JP4456947B2 - 気泡塔型フィッシャー・トロプシュ合成スラリー床反応システム - Google Patents

気泡塔型フィッシャー・トロプシュ合成スラリー床反応システム Download PDF

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Description

本発明は、水素と一酸化炭素から成る合成ガスから、懸濁したフィッシャー・トロプシュ合成触媒の存在下において、液体炭化水素生成物へ変換する気泡塔型スラリー床反応システム及び装置に関する。
フィッシャー・トロプシュ合成反応は、水素と一酸化炭素から成る合成ガスを固体触媒の存在下で反応させ、分子量分布が比較的広いパラフィンとオレフィンの炭化水素の混合物を与えるものである。特に、液体炭化水素は、クリーンな自動車燃料として注目されている。
フィッシャー・トロプシュ合成反応は、極めて発熱的であることを特徴としている。例えば、飽和炭化水素を合成する下記一般式(1)において、一酸化炭素lkgモル当りの発熱量が約40Mcalに達する。
Figure 0004456947
したがって、反応器から反応熱を効率良く除去することがフィッシャー・トロプシュ合成法による液体炭化水素を合成するプロセスの主たる課題のひとつである。
反応熱を除去しつつ、合成ガスから液体炭化水素を工業的に合成するフィッシャー・トロプシュ合成反応器のタイプとして、固定床熱交換型多管式反応器、固定流動床反応器、およびスラリー床反応器が提唱されている。ここで、スラリー床反応システムは、液体媒体と触媒粒子の懸濁物に合成ガスを導入する固体、液体、気体の3相が共存する流動反応システムであり、温度制御の均一性において他の固定床システムに比較して顕著に有利である。
スラリー床フィッシャー・トロプシュ合成反応システムでは、気泡塔型反応器を用いることが提唱され、反応器の底部から上昇する合成ガスのエネルギーにより触媒粒子はスラリーとして懸濁状態が維持される(例えば、特許文献1〜3参照。)。
固体、液体、気体の3相が共存する気泡塔型スラリー床反応システムの主たる課題のひとつは、3相スラリーから液体炭化水素生成物を効率よく分離導出することであり、反応器本体におけるろ過分離(例えば、特許文献3、4参照。)、反応器本体とは導管で連結した別容器におけるろ過分離(例えば、特許文献5参照。)あるいはハイドロサイクロン分離(例えば、特許文献6参照。)が提唱されている。
欧州特許第0,450,860号明細書 米国特許第6,348,510号明細書 米国特許第6,462,098号明細書 米国特許第5,844,006号明細書 米国特許第5,770,629号明細書 米国特許第6,121,333号明細書
しかしながら、上記特許文献3、4のような反応器本体におけるろ過分離の場合、スラリーから触媒と液体炭化水素生成物を分離するためのろ過手段としてフィルタが用いられているため、該フィルタでの触媒粒子の目詰まりが発生することは回避できない。そこで、多数のフィルタ分離導出経路を設けて、これらを交互に切り替えて分離導出を行いながら、目詰まりしたフィルタ分離導出経路から流体を逆流させて目詰まりした触媒粒子を取り除いている。そのため、どうしても分離導出にかかる操作システム及び装置機構が複雑とならざるを得なかった。また、目詰まりを繰り返す間に触媒粒子の粉化が生じ、性能劣化をきたすと共に安定的な運転が困難になる可能性があった。さらに、反応熱を効率良く除去するのに適したスラリー床反応器において、更に温度の均一性を図るために、コイル冷却管と下降管との組合せが開示されており、それによって反応器内の垂直軸方向の均等除熱が図られており、装置構成を一層複雑にしている。
また、上記特許文献5のような別容器におけるろ過分離の場合でも、スラリーから触媒と液体炭化水素生成物を分離するためのろ過手段としてフィルタが用いられている。そのため、フィルタでの触媒粒子による目詰まりに伴って起こり得る問題もそのままであった。また、反応熱を効率良く除去するのに適したスラリー床反応器であるが、その冷却機構については開示されていない。
更に、上記特許文献6のように、ハイドロサイクロン分離の場合、スラリーから触媒と液体炭化水素生成物を分離導出する際にポンプなどの外部動力を用いるため、触媒粒子に大きな負荷が加わり触媒粒子が粉化し性能劣化を招き、FT合成油の生産効率が低下するという問題があった。また外部動力に要するランニングコストが大きくコスト低減が困難であるという問題もあった。また、特許文献6でも反応熱を効率良く除去するのに適したスラリー床反応器であるが、その冷却機構については開示されていない。
