JP2016188296A - 気泡塔型スラリー床反応装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】反応塔内部での触媒の良好な流動性と、合成ガスと触媒との十分な接触機会を確保できる気泡塔型スラリー床反応装置を提供する。
【解決手段】液体炭化水素中に固体の触媒粒子を懸濁させたスラリーを収容する反応塔21と、反応塔の下部に配置され合成ガスを供給する合成ガス供給部22と、反応塔の上部に配置され合成ガスから生成されたガス状炭化水素を排出するガス排出部23と、反応塔の内部に配設された複数の冷却部材24と、を備えている気泡塔型スラリー床反応装置であって、合成ガス供給部22は、合成ガスを反応塔の内部に案内し、鉛直下方に対して0°<θ<45°の間の傾斜角度θで、同一の周方向に向けて合成ガスを噴出するノズル22Nが形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、気泡塔型スラリー床反応装置に関し、特に粒子状の固体触媒を溶媒中に懸濁させたスラリーにガスを流通させて、触媒反応により炭化水素を合成する気泡塔型スラリー床反応装置に関する。
フィッシャー−トロプッシュ(Fischer−Tropsch)合成反応(以下、「FT合成反応」という。)は、水素と一酸化炭素からなる合成ガスを固体触媒の存在下で反応させ、液体炭化水素を合成する一連の過程をいう。
気泡塔型スラリー床反応装置を用いてFT合成反応を行なう場合、初期に溶媒として充填する炭化水素や反応生成物である炭化水素の比重と比べて触媒の比重が十分に大きいため、触媒粒子は反応塔内で沈降して底部に堆積しやすい。触媒の沈降を防ぐため、主にスラリーの上向き流れによって触媒を浮上、流動させるように合成ガスを噴出する必要がある。
特許文献1には、液体炭化水素中に固体の触媒粒子を懸濁させたスラリーを収容する反応器本体と、前記反応器本体の下部に配設され、水素および一酸化炭素を主成分とする合成ガスを下方に噴射して前記スラリーに供給する反応ガス供給部と、前記反応ガス供給部から噴射される合成ガスの噴射方向に前記反応器本体の底部とは別途配置され、前記スラリーの流れを制限する障壁部材と、前記反応器本体の底部に設けられ、前記液体炭化水素のみを排出する液体炭化水素排出口とを備え、前記障壁部材は、前記反応ガス供給部から噴射される合成ガスが到達する範囲内に、前記反応器本体の高さ方向に垂直な水平面に平行となるように設置され、かつ、前記スラリー中の触媒粒子のみの流れを制限するフィルタ要素を含むことを特徴とする気泡塔型炭化水素合成反応器が開示されている。
特許文献2には、使用中、固形の触媒粒子が懸濁されている液相よりなる所定量のスラリーを収容するように配置されたスラリー帯域と、このスラリー帯域の上方のガス空間と、ガスをスラリー帯域に供給するように配置されたガス供給装置と、ガス空間からのガス出口と、液体出口とを具備するスラリー気泡塔の反応器であって、前記ガス供給装置は、ガス供給/分布手段および1組のガスノズルを備えており、このガス供給/分布手段は、ガスを前記1組のガスノズルに送出すように配置されており、これらノズルの開口部は、下方に開口していて、使用中、ガスをこの反応器のスラリー帯域に注入して、スラリー中に長さLの下方に延びるガスジェットを形成するように配置されており、前記ノズルの数および構成は、反応器の横断面内で、1mあたり75個の均等に分布されたノズルの最小密度に対応するノズルの分布を与えるように選択されており、各ノズルの前記開口部は、反応器の底面から直交方向の距離Dのところに位置されており、D=0.75ないし1.5Lであるスラリー気泡塔の反応器が開示されている。
特許第4874660号公報 特許第5242157号公報
