JPH10215871A - 植物プロモーター - Google Patents
植物プロモーターInfo
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- JPH10215871A JPH10215871A JP9020639A JP2063997A JPH10215871A JP H10215871 A JPH10215871 A JP H10215871A JP 9020639 A JP9020639 A JP 9020639A JP 2063997 A JP2063997 A JP 2063997A JP H10215871 A JPH10215871 A JP H10215871A
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Abstract
物プロモーターの提供。 【解決手段】ワタ繊維組織において、ワタ繊維伸長時に
発現するワタ遺伝子、pKC22の上流に位置する単離
された植物プロモーターであって、特定の塩基配列から
なるDNA、該DNAにおいて、1もしくは複数のDN
Aが欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、
または、該DNAとストリンジェントな条件下でハイブ
リダイズし、かつ、植物プローモーターとして作用する
能力を有するDNAである植物プロモーター。該植物プ
ロモーターをベクターに導入した植物発現ベクター。該
植物発現ベクターを植物細胞に導入した形質転換植物細
胞。該形質転換植物細胞から再生された形質転換植物体
およびこれらから植物種子を得る方法、ならびに該種子
から植物体を生産する方法。
Description
モーター機能を有する植物プロモーターに関するもので
ある。さらに、詳しくはワタ繊維などの発現の調節を行
う植物プロモーターに関する。該植物プロモーター機能
を有する塩基配列は、真核生物または原核生物において
も外来遺伝子の発現を調節することが可能である。
NA合成を開始するDNA上のシグナルであり、特徴的
な塩基の共通配列を有する。特に、真核生物においては
転写開始点の20塩基前後上流に、TATAボックスと
呼ばれる共通配列があり、この部位が転写開始に必要な
部位であると考えられている。目的の蛋白質を大量に産
生させるためには、より強力なプロモーターを用いるこ
とが有利であると考えられている。一般に、植物ではそ
の活性が強いということから、カリフラワーモザイクウ
イルス、CaMVの35Sプロモーターがよく利用され
ている。実際に、除草剤耐性植物の作出やウイルス抵抗
性植物の作出に用いられている。しかし、35Sプロモ
ーターには組織特異性がなく、目的によっては組織特異
性が要求されることがある。植物組織特異性をもつプロ
モーターとしては、シス因子、トランス因子の研究が行
われている。植物組織特異性をもつプロモーターを用い
ると、所望の器官において、導入した遺伝子の発現を調
節できる形質転換植物体を作出することができる。
属に属するワタ植物を栽培し、得られたさく果(コット
ンボール)から採取することにより生産されている。ワ
タ繊維において、繊維特性を示す特性値は種々あるが、
特に重要なものとして、繊維長、繊度、強度などがあげ
られる。従来から、ワタ繊維の特性を改善するために多
大な努力がなされてきた。今日、遺伝子工学の発展によ
り、ワタ植物を形質転換して、その繊維特性を変えるこ
とが可能となってきている。その際に、目的遺伝子を所
望の時期および組織において発現させることは非常に重
要なことである。しかし、ワタ繊維の形成および伸長機
構については十分に解明されておらず、関与する遺伝子
やプロモーターも十分に分かっていないのが現状であ
る。目的の遺伝子を目的の組織または時期に発現させる
には、CaMV35Sプロモーターのように常に発現し
ているものではなく、より特異的なプロモーターを用い
る必要がある。特にワタ繊維の改良にはこうしたプロモ
ーターが欠かせない。
長したものであり、1本の繊維は1つの細胞よりできて
いる。繊維はイニシエーション、エロンゲーション、二
次壁沈着、マチュレーションの段階を経て形成される。
これまでにいくつかのワタ由来のプロモーターが発見さ
れ、繊維特異性を改善するのに有用であると報告されて
おり(WO 94/12014)、E6またはB8プロモーターが開
示されている。特に、E6について詳しく研究されてお
り、E6mRNAは開花後、15日以降で繊維に強く発
