させて、油回転ポンプの排気速度
を調べた。
【0067】図3における曲線が、油の循環機構10
2に熱交換装置を設けた本例の結果である。
【0068】図3の曲線は、曲線に比べて排気速度
が急激に低下する吸気口圧力が、さらに低圧側にシフト
しており、高い排気速度が安定して得られる吸気口圧力
の範囲が広がることが分かった。
【0069】(実施例5)本例では、図8に示すとお
り、油回転ポンプ本体101の吸気口側又は/及び排気
口側に、不活性気体の導入手段109を設けた点が実施
例1と異なる。他の点は、実施例1と同様とした。
【0070】実施例1と同様に、油回転ポンプの吸気側
に流す腐食性ガス(例えば塩素ガス)の流量を変えるこ
とにより油回転ポンプの吸気側の圧力を変化させて、油
回転ポンプの排気速度を調べた。
【0071】図3における曲線が吸気口側に不活性気
体の導入手段109を設けた場合の結果である。また、
曲線が排気口側に不活性気体の導入手段109を設け
た場合の結果である。
【0072】図3の曲線及びは、曲線に比べて排
気速度が急激に低下する吸気口圧力が、さらに低圧側に
シフトしており、高い排気速度が安定して得られる吸気
口圧力の範囲も広がることが分かった。
【0073】さらに、500時間ポンプ稼働後、油回転
ポンプの油を分析した。その結果、不活性ガスを導入し
なかった場合は油が著しく劣化していたが、不活性ガス
を導入した場合は油の変化が全く見られなかった。
【0074】(実施例6)本例では、図9に示すとお
り、油回転ポンプのロータをスクリュー構造とし、か
つ、そのスクリュー構造は、減圧側から大気圧側に近づ
くにつれてスクリューのピッチが徐々に狭くなるものを
用いた点が実施例1と異なる。他の点は、実施例1と同
様とした。
【0075】実施例1と同様に、油回転ポンプの吸気側
に流す窒素ガスの流量を変えることにより油回転ポンプ
の吸気側の圧力を変化させて、油回転ポンプの排気速度
を調べた。
【0076】図3における曲線が、スクリュー構造の
ロータを有する油回転ポンプを用いた本例の結果であ
る。
【0077】図3の曲線は曲線に比べて、吸気側の
圧力に依存せず排気速度が著しく向上することが分かっ
た。また、本例に係るスクリュー構造のロータを有する
油回転ポンプでは、排気速度が急激に低下する吸気口圧
力も実施例1(曲線)に比べて半桁程度低圧側にシフ
トしており、高い排気速度が安定して得られる吸気口圧
力の範囲も広がることが確認された。
【0078】また、脱気モニタの測定から、油中に含ま
れる水分の量が著しく減っていることが分かった。さら
に、テスト・ドーム中に設けた質量分析計の測定から、
油回転ポンプからテスト・ドーム内へ逆流する油成分の
量が減少していることが確認された。
【0079】さらに、スクリューのピッチが、減圧側は
一定のピッチで、途中から大気圧側に近づくにつれてス
クリューのピッチが徐々に狭くなる場合も、本例と同様
の結果が得られることも分かった。
【0080】(実施例7)本例では、図10に示すよう
にロータが2つのスクリュー構造からなる図13に示す
構成の油回転ポンプを用い、シリンダの内部へ油を供給
する効果について述べる。スクリュー構造は、等ピッチ
・等傾斜角構造(図14(a))とした。
【0081】図15に示す排気特性の測定系における油
回転ポンプ1501として図13の油回転ポンプを接続
し、油を入れて運転した場合と、油を入れないで運転し
た場合の、排気特性の違いを調べた。
【0082】但し、本例では、スクリュー構造の回転軸
を重力の働く方向と平行に配置するとともに、、油回転
ポンプの吸気口をスクリュー構造の上方に、油回転ポン
プの排気口は該スクリュー構造の下方に、それぞれ設け
た(以後、油回転ポンプを垂直に配置した場合と呼
ぶ)。
【0083】油を供給する場合、スクリュー構造130
2の回転軸と平行に配置されたシリンダの側壁(ステー
ター1301)に設けた油供給口の位置は、油回転ポン
プの吸気口と排気口の中間領域にある油供給口1309
から、脱気ユニット(不図示)により脱気した油を供給
した。油の供給量は、0.3(l/min)に固定し
た。
【0084】なお、本例で用いた油回転ポンプは、図1
6に示すようなスクリューの回転数と到達真空度との関
係を有しており、スクリューの回転数が6000(rp
m)の場合は十分に安定な到達真空度が得られる回転数
であることが確認されている。
