JPH10218768A - 増殖性疾患治療剤 - Google Patents

増殖性疾患治療剤

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JPH10218768A
JPH10218768A JP2663697A JP2663697A JPH10218768A JP H10218768 A JPH10218768 A JP H10218768A JP 2663697 A JP2663697 A JP 2663697A JP 2663697 A JP2663697 A JP 2663697A JP H10218768 A JPH10218768 A JP H10218768A
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JP
Japan
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egf
cancer
compound
therapeutic agent
formula
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JP2663697A
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English (en)
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Satoshi Yaginuma
慧 柳沼
Yukimasa Uehara
至雅 上原
Hiroko Murakami
裕子 村上
Satoshi Mizuno
左敏 水野
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 式(I) 【化1】 で表される化合物、またはその薬理学上許容される塩を
有効成分とする増殖性疾患の予防・治療剤、または上皮
増殖因子受容体チロシンキナ−ゼ活性抑制剤。 【効果】 EGF−Rチロシンキナ−ゼ活性を強く抑制
し、増殖性疾患、例えば、上皮起源の悪性増殖性疾患で
ある腫瘍(例えば乳癌、食道癌、膀胱癌、卵巣癌、外陰
癌、結腸癌、肺癌、黒色腫、口腔癌および脳腫瘍)、あ
るいは表皮の良性増殖性疾患である乾癬、肺線維症、多
嚢胞性腎疾患などの治療に適用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、上皮増殖因子受容
体チロシンキナ−ゼ活性抑制作用を有し、腫瘍、乾癬、
肺線維症、多嚢胞性腎疾患などの増殖性疾患の治療に有
用な治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】上皮増殖因子受容体(epidermal growth
factor receptor:以下、EGF−Rと表記することが
ある)は、分子量170KDの糖蛋白質で1本のポリペ
プチド鎖からなり、細胞外のEGF(epidermal growth
factor)結合部位、膜貫通部位、そして細胞内のチロシ
ン残基特異的プロテインキナ−ゼ部位から構成されてお
り、細胞内ドメインはsrcキナ−ゼと相同性の高いチ
ロシンキナ−ゼ活性をもっている〔 Carpenter,G.,et a
l: J.Biol.Chem.,265,7709-7712,(1990)〕。上皮増殖因
子であるEGFおよびEGFと構造的に相同性をもつポ
リペプチド性増殖因子であるTGF−α(transforming
growth factor- α)は、共通の受容体であるEGF−
Rに細胞膜上で結合すると、EGF−Rの細胞内ドメイ
ンにあるチロシンキナ−ゼが活性化され、EGF−R自
己リン酸化及び他の蛋白質チロシン残基のリン酸化が誘
導される。それと同時にEGF/EGF−R複合体ある
いは、TGF−α/EGF−R複合体は、受容体媒介エ
ンドサイト−シスによって細胞内に取り込まれ、リソゾ
−ムで分解される〔 Willingham,M.C.et al:J.Cell.Bio
l., 94, 207-211,(1982)〕。それに続いてEGF−R
mRNAとEGF−R合成が促進され〔 Clark,A.J.L.,
et al: Proc.Natl.Acad.Sci.US, 82, 8374-8378(1985)
〕、最終的には細胞のDNA合成が誘導されて細胞増
殖が観察される〔Hollenberg,M.D.,et al: Proc.Natl.A
cad.Sci.USA, 70, 2964-2969(1973) 〕。つまり、EG
F−Rの過剰発現は腫瘍の細胞増殖に関与しているので
治療のタ−ゲットになり得るし、また腫瘍患者のEGF
−Rチロシンキナ−ゼ活性の抑制は、腫瘍細胞の増殖を
阻害すると考えられる。
【0003】上皮起源の悪性腫瘍、例えば乳癌、膀胱
癌、卵巣癌、外陰癌、結腸癌、肺癌、脳腫瘍および食道
癌細胞においてEGF−Rの過剰発現が認められてい
る。腫瘍細胞内でのEGF−Rの発現は制御不能な増殖
を招く自己分泌増殖刺激のある機構を与えることが示唆
されている〔 Schlessinger.J.,et al: Crit.Rev.Bioch
em. 14, 93-111(1983)〕。
【0004】EGF−Rは多くの種類の細胞で発現して
いるが、その発現を癌患者より得られた癌組織や非癌部
組織について検討して見ると、扁平上皮組織では他の組
織に比較して明らかにEGF−Rを多く発現している
し、同じ扁平上皮組織でも癌部の方が非癌部よりも高率
に過剰発現が認められている〔 Ozawa,S.,et al: Jpn.
