JPH10227228A - ガスタービン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】産業機械の原動機として、安価で振動が無く、
かつ構造簡単な小形ガスタービンを提供する。 【解決手段】圧縮羽根２で圧縮された燃料と空気の混合
気を溜めた環状の吸気溜３３と燃焼室２０を仕切る壁３
４に開けた吸気孔６を塞ぐ板ばね７を押開いて入つた吸
気が電熱栓４の赤熱部に触れて着火爆発する。その圧力
で板ばね７は閉じ、高温ガスはリング２４と圧縮羽根２
に数段共締された羽根車１０に吹きつけ、リング２３と
ケース２１、２２、２５と共締された数段の案内羽根１
１に案内されて、羽根車１０を回転させる。ケース２１
に設けた円筒内を気密に摺動する針弁５の軸芯の空気孔
６からの空気を燃料孔２８からの燃料に混合して、燃料
の霧化を助け、軸１の燃料孔１５を通り、軸１の傘部か
ら圧縮羽根２に遠心力で燃料を噴出させる。軸１の回転
数が過大になると、ばね３１を納めた円筒内の圧力が下
がり、ばねを押して針弁５が燃料を制限して回転数を下
げる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、農業機械、建設機
械、自動車、船外機等の移動産業機械や自家発電機等の
原動機として、現在支配的であるレシプロエンジンに取
って替わる事が出来る高い性能でコスト、燃料消費率、
維持費、振動、排気公害等の低い横造簡単で取り扱い容
易な小型ガスタービンに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のガスタービンは、軸流又はふく流
の圧縮機で空気を燃焼室に圧送し、燃料を噴射して燃焼
させ、高圧燃焼ガスを軸流又はふく流のタービンに吹き
つけて動力を得る。そのため次ぎの欠点を持つ。 （イ） 圧縮と燃焼は連続しており、燃焼室のガス圧は
圧縮機にも及び、負の仕事となり、熱効率を下げる。 （ロ） 出力側のタービンは高温の燃焼ガスに連続して
曝されるので、羽根が高温となり、羽根の強度の点から
燃焼ガスの温度を高く出来ず、熱効率が低くなる。 （ハ） 精密な羽根を植え付けた従来の軸流タービンで
は高価で小型には成り立たない。 以上の点でガスタービンは、小型では熱効率が低く、こ
れを補う熱交換装置等でコストが嵩み、かさ張り、従来
のレシプロエンジンに対抗出来なかつた。レシプロエン
ジンは、シリンダ内のピストンで閉ざされた空間内の間
欠燃焼をする。従って （イ） 圧縮と燃焼が別の行程で行われるので、燃焼ガ
ス圧が圧縮行程に負の作用を及ぼさない。 （ロ） 冷却されたシリンダ内の燃焼で、高い燃焼温度
が使え、高い熱効率が得られる。しかしレシプロエンジ
ンは、 （イ） シリンダブロック、ピストン、ロッド、クラン
ク軸、動弁機構、冷却装置等、構成部品が複雑で点数も
多く、コストが嵩む。 （ロ） 往復運動から来る振動が避けられない。 （ハ） シリンダとピストン、クランク軸とロッド、動
弁機構等摺動部分が多く、その潤滑の為潤滑油が必要
で、その維持管理に手間が掛かる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】レシプロエンジンに匹
敵する熱効率とコストを達成する為、 （イ） 圧縮と燃焼を仕切つて、別行程の間欠燃焼とす
る。 （ロ） 爆発圧力が圧縮側に及ばぬ様にして、負の仕事
を防止する。 （ハ） 燃焼ガスを吹きつける回転羽根と案内羽根を耐
熱板のプレス成型された円盤の多段として、低コストで
熱効率を上げる。 （ニ） 間欠燃焼でレシプロエンジン並の燃焼温度を確
保する。 （ホ） 潤滑油を必要とする摺動部分を無くする。 （へ） 部品点数を少なく、且つ各部品を単純簡単に
し、製造し易くする。

