JPH10226668A - ブドウ科植物ヤブガラシより得られる新規生理活性物質 - Google Patents

ブドウ科植物ヤブガラシより得られる新規生理活性物質

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JPH10226668A
JPH10226668A JP9048557A JP4855797A JPH10226668A JP H10226668 A JPH10226668 A JP H10226668A JP 9048557 A JP9048557 A JP 9048557A JP 4855797 A JP4855797 A JP 4855797A JP H10226668 A JPH10226668 A JP H10226668A
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compound
fraction
iii
gagn
extract
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JP9048557A
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Toru Sonobe
徹 薗部
Makoto Taniguchi
谷口  誠
Takeo Omura
武雄 大村
Hiroyoshi Kasai
洋芳 葛西
Yoshiaki Saito
嘉章 斉藤
Noriaki Kamano
徳明 釜野
Tomohiro Nakayama
朋大 中山
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Wakamoto Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Wakamoto Pharmaceutical Co Ltd
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  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 ブドウ科(Vitaceae)植物ヤブ
ガラシ(Cayratia japonica Gag
n.)から抽出、精製、単離して得られる新規化合物及
びその異性体、それらの製造法並びに医薬組成物を提供
する。 【効果】 本発明により提供される3種の化合物は、老
人斑の主成分であるβアミロイド蛋白の細胞毒性を軽減
させる強い活性を有し、これらの化合物の少なくとも1
種よりなる医薬組成物は、アルツハイマー病の治療及び
予防薬として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はブドウ科(Vita
ceae)植物ヤブガラシ(Cayratiajapo
nica Gagn.)から抽出、精製、単離して得ら
れるβアミロイド蛋白の細胞毒性を軽減する新規活性物
質、及び該新規物質に光を照射して得られる新規物質と
これらを有効成分とするアルツハイマー病治療薬及び/
または予防薬に関するものである。
【0002】
【従来の技術】痴呆症特にアルツハイマー病は全世界で
1500万人以上が罹患していると報告されている。一
方、アルツハイマー病に関する多くの知見が最近報告さ
れるようになり、本疾患に対するより有効な薬剤が開発
され得る状況になりつつある。例えば、病理学的特徴と
しては、神経細胞の変性と消失、さらに老人斑と神経原
繊維の変化が大量かつ広範に認められる点にある。
【0003】老人斑は、アルツハイマー病脳の大脳皮質
を中心に出現する直径50μm程度の斑状構造物であ
り、その中心部にはアミロイドコアを有し、周囲には変
性した神経突起や反応性グリア細胞の集積が認められ
る。このアミロイドコアの主成分が、約40個のアミノ
酸からなるβアミロイド蛋白と呼ばれる物質であり、膜
を1回貫通するβアミロイド前駆体蛋白から酵素的に切
断されて生成することが知られている(例えば、Sho
ji,M.ら;SCIENCE、258巻、126−1
29、1992年)。
【0004】アルツハイマー病はβアミロイド蛋白が繊
維化や凝集することにより神経細胞に沈着し神経毒性を
示すと言われている。この繊維化や凝集の機構について
は、合成βアミロイド蛋白を用いたin vitroの
実験から種々の機構が提唱されている。例えば、βアミ
ロイド蛋白の繊維化や凝集がその濃度、溶液の塩濃度、
pH又は金属イオンなどに影響されること、またβシー
ト構造形成との関連(Hilbich,C.ら;The
Jounal of Molecular Biol
ogy、218巻、149−163、1991年)、ラ
セミ化との関連(Roher,A.E.ら;The J
ounal of Biological Chemi
stry,268巻、3072−3083、1993
年)、フリーラジカルや活性酸素の関与(Hensle
y,K.ら;Proc.Natl.Acad.Sci.
