JPH10216501A - スラリー床反応器 - Google Patents

スラリー床反応器

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JPH10216501A
JPH10216501A JP9032957A JP3295797A JPH10216501A JP H10216501 A JPH10216501 A JP H10216501A JP 9032957 A JP9032957 A JP 9032957A JP 3295797 A JP3295797 A JP 3295797A JP H10216501 A JPH10216501 A JP H10216501A
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JP
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gas
reactor
slurry
bed reactor
reaction
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Application number
JP9032957A
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English (en)
Inventor
Takashi Ogawa
高志 小川
Masami Ono
正巳 小野
Masatsugu Mizuguchi
雅嗣 水口
Keiji Tomura
啓二 戸村
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 原料ガスを微細気泡として触媒スラリー層内
に均質分散させ、ガスとスラリー層との接触面積を増大
をさせ、スラリー層を攪拌して触媒の偏在化を有効に防
止できるスラリー床反応器を提供する。 【解決手段】 スラリー状反応層18と気層とを含み、
反応器下部にガス送入口と反応器上部に生成物排出口と
を備えたスラリー床反応器13であって、ガス送入口か
らスラリー床反応器内に送入されるガスの少なくとも一
部が、ガス送入口から、回転可能子21に設けたガス噴
出ノズル23を経由してジェット状にスラリー床反応器
内に送入され、ガス噴出ノズルが、そのノズルからジェ
ット状に噴出されるガスの推進力により回転可能子を回
転させることのできる位置に配置されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉末固体を媒体に
懸濁させたスラリー床反応器に関する。本発明による反
応器は、特には、一酸化炭素ガスと水素ガスとを主原料
とするジメチルエーテル合成に好適に利用することがで
きる。
【0002】
【従来の技術】一酸化炭素ガスと水素ガスとを主原料と
する合成ガス等から、ジメチルエーテル(CH3 OCH
3 )を合成する場合には、次の各反応が進行する。
【0003】
【化1】
【0004】前記の反応を利用して、一酸化炭素と水素
を主原料とする合成ガス等からジメチルエーテルを直接
合成する技術としては、固定床触媒層に原料ガスを通過
させ、反応させる技術が開発されている(特開平2−2
80836号公報、又は特開平3−8446号公報
等)。
【0005】しかし、前記反応式から明らかなように、
ジメチルエーテル合成反応は全体として強い発熱反応で
あるため、前記の固定床反応器では触媒層の温度制御が
困難であり、触媒層の局部加熱による触媒の失活が発生
した。これを避けるため、触媒微粒子を高沸点媒体油の
中に懸濁させたスラリーを充填した反応器の中に原料ガ
スを通過させて、高収率でジメチルエーテルを合成させ
る技術が開発されてきた(特開平2−9833号公報、
特開平3−52835号公報、特開平3−181453
号公報、特開平4−264046号公報、又は特表平5
−810069号公報等)。これらのスラリー床反応器
は、固定床反応器と比較すると、内部の温度均一性が高
く、温度制御も比較的容易である。
【0006】こうした公知のスラリー床反応器の一例を
図4に示す。このスラリー床反応器の本体13は一般に
円筒形であり、その内部には触媒スラリー18が充填さ
れ、そのスラリー液面12の上部に気層14が存在す
る。前記の触媒スラリー層18には反応熱を除去するた
めの伝熱管17が一般に配設されている。反応器本体1
3の底部には原料ガスライン2が接続され、頂部には反
応生成物ガスライン3が接続されている。このスラリー
