JP3234534B2 - 形質転換されたホモノ科植物 - Google Patents

形質転換されたホモノ科植物

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  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、形質転換されたホ
モノ科植物に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】土壌細
菌アグロバクテリウム・テュメファシエンス (Agrobact
erium tumefaciens)の病原性株 (virulent strains) は
双子葉植物に感染してこれらの植物に新生物形成応答を
引き起こさせることが知られている。該細菌中の腫瘍誘
導剤はそのDNAのいくつかを宿主植物細胞中に伝達
し、そこで宿主植物細胞の染色体に組み込まれることに
よって機能するプラスミドである。このプラスミドはT
i プラスミドと呼ばれ、A.テュメファシエンスの種々
の株の病原性はTi プラスミドの、T−DNAの可動化
及び伝達に関与するvir領域によってある程度決定さ
れる。T−DNA部はそれぞれ右境界部(right borde
r) 及び左境界部 (leftborder) と名づけられる2つの
23塩基対反復によって境界が定められている。これら
2つの境界部配列の間に位置する遺伝情報はいずれも可
動性であり、感受性宿主に伝達される。ひとたび染色体
中に入るとT−DNA遺伝子は通常の優勢な植物遺伝子
と同様にふるまう。すなわちT−DNA遺伝子は形質転
換された植物によって安定に維持され、発現されそして
有性的に伝えられ、通常のメンデル形式で遺伝される。
【0003】A.テュメファシエンス感染の部位で未分
化状態で生長する植物腫瘍組織の瘤はクラウンゴールと
呼ばれる。A.チュメファシエンスによって引き起こさ
れたクラウンゴールの細胞はオパインと呼ばれる通常で
ないアミノ酸を合成する。A. テュメファシエンスの異
なる菌株がクラウンゴール細胞による異なったオパイン
の合成を指示し、誘導された特定のオパインは植物に感
染した菌株の1つの特性となる。さらに与えられた菌株
によって誘導された特定のオパインを異化する能力もそ
の菌株の特性である。オパインは通常A. テュメファシ
エンスや未感染宿主植物によっては合成されない。オパ
インの合成に関与する酵素、オパインシンターゼをコー
ドするのはT−DNAであるが、これらの遺伝子は感染
した植物組織中でのみ発現される。このような発現はこ
れらの遺伝子がT−DNA上の真核調節配列の調節のも
とにあるという所見と一致する。もっとも通常のオパイ
ンはオクトピン及びノパリンである。オクトピンの合成
を触媒するオパインシンターゼはリゾピンデヒドロゲナ
ーゼであり、ノパリンの合成を触媒するオパインシンタ
ーゼはノパリンデヒドロゲナーゼである。クラウンゴー
ル細胞を培養すると、通常の植物細胞が培養物中で生長
するようにするために加えねばならない植物ホルモンを
欠く培地中でも生長してカルス培養物を生ずる。カルス
培養物は比較的に未分化な植物細胞の組織化されていな
い塊である。クラウンゴール細胞の無ホルモン培地中で
生長する能力も形質転換された宿主細胞中のT−DNA
の存在に帰せられる。なぜなら、植物ホルモンの合成を
指示する遺伝子も又T−DNAと連合しているからであ
る。
【0004】A.テュメファシエンス及び遺伝子操子操
作によってT−DNAを挿入される宿主植物の双方にと
って外来のDNA分節もA.テュメファシエンスによっ
て宿主細胞中に伝達される。このようにTi プラスミド
は宿主植物の遺伝子工学のためのベクターとして用いる
ことができる。野性型A.テュメファシエンスにおいて
は細菌あたり1個のTi プラスミドしかないが、遺伝学
的にA. テュメファシエンスではT−DNAの伝達が起
こるために、vir領域とT−DNAとは同じTi プラ
スミド上に担持される必要はない。vir領域とT−D
NAとは同じアグロバクテリウムに含まれる別のプラス
ミド上に担持することができる。A. テュメファシエン
スの宿主範囲は双子葉類に限り、単子葉類の形質転換は
この細菌では行われないと一般に考えられてきた。実際
A. テュメファシエンスの感染による単子葉類ホモノ科
植物の形質転換について誰も報告していない。しかしな
がら、最近 Hooykass-Van Slogteren らは Nature 31
、763(1984)でユリ科及びヒガンバナ科の単
子葉類にA. テュメファシエンスが感染した傷部位に小
さなふくれが生成することを報告した。感染植物の傷部
から取り出した植物細胞中のオパインが検出された。
又、Hernalsfeensらは The EMBO Journal,,3038
(1984)において、A. テュメファシエンスC58
株に感染したユリ科の1メンバーである、単子葉類アス
パラガス・オフィシナリス (officinalis)の培養した茎
断片が腫瘍状増殖を発展させることを報告した。これら
の腫瘍状増殖物の1つは無ホルモン培地で増殖でき、ま
たこの腫瘍状増殖物から導かれた樹立カルス培養物中に
オパインが検出された。
【0005】1982年に、Anne C.F. Gravesは“Some
Tumorigenic Activities of Agrobacterium Tumefacie
ns (Smith and Town) Conn. ”(アグロバクテリウム・
テュメファシエンスのいくつかの腫瘍発生活性)(Bowl
ing Green State University) 題する彼女の博士論文中
でA. テュメファシエンスC58N及びB6の植菌によ
ってグラジオラス円板上に組織の不規則な塊りが発育す
ることを報告した。これらの組織塊はじゃがいも塊茎円
板に発育させた組織塊と同じようであり、同様な細胞形
態を有しているように見えた。電気泳動中オクトピン標
品と一緒に移動した化合物はB6株によって誘導された
グラジオラス円板上の増殖物中に見い出された。又、オ
クトピン標品のすぐ後を移動した化合物はC58N株に
よって誘導されたグラジオラス円板上の増殖物中に生じ
ていた。オクトピンデヒドロゲナーゼも又、テュメファ
シエンスB6によって誘導された細胞増殖物抽出液中に
見い出されたが、A. テュメファシエンスC58Nによ
って誘導された細胞増殖物抽出液中には見い出されなか
った。Dr. Gravesは又他のある単子葉植物のA. テュメ
ファシエンスの植菌に対する応答について記述した。し
ょうが根茎円板上には細胞増殖はみられず、チューリッ
プ球根円板についての結果ははっきりしなかった。がま
及びざぜんそうの根茎円板上での細胞増殖は早春におけ
る維管束の先端 (end)での輪郭がくっきりした細胞 (cl
ean cells)のくつかの層に限られた。DeCleene及びDeLe
y は The Botanical Review,42,389(1976)
において、A. テュメファシエンスの植物宿主範囲につ
いての広範囲に亘る研究の結果を報告した。彼らの論文
Liliales及びArales目の単子葉植物はA. テュメファ
シエンスの感染に感受性であるが、一般に単子葉類は
A. テュメファシエンス感染に非感受性であることを教
示している。特に彼らの論文はホモノ科(Gramineae) 植
物がA. テュメファシエンス感染に感受性でないことを
報告している。A. テュメファシエンスに対する感受性
は傷部位でふくれや腫瘍が発育するかどうかによって決
定された。
【0006】Longらは Mol. Gen. Genet.,199,17
8(1985)において、Fromm らは Nature,319
791(1986)において、及び Portrykus らは M
ol.Gen. Genet.,199,183(1985)におい
て、プロトプラストへの直接遺伝子伝達によるホモノ科
植物の形質転換について報告した。プロトプラストは細
胞壁が酵素による消化によって取り除かれた植物細胞で
ある。Longらはノパリンシンターゼプロモーター、及び
オクトピンシンターゼ遺伝子のポリアデニル化調節シグ
