JPH0558807A - 植物の土壌感染の防止方法及びウイルス感染植物の発病防止方法 - Google Patents

植物の土壌感染の防止方法及びウイルス感染植物の発病防止方法

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JPH0558807A
JPH0558807A JP3267192A JP3267192A JPH0558807A JP H0558807 A JPH0558807 A JP H0558807A JP 3267192 A JP3267192 A JP 3267192A JP 3267192 A JP3267192 A JP 3267192A JP H0558807 A JPH0558807 A JP H0558807A
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JP
Japan
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plant
soil
virus
preventing
infected
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JP3267192A
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English (en)
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Nariaki Kawabata
成彬 川端
Osamu Fukamoto
修 深本
Akinori Minami
彰則 南
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Japan Vilene Co Ltd
Original Assignee
Japan Vilene Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】土壌感染する植物の病害について、病原菌やウ
イルスの種類に関係なく感染を防止することができる植
物の土壌感染の防止方法と、ウイルス感染植物の発病を
防止する方法とを提供すること。 【構成】微生物吸着樹脂が付着した多孔質基材を、植物
の周囲の土壌に埋設することにより、植物に病原菌やウ
イルスが土壌感染するのを防止し、ウイルス感染した植
物の周囲の土壌に埋設することにより発病を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、植物に病害を引き起こ
す菌やウイルスが、土壌を介して植物に感染するのを防
止する方法、及びすでにウイルスに感染した植物が発病
するのを防止する方法に関する。
【0002】
【従来技術】果樹、穀物、野菜、観賞植物などの植物を
病原菌やウイルスの感染から守るため、従来から種々の
殺菌剤や防除剤が使用されている。しかしながら、これ
らの殺菌剤や防除剤は特定の植物の特定の病害にしか効
果がないものが多く、汎用性に乏しいものであった。ま
た、これらの殺菌剤や防除剤は、噴霧などにより直接植
物に付与したり、土壌に混ぜたりして付与されるが、時
間の経過とともに洗い流されたり、散逸したりして、そ
の効力の持続は十分とは言えなかった。更には、これら
の殺菌剤や防除剤の中には人体や植物自体に悪影響を及
ぼすものや、土壌に蓄積して土壌を汚染するものもあ
り、改善が望まれていた。
【0003】また、とくに上記植物が一旦ウイルス病に
感染すると、従来の技術では有効な治療方法はなく、ウ
イルス病に対しては予防によるしかないものと考えられ
ていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の欠点を解消すべくなされたものであり、とくに、土壌
感染する植物の病害について、病原菌やウイルスの種類
に関係なく感染を防止することができ、その効力が長期
にわたって持続でき、しかも、人体や植物に対して安全
で、土壌を汚染することがない、植物の土壌感染の防止
方法を提供することを課題とする。
【0005】また、本発明は既にウイルスに感染してい
る植物が発病して症状が現れるのを防止することも目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1に記
