JPH10144204A - 電子放出素子用マトリックス基板およびその製造方法 - Google Patents

電子放出素子用マトリックス基板およびその製造方法

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JPH10144204A
JPH10144204A JP30989596A JP30989596A JPH10144204A JP H10144204 A JPH10144204 A JP H10144204A JP 30989596 A JP30989596 A JP 30989596A JP 30989596 A JP30989596 A JP 30989596A JP H10144204 A JPH10144204 A JP H10144204A
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electrode
layer
electron
substrate
matrix substrate
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JP30989596A
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Morio Hosoya
守男 細谷
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像表示に使用される電子放出素子用マトリ
ックス基板の基板ガラスと電極層、絶縁層との密着性を
改善する。 【解決手段】 電子放出素子用マトリックス基板の基板
ガラスと電極層または絶縁層の間に、低熱膨張率のガラ
ス層を形成することにより、ガラス基板と電極層または
絶縁層の熱膨張率の違いに基づく当該層の剥離や破壊現
象を緩和でき、マトリックス基板製造工程における歩留
りの向上を図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子用マ
トリックス基板およびその製造方法に関し、特に、電子
放出素子用マトリックス基板のカソード電極基板と当該
基板上に形成される電極または絶縁体層との密着性の向
上を図る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子放出素子技術を用いた画像表
示素子が注目を浴びている。これは、表面伝導型電子放
出素子を基板上にマトリックス状に配列して、テレビジ
ョン画像等を表示するものである。この電子放出素子用
マトリックス基板には、基板上に列方向をなす下部電極
と絶縁層を介して、下部電極と直交する行方向をなす上
部電極を形成し、これらの交点近くに下部電極と上部電
極を対向させて素子電極を形成し、素子電極上に通電に
より電子放出を行う機能を有する電子放出物質を塗布し
てフォーミングを行うことにより電子放出素子用マトリ
ックス基板を形成するものが提案されている。
【0003】表面伝導型電子放出素子を基板上に形成
し、画像表示用電子放出素子を形成する例としては、図
1のような形態のものが検討されている。図1は、画像
表示用電子放出素子10から対向基板20に向けて電子
放出が行われている状態を示す図である。図1(A)は
その断面図、図1(B)は、その上面図であり、図1
(B)の1−1線における断面が、図1(A)に示され
ていることになる。図1では、単一の画像表示素子が示
されているに過ぎないが、実際の画像表示用マトリック
ス基板では、このような素子が、数十万の単位で縦横に
配列していることになる。
【0004】従来の電子放出素子の構造および動作原理
を、図1に基づき説明することにする。電子放出素子1
0は、ガラス基板11上に電極12,13を形成し、さ
らにその上に電子放出膜14を形成することにより構成
されている。電子放出膜14は、カソード電極として機
能することになり、たとえば、SnO2 ,In2 3
PbOなどの金属酸化物、Au,Agなどの金属、カー
ボンその他各種半導体など、表面伝導型の電子放出現象
が知られている材料が使用されている。一方、対向基板
20は、ガラス基板21上に透明電極22および蛍光体
層23を形成したものである。透明電極22は、たとえ
ばITOなどの材料で構成され、アノード電極として機
能することになる。カラー用のフラットパネルの場合
は、アノード電極側の蛍光体層23は、B,G,Rの3
色の蛍光体に塗り分けて構成されることになる。
【0005】いま、図1(A)のように、各部に配線を