現していることが示されている。また、ノザンブロティ
ングをロングエクスポーズすると花や胚珠、葉に弱いシ
グナルが得られている(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 8
9, 5769-5773, 1992)。さらにFbL2Aプロモーター
は綿繊維で開花後25日から30日に強く発現すること
が示されている(Plant Physiol.(1996)112:1331-1341)
。また、プロモーターの強さ、働く時期などはそれぞ
れのプロモーターによって、様々に異なっていることが
知られている。しかし、開花15日以降はワタの繊維形
成において、エロンゲーションの後半以降にあたり、繊
維特性の改善には、これらのプロモーターだけでは十分
ではなく、開花直後から15日迄に発現するプロモータ
ーも必要である。しかしながら、このようなプロモータ
ーは未だ発見されていない。
は、ワタ繊維の繊維特性を改善するために有用なプロモ
ーターを提供することにある。さらには、他の植物にお
いても、目的の遺伝子を所望の組織または器官で発現さ
せる新規な形質転換植物体を提供することにある。
ワタ繊維の繊維特性を改善あるいは生産性を向上させる
ために鋭意研究して、ワタ繊維よりいくつかのcDNA
を単離した(特願平8-31987 号) 。これらの単離したc
DNAの時期および組織特異的な発現を調べ、さらに、
これらの遺伝子の1つ、pKC22の上流配列をクロー
ニングし、解析した結果、ワタ繊維の繊維特性を改善あ
るいは生産性を向上させる植物プロモーターを見出し、
本発明に到達した。
又は(c)のDNAを含む植物プロモーターである。 (a)配列番号1記載の塩基配列からなるDNA (b)(a)の塩基配列からなるDNAにおいて、1も
しくは複数のDNAが欠失、置換もしくは付加された塩
基配列からなり、かつ、植物プロモーターとして作用す
る能力を有するDNA (c)(a)の塩基配列からなるDNAとストリンジェ
ントな条件下でハイブリダイズし、かつ、植物プロモー
ターとして作用する能力を有するDNA
クターに導入した植物発現ベクターである。
宿主植物細胞に導入した形質転換植物細胞である。
再生された形質転換植物体である。
植物種子である。
植物発現ベクターを宿主植物細胞に導入して形質転換植
物細胞を得、該形質転換植物細胞から形質転換植物体を
再生し、得られた形質転換植物体より植物種子を得、該
種子から植物体を生産することを特徴とする植物体の製
造法である。
は、植物において、プロモーターとして作用する能力
(プロモーター機能)を有するDNAである。「プロモ
ーター」とは、DNAを鋳型にmRNA合成(転写)を
開始するDNA上の特定塩基配列を意味し、塩基の共通
配列を持ち、これを認識してmRNAを合成する酵素
(RNAポリメラーゼ)がmRNAを合成する。本発明
において、「プロモーター機能」とは、DNAポリメラ
ーゼがDNA上の特異的な領域に結合し、転写開始する
作用をいう。本発明の植物プロモーターは、具体的に
は、以下の(a)、(b)又は(c)のDNAを含む。 (a)配列番号1記載の塩基配列からなるDNA (b)(a)の塩基配列からなるDNAにおいて、1も
しくは複数のDNAが欠失、置換もしくは付加された塩
基配列からなり、かつ、植物プロモーターとして作用す
る能力を有するDNA (c)(a)の塩基配列からなるDNAとストリンジェ
ントな条件下でハイブリダイズし、かつ、植物プロモー
ターとして作用する能力を有するDNA
本発明者らはノザンブロッティングで開花後10日の胚
珠で強いシグナルが得られた遺伝子、pKC22(特願
平 8-31987号) の上流領域をクローニングした。これま
でにノザンブロッティングにより、pKC22は開花1
0日目の胚珠に最も強いシグナルが表れ、胚珠が成熟す
るに従ってシグナルが弱くなっていること、わずかなシ
グナルが幼植物体でみとめられ、完熟種子、葉でシグナ
ルが見られないことより、pKC22の上流領域には繊
維伸長時に働くプロモーターが存在すると予測できる。
したがって、本発明の植物プロモーターは、その塩基配
列(配列番号1)が、ワタ(Gossypium属)由来のヌクレ
オチド配列である。さらに、配列番号1記載の塩基配列
は、ワタ繊維伸長前期に、ワタ繊維組織において発現す
るpKC22の上流に位置する塩基配列である。
記載の塩基配列からなるDNAにおいて、1もしくは複
数のDNAが欠失、置換もしくは付加された塩基配列か
らなり、かつ、植物プロモーターとして作用する能力を
