JP6518480B2 - 気泡塔型スラリー床反応装置 - Google Patents

気泡塔型スラリー床反応装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6518480B2
JP6518480B2 JP2015068643A JP2015068643A JP6518480B2 JP 6518480 B2 JP6518480 B2 JP 6518480B2 JP 2015068643 A JP2015068643 A JP 2015068643A JP 2015068643 A JP2015068643 A JP 2015068643A JP 6518480 B2 JP6518480 B2 JP 6518480B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
region
slurry
cooling
synthesis gas
rising
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015068643A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016188295A (ja
Inventor
徹 神谷
徹 神谷
陽介 釜田
陽介 釜田
一樹 富永
一樹 富永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kubota Corp
Original Assignee
Kubota Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kubota Corp filed Critical Kubota Corp
Priority to JP2015068643A priority Critical patent/JP6518480B2/ja
Publication of JP2016188295A publication Critical patent/JP2016188295A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6518480B2 publication Critical patent/JP6518480B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Devices And Processes Conducted In The Presence Of Fluids And Solid Particles (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Description

本発明は、気泡塔型スラリー床反応装置に関し、特に、微粉の固体触媒を溶媒中に懸濁させたスラリーの中を、ガスが気泡となって上昇する間に主として反応する気泡塔型スラリー床反応装置に関する。
Fischer−Tropsch合成反応(以下、「FT合成」という。)は、水素と一酸化炭素からなる合成ガスを固体触媒の存在下で反応させ、液体炭化水素を合成する一連の過程をいう。
FT合成を用いる反応システムは、固定床反応システムのほか様々なものが提唱されているが、代表的なものとしてスラリー床反応システムがある。スラリー床反応システムは、微粉の固体触媒を溶媒中に懸濁させた懸濁液(スラリー)中に合成ガスを導入し、固体、液体、気体の3相を共存させた状態で反応させるシステムであり、他の反応システムと比較して、反応温度の制御性が良く、構造が簡易であるとされている。
スラリー床反応システムでは、反応器の底部から合成ガスを気泡状にして吹き込むことによりFT合成させる気泡塔型反応器が用いられている。
例えば、特許文献1には、反応器の底部から連続的に供給する合成ガスと液体成分中に懸濁した触媒粒子を接触させ、液体炭化水素、気体炭化水素および水を生成する。そして、その生成した液体生成物と触媒粒子とが懸濁したスラリーを、分離容器へ移動し、分離容器内で触媒粒子と液体生成物を分離した後、触媒粒子が濃縮されたスラリーを分離容器の底部から導出して、反応器の底部へ循環する。この循環のための外部動力を用いることなしに、スラリー床反応器内を上昇する合成ガスの駆動力により稼動させる気泡塔型スラリー床反応システムが開示されている。
また、特許文献2には、反応器の側壁側を遮蔽するとともに中央側を開放する部材(例えばバッフルプレートなど)を設け、反応器の内部空間を高さ方向に複数の区画に分割することで、隣接する区画間における気泡の逆流を抑制するとともに、反応器の中央側では気泡およびスラリーの上昇流を確保することが可能な気泡塔型炭化水素合成反応器が開示されている。
