JPH1021822A - 電子放出素子およびその製造方法 - Google Patents

電子放出素子およびその製造方法

Info

Publication number
JPH1021822A
JPH1021822A JP19407996A JP19407996A JPH1021822A JP H1021822 A JPH1021822 A JP H1021822A JP 19407996 A JP19407996 A JP 19407996A JP 19407996 A JP19407996 A JP 19407996A JP H1021822 A JPH1021822 A JP H1021822A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
concentric
electrode
electron
emitting device
electrodes
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP19407996A
Other languages
English (en)
Inventor
Morio Hosoya
守男 細谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP19407996A priority Critical patent/JPH1021822A/ja
Publication of JPH1021822A publication Critical patent/JPH1021822A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 フラットパネルディスプレイへの利用に適す
るように、特性を改善した電子放出素子とその製造方法
を提供する。 【解決手段】 基板上に列方向に伸びた下部電極と絶縁
層を介して行方向に伸びた上部電極を形成し、当該下部
電極と上部電極の交差部近傍に、それぞれの電極から分
岐し、正負に荷電される一対の電極を同心円状、同心方
形状または同心多角形状に形成して画素電極を形成し、
当該画素電極上に通電により電子放出を行う機能をもっ
た電子放出膜を形成することにより、対向基板に対して
電子の飛翔軌跡が横流れせず、かつ、電子放出量の多い
電子放出素子が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子に関
し、特に、表面伝導型の電子放出素子に関する。
【0002】
【従来の技術】フラットパネルディスプレイの一種とし
て、FED(Field Emission Display)が精力的に研究
されている。このFEDは、カソード基板とアノード基
板とを対向させ、カソード基板上に多数の電子放出素子
を配置し、この電子放出素子からアノード基板に向けて
電子を放出させ、アノード基板上の蛍光体層を発光させ
るものである。カソード基板上に形成される電子放出素
子は、個々の画素に対応することになる。これまで利用
されている電子放出素子は、電子放出に適した尖鋭な突
起構造を有するものが一般的であり、たとえば、先端部
が尖った円錐状の金属からなる電子放出素子が広く利用
されている。
【0003】これに対して、近年、表面伝導型の電子放
出素子が注目を浴びている。これは、基板上に形成され
た小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより
電子放出が生じる現象を利用した電子放出素子である。
このような電子放出現象は、1965年に「ラジオエン
ジニアリングエレクトロフィジックス(Radio Eng.Elec
tron. Phys. )第10巻、1290〜1296頁」に、エム・ア
イ・エリンソン(M.I. Elinson )らによって報告され
て以来、今日に至るまで種々の報告がなされている。具
体的には、エリンソンらによって開発されたSnO
2 (Sb)薄膜をはじめ、Au薄膜、ITO薄膜、カー
ボン薄膜などで、この表面伝導型の電子放出現象が報告
されている。
【0004】また、最近では、特公平6−101297
号公報に、微粒子を分散した面を挟持した絶縁層を用い
て、この表面伝導型の電子放出素子を構成する技術が開
示されており、特公平6−87392号公報には、微粒
子を含む薄膜導電体膜に通電加熱を施すことにより、表
面伝導型の電子放出機能をもった電子放出素子を製造す
る方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、表面
伝導型の電子放出素子は、FEDなどのフラットパネル
ディスプレイへの利用が期待されている素子であり、こ
のようなディスプレイへ応用する場合、基板上に多数の
素子を行列状に配置し、各素子からの電子放出をそれぞ
れ独立して制御できるようにする必要がある。
【0006】従来の表面伝導型電子放出素子の課題は、
従来構造では、基板上に平行に向かい合う画素電極間に
電子放出物質が存在するために、電子が横方向に飛翔す
る傾向を除去できないという問題である。これらが原因
で、FEDパネルではいわゆる「クロストーク」が生
じ、蛍光体と対応する画素電極側とのアライメント(す
なわち位置合わせ)が製造上困難になり、その結果、コ
ントラストが低下するという問題が生じている。さらに
対向基板がカラー基板であり異なる蛍光体が塗り分けら
れて構成されている場合には、色純度も低下することに
なる。そこで本発明は、電子が横方向に飛翔しない新規
な構造の電子放出素子とその製造方法を提供することを
目的とする。
【0007】電子放出素子をディスプレイヘ応用するた
めの第2の課題は、駆動に必要な配線をできるだけ単純
化するということである。上述のように、行列状に配置
された多数の電子放出素子をそれぞれ独立して制御する
ためには、基板上に縦横に巡った配線を施し、これら配
線に対する電圧を制御することにより、個々の素子から
の電子放出を制御できるようにしなければならない。と
ころが、従来の電子放出素子に対してこのような配線を
施すためには、基板上にかなり複雑な立体配線層を形成
する必要があり、製造プロセスはかなり複雑にならざる
を得ない。このため、やはり製造コストの高騰を招くこ
とになる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明の電子放出素子の態様は、それぞれ正また
は負に荷電される電極上に通電により電子放出を行う機
能をもった電子放出膜を形成してなる電子放出素子にお
いて、前記正または負に荷電される電極が、交互に一定
の間隔で同心円状、同心方形状または同心多角形状に配
置されて画素電極を形成していることを特徴とする電子
放出素子、にある。この電子放出素子によれば、電子が
画素電極の中心部に向かって放出されるので、必ず電子
の飛翔方向成分のうち、基板に平行な運動方向と反対向