有するDNAである。本発明の植物プロモーターには、
配列番号1記載の塩基配列の3’末端に、翻訳効率を上
げる塩基配列などを付加したものや、5’末端をプロモ
ーター活性が有るかぎり、欠失したものが含まれる。
列番号1記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェ
ントな条件下でハイブリダイズし、かつ、植物プロモー
ターとして作用する能力を有するDNAである。ここ
で、ストリンジェンな条件とは、×2SSC(300m
M NaCl、30mMクエン酸)、42℃である。
植物プロモーターをベクターに導入したものであり、ベ
クターとしては、大腸菌由来のベクター、例えば、pT
7Blueベクター、β−グルクロニダーゼ遺伝子(G
US)を含むプラスミド、pBI101−Hm2、シャ
トルベクター、ヘルパープラスミド、pRK2013な
どが挙げられる。また、植物ウイルス、例えばカルフラ
ワーモザイクウイルスを利用することもできる。ベクタ
ーはそれぞれの宿主細胞に応じて選択する。植物プロモ
ーターをベクターに導入する方法は、通常の遺伝子をベ
クターに導入する方法に従う。
植物発現ベクターを宿主植物細胞に導入した形質転換植
物細胞である。宿主植物細胞としては、シロイヌナズナ
Wassilewskija株、トマト、タバコ、ペチュニア、コム
ギ、イネ、トウモロコシ、カボチャ、キュウリ、ワタな
どが挙げられる。植物発現ベクターを宿主植物細胞に導
入する形質転換法としては、エレクトロポレーション
法、プロトプラスト融合法、マイクロインジェクション
法 、ポリエチレングリコール法あるいはパーティクル
ガン法などを挙げることができる。
質転換植物細胞から再生された形質転換植物体である。
再生方法としては、カルス状の形質転換細胞をホルモン
の種類、濃度を変えた培地へ移して培養し、不定胚を形
成させ、完全な植物体を得る方法がある。使用する培地
としては、ワタではMSIC培地(MS塩、0.75% MgCl 2,
1.9g/l KNO3, 30g/l グルコース、2.0g/l ジェランガ
ム、 pH5.8) 、ニンジンでは Kamada & Harada培地など
が例示される。
記植物プロモーターを挿入した植物発現ベクターを宿主
細胞に導入して植物細胞を得、該植物細胞から形質転換
植物体を再生し、得られた形質転換植物体より植物種子
を創成し、該種子から植物体を生産する工程を含む。形
質転換植物体から植物種子を創成する工程とは、形質転
換植物体を発根培地より取り出し、水を含んだ土を入れ
たポットに植え、一定温度下で生育させる。生育が続
き、花を形成し、最終的に種子が形成される工程とい
う。また、種子から植物体を生産する工程とは、形質転
換植物体上で形成された種子が成熟したところで、単離
して、水を含んだ土に播種し、一定温度、照度下で生育
させることにより、植物体を生産する工程をいう。
程が例示される。 (1) ワタ繊維組織特異的遺伝子、pKC22の上流領域
のクローニング (2) β−グルクロニダーゼ遺伝子(GUS遺伝子)との
融合 (3) プラスミドのアグロバクテリウムへの導入 (4) 無菌シロイヌナズナの栽培 (5) アグロバクテリウムの感染 (6) 除菌 (7) 形質転換植物の選択 (8) 形質転換植物の再生 (9) 抗生物質耐性株の取得 (10) GUS活性の測定
遺伝子のプロモーター領域の単離 ワタ繊維から得られた組織特異的遺伝子、pKC22
(特願平8-31987 号) の塩基配列より、合成オリゴヌク
レオチドを作製し、インバースPCR法を行う。ワタ繊
維よりゲノムDNAを抽出した後、制限酵素、EcoRIで
切断し、セルフライゲーションさせた後、PCRの鋳型
として使用する。第1プライマー群を用いて、PCRを
行った後、反応産物をさらに第2プライマー群を用いて
PCRを行い、上流領域をクローニングする。アガロー
スゲル電気泳動で目的の長さのクローンを得た後、TA
クローニングベクターにサブクローニングして、オート
シークエンサーを用いて配列決定を行う。得られたPC
R断片の配列の一部がpKC22の配列と完全に一致し
たことから、pKC22の上流(植物プロモーター)と
判断する。
伝子のプロモーター領域の利用 上記方法により得た植物プロモーターを、ワタ植物また
はワタ以外の植物において、キメラ遺伝子コントラクト
をつくり、繊維形成および伸長に関与するタンパクの発
現制御に利用することができる。さらに、シグナルペプ
チドをコードするDNA配列とも組み合わせると、細胞
