JPH10218940A - 微生物吸着樹脂 - Google Patents

微生物吸着樹脂

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JPH10218940A
JPH10218940A JP10057648A JP5764898A JPH10218940A JP H10218940 A JPH10218940 A JP H10218940A JP 10057648 A JP10057648 A JP 10057648A JP 5764898 A JP5764898 A JP 5764898A JP H10218940 A JPH10218940 A JP H10218940A
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microorganism
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soluble
alkyl
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成彬 川端
Akinori Minami
彰則 南
Tadahira Yo
忠衡 余
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  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微生物を高い効率で、しかもその活性を低下
させることなく吸着することができ、かつ水には不溶ま
たは難溶でありながら、有機溶剤には可溶であって、こ
れを溶液とすることができる微生物吸着樹脂を提供する
こと。 【解決手段】下記一般式で表される、水に不溶または難
溶で有機溶剤には可溶のビニル系共重合体よりなること
を特徴とする。 【化1】 式中R1 は、ベンジル基、C4〜C16 のアルキル基又は
ペンタフルオロフェニルメチル基、R2 は水素原子また
はC1〜C3 のアルキル基、Xはハロゲン原子、Yは水
素原子、C1〜C3のアルキル基、ベンジル基、エーテル
基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基またはアリ
ール基である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水処理における水
中の微生物の吸着材、バイオリアクターやバイオセンサ
ーにおける微生物、菌体の保持担体などとして使用され
る微生物吸着材を製造する際に用いられる優れた微生物
吸着能を有する微生物吸着樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、水処理の微生物除去材やバイオリ
アクターの担体における要求を満たす材料として、橋か
けポリビニルピリジニウムハライドからなる不溶性高分
子化合物が提案されている。
【0003】この化合物は、高い効率で、しかも生きた
状態で微生物を捕らえることができ、その上、水には不
溶であるため環境を汚染することがない非常に優れた微
生物吸着能を有する樹脂である。
【0004】ところが、上記橋かけポリビニルピリジニ
ウムハライドは、水だけでなく、通常の有機溶媒にも不
溶であるため、固体としてしか取り扱うことができなか
った。このため、加工が難しく、一般には比較的加工が
容易なビーズ形状で使用されるので、単位重量当りの表
面積が小さくなり、微生物の吸着効率が悪いという問題
があった。これを解消するためには、例えばビーズの径
を小さくすれば良いが、このようにすると、目詰まりが
生じて使用できなくなる恐れがあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の欠点を解消すべくなされたものであり、微生物を高
い効率で、しかもその活性を低下させることなく吸着す
ることができ、かつ水には不溶または難溶でありなが
ら、有機溶剤には可溶であって、これを溶液とすること
ができる微生物吸着樹脂を提供することを目的とするも
のである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、下記一般式で表される、水に不溶または
難溶で有機溶剤には可溶のビニル系共重合体よりなるこ
とを特徴とする微生物吸着樹脂をその要旨とした。
【0007】
【化2】 式中R1は、ベンジル基、C4〜C16 のアルキル基又は
ペンタフルオロフェニルメチル基、R2 は水素原子また
はC1〜C3 のアルキル基、Xはハロゲン原子、Yは水
素原子、C1〜C3 のアルキル基、ベンジル基、エーテ
ル基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基またはア
リール基である。
【0008】本発明の微生物吸着樹脂を構成するビニル
系共重合体は、4−ビニルピジンとモノビニルモノマー
を共重合した後、これにハロゲン化物を作用させること
で得られる。このビニル系共重合体の製造に使用するモ
ノビニルモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブ
テンなどのモノオレフィン、スチレン、酢酸ビニル、ア
クリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタク
リル酸エステル、脂肪族ビニルエステル、アクリロニト
リル及びこれらの誘導体などを、単独でまたは組み合わ
せて使用できる。ただし、親水性の高い官能基を有する
モノビニルモノマーを使用すると、得られる共重合体重