J.Cancer Res., 79, 1201-1207(1988) 〕。
【0005】ヌ−ドマウスにEGF−R過剰発現扁平上
皮癌細胞株を移植し、EGFを持続的に投与すると外因
性のEGFに反応してその増殖が促進され、EGF/E
GF−R系が腫瘍細胞の増殖に重要な役割を果たしてい
ることが報告されている〔 Ozawa,S.,et al: Int.J.Can
cer 40, 706-710(1987) 〕。EGF−Rなどの増殖因子
受容体を過剰発現している乳癌、食道癌症例では、低発
現症例に比較して病期、病理、組織型、浸潤度などの背
景因子が同じにもかかわらず根治術後の累積生存率が有
意に低下していることが明らかにされている〔 Slamon,
D.J.,et al: Science 235, 177-181(1987) ; Ozawa,S.,
et al: Cancer 63, 2166-2173(1989) 〕。また胃癌や乳
癌においても、EGF/EGF−R系が発現している症
例において予後が不良であるという報告もある〔 Sains
bury,J.R.C.,et al: Lancet 8547, 1398-1402(1987); S
ugiyama,K.,et al: Cancer 63, 1557-1561(1989) 〕。
これらのことは、EGF−Rを過剰発現している腫瘍細
胞は、その生物学的悪性度が高く、しかも患者の予後は
極めて不良であり、手術療法のみで完治することが困難
であり、集学的治療を必要としていることを示してい
る。また、腫瘍細胞中のEGF−Rの存在はヒト乳癌に
おける予後不良の指標となることを示している。
【0006】ホルモン標的組織に発生する乳癌細胞は、
本来女性ホルモン依存性であるが、実際には原発性乳癌
の40%はホルモン非依存性であり、依存性腫瘍におい
てもその依存性は進行と共に失われていくことが知られ
ている。このホルモン非依存性乳癌においてEGF−R
がエストロゲン受容体と逆相関して特徴的に発達してい
る。これは同時にホルモン療法耐性に直結している〔 T
oi,M.,et al: Cancer65, 1980-1984(1990) 〕。
【0007】正常表皮におけるEGF−Rの発現は増殖
能のある基底・傍基底層に限局されているが、良性表皮
増殖性疾患である乾癬病変部表皮では基底・傍基底層ば
かりでなく表皮上層までEGF−Rの発現が認められて
いる。またTGF−αが乾癬病変部角化細胞において過
剰発現されていることが知られている〔 Amagai,M.,et
al: Br.J.Dermatol 119, 661-668(1988); Elder,J.T.,
et al: Science 243,811-814(1989)〕。過剰発現され
ているTGF−αの局在を見てみると、乾癬病変部表皮
では正常表皮において認められる基底・傍基底だけでな
く、表皮上層においても認められた〔 Gottlied,A.B.,e
t al: J.Exp.Med., 167, 670-675(1988)〕。EGF−R
とそのリガンドであるTGF−αが乾癬病変部表皮にお
いてともに過剰発現されていることは、乾癬の角化細胞
の増殖能亢進に対し、EGF−R/TGF−αの発現が
何らかの病因的役割を担っていることが強く示唆されて
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】抗腫瘍剤としては、代
謝拮抗剤、アルキル化剤、アルカロイド、抗生物質、ホ
ルモンなどが治療剤として用いられている。臨床的にチ
ロシンキナ−ゼ活性を有するEGF−Rの発現が上皮起
源の腫瘍、例えば乳癌、食道癌、膀胱癌、胃癌など種々
の癌において予後不良因子となっていることは、EGF
−Rチロシンキナ−ゼ活性の亢進が腫瘍の進行に直接関
与していることを示すもので、裏を返せば治療の良い標
的ともいえる。EGF−Rチロシンキナ−ゼ活性が亢進
している腫瘍は、細胞増殖が活発で組織学的には未分化
な傾向が強く、しばしば既存の治療薬に耐性である。E
GF−Rチロシンキナ−ゼ活性抑制剤は、上皮起源の腫
瘍、乾癬、肺線維症、多嚢胞性腎疾患などの増殖性疾患
等の予防・治療薬としての発展が期待され、臨床的意義
は大きい。
【0009】従来、EGF−Rチロシンキナ−ゼ活性を
抑制する物質としては、ア−ブスタチン〔 Umezawa,H.,
et al: J.Antibiotics 39, 170-173(1986) 〕、ゲニス
ティン〔 Ogawara,H.,et al: J.Antibiotics 39, 606-
608(1986) 〕、ラベンダスチンA〔 Onoda,T.,et al:
J.Nat.Prod., 52, 1252-1257(1989) 〕等などが報告さ