ナルを含有するDNAを用いるTriticum monococcum
プロトプラストを形質転換した。Fromm らはプラスミド
pCaMVNEO(カリフラワーモザイクウィルス35
Sプロモーター、トランスポゾンTn5からのネオマイ
シンホスホトランスフェラーゼ1リットル遺伝子、及び
ノバリンシンターゼ3′領域を含有する)のとうもろこ
しプロトプラストへのエレクトロポレーションによる伝
達の結果として、カナマイシン抵抗性の、安定に形質転
換されたとうもろこし細胞が得られることを開示してい
る。Hooykass-Van Slogteren ら、Hernalsteensら、Gra
ves、及び DeCleene 及びDeLey の感染技術、又は Long
ら、Fromm ら及び Portrykusらの直接遺伝子伝達技術
を用いて発生した、形質転換された細胞から形質転換さ
れた植物を得るためには、プロトプラスト又は単一細胞
培養物から植物が再生 (regenerated)されなければなら
ない。しかしながらホモノ科植物のプロトプラスト又は
単一細胞培養物から植物を再生することに未だ誰も成功
していない。実際、ホモノ科の形質転換された植物又は
他の形質転換された分化した器官もしくは組織を生産す
る手段は現在知られておらず、又ホモノ科植物の農業上
重要な形態又は部分、例えば種子、花粉、穂 (ears) 又
は植物体において外来DNAの発現を許容する手法でホ
モノ科植物を形質転換する手段は未だ存在しない。最後
に、1986年2月13日に発行されたPCT国際公開
第WO86/00931 (Simpson ら)は完全な植物体
を形質転換し再生する生体内手法を教示している。この
特許出願はその発明の方法はA. テュメファシエンス苗
条(shooty) 変異株の感染につづいて苗条腫瘍 (shooty
tumor) を形成するいかなる植物の形質転換にも用いる
ことができることができると記載している。しかしなが
ら上記したごとく、ホモノ科植物がA. テュメファシエ
ンスの植菌によって腫瘍又はふくれさえも生ずることは
知られていない。この発明の実施において、A. テュメ
ファシエンスの植菌によるいかなる種類の腫瘍、ふくれ
(swellings)又は細胞増殖もホモノ科植物に観察されて
いない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、(1) 形
質転換された花粉粒、(2) vir+ A. テュメファシエン
スに感染した実生から生長した植物によって生産され
た、形質転換された花粉粒、(3) 遺伝学的に設計された
T−DNAを含有するベクターを含有する vir+ A. テ
ュメファシエンスに感染した実生から生長した植物によ
って生産された形質転換された花粉粒、(4) その細胞が
T−DNAの少くとも1つの分節(segment)を含む花粉
粒、及び(5) これら4つの花粉粒から導かれるホモノ科
植物が提供される。さらに(1) 形質転換されたホモノ科
植物体 (Gramineae plant 。以下、同様に Gramineaeに
対してはホモノ科植物、Gramineae plant に対してはホ
モノ科植物体という) 、(2) vir+ A. テュメファシエ
ンスに感染した実生から導かれた、形質転換されたホモ
ノ科植物体、(3) 伝学的に設計されたT−DNAを含有
するベクターを含有する vir+ A. テュメファシエンス
に感染した実生から導かれた、形質転換されたホモノ科
植物体、及び(4) その細胞がT−DNA分節を含有する
ホモノ科植物体が提供される。最後に vir+ A. テュメ
ファシエンスに感染した実生から導かれた、形質転換さ
れたホモノ科植物、及び遺伝学的に設計されたT−DN
Aを含有するベクターを含有する vir+ A. テュメファ
シエンスに感染した実生から導かれた、形質転換された
ホモノ科植物が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】本明細書には、さらに、急速に分
裂している細胞を含む実生 (seedling) 部分に傷をつ
け、ついでその傷に vir+ A. テュメファシエンスを植
菌することを特徴とする、形質転換されたホモノ科植物
(禾本科植物、Gramineae)の生産方法が開示され、その
好ましい態様において、その傷は生殖系列細胞のもとと
なる実生部分につけられる。又好ましくは遺伝学的に設
計された (genetically-engineered) T−DNAを含有
するベクターを含有する vir+ A. テュメファシエンス
についても開示される。葉、植物体及び花粉のような形
質転換された、分化した器官及び組織の生産に帰結する
ホモノ科植物を形質転換する方法は有用である。かくの
ごとく、この方法はホモノ科植物の農業上重要な形態や
部分に外来のDNAの発現を可能にする、ホモノ科植物
を形質転換する方法である。ホモノ科植物(例えばとう
もろこし、オート麦、ライ麦、大麦、ソルガム、米及び
小麦)の多くはもちろん人及び他の動物の商業上重要な
食料源であり、特に、変更した特性又はより優れた特性
を有するホモノ科株、例えばより高い収量をもたらす
株、除草剤抵抗性又はよりよい栄養価値を有する株の開
発を、そのような特性をコードする外来DNAをホモノ
科植物に入れることによって可能にする。
【0009】また、本明細書には、急速に分裂している
細胞を含む実生部分に傷をつけ、その傷に vir+ A. テ
ュメファシエンスを植菌することを特徴とする、形質転
換されたホモノ科植物を生産する方法が開示される。こ
こで用いられるホモノ科植物(Gramineae) の語は植物体
(plaants)、種子、実生、花粉、穀粒 (kernels)、穂(e
ars)、葉、茎 (stalks) 、胚を含むホモノ科植物のすべ
ての形態及び部分をいうものとする。同様に「とうもろ
こし」「オート麦」、「小麦」、「ライ麦」及び「大
麦」の語はとうもろこし、オート麦、小麦、ライ麦及び
大麦のすべての形態及び部分を含むことを意味する。
「形質転換された」の語は外来DNAを細胞中に入れる
ことによって遺伝的に修飾されることを意味するものと
してここでは用いられる。「外来DNA」(exogeous D
NA)の語は形質転換されるホモノ科株中に通常では見
い出されないDNAを意味する。外来DNAは形質転換
されるホモノ科株以外のホモノ科株を含んで原核源又は
真核源から得ることができる。上記方法を実施するにあ
たり、形質転換されるホモノ科株は殺菌され、ついで種
子から幼根(最初の根)及び茎が出るまで発芽させる。
この状態は発芽後約4日で到来するが、この期間は最初
に種子を浸漬することによって短縮することができる。
【0010】傷は生殖系列細胞 (germ line cells)のも
ととなる急速に分裂している細胞の部分につけるのが好
ましい。傷をつけた後、実生に傷の中に vir+ A. テュ
メファシエンスの溶液をたらすことによって植菌する。
vir+ A. テュメファシエンスはT−DNAを宿主植物
細胞中に可動化し伝達することができる細菌であり、こ
れらの機能をコードする天然の又は合成のプラスミドを
担持するA. テュメファシエンスは vir+ である。かく
して、野性型のTi プラスミドを担持するA.テュメフ
ァシエンス株は vir+ であり、上記方法に用いることが
できる。かかる菌株は数多く知られており、又公衆が入
手することができる。例えば AmericanType Culture Co
llection Catalogue (ATCC) of Strain I、p66 (15th e
ddition, 1982) 参照。野性型Ti プラスミドの vir+
領域を同じTi プラスミド上のT−DNAを可動化し伝
達するために、又は同じ細菌中に含まれる別のプラスミ
ド上のT−DNAを引き渡すために用いることができ
る。さらに可動化及び伝達機能はヘルパープラスミドに
よって供給され得る。そのようなヘルパープラスミドは
Ditta らによってPNAS,77,7347(198
0)及び Bagdasarianらによって Gene,16,237
(1981)に記述されている。したがって、ヘルパー