【0085】まず、図15に示す排気特性の測定系を、
スクリューの回転数が6000(rpm)における到達
真空度まで排気した。
【0086】次いで、吸気口1502に設置したマスフ
ローコントローラーに1503を用いてN2ガスを0〜
5000(sccm)まで徐々に導入し、そのときの吸
気口1502の真空度を真空計1509で測定し、排気
速度を算出した。
【0087】上記試験を、油を入れて運転した場合と、
油を入れないで運転した場合について行った。
【0088】図18は、排気速度(縦軸)と吸気口の到
達真空度(横軸)との関係を示すグラフである。図18
において、○印は油を供給しない場合、●印は油を供給
した場合を示す。
【0089】図18から、シリンダ内に油を導入した場
合、油によるシール性が向上し、排気速度の向上すると
ともに、吸気口の圧力をより低い真空度まで排気できる
ことが分かった。
【0090】(実施例8)本例では、図10に示すよう
にロータが2つのスクリュー構造からなる図13に示す
構成の油回転ポンプを用い、シリンダの内部へ油を供給
して稼働させる際に、油回転ポンプを垂直に配置した場
合と水平に配置した場合とを比較検討した。
【0091】ここで、油回転ポンプを垂直に配置した場
合とは、スクリュー構造の回転軸を重力の働く方向と平
行に配置するとともに、油回転ポンプの吸気口をスクリ
ュー構造の上方に、油回転ポンプの排気口は該スクリュ
ー構造の下方に、それぞれ設けた場合を指す。一方、油
回転ポンプを水平に配置した場合とは、スクリュー構造
の回転軸を重力の働く方向と垂直に配置するとともに、
油回転ポンプの吸気口をスクリュー構造の上方に、油回
転ポンプの排気口は該スクリュー構造の下方に、それぞ
れ設けた場合を指す。
【0092】実施例7と同様に、図15に示す排気特性
の測定系における油回転ポンプ1501として上記2通
りに配置したポンプを接続し、質量分析計1507を用
いて吸気口1502における油の逆拡散を調べた。その
際、油の供給量は、0.3(l/min)に固定し、吸
気口に導入するN2ガス流量を変化させた。
【0093】図17は、吸気口に導入したN2ガス流量
と油に起因する不純物のイオン電流強度との関係を示し
たグラフである。ここで、縦軸は質量数120のピーク
のイオン強度である。
【0094】図17から、吸気口にN2ガスをわずか数
sccm程度導入することによって油の逆拡散が著しく
低減でき、特に油回転ポンプを垂直に配置した場合は水
平に配置した場合に比べて、さらに30%程度油の逆拡
散を抑制できることが分かった。
【0095】(実施例9)本例では、スクリュー構造に
おけるピッチと傾斜角を変化させて、ポンプの排気特性
を調べた点が実施例7と異なる。スクリュー構造の種類
としては、等ピッチ・等傾斜角構造、等ピッチ・不等傾
斜角構造、不等ピッチ・等傾斜角構造、及び、不等ピッ
チ・不等傾斜角構造の4種類を検討した。
【0096】傾斜角は、等傾斜角の場合、7−15度の
間で一定とした。不等傾斜角の場合は、吸気口側で傾斜
角度が大きく、排気口側で傾斜角度が小さくなるよう
に、5−40度の間で変化させた。
【0097】また、ポンプの大きさは、スクリュー構造
に依存せず、内容積=600000(mm2:底面積)
×1000(mm:高さ)に固定した。
【0098】他の点は、実施例7と同様とした。
【0099】図19は、排気速度(縦軸)と吸気口の到
達真空度(横軸)との関係を示すグラフである。図19
において、●印は等ピッチ・等傾斜角構造の場合、▲印
は等ピッチ・不等傾斜角構造の場合、□印は不等ピッチ
・等傾斜角構造の場合、○印は不等ピッチ・不等傾斜角
構造の場合を示す。
【0100】図19から、ポンプの排気性能は、不等ピ
ッチ・不等傾斜角構造とした場合が最も優れることが分
かった。次に優れた排気特性を有するポンプは、等ピッ
チ・不等傾斜角構造とした場合と不等ピッチ・等傾斜角
構造とした場合であり、同程度の排気特性であった。そ
して、等ピッチ・等傾斜角構造を有するポンプの排気性
能は一番劣っていることが明らかとなった。
【0101】従って、不等ピッチ・不等傾斜角構造を有
するポンプは、それ以外の3つの構造を有するポンプの
場合と比較して、同体積にも関わらず、さらに高い到達
真空度と排気速度を実現できることが分かった。換言す
れば、不等ピッチ・不等傾斜角構造を用いてポンプを製