当該気泡塔型炭化水素合成反応器によれば、触媒粒子の分散状態を良好に保つことができ、原料である合成ガスの反応転化率を向上させるとともに、反応器の内部空間の全域で効率的に反応を行わせることができる旨記載されている。
特開2006−22283号公報 WO2007/114271号公報
しかし、特許文献1に記載されたような気泡塔型スラリー床反応システムは、生成した液体生成物と触媒粒子とが懸濁したスラリーを反応器から一旦外部に取り出すために、反応器とは別に分離容器が必要となる上に、スラリーが固化しないように分離容器を加温する必要もあり、システム全体としてかなり複雑でコスト高になる。
また、特許文献2に記載されたような反応器は、新たにバッフルプレートなどを複数設置する必要があり、そのバッフルプレートの形状、大きさ、枚数あるいは各区画の鉛直方向の長さ、さらにはバッフルプレートに設ける複数の貫通孔の形状、大きさ、数量等、隣接する区画間における気泡の逆流を抑制するために規定しなければならない要素がかなり多くあり、バッフルプレートを設置することはそれほど容易ではない。
本発明の目的は、上述した問題点に鑑み、シンプルな構造でコストを抑制しつつ、反応熱の除去に偏りがなく、安定した反応を維持することにより、高いCO転化率を得ることのできる気泡塔型スラリー床反応装置を提供する点にある。
上述の目的を達成するため、本発明による気泡塔型スラリー床反応装置の第一特徴構成は、特許請求の範囲の請求項1に記載した通り、液体炭化水素中に固体の触媒粒子を懸濁させたスラリーを収容する反応塔と、前記反応塔の下部に配置され合成ガスを供給する合成ガス供給部と、前記反応塔の上部に配置され合成ガスから生成されたガス状炭化水素を排出するガス排出部と、前記反応塔の内部に配設された複数の冷却部材と、を備えている気泡塔型スラリー床反応装置であって、前記冷却部材が前記反応塔の軸心に沿う姿勢で、平面視で筒状の空間となる内側領域とその外側領域とを区画するように所定間隔を隔てて環状に配設された複数本の冷却管で構成され、前記スラリーが主に上昇する上昇領域が前記外側領域に形成され、上昇したスラリーが主に下降する下降領域が前記内側領域に形成されている点にある。
冷却部材を構成する複数本の冷却管によって、スラリーが主に上昇する上昇領域が外側領域に形成され、上昇したスラリーが主に下降する下降領域が内側領域に形成されるように区画される。平面視で筒状の空間となるように複数本の冷却管で区画された外側領域に、上スラリー中の触媒粒子が均一に分散しながら上昇する昇領域が形成され、筒状の空間となる内側領域に、触媒粒子が速やかに下降する下降領域が形成されることにより、下降領域を下降した後にさらに上昇領域で上昇に転じるスラリーの循環流路が形成される。上昇領域の下方から上方にかけて触媒粒子が均一に移動して合成ガスと効率的に接触するとともに、内側領域よりも接触面積が大きい冷却管によって反応熱が効率よく除去されるので、シンプルな構造でコストを抑制しつつ、反応熱の除去に偏りがない安定した反応により高いCO転化率を得ることができる。
同第の特徴構成は、同請求項に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記上昇領域と前記下降領域を区画形成する冷却管群が前記反応塔の内部に分散して複数配置されている点にある。
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記上昇領域と前記下降領域を区画形成する冷群が前記反応塔の内部に複数配置され、各冷却管群で区画された前記外側領域を区画するように、前記反応塔の軸心に沿う姿勢で所定間隔を隔て配設された外側領域区画冷却管群を備えている点にある。
上述の構成によれば、反応塔の内部に複数配置された冷却管群で内側領域と外側領域が区画され、さらに外側領域が外側領域区画冷却管群で其々複数の外側領域に区画される。その結果、各外側領域で上昇するスラリーが各内側領域で下降するスラリーの循環流路が複数形成され、主としてFT合成反応が行なわれる上昇領域を上昇するスラリーが外側領域区画冷却管群によっても冷却されることになるため、さらに効率よく反応熱を除去することができ、それにより、反応がいっそう安定し、より高いCO転化率が得られるようになる。
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第一から第三の何れかの特徴構成に加えて、前記冷却管群より下方に前記合成ガス供給部が配置され、前記上昇領域に対応する領域に合成ガスが供給されるように前記合成ガス供給部にガス噴出部が形成されている点にある。