壁での各種タンパクの発現による細胞壁成分の改変が可
能となり、耐病性等を付与した新規植物の育種にも応用
できる。
伝子を本発明の植物プロモーターに接続して、ワタ植物
または他の植物に導入すると、目的タンパクの含量を増
大させることができる。これに対し、マイナス鎖(コー
ド配列に相補的な配列)の少なくとも一部を逆向きにプ
ロモーターに接続したものを植物に導入し、いわゆるア
ンチセンスRNAを発現させると、目的タンパク含量を
低下させることができる。
入と宿主植物細胞の形質転換 植物細胞の形質転換方法としては、プロトプラストに電
気パルス処理してプラスミドを植物細胞へ導入するエレ
クトロポレーション法や、小細胞、細胞、リソソーム等
とプロトプラストとの融合法、マイクロインジェクショ
ン法、ポリエチレングリコール法、あるいは、パーティ
クルガン法等の方法を挙げることができる。また、植物
ウイルスをベクターとして利用することによって、該目
的遺伝子を植物体に導入することができる。利用する植
物ウイルスとしては、例えばカリフラワーモザイクウイ
ルス(CaMV)を用いることができる。すなわち、ま
ず、ウイルスゲノムを一旦、大腸菌由来のベクターなど
に挿入して組換え体を調製した後、ウイルスのゲノム中
にこれらの目的遺伝子を挿入する。このようにして修飾
されたウイルスゲノムを制限酵素により該組換え体から
切り出し、植物体に接種することによって、これらの目
的遺伝子を植物体に挿入することができる〔ホーン(Ho
hn)ら、モレキュラー・バイオロジー・オブ・プラント
・チューモアーズ(Molecular Biology of Plant Tumor
s)、アカデミック・プレス、ニューヨーク(Academic P
ress、New York)、第 549〜560 頁(1982)、米国特許第
4,407,956号〕。
ミドを利用する方法がある、アグロバクテリウム属に属
する細菌が植物に感染すると、それが持っているプラス
ミドDNAの一部を植物ゲノム中に移行させるという性
質を利用して、これらの目的遺伝子を植物体に導入する
こともできる。アグロバクテリウム属に属する細菌のう
ち、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacte
rium tumefaciens) は植物に感染してクラウンゴールと
呼ばれる腫瘍を、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agr
obacteriumu rhizogenes) は植物に感染して毛状根を引
き起こすが、これらは感染の際にTiプラスミドまたは
Riプラスミドと呼ばれる、それぞれの細菌中に存在す
るプラスミド上のT−DNA領域(Transferred DNA)と
呼ばれる領域が植物中に移行し、植物のゲノム中に組み
込まれることに起因する。さらに、TiまたはRiプラ
スミド上にはT−DNA領域が植物中に移行し、植物の
ゲノム中に組み込まれるために必須であるvir領域と
言われる領域がある。vir領域自身は、植物中に移行
されることはなく、またこのvir領域はT−DNA領
域が存在するのと異なったプラスミド上にあっても機能
しうる〔Nature, 303, 179, (1983)〕。
領域中に、植物ゲノム中に組込みたいDNAを挿入して
おけば、アグロバクテリウム属の細菌が植物体に感染す
る際に目的とするDNAを植物ゲノム中に組込むことが
できる。ここで、TiまたはRiプラスミドのT−DN
A中のクラウンゴール、又は毛状根を引き起こす部分
を、目的とする移行機能を損なうことなく取り除き、得
られたものをベクターとして使用することもできる。本
発明においてはこのような種々のベクターを用いること
ができる。例えば、バイナリーベクターと呼ばれるpB
I101(クロンテック社)等のベクターに、本発明の
プロモーターに繊維形成および伸長に関与する遺伝子を
センスまたはアンチセンス方向で接続したものを挿入し
て、これらを植物細胞に導入することができる。なお、
これらのベクターは前出のvir領域を有しておらず、
該ベクターを導入して用いるアグロバクテリウム属の細
菌は、vir領域を有している他のプラスミドを含有し
ている必要がある。
ウム属の細菌だけではなく、大腸菌中でも増幅すること
ができるシャトルベクターであり、したがって、Tiプ
ラスミドの組換え操作は、大腸菌を用いて行うことがで
きる。更に、これらのベクターは、抗生物質耐性遺伝子
を含んでおり、大腸菌、アグロバクテリウム属の細菌ま