きの電場を横切るために対向基板に向かう電子が横流れ
しない電子放出素子が得られる。
【0009】(2)本発明の電子放出素子の第2の態様
は、上述の第1の態様に係る電子放出素子において、同
心円状、同心方形状または同心多角形状に配置された電
極のうち、負に荷電される電極が最外周を占めるように
配置されていることを特徴とする。この電子放出素子に
よれば、特性が更に改善される。
【0010】(3)本発明の電子放出素子の製造方法の
第1の態様は、それぞれ正または負に荷電される電極
が、同心円状、同心方形状または同心多角形状に配置さ
れた電極上に通電により電子放出を行う機能をもった電
子放出膜を形成してなる電子放出素子の製造方法におい
て、基板上に、列方向をなし負に荷電される下部電極で
あって、同心円状、同心方形状または同心多角形状に配
置された画素電極の一方の電極とも導通する下部電極パ
ターンをパターン形成する工程と、画素電極形成部以外
の部分に、当該下部電極と交差する絶縁層を形成する工
程と、当該絶縁層上に行方向をなし正に荷電される上部
電極と、当該上部電極から分岐して下降し、前記同心円
状、同心方形状または同心多角形状画素電極の他方の電
極パターンとをパターン形成する工程と、前記同一面上
に形成された同心円状、同心方形状または同心多角形状
画素電極の表面に通電により電子放出を行う機能をもっ
た電子放出膜を形成する工程、とからなることを特徴と
する電子放出素子の製造方法、にある。この電子放出素
子の製造方法によれば、特性の優れた電子放出素子を容
易に製造することができる。
【0011】(4)本発明の電子放出素子の製造方法の
第2の態様は、それぞれ正または負に荷電される電極
が、同心円状、同心方形状または同心多角形状に配置さ
れた電極上に通電により電子放出を行う機能をもった電
子放出膜を形成してなる電子放出素子の製造方法におい
て、基板上に、列方向をなし負に荷電される下部電極で
あって、同心円状、同心方形状または同心多角形状画素
電極の一方の電極とも導通する下部電極と、前記同心円
状、同心方形状または同心多角形状画素電極の他方の電
極パターンをパターン形成する工程と、画素電極形成部
以外の部分に、当該下部電極と交差する絶縁層を形成す
る工程と、当該絶縁層上に行方向をなし正に荷電される
上部電極と、当該上部電極から分岐して下降し、前記同
心円状、同心方形状または同心多角形状に配置された電
極の他方の電極との接続部を形成するパターンをパター
ン形成する工程と、前記同一面上に形成された同心円
状、同心方形状または同心多角形状に配置された電極の
表面に通電により電子放出を行う機能をもった電子放出
膜を形成する工程、とからなることを特徴とする電子放
出素子の製造方法、にある。この電子放出素子の製造方
法によれば、特性の優れた電子放出素子を、更に精度よ
く製造することができる。
【0012】(5)本発明の電子放出素子の製造方法の
第3の態様は、請求項3または4記載の電子放出素子の
製造方法において、同心円状、同心方形状または同心多
角形状に配置された電極のうち、負に荷電される電極が
最外周を占めるように配置することを特徴とする。この
電子放出素子の製造方法によれば、更に特性の優れた電
子放出素子を、容易に製造することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示する実施形態
に基づいて説明する。
【0014】§1.従来の電子放出素子の構造および動
作原理 はじめに、従来の一般的な表面伝導型の電子放出素子の
構造および動作原理を説明しておく。図1は、従来の表
面伝導型の電子放出素子10および対向基板20の構造
を示す断面図である。この例では、電子放出素子10
は、ガラス基板11上に電極12,13を形成し、更に
その上に電子放出膜14を形成することにより構成され
ている。電子放出膜14は、カソード電極として機能す
ることになり、たとえば、SnO2 ,In2 3 ,Pb
Oなどの金属酸化物、Au,Agなどの金属、カーボン
その他各種半導体など、表面伝導型の電子放出現象が知
られている材料であればどのような材料で構成してもか
まわない。一方、対向基板20は、ガラス基板21上に
透明電極22および蛍光体層23を形成したものであ
る。透明電極22は、たとえばITOなどの材料で構成
され、アノード電極として機能することになる。
【0015】図2は、図1に示す電子放出素子10にお
けるガラス基板11上に形成された構成要素の上面図で
ある。この図における切断線1−1による断面が図1に
示されていることになる。電極12および13が所定間
隔をおいて向き合っており、その間に電子放出膜14が
形成されている状態が明瞭に示されている。
【0016】いま、図1に示すように、各部に配線を施
した場合に生じる現象について考えてみる。この配線に
よれば、電極13は接地され、電極12には電源31か
ら負の電圧が印加される。また、電子放出素子10と対
向基板20との間にも、電源32によってカソード/ア
ノード間電圧が印加されるが、この図1に示す状態で
は、スイッチ35が開いているため、電圧印加は行われ
ていない。さて、電極12,13によって、電子放出膜
14の両側に電圧が印加されると、電子放出膜14の膜
表面部分に、図に矢印で示したような電子放出が起こ
る。これが、表面伝導型の電子放出として知られている
現象である。
【0017】図3は、図1に示す電子放出素子10から
対向基板に向けて電子放出が行われている状況を示す断
面図である。ここで、スイッチ35を閉じてカソード/
アノード間電圧を印加すれば、図3に示すように、電子
放出膜14の表面に放出された電子は、アノード側の対
向基板20へと飛翔することになり、このようなカソー
ドからアノードヘと向かう電子の衝突により、蛍光体層
23が蛍光を発することになる。ここでは、説明の便宜
上、1画素分の構成要素のみを示したが、このような1
画素分の構成要素を縦横にマトリックス状に配列すれ
ば、画素を二次元平面上に並べたフラットパネルディス
プレイを実現することができる。なお、このようなフラ
ットパネルディスプレイでは、スイッチ35を閉じた状
態のままとし、各画素ごとに電源31からの印加電圧を
調節して、画素ごとの発光状態を制御するのが一般的で
ある。より具体的には、電子放出膜14に与える印加電
圧の値および印加時間を調節することにより、対向基板
20個への電子の飛翔量を制御することができる。
【0018】さて、このような電子放出素子10を利用
したフラットパネルディスプレイの技術的課題は、既に
述べたように、電子放出素子から放出された電子を対向
基板の対応する方向に垂直に飛翔させることである。図
1において説明したように、電極12には負の電圧が荷
電され、電極13は接地されているので、電子放出膜1
4から放出された電子は放出当初から、矢印で示す方向
への方向性を有している。この状態で、スイッチ35を
閉じると電源32により対向基板との間でも電圧が印加