載の発明は、微生物吸着樹脂が付着した多孔質基材を植
物の周囲の土壌に埋設することを特徴とする植物の土壌
感染の防止方法を提供するものである。
【0007】また、請求項2記載の発明は、請求項1に
記載の発明において、微生物吸着樹脂が
【0008】
【化3】
【0009】(ただし、式中Rはベンジル基、C4〜C
16のアルキル基又はペンタフルオロフェニルメチル基、
Xはハロゲン原子)で表される官能基を有する水不溶性
または水難溶性のビニル系共重合体であることを特徴と
する植物の土壌感染の防止方法に関する。
【0010】また、請求項3に記載の発明は、微生物吸
着樹脂が付着した多孔質基材をウイルスに感染した植物
の周囲の土壌に埋設することを特徴とするウイルス感染
植物の発病防止方法に関する。
【0011】更に、請求項4に記載の発明は、請求項3
に記載の発明において、微生物吸着樹脂が
【0012】
【化4】
【0013】(ただし、式中Rはベンジル基、C4〜C
16のアルキル基又はペンタフルオロフェニルメチル基、
Xはハロゲン原子)で表される官能基を有する水不溶性
または水難溶性のビニル系共重合体(以下「ビニルピリ
ジニウム系共重合体」という)であることを特徴とする
ウイルス感染植物の発病防止方法に関する。
【0014】本発明の多孔質基材には、紙、織物、編み
物、不織布、発泡体、多孔質膜、及び炭、粘土などの土
壌改良材などが使用できる。これら多孔質基材は表面積
が大きいため、表面に微生物吸着樹脂を付着しておけ
ば、土壌中の菌やウイルスなどの微生物との接触機会が
高くなり、効率よく微生物を捕えることができる。ま
た、多孔質基材は土壌中を移動する水分や栄養分の移動
は妨げないので、植物の成長に悪影響を及ぼすことはな
い。これらの多孔質基材の内、とくに、繊維が3次元的
に絡んだ構造を持つ不織布は、表面積が大きく、強度的
にも優れるので望ましい。
【0015】上記多孔質基材は少なくともその表面が親
水性であるか、親水化処理されていることが望ましい。
これは、微生物吸着樹脂やその原料となるモノマーがア
ルコール類などの有機溶剤に溶かされて多孔質基材の表
面に付着されるので、多孔質基材の表面が親水性である
と、微生物吸着樹脂を均一に、かつ付着強度の高い状態
で多孔質基材の表面に付着できるからである。
【0016】また、上記多孔質基材の孔径、形状、大き
さ、重量などは使用状態に応じて自由に選択することが
できる。
【0017】本発明に使用する微生物吸着樹脂は、細菌
類、かび類、そう類、ウイルスなどの微生物を吸着する
機能を持つ樹脂であればよく、例えばポリスチレン又は
スチレンと架橋性ジビニルモノマーとの共重合体に、ト
リメチルアンモニウム基を導入した強塩基性陰イオン交
換樹脂なども使用できるが、とくに、微生物吸着機能が
高いビニルピリジニウム系共重合体を用いることが望ま
しい。
【0018】また、微生物吸着樹脂が水溶性であると、
土壌中の水分の移動に伴って微生物吸着樹脂が多孔質基
材から移動してしまうおそれがあるため、微生物吸着樹
脂は水不溶性または水難溶性であることが望ましい。
【0019】水不溶性または水難溶性のビニルピリジニ
ウム系共重合体としては、2-または4-ビニルピリジンと
モノビニルモノマーとを共重合した後、ハロゲン化物を
作用させて得られる、下記の一般式で表されるビニル系
共重合体を使用することができる。
【0020】
【化5】
【0021】ただし、式中R1はベンジル基、C4〜C16
のアルキル基またはペンタフルオロフェニルメチル基、
2は水素原子またはC1〜C3のアルキル基、Xはハロ
ゲン原子、Yは水素原子、C1〜C3のアルキル基、ベン
ジル基、エーテル基、カルボキシル基、カルボン酸エス
テル基またはアリール基である。また、このビニル系共
重合体はランダム共重合体またはブロック共重合体であ
る。
【0022】共重合に使用するモノビニルモノマーとし
ては、エチレン、プロピレン、ブテンなどのモノオレフ
ィン、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸
エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、脂肪
族ビニルエステル、アクリロニトリル及びこれらの誘導
体などがあるが、これらに限らず、種々のものが単独ま
たは組合せて使用できる。
【0023】この2-または4-ビニルピリジンとモノビニ