床反応器による合成反応では、触媒微粒子を高沸点媒体
油の中に懸濁させた触媒スラリー層中で合成反応を行う
ことにより、反応器内部のヒートスポットの発生を抑止
し、高い反応率を達成することができる。
【0007】この種のスラリー床反応器によってジメチ
ルエーテルを合成する場合には、一酸化炭素ガスと水素
ガスとを主原料とする合成ガス等の原料ガスが、反応器
の下部から反応器に圧送され、触媒スラリー層を上昇す
る間に反応して、その反応生成物が反応器上部の配管か
ら流出する。すなわち、反応器の内部の反応層は、高沸
点媒体油と粉末触媒と原料ガスとによる三相混合のスラ
リー状態であり、反応器に流入する材料及び反応器から
流出する材料は、それぞれ原料ガス及び反応生成物ガス
である。ジメチルエーテル合成反応は強い発熱反応であ
るため、反応器の触媒スラリー層中には伝熱管等が設置
され、伝熱管中を流れる熱媒体等により、発生する反応
熱の除去が行われる。
【0008】スラリー床反応器内部での反応を効率的に
進行させるためには、原料ガスを微細気泡として触媒ス
ラリー層内に均質に分散させ、原料ガスと触媒スラリー
層との接触面積を増大をさせることが好ましい。原料ガ
スを微細気泡として触媒スラリー層内に均質に分散させ
る従来技術としては、例えば、図5に示すように、反応
器13の底部に、多数の貫通細孔を有するガス分散板5
1を設け、原料ガスライン2から供給される原料ガス気
泡52を、微細気泡53として触媒スラリー層18内に
分散させる技術が知られている(図5及び以下の図6で
は、原料ガス気泡52及び微細気泡53の一部のみを説
明のために示す)。同様に、特開昭49−36575号
公報には、ガス分散板として、目の細かい細孔を有する
セラミック多孔板などを利用する技術が開示されてお
り、特開平7−24478号公報にも、撥水性多孔質材
からなる隔壁管を通して原料ガスを吹き込む技術が記載
されている。また、例えば、図6に示すように、反応器
13の底部に、多数のノズル62を有するガス分散盤6
1を固定して設け、原料ガスライン2から供給される原
料ガスを、微細気泡53として触媒スラリー層18内に
分散させる技術も知られている。更に、特開昭62−1
92490号公報には、複数のノズルを反応器底部の側
壁に設け、反応器側壁から水平方向に微細気泡を吹き込
む技術も記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
微細気泡発生技術では、いずれの場合でも、気泡の発生
に偏りができるために、反応器の半径方向に微細気泡を
充分に均一に分散させることはできなかった。
【0010】また、スラリー床反応器においては、触媒
スラリー層内での触媒の濃度分布をできる限り均一にす
ることが好ましい。すなわち、触媒スラリー層では、触
媒微粒子を高沸点媒体油中に懸濁させている。触媒粒子
の比重は、通常2以上と重たく、また、媒体油は反応条
件が高温になるにつれ、その比重及び粘性とも低下する
ため、触媒微粒子が媒体油中で徐々に沈降して、上下方
向に濃度勾配が発生すると共に、触媒微粒子がスラリー
床反応器の底部に蓄積する。反応器下部に蓄積した高濃
度触媒は、反応に充分に効率的に参加することが困難に
なるので、反応器に充填された単位触媒重量当たりの反
応率は低下することになる。特に、ジメチルエーテルの
合成方法では、2種類の触媒を1つのスラリー床反応器
に挿入して反応を行うため、2種類の触媒の粒度や比重
等の物理的性質の差異より、これらの触媒に関しても、
スラリー床反応器内で上下方向に触媒の偏在が起き、結
果的に反応転化率やジメチルエーテル反応選択率の低下
を招くという問題がある。
【0011】従来の微細気泡発生技術では、触媒スラリ
ーを強制的に攪拌する効果はなか、あるいは不充分なの
で、前記の濃度勾配発生に対しても充分な効果をあげる
ことはできなかった。また、外部モーターによって駆動
する攪拌機により、触媒スラリー層を攪拌する技術も存
在するが、シール手段などの点で、高圧反応(例えば、
ジメチルエーテルの合成反応)には適用することが極め
て困難である。従って、本発明の課題は、原料ガスを微
細気泡として触媒スラリー層内に均質に分散させて、原
料ガスと触媒スラリー層との接触面積を増大をさせると
共に、触媒スラリー層を攪拌して触媒スラリー層におけ
る触媒の偏在化を有効に防止することにより、スラリー
床反応器内部での反応を効率的に進行させる手段を提供
することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記の課題は、本発明に
より、粉末固体を媒体に懸濁させたスラリー状反応層と
その上部の気層とを反応器内部に含み、反応器下部にガ
ス送入口と反応器上部に生成物排出口とを備えたスラリ
ー床反応器であって、前記ガス送入口から前記スラリー
床反応器内に送入されるガスの少なくとも一部が、前記
ガス送入口から、回転可能子に設けたガス噴出ノズルを
経由してジェット状に前記スラリー床反応器内に送入さ
れること、及び前記ガス噴出ノズルが、そのノズルから
ジェット状に噴出されるガスの推進力により前記回転可
能子を回転させることのできる位置に配置されているこ
とを特徴とする、スラリー床反応器によって達成するこ
とができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明による反応器は、スラリー
床反応器(特にはジメチルエーテル合成用スラリー床反
応器)であり、その内部にスラリー状反応層と気層とを
含む。前記のスラリー状反応層は、媒体油、特には高沸
点媒体油〔例えば、高沸点食用油、深度脱硫軽油、フィ
シャートロプシュ合成油(FTオイル)又はn−セタ
ン〕に触媒微粒子を懸濁させた触媒スラリー層であり、
反応器の底部から上部に向かって充填され、その上に気
層が存在する。
【0014】本発明の反応器は、スラリー状反応層に接
する反応器壁面(好ましくは底面)に設けた回転軸に回
転自在に取付けた1又はそれ以上(好ましくは1つ)の
回転可能子を有する。この回転可能子には、1又はそれ
以上のガス噴出ノズルが設けられる。ガス送入口からス
ラリー床反応器に対して送入される原料ガスは、少なく
ともその一部(好ましくは全部)が、ガス送入口から、
前記回転軸内に設けたパイプを直接に経由し、前記ガス
噴出ノズルを経て、スラリー状反応層に噴出される。原
料ガスが、前記のガス噴出ノズルから噴出されると、そ
れを推進力として、前記回転可能子が回転軸を中心に回
転する。すなわち、ガス噴出ノズルは、そのノズルから
噴出されるガスの推進力により前記回転可能子を回転さ
せることのできる位置に配置されていることが必要であ
る。
【0015】本発明のスラリー床反応器においては、原
料ガスが、回転する回転可能子に設けたガス噴出ノズル
から微細気泡として噴出されるので、原料ガスの気泡が
スラリー状反応層内に均質に分散される。特に、回転軸
を反応器底面のほぼ中心部に設け、その反応器底面に平
行な平面を回転可能子が回転するように取付けると、ガ
ス噴出ノズルから噴出される微細気泡は、反応器底面付
近で反応器の半径方向に均一に分散された状態で、スラ
リー状反応層内を上昇するので、気泡と触媒との効率的
な接触を実現することができる。
【0016】また、特に、反応器底面のほぼ中心部に回
転軸を有し、その反応器底面に平行な平面を回転するよ
うに取付けるた回転可能子が用いると、回転可能子の回
転により、反応器底部のスラリー状反応層が攪拌される
ので、触媒スラリー層内での触媒の濃度分布の均一化に
も効果的である。
【0017】本発明のスラリー床反応器においては、前
記回転可能子に1又はそれ以上の攪拌翼を設けることも
できる。前記回転可能子が攪拌翼を有すると、回転可能
子の回転により、スラリー状反応層流を強制的に発生さ
せることができる。従って、反応器底面のほぼ中心部に
回転軸を有し、その反応器底面に平行な平面を回転する
ように取付けるた回転可能子に、攪拌翼を取付けて回転
させると、反応器底部と上部とを循環するスラリー状反
応層流を強制的に発生させることができ、触媒スラリー
層内での触媒の濃度分布の均一化を一層効果的に実現す
ることができる。なお、本発明のスラリー床反応器にお
いても、前記の回転可能子に回転軸が必要であるが、従
来の外部モータを用いる攪拌器の回転軸の場合とは軸シ
ールを行う場合の内外圧力差が大きく異なる。外部モー
タを用いる攪拌器の回転軸の場合は数十気圧以上でしか
も高温でのシール性能が必要となるが、本発明の回転軸
の場合は1気圧以下のシール性能で充分であり、仮に少
々のガスの漏洩があっても、その漏洩したガスは反応器
内部に漏洩することとなるので、問題とはならない。
【0018】回転可能子を有する本発明のスラリー床反
応器の一態様を図1に示す。図1は、反応器本体13の
下部のみを示す部分図である。この態様では、回転可能
子21は、スラリー床反応器13の底面の中心に回転軸
22を有する。図2は、この回転可能子21の平面図で
ある。回転可能子21は、側面にガス噴出ノズル23及