合度によっては水溶性となるので望ましくない。
【0009】この4−ビニルピリジンとモノビニルモノ
マーとの比率、すなわち、前記一般式中のn:mの割合
は、使用されるビニルモノマーの種類や、重合度によっ
ても異なるが、大略10:90〜80:20の範囲にあるのが望
ましい。この範囲よりも4−ビニルピリジンの割合が少
ないと十分な微生物吸着が得られず、これより多いと得
られる共重合体が水溶性の高いものとなってしまうから
である。
【0010】また、上記ビニル系共重合体の重合度は少
なくとも300以上であることが望ましく、これより重合
度が低いと、得られる重合体の水溶性が高いものとな
る。
【0011】4−ビニルピリジンとモノビニルモノマー
との共重合体は、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化ベン
ジル、ハロゲン化ペンタフルオロフェニルメチルなどの
ハロゲン化物と反応させることにより、ピリジンを4級
化し、次式で表せられる官能基を形成する。 式: X-1−N+
【0012】この官能基が主体となって微生物の活性状
態を維持したままで、吸着する働きをしているものと考
えられる。この機構は明かではないが、この官能基は正
に帯電しており、一般に微生物の細胞表面は負に帯電し
ていることから、静電気的な相互作用が一つの重要な因
子であると推定される。
【0013】この様にして得られたビニル系共重合体よ
りなる微生物吸着樹脂は、従来の橋かけポリビニルピリ
ジニウムハライドと同様の優れた微生物吸着能を有して
いる。またこの微生物吸着樹脂は、水には不溶または難
溶でありながら、有機溶剤には可溶である。この性質を
利用して、上記ビニル系共重合体は、アルコール類、エ
ステル類、エーテル類などの有機溶剤によって溶解さ
れ、溶液とすることができる。
【0014】このため、この微生物吸着樹脂によれば、
従来の橋かけポリビニルピリジニウムハライドでは不可
能であった、他の基材への含浸やコーティングなどの加
工が可能となり、例えばこの微生物吸着樹脂を溶解した
溶液を、含浸、スプレー、コーティング等の手段で基材
表面に付与し、これを乾燥することにより、優れた微生
物吸着能を有する微生物吸着材を得ることが出来るよう
になる。
【0015】またこの微生物吸着樹脂を付与した微生物
吸着材を水処理材として用いることにより、被処理水に
含まれる微生物は効率よく吸着除去され水の浄化が行わ
れることになる。また、この重合体を付与した微生物吸
着材によれば、時間が経過してもその微生物吸着能は低
下しにくく、目詰りなどのトラブルも生じにくい。ま
た、本発明の微生物吸着樹脂を付与した微生物吸着材を
バイオセンサーやバイオリアクターとして用いたなら
ば、微生物を生きたままの活性の高い状態で、高い効率
で吸着し固定化することができる。このため、これら菌
体に含まれる酵素を働かせて、反応生成物を得たり、物
質の選別を行ったりすることができ、優れた生体触媒機
能を十分に活用することができる。
【0016】なお、本発明の微生物吸着樹脂によって、
吸着する対象となる微生物とは、細菌、真菌、藻類、ウ
ィルスなどをいう。
【0017】
【実施例】以下、本発明の微生物吸着樹脂を実施例に従
い更に詳細に説明する。 実施例1 4−ビニルピリジンとスチレンとを40:60モル%の割合
で共重合した後、等モル量のベンジルブロミドで4級化
処理してビニル系共重合体よりなる微生物吸着樹脂を得
た。
【0018】一方、レーヨン繊維(繊度1.5デニール)
からなる繊維ウェブを水流絡合処理して、目付90g/m2
厚み0.5mmの不織布を得た。
【0019】この水流絡合不織布に、上記ビニル系共重
合体を溶解したエタノール溶液を含浸した後、75℃で乾
燥して、不織布に対するビニル系共重合体の付着率が1.
5重量%の微生物吸着材を得た。
【0020】この微生物吸着材を3cmφに打抜き、内径
3cmのカラムに30枚積層充填した後、エシェリシア・コ
リを0.85%食塩水に4.6×108個/mlの濃度に懸濁させた
液を、45ml/hrの速度でカラムに通液した。
【0021】通液して得た濾液中の生菌数を寒天平板混
釈法を用いて一定時間毎に測定し、除菌率を求め、第1
表に示した。
【0022】比較例1 本発明のビニル系共重合体を用いず、実施例1で用いた
水流絡合不織布のみをカラムに充填し、これに、エシェ
リシア・コアを0.85%食塩水に5.5×108個/mlの濃度に
懸濁させた液を、35ml/hrの速度でカラムに通液した。
通液して得た濾液中の生菌数を一定時間毎に測定し、除
菌率を求め、第1表に示した。
【0023】実施例2 4−ビニルピリジンとスチレンとを40:60モル%の割合
で共重合した後、等モル%のベンジルクロリドで4級化
処理してなるビニル系共重合体を用いたこと以外は、実
施例1と同様にして微生物吸着材を得た。
【0024】この微生物吸着材を実施例1と同様にして
カラムに充填した後、エシェリシア・コアを0.85%食塩
水に5.6×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、40ml/hrの
速度でカラムに通液し、濾液中の生菌数を一定時間毎に
測定し、第1表に示した。
【0025】第1表から明らかなように、実施例1、2
の微生物吸着樹脂を付着させた水流絡合不織布を用いた
微生物吸着材は、菌の吸着力に優れ、高い除菌率を示し
たが、本発明の微生物吸着樹脂を付着させていない比較
例1のものは、菌の吸着力が弱く、しかも時間の経過と
共に著しく低下し、わずか10%程度の除菌率しか示さな
かった。
【0026】