ルモノマーとの比率、すなわち、n:mの割合は、使用
されるモノビニルモノマーの種類や、重合度によっても
異なるが、大略10:90〜90:10の範囲にあるのが望まし
い。この範囲よりも2-または4-ビニルピリジンの割合が
少ないと十分な微生物吸着性が得られず、これより多い
と得られる共重合体が水溶性の高いものとなってしま
う。とくに、好ましいn:mの割合は10:90〜70:30で
ある。また、上記ビニル系共重合体の重合度は少なくと
も300以上であることが望ましく、これより重合度が低
いと得られるビニル系共重合体の水溶性が高いものとな
ってしまう。
【0024】モノビニルモノマーと2-または4-ビニルピ
リジンとの共重合体は、ハロゲン化アルキル、ハロゲン
化ベンジル、ハロゲン化ペンタフルオロフェニルメチル
などのハロゲン化物と反応させることにより、ピリジン
を4級化し、次式で表わされる官能基を形成する。
【0025】
【化6】
【0026】この官能基が主体となって微生物を吸着す
る働きをしているものと考えられる。この機構は明らか
ではないが、この官能基は正に帯電しており、一般に微
生物の細胞表面は負に帯電していることから、静電気的
な相互作用が一つの重要な因子であると推定される。
【0027】この様にして得られたビニルピリジニウム
系共重合体は、水には不溶または難溶であるが有機溶剤
には可溶であり、有機溶剤に溶かして溶液として利用さ
れる。有機溶剤としては、アルコール類、エステル類、
フェノール類、エーテル類などが使用できるが、取り扱
いやすさなどの点から考えて、アルコール類を使用する
ことが望ましい。
【0028】このビニルピリジニウム系共重合体を溶解
した溶液は、多孔質基材に含浸、スプレー、コーティン
グなどの手段で付与される。この後、乾燥工程を経るこ
とにより、上記ビニルピリジニウム系共重合体は多孔質
基材に付着される。
【0029】また、本発明に使用されるビニルピリジニ
ウム系共重合体としては、上記ビニル系共重合体の他
に、以下に示すような2-または4-ビニルピリジンと架橋
性ジビニルモノマーとを多孔質基材上で重合させ、ハロ
ゲン化物によって4級化させたものも用いることができ
る。
【0030】重合に使用する架橋性ジビニルモノマーと
しては、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニ
ルナフタレンなどの芳香族ジビニル化合物、ジアクリル
酸エチレングリコールエステル、ジメタクリル酸エチレ
ングリコールエステルなどの脂肪族ジビニル化合物等を
挙げることができる。この架橋性ジビニルモノマーは単
独で或いは2種以上組合せて用いることができる。
【0031】この架橋性ジビニルモノマーと2-または4-
ビニルピリジンは、アルコール類、エステル類、フェノ
ール類、エーテル類などの有機溶剤に添加されて溶液と
され、含浸、スプレー、コーティングなどの手段によ
り、多孔質基材の表面に付与される。次いで、有機溶剤
の一部又は全部を除去し、架橋性ジビニルモノマーと2-
または4-ビニルピリジンは多孔質基材の表面に付着され
る。多孔質基材の表面に付着される2-または4-ビニルピ
リジンに対する架橋性ジビニルモノマーの割合は、15%
以下であることが望ましく、これを越えると微生物の吸
着力が低下する。また、各モノマーを含む溶液には過酸
化ベンゾイルやアゾビスイソブチロニトリルなどの慣用
のラジカル開始剤が添加されていることが望ましい。更
には、各モノマーを含む溶液には、スチレン、メチルメ
タクリレートなどの反応性ビニルモノマーが加えられて
いても良い。
【0032】このようにして多孔質基材の表面にモノマ
ーの状態で付着した架橋性ジビニルモノマー及び2-また
は4-ビニルピリジンは、加熱下で重合される。重合は常
圧または加圧下で、温度50〜100℃で行われる。
【0033】得られた重合体を、ハロゲン化アルキル、
ハロゲン化ベンジル、ハロゲン化ペンタフルオロフェニ
ルメチルなどのハロゲン化物と反応させることによりピ
リジンを4級化して、ハロゲン化されたピリジニウム基
を有する橋かけ構造のビニルピリジニウム系共重合体が
付着した多孔質基材が得られる。
【0034】なお、本発明に使用する微生物吸着樹脂
は、本発明者らの実験により、水分の存在下で優れた微
生物吸着機能を示すことがわかっている。通常、土壌中
には水分が含まれているため微生物吸着樹脂は十分に微