しかし、特許文献1に記載された気泡塔型炭化水素合成反応器は、反応ガス供給部と反応器本体の底部との間にスラリーの流れを制限し液体炭化水素及び気泡のみ通過させるスクリーンを備えた障壁部材を設ける必要があり、下方に向けて噴射された反応ガスの一部がスクリーンを通過するため、触媒粒子の巻き上げ力が制限され、良好なスラリーの流動が阻害され、或いは微小な触媒粒子がスクリーンの目詰まりを招き頻繁なメンテナンスが必要になる等の問題があった。
また、特許文献1,2に開示された気泡塔型炭化水素合成反応器に設置されたガス供給装置には、反応器本体の障壁部材或いは底面に向けてガスを噴出する多数のガスノズルが設けられ、各ガスノズルから噴射され障壁部材或いは底面で上方に偏向されたガス流が互いに干渉し合いながらスラリーを上方に流動させるため、スラリーの上昇流と下降流が干渉して反応器本体内部でスラリーの流れが不均一になるばかりかスラリーを流動させるためのエネルギーにロスが生じ、さらにはFT合成のためのガスと触媒との接触機会が制限される虞があるという問題があった。
本発明の目的は、上述した問題点に鑑み、反応塔内部での触媒の良好な流動性と、合成ガスと触媒との十分な接触機会を確保できる気泡塔型スラリー床反応装置を提供する点にある。
上述の目的を達成するため、本発明による気泡塔型スラリー床反応装置の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、液体炭化水素中に固体の触媒粒子を懸濁させたスラリーを収容する反応塔と、前記反応塔の下部に配置され合成ガスを供給する合成ガス供給部と、前記反応塔の上部に配置され合成ガスから生成されたガス状炭化水素を排出するガス排出部と、前記反応塔の内部に配設された複数の冷却部材と、を備えている気泡塔型スラリー床反応装置であって、前記合成ガス供給部は、前記合成ガスを前記反応塔の内部に案内し、鉛直下方に対して0°<θ<45°の間の傾斜角度θで、同一の周方向に向けて前記合成ガスを噴出するノズルが形成されている点にある。
合成ガス供給部に備えたノズルから鉛直下方に対して0°<θ<45°の間の傾斜角度θで、同一の周方向に向けて噴射された合成ガスによって、底面の触媒粒子を含むスラリーが周方向に沿って巻き上げられ、さらに反応塔の内部で周方向に旋回しながら上昇するようになり、合成ガスが持つエネルギーが効率的にスラリーの上昇流の形成に用いられるようになる。また、反応ガスの供給が停止する場合でもノズルが鉛直下方に対して傾斜するように合成ガス供給部に形成されているので、その後沈降するスラリーがノズルから合成ガス供給部の内部に流入して閉塞を招くというようなこともない。
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記合成ガス供給部は、鉛直下方に対して5°≦θ≦15°の間の傾斜角度θで、同一の周方向に向けて前記合成ガスを噴出するノズルが形成されている点にある。
ノズルが鉛直下方に対して5°≦θ≦15°の間の傾斜角度θで形成されていると、特にスラリーの良好な流動性能を得ることができる。
同第三の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一または第二の特徴構成に加えて、前記反応塔は、前記スラリーが主に上昇する上昇領域と、上昇したスラリーが主に下降する下降領域とに領域区画され、前記ノズルが前記上昇領域の下方に位置するように前記合成ガス供給部に形成されている点にある。
反応塔内部でスラリーが主に上昇する上昇領域の下方にノズルが位置することにより、上昇領域に向けて触媒粒子を含むスラリーの良好な流れが効率的に形成され、下降領域では下降流に対する抵抗が小さく、速やかに底面に下降するようになり、下降したスラリーが底部で上昇領域側に速やかに移動する良好な循環経路が形成されるようになる。
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第一または第二の特徴構成に加えて、前記冷却部材が前記反応塔の軸心に沿う姿勢で筒状を形成するように所定間隔を隔てて配設され、前記合成ガス供給部は前記冷却部材の下方に配置されている点にある。