プラスミドを担持するA. テュメファシエンス株も vir
+ である。最後に可動化及び伝達機能はT−DNAを含
有する同じ設計の (engineered) プラスミドにコードす
ることができ、かかるプラスミドを含有する細菌も vir
+ である。
【0011】vir+ A. テュメファシエンスによって伝
達されるT−DNAは生来のT−DNAであってもよい
が、好ましくは遺伝学的に設計されたT−DNAである
のがよい。遺伝学的に設計されたT−DNAは作動でき
る順序に結合したT−DNA境界配列、異種構造遺伝子
(heterologous gene)及び転写単位を含有するDNA構
築物である。かかる構築物を調製する方法は当業界で公
知である。異種構造遺伝子はT−DNA中に通常見い出
されず、かつ形質転換されるホモノ科株のDNA中にも
通常見い出されない遺伝子である。異種構造遺伝子は形
質転換される株以外のホモノ科株を含め原核及び真核源
から単離することができる。それらを含有する植物に耕
種学上重要な特性を授与する異種構造遺伝子が特に興味
深い。異種構造遺伝子の横には形質転換されたホモノ科
株中の当該異種構造遺伝子を発現することができる、例
えばプロモーター及びターミネーターを含有する転写単
位が並んでいる。この異種構造遺伝子−転写単位構築物
の横には境界配列が位置する。生来のものであろうと合
成されたものであろうといかなるT−DNA境界配列
も、それが異種構造遺伝子を形質転換されるホモノ科株
の細胞ゲノム中に組み込むように機能する限り、異種構
造遺伝子−転写単位構築物にとなりあわせるために用い
ることができる。遺伝学的に設計されたT−DNAはホ
モノ科株中で機能的であるレプリコンを含むDNA断片
に結合してベクターを形成させる。
【0012】実生に vir+ A. テュメファシエンスを植
菌した後、これを形質転換が起こるまでインキュベート
し、ついで植え、少なくとも花粉を生ずるようになるま
で生長させる。本発明方法を用いることによってクラウ
ンゴール、カルスもしくは腫瘍状生長過多を含めいずれ
の種類の腫瘍生長も観察されなかった、最初に植菌され
た実生でさえも観察されなかったことは興味深いことで
ある。実生の好ましい部位に植菌することによって花粉
の形質転換がなされた。得られた形質転換された花粉は
形質転換され及びされていない植物体を受精させるのに
用いることができる。得られる子孫の穂から胚を切り取
り、これを生長させることにより形質転換された植物体
を得ることができる。又は、もちろんこの交配により得
られる植物体に種子をつくらせ、これを種子の別の収穫
を生ずる形質転換された植物体を生長させるために用い
ることもできる。かくのごとく、有性生殖によって最初
に形質転換された実生から後の世代を導くことができ
る。当業者は種々の多くの外来遺伝子によってコードさ
れた特性を担持する子孫を既知の育種技術を用いて生産
することができることを認識するであろう。
【0013】
【実施例】とうもろこしの形質転換 実施例1 A. 細菌に調製 A. テュメファシエンスB6株の単一コロニーを水中に
溶解した0.1%酵母エキス、0.8%栄養ブロス及び0.5
%ショ糖を含有する酵母抽出ブロス(YEB)に植菌し
た。酵母抽出ブロス及び栄養ブロスは Difco Laborator
ies 、デトロイト、ミシガンより購入した。ショ糖は F
isher Scientific、デトロイト、ミシガン又は Sigma、
セントルイス、ミズーリより購入した。細菌は振盪させ
た水浴中該YEBで27℃で48時間インキュベートす
るか、最終濃度が3.8×109 cells /ml になるまで
インキュベートした。B6株はA. テュメファシエンス
の標準野性型株である。該菌は病原性 (virulent) ( v
ir+ )で適当な植物宿主中でリゾピンデヒドロゲナーゼ
を生産するためのコードを有している。この株は North
western 大学、Evanston、イリノイのJames 及びBarbar
a によって取得された。この株の性質のいつくかは Sto
nier、J. Bact., 79、889(1960)に記述され
ている。B6株は又アメリカンタイプカルチャーコレク
ション(ATCC)、Rockville 、メリーランドに寄託
されており、受入れ番号23308を与えられている。
【0014】B.とうもろこしの調製 とうもろこしの生得の黄色 Iochief株の種子は Anderso
ns, Maumee, オハイオ又は Botzum, 43, East Market,
Akron,オハイオより取得した。この株は商業的に購入で
きる標準株である。黄色 Iochief種子は以下の手法によ
り殺菌した。種子をまず95%エタノール7部及び蒸留
水2.5部を含有する溶液に2分間浸漬した。ついで、種
子を蒸留水中の0.5%(w/v)HgCl2 溶液中で5分イ
ンキュベートした。種子を蒸留水中の15%(v/v)
Clorox(Cloroxは5.25%次亜塩素酸ナトリウムを含有
する水溶液である)及び0.1%(v/v)のPalmolive
のような皿洗い用液体洗剤又は他の適当な湿潤剤の溶液
中で全部で30分洗浄した。最後に種子を殺菌した2度
蒸留した水中で5回洗った。殺菌した種子を胚側を上に
してペトリ皿中の殺菌し湿らせた Whatman No.3濾紙上
に置いた。種子を一定の暗さに保つべくカバーしたペト
リ皿中25℃で4日間インキュベートした。濾紙はイン
キュベート期間中湿りを維持させた。
【0015】C.実生へのA. テュメファシエンスの植
菌 とうもろこしの実生中で急速に細胞が分裂している2つ
の基本的な場所は根冠、及び胚盤瘤 (scutellar node)
のふもとから中茎を通って子葉鞘瘤 (coleoptile node)
よりわずかに先にまでまたがる部分である。これらの場
所は第1A図及び1B図に示されている。中茎は胚盤瘤
と子葉鞘瘤の間の部分である。本発明を好ましく行うた
めには胚盤瘤のふもとから子葉鞘瘤を通ってその少し先
までにまたがる部分に傷をつける。その理由は生殖系列
細胞 (germ line cells)のもととなる組織がその領域に
含まれているからである。特にこの領域の葉腋原始細胞
(axillary primordia) のもとになる組織が見い出さ
れ、この組織は今度は若木 (tillers)及び穂 (ears)
(雌生殖器官)のもとになる。この領域には又ふさ毛の
もととなる頂端分裂組織があり、ふさ毛は今度は花粉
(雄生殖器官)のもととなる。この好ましい領域の実生
に接種することによって、生殖系列細胞の形質転換体が
得られる。この実施例のC部で調製した、発芽しつつあ
る各とうもろこし実生の表面の、胚盤瘤のふもとから子
葉鞘瘤を通ってその少し先までにまたがる部分に全部で
4つの傷をつけた。実生は前面から第1B図に示すよう
にみえるが、この傷はこの地域を縦に2分する線(中心
線)を目にみえるようにつけることによってなされた。
切込みは中心線に垂直に、中心線から実生の外側の縁に
向けて、実生を第1B図のようにみるときは実生の前面
から切込みがなされる部分におけるすべての組織を通し
て、なされた。切込みは胚盤瘤の部位になすときは前面
からすべての組織を通して胚盤中にまで、中茎になすと
きは前面からすべての組織を完全に通してなされた。4
つの傷は第1B図の数字1によって示す。これら4つの
傷に上記A部で記述したようにして培養したYEB中の
A. テュメファシエンスB6株の109 cells /ml 懸
濁液を全部で100μl たらすことによって接種した。
コントロールとしていくつかの実生には0.9% NaCl
(食塩水)を接種した。接種後、実生を胚側を上にして
ペトリ皿中のバクト寒天(Bactoagar)層上に、皿あたり
5実生置いた。ペトリ皿は蒸留水中20g/lの濃度の
殺菌バクト寒天(Difco Laboratoriesより購入)20m
l を含んでいた。カバーしたペトリ皿を一定の暗さで2
7℃でさらに7−14日インキュベートした。
【0016】D.検定 1.実生中の酵素活性の検定 7−14日のインキュベーション期間の終わりに実生を
0.5Mショ糖、0.1%(w/v)アスコルビン酸及び0.
