JPH10218767A - 骨疾患治療剤 - Google Patents

骨疾患治療剤

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JPH10218767A
JPH10218767A JP2912497A JP2912497A JPH10218767A JP H10218767 A JPH10218767 A JP H10218767A JP 2912497 A JP2912497 A JP 2912497A JP 2912497 A JP2912497 A JP 2912497A JP H10218767 A JPH10218767 A JP H10218767A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 骨形成促進作用が優れ、経口投与で効果を示
し、副作用も少なく、水および有機溶媒にも溶解する骨
疾患治療剤を提供する。 【解決手段】 アセキサム酸亜鉛を有効成分とする骨疾
患治療剤である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、骨疾患に対する治
療剤に関し、更に詳しくは、アセキサム酸亜鉛を有効成
分とする骨疾患に対する治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】骨代謝、骨形成不全により、骨中のカル
シウム量の減少などが生じて、種々の骨疾患が起こると
考えられている。骨疾患の代表として骨折、骨軟化症、
骨減少症、骨粗鬆症、腰背痛等がある。近年これらの疾
患が増加しており、なかでも骨折の発生頻度が高く、老
齢者が骨折に罹患した場合は、多くの場合寝たきり患者
となり、医療上は勿論、社会的にも大きな問題となりつ
つある。また、若年層においても食生活の偏重によりカ
ルシウム不足などから生じる同様の疾患が増加しており
治療に対する対応が迫られている。骨疾患の一つである
骨粗鬆症に対する治療剤としては現在ではカルシトニ
ン、活性型ビタミンD3剤、その他ホルモン剤、カルシ
ウム製剤が投薬されている。カルシトニンは骨粗鬆症に
おける疼痛に対して優れた効果を示すが、ペプチドであ
るため経口投与で効果を示さず、注射剤としてのみ使用
されており、投与の不便さ、投与の苦痛が問題である。
活性型ビタミンD3剤は骨形成作用、疼痛改善作用など
の効果が十分でなく、また、高カルシウム血症を引き起
こし、臨床上でも副作用として消化器(嘔気、下痢、食
欲不振など)、精神神経系(いらいら感、不眠など)お
よび循環器(動悸など)、腎臓および皮膚に対して広範
囲に影響することが認められている。そこで、投薬時に
苦痛がなく、副作用の少ない医薬品の開発が求められて
いる。
【0003】一方、亜鉛が骨形成の刺激及び石灰化の活
性化因子として重要な役割を果たしていることがin viv
o(Metabolism, 35, 1044-1047, 1986, Pharmacol., 35,
773-777, 1986) およびin vitro(Biochem. Phermaco
l., 36, 4007-4012, 1987, ibid., 37, 4075-4080, 198
8)の各試験で認められており、さらに亜鉛が骨タンパク
質合成を刺激することが報告されている(Biochem. Phar
macol., 37, 4075-40801988) 。しかし、亜鉛自体の経
口投与では吸収、消化管障害などを惹起させるし、また
非経口投与では排泄、毒性などの問題があった。上記問
題を解決するものとして、特開平3−120257号公
報が提案されている。これは有機亜鉛化合物であるL-カ
ルノシン亜鉛を有効成分とするもので、毒性、副作用が
少なく、経口投与で効果を示す骨疾患の治療剤である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらL-カルノ
シン亜鉛は水および有機溶媒にほとんど溶解しないた