施した場合に生じる現象について考えてみる。この配線
によれば、電極13には電源33から正の電圧が印加さ
れ、電極12には電源31から負の電圧が印加される。
また、画像表示素子10と対向基板20との間にも、電
源32によってカソード/アノー間電圧が印加される。
電極12,13によって、電子放出膜14の両側に電圧
が印加されると、電子放出膜14の膜表面部分に、図に
矢印で示したような電子放出が起こる。これが、表面伝
導型の電子放出として知られている現象である。
【0006】一方、本願出願人は、特願平7−3171
74、特願平7−310036、特願平8−85991
等において基板上に、正負の素子電極を絶縁層を介して
設けた電子放出素子用マトリックス基板について提案し
ている。このように絶縁層を介して電極を設けるのは、
駆動に必要な配線層を立体的に形成して単純な工程でマ
トリックス基板を製造できるようにすることと、正負の
電極を立体的構造にすることにより電子放出の収束性を
高めることを目的としている。そして、正負の電極のう
ち、絶縁層の下部になる電極を下部電極、絶縁層の上部
になる電極を上部電極と便宜上呼んでいる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種の電
子放出素子用マトリックス基板では、ガラス基板上に金
属からなる下部電極とSiO2 等の絶縁体層を介して上
部電極を形成したものが一般的である。しかし、このよ
うな従来技術による電子放出素子では、ガラス基板と素
子電極またはガラス基板と絶縁層の密着性に関して特別
な考慮がなされていなかったため、マトリックス基板製
造工程における焼成等の温度変化により基板と電極また
は絶縁体などの熱膨張率の差異により、層間に亀裂や破
損が生じやすく製品の歩留りが低下する原因となってい
た。そこで、本発明では、ガラス基板と電極、絶縁体層
の間に低膨張率の密着性強化層を導入することによって
この問題を解決しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1)上記課題を解決するための本発明の要旨の第1
は、画像表示のための電子放出素子用マトリックス基板
であって、カソード側ガラス電極基板上に密着性強化層
を介してカソード電極が形成されていることを特徴とす
る電子放出素子用マトリックス基板、にある。かかる電
子放出素子用マトリックス基板であれば、ガラス電極基
板とカソード電極との密着性向上を図ることができる。
【0009】(2)上記課題を解決するための本発明の
要旨の第2は、画像表示のための電子放出素子用マトリ
ックス基板であって、カソード側ガラス電極基板上に密
着性強化層を介して、下部電極、絶縁体層、上部電極か
らなるカソード電極が形成されていることを特徴とする
電子放出素子用マトリックス基板、にある。かかる電子
放出素子用マトリックス基板であれば、ガラス電極基板
とカソード電極または絶縁体層との密着性向上を図るこ
とができる。
【0010】(3)上記課題を解決するための本発明の
要旨の第3は、画像表示のための電子放出素子用マトリ
ックス基板の製造方法であって、カソード側ガラス電極
基板上に低融点ガラスペーストを塗布する工程と、当該
ガラスペーストを焼成して密着性強化層とする工程と、
密着性強化層上にカソード電極準備層を形成した後に当
該電極層をパターン形成して一対の素子電極を形成する
工程と、当該電極上に有機パラジウム化合物を含む有機
溶媒を成膜する工程と、当該有機溶媒膜を焼成して電子
放出膜を形成する工程とを順に行うことを特徴とする電
子放出素子用マトリックス基板の製造方法、にある。か
かる電子放出素子用マトリックス基板の製造方法であれ
ば、ガラス電極基板とカソード電極との密着性向上を図
ることができる。
【0011】(4)上記課題を解決するための本発明の
要旨の第4は、画像表示のための電子放出素子用マトリ
ックス基板の製造方法であって、カソード側ガラス電極
基板上に低融点ガラスペーストを塗布する工程と、当該
ガラスペーストを焼成して密着性強化層とする工程と、
密着性強化層上にカソード電極準備層を形成した後に当
該電極層をパターン形成して一方の素子電極を形成する
工程と、当該電極上および密着性強化層上にガラス微粒
子を分散した感光性レジストを塗布し乾燥する工程と当
該ガラス微粒子分散感光性レジストをパターン形成した
後に焼成して絶縁層を形成する工程と、絶縁層上にカソ
ード電極準備層を形成した後に当該電極層をパターン形
成して他方の素子電極を形成する工程と、当該双方の電
極上に有機パラジウム化合物を含む有機溶媒を成膜する