れている。しかしながら、有効性、持続性、副作用など
の点で必ずしも満足されるものではなく、さらに優れた
EGF−Rチロシンキナ−ゼ活性抑制剤又は、増殖性疾
患の予防・治療剤の開発が求められている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するため鋭意研究した結果、後述の化合物が優れ
たEGF−Rチロシンキナ−ゼ活性抑制作用を有し、ひ
いては腫瘍等の増殖性疾患の治療剤として有用であるこ
とを確認し、本発明を完成するに至った。即ち本発明
は、式(I)
【0011】
【化3】
【0012】で表される化合物、またはその薬理学上許
容される塩を有効成分とする増殖性疾患の予防または治
療剤である(以下、予防・治療剤と表記することもあ
る)。また本発明は式(I)で表される化合物、または
その薬理学上許容される塩を有効成分とするEGF−R
チロシンキナ−ゼ活性抑制剤である。上記式(I)で示
された化合物は、特開昭64−83078号公報に開示
された公知化合物M5032物質(以下スポロスタチン
と称することがある)であり、同公報には、その物性や
微生物を用いた製造法等の開示がある。また、スポロス
タチンが、環状アデノシン3’,5’−モノリン酸ホス
ホジエステラ−ゼ阻害作用を有することの開示はある
が、従来、EGF−Rチロシンキナ−ゼ活性抑制作用を
有することや、抗腫瘍作用を有することについての開示
や示唆はない。スポロスタチンは真菌スポロルミエラ・
エスピ−M5032(Sporormiella sp.M5032 )を培地
に培養し、培養物中に生成蓄積させ、該培養物中から精
製単離することにより得られる(特開昭64−8307
8号公報)。スポロスタチンの薬理学上許容される塩と
しては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩など
が例示される。
【0013】スポロルミエラ・エスピ−M5032株の
菌学的性状は以下の通りである。 1.各培地における生育状態 1)ツアペック寒天培地 25℃の場合、生育は非常に悪く、10日間で菌糸が極
めて薄く培地上に生育するのみである。菌叢の中心部は
灰黄色(greyish yellow; 4C3)で他は無色。菌叢の
裏面の中心部は黄褐色(yellowish brown; 5E5)で
他は無色。
【0014】2)麦芽汁寒天寒天培地 25℃の場合、生育は遅く、10日間で菌叢の直径は1
1−15mm。菌叢は平坦で、菌糸は主として培地中ま
たは培地表面に生育し、気中菌糸は少ない。菌叢の表面
はビロ−ド状で、褐橙色(brownnish orange; 6C3)
であり、周辺部はやや蜘蛛の巣状(arachnoid)。浸出液
は出さない。拡散性色素は褐黄色(brownish yellow;5
C7)。裏面は褐色(brown;6E5)。
【0015】3)オ−トミ−ル寒天倍地 25℃の場合、生育は普通で、10日間で菌叢の直径は
37−39mm。菌叢は平坦でビロ−ド状、オリ−ブ灰
色(olive grey; 2F2)であり、周辺部は全縁。浸出
液および拡散性色素は出さない。裏面はオリ−ブ褐色
(olive brown 4F3) 2.生理学的性状 生育し得るpH 3.5−10.5, 最適生育pH 4.5−8.0 生育し得る温度 11−35℃、 最適生育温度 28−31℃ 3.顕微鏡下における形態的特徴 偽子嚢殻は、培地中に半分埋まって生育し、亜球形−洋
梨形、暗褐色ないし黒色、直径150−200μm;頸
部は短く乳首状;殻壁は膜質ないし多少皮質。子嚢はほ
ぼ円筒形、8胞子、150−220x20−25μm、
頂部は丸く、下部は急に狭まり、短い柄を持つ。偽側糸
は糸状、隔壁を有し、幅2.5−2.8μm、無色。子
嚢胞子は褐色で、8胞子、3−4列に配列、円筒形で先
端は細まり、大きさは43−50x7−8μm、横断状
に隔壁を生じくびれる。先端細胞の大きさは、7−8x
5−5.5μm、中間細胞の大きさは5−5.5x7−
8μm、ゼラチン膜を有し、発芽スリットは対角線に生
ずる。分生子世代は観察されない。
【0016】4.菌の同定と寄託 本菌M5032株は、子嚢胞子を形成し増殖することか
ら子嚢菌類に属するもので、子嚢殻は菌糸塊から発達し
た偽子嚢殻よりなり、子嚢が二重壁、子嚢胞子が8細胞
で発芽スリットを持つ等の特色からスポロルミエラ(Sp
orormiella)属に属するものと同定される。スポロルミ
エラ属は、現在約70種程知られているが、本菌と合致
する種は見当たらず、M5032株をスポロルミエラ・
エスピ−M5032(Sporormiella sp. M5032)と命名
し、昭和62年9月にFERMP−9506として寄託
し、さらに再度、平成9年2月5日に工業技術院生命工
