JPH10219422A - 温熱間用部材表面の改質方法 - Google Patents

温熱間用部材表面の改質方法

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JPH10219422A
JPH10219422A JP3839397A JP3839397A JPH10219422A JP H10219422 A JPH10219422 A JP H10219422A JP 3839397 A JP3839397 A JP 3839397A JP 3839397 A JP3839397 A JP 3839397A JP H10219422 A JPH10219422 A JP H10219422A
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JP
Japan
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ammonium sulfide
colorless
solution
soln
yellow
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JP3839397A
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English (en)
Inventor
Yoshitaka Chiba
芳孝 千葉
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Proterial Ltd
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Hitachi Metals Ltd
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Publication date
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  • Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 窒化と硫化と酸化を組み合わせた浸硫窒化処
理の摺動特性あるいは耐腐食性を改善することを目的と
するものである。 【解決手段】 本発明は無色硫化アンモニウム溶液と黄
色硫化アンモニウム溶液との混合溶液から発生させた改
質用ガスと、アンモニアガスとを温熱間用部材表面に導
入し、温熱間用部材に酸素と硫黄と窒素が富化した改質
層を形成する温熱間用部材表面の改質方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】表面に酸素と硫黄と窒素が富
化した改質層を形成し、耐摩耗性などの摺動特性や耐腐
食性を改善するために用いられる温熱間用部材表面の改
質方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属材料の表面改質については、今まで
に様々な提案がなされてきた。たとえば、窒化処理は、
金属材料表面に耐摩耗性、耐焼付性を改善するための代
表的な手段として知られている。また、近年、窒化処理
だけではなく、さらに硫化処理を加えた浸硫窒化処理も
提案され、様々な改良がなされている。その中で、特開
昭60−39155号公報で提案された硫化アンモニウ
ム溶液を硫化源として用いる方法は、ガスボンベからの
2Sガスのみで浸硫窒化する方法に比べて安全性が高
いという点で注目される技術である。このように硫化源
として硫化アンモニウム溶液を用いる方法は、特開昭4
−228557号公報にも一部提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、硫化
アンモニウム溶液の使用は、安全性という点で優れた方
法である。片桐等の報告(日本金属学会第51巻、第1
0号(1987),P.930〜934)にあるよう
に、JIS無色硫化アンモニウム溶液すなわち化学式
(NH42Sによって表される硫化アンモニウムの溶液
を用いて表面処理を行った鉄鋼材料の表面には、硫化ア
ンモニウム溶液中の水分に起因してFe34とFeSが
共存する多孔質層が形成される。本発明者の検討によれ
ば、上述した多孔質な表面を有する部材では、表面が脆
くなり、温熱間領域で使用する部材としての摺動特性あ
るいは耐腐食性を十分満足できないものであった。
【0004】本発明は、上記問題に鑑み、窒化と硫化と
酸化を組み合わせた浸硫窒化処理の摺動特性あるいは耐
腐食性を改善することを目的とするものであり、対象と
する温熱間用部材は、例えばアルミホイールの成形用ロ
ール、レールやガイドなどの摺動部材、押出ピン、コア
ピン、中子ピンなど温熱間で使用されるピン類、さらに
押出ダイスの他、ギア、バルブ成形用型、鍛造またはプ