工程と、当該有機溶媒膜を焼成して電子放出膜を形成す
る工程とを順に行うことを特徴とする電子放出素子用マ
トリックス基板の製造方法、にある。かかる電子放出素
子用マトリックス基板の製造方法であれば、ガラス電極
基板とカソード電極または絶縁層との密着性向上を図る
ことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、図面を参照して本発明の実
施形態を説明することとする。図2は、単一の電子放出
素子を基板上に形成した例を示す断面図である。図2
(A)は、ガラス基板100の同一面上に、カソード電
極110,130を形成した例を、図2(B)は、ガラ
ス基板100上に、下部電極110と絶縁層120を介
して上部電極130を形成した例を示している。いずれ
の場合も電極110と電極130間には電子放出膜14
0が形成され、電極110と130間において電子放出
がなされる。本発明の電子放出素子においては、このよ
うな電子放出素子において、ガラス基板100とカソー
ド電極110,130またはガラス電極と絶縁層120
との間に密着性強化層105が導入されていることに特
徴がある。
【0013】図3は、本発明の電子放出素子用マトリッ
クス基板の実施形態を示す斜視図である。ガラス基板1
00上には、4つの電子放出素子200を形成してなる
マトリックス基板が示されている。ディスプレイパネル
へ応用する場合、1つの電子放出素子が1画素分の表示
動作を行うことになるので、この図3に示す例では,2
×2の合計4画素分の表示が可能になる。もちろん、実
際のディスプレイに用いるマトリックス基板では、より
多数の電子放出素子が配列されることになる。なお、図
3の斜視図において、各構成要素に施されているハッチ
ングは、断面を示すものではなく、個々の構成要素を容
易に識別できるようにするためのものである。この図3
に示すマトリックス基板の構造は次のとおりである。
【0014】まず、ガラス基板100上に、密着性強化
層105を介して、列方向に伸びた下部電極110を複
数(この例では2本)配置し、更に、行方向に伸びた上
部電極130を複数(この例では2本)配置する。ここ
で、各下部電極110と各上部電極130とは、絶縁層
120を介して交差しており、各交差部分の近傍には、
下部電極110の突起部と上部電極130から分岐した
上下一対の素子電極間に画素電極が形成されている(こ
の例では、4組の画素電極が形成されている。)そし
て、各画素電極の側面には、通電により電子放出を行う
機能をもった電子放出膜140が、電極間に形成されて
おり、1組の電子放出素子200が構成されている。こ
のような構成をもった電子放出素子200は、基板上に
マトリックス状に配列され(この例では2行2列)、こ
れらの電子放出素子200について、下部電極110は
列方向配線層として機能し、上部電極130は行方向配
線層として機能することになる。
【0015】このように、下部電極110および上部電
極130が、それぞれガラス基板100上で縦横に伸び
た配線層として機能し得るため、マトリックス状に配列
された個々の電子放出素子に対する電子放出を制御する
配線のための層を別途設ける必要がない。そのため、デ
ィスプレイに応用する場合にも構造は非常に単純にな
り、マトリックス基板の製造も容易となる。なお、図3
では電極110,130が立体的に形成されたマトリッ
クス基板の実施例が図示されているが、これらの電極を
図2(A)のように平面的に配置して、電極の交差部の
みを絶縁層を介してマトリックス基板とすることも勿論
可能である。
【0016】<本発明に係るマトリックス基板の製造方
>本発明のマトリックス基板の製造方法を、図3に示
すような構造の電子放出素子用マトリックス基板の製造
を例として説明することとする。以下、その方法を図4
〜図12に示す斜視図を参照しながら説明する。なお、
これらの斜視図においては、図3に示す各構成要素との
対応関係を明らかにするためのハッチングを施すことに
し、便宜上、1組の電子放出素子200の構成部分のみ
を図示することにする。実際には、基板上には多数の電
子放出素子が同時に形成されることになる。
【0017】まず、図4に示すように、ガラス基板10
0上の全面に、適宜な方法で低融点のガラスフリットか
らなるペーストを全面に塗布する。その後、当該塗布後
のガラス基板を焼成してガラス基板に低膨張率のガラス
層を被着させる。このガラス層はガラス基板100と、
その上に形成される電極層110,130や絶縁層12