上述の構成によれば、冷却管群より下方に配置された合成ガス供給部に形成されたガス噴出部から、上昇領域に対応する領域に合成ガスが供給されるため、当該合成ガスの上昇に伴ってスラリー中の触媒粒子が効率的に上昇流動される。その過程で触媒粒子と合成ガスとの十分な接触機会が得られるようになる。逆に合成ガスが供給されない下降領域では上昇領域を上昇したスラリー中の触媒が抵抗なく速やかに下降するようになり、触媒が良好に流動するようになる。
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記冷却管群より下方に前記合成ガス供給部が配置され、前記上昇領域に対応する領域に合成ガスが供給されるように前記合成ガス供給部にガス噴出部が形成されている点にある。
上述の構成によれば、断面積の大きい上昇領域で、主として反応が行われるため、反応効率が良くなる。
また、下降領域を下降するスラリーの流速は、上昇領域を上昇するスラリーの流速より大きくなるため、流速の大きい下降するスラリーが、下降領域から上昇領域に、反応塔の底部に沿って流入する際に、上昇領域に対応する反応塔の底部に堆積する虞のある触媒粒子を撹拌する。それにより、反応塔の底部に触媒粒子が偏在することが抑制され、反応塔内全体に均一に触媒粒子が分散することになり、高いCO転化率を得ることが可能となる。
同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第一から第五の何れかの特徴構成に加えて、前記上昇領域と前記下降領域を区画形成する冷却管群を構成する冷却管同士の上下方向に形成される間隙を部分的に消失させる板状部材または管状部材が設けられている点にある。
上述の構成によれば、外側領域あるいは内側領域となる上昇領域と下降領域とが板状部材または管状部材によってより確実に領域区画されるので、上昇領域ではより安定した上昇流が得られ、下降領域でのより安定した下降流が得られ、全体として触媒を良好な流動状態に維持することができるようになる。また、そのような安定した触媒の流動状態を得るための装置設計の自由度も増す。
以上説明した通り、本発明によれば、シンプルな構造でコストを抑制しつつ、反応熱の除去に偏りがなく、安定した反応を維持することにより、高いCO転化率を得ることのできる気泡塔型スラリー床反応装置を提供することができるようになった。
FT合成装置の説明図 (a)は本発明による気泡塔型スラリー床反応装置の縦断面図、(b)は同装置の横断面図 (a),(b)は反応塔の内部に第1の冷却管群が複数形成され、外側領域同士を区画する第2の冷却管群が所定間隔を隔て配設された構成を示す横断面図 (a)は冷却管同士を部分的に接続した構成を示す説明図、(b)は冷却管同士の間隙に邪魔管を挿入した構成を示す説明図 (a),(b)は反応塔の内部に第1の冷却管群が複数形成された構成を示す説明図
以下、本発明による気泡塔型スラリー床反応装置の実施形態を説明する。
図1に示すように、FT合成は、FT合成装置14を用いて行われる。FT合成装置14は、圧縮機15、ヒータ16、反応器17、及び凝縮器18を備えている。
圧縮機15では、不純物を含まない合成ガス(H、CO)を、約0.9MPaまで圧縮する。
そして、ヒータ16により、合成ガス(H、CO)を、約280℃にまで加熱する。
こうして、高温・高圧状態となった合成ガス(H、CO)は、反応器17に送られる。
尚、ヒータ16による加熱は反応器17での発熱反応が生じない起動時に用いられ、FT合成が始まるとヒータ16が切れる。
反応器17では、高温・高圧状態となった合成ガス(H、CO)を、鉄やコバルト等の触媒粒子が分散した溶媒中に泡状にして通すことにより、FT合成反応を生起してガス状の炭化水素に変換する。
凝縮器18には、反応器17で生成されたガス状の合成炭化水素が送られる。ガス状の合成炭化水素は、凝縮器18で間接冷却されることにより凝縮され、液体燃料である液体状の合成炭化水素として回収される。同時に、未反応の合成ガス(H、CO)やメタン、エタン等の軽質ガスが分離回収される。
尚、本発明による気泡塔型スラリー床反応装置17は、上述の反応器17として用いられる。本実施形態ではHとCOを合成ガスとして軽油を生成することを目標として開発した反応器について説明する。
図2(a)、(b)に示すように、気泡塔型スラリー床反応装置17は、反応塔21、合成ガス供給部22、ガス排出部23、及び複数の冷却管24を備えている。当該冷却管24が本発明の冷却部材として機能する。
反応塔21は、略円筒型の金属製の容器であり、その内部には、液体炭化水素中に固体の触媒粒子を懸濁させたスラリーを収容している。ここで、液体炭化水素は、溶媒として用いられ、例えば、ポリアルファオレフィンが用いられる。触媒粒子は、鉄やコバルトの他、鉄に銅やカリウムを含有させたもの等が用いられる。また、反応塔21には、スラリーの投入口、及び排出口の他、複数の温度測定部や圧力測定部(図示せず)が設けられている。