反応塔の内部で流動するスラリー中の触媒と合成ガスとが接触することにより生じるFT合成反応は発熱反応であるため、反応熱を連続的に取り除くべく反応塔内部には冷却部材が設置されている。合成ガス供給部が冷却部材の下方に配置されているので、ノズルから噴射される合成ガスの流れが阻害されることなく良好なスラリーの流動が形成されるようになる。
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第四の特徴構成に加えて、前記ノズルは前記反応塔の軸心方向視で少なくとも前記冷却部材で形成される筒状の外側領域に配置されている点にある。
反応塔の軸心方向視で、冷却部材で形成される筒状の外側領域にノズルが配置されていると、ノズルから噴射された合成ガスにより生起されるスラリーの上昇流が冷却部材で阻害されるようなことがない。
同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第五の特徴構成に加えて、前記上昇領域と下降領域が前記冷却部材により領域区画され、前記ノズルが前記上昇領域の下方に位置するように前記合成ガス供給部に形成されている点にある。
冷却部材により領域区画された上昇領域に沿ってスラリーの上昇流が形成されるので、上昇領域を区画するための別途の案内部材を設ける必要がない。
同第七の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述の第四から第六の何れかの特徴構成に加えて、前記冷却部材で形成される筒状の外側領域に前記上昇領域が形成され、内側領域に前記下降領域が形成され、前記ノズルが前記上昇領域の下方に位置するように前記合成ガス供給部に形成されている点にある。
冷却部材で形成される筒状の外側領域の下方に位置するノズルから噴射された合成ガスの流れに従って筒状の外側領域でスラリーの旋回上昇流が形成されてFT反応が促進される。上昇したスラリーは筒状の内側領域を下降して反応塔の底部に沈降し、再度上昇領域で上昇するように循環される。
同第八の特徴構成は、同請求項8に記載した通り、上述の第七の特徴構成に加えて、さらに、前記合成ガス供給部には下降したスラリーを上昇領域へ案内するガイドノズルが前記下降領域の下方に位置するように設けられ、前記ガイドノズルは前記ノズルと同一の周方向且つ前記上昇領域へ向けて合成ガスを噴出するように形成されている点にある。
下降領域を下降して反応塔の底部に沈降した触媒粒子を含むスラリーはガイドノズルから噴射される合成ガスの流れによって上昇領域側に押し出され、ノズルから噴射される合成ガスのガス流の流れに従って上昇領域を旋回しながら上昇するので、触媒が反応塔内で良好に分散しながら安定的に流動するようになる。
同第九の特徴構成は、同請求項9に記載した通り、上述の第一から第八の何れかの特徴構成に加えて、下降したスラリーが少なくとも合成ガス供給部に形成されたノズルの形成位置を包絡する領域に案内されるように、前記反応塔の底面に傾斜ガイド部が形成されている点にある。
反応塔の底部に沈降または沈降する虞のある触媒粒子が傾斜ガイド部に沿ってノズルの形成位置を包絡する領域に移動するので、ノズルから噴射される合成ガスのガス流によって効率的に流動するようになる。
同第十の特徴構成は、同請求項10に記載した通り、上述の第六から第八の何れかの特徴構成に加えて、下降したスラリーが前記上昇領域に案内されるように、前記反応塔の底面に傾斜ガイド部が形成されている点にある。
反応塔の底部に沈降または沈降する虞のある触媒粒子が傾斜ガイド部に沿って上昇領域に案内されるので、ノズルから噴射される合成ガスのガス流によって効率的に流動するようになる。