作した場合には、それ以外の3つの構造を用いてポンプ
を製作した場合より、小さな体積で、同じ排気速度を有
するポンプが実現できることを意味する。
【0102】(実施例10)本例では、シリンダに油を
供給する場合、スクリュー構造1302の回転軸と平行
に配置されたシリンダの側壁(ステーター1301)に
設けた油供給口の位置を変えて、油の逆拡散を調べた。
【0103】等ピッチ・等傾斜角構造を有するポンプを
垂直に配置して用いた。
【0104】油を供給する場合、スクリュー構造130
2の回転軸と平行に配置されたシリンダの側壁(ステー
ター1301)に設けた油供給口の位置は、次の2種類
とした。 ・油供給口:油回転ポンプの吸気口近傍に設けた油供
給口1308 ・油供給口:油回転ポンプの吸気口と排気口の中間領
域に設けた油供給口1309 他の点は、実施例8と同様とした。
【0105】図20は、吸気口に導入したN2ガス流量
(横軸)とオイルに起因する不純物のイオン電流強度
(縦軸)との関係を示したグラフである。ここで、縦軸
は質量数120のピークのイオン強度である。
【0106】図20から、吸気口にN2ガスをわずか数
sccm程度導入することによって油の逆拡散が著しく
低減でき、特に油供給口を、ポンプ吸気口と排気口の中
間位置でかつポンプ側面につけた場合(油供給口)の
方が、ポンプ吸気口付近に設けた場合(油供給口)よ
りも、油の逆拡散を低く抑えられることが明らかとなっ
た。
【0107】(実施例11)本例では、シリンダに油を
供給する場合、スクリュー構造1302の回転軸と平行
に配置されたシリンダの側壁(ステーター1301)に
設けた油供給口の位置を、吸気口側から排気口側まで変
化させて、油の逆拡散と吸気口の到達真空度を調べた。
他の点は、実施例10と同様とした。
【0108】図21は、油の逆拡散と吸気口の到達真空
度を示すグラフである。図21において、横軸は吸気口
に導入したN2ガス流量であり、縦軸は油に起因するピ
ークのイオン電流強度と、吸気口の到達真空度である。
【0109】図21から、以下の点が明らかとなった。 (1)油供給口を、ポンプの吸気口から遠ざけるにつ
れ、油成分の逆拡散を低く抑えることができる。 (2)しかし、ポンプ吸気口の到達真空度は油供給口を
吸気口と排気口の中間位置付近に設けた場合に向上す
る。
【0110】上記(1)と(2)の結果は、油供給口が
ポンプの吸気口に近すぎると油の蒸気圧により到達真空
度が下がり、油供給口がポンプの吸気口から遠すぎると
油のシール性の劣化により到達真空度が下がることを意
味する。
【0111】従って、油供給口の位置は、油回転ポンプ
側面の吸気口と排気口の中間領域に設けたとき、油成分
の逆拡散が防げるとともに、吸気口の到達真空度も向上
できることが分かった。
【0112】(実施例12)本例では、油回転ポンプの
シリンダがガスに接触する部分の温度が均一に変化でき
る構成とし、その温度を0〜160(℃)の範囲の一定
値に固定して、この油回転ポンプを多結晶シリコン成膜
用プラズマCVD装置のバックアップポンプとして、1
80時間成膜に使用した際に発生したシリンダ内部への
堆積膜の付着量(すなわち反応副生成物の付着量)を調
べた。但し、本例において温度が均一とは±5℃以内に
温度制御することを意味する。
【0113】等ピッチ・等傾斜角構造を有するポンプを
垂直に配置して用いた。他の点は、実施例10と同様と
した。
【0114】図22は、シリンダ内部の接ガス部の温度
(横軸)とシリンダ内部に発生した反応生成物の成長レ
ート(縦軸)との関係を示すグラフである。
【0115】図22から、以下の点が明らかとなった。 (1)シリンダ内部の接ガス部の温度を均一に上げるこ
とによって、シリンダ内部への反応生成物の付着量は減
少した。 (2)特に、シリンダ内部の接ガス部の温度を120
(℃)以上とした場合、シリンダ内部への反応生成物の
付着はほとんど防止できることが分かった。
【0116】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
稼働している油回転ポンプの油中に含まれた、気体成
分、金属片などの異物、又は/及び水分を取り除くこと
により、広範囲な圧力範囲で高い排気速度を有する油回
転ポンプが得られる。
【0117】その結果、テスト・ドームに代えてプロセ
スチャンバを設けた場合、従来よりクリーン度の高い真