合成ガス供給部22は、反応塔21の下部に配置されており、反応塔21内に収容されたスラリーに合成ガスを供給する。
ガス噴出部25が、合成ガス供給部22に形成されており、合成ガスは、合成ガス供給部22のガス噴出部25を介して、スラリーに供給される。ガス噴出部25には、下方を向いたガス噴出口26が複数個設けられている。そして、ガス噴出口26から下方の反応塔21の底部に向けて、合成ガスは吹き込まれる。尚、ガス噴出口26が下方を向いているため、スラリー中の触媒粒子が沈降して、ガス噴出口26が閉塞することを抑制できる。また、底部に向いたガス噴出口26からの合成ガス流に起因するスラリーの撹拌効果により、反応塔21の底部に堆積あるいは偏在している触媒粒子を分散させることができる。
ガス排出部23は、反応塔21の上部に配置されており、合成ガスから生成されたガス状の合成炭化水素や未反応の合成ガスを排出する。
冷却部材としての冷却管24が、反応塔21内に4本配設されている。各冷却管24は、径の異なる外管24aと内管24bとで構成されており、一端が閉鎖された外管24aに両端が開放された内管24bが内挿される構造になっている。そして、外管24aの閉鎖端側を下方にして、各冷却管24は反応塔21内に内挿されている。
冷却管24には、冷却媒体が、外管24aの開放端側から外管24aと内管24bの隙間に導入される。導入された冷却媒体は、外管24aと内管24bの隙間を下方に移動しながら、FT合成の発熱反応により高温になっているスラリーから、外管24aを介して反応熱を吸収し除去する。その後、外管24aの閉鎖端にまで達した冷却媒体は、折り返して内管24bに導入され上方に向けて移動し、冷却管24から送出される。このように、外管24aは熱交換外管として、内管24bは冷却媒体送出管として夫々機能する。尚、冷却媒体としては、空気や水或いは水蒸気等が用いられ、冷却管24の外管24aの素材には、熱伝導率の大きい銅、ステンレス等を用いるのが好ましい。
4本の冷却管24は、反応塔21の軸心に沿う姿勢で円筒状(四角筒状)を形成するように所定間隔を隔てて配設されている。尚、冷却管24の本数は、4本に限定されているわけではなく、複数であればよい。また、4本の冷却管24は、反応塔21の軸心に沿う姿勢で円筒状(四角筒状)を形成するように配置されているが、冷却管24の本数にも依存するが、冷却管24は、反応塔21の軸心に沿う姿勢で筒状を形成するように配置されているのであれば、円筒状(四角筒状)以外の八角筒状等であってもよい。
高温・高圧状態(約280℃・約0.9MPa)の合成ガス(H、CO)が、反応塔21の下部に配置されたガス噴出部25の複数のガス噴出口26から、反応塔21内のスラリーに気泡状にして供給され、スラリー内に分散する。合成ガスがスラリーに混合されると、その合成ガスのエアリフト効果により、合成ガスが混合されたスラリーは上昇することになる。そのため、合成ガスをスラリーに供給するガス噴出部25のガス噴出口26の近傍で、スラリーの上昇が最初に発生することになる。そして、ガス噴出部25から合成ガスが継続して供給されることにより、スラリーの上昇は継続して行われ、さらに、合成ガスの水平方向の分散により、ガス噴出口26の近傍から周辺にまで、スラリーの上昇する範囲が次第に拡がり、やがて広範囲に及ぶスラリーの上昇流が発生することになる。
4本の冷却管24が、反応塔21の軸心に沿う姿勢で円筒状を形成するように、それほど大きくない間隔を隔てて配設されている。そのため、当該円筒状をなす4本の冷却管24を結んだ線で囲まれた内側領域32とその外側の外側領域31の2つの領域に、スラリーは区画される。4本の冷却管24が、それほど大きくない間隔を隔てて配設されているため、2つの領域のスラリーは、完全に独立した動きをするわけではなく、かといって、相互に強い依存関係を有するわけでもない。2つの領域にあるスラリーは、隣接する4本の冷却管24の隙間を通って相互に拡散し合う弱い依存関係を有することになる。
ここでは、ガス噴出部25からの合成ガスは、上述の外側領域31に供給されている。そのため、外側領域31では、スラリーの上昇流が発生する。上昇流となったスラリーは、反応塔21内壁及び冷却管24に沿って、外側領域31を上昇する。この上昇中に主にFT合成により合成炭化水素が生成される。そして、気液界面付近にまで達したスラリーは、残った合成ガスや生成された合成炭化水素等を気液界面でスラリー中から放出し、スラリーの上昇流に押されるように隣接する4本の冷却管24の隙間を通って、内側領域32に侵入し、今度は、冷却管24に沿って下降流となり内側領域32を下降する。