め、注射剤、特に静脈内注射剤や点鼻剤などの水溶性製
剤の調整の場合に溶解補助剤や安定化剤などを用いる必
要があった。本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、骨形成促進作用が優れ、経口投与で効果を示し、副
作用も少なく、水および有機溶媒にも溶解する骨疾患治
療剤を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明はアセキサム酸亜
鉛を有効成分とする骨疾患治療剤である。
【0006】本発明におけるアセキサム酸亜鉛はアセキ
サム酸と亜鉛を2:1の濃度割合で配合し、室温下で反
応させて得られる無色、無臭の結晶粉末であり、融点は
193〜196℃で、水溶液のpH値は6.5付近、
水、アンモニア水およびピリジン等に溶けやすい薬剤で
あり、下記化学式で表される。
【化1】
【0007】次に、本発明で使用されるアセキサム酸亜
鉛の製造の一例を示す。1g水酸化ナトリウムを10mlのメ
タノールに溶解し、この溶液に2.6gのアセキサム酸を加
えて溶解させた(A液)。1.5gの酢酸亜鉛を10mlのメタ
ノール溶液に溶解させた(B液)。このB液をマグネチ
ックスタラーで攪拌しているA液に滴下すると、液は白
濁しアセキサム酸亜鉛が析出してきた。滴下終了後も2
〜3時間攪拌を続けた。その後、反応液を濾過し、残査
をメタノール液およびアセトン液で洗浄後、60℃で乾
燥してアセキサム酸亜鉛2.9gを得た。この製法で得られ
たアセキサム酸亜鉛の元素分析を行い、理論値と比較し
た結果を下記に示す。 C H N 0 Zn 理論値(W/W)% 46.94 6.84 6.84 23.41 15.96 測定値(W/W)% 46.85 6.73 6.91 - 15.91 元素分析での測定値は理論値と一致していた。
【0008】本発明のアセキサム酸亜鉛は、補助剤を配
合して経口投与または非経口投与用の製剤として用いら
れる。経口投与の製剤化の補助剤としては、賦形剤とし
て乳糖、マンニット、トウモロコシデンプン、結晶セル
ロース、デキストリン、無水リン酸カルシウム、白糖な
どが挙げられる。結合剤としてはデンプン、ゼラチン、
アラビアゴム、セルロース誘導体などが挙げられる。崩
壊剤としてはデンプン、セルロース誘導体、炭酸塩など
が挙げられる。滑沢剤としてマグネシウム、カルシウム
のステアリン酸塩、タルク、マクロゴールなどが挙げら
れる。そしてこれらを1種または2種以上を適宜組み合
わせることにより錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤など
にして使用することができる。前記固形製剤はヒドロキ
シプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロースアセテートサクシナート、セル
ロースアセテートフタレート、メタアクリレートコーポ
リマーなどの被覆用基剤を用いてフィルムコーティング
製剤とすることができる。また、前記固形製剤は中級油
脂酸、トリグリセライド、サフラワー油、ダイズ油、各
種のポリエチレングリコールに溶解して、軟カプセル剤
とすることもできる。さらにまた、水性溶媒などに溶解
または油性溶媒などに懸濁して水剤とすることもでき
る。非経口投与剤としては、水性溶媒などに溶解して注
射剤とすることができ、挫剤用基剤を用いて挫剤とする
こともできるし、軟骨基剤を用いて軟膏とすることもで
きる。さらに、ハイドロキシアパタイトなどと共に溶解
または懸濁して、骨に直接注射できる。投与量は、年
齢、体重、症状、投与経路および投与期間によって異な
るが、経口投与の場合、通常1 〜2000mg/日、好ましく
は100 〜600mg /日を1 日1 〜4 回の範囲でおこなう。
【0009】
【発明の実施の形態】つぎに試験例および処方例をあげ
て本発明を説明する。 〔試験例1〕老齢ラットの大腿骨骨幹端部の骨組織のア
ルカリ性ホスファターゼ活性は、若年ラット(4 週齢)