空環境をプロセスチャンバ内に実現できる。また、高い
排気速度が安定して得られる吸気口圧力の範囲が広がる
ため、プロセスチャンバ内の圧力を従来より広く制御で
きる。さらに、ポンプの小型化が可能となり、高価なク
リーンルームを有効に活用することができる。
【0118】したがって、緻密な薄膜形成や微細な薄膜
加工などを行う半導体製造プロセスに最適な油回転ポン
プの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る油回転ポンプの一例を示す概略図
であり、油の循環機構に脱気モジュールを設けた場合を
示す。
【図2】本発明に係る脱気モジュールの一例を示す概略
図である。
【図3】油回転ポンプの吸気側の圧力と油回転ポンプの
排気速度との関係を示したグラフである。
【図4】本発明に係る油回転ポンプの他の一例を示す概
略図であり、油の循環機構にフィルタを設けた場合を示
す。
【図5】本発明に係る油回転ポンプの他の一例を示す概
略図であり、油の循環機構に熱交換装置を設けた場合を
示す。
【図6】本発明に係る熱交換装置の一例を示す概略図で
ある。
【図7】本発明に係る油回転ポンプの他の一例を示す概
略図であり、油回転ポンプのケースに冷却する手段を設
けた場合を示す。
【図8】本発明に係る油回転ポンプの他の一例を示す概
略図であり、油回転ポンプの吸気口側又は/及び排気口
側に不活性気体の導入手段を設けた場合を示す。
【図9】本発明に係る油回転ポンプの他の一例を示す概
略図であり、油回転ポンプのロータが1つのスクリュー
構造からなる場合を示す。
【図10】本発明に係る油回転ポンプの他の一例を示す
概略図であり、油回転ポンプのロータが2つのスクリュ
ー構造からなる場合を示す。
【図11】従来のドライポンプの特性曲線(排気速度と
吸気口圧の関係)とガス負荷直線とを示したグラフであ
る。
【図12】従来の油回転ポンプの一例を示す概略図であ
る。
【図13】2個のスクリュー構造からなるロータを備え
た油回転ポンプの一例を示す模式的な断面図である。
【図14】等ピッチ・等傾斜角のスクリュー構造(a)
と不等ピッチ・不等傾斜角のスクリュー構造(b)の模
式的な断面図である。
【図15】吸気口へプロセスに影響しないガスを流した
場合の効果を調べるための測定系を示す概略図である。
【図16】スクリューの回転数と到達真空度との関係を
示すグラフである。
【図17】吸気口に導入したNガス流量と油に起因す
る不純物のイオン電流強度との関係を示したグラフであ
る。
【図18】排気速度と吸気口の到達真空度との関係を示
すグラフである。
【図19】排気速度と吸気口の到達真空度との関係を示
すグラフである。
【図20】吸気口に導入したNガス流量とオイルに起
因する不純物のイオン電流強度との関係を示したグラフ
である。
【図21】油の逆拡散と吸気口の到達真空度を示すグラ
フである。
【図22】シリンダ内部の接ガス部の温度とシリンダ内
部に発生した反応生成物の成長レートとの関係を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
101 油回転ポンプ本体、 102 油の循環機構、 103 油の循環用ポンプ、 104 脱気モジュール、 105 脱気モニタ、 106 フィルタ、 107 熱交換装置、 108 冷却する手段、 109 不活性気体の導入手段 201 脱気モジュール本体、 202 脱気膜、 203 排気口、 204 油の供給口、 205 油の排出口、 601 隔壁、 901 油回転ポンプの外壁、 902 シリンダ、 903 油回転ポンプの油、 904 スクリュー構造のロータ、 905 モータ、 906 回転軸、 907 排気弁、 1201 油回転ポンプ本体のケース、 1202 シリンダ、 1203 ロータ、 1204 翼板、 1205 ばね、 1206 排気弁、 1207 油回転ポンプの油、 1208 吸気口、 1209 排気口、 1301 ステーター、 1302 スクリュー構造、 1303 吸気口、 1304 排気口、 1305 ベアリング、 1306 タイミングギヤ、 1307 モータ、 1308、1309 油供給口、 1501 油回転ポンプ、 1502 吸気口、 1503 マスフローコントローラ、 1504 流量調節弁、 1505 ターボ分子ポンプ、 1506 バックポンプ、 1507 四重極質量分析装置、 1508 B−Aゲージからなる真空計、 1509 シュルツゲージからなる真空計。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新田 雄久 東京都文京区本郷4−1−4株式会社ウル トラクリーンテクノロジー開発研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油が供給されたシリンダの内部をロータ