以上説明した通り、本発明によれば、反応塔内部での触媒の良好な流動性と、合成ガスと触媒との十分な接触機会を確保できる気泡塔型スラリー床反応装置を提供することができるようになった。
FT合成装置の説明図 (a)は本発明による気泡塔型スラリー床反応装置の縦断面説明図、(b)は同装置の横断面説明図 気泡塔型スラリー床反応装置の要部の断面図 反応塔の底面から視た合成ガス供給部の説明図 (a),(b),(c)は別実施形態を示し、反応塔の底面から視た合成ガス供給部の説明図 別実施形態を示し、反応塔の底面から視た合成ガス供給部の説明図 (a),(b),(c)は別実施形態を示す反応塔の要部説明図 別実施形態を示す反応塔の要部説明図 (a)から(e)はノズルの説明図 実験説明図
以下、本発明による気泡塔型スラリー床反応装置の実施形態を説明する。
図1に示すように、FT合成装置14は、圧縮機15、ヒータ16、反応器17、及び凝縮器18を備えている。
不純物を含まない合成ガス(H,CO)が圧縮機15で約0.9MPaまで圧縮され、圧縮された合成ガス(H,CO)がヒータ16により約280℃に加熱される。こうして、高温・高圧状態となった合成ガス(H,CO)が反応器17、つまり気泡塔型スラリー床反応装置17に送られる。尚、ヒータ16による加熱は、反応器17での発熱反応が生じない起動時に用いられ、FT合成が始まるとヒータ16は切られる。
気泡塔型スラリー床反応装置17では、高温・高圧状態の合成ガス(H,CO)が鉄やコバルト等の触媒粒子が分散したスラリー状の溶媒中に噴射されて触媒と接触することによりガス状の合成炭化水素に変換される。
気泡塔型スラリー床反応装置17で生成されたガス状の合成炭化水素は、凝縮器18に送られて間接冷却されて凝縮され、液体状の合成炭化水素として回収される。同時に、未反応の合成ガス(H,CO)やメタン、エタン等の軽質ガスが分離回収される。尚、本実施形態では合成ガスとしてHとCOを利用して液体状の軽油を合成し回収する。
図2(a),(b)及び図3に示すように、気泡塔型スラリー床反応装置17は、略円筒型の金属製の容器で構成され、溶媒となる液体炭化水素(例えば、ポリアルファオレフィン)中に固体の触媒粒子を懸濁させたスラリーを収容する反応塔21と、反応塔21の下部に配置され合成ガスをスラリーに供給する合成ガス供給部22と、反応塔の上部に配置され合成ガスから生成されたガス状の合成炭化水素を排出するガス排出部23と、反応塔21の内部に配設された複数の冷却管24とを備えて構成されている。尚、図2には示されていないが、反応塔21にはスラリーの投入口及び排出口、複数の温度センサや圧力センサが設けられている。当該冷却管24が本発明の冷却部材として機能する。
反応塔21の内部で流動するスラリー中の触媒と合成ガスとが接触することにより生じるFT合成反応は発熱反応であり、反応熱を連続的に取り除くために、本発明の冷却部材となる冷却管24が設置されている。具体的に4本の二重管構造の冷却管24が反応塔21の軸心に沿う姿勢で冷却管24の縦軸心周りで筒状を形成するように所定間隔を隔てて配設され、反応塔21の上方で外管24aから流入した冷却媒体が反応塔21内で熱交換しながら下降し、内管24bの底部開口から上昇して外部に流出するように構成されている。ここで、冷却媒体として冷却水や空気等が利用される。
尚、冷却管24の本数は4本に限定されているわけではなく、複数であればよい。また、4本の冷却管24で円筒または四角筒の筒形を形成した例を説明しているが、冷却管の本数によっては円筒または四角筒以外に八角筒状等のどのような形態の筒状に形成されていてもよい。
複数の冷却管24で構成される筒状の外側領域31にスラリーが主に上昇する円環状の上昇領域R1が形成され、筒状の内側領域32にスラリーが主に下降する円柱状の下降領域R2が形成されるように領域区画されている。