以上、説明したように、気泡塔型スラリー床反応システムにおいて、気液固三相からなるスラリーから触媒と液体炭化水素生成物を分離導出する操作システムは複雑であり、よりシンプルな操作システムヘの改善が望まれている。また、垂直軸方向および半径方向に均一な温度分布に保持した状態でフィッシャー・トロプシュ合成反応により液体炭化水素を合成させるのは非常に重要であり、より均一な温度分布に保持した状態での合成反応が望まれている。
そこで、本発明は、このような課題を解決すべく、フィッシャー・トロプシュ合成反応により液体炭化水素を合成させ、気液固三相からなるスラリーから触媒と液体炭化水素生成物を分離導出する操作システムがシンプルで、かつ触媒粒子の粉化等による劣化を抑制することのできる気泡塔型スラリー床反応システム及び装置を提供することを目的とする。
本発明はまた、上記目的とは別に、あるいは上記目的に加えて、垂直軸方向および半径方向に均一な温度分布に保持した状態で、フィッシャー・トロプシュ合成反応により液体炭化水素を合成させることのできる気泡塔型スラリー床反応システム及び装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、気泡塔型スラリー床反応器(フィッシャー・トロプシュ合成反応器)と分離容器間のスラリー外部循環方法と、気泡塔型スラリー床反応器の冷却方法を鋭意検討し、本発明の気泡塔型スラリー床反応システムを得るに至った。
すなわち、本発明は、(1)水素と一酸化炭素から成る合成ガスと触媒粒子とが接触して液体炭化水素を製造するフィッシャー・トロプシュ合成反応システムにおいて、
(i)反応器の底部から連続的に供給する合成ガスと液体成分中に懸濁した触媒粒子が接触して液体炭化水素、気体炭化水素および水を生成する気泡塔型スラリー床フィッシャー・トロプシュ合成反応プロセスと、
(ii)該フィッシャー・トロプシュ合成反応プロセスで生成した液体生成物と触媒粒子とが懸濁したスラリーを、該反応器と分離容器の下部との間に設置した下降傾斜移送管により分離容器の下部へ移動し、触媒粒子と液体生成物を分離するプロセスと、
(iii)該フィッシャー・トロプシュ合成反応プロセスで生成した気体生成物を、該下降傾斜移送管の上部に設置した連結管により該分離容器の上部に移送してその頂部より導出するプロセスと、
(iv)該分離容器から触媒粒子の大部分が分離された液体生成物を導出するプロセスと、
(v)該分離容器の底部から触媒粒子が濃縮されたスラリーを導出して該反応器の底部へ循環するプロセスとを、
循環のための外部動力を用いることなしに、該反応器底部より導入されスラリー床反応器内を上昇する合成ガスの駆動力(エアリフト)により稼動せしめ、かつ、分離のための外部動力を用いることなしに、生成した液体炭化水素生成物と気体炭化水素生成物及び水を分離して導出することを特徴とする気泡塔型スラリー床反応システムである。
また、本発明は、(2)気泡塔型スラリー床反応器の上部から垂直に設置され、冷却媒体導入内管と熱交換外管からなる複数のバヨネット型冷却管によって該反応器内の温度を制御し、該反応器内の半径方向の均等除熱を可能とするプロセスを有することを特徴とする上記(1)に記載の気泡塔型スラリー床反応システムである。
本発明の気泡塔型スラリー床反応システムにおいて、反応器の圧力が1〜4MPaG、ガス空塔速度が0.05〜0.2m/秒である。該反応器から分離容器の下部へ導入された触媒粒子のうち、粒子径が20μm以上の触媒粒子の99%以上が該反応器へ循環されることとなる。
気泡塔型スラリー床反応器と下降傾斜移送管によって連結され、該反応器へ触媒濃縮スラリーを循環するスラリー導出管(スラリー循環経路)を有する本発明の分離容器において、該分離容器と反応器との間のスラリー導出管(スラリー循環経路)に設置された触媒濃縮スラリーの導出量調節弁、分離容器からの液体反応生成物導出管に設置された、触媒粒子の大部分が分離された液体反応生成物の導出量調節弁、および分離容器と反応器の上部気相空間部の間の連結管に設置された差圧調節弁とにより、該分離容器内の液体上昇速度が20μm触媒粒子の沈降速度の0.4倍以下に調節されることを特徴とする。
複数のバヨネット型冷却管によって該反応器内の温度を制御する本発明の反応管冷却プロセスにおいて、内管に水(例えば、ボイラー用水)を導入して反応器内の温度を210〜280℃に調節するとともに、冷却管外管出口から温度200〜270℃、圧力2〜6MPaGのスチームを得ることを特徴としている。
本発明はまた、(3)反応器の底部に設置したガス分散器から連続的に供給する合成ガスと懸濁した触媒粒子を接触させて液体炭化水素、気体炭化水素および水を生成させる気泡塔型スラリー床フィッシャー・トロプシュ合成反応器を備えてなるフィッシャー・トロプシュ合成反応装置において、循環のための外部動力を用いることなしに、該反応器の底部より導入されスラリー床反応器内を上昇する合成ガスの駆動力(エアリフト)により稼動せしめ、かつ、分離のための外部動力を用いることなしに、生成した液体炭化水素生成物と気体炭化水素生成物を分離して導出する循環分離機構を具備してなることを特徴とするフィッシャー・トロプシュ合成反応装置である。