学工業技術研究所にFERM P−16063として寄
託した。
【0017】各培地における生育状態の色の表示は、Ko
rnerup A. and Wanscher J.H. 1978”Methuen Handbook
of Colour 3rd ed.”Eye Methuen, London の表示法に
従った。また、菌株の同定については次の文献を参考に
した。 1)Ahmed,S.I. and R.F.Cain. Revision of the gene
ra Sporormia and Sporormiella. Can.J.Bot.50, 419-
477(1972) 2)von Arx,J.A.“The genera of fungi sporulation
in pure culture." J.Cramer. 424p. 。
【0018】本発明で増殖性疾患とは、EGF−RやT
GF−αなどの増殖因子受容体あるいは増殖因子の過剰
発現に起因する疾患で、具体的には腫瘍、乾癬、肺線維
症、多嚢胞性腎疾患などが挙げられる。腫瘍としては上
皮起源の悪性腫瘍が好ましい例として挙げられ、具体的
には乳癌、食道癌、膀胱癌、卵巣癌、外陰癌、結腸癌、
肺癌、脳腫瘍、口腔癌、黒色腫などが挙げられる。また
上皮起源の良性の増殖性疾患としては乾癬、肺線維症、
多嚢胞性腎疾患などが挙げられる。
【0019】スポロスタチン及びその薬理学上許容され
る塩は、そのままあるいは各種の医薬組成物として経口
的または非経口的に投与される。このような医薬組成物
の剤形としては、例えば錠剤、丸薬、散剤、顆粒剤、カ
プセル剤、坐剤、注射剤、点滴剤などが挙げられる。上
記剤形の製剤化には、通常知られている方法が適用さ
れ、例えば各種の賦形剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤、懸
濁剤、等張化剤、乳化剤、吸収促進剤などを含有しても
良い。
【0020】医薬組成物に使用される担体としては、例
えば水、注射用蒸留水、生理食塩水、各種緩衝液、グル
コ−ス、フラクト−ス、イノシト−ル、マンニト−ル、
ラクト−ス、シュ−クロ−ス、スタ−チ、セルロ−ス、
メチルセルロ−ス、カルボキシメチルセルロ−ス、ヒド
ロキシプロピルセルロ−ス、アルギン酸、クエン酸ナト
リウム、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、ステ
アリン酸マグネシウム、尿素、シリコ−ン樹脂、ソルビ
タン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、エチ
レングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ポリエチレン
グリコ−ル、各種アミノ酸などが挙げられ、これらは製
剤の種類に応じて適宜選択される。
【0021】スポロスタチンの投与量は、目的とする治
療効果、投与方法、治療期間、患者の年齢、体重などに
より決められるが、経口もしくは非経口的投与方法(例
えば、注射、点滴、坐剤による直腸投与、皮膚貼付ある
いはスプレ−による鼻腔投与など)により、通常成人1
日当たり0.05〜10mg/kgである。かくして得
られたスポロスタチンまたはその薬理学上許容される塩
を有効成分とする医薬組成物は、EGF−Rチロシンキ
ナ−ゼ活性抑制作用および細胞増殖抑制作用を示し、増
殖性疾患の予防または治療剤として有効である。
【0022】次にスポロスタチンのEGF−Rチロシン
キナ−ゼ活性抑制作用および細胞増殖抑制作用について
試験例で説明する。チロシンキナ−ゼの酵素源として
は、EGF−Rを過剰発現しているヒト類表皮癌A43
1細胞(Japanese Cancer Research Resources Bank;JC
RB-9009 )の膜画分を用い、基質として angiotensin I
I (和光純薬工業社製)を用いた。また細胞増殖抑制試
験には、A431細胞、EGF−R高発現株であるヒト
口腔上皮癌HSC−2細胞(JCRB-0622 )およびEGF
−R高発現株であるヒト乳癌SK−BR−3細胞(Amer
ican Type Culture Collection;ATCC HTB-30) を用い
た。
【0023】
【発明の実施の形態】
試験例1 EGF−Rチロシンキナ−ゼ活性抑制作用 EGF−R膜画分の調製 A431細胞は、直径10cmのシャ−レ10枚を用
い、10%牛血清を含むDMEM(Dulbecco's Modifie
d Eagle's Medium; Gibco 社製)を用いコンフルエント
に達するまでCO2 インキュベ−タ−中(37℃、5%
CO2)で培養した。培養液を除去後、PBS(−)(2.