1%(w/v)システイン−HCl を含有する0.1Mト
リス−HCl バッファー(pH8.0)中でWheaton 組織
粉砕機を用いてホモゲナイズ物が均質性を有するに至る
までホモゲナイズした。実生は暗やみで生長したので、
色素形成は遅れ、細胞壁は通常と異なり柔軟なまま残さ
れた。従って実生の細胞は容易に破れた。ついでホモゲ
ナイズ物を Fisher Microfuge 中で13,000×gで2
分間回転して細胞のない抽出物を得た。この無細胞抽出
物の一部を同量の、リゾピンデヒドロゲナーゼ活性を検
出すべく企画した反応培地に加えた。この培地は0.2M
リン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)中で溶解した
30mML−アルギニン、73mMピルベート及び20mMN
ADHよりなっていた。酵素反応は室温で以下に示す時
間行わせた。酵素反応生成物はWheaton 3MM紙上で電
気泳動によって分離した。酵素反応の開始時点(時間
零)で反応混合物の5μl サンプルを紙の陽極部位につ
け、乾燥させた。次いで、合成オクトピン (Calbioche
m, Division of American Hoescht, La Jolla, Califor
niaより購入)の100μg/ml 溶液の5μl サンプ
ル、及び合成ノパリン(Sigma, St. Louis, Missouriよ
り購入) の100 μg/ml溶液の5μl サンプルを紙の
上につけ乾燥させた。電気泳動はギ酸(90.8%)/氷
酢酸/水(5:15:80、v/v)溶液(pH1.8)
中、450ボルトで2.5時間行われた。紙を乾燥させ、
ついで無水エタノール中の0.02%(w/v)フェナン
トレンキノン1部及び60%(v/v)エタノール中の
10%(w/v)NaOH1部を含有する溶液に浸して
汚した(stained)。乾燥後、スポットを長波長紫外線灯
(366 nm)のもとで視覚化した。
【0017】B6植菌実生の無細胞抽出液をリゾピンデ
ヒドロゲナーゼ反応培地に加えて調製した生産物の電気
泳動の結果を第2A図に示す。この図中、レーン (lan
e) 1は時間零点で10個のB6植菌実生の無細胞抽出
液の一部を同量のリゾピンデヒドロゲナーゼ反応培地に
加えて生産した反応混合物のサンプルを含み、レーン2
は10個のB6植菌実生の無細胞抽出液の一部を同量の
リゾピンデヒドロゲナーゼ反応培地で15時間インキュ
ベートして生産した生産物を含み、レーン3は合成オク
トピンを含み、レーン4は時間零点で10個の食塩水接
種実生の無細胞抽出液を同量のリゾピンデヒドロゲナー
ゼ反応培地に加えて作成した生産物を含み、レーン5は
10個の食塩水接種実生の無細胞抽出液の一部を同量の
リゾピンデヒドロゲナーゼ反応培地で15時間インキュ
ベートして作成した生産物を含み、レーン6は合成ノパ
リンを含む。第2A図はオクトピン生産がB6植菌とう
もろこし実生の無細胞抽出液によって引き起こされるが
(レーン2)、食塩水コントロールでは引き起こされな
い(レーン5)ことを示している。さらに、フェナント
レンキノリン蛍光の増加で測定される、生産されたオク
トピンの量はインキュベーションの時間に比例して増加
する。時間零点ではオクトピンは検出されないのに(レ
ーン1)、15時間のインキュベーションの後では明ら
かに存在している(レーン2)。このような結果は反応
が酵素によって触媒され、B6感染とうもろこし実生か
ら抽出した酵素がリゾピンデヒドロゲナーゼであるとい
う提案と一致する。形質転換された植物組織のみがオパ
イン合成遺伝子を発現することが知られているので、こ
れらの結果はとうもろこし実生が vir+ A. テュメファ
シエンスB6株の感染で形質転換されたとする提案とも
一致する。
【0018】2.基質特異性の検定 リゾピンデヒドロゲナーゼはオクトピンの合成を触媒す
るが、ノパリンの合成は触媒しない。実生抽出液をノパ
リンデヒドロゲナーゼ酵素活性の検出に許容される試薬
を含有する反応培地に加えることによって得た生産物の
電気泳動の結果を第2B図に示す。ノパリンデヒドロゲ
ナーゼ反応培地は0.2Mリン酸ナトリウムバッファー
(pH7.0)中に溶解した60mML−アルギニン、60
mMα−ケトグルタレート及び16mMNADHよりなる。
α−ケトグルタレートはノパリンデヒドロゲナーゼによ
ってのみ基質として用いられる。第2B図のレーン1〜
6は第2A図のレーン1〜6と反応培地がノパリンデヒ
ドロゲナーゼ反応培地であることを除き同じである。第
2B図はB6株を植菌した実生の無細胞抽出液はアルギ
ニンとの縮合反応でα−ケトグルタレートを用いてノパ
リンを生産することができないことを示している。この
基質特異性はB6株によって形質転換された実生によっ
て生産された酵素のリゾピンデヒドロゲナーゼとしての
同定を確認するものである。
【0019】3.形質転換効率 この問題に対処するために、単一実生の検定を行い、オ
クトパンを生産した単一実生の無細胞抽出液の数を決定
した。結果を第3A図に示すが、そこですべてのレーン
は単一B6植菌実生からの無細胞抽出液をリゾピンデヒ
ドロゲナーゼ反応培地で4時間インキュベートして得た
生産物を含有する。第3A図に示されるごとく、10の
レーンのうち8つはフェナントレンキノンをつけ、オク
トピン標品と共に移動するスポットを有している。すな
わち、この実験での形質転換効率は80%であった。
【0020】4.コントロール 生産されたオクトピンがある第2の及び興味のないでき
ごとの結果であったという可能性を除外するために、い
くつかの追加のコントロールを用いた。第4A図に示す
ごとく、上記A部に記述したようにして48時間培養し
たB6の懸濁液の無細胞超音波処理液の電気泳動は、蓄
積したオクトピンを記していない(レーン1及び2)。
さらに、これらの超音波処理液をリゾピンデヒドロゲナ
ーゼ反応培地と混合して4時間インキュベートしたと
き、リゾピンデヒドロゲナーゼ活性は検出されなかっ
た。第4B図、レーン1、2及び3参照(そこではこの
インキュベーションの生産物が電気泳動された)。かく
のごとく、リゾピンデヒドロゲナーゼ活性は48時間細
菌培養物中に見い出されない。又、リゾピンデヒドロゲ
ナーゼ反応培地単独はオクトピンを含有していなかっ
た。第4B図、レーン4参照(そこではこの反応培地単
独が電気泳動された)。同様にこのデヒドロゲナーゼが
未感染とうもろこし実生中に存在するという証拠は見い
出されていない。第4C図参照(該図は電気泳動図であ
り、そこでレーン1〜5は未感染単一実生の無細胞抽出
液をリゾピンデヒドロゲナーゼ反応培地で4時間インキ
ュベートして得た生産物を含有している)。これらの結
果はB6植菌実生の無細胞抽出液中におけるリゾピンデ
ヒドロゲナーゼ活性の存在が実生の形質転換によるもの
であり、ある第2の又は興味のないできごとによるもの
でないことを確認している。
【0021】実施例2 A.微生物の調製:A. ツメファシエンス菌株C58の
単コロニーをYEBに接種し、この微生物を実施例1の
パートAで菌株B6について記載したようにしてインキ
ュベートした。C58菌株はA. ツメファシエンスの標
準野外タイプの菌株である。この菌株は vir+ であり適
当な植物宿主中でノパリンデヒドロゲナーゼの産生をコ
ードする。この菌株はイリノイ州エバンストンのノース
ウエスタン大学のジェムス(James)氏及びバーバラ リ
ッピンコット氏(Barbara Lippincott)からあるいはカル
ホニア州デービスのカルホルニア大学植物病理学部門の
クラレンス カド(Clarence Kado)氏より入手した。こ
の菌株はデピッカー (Depicker) 等の“プラスミド (Pl
asmid)、3、193(1980)”及びカオ(Kao) 等の
“Molec. Gen.Genet.,188,425(1982)”
に記載されている。菌株C58はまたATCCに寄託し
てあり、寄託番号3397Dが与えられている。 B.とうもろこしの形質転換:とうもろこしの近交黄色
イオチーフ (Jochief)系を滅菌し、発芽させ、接種し、
さらに実施例1のパートB及びCに記載したようにして
7〜14日間インキュベートしたが、とうもろこし実生
(seedlings) は菌株B6ではなくて菌株C58を接種し
た。
【0022】C.アッセイ: 1. 実生中の酵素活性のアッセイ:7〜14日インキュ
ベーション期間の終了時に、細胞を含まない抽出物(エ
キス)、即ち、無細胞抽出物を調製し実施例1、パート
Dに記載したようにして酵素活性をアッセイした。使用
した反応培地はノパリンデヒドロゲナーゼ活性をアッセ
イするように意図したものであった。この培地は実施例
1、パートDで示したように、0.2Mリン酸ナトリウム
緩衝液(pH=7.0)中に溶解させた60mMのL−アル
ギニン、60mMのα−ケトグルタル酸及び16mMのNAOH
とからなっていた。結果は第2B図に示す。第2B図の
レーン8は時間零で10回C−58接種実生無細胞抽出
物部分を等容量のノパリンデヒドロゲナーゼ反応培地と
混合することによって生成させた生成物を含み、レーン
7は10回C−58接種実生の無細胞抽出物の部分を等
容量のノパリンデヒドロゲナーゼ反応培地で15時間イ
ンキュベートすることによって生じた生成物を含む。即
ち、第2B図はノパリンがC58接種とうもろこし実生
の無細胞抽出物によって産生されるが(レーン7)、そ