尚、上述のように、外側領域31と内側領域32の2つの領域にあるスラリーは、相互に拡散し合う関係にあるため、スラリーの一部は、気液界面付近以外においても2つの領域間を相互に移動している。そのため、外側領域31は、スラリーが主に上昇する上昇領域となり、内側領域32は、上昇したスラリーが主に下降する下降領域となる。また、仮に、ガス噴出部25からの合成ガスを、内側領域32に供給した場合には、内側領域32の方が上昇領域となり、外側領域31が下降領域となる。
隣接する冷却管24は、所定間隔を隔てて配設されているが、10mm前後の間隔を隔てて配設するのが好ましい。また、隣接する冷却管24の間隔が、反応塔21内上部より反応塔21内下部の方が若干小さくなるように、鉛直方向から反応塔21の外周側へ少し傾けるようにして冷却管24を配設してもよい。スラリーの上昇流が、発生し安定するまでの初期段階では、外側領域と内側領域の相互の移動を抑制し、下降流からの干渉をあまり受けないようにするためである。
ここでは、上昇領域の水平断面積が下降領域の水平断面積よりも大きくなるように構成されている。これにより、反応が活発に行われている上昇領域にあるスラリーの体積が多くなる。つまり、触媒と合成ガスの接触時間が長くなることで反応効率が良くなる。
また、断面積の違いにより下降領域を下降するスラリーの流速は、上昇領域を上昇するスラリーの流速より大きくなるため、流速の大きい下降するスラリーが、下降領域から上昇領域に、反応塔21の底部に沿って流入する際に、上昇領域に対応する反応塔21の底部に堆積する虞のある触媒粒子を撹拌する。それにより、反応塔21の底部に触媒粒子が偏在することが抑制され、反応塔21内全体に均一に触媒粒子が分散することになり、高いCO転化率を得ることが可能となる。ここで、CO転化率とは、反応器17へ供給される合成ガス中のCOのモル数と反応器17のFT合成で利用されたCOのモル数の比である。
尚、スラリーが上昇する上昇流の流速は、合成ガスの供給量により調整することができ、5cm/秒程度が好ましい。
合成ガスが、ガス噴出部25から、反応塔21内のスラリーに気泡状にして供給されると、スラリー中で合成ガスの成分が触媒粒子と接触し、FT合成反応が行われ、ガス状の合成炭化水素が生成される。反応塔21内のスラリーは、上述のように、上昇流または下降流となって循環流動しているため、固体の触媒粒子が沈降して、反応塔21の底部に堆積または偏在するといったことが起きにくくなっている。そのため、触媒粒子は、循環流動するスラリー中に均一に分散され、そのことにより、FT合成が効率よく行われ、高いCO転化率を得ることができるようになっている。
また、FT合成反応は、発熱を伴う反応である。安定した反応を行うためには、除熱は重要である。上昇流または下降流の何れのスラリーも、冷却管24に沿って流動するため、反応熱の除去に偏りがなく、安定した反応が維持される。
上述のように、ここでは、冷却管24で形成される筒状の外側領域31に上昇領域が形成され、内側領域32に下降領域が形成されている。そのため、外側領域31を上昇するスラリーの方が、内側領域32を下降するスラリーより、冷却管24と接触する面積が大きくなっている。
スラリーの上昇流を外側領域31に発生させるために、合成ガスは反応塔21の底部であって外側領域31に供給されている。そのため、内側領域32と比較して、外側領域31のスラリー中でのFT合成反応の方が、活発に行われることになる。そして、それに伴い、反応による発熱量も外側領域31の方が多くなる。
しかし、外側領域31を上昇するスラリーの方が、内側領域32を下降するスラリーより、冷却管24と接触する面積が大きくなっているため、反応熱を効率よく除去することができ、それにより、反応が安定し、高いCO転化率を得ることができるようになっている。
冷却管24の下端とガス噴出口26との高さ位置の関係に関しては、特に制限はない。ただし、上述のように、ガス噴出口26からの合成ガスの噴出流により、反応塔21の底部に堆積或いは偏在する虞のある触媒粒子を分散するためには、ガス噴出口26は、冷却管24の下端より上方で反応塔21の底部に近いできるだけ低い位置に配置するのが好ましい。
また、合成ガスは、上昇領域に対応する領域に供給されるため、上昇領域に対応する領域にあるスラリーと合成ガスとは、エアリフト効果により上昇しながら混合し合う。その一方で、ガス噴出口26から吹き込まれる合成ガスの一部を、下降領域にあるスラリー中に冷却管24を下方から回り込むようにして補給する目的で、冷却管24の下端をガス噴出口26の上方の近い位置に配置するようにしてもよい。
更に、別実施形態を説明する。