上記循環分離機構としては、(i)前記反応器と、(ii)該反応器で生成した液体生成物と触媒粒子とが懸濁したスラリーを、該反応器と分離容器の下部との間に連結された下降傾斜移送管により移動し、触媒粒子と液体生成物を分離する分離容器と、(iii)該反応器で生成した気体生成物を、該下降傾斜移送管より上部に設置した連結管により該分離容器の上部に移送してその頂部より導出する気体生成物導出部と、(iv)該分離容器から液体生成物を導出する液体生成物導出部と、(v)該分離容器の底部から触媒粒子が濃縮されたスラリーを導出して該反応器の底部へ循環する循環経路部と、を有するものであることを特徴とする。上記循環分離機構においては、反応器内の反応圧力が1〜4MPaG、ガス空塔速度が0.05〜0.2m/秒の範囲に調節し得ることを特徴としている。また、上記循環分離機構においては、前記分離容器の下部へ導入された粒子径20μm以上の触媒粒子の99%以上が該反応器へ循環し得ることを特徴としている。更に、上記循環分離機構においては、前記循環経路部に設置された触媒濃縮スラリーの導出量調節弁、前記分離容器の液体生成物導出部に設置された液体反応生成物の導出量調節弁、および前記分離容器と反応器の上部気相空間部の間の連結管に設置された差圧調節弁により該分離容器内の液体上昇速度が粒子径20μmの触媒粒子の沈降速度の0.4倍以下の範囲に調節し得ることを特徴としている。
また、本発明は、(4)前記反応器内の温度を制御し、該反応器内の半径方向及び垂直軸方向の均等除熱を可能とする除熱機構を具備してなることを特徴とする上記(3)に記載のフィッシャー・トロプシュ合成反応装置である。
上記除熱機構としては、前記反応器の上部から垂直に設置されてなる、冷却媒体導入内管と熱交換外管からなる複数の冷却管を有し、反応器の上部の該内管入口から水を導入し、該内管を通り、該外管を反対方向に流れて、反応器の上部の該外管出口から流出させることで、反応器内の反応温度を210〜280℃に調節し得ると共に、該外管出口から温度200〜270℃、圧力2〜6MPaGのスチームを得るように調節し得ることを特徴としている。また、上記除熱機構においては、反応器内の温度の制御を該反応器内の反応温度の変動幅を±2℃の範囲で調整し得ることを特徴としている。
本発明の気泡塔型スラリー床反応システム及び装置によれば、循環のための外部動力を用いることなしに、該反応器底部より導入されスラリー床反応器内を上昇する合成ガスの駆動力(エアリフト)により稼動せしめ、かつ、分離のための外部動力を用いることなしに、生成した液体炭化水素生成物と気体炭化水素生成物を分離して導出することができるため、触媒粒子の粉化(物理的破壊)が起こりにくく、性能劣化を抑制することができる。また粉化が起こりにくいため、強度を重視した特定の触媒のみに制約されることもなく、利用可能なフィッシャー・トロプシュ合成触媒の中から高性能で安価なものを任意に選択使用することができる。また、循環状態の把握が可能で、且つ内部構造がシンプルであるほか、異常発生などに素早く対応できる。更に、トラブル時のメンテナンスが容易である。また、フィルタや外部動力を用いなくてもよく、装置構成及び操作システムをシンプルにでき、ランニングコストを低減することもできる。
本発明の気泡塔型スラリー床反応システム及び装置によれば、冷却媒体導入内管と熱交換外管からなる複数の冷却管によって該反応器内の温度を制御し、該反応器内の垂直軸方向に加え、更に半径方向の均等除熱も可能とするプロセスを有するため、反応器内を均等除熱することができる。その結果、反応器内の反応温度の変動幅を±2℃の範囲に調節することも可能である(実施例の表1参照のこと。)。
その結果、フィッシャー・トロプシュ合成反応により液体炭化水素を合成させ、気液固三相からなるスラリーから触媒と液体炭化水素生成物を分離導出する操作システムがシンプルな気泡塔型スラリー床反応装置を提供することができる。更に、触媒粒子と液体炭化水素生成物の密度差を利用して、触媒粒子の重力分離(沈降分離)を行うことで、気泡塔型スラリー床反応器の上部から分離容器の下部へ導入された触媒粒子のうち、粒子径が20μm以上の触媒粒子の99%以上を該反応器へ循環させることができる。よって、触媒粒子全量を粒子径が20μm以上のものを用いることで、触媒粒子の沈降分離(重力分離)だけで液体炭化水素生成物を簡単に分離導出できる。また、トラブル時のメンテナンスが容易である。更に、循環状態の把握が容易であるなどの利点を有する。
本発明の気泡塔型スラリー床反応システムを図1に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に用いる気泡塔型フィッシャー・トロプシュ(以下、FT)合成スラリー床反応装置の一例を示す概略構成図である。