のような産生は塩水対照では生じない(レーン5)こと
を示している。さらに、フェナンスレンキノン蛍光の増
加によって測定したときの産生ノパリン量はインキュベ
ーション時間に比例して増大するが、時間零ではノパリ
ンは反応混合物中に検出されず(レーン8)、15時間
のインキュベーション後に明らかに存在し(レーン
8)、かかる結果は反応が酵素触媒されかつC58接種
実生から抽出した酵素はノパリンデヒドロゲナーゼであ
るという命題に従っている。形質転換植物組織のみがオ
パインシンターゼ遺伝子を発現することは知られている
ので、これらの結果はまたとうもろこし実生が vir
+ A. ツメファシエンス菌株C58による感染によって
形質転換されているという命題によっている。
【0023】2.ピロノパインアッセイ:C58により
形質転換した実生からの抽出物によるノパリンの合成は
電気泳動性よりはむしろ他の基準によって確認される。
ノパリンを水によるペーパークロマトグラムにより溶出
し、減圧により蒸発させて容量を減じ等容量のホット
(100℃)2M酢酸と1時間反応させると、ピロノパ
リンが生成する。この転換反応はノパリン用の検証であ
り他のオパリン用ではない。第2C図においては、レー
ン1は合成ノパリンを上述したようにホット2M酢酸で
処理することによって合成ノパリンから生成させたピロ
ノパリンであり、レーン2は合成ノパリン(そのいく分
かが同時にピロノパリンに転換する)であり、レーン3
は10回C−58接種の実生からの無細胞抽出物の部分
を等容量のノパリンデヒドロゲナーゼ反応培地で15時
間インキュベートすることによって産生させた生成物で
あり、レーン4はこの生成物を上述のようにしてホット
2M酢酸によって処理したものである。明らかに、C5
8接種実生からの無細胞抽出物をノパリンデヒドロゲナ
ーゼ反応混合物でインキュベートすることによって産生
させた生成物(レーン3)はピロノパリン(レーン4)
に完全に転換されており、C58接種実生がノパリンデ
ヒドロゲナーゼを産生していることが確認される。
【0024】3.ノパリンの異化作用:最後に、ノパリ
ンをC58でインキュベートしノパリンがC58の唯一
のエネルギー源として作用する場合には、この微生物は
ノパリンを分解させるにつれて増殖するであろう。しか
しながら、ノパリンを唯一のエネルギー源として含む培
地で増殖させたB6はノパリンを破壊せず分解しないで
あろう。何故ならば、B6はノパリンの異化作用に必要
な特異性オパインオキシダーゼを欠如しているからであ
る。この原理に基づくアッセイを用いてC58接種実生
の無細胞抽出物により産生された生成物のノパリン同一
性を確認した。このアッセイの結果は第2D図に示して
おり、レーン1は合成ノパリンを含み、レーン2は10
回C58接種実生の無細胞抽出物の部分を等容量のノパ
リンデヒドロゲナーゼ反応培地で15時間インキュベー
トすることによって産生させた生成物であって、ピロノ
パリンアッセイに関して上述したようにして電気泳動さ
せ、水で溶出し、蒸発し、菌株B6で24時間インキュ
ベートさせたものを含み、レーン3は10回C−58接
種実生の無細胞抽出物の部分を等容量のノパリンデヒド
ロゲナーゼ反応培地で15時間インキュベートすること
によって産生させた生成物であって、電気泳動させ、溶
出しさらに菌株C58で24時間インキュベートさせた
ものを示す。C58接種実生の無細胞抽出物により産生
させた生成物は菌株C58により消滅した(レーン3)
が、菌株B6によっては消滅せず(レーン2)、生成物
がノパリンであることを確認した。
【0025】4.形質転換の効率:A. ツメファシエン
ス菌株C58を用いた近交黄色イオチーフとうもろこし
の形質転換の効率を試験した。結果は第3C図に示され
ており、10ケのレーンすべてが1回C58接種実生か
らの無細胞抽出物をノパリンデヒドロゲナーゼ反応培地
で6時間インキュベートすることによって産生した生成
物を含んでいる。明らかなように、10の実生のうちの
9つが形質転換されていた。追加の1回接種実生のアッ
セイをB6またはC58のいずれかで形質転換させた実
生を用いて行った。菌株B6またはC58のいずれかで
1回接種した実生の合計150回のアッセイのうち、6
0%が形質転換されていた。
【0026】5.対照(コントロール):産生したノパ
リンがある二次的な興味のない事実の結果である可能性
を削除するために、いくつかの対照試験を行った。第4
A図に示すように、実施例2のパートAで記載したよう
にして48時間培養したC58の懸濁液の無細胞音波処
理物の電気泳動は何らの含有ノパリンを示さなかった
(レーン3及び4)。さらに、これらの音波処理物をノ
パリンデヒドロゲナーゼ反応培地と混合し25℃で4時
間インキュベートさせたときも、ノパリンデヒドロゲナ
ーゼ活性は検出できなかった。このインキュベーション
の生成物を電気泳動させている第4B図のレーン6およ
び7を参照されたい。即ち、ノパリンデヒドロゲナーゼ
活性は48時間後の微生物培養物中で見い出されなかっ
た。また、ノパリンデヒドロゲナーゼ反応培地単独も何
らのノパリンを含んでいなかった。この反応培地単独を
電気泳動させている第4B図レーン5を参照されたい。
同様に、未感染とうもろこし実生中にもこのデヒドロゲ
ナーゼの証拠は見い出せなかった。レーン6〜10が未
感染単実生の無細胞抽出物を6時間ノパリンデヒドロゲ
ナーゼ反応培地でインキュベートすることによって産生
させた生成物を含んでいる電気泳動図を示す第4C図を
参照されたい。これらの結果は、C58接種実生の無細
胞抽出物中のノパリンデヒドロゲナーゼ活性が上記実生
の形質転換に基づくものであり何らかの二次的な興味の
ない事実によるものでないことを明確にしている。
【0027】実施例3 A.とうもろこしの形質転換:菌株C58を実施例2、
パートAで記載したようにして培養し、近交系黄色イオ
チーフとうもろこしを実施例2、パートBで記載したよ
うにして滅菌し、発芽させ、接種し、インキュベートさ
せた。7日間のインキュベーション後に、感染実生を鉢
植え土壌を含む鉢に植付けた。 B.アッセイ: 1.萌芽系の葉の中の酵素活性のアッセイ:植付け3週
間後に、3本の別々の植付物からの萌芽系 (embryonic
origin) の3枚の葉をノパリンデヒドロゲナーゼ活性の
存在を測定するためにアッセイした。アッセイ用に選定
した葉はまだ大きくなっていない植付物の幹からの第1
葉であった。各萌芽葉は接種時に各実生中に存在する分
化構造に由来するが、これらの分化構造は接種領域には
存在しない。アッセイを行うために、3枚の各萌芽葉を
それぞれトリス−HCl バッファー中で均質化し、遠心
して実施例2、パートCにおいて実生について記載した
ようにして酵素活性をアッセイした。3枚の各萌芽葉の
無細胞抽出物をノパリンデヒドロゲナーゼ反応培地で2
4時間インキュベートすることによって産生した生成物
の電気泳動の結果は第5A図に示され、この図において
は、レーン1、2および3がこのインキュベーションの
生成物を含んでいる。第5A図から明らかなように、各
萌芽葉の無細胞抽出物はノパリンデヒドロゲナーゼを含
むものではなくこれらの葉は上記の接種手順によっては
形質転換されてないことを示していた。
【0028】2.分裂系の葉中の酵素活性アッセイ:分
裂組織に由来する葉(萌芽葉以外のすべての葉)を、実
生の植え付け7週間後に、ノパリンデヒドロゲナーゼの
存在についてアッセイした。分裂組織は分裂して器官お
よび他の分化組織を形成できる急速分裂性の未分化小細
胞からなる組織である。葉に分化する分裂組織は接種領
域に存在している。アッセイを行うために、分裂組織由
来の葉から一部を切り取り、各葉から切り取った部分を
トリス−HCl バッファー中で一緒に均質化し、遠心
し、実施例2のパートCで実生について記載したように
して酵素活性についてアッセイした。アッセイに用いた
各葉の部分は第5B図の数字2および3で示される。数
字3で示される部分は線6および7に沿って切り取っ
た。線7は葉の中央脈と一致している。部分3は通常植
物に結合している葉の基幹部に位置する。この葉の基幹
部は葉の成長端であり、この領域は葉の最も新しい細胞
を含んでいる。数字2で示される部分は中央脈4に水平
である線5に沿って切ることによって切り取った。部分
2、2は葉の先端部にあり、葉の最も古い細胞を含んで
いる。各部分2および3は葉の表面積の約1/6を占め
る。分裂組織系の4枚の葉の上記部分の無細胞抽出物を
ノパリンデヒドロゲナーゼ反応培地でインキュベーショ
ンすることによって産生した生成物の電気泳動の結果を
第5C図に示す。第5C図において、レーン1はノパリ
ンデヒドロゲナーゼ反応培地を含み、レーン2〜5は葉
の無細胞抽出物をノパリンデヒドロゲナーゼ培地で12
時間インキュベートすることによって産生した生成物を
含んでいる。図示するように、4枚の葉のうちの3枚の
無細胞抽出物がノパリンを産生しこれらはノパリンデヒ
ドロゲナーゼ活性を含むことを示していた。これらの葉
は細胞分裂および分化による分裂組織に由来するので、
これらの結果は実生の接種領域中の細胞がとうもろこし
細胞の次の世代に対してノパリンデヒドロゲナーゼを合
成する能力を促進できることを示している。即ち、これ
らの結果は接種した領域の細胞およびこれらの細胞に由
来する細胞の形質転換が起こっていることを示してい
る。
【0029】3.花粉中の酵素活性のアッセイ:実生植
付け60日後に、2本の植付物の花粉サンプルをそれぞ