レス成形用型の温熱間用金型などであり、被加工材や相
手材が400℃以上の温度に晒される雰囲気で使用する
部材、600℃以上、特に800℃以上の温度で使用す
る部材として好適である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、硫化アン
モニウム溶液を硫化源として使用する場合に生ずる酸化
鉄の存在に着目した。そして、通常使用される無色硫化
アンモニウム溶液では、表面の硫化に比べて酸化鉄を生
成する傾向が強く、多孔質の表面となることを確認し
た。そして、表面が多孔質となるのを防止するために
は、硫化作用を高めて酸化傾向を適正に抑えることが必
要であり、その手段として無色硫化アンモニウム溶液と
黄色硫化アンモニウム溶液を混合した溶液を硫化源とし
て用いれば良いことを見いだし、本発明に到達した。
【0006】すなわち、本発明は無色硫化アンモニウム
溶液と黄色硫化アンモニウム溶液との混合溶液から発生
させた改質用ガスと、アンモニアガスとを温熱間用部材
表面に導入し、温熱間用部材に酸素と硫黄と窒素が富化
した改質層を形成する温熱間用部材表面の改質方法であ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】上述したように、本発明の重要な
特徴は無色硫化アンモニウムと黄色硫化アンモニウムと
の混合溶液から発生させた改質用ガスを用いることであ
る。無色硫化アンモニウムは、化学式(NH42Sで表
され、JIS K8943で規定されるその水溶液に
は、0.5%以上の硫黄を含有するものと規定されてい
る。なお、実際の特級試薬では、硫黄含有量0.6〜
1.0%の含有とされている。一方、黄色硫化アンモニ
ウムは、ポリ硫化アンモニウムとも呼ばれ、化学式(N
42Sxで表され、JIS K8942で表されるそ
の溶液には5%以上の硫黄を含むものとされている。な
お、実際の特級試薬では、硫黄含有量6〜7.5%の含
有とされている。
【0008】上述した硫化アンモニウム溶液から発生す
るガス中には、NH3、H2S,NH4OH,H2O,NH
4SHなどが存在する。本発明においては、硫黄の含有
量が異なる無色硫化アンモニウム溶液と黄色硫化アンモ
ニウムを混合することにより、無色硫化アンモニウム溶
液だけの場合より、ガス中のH2S濃度が高い改質用ガ
スを得る。そして、高いH2S濃度と相対的に濃度を低
められたNH4OHあるいはH2Oの作用により,酸化鉄
の過度の生成を抑えて、緻密な窒化と酸化も同時に進行
させることができる。
【0009】なお、本発明者らの検討によれば、黄色硫
化アンモニウム溶液を単独で使用し、発生させたガスを
改質用ガスとして用いると、金属材料表面は硫化鉄(F
eS2)となり酸素濃度に比べて硫黄濃度が高くなりす
ぎ、金属材料表面が剥離する問題があることがわかっ
た。すなわち、酸化鉄の存在は母材と改質層の密着性の
改善する効果があるが、硫黄濃度が高すぎると、その効
果が得られなくなるのである。以上の理由から本発明に
おいては、無色硫化アンモニウム溶液と黄色硫化アンモ
ニウムの混合溶液を使用するものとした。なお、本発明
において、使用する混合溶液中の硫黄濃度は、無色硫化
アンモニウム溶液と黄色硫化アンモニウム溶液の硫黄濃
度の中間に値する1.2〜4.5wt%程度とするのが
望ましい。
【0010】本発明において、アンモニアガスを必須と
するのは、上述した無色硫化アンモニウム溶液および黄
色硫化アンモニウム溶液の混合溶液から発生するNH3
濃度は0.1〜1.0%のためNH3のみでは、耐摩耗
性や摺動特性の基本特性に必要な窒化を行うには十分で
はない。したがって、本発明では十分な窒化を行なうた
めに、アンモニアガスを導入する。
【0011】なお、本発明においては、硫化アンモニウ
ム混合溶液から発生させたやアンモニアのキャリアガス
として不活性ガスや窒素ガス等を目的に応じて用いるこ
とができる。例えば、窒素ガスを用いると、より窒化を
促進することができるため、靭性は劣化するが耐摩耗性
や耐焼付性はより高いものとすることができる。本発明
は、例えば鋼を母材とする温熱間鍛造用金型(以下、金
型と記す)に用いられる、主にJISに規定されるSK
D61,SKT4に代表される熱間工具鋼、あるいは、
特に耐久性を要求される用途に用いられる、これらより
も高温強度の高いSKD7,SKD8,高速度鋼あるい
はこれらの改良鋼に適用することができる。
【0012】
【実施例】
(実施例1)表1に示す組成の鋼を準備し、焼入れ焼戻
しにより鋼1および鋼2とも48HRCに調質した。そ
の後、直径5mm、長さ20mmの形状を持つ丸棒試験
片を作製し、その端面は砥石で仕上げた。特級無色硫化
アンモニウム溶液と特級黄色硫化アンモニウム溶液の混
合溶液は、25℃の恒温槽内に配置され、キャリアガス
を流すことによって、溶液表面より改質用ガスを発生さ