たは植物細胞等を形質転換する際に、形質転換体を容易
に選別することができる。また、これらのベクターには
カリフラワーモザイクウイルス、CaMVの35Sプロ
モーターが存在しており、これらのベクターに挿入され
た遺伝子を植物ゲノム中に組み込んだ後、非調節的に発
現させることが可能となる。
による目的遺伝子の導入および形質転換細胞の植物体へ
の再生法を詳述する。シロイヌナズナの種子を常法に従
って、GMプレートに播種し、無菌的に栽培する。発根
した胚軸の切片を用いてCIMプレート上でカルス培養
を行う。本発明の植物プロモーターに目的遺伝子を接続
し、カナマイシン及びハイグロマイシン耐性遺伝子を有
するプラスミドにより形質転換したアグロバクテリウム
を培養し、希釈したものをチューブに分注し、カルス化
した胚軸の切片を浸し、数日間、CIMプレート上で共
存培養する。アグロバクテリウムが肉眼で観察できるま
で十分に増殖したら、除菌操作を行ない、SIMプレー
ト上で数日間、培養を行う。これらの切片を最終的にS
IMプレート上で培養し、1週間ごとに新しいプレート
に移植を繰り返す。形質転換した切片は増殖を続け、カ
ルスが現れてくる。抗生物質で選択しているため、非形
質転換切片は褐変する。形質転換体が5mm程度の大き
さになり、シュートを形成するまで培養する。完全なシ
ュートの形状を示すようになったら、シュートの根元を
カルス部分を含まないようにメスで切り取り、RIMプ
レートに移植する。大きなカルスが付いていると、発根
してもカルスを介して根が出ていて、ロゼットとは維管
束がつながっていないことが多い。発根後、無機塩類培
地〔5mM KNO3, 2.5mM K- リン酸緩衝液(pH5.5), 2mMMg
SO4, 2mM Ca(NO3)2, 50μM Fe-EDTA, 1000 ×微量要素
(70mM H3BO3, 14mM MnCl2, 0.5mM CuSO4, 1mM ZnSO4,
0.2mM NaMoO4, 10mM NaCl, 0.01mM CoCl2) 1ml/リッ
トル〕に浸したロックウール上に定植する。
に移植し、種子を得ることができる。この種子を滅菌処
理し、GM培地に播種して発芽させることにより形質転
換体を得ることができる。この形質転換体より、常法に
従ってDNAを抽出し、このDNAを適当な制限酵素で
切断し、繊維形成および伸長に関与する遺伝子をプロー
ブに用いてサザンハイブリダイゼーションを行ない、形
質転換の有無を確認することができる。
法に従ってRNAを抽出し、繊維形成および伸長に関与
する遺伝子のセンスまたはアンチセンス配列を有するプ
ローブを作成し、これらのプローブを用いてノザンハイ
ブリザイゼーションを行ない、目的遺伝子の発現の状態
を調べることができる。
く植物で使われているGUS遺伝子を本発明のプロモー
ターの3’末端に連結して使用すると、GUS活性を調
べることで簡単にプロモーターの強さを評価できる。レ
ポーター遺伝子としては、GUS遺伝子に限らず、ルシ
フェラーゼ、グリーンフルオレセイントプロテインも使
用することができる。繊維形成および伸長に関与する遺
伝子は、ワタ繊維細胞において、ワタ繊維形成過程で発
現し繊維伸長に関与するため、この塩基配列の上流領域
などを用いることで、ワタ繊維の伸長に関与する転写因
子などが同定される可能性がある。従って、本発明の植
物プロモーターは、ワタ繊維形成および伸長に関与する
プロモーターであり、繊維形成および伸長を誘導する技
術の確立、繊維伸長に関与するシス因子やトランス因子
の単離、繊維形成および伸長のメカニズムの解明または
それを調節する遺伝子の単離に利用することができ、細
胞形成及び伸長の技術分野においてもきわめて有用であ
る。
ンパクをコードしている塩基配列と、本発明の植物プロ
モーターを結合したキメラ遺伝子を作製して、特定の組
織の植物細胞壁の構造を変化させることができ、工業分
野で用いられる植物原料の加工に有用である。また、一
般にカリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモータ
ーを用いることによって、植物の器官全体に生活環の全
過程を通して形態変化をもたらすことができる。光、
熱、傷害などの調節性のプロモーターを用いれば、生育
環境に応じて、その形態が変化しうる植物体を作製する
ことができる。また、器官または組織に特異的なプロモ
ーターを用いれば、特定の器官または組織だけに形態変
化を生じさせることができる。つまり、本発明のプロモ
ーターは器官特異的なものであるから、本発明のプロモ