れノパリンデヒドロゲナーゼの存在についてアッセイし
た。。アッセイを行うために、約5〜10×105 個の
花粉粒子を含む0.5〜1.0ml の花粉をトリス−HCl
バッファー中で均質化し、遠心し実施例2、パートCで
実生について記載したようにして酵素活性をアッセイし
た。2本の植付け物からの花粉の無細胞抽出物をノパリ
ンデヒドロゲナーゼ反応培地で12時間インキュベート
することによって産生した生成物の電気泳動の結果は第
5D図に示しており、レーン2と3がこのインキュベー
ションの生成物を含んでおり、レーン1はノパリンデヒ
ドロゲナーゼ反応培地を含んでいる。この図から分ると
おり、2本の植付け物からの花粉はノパリンデヒドロゲ
ナーゼ活性を含んでいた。花粉は細胞分裂および分化に
より頂端分裂組織から誘導されるので、これらの結果
は、上記の分裂組織系の葉の結果同様に、形質転換が起
っていることを示している。 4.形質転換花粉からの実生中の酵素活性のアッセイ:
上記パートBの3で示した2本の形質転換植付け物から
の花粉を用いて未感染黄色イオチーフとうもろこし種か
ら生長した植付け物の穂に受精させた。この交配の結果
として受精植付け物により育成したF1 種実を収穫し、
発芽させ、実施例1のパートBおよびCで記載したよう
にして(ただし、実生は接種させなかった)、インキュ
ベートした。7〜14日のインキュベーション後に、実
生を実施例2のパートCに記載したようにして酵素活性
についてアッセイした。これらの実生の無細胞抽出物は
ノパリンを産生することが分り、この実生のF1 世代が
形質転換されていることを示している。
【0030】5.形質転換花粉からの作物から採取した
萌芽系の葉の酵素活性のアッセイ:本実施例のパートB
の4で記載した交配により生じた種実を収穫し、発芽さ
せ、実生を接種しないことを除いて実施例1のパートB
およびCで記載したようにしてインキュベートする。7
〜14日のインキュベーション後に、実生を本実施例の
パートAで記載したようにして植え付ける。植付け3週
間後に、萌芽葉を本実施例のパートBの1で記載したよ
うにしてノパリンーデヒドロゲナーゼ活性についてアッ
セイし、この萌芽葉の無細胞抽出物はノパリンを産生
し、形質転換されていることを示している。
【0031】実施例4 A.とうもろこしの形質転換:黄色イオチーフとうもろ
こしを滅菌し、発芽させ、接種し、さらに実施例1のパ
ートBおよびCで記載したようにして7〜14日間イン
キュベートした。ただし、とうもろこし実生の別々のグ
ループをA.ツメファシエンスの菌株A348、菌株J
K195または菌株238MXのいずれかで接種した。
A348菌株は菌株A6NCからの広域宿主範囲のプラ
スミドpTiA6NCを担持する。この菌株は vir+
あり適当な植物ホスト中でリソパインデヒドロゲナーゼ
の産生をコードする。菌株A6NCとプラスミドpTi
A6NCはシアキイ(Sciaky)等の“プラスミド(Plas
mid)、1、238(1977)”に記載されている。使
用したA348はワシントン州シアトルのワシントン大
学の微生物学および免疫学部門のユーゲン ネスター
(Eugene Nester)氏より入手した。この菌株は実施例1
のパートAで菌株B6について記載したようにして培養
した。菌株JK195と238MXは、それぞれ、臨界
的なvir領域に突然変異を有しており vir- である。
従って、これらはそのそれぞれの宿主へTiプラスミド
の必要な部分を運ぶことができない。結果として、これ
らの微生物を接種した材料から製せられた植物抽出物は
適当な反応培地に加えたとき何らのオパインも産生する
ことは期待されないであろう。238MXは背景的およ
び起源的にはA348菌株と同じであるが、vir領域
vir- とするvir領域に挿入された微生物トランスポ
ズンTn3を有する。菌株238MXはユーゲン ネス
ター氏(前出)から入手した。この菌株は実施例1のパ
ートAで菌株B6について記載したようにしてインキュ
ベートし100μg /mlのカルベニシリンを含むYEB
上で用いた。JK195菌株はC58由来の vir- ミュ
ータントである。この菌株はvir領域の相補群VI中
に挿入された微生物トランスポズンTn5を有する。菌
株JK195の詳細な記載はカオ(Kao)等の“Mol. Ge
n. Genet., 188、425(1982)”およびラン
ギスト(Lundguist)等の“Mol. Gen. Genet., 193、
1(1984)”に見い出し得る。使用したJK195
はクラーレンス カオ氏(前出)より入手した。また、
この菌株は実施例1のパートAで記載したようにしてイ
ンキュベートし、50μg /mlのリファムピシンを含む
YEBで使用した。
【0032】B.アッセイ: 1. 実生中の酵素活性のアッセイ:第3B図および第3
D図に示すように、238MX菌株またはJK195菌
株を接種した実生の無細胞抽出物はオパイン類を産生し
ない。第3B図においては、レーン6〜10が238M
X接種単実生の無細胞抽出物をリソパインデヒドロゲナ
ーゼ反応媒質で4時間インキュベートすることによって
生じた生成物を含む。明らかに、オクトパインが無細胞
抽出物によって合成されないので実生は何ら形質転換さ
れない。第3D図においては、10のレーンすべてがJ
195接種単実生の無細胞抽出物をノパリンデヒドロゲ
ナーゼ反応培地で6時間インキュベートすることによっ
て生じた生成物を含んでいる。ここでも、ノパリンが産
生されないので実生はどれも形質転換されてない。しか
しながら、A348株は形質転換に関して適格性があ
る。第3B図においては、レーン1〜5はA348接種
単実生の無細胞抽出物をリソパインデヒドロゲナーゼ反
応培地で4時間インキュベートすることによって生じた
生成物を含んでいる。明らかに、リソパインデヒドロゲ
ナーゼがA348を接種した5つの単実生のうちの1つ
の無細胞抽出物中に見出されて実生が形質転換されてい
ることを示している。即ち、T−DNAを転写できる v
ir+ A.ツメファシエンス菌株のみがとうもろこし実生
を形質転換している。vir領域に突然変異を有し従っ
て転写マイナスであるものは感染植物から生成させた抽
出物中のオパインシンターゼ活性を刺激しない。
【0033】実施例5 A.ツメファシエンス菌株T37の単コロニーをYEB
中に接種し、この微生物を実施例1のパートAで菌株B
6について記載したようにしてインキュベートした。T
37菌株はA.ツメファシエンスの標準野外タイプ菌株
である。この菌株はvir+ であり、適当な植物ホスト中
でノパリンデヒドロゲナーゼの産生をコードする。T3
7はワシントン州マジソンのワシントン大学植物生理学
部門のジョンケンプ(John Kemp)氏から入手したが、オ
ハイオ州トレンドのトレンド大学生物学部門のアンC.
F.グレーブス(Anne C. F. Graves)氏からも入手でき
る。この菌株はチューゲオン(Turgeon)等の“PNA
S、73、3562(1976)”およびシアキイ(Sciak
y)等の“Plasmid,1,238(1978)”に記載さ
れている。近交黄色イオチーフ系とうもろこしの種実を
滅菌し、発芽させ、さらに実施例1のパートBおよびC
で記載したようにして7〜14日間インキュベートし
た。ただし、とうもろこし実生は菌株B6でなく菌株T
37で接種した。7〜14日インキュベーション期間終
了時に、実生を実施例2のパートCで記載したようにし
て酵素活性についてアッセイした。この手順により、T
37接種とうもろこし実生の細胞なし抽出物によるノパ
リン産生が示され実生は形質転換されていることを示し
た。
【0034】実施例6 A.ツメファシエンス菌株C58の単コロニーをYEB
中に接種し、この微生物を実施例2のパートAで記載し
たようにしてインキュベートした。とうもろこしの近交
PA91株の種実を滅菌し、発芽させ、接種し、さら
に、実施例1のパートBとCで近交黄色イオチーフ株に
ついて記載したようにして7〜14日間インキュベート
した。PA91株は商業的に入手できる標準のとうもろ
こし近交株である。この株はインデアナ州グリーンビル
のイーライ リリー社のジーン ロバーツ(Jean Rober
ts)氏より入手した。7〜14日間のインキュベーショ
ン期間終了時に、実生を実施例2のパートDで記載した
ようにしてアッセイした。第7図に示すように、無細胞
抽出物によるノパリン産生が示されPA91株とうもろ
こしは形質転換されていることが示された。第6図にお
いては、レーン1〜10が一回C58接種実生の無細胞
抽出物をノパリンデヒドロゲナーゼ反応培地で6時間イ
ンキュベートすることにより生じた生成物を含んでい
る。明らかに、無細胞抽出物の10すべてがノパリンを
産生し実生が形質転換されていることを示していた。
【0035】実施例7 A.ツメファシエンス菌株B6の単コロニーを酵母エキ
スブイヨンに接種し、この微生物を実施例1のパートA
で記載したようにしてインキュベートした。近交黄色イ
オチーフ株とうもろこしの種実を滅菌し、発芽させ、接
種し、さらに実施例1のパートBとCで記載したように
して7〜14日間インキュベートしたが、種実は次のよ
うにして発芽させた。滅菌後、種実を約12時間滅菌蒸
留水に浸した。次いで、種実を滅菌ペトリ皿中の滅菌湿
潤ワットマンNo.3紙上でインキュベートしたが、浸漬し
た種実は浸漬しない種実よりも短時間で発芽するので1.