合成ガス供給部22は、冷却管24の下端より下方に位置するように配置され、合成ガスを反応塔21の内部に案内するガス供給主管22Aと、一端がガス供給主管22Aに接続された4本のガス供給支管22Bとを備えて構成されている。
各ガス供給支管22Bは、反応塔21の底面から所定距離離隔した位置で、平面視で互いに直交する方向に延出形成され、鉛直下方に対して0°<θ<45°の間の傾斜角度θで、同一の周方向に向けて合成ガスを噴出するノズル22Nが、上昇領域R1の下方に位置するように形成されている。尚、後述の通り、上昇領域R1と下降領域R2の境界は明確でないため、上昇領域R1の下方に位置するノズル22Nは上昇領域R1の下方近傍にあればよいものである。
尚、図3に示した二点鎖線L1,L2は上昇領域R1と下降領域R2の境界を示し、二点鎖線L3は冷却管24の下端位置を示す。尚、上昇領域R1と下降領域R2のスラリーは完全に独立した動きをするわけではなく、かといって相互に依存関係を有するわけでもない。2つの領域にあるスラリーは隣接する4本の冷却管24の隙間を通って相互に拡散し合う弱い依存関係を有することになる。そのためL1,L2も明確な線があるわけではない。
図4に示すように、反応塔21の内部でノズル22Nから同一の周方向に向けて噴射された合成ガスによって、反応塔21の底面の触媒粒子を含むスラリーが周方向に沿って巻き上げられ、さらに反応塔21の内部で周方向に旋回しながら上昇するようになり、合成ガスが持つエネルギーが効率的にスラリーの上昇流の形成に用いられるようになる。尚、上昇する流れは旋回して上昇する流れのほか、スラリー中の合成ガスのエアリフト効果により生じるものもある。
また、反応塔21の底面から各ガス供給支管22Bまでの距離は、ノズルからの合成ガスの噴出速度にもよるが、距離が近いほど巻き上げる力が強くなる。
その結果、下降領域R2の下方を含め上昇領域R1へ向かう触媒を含むスラリーの良好な流れが効率的に形成され、下降領域R2では下降流に対する抵抗が小さくなり、速やかに底面に下降するようになり、下降したスラリーが底部で上昇領域側に速やかに移動する良好な循環経路が形成されるようになる。
また、反応ガスの供給が停止する場合でもノズル22Nが鉛直下方に対して角度θ傾斜するようにガス供給支管22Bに形成されているので、その後沈降するスラリー中の触媒粒子がノズル22Nからガス供給支管22Bの内部に流入して閉塞を招くというようなこともない。
また、上昇領域R1と下降領域R2が冷却管24により領域区画されているので、領域区画するための別途に専用のガイド板等を反応塔21の内部に設置する必要がない。
合成ガス供給部22は冷却管24の下方に配置されているので、ノズル22Nから噴射される合成ガスの流れが冷却管24によって阻害されることなく良好にスラリーが流動するようになる。
図5(a)に示すように、ガス供給支管22Bに、反応塔21の底面に下降したスラリーを上昇領域R1へ案内するガイドノズルGNが下降領域R2の直下に位置するように設けられていることが好ましい。下降領域R2に沿って沈降したスラリーに含まれる触媒粒子が底面に堆積または堆積しそうになっても、ガイドノズルGNから噴出される合成ガスによって上昇領域側に搬送され、ノズル22Nによって再度上昇領域R1に巻き上げられるようになる。
図5(b)に示すように、ガイドノズルGNがノズル22Nと同一の周方向で且つ上昇領域R1へ合成ガスを噴出するように形成されていることが好ましい。下降領域R2を下降して反応塔21の底部に沈降した触媒粒子を含むスラリーはガイドノズルGNから噴射される合成ガスの流れによって上昇領域R1側に押し出され、ノズル22Nから噴射される合成ガスのガス流の流れとともに上昇領域R1を旋回しながら上昇するので、触媒粒子が反応塔内で良好に分散しながら安定的に流動するようになる。
図5(c)に示すように、ガイドノズルGN用のガス供給支管を別途持つ構成でもよい。このように、より沈降しやすいところにガイドノズルGNから合成ガスを噴射することで上昇領域R1側に触媒粒子を押し出すことができる。