ーターを用いることによって、例えば繊維の形成を制御
し繊維特性の変化をもたらすことができる。
より、特定の植物組織に特異的に目的遺伝子を発現させ
ることができる。特にシロイヌナズナの維管束系やワタ
繊維の伸長時に目的遺伝子を発現させることができる。
さらに、本発明の植物プロモーターを用い、特定の遺伝
子をワタ繊維に発現させることにより、ワタ繊維の特性
(繊維長、繊度、強度等)の改善および収量の向上を行
うことが可能となる。さらに、本発明の植物プロモータ
ーを利用することにより、より優れた繊維特性を有し、
かつ、生産性の高い新規なワタ品種を作出することがで
きる。
する。 実施例1 (1) ワタ繊維組織由来の遺伝子、pKC22の上流領域
(GKC22)のクローニング ワタ植物(Gossypium属)の播種後、18日の幼植物体を
用いて、Murray and Thompson の改良法でゲノムDNA
を抽出し、インバース(inverse) PCR法でゲノムDN
Aのクローニングを行った。すなわち、制限酵素HindII
I で1μgのゲノムDNAを切断した後、T4ライゲー
スでセルフライゲーションさせた。ライゲーションした
DNA 500μgを鋳型にしてPCR試薬キット(LA-PCR
キット、宝酒造)を用いて、pKC22の上流域(以
下、GKC22と略す)を増幅させた。該反応は、配列
番号2および3に示した核酸配列を有する第1プライマ
ー群を用い、94℃、15秒間および65℃、12分間
を28サイクル実施した。次に、このPCR産物を用い
て、配列番号4および5に示した塩基配列を有する第2
プライマー群を用いて、同様の条件でPCRを行った。
このPCR産物を電気泳動で量および長さを確認し、得
られたDN断片をベクター、pT7BlueTに導入
し、大腸菌JM109を形質転換して、クローニングし
た。その後、シーケネースシークエンスキット(アマシ
ャム社)を用いて、GKC22の塩基配列を決定した。
該塩基配列はプライマーの配列よりcDNAと全て一致
し、cDNAに対応するゲノム領域であることが確認で
きた。この塩基配列を配列番号1に示す。
遺伝子)との融合 β−グルクロニダーゼ遺伝子(GUS)を含むプラスミ
ド、pBI101−Hm2(奈良先端大学、新名淳彦教
授から入手)を制限酵素、HindIII およびSacIで切断し
た後、アガロースゲル電気泳動を行って、該プラスミド
中のGUS遺伝子を取り出した。このGUS遺伝子をプ
ラスミド、pUC19の制限酵素、HindIII およびSacI
サイトに挿入して、プラスミド、pGUSを得た。次に
プラスミド、pGKC22を制限酵素、HindIII および
SacIで切断し、平滑末端化してから、上記プラスミド、
pGUSの制限酵素、SmaIサイトに挿入した。挿入され
たEcoRI-SacI断片の塩基配列から正しく挿入されたか否
かを確認して、正しく挿入されたプラスミドをpGKC
22:GUSと命名した。さらに、このプラスミド、p
GKC22:GUSを制限酵素、HindIII およびSacIで
切断し、電気泳動後、HindIII-SacI断片を上記プラスミ
ド、pBI101−Hm2の制限酵素、HindIII および
SacIサイトに挿入して、新規なプラスミド、pBI2
2:GUSを得た。次いで、該プラスミド、pBI2
2:GUSで大腸菌JM109を形質転換して、Escher
ichia coli JM109/pBI22:GUSを得た。この工程を図1に
示す。
導入 (2)で得られた大腸菌、Escherichia coli JM109/pBI10
1-22:GUSおよびヘルパープラスミド、pRK2013を
もつ大腸菌を、それぞれ59mg/lのカナマイシンを
含むLB培地で、37℃で一晩、培養した。別途、アグ
ロバクテリウムEHA101株(奈良先端大学、新名教授から
入手)を50mg/lのカナマイシンを含むLB培地で
37℃で2晩培養した。各培養液を1.5mlをエッペ
ンドルフチューブに取り、集菌した後にLB培地で洗浄
した。これらの菌体を1mlのLB培地に懸濁後、3種
の菌を100μlずつ混合し、LB寒天培地にまき、2
8℃で培養してプラスミドをアグロバクテリウムに接合
伝達させた。1〜2日後に一部を白金耳でかきとり、5
0mg/lカナマイシン、20mg/lハイグロマイシ
ンおよび25mg/lクロラムフェニコールを含むLB
寒天培地上に塗布した。28℃で2日間培養した後、単
一コロニーを選択した。得られた形質転換体を EHA101/
pBI22:GUS と命名した。