U.S.A.;91巻、3270−3274、1994
年)、などが報告されている。
【0005】βアミロイド蛋白の毒性はN末端から数え
て、25番めから35番めの部分構造(βアミロイド2
5−35)が関与するとされ、その作用は呼吸酵素系に
対する阻害とされる。この毒性を3−[4,5−ジメチ
ルチアゾール−2−イル]−2,5−ジフェニルテトラ
ゾリウムブロミド(MTT)を用い評価する方法が報告
されている(金子ら;神経化学,32巻,148−14
9,1993年,Shearman,M.S.ら;Pr
oc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、9
1巻、1470−1474、1994年)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年、抗痴呆薬として
アセチルコリン系賦活薬が開発されているが、これらは
アルツハイマー病の進行を止めるものではなく、新しい
メカニズムによる、より有効な薬剤の開発が求められて
いる現状にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような現状のもと、
近年アルツハイマー病の1因とされるβアミロイド蛋白
による神経細胞死に着目したスクリーニング法が開発さ
れた。本発明者らは本スクリーニング法を用い、より有
効な薬剤を開発すべく、天然資源を広く探索した結果、
ブドウ科(Vitaceae)植物ヤブガラシ(Cay
ratia japonica Gagn.)より、良
好な活性を示す新規化合物と、本化合物に光を照射して
得られる2種の化合物を見い出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は次式(I)〜(III)
【0008】
【化2】
【0009】のそれぞれで示される化合物に関し、詳し
くはブドウ科(Vitaceae)植物ヤブガラシ(C
ayratia japonica Gagn.)より
得られる化合物(I)と、それを光照射することで得ら
れる化合物(II)及び(III)に関するものであり、さら
に詳しくは、これら化合物がアルツハイマー病の1因と
されるβアミロイド蛋白の神経細胞に対する毒性を軽減
する優れた活性を有することに関するものである。
【0010】
【発明の具体的説明】本発明者らは、ブドウ科(Vit
aceae)植物ヤブガラシ(Cayratia ja
ponica Gagn.)から化合物(I)を抽出、
精製、単離し、構造決定したところ新規化合物であり、
βアミロイド蛋白の神経細胞に対する毒性を軽減する優
れた活性を有することが判明した。一般に、植物から目
的とする活性成分を得るには、抽出、精製、単離という
工程を経るが、本発明についてもこのような工程に沿っ
て説明する。
【0011】1.抽出工程 ヤブガラシの茎部、葉部から活性成分を抽出するには、
有機溶媒例えばメタノール、エタノール等の低級アルコ
ール類、アセトン、アセトニトリル、クロロホルム、酢
酸エチルなどを用い得るが、抽出原料が生であり、水と
混合する溶媒が好ましく、アルコール類、特にメタノー
ルが適する。採集したヤブガラシの茎部と葉部を細切
し、3〜6倍量の抽出溶媒に浸し、室温、或いは加温し
て抽出後、抽出液を減圧下濃縮して抽出物を得ることが
出来る。この際、生の抽出原料を用いている為濃縮液は
水溶液となるが、乾固せずに次の精製工程に使用するこ
とができる。
【0012】2.精製工程 抽出工程により得られた活性成分を含む濃縮抽出物(水
溶液)は、多数の夾雑物を含むが、脂溶性成分と水溶性
成分を分離する一般的な方法である溶媒分配により水溶
性の夾雑物を除くことが出来る。このとき使用する非水
溶性有機溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタ
ン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等が用い得るが、
精製効率を考慮するとクロロホルムが適する。
【0013】ヤブガラシの濃縮抽出物(水溶液)に対
し、約0.5から2倍量の非水溶性有機溶媒を加え、分
液漏斗にて常法通り分配し非水溶性有機溶媒層を得る
が、完全に非水溶性有機溶媒層に活性成分を回収する
為、非水溶性有機溶媒を更新しながら数回この操作を繰
り返すことが好ましい。このようにして、ヤブガラシの
濃縮抽出物(水溶液)から水溶性夾雑物を除去した粗画
分(MC)を得ることが出来る。
【0014】3.単離工程 精製工程により水溶性夾雑物を除いた粗画分(MC)か
ら目的物を単離するには、一般的なクロマトグラフィー
の手法を用いることが出来る。使用し得る条件として
は、シリカゲルを担体とした場合、クロロホルム、ジク
ロロメタン、ベンゼン、酢酸エチル、ヘキサンなどの非
水溶性有機溶媒と、その混合溶媒、更にこれらにメタノ
ール、エタノール、アセトン、などの水溶性有機溶媒を
適当量加え、その比率を変え順次極性を上げながら溶出
する方法が適するが、クロロホルム及び、クロロホルム
とメタノールの混合溶媒を用いる方法が好ましい。
【0015】例えばヤブガラシ粗画分(MC)のクロロ
ホルム及び、クロロホルムとメタノールの混合溶媒を用
いたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(第1カラ
ム)に於いて、目的物はクロロホルムのみでは溶出され
ず、クロロホルムとメタノールの混合溶媒にて溶出する
画分に回収される。溶出する画分をまとめる際、薄層ク
ロマトグラフィー(TLC)による分析と合わせて、活
性の検討を加えることが好ましい。
【0016】第1カラムにより精製の進んだ目的物を含
んだ画分を、ODSなどの逆相系担体を用いたカラムク
ロマトグラフィーにより更に精製することが出来る。使
用し得る条件としては、ODSを担体とし、アセトニト
リル、メタノール、テトラヒドロフランなどの水溶性有
機溶媒と水、或いは緩衝液との混合溶媒を用いる一般的
な条件が使用できるが、アセトニトリルと水の混合溶媒
を用いるのが好ましい。
【0017】目的物を含んだ第1カラムの画分は、例え
ばODSを担体とし、含水アセトニトリルを溶出溶媒と
するカラムクロマトグラフィー(第2カラム)により更
に精製されるが、溶出する画分をまとめる際は、ODS
カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)による分析と合わせて、活性の検討を加えることが
好ましい。
【0018】第2カラムにより更に精製の進んだ目的物
を含んだ画分は、例えばODSカラムと含水アセトニト
リルを用いた分取HPLCを繰り返すことにより精製
し、最終的にHPLCによる分析で単一ピークを与える
請求項1記載の化合物(I)を単離することが出来る。
【0019】4.化合物(I)の光照射による構造変換 化合物(I)は光照射、特に好ましくはマナスルライト
により紫外線照射すると2種の化合物に異性化し、各々
化合物(I)中に2つあるトランス−p−ヒドロキシケ
イヒ酸エステル残基が1残基或いは2残基シス体に異性
化した、化合物(II)と(III)を得ることができる。照
射する紫外線は、波長254nmでも280nmでも化
合物(I)から化合物(II)と(III)を与えるが、28
0nmの紫外線が変換効率から好ましい。化合物(II)
及び(III)は、例えばODSカラムと含水アセトニトリ
ルを用いた分取HPLCを繰り返すことによりそれぞれ
単離することができる。
【0020】5.化合物(I)、(II)、(III)の活性
評価 Shearman,M.S.ら(Proc.Natl.