の場合と比べて38% にに減少していた。そこで、老齢ラ
ットの大腿骨骨幹端部の骨組織に、骨に対する治療剤お
よび骨に対する作用の知られている化合物を添加して組
織培養を行い、アルカリ性ホスファターゼ活性に及ぼす
作用について調べた。材料および方法 Wistar系雌性ラット(50周齢)をエーテル麻酔下に大腿
骨を摘出した。大腿骨は0.25M 蔗糖液で洗浄後、骨幹端
部の組織を採取して断片とし、ダルベッコ変法イーグル
培養液に加え、表1に示す被検化合物を一定濃度添加し
た。これを5%二酸化炭素、37℃の条件下で48時間インキ
ュベーションした。アルカリ性ホスファターゼ活性の測定 インキュベーション後、組織片を0.25M 蔗糖液で洗浄
し、6.5mM バルビタール緩衝液(pH7.4)3ml中で破砕し、
超音波処理した。この液を遠心分離して上清を酵素液と
してWalter及びSchuttの方法(in Method of Enzymatic
Analysis, Vol1-2,p856, Academic Press, New York, 1
965) に従って測定した。即ち、p-ニトロフェニール燐
酸を基質として、ジエタノールアミン緩衝液(pH9.8)2ml
に酵素液0.05mlを添加し、37℃で30分間インキュベーシ
ョンし、0.05N NaOH 10ml を添加した後、分光光度計を
用いて吸光度(405nm) を測定し、骨に対する治療剤およ
び骨に対する作用の知られている化合物の骨アルカリ性
ホスファターゼ活性を調べた。その結果を表1に示す。
なおそれぞれの試験群は6回づつ測定し、平均値および
標準誤差で示した。また、有意差検定にはStudent's t-
testを用いて求め、P値が0.01以下であれば統計学的に
有意差ありとした。
【0010】
【表1】
【0011】骨の石灰化の促進に関する最も重要な酵素
であるアルカリ性ホスファターゼ活性に対する作用は、
アセキサム酸亜鉛、硫酸亜鉛およびL-カルノシン亜鉛な
どの亜鉛化合物において有意な活性促進作用が認められ
た。特にアセキサム酸亜鉛はアルカリ性ホズファターゼ
活性を著しく高める作用が認められた。このことから、
亜鉛を含有する化合物は骨石灰化に対して強い作用を有
することが認められた。
【0012】〔試験例2〕亜鉛化合物に関して、老齢ラ
ット大腿骨骨端部の組織培養系における骨アルカリ性ホ
スファターゼ活性に及ぼす効果を調べるために、添加濃
度の範囲を広げて調べた。材料および方法 Wistar系雌性ラット(50周齢)をエーテル麻酔下に大腿
骨を摘出した。大腿骨は0.25M 蔗糖液で洗浄後、骨幹端
部の組織を採取して断片とし、ダルベッコ変法イーグル
培養液に加え、この培養培地に表2に示すように亜鉛化
合物を濃度を変えて添加した。これを5%二酸化炭素、37
℃の条件下で48時間インキュベーションし、試験例1と
同様な方法で骨アルカリ性ホスファターゼ活性の測定を
行った。その結果を表2に示す。それぞれの試験群は6
回づつ測定し、平均値および標準誤差で示した。また、
有意差検定にはStudent's t-testを用いて求め、P値が
0.01以下であれば統計学的に有意差ありとした。
【0013】
【表2】
【0014】10-7M において硫酸亜鉛およびL-カルノシ
ン亜鉛は対照群と比較して有意な活性促進作用は認めら
れなかったが、アセキサム酸亜鉛は有意な活性促進作用
を示した。さらに、10-5M では、アセキサム酸亜鉛が硫
酸亜鉛およびL-カルノシン亜鉛と比較して極めて有意な
活性促進作用を示した。このことから、有機亜鉛化合物
の中でもアセキサム酸亜鉛は骨組織中で強い石灰化促進
作用を有し、広い濃度範囲においてその効果が認められ
た。
【0015】〔試験例3〕老齢ラット大腿骨骨幹端部組
織培養系において、亜鉛化合物が骨カルシウム量に及ぼ
す作用について調べた。材料および方法 Wistar系雌性ラット(50周齢)をエーテル麻酔下に大腿
骨を摘出した。大腿骨は0.25M 蔗糖液で洗浄後、骨幹端
部の組織を採取して断片とし、ダルベッコ変法イーグル