0との密着性を高める密着性強化層105として機能す
ることになる。その後、ガラス基板の上の全面に導電性
をもった第1の準備層115を、スピンナーや真空蒸着
法あるいはスパッタ法など一般的な成膜方法を用いて形
成する。導電性層はそれ自体が感光性を有するものであ
ってもよいし感光性を有しなくてもよい。それ自体は感
光性を有しないものである場合は、当該準備層上に感光
性レジストを更に設けて、フォトマスクを用いる一般的
なパターン形成方法で電極パターンを形成する。図5
は、感光性を有する導電性の準備層115をガラス基板
上に形成した状態を示している。
【0018】次いで、フォトマスクM1を用いて電極パ
ターンを露光し(図6)、現像して下部電極パターン1
10を形成する。この電極パターンの形成は、一般的な
フォトリソグラフィーおよびエッチングの手法の他に、
フォトリソグラフィーおよびサンドブラストの手法を用
いることもできる。もっとも、準備層115としては、
必ずしもその時点で導電性をもった層を用いる必要はな
い。例えば、感光性をもった樹脂中に金属微粒子を分散
させてなる金属粒子分散型レジスト(いわゆる金属ペー
スト)を密着性強化層105上に塗布して感光性のペー
スト層を形成し、このペースト層を準備層115とし、
フォトリソグラフィーの手法により、このペースト層を
露光後に現像してパターニングを行い、最後に焼成工程
を行って、ペースト層内の樹脂成分を除去すれば、導電
性をもった下部電極110を得ることができる。
【0019】さて、何らかの方法により、図7のように
下部電極110が得られたら、下部電極110および密
着性強化層105上に、絶縁体粒子分散型の感光性層1
25を形成する(図8)。この感光性層125は、例え
ば、ポジ型の感光特性をもった樹脂中に絶縁体粒子を分
散させた材料からなる層であり、後の焼成工程により樹
脂成分を除去すれば、絶縁体層を形成することができ
る。この層の形成はスクリーン印刷法またはディスペン
サーによる塗布方法等によって必要な部分に部分的に形
成してもよいし、スピンコート法により、全面塗布して
もよい。続いて、フォトマスクM2を用いて絶縁体層の
パターニングを行う。これは、図8のようにガラス基板
の下部から露光する背面露光を行ってもよいし、基板前
面からフォトマスクを使用する通常のパターン露光を行
ってもよい。
【0020】図8のような背面露光の場合は、フォトマ
スクM2の部分と下部電極110の部分が遮光パターン
となるため、ポジ型の感光特性を有する層であれば、遮
光された部分は現像後にも残存し、透明なガラス基板1
00と密着性強化層105を透過して光の当たった部分
は現像により溶解除去されることになる。そこで、この
残存部に対して焼成工程を行って樹脂成分を除去すれ
ば、図9のように絶縁層120が形成できる。
【0021】続いて、図10に示すように、密着性強化
層105および絶縁層120上の全面に、例えば、金属
粒子分散型のポジ型感光特性をもった第2の準備層13
5を形成する。この第2の準備層135は、ポジ型の感
光特性をもった樹脂中に金属微粒子を分散させた材料か
らなる感光性ペースト層であり、後の焼成工程により樹
脂成分を除去すれば、金属質の導電層を形成することが
できる。
【0022】続いて、図10に示すように、フォトマス
クM3を用い、矢印(1)の方向から前面露光を行う。
このフォトマスクM3は、列方向に隣接する電子放出素
子について互いに上部電極層130を分離するために必
要な分離区間Zに対応する領域を露光するためのもので
ある。このように、マトリックス基板上では、列方向に
隣接する電子放出素子については、互いに上部電極13
0を分離する必要がある。図10に示す前面露光工程
は、分離区間Zに相当する領域に対して露光を行い、後
の現像工程において、分離区間Zに対する第2の準備層
135を除去するためのものである。
【0023】なお、この一連の工程を示す斜視図では、
説明の便宜上、1組の電子放出素子の製造プロセスを示
す図が示されているが、実際には、ガラス基板100上
にマトリックス状に配置された電子放出素子が同時に形
成される。したがって、図10に示すフォトマスクM3
は、実際には、図10において左右に連続したストライ
プ状のマスクパターンとなる。また、分離区間Zは、隣
接する電子放出素子について、上部電極130を物理的
に分離する機能を果たすことができればよいので、この
分離区間Zについての高度な位置合わせ精度は要求され
ない。
【0024】続いて、基板全面に対する背面露光が、図
10の矢印2の方向から行われる。この背面露光にはフ