び攪拌翼24を有する。原料ガスライン2から供給され
る原料ガスは、回転軸22内のパイプ(図示せず)か
ら、同じく回転可能子21内のパイプ(図示せず)を経
て、ガス噴出ノズル23から噴出される。ガス噴出ノズ
ル23は、ガスを矢印Aの方向へ噴出することにより、
回転可能子21を矢印Bの方向へ回転させることができ
るように、回転可能子21の一方の側面に設ける。ま
た、攪拌翼24は、回転可能子21の回転により、スラ
リー状反応層を、スラリー床反応器の底部から上部(例
えば、矢印C)の方向へ対流させることができるように
設ける。
【0019】回転可能子21は、回転軸22から半径方
向に延びる(好ましくは棒状の)回転員25を1又はそ
れ以上有している。従って、回転可能子は、図2に示す
ように、2つの回転員25が回転軸22を中心にして直
径方向に延びる棒状回転可能子21や、図3に示すよう
に、4つの回転員25が2本の棒状体として回転軸22
を中心にして交差する十字状の回転可能子21の他に、
回転軸から半径方向に1本の回転員のみを有する回転可
能子、あるいは、奇数本(例えば、3本又は5本)の回
転員が半径方向に延びる回転可能子等の形状であること
ができる。
【0020】原料ガスをノズルからジェット状に噴出さ
せることにより、均一で微小な気泡を発生させることが
可能となる。スラリー床反応器を用いるジメチルエチル
エーテル合成反応のメカニズムは、反応器内の触媒スラ
リー層に挿入された原料ガスが、触媒スラリー層の媒体
油中に溶解し、その後、媒体油中に存在している触媒上
で反応することからなる。従って、反応を効率よく進行
させるためには、まず、触媒スラリー層中に微小な原料
ガスの気泡を発生させることが重要となる。従って、微
小な原料ガス気泡を多量に触媒スラリー層中に噴出させ
ることが重要なポイントとなる。
【0021】回転可能子に設けるガス噴出ノズルのノズ
ル径は、ガスをジェット状に噴出させることのできるも
のであれば限定されない。例えば、ノズル通過ガスのレ
イノルズ数(Re)が1×104 以上である条件を満足
すればよい。レイノルズ数(Re)は Re=(ρDU)/μ から算出することができる。ここでρはガスの密度、D
はノズル径、Uはノズルを通過するガスの速度、μはガ
スの粘度である。ガス噴出ノズルのノズル径及びノズル
の総数は、スラリー床反応器の内径(R)、ノズルから
のガス噴出速度(Vg)(単位=cm/s)、及び空塔
ガス線速度(Ug)(単位=cm/s)との関連で考慮
するのが好ましい。ここで、空塔ガス線速度とは、反応
条件での実ガス流量を反応器断面積で割った値であり、
ジメチルエーテルを合成するスラリー床反応器の空塔ガ
ス線速度(Ug)は、好ましくは1〜20cm/秒、よ
り好ましくは2〜15cm/秒程度である。
【0022】ノズルからのガス噴出速度(Vg)(単位
=cm/s)は、ガス噴出ノズルのノズル径(r)とス
ラリー床反応器の内径(R)との比(r/R)、及び空
塔ガス線速度(Ug)(単位=cm/s)から、以下の
関係式によって算出することができる。 Vg = Ug×(R/r)2 ここでノズル径(r)は、回転可能子に設けられている
全ノズルの内径の合計であり、ガス噴出速度(Vg)は
それら全ノズルから噴出されるガス全体の速度である。
【0023】例えば、空塔ガス線速度を2cm/秒、5
cm/秒、及び10cm/秒とするには、ガス噴出ノズ
ルのノズル径(r)とスラリー床反応器の内径(R)と
の比(r/R)、及びノズルからのガス噴出速度(V
g)の関係を以下の表1に示すとおりに設定すればよ
い。
【表1】 Ug(cm/s) r/R Vg(cm/s) 2 0.01 20,000 2 0.005 80,000 5 0.01 50,000 5 0.005 200,000 10 0.01 100,000 10 0.005 400,000
【0024】例えば、ノズル径(r)とスラリー床反応
器の内径(R)が0.01の場合に、空塔ガス線速度
(Ug)を2cm/秒とするためには、ガス噴出ノズル
数が、例えば1であれば、そのノズルからのガス噴出速
度(Vg)は20,000cm/秒となり、ガス噴出ノ
ズル数が、例えば8であれば、各ノズルからのガス噴出
速度(Vg)は、2,500cm/秒(20,000/
8)となる。特に、ジメチルエーテルの合成に使用する
前記のガス噴出速度は、公知のジェット気流発生装置に
よって容易に得ることができる。
【0025】また、本発明によるスラリー床反応器にお
いては、好ましくは、回転軸を反応器の底面に設け、回