培養液に加え、この培養培地に表3に示すように亜鉛化
合物を濃度を変えて添加した。これを5%二酸化炭素、37
℃の条件下で48時間インキュベーションした。カルシウムの測定 インキュベーション後、組織片を0 .25M蔗糖溶液で洗
浄、乾燥後、骨重量を測定した。その後、組織片に濃硝
酸を加え120 ℃で12時間灰化し、原子吸光度を用いて骨
カルシウム量を定量した。その結果を表3に示す。それ
ぞれの試験群は6回づつ測定し、平均値および標準誤差
で示した。また、有意差検定にはStudent'st-testを用
いて求め、P値が0.01以下であれば統計学的に有意差あ
りとした。
【0016】
【表3】
【0017】老齢ラットは一般的に骨代謝が低下し、骨
中のカルシウム量は減少している。亜鉛化合物の投与に
よってカルシウム含量は増加し、10-5M 濃度の添加にお
いて、アセキサム酸亜鉛の効果はL-カルノシン亜鉛およ
び硫酸亜鉛と比較して有意に強いことが認められる。こ
の結果からアセキサム酸亜鉛が骨のカルシウム含量を最
も高める作用を有することが認められる。
【0018】〔試験例4〕骨組織中のDNA含量は細胞
数や蛋白質合成能と関係のあることが知られている。そ
こで老齢ラット大腿骨骨幹端部の組織培養系における骨
DNA含量に及ぼすアセキサム酸亜鉛の作用を調べた。材料および方法 Wistar系雌性ラット(50周齢)をエーテル麻酔下に大腿
骨を摘出した。大腿骨は0.25M 蔗糖液で洗浄後、骨幹端
部の組織を採取して断片とし、ダルベッコ変法イーグル
培養液に加え、この培養培地に表4に示すように亜鉛化
合物を濃度を変えて添加した。これを5%二酸化炭素、37
℃の条件下で48時間インキュベーションした。DNA量の定量 インキュベーション後、組織片を0.25M 蔗糖溶液で洗浄
し、湿重量を測定した。その後、0.1N NaOH 4ml 中で粉
砕して、4 ℃で24時間浸透させた。この液を遠心分離
し、上清を試料としてCeriottiらの方法(J.Bool.Chem.,
241:34-77, 1955)に従って定量した。即ち、試料2ml に
濃塩酸1ml 及び0.04% インドール溶液1ml を添加し沸騰
水中で100 ℃に加熱後、急冷して、クロロホルム4ml で
抽出し、クロロホルム層を採取して、分光光度計(490n
m) を用いて骨中のDNA量を測定した。その結果を表
4に示す。それぞれの試験群は6回づつ測定し、平均値
および標準誤差で示した。また、有意差検定にはStuden
t's t-testを用いて求め、P値が0.01以下であれば統計
学的に有意差ありとした。
【0019】
【表4】
【0020】10-7M では硫酸亜鉛及びL-カルノシン亜鉛
は対照群と比較して有意なDNA量の増加作用は認めら
れなかったが、アセキサム酸亜鉛は有意な増加促進作用
が認められた。更に、10-6M 濃度でも、アセキサム酸亜
鉛は硫酸亜鉛およびL-カルノシン亜鉛と比較して有意な
増加促進作用が認められた。この結果から、アセキサム
酸亜鉛は蛋白質合成を最も促進させる化合物であること
が認められた。
【0021】〔試験例5〕老齢ラット大腿骨骨幹部の組
織培養系における骨亜鉛含量に及ぼすアセキサム酸亜鉛
の作用について検討を行った。材料および方法 Wistar系雌性ラット(50周齢)をエーテル麻酔下に大腿
骨を摘出した。大腿骨は0.25M 蔗糖液で洗浄後、骨幹端
部の組織を採取して断片とし、ダルベッコ変法イーグル
培養液に加え、この培養培地に表5に示すように亜鉛化
合物を濃度を変えて添加した。これを5%二酸化炭素、37
℃の条件下で48時間インキュベーションした。骨中の亜鉛含量の測定 インキュベーション後、組織片を0 .25M蔗糖溶液で洗
浄、乾燥後、骨重量を測定した。その後、組織片に濃硝
酸を加え120 ℃で12時間灰化し、原子吸光度を用いて骨
中の亜鉛含量を定量した。その結果を表3に示す。それ
ぞれの試験群は6回づつ測定し、平均値および標準誤差
で示した。また、有意差検定にはStudent'st-testを用