尚、上述したガス供給支管22Bの数は4本に限るものではなく、2本以上の複数本で構成されていればよく、またノズル22N及びガイドノズルの数も特に限定されることはない。また、ガス供給支管22Bと冷却管24は平面視で重なるような配置であってもよい。
図6に示すように、ガス供給支管22Bは直管である必要はなく、環状管22Bで構成され、その環状管22Bに複数のノズル22Nが、反応塔21の周方向に向けて同一方向に合成ガスを噴射するように構成されていてもよい。このような環状管の数も一つである必要はなく、同心円状に複数備えていてもよい。
図7(a)に示すように、下降領域R2から底面に下降したスラリーが少なくとも各ガス供給支管22Bに形成されたノズル22Nの形成位置を包絡する領域、好ましくは環状の領域に案内されるように、反応塔21の底面に傾斜ガイド部GPが形成されていることが好ましい。尚、傾斜ガイド部GPは平面で形成されていてもよいが、図7(b)に示すように、凹局面で形成されていてもよいし、図7(c)に示すように凸局面で形成されていてもよい。
反応塔21の底部に沈降した、または沈降しそうになる触媒粒子が傾斜ガイド部GPに沿ってノズル22Nの形成位置を包絡する環状の領域に移動するので、ノズルから噴射される合成ガスのガス流によって効率的に流動するようになる。
さらに、図8に示すように、下降領域R2から底面に降下したスラリーが上昇領域R1へ案内されるように、反応塔21の底面に傾斜ガイド部GPが形成されていてもよい。
各ガス供給支管に形成されるノズル22Nは、鉛直下方に対して5°≦θ≦15°の間の傾斜角度θで、同一の周方向に向けて前記合成ガスを噴出するように構成されていることが、スラリーの流動性をより良好にする点でより好ましい。
筒状に配置された冷却管24の内側領域をスラリーの上昇領域R1に、外側領域をスラリーの下降領域R2に構成してもよい。
スラリーが主に上昇する上昇領域R1と、上昇したスラリーが主に下降する下降領域R2とを領域区画する専用のガイド部材を設けてもよい。ガイド部材としては、冷却管を利用して冷却管の間をつなぐ板状体や、冷却管の間に挿入する邪魔管等で構成することができる。
以下に、上述した気泡塔型スラリー床反応装置を用いてスラリー中の触媒の流動性能の確認実験を行なった結果を説明する。
触媒の流動分割合は、試験中に反応塔の高さ方向に沿って上部、中部、下部、底部の夫々からスラリーをサンプリングして各存在割合(wt%)を計測したときの、底部以外の触媒の存在割合の合計値である。つまり、流動分割合が大きいほど触媒は底部に滞留せずスラリー中の全体に分布していると判断できる。尚、ガス吹込み部のノズルの向きは鉛直下方に設定されており、反応塔には冷却管は配置されていない。
図10には、塔径150mmの反応塔に対して、図4に示すようなガス吹込み部(ガス供給支管22B)の形状で、ノズル22Nの数及び鉛直下方に対する傾斜角度θを異ならせた場合の触媒の流動分割合試験の実験条件と実験結果が示されている。
図10に示した分岐管aから分岐管eに対応するノズルの角度及び数の詳細が、図9(a)から(e)に示されている。分岐管aは鉛直下方に向けた単一ノズル、分岐管bは鉛直下方に対する傾斜角度θ=5度とした単一ノズル、分岐管cは鉛直下方及び90度傾斜した位置に夫々ノズルがあるダブルノズル、分岐管dは鉛直下方から両側に45度傾斜したダブルノズル、分岐管eは鉛直下方から一方に5度傾斜したノズルが2つあるダブルノズルである。
この試験から分岐管eが他に比較して触媒の流動分割合が良好であることが判る。尚、さらに条件を異ならせて試験を進めたところ、鉛直下方に対して0°<θ<45°の間の傾斜角度θで、同一の周方向に向けて合成ガスを噴出するノズルが形成されていると、良好な触媒の流動分割合が得られ、鉛直下方に対して5°≦θ≦15°の間の傾斜角度θで、同一の周方向に向けて合成ガスを噴出するノズルが形成されていると、さらに良好な触媒の流動分割合が得られた。