生物吸着機能を発揮すると考えられるが、水分が不足す
る場合には保湿剤を併用してもよい。このような保湿剤
としては、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム
などのアルカリ土類金属塩や塩化リチウム、メタケイ酸
カリウム、硫酸チタニウムなどの潮解性物質、ポリビニ
ルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリド
ンなどの水溶性高分子、シリカゲル、ゼオライト、コラ
ーゲン、エチレングリコール、五酸化二リン、酸化マグ
ネシウム、酸化カルシウムなどがある。
【0035】また、吸着保持した微生物を殺菌する必要
がある場合には、殺菌剤を併用してもよい。このような
殺菌剤としては、例えば、抗生物質のポリミキシン、第
4アンモニウム塩などの陽性界面活性剤、アルキルアミ
ノエチルグリシンなどの両性界面活性剤、クロルヘキシ
ジン、ポリヘキサメチレンピグアニジンなどのピグアナ
イド、ウンデシレン酸などの高級脂肪酸、金属及び金属
イオン、フェノール類などが適している。
【0036】なお、殺菌剤が土壌中の水分に溶け出して
移動したり、土壌を汚染する心配がある場合には、水不
溶性または水難溶性の殺菌剤を使用した方がよい。この
様な殺菌剤としては、金、銀、銅などの粉末、ゼオライ
トを殺菌性を有する金属イオンで置換した抗菌性ゼオラ
イト、ポリビニル、ポリアクリレート、ポリエステル、
ポリアミドなどのポリマー鎖にピグアナイドまたは第4
アンモニウム塩を固定化したポリマー型固定化殺菌剤、
3−(トリメトキシシリル)−プロピルトリメチルオク
タデシルアンモニウムクロライドなどのシリコーン型固
定化殺菌剤などがある。
【0037】上述した微生物吸着樹脂を付着した多孔質
基材は、植物の周囲の土壌に埋設される。多孔質基材1
を埋設する方法としては、図1(a)のように植物2の
根のまわりを多孔質基材1で袋状に包むように土壌中に
埋める方法や、図1(b)のように植物2の根の周囲を
多孔質基材1で筒状に包囲するように土壌中に埋める方
法や、図1(c)のように植物2の根を多孔質基材1で
傘状に覆うように土壌中に埋める方法や、図1(d)の
ように多孔質基材1を小片にカットして土壌と混合して
埋設する方法などがある。
【0038】図1(a)の埋設方法では土壌中のどの方
向からの菌やウイルスによる感染も防止でき、図1
(b)の埋設方法では主として土壌中の側面からの感染
が防止でき、図1(c)の埋設方法では主として土壌中
の上部からの感染が防止できる。なお、図1(d)の埋
設方法は図1(a)の埋設方法よりも感染防止の効果は
やや劣る傾向にあるが、埋設作業が非常に簡単に行える
という利点を持つ。また、ウイルスに感染した植物の周
囲に上述した微生物吸着樹脂を付着した多孔質基材を埋
設する場合、上記いずれの埋設方法を用いてもウイルス
に感染した植物の発病の確率を低下させることができ
る。
【0039】なお、微生物吸着樹脂を付着した多孔質基
材を埋設する際、植物の根のまわりの土は除くか、ある
いは汚染されていない土と入れ替えることが望ましく、
例えば、図1(a)のように、多孔質基材で植物の根を
袋状に包む場合、植物の根と多孔質基材との間に殺菌処
理された土を入れるのが良い。
【0040】また、微生物吸着樹脂を付着した多孔質基
材は、土壌感染を完全に防止するために、植物の根の周
囲を連続した状態で包囲するように埋められていること
が望ましいが、埋設が困難な場合や煩雑な場合には不連
続となっていてもよい。
【0041】上述のように、本発明では微生物吸着樹脂
が付着した多孔質基材を植物の周囲の土壌に埋設してい
るため、土壌中を移動して植物の根に感染する菌やウイ
ルスは多孔質基材に付着する微生物吸着樹脂によって吸
着保持され、植物の根まで到達できないので感染が阻止
される。なお、植物に有害なウイルスの中には、他の菌
や虫を媒体として土壌中を移動して感染するものもある
が、菌は微生物吸着樹脂により捕まえることができ、虫
は多孔質基材によって侵入を阻まれるため、このような
ウイルスによる感染も防止できる。
【0042】また、本発明では微生物吸着樹脂が多孔質
基材に安定に付着されているため、微生物吸着樹脂が土
壌中を移動したり、散逸したりすることがないので、菌
やウイルスによる感染を防止する効果が長期にわたって
持続し、また、人体や植物自体に対しても安全である。