【０００４】

【課題を解決する為の手段】

（イ） 圧縮側の吸気溜３３と燃焼側の燃焼室２０を仕
切る壁３４に設けた吸気孔９を板ばね７で塞ぐ。吸気溜
３３に圧縮された混合気は板ばね７を押し開き燃焼室２
０に入り、赤熱された電熱栓４で点火爆発し、そのガス
圧で板ばね７は閉じ、燃焼ガスの圧力は圧縮側に及ば
ぬ。 （ロ） 圧縮羽根２の外周と壁３４の間に段を設け、熱
膨張しても両者の隙間を狭くして、燃焼ガスの漏れを最
小限度にする。 （ハ） 燃焼室の燃焼ガスのエネルギーは、数段の羽根
車１０と案内羽根１１で回収される。 （ニ） アルミ鋳物の熱伝導の良い圧縮羽根２は、冷却
ひれを兼ね、羽根車１０を冷却し、又軸１の傘部の燃料
孔１５から噴出する燃料の気化を助ける。 （ホ） 燃焼室２０内の燃焼ガスは、膨張後羽根車１０
の吸いだしで圧力が下がり、再び混合気が板ばね１１を
押し開いて燃焼室２０に入り、次の爆発燃焼が起こり、
間欠燃焼が継続される。爆発時の温度は高いが、平均温
度は低くなる。 （へ） 燃焼ガスはケース２５から排出される時、カバ
ー３２に包まれたケース２１、２２の冷却ひれの間から
空気を吸引し、ケース２１、２２を冷却する。以上の構
造と作用で燃焼温度を高め、熱効率をレシプロエンジン
並に高くする事が出来る。

【０００５】

【作用】本発明の作用を述べる。 （イ） 針弁１９のノブを引くと、空気室１８内の圧縮
空気が燃焼室２０に噴出して、羽根車１０を回転させ
る。空気室１８内の空気圧が不足の時は、空気孔１７か
ら空気ポンプで空気を圧送し、圧力を補う。 （ロ） 羽根車１０が回転すると、軸１が回転する。針
弁５の先端の円錐部で軸芯の空気孔６からの空気と燃料
孔２８からの燃料が混じ、軸１の燃料孔１５を通つて軸
１の傘部から圧縮羽根２へと噴出し、吸気と混合して吸
気溜３３に圧縮される。 （ハ） 吸気溜３３に圧縮された混合気は、板ばね７を
押開いて燃焼室２０に流入し、電熱栓４の赤熱部にふ
れ、爆発燃焼し、その圧力で板ばね７は閉じ、燃焼ガス
は羽根車１０と案内羽根１１へ噴出して、羽根車１０を
回転させる。 （ニ） 羽根車１０と案内羽根１１の層を通つた燃焼ガ
スは、ケース２５から噴出する際、カバー３２で覆われ
たケース２１、２２の冷却ひれの間から空気を吸いだ
し、ケース２１、２２を冷却する。 （ホ） 羽根車１０、リング２４、圧縮羽根２、フライ
ホイール２７は慣性で回転し続け、燃焼ガスの膨張と羽
根車１０の吸出し効果で、燃焼室２０の圧力と温度が下
がり、吸気溜３３に圧縮された混合気が板ばね７を押開
いて、燃焼室１０に入り、点火爆発を繰り返す。 （へ） 以上の構造と作用で、圧縮と燃焼が壁３４と板
ばね７で仕切られた間欠燃焼となり、燃焼温度をレシプ
ロエンジン並に高くする事が出来、熱効率を高くする事
が出来る。 （ト） 燃焼室２０の高圧ガスは、針弁１９を押開い
て、空気室１８に蓄えられ、次の始動に供される。 （チ） タービンの停止は、レバー１３を押して針弁５
の円錐部で燃料を絶つて行う。 （リ） 軸１の回転が過大になると、ばね３１を設けた
室の気圧が下がり、ばね３１に抗して針弁５を押下げ、
燃料の供給を制限して、過大な回転を防ぐ。

【０００６】

【実施例】

（イ） 混合気の点火は、電池とスイッチで済む電熱栓
が簡単で安価であるがＶプーリー１２で発電機を駆動す
れば、電池は不要。又高電圧による火花点火も適用出来
る。 （ロ） 始動は空気室に蓄えた高圧ガスに依るのが簡単
安価であるが、ロープスタートやセルモーターに依る始
動も出来る。 （ハ） 空気孔２９を一つにして、気化器を用いる事も
出来るが、吸気を絞るので出力が落ちる。

【０００７】

【発明の効果】

（イ） 従来のガスタービンは、圧縮と燃焼がつながっ
て連続して燃焼する為燃焼ガス圧が圧縮側にも及び、負
の仕事となり、且つタービンの羽根は連続して高温ガス
に曝され、冷却も困難で、その為燃焼温度を高く出来
ず、熱効率が低くそれを補う為、複雑な排気熱回収装置
を必要とし、小型ではレシプロエンジンに対抗出来な
い。 （ロ） 本発明は、圧縮と燃焼を壁と板ばねで仕切つた
間欠燃焼と、板ばねの逆止弁に依る燃焼ガス圧の圧縮側
に及ぼす負の仕事の防止と、燃焼ガスに曝される羽根車
１０や案内羽根１１を耐熱板の円盤にして、リング２
３、２４で挟んで冷却し、且つ間欠燃焼に依り、燃焼温
度をレシプロエンジン並に高くし、熱回収装置なしに高
い熱効率を得る。 （ハ） 羽根車や案内羽根は耐熱板のプレス成型とし、
他の部品もダイキャストやプレス成型で量産し易く、コ
ストが安い。又レシプロエンジンの様な摺動部分が無
く、潤滑油も不要で、維持費が安い。 （ニ） 小形化が容易で、小は刈払機から、農業機械、
建設機械、自動車、発電機、船外機等従来のレシプロエ
ンジンに替わって広く、安価で維持費の掛からぬ振動の
無いコンパクトな原動機を提供出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の横断面図