    が回転する構造体をケースに内蔵した油回転ポンプにお
    いて、 前記シリンダの外部に油の循環機構を有し、 前記循環機構が、油の循環用ポンプと、脱気モジュール
    と、脱気モニタにより構成されていることを特徴とする
    油回転ポンプ。
  2. 【請求項2】 前記循環機構が、フィルタを有すること
    を特徴とする請求項1に記載の油回転ポンプ。
  3. 【請求項3】 前記循環機構が、熱交換装置を有するこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載の油回転ポンプ。
  4. 【請求項4】 前記ケース又は/及び前記シリンダに冷
    却する手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至3の
    いずれか1項に記載の油回転ポンプ。
  5. 【請求項5】 油回転ポンプの吸気口側に、該油回転ポ
    ンプが排気する真空チャンバ内で行われるプロセスに影
    響しないガスの導入手段を有することを特徴とする請求
    項1乃至4のいずれか1項に記載の油回転ポンプ。
  6. 【請求項6】 油回転ポンプの排気口側に、不活性気体
    の導入手段を有することを特徴とする請求項1乃至5の
    いずれか1項に記載の油回転ポンプ。
  7. 【請求項7】 前記ロータはスクリュー構造からなり、
    該スクリュー構造の回転軸を重力の働く方向と平行に配
    置し、前記油回転ポンプの吸気口を該スクリュー構造の
    上方に、該油回転ポンプの排気口は該スクリュー構造の
    下方に、それぞれ設けたことを特徴とする請求項1乃至
    6のいずれか1項に記載の油回転ポンプ。
  8. 【請求項8】 前記ロータはスクリュー構造からなり、
    該スクリュー構造が、減圧側から大気圧側に近づくにつ
    れてスクリューのピッチが徐々に狭くなる又は/及びス
    クリューの傾斜角が小さくなることを特徴とする請求項
    1乃至7のいずれか1項に記載の油回転ポンプ。
  9. 【請求項9】 前記シリンダの内部へ油を供給する油供
    給口を、前記スクリュー構造の回転軸と平行に配置され
    た該シリンダの側壁に設けたことを特徴とする請求項1
    乃至8のいずれか1項に記載の油回転ポンプ。
  10. 【請求項10】 前記スクリュー構造の回転軸と平行に
    配置された前記シリンダの側壁に設けた油供給口の位置
    が、前記油回転ポンプの吸気口と排気口の中間領域であ
    ることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記
    載の油回転ポンプ。
  11. 【請求項11】 前記油回転ポンプの吸気口に流れ込む
    ガスの流量に応じて、前記ロータの回転速度を制御する
    手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至10のいず
    れか1項に記載の油回転ポンプ。
  12. 【請求項12】 前記シリンダのガスに接触する部分の
    温度を120℃以上に均一に保持する手段を備えたこと
    を特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の
    油回転ポンプ。
JP28414597A 1996-12-11 1997-10-16 油回転ポンプ Ceased JPH10227290A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28414597A JPH10227290A (ja) 1996-12-11 1997-10-16 油回転ポンプ

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33123396 1996-12-11