Acad.Sci.U.S.A.、91巻、1470−
1474,1994年)の方法に準じ、これら3種の化
合物がβアミロイド25−35によるラット神経細胞株
PC12に対する毒性を抑制する活性を検討したところ
強い活性を示すことを確認した。化合物(I)、(II)
又は(III)は、それらの薬理作用から投与目的に対する
各種の製薬形態で使用可能である。本発明の医薬組成物
は活性成分として有効な量の特定化合物を、薬理的に許
容しうる担体と均一に混合して製造できる。この担体は
投与に対して望ましい製剤の形態に応じて広い範囲の形
態をとることができる。
【0021】本発明の医薬組成物の有効投与量は1〜1
000mg/人/日であり、その投与回数は1日約3回
が好ましい。以下に、実施例と試験例を示し、本発明を
より詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。
【0022】
【実施例】
[実施例1] ヤブガラシの抽出と溶媒分配 9月から10月にかけて神奈川県にて採集したヤブガラ
シの地上部約48kgを生のまま細切し、メタノール約
150リットルを加え、室温にて3週間抽出した。吸引
濾過により抽出液を得、抽出液を減圧下濃縮し、約12
リットルの水溶液とした。この抽出液を6分割し、約2
リットルを分液漏斗に入れ、クロロホルム約1リットル
を加えて抽出し、この操作をさらに2回繰り返し合わせ
て約3リットルのクロロホルム抽出液を得た。
【0023】このクロロホルム抽出液を飽和食塩水で洗
浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下クロロホ
ルムを留去し、ヤブガラシメタノールエキスのクロロホ
ルム移行部とした。6分割した残りの抽出液についても
同様に処理し、ヤブガラシメタノールエキスのクロロホ
ルム移行部(MC)約229gを得た。
【0024】[実施例2] MCのシリカゲルカラムク
ロマトによる分画 メタノールエキスから調製したMC約200gを約1リ
ットルのクロロホルムに溶かし、シリカゲル約2kgを
クロロホルムで充填したカラム(内径12.5×43c
m)に付し、以下のようにカラムクロマトを行った。
【0025】 画分 溶出液 溶出液量(L) 収量(g) 1 CHCl3 2 0.02 2 CHCl3 2 20.19 3 CHCl3 2 43.18 4 CHCl3 2 9.93 5 CHCl3 3 9.62 6 CHCl3 1 2.10 7 CHCl3 :MeOH=19:1 4 7.79 8 CHCl3 :MeOH=19:1 2 31.12 9 CHCl3 :MeOH=19:1 2 20.24 10 CHCl3 :MeOH=19:1 1 9.97 11 CHCl3 :MeOH=19:1 5 15.46 12 CHCl3 :MeOH=19:1 5 2.65 13 CHCl3 :McOH=9:1 4 6.36 14 CHCl3 :MeOH=4:1 4 4.30 15 CHCl3 :MeOH:H2 O= 3 8.97 65:35:7
【0026】[実施例3] シリカゲルクロマト画分1
1の逆相カラムクロマトによる分画 シリカゲルクロマト画分11約10gを、50gのOD
S(富士デヴィソンDM1020MT)にまぶし、これ
をODS約200gを50%アセトニトリルで充填した
カラム(内径5×25cm)上部に積層し、同溶媒にて
溶出した。溶出液はフラクションコレクターにて約20
mlずつ分取し以下のようにまとめた。
【0027】 画分 溶出液 フラクションNo. 収量(mg) 1 50%CH3 CN 1〜10 46 2 50%CH3 CN 11〜20 243 3 50%CH3 CN 21〜30 248 4 50%CH3 CN 31〜33 29 5 50%CH3 CN 34〜44 106 6 50%CH3 CN 45〜49 43 7 50%CH3 CN 50〜54 52 8 50%CH3 CN 55〜57 29 9 50%CH3 CN 58 15 10 50%CH3 CN 59〜63 53 11 50%CH3 CN 64〜66 23 12 50%CH3 CN 67〜70 30 13 50%CH3 CN 71〜80 43 14 50%CH3 CN 81〜90 34 15 50%CH3 CN 91〜100 42 16 50%CH3 CN 101〜110 43 17 50%CH3 CN 111〜120 37 18 50%CH3 CN 121〜130 23