され、電子は対向基板側へ向かうが、その方向は、図3
にも図示されるように横方向へかなり流れた軌跡を描
き、対応する蛍光体に電子が到達しない場合が生じる。
このため、特にカラー画像を形成する場合には、フラッ
トパネルの製造上、上下のマトリックス基板のアライメ
ントが困難になるという問題を生じ、その結果、色純度
やコントラストが低下する原因となる。
【0019】また、駆動用配線の単純化という課題も、
従来構造の電子放出素子を配列したマトリックス基板で
は、解決することが困難な課題である。図1および図3
では、1画素分の電子放出素子についての配線を示した
が、ディスプレイに利用する場合には、ガラス基板11
上に縦横に配列された多数の電子放出素子のそれぞれに
対して独立した配線を施し、各電子放出素子ごとに、電
子放出膜14への印加電圧を独立して制御できるように
してければならない。ガラス基板11にこのような配線
を施すには、数多くのパターニングプロセスが必要とな
り、製造工程は複雑化せざるを得ない。これも製造コス
トを高騰させる要因のひとつであり、実用化への障害と
なる。
【0020】図4は、図1に示す電子放出素子10の主
要部分の寸法を示した図である。一般的なフラットパネ
ルディスプレイの場合、ここに示す各部の寸法は、たと
えば、D1=15μm,D2=80μm,D3=0.2
μm,D4=0.5μm、また、図示はされていない
が、電極12,13が並行して対向する距離、L1=8
0μm、といった程度の値になる(もちろん、これらの
数値は一例として示したものであり、具体的な数値は個
々のディスプレイによってそれぞれ異なる。)これらの
寸法のうち、特に素子特性に影響を与える寸法は電極1
2,13間の間隔D1と電極12,13が対向する距離
L1である。この間隔D1は、電子放出膜14に加わる
電界強度を支配するものであり、間隔D1が変わると、
電子の放出量も変わってくることになる。そこで、表示
特性が全面にわたって均一なディスプレイを実現するた
めには、ガラス基板11上に配列された個々の電子放出
素子についての寸法D1を均一にする必要がある。この
ため、実際の製造プロセスにおいては、たとえば、D1
=15μm±2μmといった所定の寸法精度が要求され
ることになり、高精度なパターニングプロセスが必要に
なる。一方、電極12,13が対向する距離L1は、現
実には画素電極が配置される部分の大きさにより固定的
に限定されるので、図2のように対向して配置される電
極である場合は、L1を調整することは殆どできない。
【0021】§2.本発明の電子放出素子の構造および
動作原理 上述した従来の電子放出素子では、電子放出膜14はガ
ラス基板11上に並行して配置された一対の電極間の膜
として形成されている。これは、一方の電極から他方の
電極に電子を放出するという一般的な考えに基づくもの
である。これに対し、本願発明者は、正または負に印加
される一対の電極を同心円状、同心方形状または同心多
角形状に平面上に設け画素電極とすることを着想するに
いたった。ここに画素電極とは、電子放出素子をディス
プレイパネルに使用する場合に、画像の単位となる素子
の電極という意味であり、電子放出膜が設けられている
一個一個の素子の正負の電極をいうこととする。
【0022】本発明の構造の特徴は、ガラス基板11上
に、例えば一対の電極を同心円状に形成し、この同心円
状の電極上に電子放出膜14を形成することにより構成
されている。以下、本発明の説明には同心円状の画素電
極のものについて説明するが、同心方形状、同心多角形
状においても同様であることは容易に想像できることで
ある。また、本発明の同心円状には同心楕円状のもの、
同心方形状には、同心長方形状のもの、同心スロット形
状のもの、同心多角形状には、3角形、6角形、8角形
等の同心のものが含まれる。
【0023】そして本発明では同心円状の電極のうち、
負に荷電される電極が、画素電極の極力外側となり、正
の電極がその内側となるように配置することが好まし
く、同心円状の電極の全外周を負の電極が占めるように
配置することが最も好ましい点に特徴がある。そうする
ことにより、電子放出膜から放出される電子は周囲の負
の電極から中心の正の電極に向けて飛翔することにな
り、カソード/アノード間に電位がかけられた場合に
も、アノード側対向基板に対して拡散しない電子の飛翔
軌跡が得られることになる。また、電極を同心円状に形
成するので、正の電極と負の電極が対向する距離を長く
することができるので、電子の放出量も多くなり、ディ
スプレイパネルでは、画面の輝度を高くすることができ
るという利点もある。
【0024】図5は、本発明の一実施形態に係る電子放
出素子40および対向基板20の構造を示す断面図であ
る。電子放出素子40は、電極42と電極43とが、同
心円状に形成されていて、図5の断面図では、両電極の
断面が交互にあらわれている。この同心円状の電極表面
に電子放出膜44が形成された構成となっている。い
ま、このような構造をもった電子放出素子40につい
て、図5に示すように、各部に配線を施した場合に生じ
る現象について考えてみる。この配線によれば、一方の
同心円状電極43は接地電位に対して電源33から正の
電位が荷電され、他方の同心円状電極42には電源31
から負の電圧が荷電される。また、電子放出素子40と
対向基板20との間にも、電源32によってカソード/
アノード間電圧が印加されるが、この図5に示す状態で
は、スイッチ35が開いているため、電圧印加は行われ
ていない。さて、同心円状電極42および他方の同心円
状電極43によって、電子放出膜44間に電圧が荷電さ
れると、電子放出膜44の膜表面部分に、図に矢印で示
したような電子放出が起こる。すなわち、表面伝導型の
電子放出現象が起こることになる。
【0025】図6は、図5に示す電子放出素子40にお
けるガラス基板11上に形成された構成要素の上面図で
ある。この図における切断線1−1による断面が図5に
示されていることになる。一対の電極42,43が同心
円状に形成されていて、同心円の外周部分には、負に荷
電される電極42が配置されるようにされている。図で
は、便宜上、電極42,43が明瞭にあらわれている
が、実際には、この電極表面には、電子放出膜が形成さ
れるので、電極は隠蔽されることになる。図6の画素電
極でも、負に荷電される電極42が画素電極の全外周を
占めるように形成されている。
【0026】図7は、図5に示す本発明になる電子放出
素子40から対向基板20に向けて電子放出が行われて
いる状態を示す断面図である。ここで、スイッチ35を
閉じてカソード/アノード間電圧を印加すれば、図7に
示すように、電子放出膜44の表面に放出された電子
は、アノード側の対向基板20へと飛翔することにな
り、このようなカソードからアノードヘと向かう電子の
衝突により、蛍光体層23が蛍光を発することになる。
ここでも説明の便宜上、1画素分の構成要素のみを示し