【図２】本発明の正面部分断面図

【符号の説明】

１は軸 ２は圧縮羽根 ３は軸受 ４は電熱栓 ５は針弁 ６は空気孔 ７は板ばね ８は抑え ９は吸気孔 １０は羽根車 １１は案内羽根 １２はＶプーリー １３はレバー １４はオイルシール １５は燃料孔 １６は針弁 １７は空気孔 １８は空気室 １９は針弁 ２０は燃焼室 ２１はケース ２２はケース ２３はリング ２４はリング ２５はケース ２６は軸受 ２７はフライホイール ２８は燃料孔 ２９は空気孔 ３０はＯリング ３１はばね ３２はカバー ３３は吸気溜 ３４は壁

【手続補正書】

【提出日】平成９年５月１４日

【手続補正１】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】全図

【補正方法】変更

【補正内容】

【図１】

【図２】

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】（イ） ケース２１に保持された軸受３と
   ケース２５に保持された軸受２６で支えられた軸１にキ
   ー止めされた圧縮羽根２に、リング２４を挟んで耐熱板
   をプレス成型した円盤形の羽根車１０を数段、ボルトで
   締め付ける。 （ロ） リング２３を挟み耐熱板をプレス成型した円盤
   形の案内羽根１１を、数段羽根車１０に接触せぬ様ケー
   ス２１、２２、２５とボルトで共締する。 （ハ） 空気孔２９を設けたケース２１で圧縮羽根２を
   接触せぬ様包む。 （ニ） 圧縮羽根２の外周を取りまく環状の吸気溜３３
   と燃焼室２０をケース２１に設ける。 （ホ） 吸気溜３３と燃焼室２０の間を仕切る壁３４に
   吸気孔９を設け、この孔を塞ぐ板ばね７と抑え８を壁３
   ４にねじ止めする。 （へ） 吸気孔９から板ばね７を押開いて流入する燃料
   と空気の混合気に電熱栓４の赤熱部が当たる位置に、燃
   焼室２０に突きだして、電熱栓４をケース２１にねじ止
   めする。 以上のごとく構成されたガスタービン。
2. 【請求項２】（イ） ケース２１に設けた円筒内をＯリ
   ング３０により気密に摺動する針弁５の先端を円錐状に
   尖らせ、燃料孔２８から流入する燃料の量を制御する。
   針弁５はばね３１に押され、開く方向に作用する。 （ロ） 針弁５の軸芯に設けた空気孔６は、針弁の円錐
   部に開口し、又細孔によりばね３１を設けた室及び外部
   に通ずる。 （ハ） 針弁５はレバー１３により手動で制御される。 （ニ） 針弁５の先端の円錐部が接する孔は、オイルシ
   ール１４に挟まれた環状の室を経て、軸１に設けた燃料
   孔１５に通じ、軸１の傘ぶから圧縮羽根２へと開口す
   る。 以上のごとく構成された燃料供給制御装置のガスタービ
   ン。
3. 【請求項３】（イ） ケース２１に一体に空気室１８を
   設ける。 （ロ） 空気室１８の蓋のボスに、ばねで押された針弁
   １６を設け、弁座に開口する空気通路を塞ぎ、空気通路
   から圧入された空気を逆止する。 （ハ） ケース２１にばねで押された針弁１９を設け、
   この針弁１９で空気室１８と燃焼室２０をつなぐ通路を
   塞ぐ。針弁１９の他端のノブを引けば、空気室１８の圧
   縮空気が燃焼室２０に流入し、羽根車１０を回転させ
   る。以上のごとく構成された始動装置を持つガスタービ
   ン。
4. 【請求項４】（イ） 大きな質量のフライホイール２７
   を設ける。 （ロ） リング２４を重く耐熱性のある鋼やダクタイル
   鋳鉄製とする。 （ハ） 以上による大きな回転質量を高速回転させ、回
   転エネルギーを蓄えて負荷の変動に対し、そのエネルギ
   ーを出し入れして、安定した回転と燃焼を保持して、公
   害排気ガスの発生を少なくする。以上のごとく構成され
   たガスタービン。