図1のFT合成スラリー床反応装置1において、FT合成に適した水素/一酸化炭素モル比を有する合成ガスが、気泡塔型スラリー床FT合成反応器11の底部に設置されたガス分散器21から連続的に供給され、気泡となって反応器11の内部へ分散される。
ここで、FT合成に適した合成ガスの水素/一酸化炭素モル比は、1.9〜2.1であることが好ましい。水素/一酸化炭素モル比が上記範囲内であれば、略全量が上記一般式(1)のFT合成反応に供され、目的とする液体炭化水素生成物(FT合成油)への変換効率(FT合成油の生産効率)を高めることができる。なお、合成ガスの組成としては、水素及び一酸化炭素ガスのほか、実施例の表1で示すように、メタンガスなどの炭化水素ガスや窒素が含有されていても良い。さらに合成ガスの原料や製造条件によっては二酸化炭素が含まれている場合もあり、運転条件等によっては必要に応じて除去しても良い。
また、装置を運転するために必要な合成ガスの流量は、循環のための外部動力を用いることなしに、該反応器底部より導入されスラリー床反応器内を上昇する合成ガスの駆動力(エアリフト)により稼動せしめことができる流量であればよく、特に制限されるものではない。但し、後述するガス空塔速度条件などを満足し、反応器の大きさや内部の形状等に応じて反応器内を合成ガスが上昇する間、触媒粒子との接触による反応効率に優れるように、適宜決定するのが望ましい。また、ガス分散器から供給される混合ガスの気泡サイズも、同様の理由から、所望の合成ガス駆動力(エアリフト)が得られればよく、特に制限されるものではないが、後述するガス空塔速度条件などを満足するように適宜決定されることが望ましい。
また、ガス分散器21としては、反応器断面に対して均等に供給可能な形状であれば、従来公知のものを適宜利用することができるなど、特に制限されるものではない。
次に、分散された合成ガスは、反応器11の内部を上昇しながら媒体油中に懸濁した触媒粒子と接触し、液体炭化水素を含む反応生成物を生成させる。
反応器11の内部では、合成ガス、気体反応生成物および未反応ガスから成る気泡41、触媒および液体反応生成物から成るスラリー42が懸濁状態で流動している。反応器の運転条件は、圧力1〜4MPaG、温度210〜280℃、ガス空塔速度0.05〜0.20m/秒程度である。
前記ガス空塔速度条件における気泡41の攪拌的挙動に伴い、スラリー42は反応器の垂直軸及び半径方向に良好に混合される。本運転条件により、先に述べたFT合成反応の一般式(1)において、最大90%のCO転化率を可能とする。
ここで、初期仕込みされる媒体油には、液体炭化水素生成物(FT合成油)を用いるのが望ましい。但し、液体炭化水素生成物と共に導出された後、該液体炭化水素生成物の使用用途、更にはFT合成反応に影響を及ぼさない範囲内であれば、特に制限されるものではなく、触媒粒子を懸濁させてスラリーを形成することができるものであればよい。この初期仕込みされた媒体油は、連続操業する過程で、順次生成される液体炭化水素生成物(FT合成油)に置換される。
上記触媒については、粒子状であり、媒体油中に懸濁してスラリーを形成することが可能なものであれば、従来公知のフィッシャー・トロプシュ合成触媒を適宜利用することができる。詳しくは後述する。
上記反応器の運転条件のうち、反応圧力が1MPaG未満の場合には、触媒活性が不十分である可能性があり、4MPaGを超える場合には、反応器のコストアップ要因になる可能性がある。反応温度が210℃未満の場合には、触媒活性が不十分である可能性があり、280℃を超える場合には、使用する触媒にも依るが、FT合成反応に適当でない条件となることが多い。ガス空塔速度が0.05m/秒未満の場合には、気泡による攪拌的挙動が起こりにくくなり、スラリーの混合状態が不十分となる可能性があり、0.20m/秒を超える場合には、反応器内部のガス容積が大きくなり反応器のコストアップの要因になる可能性がある。また、上記運転条件下におけるスラリー中の触媒(固体成分)の濃度は、上記ガス空塔速度を満足することができれば特に制限されるものではなく、通常10〜40質量%、好ましくは20〜30質量%の範囲である。スラリー中の触媒濃度が10質量%未満の場合には、生産量に対して反応器が不必要に大きくなる可能性がある。40質量%を超える場合には、合成ガスにより充分な攪拌(分散)混合がなされにくくなり、FT合成反応が十分に起こりにくくなるおそれがある。上記反応器の運転条件は、後述するような反応器に設けた冷却管や各種調節弁、或いは合成ガス流量や触媒濃度などにより調節することができる。
次に、FT合成反応により生成した液体炭化水素と触媒粒子が懸濁したスラリー42は、反応器上部に設置された下降傾斜移送管25を経て分離容器12(の下部)に供給される。下降傾斜移送管25の傾斜角度は30〜45°が好ましく、スラリー移送速度は0.4〜1.6m/秒程度であることが好ましい。