転可能子をその底面と平行な面上に回転させるように設
ける。回転可能子の高さ(底面からの高さ)は、ガス噴
出ノズル23からスラリー状反応層へガスを噴出するこ
とのできる位置であれば限定されないが、反応器本体の
全体の高さに対して、好ましくは底面から頂部方向へ1
/3の高さ(反応器の下から1/3の高さ)まで、より
好ましくは反応器本体の底面から頂部方向へ1/4の高
さ(反応器の下から1/4の高さ)までである。
【0026】回転可能子におけるガス噴出ノズルの位置
も特に限定されるものではないが、半径方向に複数個を
間隔を開けて配置し、微細気泡を触媒スラリー層内に均
一に分散させるのが好ましい。従って、ガス噴出ノズル
が1個の場合には、反応器の中心と内壁との中間点をガ
ス噴出ノズルが通過するようには位置するのが好まし
い。
【0027】本発明のスラリー床反応器をジメチルエー
テル合成反応器として用いる場合にも、前記の回転可能
子を設けること以外の点では、従来公知の同種のスラリ
ー床ジメチルエーテル合成反応器と同様の構造を有する
ことができる。すなわち、反応器の出口側に、まず反応
生成ガスを冷却してメタノール及び水を凝縮させて分離
するメタノール/水分離器、残りのガスを更に冷却して
ジメチルエーテル及び二酸化炭素を凝縮させ、主として
一酸化炭素及び水素を分離する未反応ガス分離器及び凝
縮分離されたジメチルエーテルと二酸化炭素とを分離す
るCO2 分離器をこの順に設けるのが好ましい。上記の
メタノール/水分離器と未反応ガス分離器は、それぞれ
凝縮器と気液分離器に分かれていてもよい。また、メタ
ノール、水、ジメチルエーテル及び二酸化炭素の全てを
凝縮あるいは凝固させて一酸化炭素と水素をまず分離
し、その後でこの凝縮凝固物からジメチルエーテルを分
離する装置を用いることもできる。あるいは二酸化炭素
はアミン等の吸収剤を用いる分離装置を用いて、一酸化
炭素と水素を主成分とする未反応ガスから分離すること
もできる。
【0028】こうしたジメチルエーテル合成反応器の一
例を図7に示す。この製造装置は反応器R、メタノール
/水分離器S1、未反応ガス分離器S2及びCO2 分離
器S3よりなっていることができる。反応器Rの底部に
は原料ガスライン2を接続させ、この原料ガスライン2
には新たな原料ガスを供給するメイクアップ(フレッシ
ュ)ガスライン1と未反応CO及びH2 を循環供給する
リサイクルガスライン7を接続させることができる。反
応器Rの頂部から排出された反応生成物は、反応生成物
ガスライン3によりメタノール/水分離器S1に運ばれ
る。メタノール/水分離器S1のメタノール/水出口に
はメタノール/水ライン4が接続され、反応生成物出口
には反応生成物ガスライン5が接続されている。反応生
成物ガスライン5は未反応ガス分離器S2に接続され
る。この未反応ガス分離器S2の未反応ガス出口には前
述のリサイクルガスライン7の他端が接続されている。
このリサイクルガスライン7の途中にはそのガスの一部
を引き抜くパージライン10が接続されている。未反応
ガス分離器S2のジメチルエーテル/CO2 出口にはジ
メチルエーテル/CO2 ライン6が接続され、ジメチル
エーテル/CO2 ライン6の他端はCO2 分離器S3に
接続され、CO2 分離器S3のCO2 出口にはCO2
イン8が接続され、ジメチルエーテル出口にはジメチル
エーテルライン9がそれぞれ接続されている。
【0029】本発明の反応器をジメチルエーテル合成反
応器として用いる場合には、ジメチルエーテル合成触媒
として、メタノール合成触媒とメタノール脱水触媒とを
混合して充填し、更に場合により水性ガスシフト触媒を
加えることもできる。
【0030】本発明の反応器において用いることのでき
る媒体油は、使用する反応条件下において液体状態を呈
するものであれば、特に限定されない。例えば、ジメチ
ルエーテル合成反応の場合には、脂肪族、芳香族及び脂
環族の炭化水素、アルコール、エーテル、エステル及び
ケトン、これらの化合物の混合物等を使用することがで
きる。また、硫黄分を除去した軽油、減圧軽油、水素化
処理したコールタールの高沸点留分、フィッシャートロ
プシュ合成油、高沸点食用油等も使用することができ
る。媒体油中に存在させる触媒量は、媒体油の種類、反
応条件などによって適宜決定することができるが、通常
は媒体油に対して1〜50重量%であり、10〜30重
量%程度が好ましい。
【0031】本発明の反応器において用いることのでき
る反応条件も特に限定されるものではないが、ジメチル