7mM KCl, 1.5mM KH2PO4, 0.14M NaCl, 8.1mM Na2HPO4
7H2Oを含有する)溶液5mlで細胞を洗浄した。次い
で、1mlのPBS(−)溶液をくわえ、セルスクラッ
パ−で細胞をかき取り、1,000rpmで5分間遠心
し、細胞を集めた。この細胞をPBS(−)1mlに懸
濁させ1,000rpmで1分間遠心することにより細
胞画分を洗浄した。この細胞画分をシュ−クロ−ス緩衝
液〔20mM HEPES (N-2-hydroxyethylpiperazine-N'-2-et
hansulfonic acid; ナカライ・テスク社製)、1mM EDTA
(ethylendiaminetetraacetic acid; 岩井化学薬品社
製)、0.5mM PMSF (phenylmethylsulfonylfluoride; Si
gma 社製)、250mM シュ−クロ−ス;pH7.4 〕2mlに
懸濁させ、テフロンホモゲナイザ−(Sansyo社製)を用
いてホモゲナイズした。3,000rpm、4℃で10
分間遠心し、その上清液を得た。この上清液をさらに5
0,000rpm、4℃で1時間遠心してペレット画分
を回収し、20mM HEPES緩衝液(pH7.4)
200μlに懸濁させ、ダウンスホモゲナイザ−(Whea
ton 社製)を用いてホモゲナイズした。ホモジネ−トを
10,000rpm、4℃で1時間遠心した。その上清
液を回収し、蛋白濃度2mg/mlになるように20m
MHEPES緩衝液(pH7.4)で調製し、粗EGF
−Rチロシンキナ−ゼ画分として分注し、−80℃で保
存し、必要に応じて融解して用いた。 EGF−Rチロシンキナ−ゼ活性の測定 ミクロチュ−ブに5mM MnCl2 ・4H2 Oを含む
20mM HEPES緩衝液(pH7.4)4μl、2
0μg/mlEGF(宝酒造社製)溶液2μl、10m
g/ml Angiotensin II 溶液2μl、0.8%Tri
ton X−100を含む粗EGF−R膜画分5μl、
10%DMSOに溶解した各種濃度のスポロスタチン2
μlを入れ室温で30分間振盪した。次いで、上記HE
PES緩衝液(pH7.4)2.5μl、[γ−32P]
ATP〔NEN Research Products(Wilmington,DE,USA);
5μCi/μl 〕0.5μl、100μM ATP溶液2
μlを加え反応を開始した。反応は氷上で15分間行
い、氷上で冷20%TCA(trichloroacetic acid; 和
光純薬工業社製)10μlを加え、15,000rp
m、4℃で10分間遠心することにより沈殿物として蛋
白を除いた。次いで、遠心上清液40μlをWhatman P8
1 phosphocellulose (Whatman 社製;2 x 2cm)濾紙上に
スポットした。この濾紙を室温で10分間75mMリン
酸溶液に浸した。この操作を4回繰り返すことにより濾
紙を洗浄した後、更に一度エタノ−ル溶液で洗浄した。
濾紙は室温で乾燥し、濾紙上に残存する放射活性量を液
体シンチレ−ションカウンタ−(Packard 社製)にて測
定した。
【0024】結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】表1によれば、スポロスタチンはヒト類表
皮癌A431細胞のEGF−Rの細胞質部分のチロシン
キナ−ゼ活性を明らかに抑制することが確認された。 試験例2 上皮癌細胞の増殖抑制作用 マイクロプレ−トにて、10%牛胎仔血清を含むDME
M培地で被試験物質スポロスタチンを希釈し、これに前
述の各癌細胞5x103 /wellをそれぞれ加え、5
%CO2 のインキュベ−タ−中で37℃で4日間培養し
た後、細胞数をMTT法〔 Michael C.Alley et al: Ca
ncer Res., 48 589-601(1988)〕でカウントした。な