なお、スラリー移送速度が0.4m/秒未満の場合には、触媒粒子の一部が管底に堆積し、スラリー循環が不安定となる可能性があり、反応器内部のスラリーの混合が不十分になる可能性がある。
図1では、分離容器12を1基設けた実施形態を示しているが、これに制限されるものではなく、複数基を設けても良い。但し、装置及び操作システムの簡素化の観点からは1基とするのがよい。同様に、反応器と分離容器間に下降傾斜移送管を1本設けた実施形態を示しているが、これに制限されるものではなく、複数本を設けても良い。但し、装置および操作システムの簡素化の観点からは1本で十分である。
次に、分離容器12の下部へ供給されたスラリーは、分離容器12内で触媒粒子と液体生成物の密度差により、触媒粒子の大部分ないし全量が分離された液体生成物43と触媒粒子濃縮スラリー44に重力分離される。液体生成物43は、分離容器12の液面を液面調節弁28により調節しながら、分離容器12の中間部(装置の安定稼動中の液面変動域よりも下側)に設置された導出管34(液体生成物導出部)より液体炭化水素の分離精製設備等の別プロセスへ送出される。重力分離された触媒粒子濃縮スラリー44は、スラリー循環経路27と流量調節弁26を経て反応器11の底部に循環され、FT合成反応触媒として再使用される。かかるスラリー循環速度は0.4〜1.6m/秒程度であることが好ましい。
反応器11の上部気相空間と分離容器12の上部気相空間は水平連結管23で連結し、さらに下降傾斜移送管25とは連絡縦管57で連結され、反応器11の上部気相空間と分離容器12の上部気相空間の圧力差は差圧調節弁24で調節される。反応器11、分離容器12および下降傾斜移送管25で分離された気体生成物と未反応合成ガスの気体成分は、分離容器12の頂上に設置された導出口33からシステム外に送出され、その流量は気体成分流出調節弁61により調節される。なお、上記連結管は、反応器で生成した気体生成物が、反応器と分離容器の気相部間に連結された配管を通って分離容器に移送されるものであればよい。従って、上記連結管は、図1に示す反応器11と分離容器12の間に水平に連結された配管(水平連結管23)のほか、傾斜して連結されていてもよいなど、特に制限されるものではない。
本発明の気泡塔型スラリー床反応システムが特徴とする触媒粒子と液体炭化水素生成物の分離方法は、分離容器12内の重力分離において、触媒粒子の大部分ないし全量が分離された液体生成物43の容器内上昇速度を粒子径20μmの触媒粒子における終末沈降速度の0.4倍以下に調節することであり、その結果、粒子径20μm以上の触媒粒子の分離効率99%以上を実現するものである。これにより、ろ過フィルタや動力を介さない為、触媒の粉化(物理的破壊)が起こりにくく、触媒の安定(長寿命化)につながる。そのため性能劣化の抑制及びコスト低減も実現できる可能性がある。
以上のことから、本発明では、分級などにより粒子径20μm以上の触媒粒子を使用するのが望ましいと言える。即ち、触媒粒子として粒子径20μm未満のものが多く含まれているような場合には、液体生成物の容器内上昇速度を上記のように調節しても、粒子径の小さな触媒粒子を重力分離することが困難であるためである。これにより、触媒粒子が重力分離(沈降分離)された液体生成物を導出できる。ただし、連続操業中には、極微量ではあるが触媒粒子が粉化するなどして液体生成物の導出液中に混入することが起こりえるため、液体生成物の導出口にフィルタを補助的に設けておいてもよい。
上記液体生成物43の容器内上昇速度は、調節弁24、26および28、実質的には低差圧稼動ボール弁であるスラリー循環流量調節弁26と液体生成物導出調節弁28の操作により調節され、分離容器12内での生成油(液体炭化水素生成物)の上昇速度は、粒子径20μmの触媒粒子における終末沈降速度の0.4倍以下に維持されることとなる。また、分離容器12内での生成油(液体炭化水素生成物)の上昇速度は、導出管34から導出する生成油の流量からわかる。ここで、分離容器12内での生成油(液体炭化水素生成物)の上昇速度が粒子径20μmの触媒粒子における終末沈降速度の0.4倍未満の場合には粒子径20μm以上の触媒粒子の分離効率99%以上を実現困難となる。すなわち、触媒粒子と液体炭化水素生成物を従来技術のようなろ過分離ではなく重力分離を用いて行うことが困難となるおそれがある。