図3(a),(b)に示すように、反応塔21の内部に、筒状を形成する第1の冷却管群27を複数形成し、各筒状で区画された外側領域31を区画する外側領域区画冷却管群としての第2の冷却管群28が反応塔21の軸心に沿う姿勢で所定間隔を隔て配設されるようにしてもよい。図3(a)では第1の冷却管群27が4つ形成され、外側領域21が第2の冷却管群28により4つに等分形成されている。図3(b)では第1の冷却管群27が5つ形成され、外側領域21が第2の冷却管群28で4つに分割されている。何れの態様でも、より冷却効果を高めるために、反応塔21内周側にさらに冷却管28Aを設けてもよい。
複数の第1の冷却管群27が形成する各筒状で区画された外側領域31を、第2の冷却管群28によりさらに区画した各外側領域31と、第1の冷却管群27が形成する各筒状で区画した各内側領域32とが、夫々スラリーが主に上昇する上昇領域、または上昇したスラリーが主に下降する下降領域となるため、同一の反応が複数並行して行われることになり、それにより、高いCO転化率を維持したまま、大量の合成ガスから合成炭化水素を合成することができるようになる。すなわち、スケールアップが容易である。
また、外側領域31は、第1の冷却管群27に加えて、第2の冷却管群28によっても冷却されることになるため、さらに効率よく反応熱を除去することができ、それにより、反応がいっそう安定し、より高いCO転化率が得られる可能性がある。
筒状を形成するように配設される冷却管の本数は4本に限るものではなく、筒状を形成する限り特に制限はない。
例えば、図4(a)に示すように、5本の冷却管24で筒状を形成してもよい。また、冷却管24同士の間隙を邪魔板29aで部分的に接続するようにしてもよい。部分的に接続された邪魔板29aは、冷却管24同士の間隙を規制する規制部材として設けられている。この規制部材は筒状を維持する補充部材としての役割を持つ。
また、図4(b)に示すように、冷却管24同士の間隙に邪魔管29bを挿入してもよい。
上昇領域あるいは下降領域となる外側領域31と内側領域32とを領域区画することは、筒状を形成するように所定間隔を隔てて冷却管24を配設するだけでなく、筒状を形成する冷却管24同士の間隙を規制する規制部材を設けることによっても実現でき、所定間隔に限定されずに冷却管の配置が可能になり、装置設計の自由度が増すことになる。
図5(a)に示すように、反応塔21の軸心に沿う姿勢で配置された冷却管24で構成される筒状が反応塔21の内部に複数構成される場合に、筒状を構成する冷却管24の一部が複数の筒状で兼用されるように配置されていてもよい。そして、隣接する筒状で区画される領域でスラリーの上昇領域と下降領域が交互に形成されるように構成してもよい。図中、表記「上」は上昇領域、表記「下」は下降領域を示す。
また、図5(b)に示すように、反応塔21の軸心に沿う姿勢で配置された冷却管24で構成される筒状が反応塔21の内部に複数配置され、各筒状の内側領域が下降領域に、外側が上昇領域になるように構成されていてもよい。図中、表記「上」は上昇領域、表記「下」は下降領域を示す。尚、図5(a),(b)の何れの態様も、上昇領域を下降領域に、下降領域を上昇領域に設定されていてもよい。また、両図とも反応塔21の断面形状が略方形形状である例を示しているが、断面形状は多角形や円形で構成されていればよく、特に限定されることはない。
(実験例)
実験に用いた装置は、図2(a),(b)に示した気泡塔型スラリー床反応装置17である。
合成ガスは、H/CO=1で、ガス流量4mN/hで供給した。溶媒として用いた液体炭化水素は、ポリアルファオレフィンであった。触媒は、鉄系のものを使用した。触媒量Wに対するガス流量Fの指標を示すW/Fはおおむね10とした。冷却管24同士の間隔は、10mmとした。反応温度を280℃、反応圧力を0.9MPaに夫々調整し、FT合成の実験を行った。
実験の結果、得られた合成炭化水素は軽油であり、FT合成におけるCO転化率は、96〜98%であった。
上述の実施形態では冷却部材として内部に冷却媒体を通す冷却管で説明したが、スラリーの冷却ができればどのような形態でもよく、例えば一端が冷却された棒状の熱伝導部材であってもよい。
上述の実施形態では、冷却管や反応塔は断面円形に構成された例を説明したが、円形に限らず、四角形や多角形、楕円等どのような形状であってもよい。
上述した様々な実施形態は、本発明による気泡塔型スラリー床反応装置の一具体例を説明したに過ぎず、当該記載により本発明の範囲が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
14:FT合成装置
15:圧縮機
16:ヒータ
17:反応器(気泡塔型スラリー床反応装置)
18:凝縮器
21:反応塔
22:合成ガス供給部
23:ガス排出部
24:冷却管(冷却部材)
24a:外管
24b:内管
25:ガス噴出部
26:ガス噴出口
27:第1の冷却管群
28:第2の冷却管群
29a:邪魔板(規制部材)
29b:邪魔管(規制部材)
31:外側領域
32:内側領域