5〜2.0日の間インキュベートさせたのみであった。7
〜14日間のインキュベーション期間の終了時点で、実
生を実施例1のパートDで記載したようにして酵素活性
についてアッセイした。この手順により、感染実生の無
細胞抽出物によるオクトパイン産生が認められ実生が形
質転換されていることを示していた。
【0036】実施例8 A.ツメファシエンス菌株LBA4013の単コロニー
をYEB中に接種し、この微生物を実施例1のパートA
で菌株B6について記載したようにしてインキュベート
した。LBA4013菌株はA.ツメファシエンス菌株
Ach5由来の変異株である。LBA4013は vir+
ある野外タイプTiプラスミドpTiAch 5を含んでおり、
またLBA4013は適当な植物宿主中でリソパインデ
ヒドロゲナーゼの産生をコードする。LBA4013は
インデアナ州インデアナポリスのイーライリリー社のク
レッグワルドロン(Clegg Wardron)氏より入手した。こ
の菌株はマートン(Marton)等の“Mature,277、1
29(1979)”に記載されている。近交黄色イオチ
ーフ株とうもろこしの種実を滅菌し、発芽させ、接種
し、さらに実施例1のパートBとCで記載したようにし
て7〜14日間インキュベートしたが、とうもろこし実
生は菌株B6ではなく菌株LBA4013を接種した。
7〜14日間のインキュベーション期間終了時に、実生
を実施例1のパートDに記載したようにして酵素活性に
ついてアッセイした。この手順によりLBA4013形
質転換実生の無細胞抽出物によるオクトパイン産生が認
められ、実生は形質転換していることが示されていた。
【0037】実施例9 A.微生物の調製:A.ツメファシエンス菌株CA19
の単コロニーをYEB中に接種し、この微生物を実施例
1のパートAで菌株B6について記載したようにしてイ
ンキュベートした。CA19菌株は菌株LBA4013
に由来し、実施例8で記載したように vir+ であるpT
iAch5を含んでおり、また菌株CA19は適当な植物
宿主中でリソパインデヒドロゲナーゼの産生をコードす
る。菌株CA19はまたミクロ−TiプラスミドpCE
L44を含んでいる。ミクロプラスミドpCEL44は
オクトパインシンターゼ遺伝子の5′プロモーターと会
合アミノ末端領域をコードしている配列およびオクトパ
インシンターゼ遺伝子の3′末端配列間に挿入されたハ
イグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(aph I
V)をコードする遺伝子からなる構築体である。この構
築体は広域宿主範囲のベクターpKT210中のT−D
NAのより広いフラグメント間に集まっている。ミクロ
プラスミドpCEL44は植物細胞を形質転換しハイグ
ロマイシン耐性とすることができる。菌株CA19は次
の如くして調製する。
【0038】1. エシェリキア コリ(Escherichia co
li)RR1ΔM15/pCEL30の培養とプラスミド
pCEL30の単離:プラスミドpCEL30はT−D
NAの右手方向に広い配列およびプラスミドpTiA6
6由来のオクトパインシンターゼ(ocs)の5′末端
からなる。特異なBglIIサイトを含むリンカーをoc
遺伝子の11番目のコドンに結合している。リンカー
にはプラスミドpTiC58のノパリンシンターゼ遺伝
子の末端化およびポリアデニル化信号が結合されてい
る。これらの配列にはプラスミドpTiA66由来のT
−DNAの左手方向に広い配列を含む配列が結合してい
る。プラスミドpCEL30の制限サイトと機能マップ
は第8図に示されている。プラスミドpCEL30はエ
シエリキアコリK12RR1ΔM15/pCEL30か
ら都合よく単離される。E.コリRR1ΔM15/pC
EL30はイリノイ州ペオリア61604のノーサン
リージョナル リサーチ ラボラトリー(National Reg
ional Research Laboratory :NRRL)に寄託されて
おり、寄託番号NRRL B−15915を有してい
る。単離は次のようにして行う。E.コリRR1ΔM1
5/pCEL30を50mg/mlのアンピシリンを含むL
培地(10g/lのカゼイン水解物、5g/lの酵母抽
出物、5g/lのNaCl、1g/lのグルコース、pH7.
4)の750 ml中で通常の微生物手法により増殖させる。
この培養株は激しく振とうさせながら37℃で24時間
インキュベートさせた後に収穫する。培養株を遠心し、
細胞ペレットを50mlの新に調製した溶解バッファー
(50mMのトリス−HCl 、pH8.0、10mM EDTA、
9mg/mlのグルコース、2mg/lのリソザイム)に再懸
濁させる。45分間の氷上インキュベーションの後、懸
濁液を0.2M NaOHと1%のSDSである溶液100mlと
混合する。続いて懸濁液をさらに5分間氷上に保持す
る。3Mの酢酸ナトリウムにさらに90mlを加え、混合
物をさらに追加の60分間氷上に保持する。
【0039】細胞片を遠心により除去し、上清を500
mlのエタノールと混合する。−20℃で2時間後、核酸を
遠心によりペレット化し、10mMのトリス−HCl 、pH
8、10mM EDTAの90ml中に再懸濁させる。核酸
溶液を90gmの塩化セシウム、および10mg/mlの臭化
エチジウム含有溶液0.9mlと混合する。この混合物を次
いで40,000rpm で24時間遠心してプラスミドDN
Aを精製する。プラスミドDNAバンドを回収し次いで
40,000rpm で16時間遠心する。プラスミドDNA
バンドを再び回収し通常の方法により塩化セシウムと臭
化エチジウムを除去する。次にプラスミドDNAバンド
を90g/lの酢酸アンモニウムを含む2容量のエタノ
ールで沈澱させる。ペレット化DNAをTEバッファー
(10mMトリス−HCl 、pH8、1mM EDTA)に0.