liana)の栽培 シロイヌナズナWassilewskija 株(以下、WS株と称
す)の種子(奈良先端大学、新名惇彦教授から入手)数
10粒を1.5mlチューブに入れ、70%エタノール
1mlを加え、3分間放置した。続いて、滅菌液(5%次
亜塩素酸ナトリウム、0.02%TritonX-100)に3分間浸
し、滅菌水で5回洗浄した後に、GMプレート(1リット
ルあたりでムラシゲ−スクーグ無機塩類4.3g、ショ糖10
g 、ミオイノシトール0.1g、ジェランガム5g、pH5.7)に
置床した。このプレートを4℃に2日間放置して、低温
処理を行い、続いて植物インキュベーター(サンヨー
製、MLR-350HT)中に22℃、弱光下にて、7日間培養し
た。
えて、メスで約1.0cm程度に切りそろえ、CIMプ
レート(1リットルあたりガンボーグB5ソルト3.9g、グル
コース20g 、ミオイノシトール0.1g、ジェランガム5g、
2,4 −ジクロロフェノキシ酢酸を0.5 μg 、カイネチン
を0.05μg となるように加えたもので、pH5.7)に置き並
べた。光強度3000ルクス、24時間明期で2日間培
養し、上記(3) にて得た形質転換体、EHA101/pBI22:GU
S を1日間、28℃で培養した菌液をMS希釈液 (ムラ
シゲ−スクーグ無機塩類6.4g/l、pH6.3)で3倍に希釈し
たものをそれぞれ1mlずつチューブに分注し、この中
にカルス化した胚軸(CIM培地で2日間培養したも
の)を10分間浸した。2枚重ねた滅菌ろ紙上に並べ、
余分な水分を除き、新しいCIMプレートに各々20本
ほどを置き並べた。同条件にて2日間共存培養した。
を除菌液(MS希釈液にクラフォランを終濃度200μ
g/mlになるように加えたもの) に移し、ゆっくり振
蘯させて60分間洗浄した。この操作を5回繰り返した
後、滅菌ろ紙上で水分を取り除き、SIMプレート(1
リットルあたりガンボーグB5ソルト3.9g、グルコース20
g 、ミオイノシトール0.1g、ジェランガム5g、カナマイ
シン50mg、ハイグロマイシンB20mg、クラフォラン0.2
g、ヴァンコマイシン0.5g、2iP5mg、IAA を終濃度0.15m
g、となるように加えたもので、pH5.7)に置き並べ、光
強度4000ルクスで2日間培養した。
光強度4000ルクスで培養した。以後、1週間毎に新
しいSIMプレートに移植した。形質転換した切片は増
殖を続け、ドーム状に盛り上がったカルスとなるが、非
形質転換体は褐変した。形質転換体は約2週間後、カル
スが緑色を呈し、約1カ月後、シュートが形成された。
いように剃刃もしくはメスで切り取り、RIMプレート
(1リットルあたりMSソルト4.3g、シュクロース10g 、
ミオイノシトール0.1g、ジェランガム3.5g、インドール
ブチリックアシッド0.02mg、pH5.7)に軽く乗せるように
挿した。約1カ月後、1〜2cm程度の根が数本形成した
ものをピンセットでとりだし、パーライトとバーミキュ
ライト(TES社製) を1:1に混合し、無機塩類混合培地
に浸した土に植え換えた。約1カ月後、1株につき数百
粒の種子が得られた。これを以後、T1種子と称す。
GMプレート (カナマイシン50mg、ハイグロマイシンB
20mg入り)に播種した。ほぼ3:1の割合でカナマイシ
ンおよびハイグロマイシンB耐性株が発芽した。
培し、組織をメスで切り取り、切片を数mlの固定液(0.0
3%ホルマリン、10mM MES (pH5.6)、0.3M マンニトー
ル) に室温で45分間浸す。つぎに50mMリン酸バッフ
ァー(pH7.0) で数回洗った。切片をGUS染色液(50mM
リン酸バッファー、0.5Mフェリシアン化カリウム、0.5M
フェロシアン化カリウム、1mM X-Gluc)に浸し、真空装
置で吸引して溶液を試料内部までよく染み込ませ、37
℃で一晩インキュベートした。クロロフィルを除くた
め、5%ホルマリンに10分間浸した後、5%酢酸に1
0分間、50%エタノールに10分間、100%エタノ
ールに10時間浸した。青く染まった組織を顕微鏡で観
察したところ、シロイヌナズナでもプロモーター活性は
認められた。特に幼植物体の維管束系に強い発現が見ら
れた (図2、図3、図4)。また花の雌しべの頂点や雄
しべの先に発現が認められた(図5)。さらに9週間目
のさやの基部と頂点にも発現が認められた(図6)。こ
れらの結果より、本発明のDNAはワタ以外の植物であ
るシロイヌナズナでも組織特異性をもったプロモーター
として働くことがわかった。
USの構築を示す図である。