Claims (6)

  1. 液体炭化水素中に固体の触媒粒子を懸濁させたスラリーを収容する反応塔と、
    前記反応塔の下部に配置され合成ガスを供給する合成ガス供給部と、
    前記反応塔の上部に配置され合成ガスから生成されたガス状炭化水素を排出するガス排出部と、
    前記反応塔の内部に配設された複数の冷却部材と、
    を備えている気泡塔型スラリー床反応装置であって、
    前記冷却部材が前記反応塔の軸心に沿う姿勢で、平面視で筒状の空間となる内側領域とその外側領域とを区画するように所定間隔を隔てて環状に配設された複数本の冷却管で構成され、前記スラリーが主に上昇する上昇領域が前記外側領域に形成され、上昇したスラリーが主に下降する下降領域が前記内側領域に形成されている気泡塔型スラリー床反応装置。
  2. 前記上昇領域と前記下降領域を区画形成する冷却管群が前記反応塔の内部に分散して複数配置されている請求項1記載の気泡塔型スラリー床反応装置。
  3. 前記上昇領域と前記下降領域を区画形成する冷群が前記反応塔の内部に複数配置され、各冷却管群で区画された前記外側領域を区画するように、前記反応塔の軸心に沿う姿勢で所定間隔を隔て配設された外側領域区画冷却管群を備えている請求項記載の気泡塔型スラリー床反応装置。
  4. 前記冷却管群より下方に前記合成ガス供給部が配置され、前記上昇領域に対応する領域に合成ガスが供給されるように前記合成ガス供給部にガス噴出部が形成されている請求項1から3の何れかに記載の気泡塔型スラリー床反応装置。
  5. 前記上昇領域の断面積が前記下降領域の断面積よりも大きくなるように構成されている請求項1から4の何れかに記載の気泡塔型スラリー床反応装置。
  6. 前記上昇領域と前記下降領域を区画形成する冷却管群を構成する冷却管同士の上下方向に形成される間隙を部分的に消失させる板状部材または管状部材が設けられている請求項1から5の何れかに記載の気泡塔型スラリー床反応装置。
JP2015068643A 2015-03-30 2015-03-30 気泡塔型スラリー床反応装置 Active JP6518480B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015068643A JP6518480B2 (ja) 2015-03-30 2015-03-30 気泡塔型スラリー床反応装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015068643A JP6518480B2 (ja) 2015-03-30 2015-03-30 気泡塔型スラリー床反応装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016188295A JP2016188295A (ja) 2016-11-04
JP6518480B2 true JP6518480B2 (ja) 2019-05-22