ォトマスクは使用せず、既に基板上に形成されている下
部電極110および絶縁層120がフォトマスクとして
の機能を果たすことになる。すなわち、第2の準備層1
35のうち、これらの各層の影になった部分は非露光部
となり、それ以外の部分は露光部となる。そこで、この
第2の準備層135に対して現像を行えば、露光部が除
去され、非露光部だけが残存部として残ることになる。
前面露光と背面露光は同時の工程で行ってもよいし、電
極パターンに対応するフォトマスクパターンを作製して
前面露光だけの方法で行うことももちろん可能である。
しかし、この電極パターンに対応するフォトマスクを使
用する場合には、上部電極と下部電極との位置の整合を
正確に行う必要があり、大サイズのマトリックス基板全
面において、このような位置の整合を図ることは至難に
近いことになる。これに対して、背面露光法の場合は、
下部電極パターン自体がフォトマスクの役割を果たすの
で、位置の整合が自ずからなされるという自己整合性の
利点がある。
【0025】こうして、列方向配線層として機能する下
部電極110と、行方向配線層として機能する上部配線
130とが形成でき、しかも、この配線層として機能す
る細長い部分に加えて突起部が形成され、この突起部に
は、下部電極110、絶縁層120、上部電極130か
らなる三層構造体が形成できる(図11)。そこで最後
に、この突起部としての三層構造体の側面に電子放出膜
140を形成すれば、図12に示すように、「縦型構
造」を有する電子放出素子200を得ることができる。
ここで、電子放出膜を形成する工程としては、たとえ
ば、表面伝導型の電子放出現象が起こる材料を有機溶媒
に溶かした溶剤を用意し、この溶剤を三層構造体の側面
部に塗布乾燥させるような方法を採ることができる。
【0026】<材質に関する実施例>本発明の画像表示
のための電子放出素子用マトリックス基板には、各部の
材質として、次のような材料が好適に使用できる。
【0027】(1)基板ガラス:背面露光を行う場合は
透明性の良い青板ガラスや光学ガラスあるいは石英基板
等が使用できる。また、背面露光を行わない場合は透明
性を特に考慮する必要はない。 (2)密着性強化層: PbOを50%以上含み、ガラスの分相を防止する効
果を持たせたり、軟化点を調整したり、熱膨張係数をガ
ラス基板に合わせたりするために、Al2 3 ,B2
3 ,SiO2 ,MgO,SrO,BaO等を含有する低
融点ガラスフリットからなるペーストが一般的に使用さ
れる。これらの組成のものは、焼成後の熱膨張率が、4
5×10-7/°C程度であって、一般の板ガラスより低
膨張率であるため、導電層や絶縁層との熱膨張率の差異
に基づく剥離や破壊を緩和できるため密着性強化層とし
て機能するからである。この材料をガラス基板に塗布す
る際には、スクリーン印刷法、浸漬法、吹き付け法、ス
ピンナーによる回転塗布法等の手段が採られる。 PbO,Al2 3 ,B2 3 ,SiO2 ,MgO,
SrO,BaO等の無機絶縁体の混晶もしくはガラス物
質。これらは、スパッタリング、イオンプレーティング
等の真空蒸着法でガラス基板に薄膜形成される。
【0028】(3)下部電極および上部電極:電極とし
て機能する導電性材料であれば、どのようなものでもよ
いが、耐電圧性、耐熱性、加工性、耐腐食性、比抵抗性
を考慮して適当な材料を選ぶのが好ましい。具体的に
は、Al,Ni,Pd,Pt,W,Mo,Cr,Ti,
Cu,Au,Agなどの金属材料を用いるのが好まし
い。これらの金属材料をスパッタリングや真空蒸着によ
り密着性強化層上に直接形成してもよいし、上記のよう
に微粒子金属を分散した感光性レジストとして使用しパ
ターン形成してもよい。 (4)絶縁層:特に、表面伝導性の低い材料を用いるの
が好ましく、具体的には、石英ガラス、SiO2 ,Si
3 4 などを用いるのが好ましい。
【0029】(5)電子放出膜:表面伝導型の電子放出
現象が知られている材料であればどのような材料で構成
してもかまわない。SnO2 ,In2 3 ,PbOなど
の金属酸化物、Au,Agなどの金属、カーボンその他
各種半導体などが一般的に知られている材料である。
【0030】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
することとする。 (実施例)図4ないし図12は、本発明の一実施形態で
ある電子放出素子用マトリックス基板を製造する工程を
示す。 (1)<マトリックス基板の製造に関する実施例> 厚み5mmの清浄な青板ガラス基板100上に、ス