【0028】[実施例4] ODSカラムクロマト画分
10のHPLCによる精製と化合物(I)の単離 ODSカラムクロマト画分10約40mgを4回に分
け、分取用HPLCカラム((株)YMC;J′sph
ereODS−M80,20×250mm)を用い以下
の条件にて分取クロマトを行った。 分取HPLC条件 カラム;(株)YMC;J′sphereODS−M8
0,20×250mm 溶出溶媒;46%アセトニトリル 流速;5ml/min 検出;UV254nm(AUFS;2.56) この条件にて保持時間94分付近に溶出するピークを分
取し約15mgの分画物を得た。この画分を同条件の分
取HPLCにて再精製し、HPLCによる分析で単一ピ
ークを与える化合物(I)約8mgを単離した。
【0029】化合物(I) FAB−MS(positive mode)(M+
H)+ ;m/z655 [α]D −62.0(C=0.15,EtOH)1 H−NMR(δppm,CDCl3 ,TMS内部標
準) 7.61(2H,d,J=15.9Hz),7.41(4H,d,J=8.6Hz),6.82(4H,d,J
=8.6Hz),6.80(2H,d,J=8.0Hz),6.61(2H,dd,J=8.0,1.8H
z),6.52(2H,d,J=1.8Hz),6.27(2H,d,J=15.9Hz),5.49(ca,
4H,br),4.38(2H,dd,J=11.3,6.1Hz),4.21(2H,dd,J=11.3,
5.2Hz),3.77(6H,s),2.71(4H,m),2.21(2H,m)
【0030】[実施例5] 化合物(I)から化合物
(II)及び(III)への変換 化合物(I)約5.5mgを約3mlの70%アセトニ
トリルに溶かし、マナスルライト(フナコシ;MODE
L,UVGL−25)にて約2時間紫外線(波長280
nm)照射を行った。反応液を濃縮乾固し、以下の条件
でHPLCによる分取を行った。 分取HPLC条件 カラム;(株)YMC;J′sphereODS−M8
0,20×250mm 溶出溶媒;46%アセトニトリル 流速;5ml/min 検出;UV254nm(AUFS;2.56) この条件にて保持時間110分付近と120分付近に溶
出するピークをそれぞれ分取し、保持時間110分のピ
ークからは化合物(II)約1.8mgを、保持時間12
0分のピークからは化合物(III)約1.3mgを各々単
離した。
【0031】化合物(II) FAB−MS(positive mode)(M+
H)+ ;m/z6551 H−NMR(δppm,CDCl3 ,TMS内部標
準) 7.62(1H,d,J=15.7Hz),7.60(2H,d,J=8.5Hz),7.43(2H,d,J
=8.5Hz),6.89-6.75(計7H),6.55(2H,dt,J=8.1Hz),6.47(2
H,t),6.29(1H,d,J=15.7Hz),5.85(1H,d,J=12.5Hz),4.31
(2H,m),4.13(2H,dd,J=11.2,6.1Hz),3.75(3H,s),3.73(3
H,s),2.64(4H,m),2.12(2H,m)
【0032】化合物(III) FAB−MS(positive mode)(M+
H)+ ;m/z6551 H−NMR(δppm,CDCl3 ,TMS内部標
準) 7.59(4H,d,J=8.6Hz),6.86(2H,d,J=12.7Hz),6.77(4H,d,J
=8.6Hz),6.77(2H,d,J=8.1Hz),6.49(2H,dd,J=8.1Hz),6.4
2(2H,d),4.22(2H,dd,J=11.6,5.8Hz),4.04(2H,dd,J=11.
6,5.6Hz),3.71(6H,s),2.55(4H,m),2.03(2H,m)
【0033】[試験例] 化合物(I)、(II)、(II
I)の活性評価 Shearman,M.S.ら(Proc.Natl.