のシロイヌナズナ)のGUS染色を示す図である。
ナズナ)のGUS染色を示す図である。
ナズナの葉柄の切片)のGUS染色を示す図である。
ナズナの花)のGUS染色を示す図である。
元)のGUS染色を示す図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 以下の(a)、(b)又は(c)のDN
Aを含む植物プロモーター。 (a)配列番号1記載の塩基配列からなるDNA (b)(a)の塩基配列からなるDNAにおいて、1も
しくは複数のDNAが欠失、置換もしくは付加された塩
基配列からなり、かつ、植物プロモーターとして作用す
る能力を有するDNA (c)(a)の塩基配列からなるDNAとストリンジェ
ントな条件下でハイブリダイズし、かつ、植物プロモー
ターとして作用する能力を有するDNA - 【請求項2】 請求項1記載の植物プロモーターをベク
ターに導入した植物発現ベクター。 - 【請求項3】 請求項2記載の植物発現ベクターを宿主
植物細胞に導入した形質転換植物細胞。 - 【請求項4】 請求項3の形質転換植物細胞から再生さ
れた形質転換植物体。 - 【請求項5】 請求項4の形質転換植物体より得られた
植物種子。 - 【請求項6】 請求項1記載の植物プロモーターを挿入
した植物発現ベクターを宿主細胞に導入して形質転換植
物細胞を得、該形質転換植物細胞から形質転換植物体を
再生し、得られた形質転換植物体より植物種子を得、該
種子から植物体を生産することを特徴とする植物体の製
造法。 - 【請求項7】 配列番号1記載の塩基配列からなるDN
Aを含む植物プロモーターを挿入した発現ベクターを宿
主細胞に導入して形質転換細胞を得、該形質転換細胞か
ら形質転換ワタ植物体を再生し、得られた形質転換ワタ
植物体よりワタ植物種子を創成し、該ワタ植物種子から
ワタ植物体を生産することを特徴とするワタ植物体の製
造法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02063997A JP3931997B2 (ja) | 1997-02-03 | 1997-02-03 | 植物プロモーター |
US09/009,443 US6259003B1 (en) | 1997-01-21 | 1998-01-20 | Cotton plant promoters |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02063997A JP3931997B2 (ja) | 1997-02-03 | 1997-02-03 | 植物プロモーター |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10215871A true JPH10215871A (ja) | 1998-08-18 |
JP3931997B2 JP3931997B2 (ja) | 2007-06-20 |
Family
ID=12032808
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP02063997A Expired - Fee Related JP3931997B2 (ja) | 1997-01-21 | 1997-02-03 | 植物プロモーター |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3931997B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7557264B2 (en) | 2000-08-07 | 2009-07-07 | Texas Tech University | Gossypium hirsutum tissue-specific promoters and their use |
-
1997
- 1997-02-03 JP JP02063997A patent/JP3931997B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7557264B2 (en) | 2000-08-07 | 2009-07-07 | Texas Tech University | Gossypium hirsutum tissue-specific promoters and their use |
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