JP8-331233 1996-12-11
JP28414597A JPH10227290A (ja) 1996-12-11 1997-10-16 油回転ポンプ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10227290A true JPH10227290A (ja) 1998-08-25

Family

ID=26555344

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28414597A Ceased JPH10227290A (ja) 1996-12-11 1997-10-16 油回転ポンプ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10227290A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7278831B2 (en) Apparatus and method for control, pumping and abatement for vacuum process chambers
EP1817500B1 (en) Fore-line preconditioning for vacuum pumps
US20050167049A1 (en) Vacuum processing apparatus and control method therefor
KR20000048366A (ko) 통합 펌핑 시스템을 갖는 기판 처리장치 및 방법
JP2014165169A (ja) 真空チャンバをクリーニングする方法及びシステム
US5131825A (en) Multi-stage vacuum pump with reaction chamber between stages
US20070020115A1 (en) Integrated pump apparatus for semiconductor processing
JP5717751B2 (ja) 真空ポンプ用の耐腐食性軸シール装置
JPH10227290A (ja) 油回転ポンプ
Troup et al. Six years of ‘‘dry pumping’’: A review of experience and issues
JP3930297B2 (ja) ターボ分子ポンプ
JP2004218648A (ja) 真空装置
US20080078503A1 (en) Mechanical pump operating well for a long term and method of manufacturing the same
JPH10125657A (ja) 真空排気装置
JP4107364B2 (ja) 真空装置
JPS63266813A (ja) 半導体装置の製造方法及びそれに使用する処理装置
Akutsu et al. Innovation of the fore pump and roughing pump for high-gas-flow semiconductor processing
JP2008144766A (ja) 真空装置
JP2005232977A (ja) 真空装置
JP2003161281A (ja) 真空処理装置
KR20060126278A (ko) 진공 펌프
JPS62192583A (ja) 処理装置
JP2002252261A (ja) 半導体検査装置及び半導体露光装置
JPS6385268A (ja) 真空排気装置
JPS62193115A (ja) 半導体ウエハの処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040615

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Effective date: 20070110

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A045 Written measure of dismissal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A045

Effective date: 20070523