お、被試験物質は水に難溶なので、ジメチルスルホキシ
ドに溶解した後、上記の培地で希釈した。コントロ−ル
として、被試験物質を添加しなかった他は上記の操作を
繰り返した。細胞数がコントロ−ルの50%に減少した
濃度をIC50(μg/ml) として、スポロスタチンのIC
50を測定した。結果を表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】以上のようにスポロスタチンは、上皮癌細
胞に対して明らかな増殖抑制効果を示した。またスポロ
スタチンの急性毒性(LD50)は、マウス腹腔内投与に
おいて50mg/kg以上である(特開昭64−830
78号公報)。以上の試験結果より、スポロスタチンは
優れたEGF−Rチロシンキナ−ゼ活性抑制作用、なら
びに上皮性腫瘍細胞の増殖を抑制し、増殖性疾患の予防
・治療剤として有用であることが確認された。
【0029】次に実施例をあげて本発明を説明するが、
本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0030】
【実施例】
【0031】
【実施例1】 錠剤 特開昭64−83078号公報の実施例1および実施例
2に従って、スポロルミエラ・エスピ−M5032(F
ERM P−16063;FERM P−9506の再
寄託)株を用いて調製したスポロスタチン50gと、ラ
クト−ス20g、コ−ンスタ−チ9gおよびカルボキシ
メチルセルロ−スカルシウム5gを混合し、10%ヒド
ロキシプロピルセルロ−ス溶液を加えて常法により練合
する。この練合液を1.0mmの金属バスケットを取り
付けた押し出し造粒機で造粒子し、ステアリン酸マグネ
シウムを加えて整粒して打錠用顆粒とし、常法により打
錠をおこなって1製剤(170mg)中スポロスタチン
100mgを含む8mm径の錠剤を得た。
【0032】
【実施例2】 カプセル剤 スポロスタチン50g、ラクト−ス80gおよびポテト
スタ−チ38gからなる混合物に、10%ヒドロキシプ
ロピルセルロ−ス溶液を加えて練合し、以下実施例1と
同様に造粒し、ステアリン酸マグネシウムを加えてカプ
セル充填機によりハ−ドカプセルに充填し、常法により
1カプセル(170mg)中スポロスタチンを50mg
含むカプセル剤を得た。
【0033】
【実施例3】 ソフトカプセル剤 スポロスタチンの10gをオリ−ブ油100gに溶か
し、得られた溶液を常法によりカプセルに注入すること
により、1カプセル当たり10mgのスポロスタチンを
含むソフトカプセル剤を得た。
【0034】
【発明の効果】本発明の予防・治療剤は、EGF−Rチ
ロシンキナ−ゼ活性を強く抑制し、増殖性疾患、例え
ば、上皮起源の悪性増殖性疾患である腫瘍(例えば乳
癌、食道癌、膀胱癌、卵巣癌、外陰癌、結腸癌、肺癌、
黒色腫、口腔癌および脳腫瘍)、あるいは表皮の良性増
殖性疾患である乾癬、肺線維症、多嚢胞性腎疾患などの
治療に適用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C07D 313/00 C07D 313/00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I) 【化1】 で表される化合物、またはその薬理学上許容される塩を
    有効成分とする増殖性疾患の予防・治療剤。
  2. 【請求項2】 増殖性疾患が腫瘍、乾癬、肺線維症、多
    嚢胞性腎疾患のいずれかである請求項1に記載の予防・
    治療剤。
  3. 【請求項3】 腫瘍が上皮起源の腫瘍である請求項2に
    記載の治療剤。
  4. 【請求項4】 式(I) 【化2】 で表される化合物、またはその薬理学上許容される塩を
    有効成分とする上皮増殖因子受容体チロシンキナ−ゼ活
    性抑制剤。
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