いて求め、P値が0.01以下であれば統計学的に有意差あ
りとした。
【0022】
【表5】
【0023】骨組織中の亜鉛含有量は亜鉛化合物の使用
により上昇することが認められた。特にアセキサム酸亜
鉛はその作用が強く、10-5M でL-カルノシン亜鉛と比較
しても有意に増加することが認められた。このことは亜
鉛化合物の中でも特にアセキサム酸亜鉛は、細胞中への
亜鉛の取り込み量が高いことが認められる。
【0024】〔試験例6〕アセキサム酸亜鉛の骨に対す
る作用の生理学的活性元素の検討を行った。材料および方法 Wistar系雌性ラット(50周齢)をエーテル麻酔下に大腿
骨を摘出した。大腿骨は0.25M 蔗糖液で洗浄後、骨幹端
部の組織を採取して断片とし、ダルベッコ変法イーグル
培養液に加え、この培養培地に10-6M シクロヘキシイミ
ドと10-5M アセキサム酸亜鉛との混合物、並びに10-3M
ジピコリネートと10-5M アセキサム酸亜鉛との混合物を
添加し、これを5%二酸化炭素、37℃の条件下で48時間イ
ンキュベーションした。この骨組織を用いて、カルシウ
ム含量およびアルカリ性ホスファターゼ活性の測定を試
験例2および3と同様の方法で行った。その結果を表6
に示す。それぞれの試験群は6回づつ測定し、平均値お
よび標準誤差で示した。また、有意差検定にはStudent'
s t-testを用いて求め、P値が0.05以下であれば統計学
的に有意差ありとした。
【0025】
【表6】
【0026】蛋白合成阻害剤であるシクロヘキシイミド
の存在下では、アセキサム酸亜鉛のカルシウム含量およ
びアルカリ性ホスファターゼ活性は亜鉛無添加の対照群
と比較して有意差は認められず、これらに対する増強作
用は消失した。このことはアセキサム酸亜鉛は骨の蛋白
合成を促進することでアルカリ性ホスファターゼなどの
合成を促進し、その結果骨のカルシウム含量を増加させ
ると推察される。また、キレート剤であり、亜鉛イオン
の除去作用を有するジピコリネートを培養培地に添加し
たものは、アセキサム酸亜鉛のカルシウム含量およびア
ルカリ性ホスファターゼ活性は、亜鉛無添加の対照群と
比較して有意差は認められず、これらに対するに対する
増強作用は消失した。この結果からアセキサム酸亜鉛の
骨に対する作用を示す基本元素は亜鉛であることが推察
される。
【0027】〔試験例7〕次に、老齢ラットに亜鉛化合
物を経口投与して大腿骨骨幹端部組織の骨成分について
検討を行った。材料および方法 Wistar系雌性ラット(50周齢)に、硫酸亜鉛、L-カルノ
シン亜鉛およびアセキサム酸亜鉛を1回/日、7日間経
口投与した。なお、投与量は亜鉛量に換算して5.5mg/kg
とした。即ち、硫酸亜鉛は19.5mg/kg 、L-カルノシン亜
鉛は25mg/kg 、アセキサム酸亜鉛は34.7mg/kg とした。
化合物の最終投与24時間後に大腿骨を摘出し、前述の
試験例の方法に従って、骨内の亜鉛量、カルシウム量、
アルカリ性ホスファターゼ活性およびDNA量を測定し
た。その結果を表7に示す。それぞれの試験群は6回づ
つ測定し、平均値および標準誤差で示した。また、有意
差検定にはStudent's t-testを用いて求め、P値が0.05
以下であれば統計学的に有意差ありとした。
【0028】
【表7】
【0029】亜鉛化合物は動物への経口投与でも骨中の
成分を増加させる作用が認められた。特にアセキサム酸
亜鉛ではその作用が強く、カルシウム量およびアルカリ
性ホスファターゼ活性では硫酸亜鉛およびL-カルノシン
亜鉛と比較して有意に増加促進作用が認められ、亜鉛化
合物の中では最も有効な骨形成促進剤であることが動物
試験においても確認された。
【0030】〔試験例8〕毒性試験 Fisher系ラット雌雄を用いて、飼料に0%(対照群とし
た)または1%アセキサム酸亜鉛を添加し、14日間この飼
料を与えて飼育した。アセキサム酸亜鉛の平均摂取量は
雄で1014.5mg/kg/日、雌で953mg/kg/ 日となった。投与
期間中死亡例はみられず、対照群と比較して体重増加お