たが、このような1画素分の構成要素を縦横にマトリッ
クス状に配列すれば、画素を二次元平面上に並べたフラ
ットパネルディスプレイを実現することができる。実際
には、従来の電子放出素子を用いたフラットパネルディ
スプレイと同様に、スイッチ35を閉じた状態のまま
で、各画素ごとに電源31からの荷電電圧を調節して、
画素ごとの発光状態を制御することができる。
【0027】図3の電子の飛翔軌跡と図7の飛翔軌跡を
比較して明らかなように、図7では対向基板20への飛
翔軌跡が、右側の電極からでた電子と左側の電極からで
た電子とが対称的な飛翔軌跡を描くので、必ず電子の飛
翔方向成分のうち、基板に平行な運動方向と反対向きの
電場を横切るため、横方向の運動に対してブレーキが働
き、結果として縦方向の運動成分のみが残る(もしくは
強調される。)。このため、カソード電極とアノード電
極(対向基板)との位置合わせの問題も解決されること
になる。
【0028】図8は、この電子放出素子40の主要部分
の寸法を示した図である。ここで、D1としては、実用
上、D1=0.01μm〜20μm程度、より好ましく
は、1μm〜10μm程度に設定するのがよい。また、
D2=80μm,D3=0.2μm,D4=0.5μm
は、図4の場合と変わらない。一方、電極42と43が
対向する距離、L1は同心円状の電極の延長した長さと
なるので、電極を細く長くして同心円の回数を増やせば
増やす程、大きくなることになる。従って、画素電極を
設ける面積が一定であれば、電極を細くして密に同心円
を設ければ、D1の値も小さくなり、L1も大きくなる
ので、放出電子の量も大きくなることが推定される。し
かし、電極が細くなり過ぎる場合には、電極間が断線す
る等、電子放出にマイナスの影響を与えることが考えら
れるが、本願発明では、その最適な条件までは把握され
ていない。
【0029】図9は、本発明の電子放出素子の画素電極
の他の実施例の形状を示す平面図である。図9(a)
は、正の電極と、負の電極が同心正方形状に形成されて
いて、同心正方形状の最外周には負に荷電される電極4
2が形成され、中心には正に荷電される電極43が形成
されている。図9(a)の場合は、正負の電極が二重の
同心方形を形成しているに過ぎないが、模式的な図であ
って、実際には多重の同心方形状にできることは同心円
状の場合と同様である。このように形成された画素電極
上には電子放出膜44が形成される。図9(b)は、正
の電極と、負の電極が同心六角形状に形成されていて、
同心六角形状の最外周には負に荷電される電極42が形
成され、中心には正に荷電される電極43が形成されて
いる。図9(b)の場合は、正負の電極が三重の同心六
角形を形成しているに過ぎないが、模式的な図であっ
て、実際には多重の同心六角形状にできることは同心円
状の場合と同様である。このように形成された画素電極
上には電子放出膜44が形成される。図9(a)、図9
(b)のいずれの場合も正負の電極が相互に交差しない
ように形成されているので、画素電極を一度のパターン
形成で形成する場合には、このような電極構造とするの
が有利である。
【0030】なお、基板上に、この同心状の画素電極を
形成する場合には、正の電極(または負の電極)をパタ
ーン形成した後に、他方の電極をパターン形成してもよ
いし、双方の電極を同時に基板上にパターン形成しても
よい。双方の電極を同時に基板上にパターン形成する場
合には、両電極の材料は同質のものとなるが、導電性の
もので一定の特性を具備する限り問題はないし、電極間
の正確な間隔精度を保つ上では好ましい。
【0031】図10は、本発明の電子放出素子の画素電
極のさらに他の実施例の形状を示す平面図である。図1
0(a)は、正の電極と、負の電極が三重の同心円状に
形成されていて、同心円状の最外周には負に荷電される
電極42が形成され、中心には正に荷電される電極43
が形成されている。図10(b)は、正の電極と、負の
電極が二重の同心正方形状に形成されていて、同心正方
形状の最外周には負に荷電される電極42が形成され、
中心には正に荷電される電極43が形成されている。図
10(a)、図10(b)のいずれの場合も正負の電極
が相互に交差するように形成されているので、この画素
電極を一度のパターン形成で形成することはできず、一
方の電極(下になる電極)を形成した後、電極が交差す
る部分を絶縁処理した後、上方となる他方の電極を形成
する必要がある。
【0032】§3.ディスプレイヘ応用する実施形態 これまで、単一の電子放出素子についての構造を述べて
きたが、本発明の電子放出素子は、フラットパネルディ
スプレイヘの応用に特に適している。この場合、基板上
に多数の電子放出素子を縦横に配置して用いることにな
る。以下、このような実施形態について述べることにす
る。
【0033】図11は、ガラス基板100上に4つの電
子放出素子200を形成した状態を示す斜視図である。
ディスプレイへ応用する場合、1つの電子放出素子が1
画素分の表示動作を行うことになるので、この図11に
示す例では、2×2の合計4画素分の表示が可能にな
る。もちろん、実際のディスプレイでは、より多数の電
子放出素子が配列されることになる。なお、図11の斜
視図において、各構成要素に施されているハッチング
は、前述したように、断面を示すためのものではなく、
個々の構成要素を容易に識別できるようにするためのも
のである。この図11に示す電子放出素子200の構造
は次のとおりである。
【0034】まず、ガラス基板100上に、列方向に伸
びた下部電極110を行方向に複数(この例では2本)
配置する。一方、行方向に伸びた上部電極130を列方
向に複数(この例では2本)配置する。このとき、上部
電極130は絶縁層120を介してガラス基板100上
に形成するようにする。すなわち、絶縁層120は上部
電極130に対して、いわば「橋げた」の役割を果たす
ことになり、下部電極110との交差部分においては、
この「橋げた」として機能する絶縁層120の存在によ
り、上部電極130が下部電極110を跨ぐ形になる。
このような構造では、結局、上部電極130の形成領域
のうち、下部電極110との交差部分には、下部電極1
10/絶縁層120/上部電極130という三層構造体
が形成され、それ以外の部分には絶縁層120/上部電
極130という二層構造体が形成されるようになる。
【0035】もっとも、原理的には、上部電極130の
下方の全領域に絶縁層120を形成する必要はなく、少
なくとも下部電極110との交差部分に絶縁層120を
設け、三層構造体が形成されるようにすれば足りる。し
たがって、この交差部分以外の領域については、必ずし
も絶縁層120を設ける必要はなく、ガラス基板100
の上面に直接上部電極130が形成されるような構造に
してもかまわない。しかしながら、実用上は、図11に
示すように、上部電極130の下方の全領域にわたって
絶縁層120を形成するようにし、上部電極130の上