せた。
【0013】
【表1】
【0014】一方、アンモニアガスは、ボンベから供給
したアンモニアガスにキャリアガスを混合することで、
濃度を調整した。改質用ガスとアンモニアガスとを混合
し、試験片表面に導入して、表面改質処理を行った。本
発明の試料1〜4および比較例の試料11〜14におけ
る試験片の表面温度は510℃、処理時間は5時間と
し、本発明の試料5〜8の試験片の表面温度は570
℃、処理時間は5時間とした。また、本発明の試料9お
よび10の試験片の表面温度は540℃、処理時間は2
0時間とした。なお、表2において「無色」はJIS無
色硫化アンモニウム溶液を意味し、「黄色」はJIS黄
色硫化アンモニウム溶液を意味するものであり、その混
合比を付記した。なお、ガス5およびガス6は、溶液の
温度とキャリアガスの流速を調節し、H2S濃度を15
0ppmとしたものである。
【0015】
【表2】
【0016】得られた試料の内、試料1、試料5および
試料9の断面金属ミクロ組織とEPMA分析による表面
からの元素濃度分布を図1〜図3に示す。本発明の図1
〜図3は、表面に緻密な改質層を認められる。得られた
試料に対して、熱間焼付試験と、試料表面の改質層と母
材との密着性を評価するためのスクラッチ試験を行っ
た。熱間焼付試験は、試験片の一端部をボール盤のチャ
ックに取付け1540rpmで回転させ、600℃に加
熱したSNCM439製のブロックに試験片の他端を押
し付け、30秒間摩擦摺動させるものとした。実際の押
し付け荷重は0.31〜1.70[KN]とし、焼付が
発生した押し付け荷重を断面積で除した値を焼付限界面
圧[MPa]として耐焼付性を評価した。
【0017】スクラッチ試験は、表面より連続加重式表
面性測定機にて、引っ掻き抵抗力を測定することにより
行った。実際の連続加重式表面性測定機の測定条件は、
30μのダイヤモンド引掻針を用い、移動速度 0.2
mm/sec、垂直荷重のフルスケールが500gで連
続的に荷重を増加していき、荷重が開放されて移動速度
が停止される点を引っ掻き抵抗力として評価した。
【0018】
【表3】
【0019】表3に示すように、本発明の試料1〜10
は、焼付限界面圧が70.3MPa以上、引っ掻き抵抗
力が100.9gf以上と優れた値を示している。一
方、無色硫化アンモニウム溶液のみを改質ガス源として
用いた比較例は、焼付面圧引っ掻き荷重ともに本発明例
よりも低下している。これは、表面が多孔質となり焼付
やすくなるとともに、表面が脆く引っ掻き抵抗力も小さ
くなったためと推定された。また、黄色酸化アンモニウ
ム溶液のみを改質ガス源として用いた比較例は、焼き付
き面圧は高いものの、引っ掻き抵抗力が、本発明に比べ
て大きく低下している。これは、両面の硫黄濃度が高く
硫化鉄の存在により、焼付性は改善されるが、酸化鉄が
ほとんど存在せず、改質層と母材との結合力が低下した
ためと推定された。
【0020】
【発明の効果】本発明の温熱間用部材表面の改質方法に
よれば、安全性の高い無色硫化アンモニウムおよび黄色
硫化アンモニウムを使用することにより、温熱間用金型
等の温熱間用部材の耐摩耗性、耐焼き付き性を改善する
ことが可能になり、工業的価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す断面金属ミクロ組織と
対応する元素濃度分布を示す図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す断面金属ミクロ組織
と対応する元素濃度分布を示す図である。
【図3】本発明の他の実施例を示す断面金属ミクロ組織
と対応する元素濃度分布を示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無色硫化アンモニウム溶液と黄色硫化ア
    ンモニウム溶液との混合溶液から発生させた改質用ガス
    と、アンモニアガスとを温熱間用部材表面に導入し、温
    熱間用部材に酸素と硫黄と窒素が富化した改質層を形成
    することを特徴とする温熱間用部材表面の改質方法。
JP3839397A 1997-02-06 1997-02-06 温熱間用部材表面の改質方法 Pending JPH10219422A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015137196A (ja) * 2014-01-22 2015-07-30 大陽日酸株式会社 硫化カルボニル製造設備

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015137196A (ja) * 2014-01-22 2015-07-30 大陽日酸株式会社 硫化カルボニル製造設備

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