上述のように、本発明の特徴は、反応器11の底部から供給された合成ガスの気泡がスラリー中を上昇するときに発生する駆動力(エアリフト)、および反応器11と分離容器12のそれぞれの内部に滞在する流体の密度差により、触媒粒子と液体生成物が懸濁したスラリーは、ポンプなどの外部動力を用いることなしに反応器11と分離容器12とを自然循環するものである。かかるスラリーの循環速度は、スラリー循環経路27の垂直部分に設置された低差圧稼動ボール弁26および流量計29により、0.4〜1.6m/秒程度に調節される。また、自然循環によるスラリー循環運転を行うことで、触媒粒子を摩耗・破砕させることなく、長期間の安定運転を可能とする気泡塔型スラリー床反応システムを提供するものである。さらに、本発明の気泡塔型スラリー床反応システムは、外部動力を用いることなしに液体炭化水素生成物を触媒粒子から分離導出するものであり、低運転コストの気泡塔型スラリー床反応システムを提供するものでもある。
本発明の気泡塔型スラリー床反応システムにおける流量調節方法をさらに詳しく述べる。
既に述べたように、スラリー循環流量は、循環経路27の垂直部に設置したスラリー循環流量調節弁26によりスラリー循環速度を0.4〜1.6m/秒程度となるように制御する。
かかるスラリー循環をさらに円滑とするために、エアレーション用ガス供給ノズル45を循環経路27に設置することが好ましい。エアレーション用ガスには、触媒活性を失活させるものでなければ、N、H、合成ガス等を用いることが可能である。供給ノズル45は必要に応じて循環経路27の複数箇所に設置することが好ましい。本エアレーション用ガスは、スラリー循環駆動力を増大せしめる為に定常的或いは間欠的に注入され、特に慣性抵抗が大きなスラリー循環開始時に重用する。
反応器11および分離容器12の間の水平連結管23には両塔間の差圧を制御する差圧調節弁24が設置される。差圧調節弁24には低差圧稼動ボール弁を用いる。流量調節弁24により、反応器11と分離容器12それぞれにおける液面の標高差を適切に保持し、安定したスラリーの自然循環運転を実現させる。また、水平連結管23および下降傾斜移送管25は、連絡縦管57により接続する。本縦管57は、反応器11側のスラリー液面の過度な上昇により、水平連結管23から分離容器12へスラリーがオーバーフローすることを防止し、且つ下降傾斜移送管25へ混入した気泡を気液分離する効果を持ち、これにより分離容器12における触媒粒子、液体生成物および気体成分の重力分離を促進する。
本発明の気泡塔型スラリー床反応システムにおいて用いられるFT合成触媒は、粒子状であり媒体油中に懸濁してスラリーを形成可能なものであり、例えば、コバルトあるいはルテニウム系の触媒が好ましく用いられる。該FT合成触媒の粒子径は、20μm以上、好ましくは平均粒子径で50〜150μmの範囲である。
本発明の気泡塔型FT合成スラリー床反応システムにおいて、FT合成反応に伴う大きな発熱量を除去するために、伝熱管22を反応器11の内部に挿入している。伝熱管による冷却方法としては、特に制限されるものではないが、図1では、温度分布制御に優れたバヨネット型冷却管としている。図1に示す実施形態では、反応器内の温度を制御し、更に該反応器内の半径方向及び垂直軸方向の均等除熱を可能とすべく、冷却媒体導入内管と熱交換外管からなる複数のバヨネット型冷却管を反応器の上部から垂直に設置している。その構造は、外管51および内管52から成り、それぞれのチューブシート53、54上に適当なピッチ(好ましくは三角ピッチ)で配置され、ボイラー用水入口31およびボイラー用水とスチームの出口32を持つ。チューブ内部にはボイラー用水入口から冷却水が内管ヘッダ55を経て各チューブの内管52に供給され、外管51を通過する際にFT合成反応の発熱量によりボイラー用水の一部からスチームが発生し、スチームと水の混相流体は外管ヘッダ56を経て出口32より送出され、発生したスチームはプラントスチームとして回収される。運転条件は、圧力2.0〜6.0MPaG、温度200〜270℃となり、FT合成反応による発熱量を除去することでボイラー用水から発生するスチームの割合は5〜10wt%が好適である。本バヨネット型冷却管は、FT合成反応に伴う大きな発熱量(約40Mcal/kgmol−CO)を効率良く除去し、反応器内温度分布の均一制御を可能とし、安定運転を実現させる。また、構造的特徴としてチューブ下方に自由度があるため運転時における冷却管の熱伸び問題を考慮する必要がない。ボイラー用水から発生するスチームの割合を5〜10wt%とする運転により垂直管二相流となる外管内部での流動様式を環状・噴霧流に漸近させることで冷却管の振動を防止し、安定運転を可能とする。
ここで、冷却装置部の運転条件は、冷却管内管に水(例えば、ボイラー用水)を導入して、冷却管外管出口から圧力2.0〜6.0MPaG、温度200〜270℃のスチームが得られるようにするのが望ましい。併せて反応器内の温度を210〜280℃に調節することが望ましい。特に上記したバヨネット型冷却管を用いた場合、これによる反応器内の温度の制御は、該反応器内の反応温度の変動幅を±5℃、好ましくは±2℃の範囲で安定して行うことができる(後述する実施例の表1参照のこと。)。