面がガラス基板100にほぼ平行な平坦面をなすように
構成するのが、断線などを避ける上で好ましい。
【0036】さて、図11に示すように、各交差部分の
近傍には、上部電極層130から分岐した同心円状の電
極と、下部電極110から分岐した同心円状の電極と
が、相互に交絡した一対の同心円状画素電極が形成さ
れ、その上面部には、通電により電子放出を行う機能を
もった電子放出膜140が形成されている。図11に示
す斜視図では、この同心円の構造が、電子放出膜に隠さ
れて十分に表現されていないが、各電極交差点部近傍に
は、図6に示すような同心円状電極が形成されているこ
とになる。
【0037】さて、ここで重要な点は、下部電極110
および上部電極130は、それぞれガラス基板100上
で縦横に伸びた配線層としても機能しうる点である。前
述したように、ディスプレイとして利用するためには、
マトリックス状に配列された個々の電子放出素子に対し
て、それぞれ別個に電子放出を制御できるような配線が
必要になる。従来の構造の電子放出素子の場合、このよ
うな配線のための層を別途用意する必要があるため、基
板上の構造は非常に複雑になる。これに対して、本発明
のの電子放出素子の場合、下部電極110および上部電
極130が配線の機能を果たすため、別途配線層を設け
る必要はない。すなわち、本発明に係る電子放出素子に
よれば、駆動に必要な配線を単純化するという課題が達
成できることになる。
【0038】図12は、本発明に係る電子放出素子20
0の駆動原理を説明するための図である。なお、ハッチ
ングは、図12の各構成要素との対応を示すためのもの
である。ここでは、5行5列、合計25個の電子放出素
子200が形成された例が示されている。すなわち、列
方向に伸びた下部電極110が行方向に5本配置されて
おり、また、行方向に伸びた上部電極層130が列方向
に5本配置されており、25か所に交差部分が形成され
ている。そして、各交差部分には、それぞれ別個独立し
た電子放出素子200が形成されており、各電子放出素
子200からの電子放出は、それぞれ独立して制御する
ことができる。
【0039】このような制御を行うために、セレクタ1
50およびドライバ160が設けられている。セレクタ
150は、5本の上部電極130のうちのいずれか1本
を選択して接地する機能を果たす。一方、ドライバ16
0は、5本の下部電極110のそれぞれに、所定の電圧
信号を与える機能を有する。セレクタ150が、5本の
上部電極130を順番に選択する動作を行えば、5本の
行を時分割して順次アクセスすることが可能になる。そ
して、ドライバ160から供給する信号により、現在ア
クセス中の行に所属する電子放出素子200からの電子
放出が制御される。たとえば、図示のように、セレクタ
150が第1行目を選択して接地した状態において、ド
ライバ160から、第1列目の下部電極110に対して
負の電圧供給を行えば、第1行第1列目の電子放出素子
については、図7に示す配線がなされたことになり、対
向基板20への電子放出が起こることになる。このよう
な駆動方法は、いわゆる、「単純マトリックス駆動」と
呼ばれている方法である。
【0040】このように、本発明によれば、下部電極1
10および上部電極130をそのまま配線層として利用
することができるため、ディスプレイに応用する場合に
も構造は非常に単純になり、製造プロセスも単純化さ
れ、製造コストの低減を図ることができるようになる。
【0041】§4.ディスプレイヘ応用する場合の製造
工程 最後に、図11に示す構造を得るための製造工程の一例
を、図13〜図21に示す斜視図を参照しながら説明す
る。なお、これらの斜視図においても、図11に示す各
構成要素との対応関係を明らかにするためのハッチング
を施すことにする。
【0042】まず、図13に示すように、ガラス基板1
00(絶縁性の基板であれば何でもよい)上の全面に導
電性をもった第1の準備層115を、真空蒸着法やスパ
ッタ法など一般的な成膜方法を用いて形成する。続い
て、この第1の準備層115を図13のM1のフォトマ
スク(下部電極部と画素電極部のパターンを有する。)
を使用してパターニングして、図14に示すように、下
部電極110と画素電極「G」(同心円状の部分全体を
いう。)を形成する。図14において、「J」の部分は
後に上部電極との接続がなされる部分であるが、接続を
容易とするように画素電極の部分よりは幅を大きく形成
してアライメントを容易とすることが望ましい。
【0043】この第1の準備層115のパターニングに
は、一般的なフォトリソグラフィおよびエッチングの手
法を用いればよい。もっとも、第1の準備層115とし
ては、必ずしもその時点で導電性をもった層を用いる必
要はない。たとえば、感光性をもった樹脂中に金属微粒
子を分散させてなる金属微粒子分散型レジスト(いわゆ
る金属ぺースト)をガラス基板100上に塗布して感光
性のぺースト層を形成し、このぺースト層を第1の準備
層115としフォトリソグラフィの手法により、このぺ
ースト層を露光後に現像してパターニングを行い、最後
に焼成工程を行って、ぺースト層内の樹脂成分を除去す
れば、導電性をもった下部電極層110と画素電極
「G」を得ることができる。なお、感光性のぺースト層
は、感光性をもった樹脂と有機導電性樹脂との混合から
なる感光性レジストにより形成してもよい。
【0044】続いて、ガラス基板100および下部電極
110上に、図15に示すように、絶縁性の中間層12
5をスクリーン印刷法等によりパターン形成する。その
後、この絶縁性の中間層125を図15のM2のフォト
マスクを用いて、図16のようにパターニングして絶縁
層120を形成する。この絶縁層120を形成するため
のパターニングも、一般的なフォトリソグラフィおよび
エッチングの手法を用いればよい。また、上述したよう
に、ぺースト層を用いることもでき、この場合には更に
焼成を行う。絶縁性の中間層は基板上全面に塗布して最
終的に図16のようにパターン形成しても、勿論問題な
いが、図15のように、パターン形成するのは材料の節
減のためである。更に、図17に示すように、この絶縁
層120およびガラス基板100上に、第2の準備層1
35をスクリーン印刷法等によりパターン形成する。こ
の第2の準備層135としては、第1の準備層115と
同様に、導電性の層を用いてもよいし、上述した感光性
のぺースト層を用いてもよい。そして、第2の準備層1
35に対するパターニングをM3のフォトマスクを使用
して行う。M3のフォトマスクには、上部電極パターン
とそれから分岐して画素電極との接続を行うパターン部
が形成されている。所定の現像、エッチング等の処理を
行い、絶縁層120上に導電性をもった上部電極130
とそれから分岐して下降する接続部分「J」を形成す
る。
【0045】こうして、下部電極110と上部電極13
0との交差部近傍部分において、下部電極110から分