更には、使用し終った多孔質基材は掘り出して焼却する
ことなどにより廃棄できるので、土壌を汚染する心配も
ない。
【0043】なお、ウイルスに感染した植物の周囲の土
壌に微生物吸着樹脂が付着した多孔質基材を埋設する場
合には、植物体内より排泄される物質とともに存在する
ウイルスを多孔質基材上に捕えることができるため、一
旦植物の体外へ出たウイルスが植物体内へ戻ることがな
く、これにより植物体内のウイルスが減少することでウ
イルスの量が発病に必要な量に達せず、発病が防止され
るのではないかと考えられる。例えば、梨の木などにお
いて、接木する際の台木が梨壊疽斑点病などのウイルス
病に感染している場合、冬期に根を微生物吸着樹脂が付
着した多孔質基材で包むように埋めておけば発病が防止
される。これは、ウイルスの活動が低下する冬期に、ウ
イルスを含む水分などが外に出て、再び根に吸収される
迄に、ウイルスを微生物吸着樹脂が吸着するためか、あ
るいは、ウイルスの集中する葉が冬の訪れと共に散り、
これらのウイルスが再度土壌を通って植物へ感染するの
を微生物吸着樹脂が付着した多孔質基材が防止するため
ではないかと推定される。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例に従って詳細に説明す
る。
【0045】実施例1 4-ビニルピリジンとスチレンとを30:70モルの割合で共
重合した後、4-ビニルピリジンと等モル量のベンジルブ
ロミドで4級化処理してピリジニウム基を有するビニル
系共重合体を得た。一方、レーヨン繊維(繊度1.5デニ
ール)からなる繊維ウェブを水流絡合処理して、目付90
g/m2、厚み0.5mmの不織布を作製した。この不織布に、
上記ビニル系共重合体を溶解したエタノール溶液を含浸
した後、75℃で乾燥して、不織布に対する付着率が1.5
重量%となるようにビニル系共重合体を付着した。
【0046】一方、キュウリ苗立枯病菌(Pythium apha
nidermatum Fitzpatrick 株番号MAFF03-05567)をV−
8ジュース寒天培地で培養し、遊走子のうを確認した
後、培地ごとバーミキュライトからなる人工土壌と混合
して、汚染人工土壌を調整した。この時の培地と人工土
壌との混合割合は、培地10mlに対して人工土壌10
0mlとした。なお、V−8ジュース寒天培地には、V
−8ジュース(キャンベル社製)300mlに、炭酸カ
ルシウム4.5gを攪拌しながら加え、遠心分離器によ
り3000rpmで遠沈をし、上澄液200mlを取り
出し、これに寒天15gを加え、蒸留水で1lとなるよ
うに調整したものを使用した。
【0047】次に、キュウリの苗を滅菌処理された人工
土壌と共に、上記ビニル系共重合体を付着した不織布で
包み、上記汚染土壌に20株植えた。なお、比較のため
に不織布で包まないものも20株植えた。この後、滅菌
処理を施した水を十分に与え、7日間経過後に発病して
倒れた苗の数を調べたところ、ビニル系共重合体を付着
した不織布で包んだものでは発病して倒れたものはな
く、包まなかったものでは14株が発病して倒れてい
た。
【0048】実施例2 4-ビニルピリジンとスチレンとを30:70モルの割合で共
重合した後、4-ビニルピリジンと等モル量のベンジルブ
ロミドで4級化処理してピリジニウム基を有するビニル
系共重合体を得た。一方、レーヨン繊維(繊度1.5デニ
ール)からなる繊維ウェブを水流絡合処理して、目付90
g/m2、厚み0.5mmの不織布を作製した。この不織布に、
上記ビニル系共重合体を溶解したエタノール溶液を含浸
した後、75℃で乾燥して、不織布に対する付着率が1.5
重量%となるようにビニル系共重合体を付着した。
【0049】植物として梨の木を選び、梨壊疽斑点病に
感染していて例年激しい症状を示す樹体について実験を
行った。実験は、約100本の梨の木の内2本だけ、上記
ビニルピリジウム系共重合体が付着した不織布で、図1
(a)のように梨の木の根を包むように土壌中に埋設
し、他の樹体は通常どおりとし、これらの梨の木を同じ
ようにして10か月間育てた。なお、不織布で根を包む
時、梨の根についた土を除いてから不織布で包んだ。こ
の結果、上記ビニル系共重合体を付着した不織布で包ん
だ2本の梨の木は梨壊疽斑点病の症状は全く発現しなか
ったが、他の樹体はすべて例年どおりに病気の症状が現
れた。
【0050】実施例3 4-ビニルピリジン3g、ジビニルベンゼン0.05g、アゾ