よび臨床症状においても特記すべき変化は観察されなか
った。他方、アセキサム酸亜鉛は胃や十二指腸に対する
治療臨床試験でヒトに1800mg/ 日を7 日間、経口投与し
ても20例中にこの化合物による副作用は認められず(Dig
estion, 45:121-129,1990)、また、胃や十二指腸に900m
g/日を4 週間経口投与しても副作用は認められなかった
(Med.Clin.(Barc);85:831-834,1985) 。これらの結果か
ら、アセキサム酸亜鉛は極めて安全な化合物である。
【0031】〔試験例9〕有機亜鉛化合物の水に対する
溶解性について検討した。溶解度試験 アセキサム酸亜鉛2.5gを遠心分離管に採取し、30mlの蒸
留水を加え、20±5 ℃で30分間振蘯して飽和させた。こ
の液を遠心分離後、上清を濾過し、既知濃度の秤量瓶に
その濾液20mlを正確に量り取り、蒸発乾固する。乾固
後、減圧下で40℃、3 時間乾燥させた後、デシケーター
内に30分以上置いて放冷後、残量分の分量を求め、アセ
キサム酸亜鉛1gを溶解するのに必要な蒸留水量(ml)を算
出した。その結果を表8に示す。
【0032】
【表8】
【0033】アセキサム酸亜鉛は、L-カルノシン亜鉛と
比較して、より少量の水に溶解することから、L-カルノ
シン亜鉛より水溶性の高い有機亜鉛化合物であることが
認められた。
【0034】〔処方例1〕下記処方の成分を均一に混合
した後、常法に従って、混合し、圧縮して顆粒を製造し
た。 アセキサム酸亜鉛 50-100g 乳糖 120g トウモロコシデンプン 適量 結晶セルロース 25g ヒドロキシプロピルセルロース 15g
【0035】〔処方例2〕下記処方の成分を均一に混合
した後、常法に従って、混合し、単発打錠機にて直径4-
9mm の杵で打錠した。1錠当たりの重量を概ね200mg
(内アセキサム酸亜鉛10-40mg /錠)とした。次いで、
この錠剤に下記組成のコーティング液をスプレーコーテ
ィングし、1錠当たり10mgの被覆を施し、腸溶性フィル
ムコーティング錠剤とした。 アセキサム酸亜鉛 10-40g 乳糖 適量 トウモロコシデンプン 35g 結晶セルロース 30g カルボキシメチルセルロース 10g ステアリン酸マグネシウム 4g (コーティング液組成) ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート 6.0(W/W)% グリセリン脂肪酸エステル 0.8(W/W)% 塩化メチレン 50.0(W/W)% サラシミツロウ 0.2(W/W)% イソプロパノール 43.0(W/W)%
【0036】〔処方例3〕下記処方の成分を均一に混合
した後、常法に従って、混合し、溶解し、シロップ剤を
製造した。 アセキサム酸亜鉛 10g 単シロップ 75ml 安息香酸バトリウム 1g 精製水 適量
【0037】〔処方例4〕下記処方の成分を均一に混合
した後、常法に従って、混合し、溶解し、1アンプルに
1ml を充填して注射剤を製造した。 アセキサム酸亜鉛 2g 注射用水 適量
【0038】
【発明の効果】本発明の骨疾患治療剤は、骨組織におけ
るカルシウム濃度、DNA濃度、亜鉛濃度およびアルカ
リ性フォスファターゼ活性を増強させることができ、優
れた骨形成促進作用を有している。そして、毒性や副作
用が極めて低く、水および有機溶剤等にも溶解するため
経口投与または非経口投与の幅広い製剤にも適応でき
る。そのため、骨粗鬆症、骨軟化症および骨代謝異常に
よって生じる疾患等の治療剤として有用である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アセキサム酸亜鉛を有効成分とする骨疾
    患治療剤
JP02912497A 1997-02-13 1997-02-13 骨疾患治療剤 Expired - Lifetime JP3974213B2 (ja)

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