上述した各実施例では合成ガスを噴出するノズルは、管に孔をあけて形成したが、市販の流体ノズル等、合成ガスを噴出できる構造のものであればよい。
上述した様々な実施形態は、本発明による気泡塔型スラリー床反応装置の一具体例を説明したに過ぎず、当該記載により本発明の範囲が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
14:FT合成装置
15:圧縮機
16:ヒータ
17:反応器(気泡塔型スラリー床反応装置)
18:凝縮器
21:反応塔
22:合成ガス供給部
22A:ガス供給主管
22B:ガス供給支管
22N:ノズル
23:ガス排出部
24:冷却管
31:外側領域
32:内側領域
GN:ガイドノズル
R1:上昇領域
R2:下降領域

Claims (10)

  1. 液体炭化水素中に固体の触媒粒子を懸濁させたスラリーを収容する反応塔と、
    前記反応塔の下部に配置され合成ガスを供給する合成ガス供給部と、
    前記反応塔の上部に配置され合成ガスから生成されたガス状炭化水素を排出するガス排出部と、
    前記反応塔の内部に配設された複数の冷却部材と、
    を備えている気泡塔型スラリー床反応装置であって、
    前記合成ガス供給部は、前記合成ガスを前記反応塔の内部に案内し、鉛直下方に対して0°<θ<45°の間の傾斜角度θで、同一の周方向に向けて前記合成ガスを噴出するノズルが形成されている気泡塔型スラリー床反応装置。
  2. 前記合成ガス供給部は、鉛直下方に対して5°≦θ≦15°の間の傾斜角度θで、同一の周方向に向けて前記合成ガスを噴出するノズルが形成されている請求項1記載の気泡塔型スラリー床反応装置。
  3. 前記反応塔は、前記スラリーが主に上昇する上昇領域と、上昇したスラリーが主に下降する下降領域とに領域区画され、前記ノズルが前記上昇領域の下方に位置するように前記合成ガス供給部に形成されている請求項1または2記載の気泡塔型スラリー床反応装置。
  4. 前記冷却部材が前記反応塔の軸心に沿う姿勢で筒状を形成するように所定間隔を隔てて配設され、前記合成ガス供給部は前記冷却部材の下方に配置されている請求項1または2記載の気泡塔型スラリー床反応装置。
  5. 前記ノズルは前記反応塔の軸心方向視で少なくとも前記冷却部材で形成される筒状の外側領域に配置されている請求項4記載の気泡塔型スラリー床反応装置。
  6. 前記上昇領域と下降領域が前記冷却部材により領域区画され、前記ノズルが前記上昇領域の下方に位置するように前記合成ガス供給部に形成されている請求項5記載の気泡塔型スラリー床反応装置。
  7. 前記冷却部材で形成される筒状の外側領域に前記上昇領域が形成され、内側領域に前記下降領域が形成され、
    前記ノズルが前記上昇領域の下方に位置するように前記合成ガス供給部に形成されている請求項4から6の何れかに記載の気泡塔型スラリー床反応装置。
  8. さらに、前記合成ガス供給部には下降したスラリーを上昇領域へ案内するガイドノズルが前記下降領域の下方に位置するように設けられ、前記ガイドノズルは前記ノズルと同一の周方向且つ前記上昇領域へ向けて合成ガスを噴出するように形成されている請求項7記載の気泡塔型スラリー床反応装置。
  9. 下降したスラリーが少なくとも合成ガス供給部に形成されたノズルの形成位置を包絡する領域に案内されるように、前記反応塔の底面に傾斜ガイド部が形成されている請求項1から8の何れかに記載の気泡塔型スラリー床反応装置。
  10. 下降したスラリーが前記上昇領域に案内されるように、前記反応塔の底面に傾斜ガイド部が形成されている請求項6から8の何れかに記載の気泡塔型スラリー床反応装置。
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