ビスイソブチロニトリル0.03g及びトルエン300mlを反
応容器に入れ、この容器中に、レーヨン繊維(繊度1.5
デニール)からなる繊維ウェブを水流絡合処理して得た
目付90g/m2、厚み0.5mmの不織布を浸漬した。次いで、
室温でトルエンを蒸発させ、不織布の表面に4-ビニルピ
リジン、ジビニルベンゼン、及びアゾビスイソブチロニ
トリルを付着させた。この後、80℃の温度で5時間、恒
温器中に静置して、不織布上で4-ビニルピリジンとジビ
ニルベンゼンとを架橋重合させた。
【0051】不織布を、上記の4-ビニルピリジンとジビ
ニルベンゼンとを不織布上で架橋重合させたものと、変
えたこと以外は、実施例1と同様にして梨の成育実験を
行ったところ、この不織布で根を包んだ2本の梨の木は
梨壊疽斑点病の症状は全く発現しなかったが、他の樹体
はすべて例年どおりに病気の症状が現れた。
【0052】
【発明の効果】本発明の方法によれば、植物の周囲の土
壌に埋設された多孔質基材に付着している微生物吸着樹
脂が、土壌中を移動して植物の根に感染する菌やウイル
スを捕え、ウイルスなどの感染媒体となる虫の侵入を多
孔質基材が阻止するため、植物は土壌を介して感染する
有害な菌やウイルスによって感染されることがない。
【0053】とくにウイルスに感染した植物の周囲の土
壌に微生物吸着樹脂が付着した多孔質基材を埋設した場
合、植物体内より排泄される物質とともに存在するウイ
ルスを多孔質基材上に捕えることができるため、一旦植
物の体外へ出たウイルスが植物体へ戻ることがなく、こ
れにより植物体内のウイルスが減少することで病気の症
状が発現するのを防止することができる。
【0054】また、上記微生物吸着樹脂はどの様な種類
の菌やウイルスであっても吸着保持することができるた
め、本発明の方法は土壌感染する種々の植物の種々の病
害に対して、また種々のウイルスに感染している植物の
発病に対して用いることができ、極めて汎用性に富む。
【0055】更には、本発明では微生物吸着樹脂が多孔
質基材に安定に付着しているため、菌やウイルスによる
感染を防止する効果、及びウイルスに感染している植物
の発病を防止する効果が長期にわたって持続し、また、
人体や植物自体に対しても安全で土壌を汚染する心配も
ない。
【0056】以上のように、本発明の方法は、植物に対
して有害な菌やウイルスが土壌を介して感染するのを防
止すること、またはウイルスに感染した植物の発病を防
止することができる極めて有用な方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】微生物吸着樹脂が付着した多孔質基材の埋設方
法の例を示す図
【符号の説明】
1・・・微生物吸着樹脂が付着した多孔質基材 2・・・植物

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微生物吸着樹脂が付着した多孔質基材を
    植物の周囲の土壌に埋設することを特徴とする植物の土
    壌感染の防止方法。
  2. 【請求項2】 微生物吸着樹脂が 【化1】 (ただし、式中Rは、ベンジル基、C4〜C16のアルキ
    ル基又はペンタフルオロフェニルメチル基、Xはハロゲ
    ン原子)で表される官能基を有する水不溶性または水難
    溶性のビニル系共重合体である請求項1に記載の植物の
    土壌感染の防止方法。
  3. 【請求項3】 微生物吸着樹脂が付着した多孔質基材を
    ウイルスに感染した植物の周囲の土壌に埋設することを
    特徴とするウイルス感染植物の発病防止方法。
  4. 【請求項4】 微生物吸着樹脂が 【化2】 (ただし、式中Rは、ベンジル基、C4〜C16のアルキ
    ル基又はペンタフルオロフェニルメチル基、Xはハロゲ
    ン原子)で表される官能基を有する水不溶性または水難
    溶性のビニル系共重合体である請求項3に記載のウイル
    ス感染植物の発病防止方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2000239110A (ja) * 1999-02-19 2000-09-05 Kansai Research Institute 機能性無機粒子およびその製造方法

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