【0027】実施例3 実施例1の微生物吸着材を3cmφに打抜き、内径3cmの
カラムに30枚積層充填した後、スタフィロコッカス・ア
ウレウスを0.85%食塩水に2.8×108 個/mlの濃度に懸濁
させた液を、 60ml/hrの速度でカラムに通液した。通液
して得た濾液中の生菌数を一定時間毎に測定し、除菌率
を求め、第2表に示した。
【0028】実施例4 実施例1の微生物吸着材を3cmφに打抜き、内径3cmの
カラムに30枚積層充填した後、シュードモナス・エルギ
ノーザを0.85%食塩水に6.2×108 個/mlの濃度に懸濁さ
せた液を、 30ml/hrの速度でカラムに通液した。通液し
て得た濾液中の生菌数を一定時間毎に測定し、除菌率を
求め、第2表に示した。
【0029】第2表から明らかなように、菌の種類にか
かわらず、本発明の微生物吸着樹脂を用いた微生物吸着
材は良好な菌の吸着力を示した。
【0030】
【0031】実施例5 実施例1の微生物吸着材を 1.6cmφに打抜き、内径 1.6
cmのカラムに20枚積層充填した後、T-4バクテリオファ
ージを0.85%食塩水に 1.3×106個/mlの濃度に懸濁させ
た液を、 20ml/hrの速度でカラムに通液した。通液して
得た濾液中の生菌数を一定時間毎に測定し、除菌率を求
め、第3表に示した。
【0032】比較例2 実施例1の水流絡合不織布を用い、これを実施例5と同
じく1.6cmφの大きさに打抜き、これを内径 1.6cmのカ
ラムに20枚積層充填した後、T-4バクテリオファージを
0.85%食塩水に 1.3×106 個/mlの濃度に懸濁させた液
を、20ml/hrの速度でカラムに通液した。通液して得た
濾液中の生菌数を一定時間毎に測定し、除菌率を求め、
第3表に示した。
【0033】第3表から、本発明のビニル系共重合体を
用いた微生物吸着材が、菌体に比べて微小なウィルスに
対しても有効に働くことが判った。
【0034】
【0035】実施例6 4−ビニルピリジンとスチレンとを25:75の割合で共重
合した後、等モル量のベンジルブロミドで4級化処理し
てなるビニル系共重合体を用いたこと以外は、実施例1
と同様にして微生物吸着材を得た。
【0036】この微生物吸着材を実施例1と同様にして
カラムに充填した後、エシェリシア・コリを0.85%食塩
水に 2.3×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、 70ml/hr
の速度でカラムに通液し、濾液中の生菌数を一定時間毎
に測定し、除菌率を求め、第4表に示した。
【0037】実施例7 4−ビニルピリジンとメタクリル酸メチルとを40:60の
割合で共重合した後、等モル量のベンジルブロミドで4
級化処理してなるビニル系共重合体を用いたこと以外
は、実施例1と同様にして微生物吸着材を得た。
【0038】この微生物吸着材を実施例1と同様にして
カラムに充填した後、エシェリシア・コリを0.85%食塩
水に 3.8×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、 50ml/hr
の速度でカラムに通液し、濾液中の生菌数を一定時間毎
に測定し、除菌率を求め、第4表に示した。
【0039】第4表から本発明のビニル系共重合体の原
料物質である4−ビニルピリジンとビニルモノマーの割
合によって、微生物吸着材の微生物の吸着力に差が生じ
ることが判った。尚、第4表から、ビニルモノマー成分
を変更しても、良好な吸着力を持つ微生物吸着力が得ら
れることも判った。
【0040】
【0041】
【発明の効果】本発明の微生物吸着樹脂は、上述の如く
優れた微生物吸着能を有し、かつ有機溶剤には可溶であ
ることから、溶液として他の基材への含浸やコーティン
グなどの加工ができ、従来の橋かけポリビニルピリジニ
ウムハライドの如く、固体としか取り扱えないといった
制限を受けることがない。このため、微生物吸着材の微
生物吸着能の大小を左右する当該微生物吸着樹脂の単位
重量当りの表面積を、同微生物吸着樹脂の付与されるべ
き基材を選択的に使用することにより、自由に設定する
ことができ、所望の微生物吸着能を備えた微生物吸着材
を得ることができる。またこの微生物吸着樹脂は、水に
不溶または難溶であることから、溶け出して環境を汚染
することもない。
【0042】またこの微生物吸着樹脂は、有機溶剤に可
溶であることから、含浸、スプレー、コーティング等の
簡単な操作で所望の基材表面に付与することができ、優
れた微生物吸着能を有する微生物吸着材を簡単な製造プ
ロセスによって得ることができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式で表される、水に不溶または
    難溶で有機溶剤には可溶のビニル系共重合体よりなるこ
    とを特徴とする微生物吸着樹脂。 【化1】 式中R1は、ベンジル基、C4〜C16 のアルキル基又は
    ペンタフルオロフェニルメチル基、 R2は水素原子また
    はC1〜C3 のアルキル基、Xはハロゲン原子、Yは水
    素原子、C1〜C3 のアルキル基、ベンジル基、エーテ
    ル基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基またはア
    リール基である。
JP10057648A 1998-03-10 1998-03-10 微生物吸着樹脂 Expired - Lifetime JP3118604B2 (ja)

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