なお、本発明の気泡塔型スラリー床反応システムにおいて用いられる反応器と分離容器との位置関係については、両容器の大きさが異なることなどから一義的に規定することは困難であるが、図1に示すように、反応器11と分離容器12の気相部が連結管23のような配管で連結していて、スラリーが移送管25により分離容器12の下部に移動するといったように本願発明の作用効果を損なわない範囲内であれば、スラリー循環が可能な位置関係であればよく、特に制限されるものではない。
以下、本発明の実施例を説明する。
[実施例1]
反応装置としては、図1に示すものを用いた。
合成ガスの供給量を250Nm/時(100%ロード)とし、反応圧力を2200kPaG、反応温度を240℃(±2℃)に制御してFT合成反応による液体炭化水素を製造した。結果を表1に示す。反応器内の反応温度を上記温度範囲に調節すると共に、複数のバヨネット型冷却管の内管にボイラー用水を導入して、冷却管外管出口から温度231℃、圧力2735kPaGのスチームが得られるように調節した。また、本運転条件により、FT合成反応におけるCO転化率は62%であった。
ガス空塔速度0.15m/秒となる条件において、反応器内部の温度分布は、反応器の垂直軸方向に温度差が2℃以下となる均一な温度分布を示しており、FT合成反応による発熱をバヨネット型冷却管によって効率良く除去されていることが確認された。実施例1の条件により、FT合成油(液体炭化水素)を5.0Barrel/日製造した。
[実施例2]
実施例1と同様の反応装置を用い、合成ガスの供給量を100Nm/時(40%ロード)とし、反応圧力を2200kPaG、反応温度を230℃に制御してFT合成反応による液体炭化水素を製造した。結果を表1に示す。反応器内の反応温度を上記温度範囲に調節すると共に、複数のバヨネット型冷却管の内管にボイラー用水を導入して、冷却管外管出口から温度226℃、圧力2450kPaGのスチームが得られるように調節した。また、本運転条件により、FT合成反応におけるCO転化率は89%であった。
ガス空塔速度0.06m/秒となる条件において、反応器内部の温度分布は、反応器の垂直軸方向に1℃以下となる均一な温度分布を示しており、FT合成反応による発熱をバヨネット型冷却管によって効率良く除去されていることが確認された。実施例2の条件により、FT合成油(液体炭化水素)を2.6Barrel/日製造した。
Figure 0004456947
なお、表1中の反応器の温度は、反応器内の各所に設けられた温度センサの値を表すものである。ただし、上部、中上部、中間部、中下部の欄に示す2つの値は、反応器の同一平面内に設けた複数(2個)の温度センサの値を表したものである。温度センサの垂直軸方向の取付位置(上部A、中上部B、中間部C、中下部D、下部E;EL=0mm)を図1に示す。また、冷却管は、三角ピッチで7本を配置した。
本発明に用いる気泡塔型フィッシャー・トロプシュ合成スラリー床反応装置の一例を示す概略構成図である。
符号の説明
1 FT合成反応装置、
11 気泡塔型スラリー床FT合成反応器、
12 分離容器、
21 ガス分散器、
22 伝熱管、
23 水平連結管、
24 差圧調節弁、
25 下降傾斜移送管、
26 スラリー循環流量調節弁(低差圧稼動ボール弁)、
27 スラリー循環経路、
28 液面調節弁、
29 流量計、
31 ボイラー用水入口、
32 ボイラー用水とスチーム出口、
33 気体成分導出口、
34 液体炭化水素導出管、
41 気泡、
42 スラリー、
43 液体生成物、
44 触媒粒子濃縮スラリー、
45 エアレーション用ガス供給ノズル、
51 外管、
52 内管、
53 チューブシート、
54 チューブシート、
55 内管ヘッダ、
56 外管ヘッダ、
57 連絡縦管、
61 気体成分流出調節弁。

Claims (9)

  1. 水素と一酸化炭素から成る合成ガスと触媒粒子とが接触して液体炭化水素を製造するフィッシャー・トロプシュ合成反応システムにおいて、
    (1) 反応器の底部から連続的に供給する合成ガスと懸濁した触媒粒子が接触して液体炭化水素、気体炭化水素および水を生成する気泡塔型スラリー床フィッシャー・トロプシュ合成反応プロセスと、
    (2) 該フィッシャー・トロプシュ合成反応プロセスで生成した液体生成物と触媒粒子とが懸濁したスラリーを、該反応器からの下降傾斜移送管により分離容器の下部へ移動し、触媒粒子と液体生成物を分離するプロセスと、
    (3) 該フィッシャー・トロプシュ合成反応プロセスで生成した気体生成物を、該下降傾斜移送管より上部に設置した連結管により該分離容器の上部に移送してその頂部より導出するプロセスと、
    (4) 該分離容器から液体生成物を導出するプロセスと、
    (5) 該分離容器の底部から触媒粒子が濃縮されたスラリーを導出して該反応器の底部へ循環するプロセスとを、