Family

ID=57239375

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015068643A Active JP6518480B2 (ja) 2015-03-30 2015-03-30 気泡塔型スラリー床反応装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6518480B2 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
IT1292422B1 (it) * 1997-06-26 1999-02-08 Agip Petroli Reattore a bolle con draft tube e procedimento per la rigenerazione del catalizzatore in esso contenuto
JP4731553B2 (ja) * 2004-05-10 2011-07-27 サソール テクノロジー(プロプライエタリー)リミテッド 膨張するスラリー床内への気体の反応物質からの液体のまた任意に気体の炭化水素の生成
US8013025B2 (en) * 2005-03-17 2011-09-06 Sasol Technology (Proprietary) Limited Method of operating a three-phase slurry reactor
JP2007197636A (ja) * 2006-01-30 2007-08-09 Nippon Steel Engineering Co Ltd 気泡塔型炭化水素合成反応器
EA017888B1 (ru) * 2007-09-27 2013-03-29 Ниппон Стил Инджиниринг Ко., Лтд. Реактор синтеза углеводородов типа барботажной колонны и содержащая его реакционная система синтеза углеводородов

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016188295A (ja) 2016-11-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5914638B2 (ja) メタノール合成のためのプロセス
JP5559966B2 (ja) 三相スラリー反応器を動作させる方法
JP5960249B2 (ja) ラジアル反応器におけるフィッシャー・トロプシュ法
RU2553897C2 (ru) Реактор с системой распределения газа в нижней части
WO2007086610A1 (en) Bubble column type hydrocarbon synthesis reactor
CN105983377A (zh) 气升式内环流浆态床反应器
JP5188895B2 (ja) メタノール合成反応器およびメタノール合成方法
US7232848B2 (en) Gas agitated multiphase reactor with stationary catalyst solid phase
CN103962069B (zh) 一种浆态床反应器
CN103962067B (zh) 一种用来进行浆态床反应的方法
RU2384603C1 (ru) Реакционная система с взвешенным слоем типа барботажной колонны для синтеза фишера-тропша
US20080146682A1 (en) Production of Liquid and, Optionally, Gaseous Products from Gaseous Reactants
JP6518480B2 (ja) 気泡塔型スラリー床反応装置
KR101031886B1 (ko) Ft 슬러리 기포탑 반응기의 반응열 제거용 혼합형 냉각장치
JP5312355B2 (ja) 反応器およびこれを用いた反応生成物製造方法
JP6537454B2 (ja) 反応器および反応方法
RU2369432C2 (ru) Реактор для проведения реакций с твердыми/жидкими/газообразными веществами
WO2014117725A1 (en) Slurry-bed reactor and method of use thereof
KR100986751B1 (ko) Ft 슬러리 기포탑 반응기의 반응열 제거용 다단분리형 냉각장치
US20060182673A1 (en) Apparatus for heterogeneous catalysed reactions
JP5296422B2 (ja) 合成油の製造装置及び合成油の製造方法
CN215277236U (zh) 一种用于费托合成的固定床反应器
RU68358U1 (ru) Реактор кипящего слоя
JPH0673625B2 (ja) 反応器
WO2014121722A1 (en) A slurry-bed reactor and method of use

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171215

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190129

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190329

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190416

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190422

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6518480

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150