岐した同心円状電極と、上部電極130から分岐した同
心円状電極により画素電極「G」が構成される(図1
8)。続いて、図19に示すように、この同心円状の画
素電極上に、通電により電子放出を行う機能をもった電
子放出膜140を形成すれば、図19に示すような電子
放出素子を得ることができる。なお、電子放出膜140
を形成する工程としては、たとえば、表面伝導型の電子
放出現象が起こる材料を有機溶媒に溶かした溶剤を用意
し、この溶剤を同心円状電極上に塗布乾燥させるような
方法を採ることができる。
【0046】なお、上記においては、画素電極「G」の
双方の電極を、図13のように、M1のフォトマスクを
使用して同時に形成したが、同心円状の画素電極の一方
の電極のパターン形成と他方の電極のパターン形成とを
別々の工程で行ってもよい。その場合のパターニング
は、図20と図21のように、フォトマスクM4,M5
を使用することにより行うことができる。双方の電極を
同時に形成する場合は、電極間の間隔等の精度維持のた
めには好ましいが、上記のように、上部電極と同心円状
電極の一方の電極との接続を「J」の部分で確実に行う
必要が生じる。
【0047】§5.その他の変形例 以上、本発明をいくつかの実施形態に基づいて説明した
が、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではな
く、この他にも種々の形態で実施可能である。以下にい
くつかの変形例を述べておく。
【0048】図11に示す構造によれば、絶縁層120
が上部電極130に沿って形成されており、いわば橋げ
たとしての役割を果たしているが、逆に、絶縁層120
を下部電極110に沿って形成し、いわゆる「カマボコ
型」の絶縁層120によって下部電極110全体を覆う
構造にしてもよい。別言すれば、下部電極110の上面
および側面を覆うようにして列方向に伸びるチューブ状
の絶縁層120を形成し、このチューブ状の絶縁層12
0が上部電極130をトンネルのように貫通する構造が
得られることになる。また、図示の各実施例では、画素
電極は平面上に形成しているが、予め基板の画素電極の
中心となる部分を凸状に加工し、その凸状部の中心に画
素電極の中心が位置するように同心円状電極を形成して
もよい。こうすることにより、電子の放出が対向基板へ
向かう角度が得られるので、電子の収束性を高めること
ができる。
【0049】
【実施例】
<材質に関する実施例>図11に示す構造体の各部の材
質としては、次のような材料を用いるのがよい。
【0050】下部電極110および上部電極130:電
極として機能する導電性材科であれば、どのようなもの
でもよいが、耐電圧性、耐熱性、加工性、耐腐食性,比
抵抗性を考慮して適当な材料を選ぶのが好ましい。具体
的には、Al,Ni,Pd,Pb,Pt,W,Mo,C
r,Ti,Cu,Au,Agなどの金属材料を用いるの
が好ましい。
【0051】絶縁層120:特に、表面伝導性の低い材
料を用いるのが好ましく、具体的には、石英ガラス,S
iO2 ,Si3 4 などを用いるのが好ましい。
【0052】電子放出膜140:表面伝導型の電子放出
現象が知られている材料であればどのような材料で構成
してもかまわない。SnO2 ,In2 3 ,PbOなど
の金属酸化物、Au,Agなどの金属、カーボンその他
各種半導体などが一般的に知られている材料である。こ
の他、たとえば、特公平6−87392号公報に開示さ
れているように、微粒子を含む薄膜導電体膜に通電加熱
を行い、ジュール熱によりこの薄膜導電体膜を局所的に
破壊、変形もしくは変質させて、電気的に高抵抗な状態
にすることにより、電子放出膜を形成することもでき
る。あるいは同公報に開示されているようなガスデポジ
ション法により電子放出膜を形成してもよい。
【0053】<電子放出素子の製造方法に関する実施例
1> 厚み3mmの清浄な石英ガラス基板上に、スパッタ
法により厚み3μmのCr層を堆積する。その上に、ポ
ジ型レジスト剤(東京応化工業株式会社製「OFPR8
00」)をスピンナにより回転塗布し、オーブンにて8
0°Cで30分間放置し乾燥させる。空冷後、直線状の
下部電極と同心円状の画素電極からなるパターンをフォ
トマスクM1を使用して露光し(図13)、レジストの
現像、水洗を行い、オーブンにて135°Cで30分間
放置する。空冷後、露出したCr部分をCrエッチング
液(ザ・インクテック株式会社製「MR−ES」)を用
いてエッチングし、水洗した。
【0054】 次に、120°Cに保持したレジスト
剥離液(東京応化工業株式会社製「クリーンストリッ
プ」)中に、基板を5分間放置し、室温のストリップリ
ンス液に1分間、室温のイソプロピルアルコールに1分
間、それぞれ浸すことにより、レジストの剥離を行う。
この基板を水洗し、後に乾燥させる。以上の工程で、C
rからなる下部電極110と同心円状の画素電極「G」
が得られた(図14)。
【0055】 この基板上に、粒径が20Å〜1μm
程度のガラス微粒子を分散させた感光性レジストをスク
リーン印刷法により所望のパターンに印刷することで、
厚み70μmのガラスペーストパターン125を得る。
オーブンにて80°Cで30分間放置し、乾燥させるこ
とで、厚み45μmの絶縁体層を得る。空冷後、所望の
パターン(直線状の絶縁層を形成するためのフォトマス
クM2を使用して)を露光し(図15)、現像を行う。
この基板を500°Cに保持した焼成炉にて3時間焼成
し、有機成分を分解、除去することにより、厚み22μ
mの絶縁体層120を得る(図16)。
【0056】 空冷後、この基板上に、粒径が20Å
〜1μm程度のAu微粒子を分散させた感光性レジスト
をスクリーン印刷法によりパターンに印刷する。オーブ
ンにて80°Cで30分間放置し、乾燥させることで、
厚み7μmのAu微粒子分散薄膜層135を得る。空冷
後、直線状の上部電極パターンと同心円状の画素電極パ
ターンとの接続部を有するフォトマスクM3のパターン
を露光し(図17)、現像を行う。この基板を400°
Cに保持した焼成炉にて2時間焼成し、有機成分を分
解、除去し、厚み3μmのAu層を得る。以上により、
上部電極および同心円状の下部画素電極との接続部
「J」のパターニングを終了する(図18)。
【0057】 更に、有機パラジウム化合物を含む有
機溶媒(奥野製薬工業株式会社製「キャタペーストCC
P」)からなるインキを、スクリーン印刷法で各同心円
状画素電極「G」の表面に印刷する。そのまま、15分
間放置すると、同心円状の画素電極「G」の表面にイン
キ膜が形成される。その後、約200°Cで20分間焼
成し、Pdからなる微粒子を含む電子放出膜140を得
る(図19)。
【0058】<対向基板の製造方法に関する実施例> 厚み3mmの清浄な石英ガラス基板上に、スパッタ
法により膜厚1μmのITO層を堆積する。その上に、
EB蒸着法により膜厚20μmのZnO:Znからなる