Acad.Sci.U.S.A.、91巻、1470−
1474,1994年)の方法に準じ以下のように試験
した。
【0034】i)試料溶液の調製 化合物(I)、(II)及び(III)をそれぞれエタノール
に溶解し10mMとなるよう調製し試料溶液とした。
【0035】ii)ラット神経細胞株PC12の培養条件 ラット神経細胞株PC12は、ダルベッコ改変培地(日
水製薬)とハムズF12培地(日水製薬)の1対1混合
培地(10%牛胎児血清、100μg/mlカナマイシ
ン、5mM HEPESを含む)にて5%CO2 −95
%空気、湿度100%、37℃の条件下で培養した。
【0036】iii)活性評価 PC12細胞を4000個/ウェルとなるように96ウ
ェルマルチプレートに分注した。これに、各試料溶液
(終濃度、0.4、2、10μM)及びβアミロイド2
5−35(ペプチド研究所、終濃度1μM)を加え、前
記条件下24から28時間培養した。一方、試料溶液の
代わりに、同量のエタノールを添加し、これにβアミロ
イド25−35の添加群と無添加群も同時に培養した。
【0037】培養終了後、MTT(同仁化学)を終濃度
0.5mg/mlとなるように加え、さらに12から1
6時間同条件下培養した。各ウェルに20%SDS/5
0%DMF(pH4.7)溶液100μlを添加し、3
7℃で2時間インキュベートし可溶化した後、生じたホ
ルマザンを波長570nm、レファレンス波長630n
mで吸光度を測定した。βアミロイド25−35により
誘発されたPC12細胞のMTT還元能の低下に対する
各試料の活性は次式に従って抑制率として求めた。
【0038】抑制率(%)=((Sの吸光度値−Bの吸光
度値)/(Aの吸光度値−Bの吸光度値 )) ×100 A;βアミロイド25−35無添加群 B;βアミロイド25−35添加群 S;B群に試料を添加した群
【0039】各試料の測定結果は表1に示すとおりであ
った。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】本発明により提供される化合物(I)、
(II)及び(III)は、老人斑の主成分であるβアミロイ
ド蛋白の細胞毒性を軽減させる強い活性を有する。従っ
て、この蛋白の異常蓄積により誘発されると考えられる
アルツハイマー病に伴う痴呆の発症と進行を抑制する、
新しいアルツハイマー病の治療及び予防薬として有用で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 葛西 洋芳 東京都中央区日本橋室町1丁目5番3号 わかもと製薬株式会社内 (72)発明者 斉藤 嘉章 東京都中央区日本橋室町1丁目5番3号 わかもと製薬株式会社内 (72)発明者 釜野 徳明 神奈川県平塚市土屋2946番地 神奈川大学 内 (72)発明者 中山 朋大 神奈川県平塚市土屋2946番地 神奈川大学 内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の構造式(I)、(II)又は(III)で
    示す化合物。 【化1】
  2. 【請求項2】 ブドウ科(Vitaceae)植物ヤブ
    ガラシ(Cayratia japonica Gag
    n.)から有機溶媒で抽出し、常法により精製、単離し
    て得ることを特徴とする請求項1記載の化合物(I)の
    製造法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の化合物(I)に光を照射
    して得ることを特徴とする請求項1記載の化合物(II)
    又は化合物(III)の製造法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の化合物の少なくとも1種
    及び医薬担体からなることを特徴とする医薬組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の化合物の少なくとも1種
    を有効成分とするβアミロイド蛋白の毒性軽減剤。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の化合物の少なくとも1種
    を有効成分とするアルツハイマー病治療薬及び/または
    予防薬。
JP9048557A 1997-02-18 1997-02-18 ブドウ科植物ヤブガラシより得られる新規生理活性物質 Pending JPH10226668A (ja)

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JP9048557A JPH10226668A (ja) 1997-02-18 1997-02-18 ブドウ科植物ヤブガラシより得られる新規生理活性物質

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007091613A1 (ja) * 2006-02-07 2007-08-16 University Of Tsukuba アルツハイマー病予防又は治療剤、並びに飲食物

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WO2007091613A1 (ja) * 2006-02-07 2007-08-16 University Of Tsukuba アルツハイマー病予防又は治療剤、並びに飲食物

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