エーテル合成反応の場合には、反応温度は好ましくは1
50〜400℃、より好ましくは250〜350℃であ
る。反応温度が150℃より低いか又は400℃より高
いと、一酸化炭素の転化率が低くなることがある。反応
圧力は、好ましくは10〜100kg/cm2 、より好
ましくは15〜80Kg/cm2 、特に好ましくは20
〜70kg/cm2 である。反応圧力が10kg/cm
2 より低いと一酸化炭素の転化率が低くなることがあ
り、また100kg/cm2 より高いと反応器が特殊な
ものとなり、また昇圧のために多大なエネルギーが必要
であって経済的でない。空間速度(触媒lkgあたりの
標準状態における混合ガスの供給速度)は、好ましくは
100〜50000l/kg・h、より好ましくは50
0〜30000l/kg・hである。空間速度が500
00l/kg・hより大きいと一酸化炭素の転化率が低
くなることがあり、また100l/kg・hより小さい
と反応器が極端に大きくなって経済的でないことがあ
る。
【0032】
【発明の効果】本発明のスラリー床反応器は回転可能子
を有するので、原料ガスを微細気泡として触媒スラリー
層内に均質に分散させて、原料ガスと触媒スラリー層と
の接触面積を増大をさせると共に、触媒スラリー層を攪
拌して触媒スラリー層における触媒の偏在化を有効に防
止して、スラリー床反応器内部での反応を効率的に進行
させることができる。更に、回転可能子に攪拌翼を設け
ると、触媒スラリー層流を発生させることができるの
で、触媒の偏在化を一層有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様である反応器の下部構造を
示す説明図である。
【図2】図1の反応器で使用する回転可能子の平面図で
ある。
【図3】別の態様の回転可能子の平面図である。
【図4】従来のスラリー床反応器の一例の構造を示す説
明図である。
【図5】従来の微細気泡発生手段を含むスラリー床反応
器の下部構造を示す説明図である。
【図6】従来の別の微細気泡発生手段を含むスラリー床
反応器の下部構造を示す説明図である。
【図7】本発明の反応器が組み込まれるジメチルエーテ
ル製造装置の一例のフローシートである。
【符号の説明】
1・・・メイクアップ(フレッシュ)ガスライン;2・
・・原料ガスライン;3・・・反応生成物ガスライン;
4・・・メタノール/水ライン;5・・・反応生成物ガ
スライン;6・・・ジメチルエーテル/CO2 ライン;
7・・・リサイクルガスライン;8・・・CO2 ライ
ン;9・・・ジメチルエーテルライン;10・・・パー
ジライン;12・・・スラリー液面;13・・・反応器
本体;14・・・気層;17・・・伝熱管;18・・・
スラリー状反応層;21・・・回転可能子;22・・・
回転軸;23・・・ガス噴出ノズル;24・・・攪拌
翼;25・・・回転員;51・・・ガス分散板;52・
・・原料ガス気泡;53・・・微細気泡;61・・・ガ
ス分散盤;62・・・ノズル;R・・・反応器;S1・
・・メタノール/水分厳器;S2・・・未反応ガス分離
器;S3・・・CO2 分離器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C07C 43/04 C07C 43/04 D (72)発明者 戸村 啓二 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉末固体を媒体に懸濁させたスラリー状
    反応層とその上部の気層とを反応器内部に含み、反応器
    下部にガス送入口と反応器上部に生成物排出口とを備え
    たスラリー床反応器であって、前記ガス送入口から前記
    スラリー床反応器内に送入されるガスの少なくとも一部
    が、前記ガス送入口から、回転可能子に設けたガス噴出
    ノズルを経由してジェット状に前記スラリー床反応器内
    に送入されること、及び前記ガス噴出ノズルが、そのノ
    ズルからジェット状に噴出されるガスの推進力により前
    記回転可能子を回転させることのできる位置に配置され
    ていることを特徴とする、スラリー床反応器。
  2. 【請求項2】 前記回転可能子が攪拌翼を有する、請求
    項1に記載のスラリー床反応器。
JP9032957A 1997-01-31 1997-01-31 スラリー床反応器 Pending JPH10216501A (ja)

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