    循環のための外部動力を用いることなしに、該反応器底部より導入されスラリー床反応器内を上昇する合成ガスの駆動力(エアリフト)により稼動せしめ、かつ、分離のための外部動力を用いることなしに、生成した液体炭化水素生成物と気体炭化水素生成物及び水を分離して導出することを特徴とする気泡塔型スラリー床反応システムであって、
    前記反応器と下降傾斜移送管によって連結され、該反応器へ触媒粒子濃縮スラリーを循環するスラリー循環経路を有する分離容器において、
    該分離容器と反応器との間のスラリー循環経路に設置された触媒濃縮スラリーの導出量調節弁、分離容器からの液体反応生成物の導出量調節弁、および分離容器と反応器の上部気相空間部の差圧調節弁により、該分離容器内の液体上昇速度が粒子径20μmの触媒粒子の沈降速度の0.4倍以下とすることを特徴とする気泡塔型スラリー床反応システム。
  2. 前記反応器の上部から垂直に設置され、冷却媒体導入内管と熱交換外管からなる複数の冷却管によって該反応器内の温度を制御し、該反応器内の半径方向の均等除熱を可能とするプロセスを有することを特徴とする請求項1に記載の気泡塔型スラリー床反応システム。
  3. 前記フィッシャー・トロプシュ合成反応プロセスにおいて、反応器の圧力が1〜4MPaG、反応器内のガス空塔速度が0.05〜0.2m/秒であることを特徴とする請求項1または2に記載の気泡塔型スラリー床反応システム。
  4. 前記複数の冷却管によって該反応器内の温度を制御するプロセスにおいて、
    冷却管内管に水を導入して反応器内の温度を210〜280℃に調節すると共に、冷却管外管出口から温度200〜270℃、圧力2〜6MPaGのスチームを得ることを特徴とする請求項2または3に記載の気泡塔型スラリー床反応システム。
  5. 反応器の底部に設置したガス分散器から連続的に供給する合成ガスと懸濁した触媒粒子を接触させて液体炭化水素、気体炭化水素および水を生成させる気泡塔型スラリー床フィッシャー・トロプシュ合成反応器を備えてなるフィッシャー・トロプシュ合成反応において、
    循環のための外部動力を用いることなしに、該反応器の底部より導入されスラリー床反応器内を上昇する合成ガスの駆動力(エアリフト)により稼動せしめ、かつ、分離のための外部動力を用いることなしに、生成した液体炭化水素生成物と気体炭化水素生成物を分離して導出する循環分離機構を具備してなり、
    前記循環分離機構が、(1) 前記反応器と、
    (2) 該反応器で生成した液体生成物と触媒粒子とが懸濁したスラリーを、該反応器と分離容器の下部との間に連結された下降傾斜移送管により移動し、触媒粒子と液体生成物を分離する分離容器と、
    (3) 該反応器で生成した気体生成物を、該下降傾斜移送管より上部に設置した連結管により該分離容器の上部に移送してその頂部より導出する気体生成物導出部と、
    (4) 該分離容器から液体生成物を導出する液体生成物導出部と、
    (5) 該分離容器の底部から触媒粒子が濃縮されたスラリーを導出して該反応器の底部へ循環する循環経路部と、を有するものであることを特徴とするフィッシャー・トロプシュ合成反応装置であって、
    前記循環分離機構において、前記循環経路部に設置された触媒濃縮スラリーの導出量調節弁、前記分離容器の液体生成物導出部に設置された液体反応生成物の導出量調節弁、および前記分離容器と反応器の上部気相空間部の間の連結管に設置された差圧調節弁により該分離容器内の液体上昇速度が粒子径20μmの触媒粒子の沈降速度の0.4倍以下の範囲に調節されることを特徴とするフィッシャー・トロプシュ合成反応装置。
  6. 前記循環分離機構において、反応器内の反応圧力が1〜4MPaG、ガス空塔速度が0.05〜0.2m/秒の範囲に調節されることを特徴とする請求項に記載のフィッシャー・トロプシュ合成反応装置。
  7. 前記反応器内の温度を制御し、該反応器内の半径方向及び垂直軸方向の均等除熱を可能とする除熱機構を具備してなることを特徴とする請求項5または6に記載のフィッシャー・トロプシュ合成反応装置。
  8. 前記除熱機構が、前記反応器の上部から垂直に設置されてなる、冷却媒体導入内管と熱交換外管からなる複数の冷却管を有し、
    反応器の上部の該内管入口から水を導入し、該内管を通り、該外管を反対方向に流れて、反応器の上部の該外管出口から流出させることで、反応器内の反応温度を210〜280℃に調節すると共に、該外管出口から温度200〜270℃、圧力2〜6MPaGのスチームを得るように調節されることを特徴とする請求項に記載のフィッシャー・トロプシュ合成反応装置。
  9. 前記除熱機構による反応器内の温度の制御が、該反応器内の反応温度の変動幅を±2℃の範囲でなされることを特徴とする請求項またはに記載のフィッシャー・トロプシュ合成反応装置。
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