蛍光体層を蒸着形成し、対向基板20を作製した。
【0059】<電子放出動作に関する実施例> 10-10 Paに保った真空チャンバー中に、上述の
実施例で作製した電子放出素子と対向基板とを、3mm
の間隔で平行に保持し、対向基板と電子放出素子との間
のカソード/アノード電圧として5kVを印加した。ま
た、電子放出素子の動作電圧として、上部電極層を接地
電位に保ち、下部電極層に−20Vを印加したところ、
蛍光基板に向かって電子放出が得られ、良好な発光特性
が得られた。 また、行列状に配した多数の電子放出素
子を、単純マトリックス駆動し、所定の画像情報に対応
した信号を与えたところ、対向基板上に画像形成がみら
れた。
【0060】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、同心円
状、同心方形状または同心多角形状画素電極パターンを
有する平面型構造により電子放出素子を構成したため、
いずれの形状においても電子放出が画素電極の中心に向
かってなされるため、対向基板に向かう電子の飛翔軌跡
が横に流れるることがなく、同一基板上に多数を配列し
て用いるような場合にも、対向基板とのアライメントが
容易となる。また、画素電極を同心円状等としたため、
正負の電極の対向する距離を長くすることができ、電子
放出量を増加することができディスプレイ等に応用した
場合にはその輝度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の表面伝導型の電子放出素子10および対
向基板20の構造を示す断面図である。
【図2】図1に示す電子放出素子10におけるガラス基
板11上に形成された構成要素の上面図である。
【図3】図1に示す電子放出素子10から対向基板に向
けて電子放出が行われている状態を示す断面図である。
【図4】図1に示す電子放出素子10の主要部分の寸法
を示した図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る電子放出素子40お
よび対向基板20の構造を示す断面図である。
【図6】図5に示す電子放出素子40におけるガラス基
板11上に形成された構成要素の上面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る電子放出素子40か
ら対向基板20に向けて電子放出が行われている状態を
示す断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る電子放出素子40の
主要部分の寸法を示した図である。
【図9】本発明の電子放出素子に使用される画素電極の
他の実施例の形状を示す平面図である。
【図10】本発明の電子放出素子に使用される画素電極
のさらに他の実施例の形状を示す平面図である。
【図11】ガラス基板100上に本発明の4つの電子放
出素子を形成した状態を示す斜視図である。
【図12】本発明に係る電子放出素子200の駆動原理
を説明するための図である。
【図13】図11に示す電子放出素子を形成するための
製造工程において、下部電極110と画素電極をパター
ン形成する工程を示す斜視図である。
【図14】図11に示す電子放出素子を形成するための
製造工程において、下部電極110と画素電極が形成さ
れた工程を示す斜視図である。
【図15】図11に示す電子放出素子を形成するための
製造工程において、絶縁層をパターン形成する工程を示
す斜視図である。
【図16】図11に示す電子放出素子を形成するための
製造工程において、絶縁層が形成された工程を示す斜視
図である。
【図17】図11に示す電子放出素子を形成するための
製造工程において、上部電極130と下部画素電極との
接続部を形成する工程を示す斜視図である。
【図18】図11に示す電子放出素子を形成するための
製造工程において、上部電極130と下部画素電極との
接続部が形成された工程を示す斜視図である。
【図19】図11に示す電子放出素子を形成するための
製造工程において、画素電極上に電子放出膜140を形
成する工程を示す斜視図である。
【図20】図11に示す電子放出素子を形成するための
製造工程において、下部電極110と同心円状電極の一
方を形成する工程を示す斜視図である。
【図21】図11に示す電子放出素子を形成するための
製造工程において、上部電極130と同心円状電極の他
方を形成する工程を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 電子放出素子 11 ガラス基板 12 電極 13 電極 14 電子放出膜 20 対向基板 21 ガラス基板 22 透明電極 23 蛍光体層 31 電源 32 電源 33 電源 35 スイッチ 40 電子放出素子 42 電極 43 電極 44 電子放出膜 100 ガラス基板 110 下部電極 115 第1の準備層 120 絶縁層 125 中間層 130 上部電極 135 第2の準備層 140 電子放出膜 150 セレクタ 160 ドライバ 200 電子放出素子 D1〜D4 各部の寸法 G 画素電極 J 接続部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれ正または負に荷電される電極上
    に通電により電子放出を行う機能をもった電子放出膜を
    形成してなる電子放出素子において、前記正または負に
    荷電される電極が、交互に一定の間隔で同心円状、同心
    方形状または同心多角形状に配置されて画素電極を形成
    していることを特徴とする電子放出素子。
  2. 【請求項2】 同心円状、同心方形状または同心多角形
    状に配置された電極のうち、負に荷電される電極が最外
    周を占めるように配置されていることを特徴とする請求
    項1記載の電子放出素子。
  3. 【請求項3】 それぞれ正または負に荷電される電極
    が、同心円状、同心方形状または同心多角形状に配置さ
    れた電極上に通電により電子放出を行う機能をもった電
    子放出膜を形成してなる電子放出素子の製造方法におい
    て、 基板上に、列方向をなし負に荷電される下部電極であっ
    て、同心円状、同心方形状または同心多角形状に配置さ
    れた画素電極の一方の電極とも導通する下部電極パター
    ンをパターン形成する工程と、 画素電極形成部以外の部分に、当該下部電極と交差する
    絶縁層を形成する工程と、 当該絶縁層上に行方向をなし正に荷電される上部電極
    と、当該上部電極から分岐して下降し、前記同心円状、
    同心方形状または同心多角形状画素電極の他方の電極パ
    ターンとをパターン形成する工程と、 前記同一面上に形成された同心円状、同心方形状または
    同心多角形状画素電極の表面に通電により電子放出を行
    う機能をもった電子放出膜を形成する工程、とからなる