クリーン印刷法により、PbO等を主成分とするガラス
ペースト(日本電気硝子株式会社製「GP−350」)
を、厚さ20μm厚で全面塗布し、その後、ピーク温度
580°Cで10分間焼成する。これにより、青板ガラ
ス基板上に密着性強化層105が形成された(図4)。
【0031】その密着性強化層105が形成された基板
上に、粒径が20Å〜1μm程度のAu微粒子を分散さ
せたポジ型感光性レジスト115をスピンナにより回転
塗布する。オーブンにて80°Cで30分間放置し乾燥
させることで、膜厚7μmの有機金属分散型のレジスト
層115を得た(図5)。空冷後、フォトマスクM1を
使用して所望のパターンを露光し(図6)、現像を行
う。この基板を400°Cに保持した焼成炉にて2時間
焼成し、有機成分を分解除去し、膜厚3μmのAu層を
得た。このAu層が図7に示す下部電極110となる。
以上により下部電極のパターニングを終了する。
【0032】この基板上に、粒径が20Å〜1μm程度
のガラス微粒子を分散させたポジ型感光性レジスト12
5をスピンナにより回転塗布する。オーブンにて80°
Cで30分間放置し乾燥させることで、膜厚45μmの
絶縁体分散レジスト層を得る。空冷後、所望のパターン
を基板背面から露光し(図8)、続いて現像を行う。こ
の基板を500°Cに保持した焼成炉にて3時間焼成
し、有機成分を分解、除去することにより、膜厚22μ
mの絶縁体層120を得た。以上により絶縁体層のパタ
ーニングを終了する(図9)。
【0033】この基板上に、粒径が20Å〜1μm程度
のAu微粒子を分散させたポジ型感光性レジスト135
をスピンナーにより回転塗布する。オーブンにて80°
Cで30分間放置し乾燥させることで、膜厚7μmの有
機金属分散薄膜層を得た。空冷後、フォトマスクM3を
使用して所望のパターンを前面露光し、続いてマスクレ
スな背面露光を行い(図10)、次に現像を行う。この
基板を400°Cに保持した焼成炉にて2時間焼成し、
有機成分を分解、除去することにより、膜厚3μmのA
u層を得た。以上により上部電極130のパターニング
を終了する(図11)。
【0034】次に、有機パラジウム化合物を含む有機溶
媒(奥野製薬工業株式会社製「キャタペーストCC
P」)をスクリーン印刷法で所望の位置に印刷し、15
分間放置し電極上に薄膜を形成した。その後、約200
°Cで20分間焼成し、Pdの微粒子層からなる電子放
出層140を得た(図12)。
【0035】(比較例)実施例1と同様にして電子放出
素子マトリックス基板を製造した。ただし、ガラス基板
上への低融点ガラスペーストの塗布および焼成は行わな
かった。
【0036】以上の方法で、実施例と比較例の電子放出
素子用マトリックス基板の製造工程の特性を比較したた
ところ、実施例の電子放出素子では焼成工程での温度変
化による基板と電極層、絶縁層間などの亀裂、破損等が
見られなかったが、比較例では、これらの不良が多発し
た。また、完成した実施例の電子放出素子マトリックス
基板は基板と電極層、絶縁層の密着性が向上し、電極や
絶縁体の後発的な破損などが解消された。
【0037】
【発明の効果】本発明では、電子放出素子用マトリック
ス基板において、ガラス基板と電極層、絶縁層間に密着
性強化層を設けたので焼成工程での温度変化による基板
と電極層、絶縁層間などの亀裂、破損等が低減し歩留り
の向上を図ることができる。また、完成したマトリック
ス基板においても電極や絶縁体の後発的な破損などが解
消され長期間安定して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の画像表示用電子放出素子10から対向
基板20に向けて電子放出が行われている状態を示す図
である。
【図2】 単一の電子放出素子を基板上に形成した例を
示す断面図である。
【図3】 本発明の電子放出素子用マトリックス基板の
実施形態を示す斜視図である。
【図4】 本発明の一実施形態である電子放出素子用マ
トリックス基板の第1の製造工程を示す図である。
【図5】 本発明の一実施形態である電子放出素子用マ
トリックス基板の第2の製造工程を示す図である。
【図6】 本発明の一実施形態である電子放出素子用マ
トリックス基板の第3の製造工程を示す図である。
【図7】 本発明の一実施形態である電子放出素子用マ
トリックス基板の第4の製造工程を示す図である。
【図8】 本発明の一実施形態である電子放出素子用マ
トリックス基板の第5の製造工程を示す図である。
【図9】 本発明の一実施形態である電子放出素子用マ
トリックス基板の第6の製造工程を示す図である。