    ことを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 それぞれ正または負に荷電される電極
    が、同心円状、同心方形状または同心多角形状に配置さ
    れた電極上に通電により電子放出を行う機能をもった電
    子放出膜を形成してなる電子放出素子の製造方法におい
    て、 基板上に、列方向をなし負に荷電される下部電極であっ
    て、同心円状、同心方形状または同心多角形状画素電極
    の一方の電極とも導通する下部電極と、前記同心円状、
    同心方形状または同心多角形状画素電極の他方の電極パ
    ターンをパターン形成する工程と、 画素電極形成部以外の部分に、当該下部電極と交差する
    絶縁層を形成する工程と、 当該絶縁層上に行方向をなし正に荷電される上部電極
    と、当該上部電極から分岐して下降し、前記同心円状、
    同心方形状または同心多角形状に配置された電極の他方
    の電極との接続部を形成するパターンをパターン形成す
    る工程と、 前記同一面上に形成された同心円状、同心方形状または
    同心多角形状に配置された電極の表面に通電により電子
    放出を行う機能をもった電子放出膜を形成する工程、と
    からなることを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 同心円状、同心方形状または同心多角形
    状に配置された電極のうち、負に荷電される電極が最外
    周を占めるように配置することを特徴とする請求項3ま
    たは4記載の電子放出素子の製造方法。
JP19407996A 1996-07-05 1996-07-05 電子放出素子およびその製造方法 Withdrawn JPH1021822A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19407996A JPH1021822A (ja) 1996-07-05 1996-07-05 電子放出素子およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19407996A JPH1021822A (ja) 1996-07-05 1996-07-05 電子放出素子およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1021822A true JPH1021822A (ja) 1998-01-23

Family

ID=16318616

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19407996A Withdrawn JPH1021822A (ja) 1996-07-05 1996-07-05 電子放出素子およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1021822A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6986692B1 (en) 1998-10-14 2006-01-17 Canon Kabushiki Kaisha Production method of image-forming apparatus, and image-forming apparatus produced by the production method

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6986692B1 (en) 1998-10-14 2006-01-17 Canon Kabushiki Kaisha Production method of image-forming apparatus, and image-forming apparatus produced by the production method

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5902165A (en) Field emission device with over-etched gate dielectric
KR100602071B1 (ko) 전계 방출 디바이스
JPH0320941A (ja) 電子線発生装置及びこれを用いた画像形成装置、並びに電子線発生装置の製造方法
US5759078A (en) Field emission device with close-packed microtip array
JP2003173744A (ja) 電界放出型電子源およびその製造方法ならびに表示装置
US8476819B2 (en) Triode-structured field emission display with anode and gate on the same substrate
JP3066573B2 (ja) 電界放出型表示素子
WO2012119387A1 (zh) 对称型四极结构无隔离支柱场致发射显示器
JPH0896703A (ja) 粒子放出装置、電界放出型装置及びこれらの製造方法
JPH1021822A (ja) 電子放出素子およびその製造方法
JPH1021823A (ja) 電子放出素子およびその製造方法
JPH0612997A (ja) 電子放出素子及びその製造方法並びに該電子放出素子を用いた画像形成装置
JP3674844B2 (ja) 同一基板上にカソードおよびアノードを備える電界放出型ディスプレイパネルおよびその製造方法
JPH09283012A (ja) 電子放出素子とそれを配列したマトリックス基板およびその製造方法
KR100378103B1 (ko) 전자원, 화상 형성 장치 및 전자원 제조 방법
JPH09259741A (ja) 電子放出素子と電子放出素子を配列したマトリックス基板およびその製造方法
JP2631007B2 (ja) 電子放出素子及びその製造方法と、該素子を用いた画像形成装置
JPH09129125A (ja) 電子放出素子を配列したマトリックス基板の製造方法
US7723908B2 (en) Flat panel display incorporating a control frame
JPH09129121A (ja) 電子放出素子およびその製造方法
JPH09259742A (ja) 電子放出素子およびその製造方法
JPH09129119A (ja) 電子放出素子およびその製造方法
JPH10144204A (ja) 電子放出素子用マトリックス基板およびその製造方法
JP3719604B2 (ja) 電子放出源およびディスプレイ装置
JP2951984B2 (ja) 電子放出素子列及びそれを用いた画像表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20031007