【図10】 本発明の一実施形態である電子放出素子用
マトリックス基板の第7の製造工程を示す図である。
【図11】 本発明の一実施形態である電子放出素子用
マトリックス基板の第8の製造工程を示す図である。
【図12】 本発明の一実施形態である電子放出素子用
マトリックス基板の第9の製造工程を示す図である。
【符号の説明】
10 画像表示用電子放出素子 11 ガラス基板 12,13 電極 14 電子放出膜 20 対向基板 21 ガラス基板 22 透明電極 23 蛍光体層 31,32,33 電源 100 ガラス基板 105 密着性強化層 110 下部電極層 115,135 導電性のレジスト層 120 絶縁層 125 絶縁体粒子分散型の感光性層 130 上部電極層 140 電子放出膜 200 電子放出素子

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画像表示のための電子放出素子用マトリ
    ックス基板であって、カソード側ガラス電極基板上に密
    着性強化層を介してカソード電極が形成されていること
    を特徴とする電子放出素子用マトリックス基板。
  2. 【請求項2】 画像表示のための電子放出素子用マトリ
    ックス基板であって、カソード側ガラス電極基板上に密
    着性強化層を介して、下部電極、絶縁体層、上部電極か
    らなるカソード電極が形成されていることを特徴とする
    電子放出素子用マトリックス基板。
  3. 【請求項3】 密着性強化層が、PbO,Al2 3
    2 3 ,SiO2,MgO,SrO,BaOから選ば
    れた成分の混合体を主成分とする低融点のガラスペース
    トの焼成体であることを特徴とする請求項1または請求
    項2記載の電子放出素子用マトリックス基板。
  4. 【請求項4】 画像表示のための電子放出素子用マトリ
    ックス基板の製造方法であって、カソード側ガラス電極
    基板上に低融点ガラスペーストを塗布する工程と、当該
    ガラスペーストを焼成して密着性強化層とする工程と、
    密着性強化層上にカソード電極準備層を形成した後に当
    該電極層をパターン形成して一対の素子電極を形成する
    工程と、当該電極上に有機パラジウム化合物を含む有機
    溶媒を成膜する工程と、当該有機溶媒膜を焼成して電子
    放出膜を形成する工程とを順に行うことを特徴とする電
    子放出素子用マトリックス基板の製造方法。
  5. 【請求項5】 画像表示のための電子放出素子用マトリ
    ックス基板の製造方法であって、カソード側ガラス電極
    基板上に低融点ガラスペーストを塗布する工程と、当該
    ガラスペーストを焼成して密着性強化層とする工程と、
    密着性強化層上にカソード電極準備層を形成した後に当
    該電極層をパターン形成して一方の素子電極を形成する
    工程と、当該電極上および密着性強化層上にガラス微粒
    子を分散した感光性レジストを塗布し乾燥する工程と当
    該ガラス微粒子分散感光性レジストをパターン形成した
    後に焼成して絶縁層を形成する工程と、絶縁層上にカソ
    ード電極準備層を形成した後に当該電極層をパターン形
    成して他方の素子電極を形成する工程と、当該双方の電
    極上に有機パラジウム化合物を含む有機溶媒を成膜する
    工程と、当該有機溶媒膜を焼成して電子放出膜を形成す
    る工程とを順に行うことを特徴とする電子放出素子用マ
    トリックス基板の製造方法。
  6. 【請求項6】 低融点ガラスペーストが、PbO,Al
    2 3 ,B2 3 ,SiO2 ,MgO,SrO,BaO
    から選ばれた成分の混合体を主成分とする低融点のガラ
    スペーストであることを特徴とする請求項4または請求
    項5記載の電子放出素子用マトリックス基板の製造方
    法。
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US6986692B1 (en) 1998-10-14 2006-01-17 Canon Kabushiki Kaisha Production method of image-forming apparatus, and image-forming apparatus produced by the production method

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