2mg/mlの濃度で溶解させる。
【0040】2. E.コリJA221/pOW20の培
養およびプラスミドpOW20の単離:E.コリJA2
21/pOW20を本実施例のパートAの1でE.コリ
RR1AΔM15/pCEL30について記載したよう
にして増殖させ、プラスミドpOW20を本実施例のパ
ートAの1でプラスミドpCEL30について記載した
ようにして調製する。 3. E.コリRR1ΔM15/pCEL40の構築:5
μgのプラスミドpCEL30DNAを酵素製造業者に
より推奨される組成の150μl反応混合物中の50単
位のBglII制限酵素によって消化する。制限酵素およ
び他の酵素は次の供給者より容易に入手できる: ベセスダ リサーチ ラボラトリーズ インコーポレッド (メイランド州 ロックビル 20850 ボックス 6010) ベーリンガー マンハイム ビオケミカルズ (インデアナ州 インデアナポリス 46250 P.O. ボックス 50816 ) ニューイングランド バイオ ラボラトリーズ インコーポレッド (マサチュセッツ州 ベバリー 01915 32 トーゼルロード) 消化は37℃、90分で進行せしめる。反応混合物を先
ず0.5Mトリス−HCl 、pH8、1mMのEDTAの8.7
5μlと混合し、次いで1.25単位の子牛腸ホスファタ
ーゼ(ベーリンガーマンハイム社より購入できる)と混
合し、37℃で15分間インキュベートする。混合物を
次に緩衝化フェノールで次いでエーテルで抽出し、酢酸
アンモニウム含有エタノール2容量で沈澱させる。−7
0℃で30分後に、DNAをペレット化しTEバッファ
ー中に10μg/mlの濃度で再溶解する。約20μgの
プラスミドpOW20DNAを制限酵素BamHIとBg
lIIにより酵素製造業者が推奨する手順に従って消化し
aphIV遺伝子を得る。aphIV遺伝子はハイグロマイ
シンに耐性の遺伝子を含む植物を形成するE.コリ遺伝
子である。
【0041】この消化により得たDNAフラグメントを
アガロースゲル電気泳動の通常方法により分画しアガロ
ースゲル中に挿入したNA−45DEAE紙(ニューハ
ンプシャー州03431のキーンのシュレイチャー ア
ンド シュウェル社)上に電気泳動中に包括させること
によって単離した。DNAを上記の紙から上記紙を5秒
間十分量の高塩バッファー(1.0M NaCl 、0.1mM E
DTA、および20mMトリス、pH8.0)でスピニング
することにより溶出して紙をミクロ遠心機中に回収す
る。この紙を55〜60℃で10〜45分間必要に応じ
て渦巻かせることによってインキュベートする。バッフ
ァーを除去し、紙を約 50μl のバッファーで洗浄す
る。DNAを先ずフェノールで次いでエーテルで抽出
し、TEバッファー中に約25μg /mlの濃度で再懸濁
させる。10ngのホスホターゼ処理BglII切断プラス
ミドpCEL30を15μl の0.8ユニットT4 DNA
リガーゼ含有リガーゼバッファー(50mMトリス−HC
l、pH7.6、10mM MgCl2、10mM DTT、および
1mM ATp)中で50ngの精製〜1.3kbBamBa
IIフラグメントと混合する。この混合物を一夜15℃
でインキュベートする。この連結反応混合物を15μl
の滅菌60mM CaCl2溶液と混合する。次に−70℃で3
0mM CaCl2、15%グリセロール中で20倍濃縮で貯蔵
した適格E.コリRR1ΔM15細胞の懸濁液70μl
を加える。氷上で60分経過後、形質転換混合物を42
℃で2分間加熱処理し、次いで0.5mlL培地で37℃、
90分間インキュベートする。混合物のサンプルをアン
ピシリンを50mg/l で含むL培地上に拡散させ寒天に
より15g/l で固化する。これらのサンプルを次いで
一夜37℃でインキュベートして形質転換細胞からのコ
ロニーの増殖を行う。形質転換により得られるコロニー
をアンピシリンを50mg/l で含む5mlのL培地中に接
種し、37℃で一夜増殖させる。プラスミドDNAは、
これら培養物の1mlサンプルから、ホルメス(Holmes)
とキーグレイ(Quigley)の“Analytical Biochemistry,
114、193(1981)”の方法により調製し、5
0μlのTEバッファー中に再溶解させる。
【0042】4. ミクロTiプラスミドpCEL44の
構築:プラスミドpCEL40はアグロバクテリウム中
の複製たり得ないので、プラスミドpCEL40のミク
ロT−DNAを先ずEcoRIフラグメントとして広域宿
主範囲のベクターpKT210中に転写した。この広域
宿主範囲ベクターはカルホルニア州(94305)のパ
ロアルトのスタンフオード大学のプラスミドリファレン
スセンターより入手できる。5μgのプラスミドpKT
210を酵素製造業者の推奨する組成の150μlの反
応液中でEcoRI制限酵素の50単位で消化する。37
℃で90分後に、反応物を本実施例のパートAの3で記
載したような子牛腸ホスファターゼで処理しTEバッフ
ァ中に10μg /mlの濃度に溶解する。本実施例のパー
トAの3で記載したようにして増殖させたプラスミドp
CEL40DNA調製物15μl を10単位のEcoRI
制限酵素で20μl 反応液中で37℃、90分間消化
し、次いでフェノールで抽出し、エーテルで抽出する。
消化したDNAを酢酸アンモニウム含有エタノールの2
容量で−20℃で沈澱させ、20μl のTEバッファー
中に再溶解する。10ngのホスファターゼ処理EcoRI
切断pKT210を本実施例のパートAの3で記載した
ようにして5μl のEcoRI切断pCEL40と連結反
応させて本実施例のパートAの3で記載したようにして
E.コリRR1ΔM15に形質転換する。pCEL44
含有の形質転換細胞をその能力により用いてクロラムフ
ェニコールを10mg/l 含む固化L培地上で増殖させ
る。pCEL44の制限サイトおよび機能マップは第9
図に示される。
【0043】5. 菌株CA19を形成するためのpCE
L44のA.ツメファシエンスLBA4013への接
合:RR1ΔM15/pCEL44とE.コリpRK2
013を固化L培地上で37℃、一夜増殖させる。A.
ツメファシエンスLBA4013は固化L培地上で28
℃、2日間増殖させる。E.コリ1K12 RR1ΔM
15/pCEL44の1個のループ、E.コリpRK2
013の1個のループおよびA.ツメファシエンスLB
A4013の1個のループとを1mlの30mM硫酸マグネ
シウム溶液中に混合する。次に、この混合物の1滴を固
化TY培地(5g/l のカゼイン水解物、5g/l の酵
母抽出物、15g/l の寒天)上に乗せ28℃で一夜イ
ンキュベートする。上記細菌増殖物を3mlの10mM硫酸
マグネシウム溶液に再懸濁し、0.1mlの階階希釈サンプ
ルを100mg/l のナリジキシン酸と2mg/l のクロラ
ムフェニコールとを含む固化TY培地上に拡散し28℃
でインキュベートする。接合完了体は2〜4日間増殖後
個々のコロニーに生長する。これらのコロニーを100
mg/l のナリシキシン酸と2m/l のクロラムフェニコ
ールを含む液体TY培地25ml中に1回接種しさらに2
日間振とうさせながら28℃でインキュベートする。接
合完了体のプラスミド含有量を次いでカッセ(Casse)等
の方法(Journal of General Microbiology, 113、 229
−242 、1979)によりチェックし、野外タイプpTiA
ch5プラスミドとpCEL44プラスミドを含む菌株C
A19を単離する。本発明の方法を実施するのに用いる
CA19はインジアナ州インジアナポリスのイライ リ
リー社のクレック ウォルトロン氏より入手した。菌株
CA19の調製はウォルトロン等の“Plant Molec. Bio
l., 5、103(1985)”にも記載されており、そ
の記載は本明細書に参考として引用する。 B.とうもろこしの形質転換:近交黄色イオチーフ株と
うもろこしの種実を滅菌し、発芽させ、接種しさらに実
施例1のパートBとCで記載したようにして7〜14日
間インキュベートしたが、とうもろこし実生は菌株B6
ではなく菌株CA19で接種した。
【0044】C.アッセイ: 1. 実生のリソパインデヒドロゲナーゼ活性のアッセ
イ:7〜14日間インキュベーション期間終了時に、実
生を実施例1のパートDに記載したようにして酵素活性
についてアッセイした。結果は第6図に示すとおりであ
り、レーン1〜10は一回CA19接種実生の無細胞抽
出物をリソパインヒドロキゲナーゼで4時間インキュベ
ートすることによって生じた生成物を含んでいる。それ
より明らかなように、1回接種CA19とうもろこし実
生の無細胞抽出物10のうちの9つにおいてオクトパイ
ン産生が認められ、実生がリソパインデヒドロゲナーゼ
を含有して形質転換されていることが示された。 2. 実生のハイグロマイシン耐性のアッセイ:菌株CA
19を接種したいくつかの実生を接種後3〜4日間のみ
インキュベートし、その時点で次のようにしてハイグロ
マイシン耐性をアッセイした。実生を内乳および胚盤
(第1A図および第1B図参照)から切り取り約3mmの
断面積に切断した。これらの断面切断物を各々200μ
g /mlのカルベニシリン(シグマ)とバンコマイシン
(リリー)とを加えたダンカン培地(ダンカン等により
“Plants, 165、322(1985)”中に記載され
ている)、または各々200μg /mlのカルベニシリン
とバンコマイシンを加えたBN4 培地〔ムラシージ(Mu
rashige)およびスクーグ(Skoog)の主要および微量塩
(Physiol. Plant,15,473(1962)に記載さ
れている)、4mg/l のオーキシンとしての2,4−ジ
クロロフェノキシ酢酸、9g/l のデフコバクトアガー
(Difco Bactoager)、および20g/l のサクロース〕
上で暗中で25〜27℃で3週間培養し、さらに3週間
抗菌剤への通過を行った。上記とうもろこし実生由来の
組織培養物のハイグロマイシンに対する応答性を試験す
るためには、全断面プラス断面から生長した組織または
100mgのカルスサンプルのいずれかをファルコン10
05ペトリ皿中の上記濃度のバンコマイシンおよびカル
ベニシリンを加え約125μg /mlのハイグロマイシン
B(リリー社)を含む50mlのダンカン培地またはBN
4 培地上に乗せる。この試験は27℃での暗中インキュ
ベーション3週間後に増殖の観察チェックにより読み取
る。増殖中の培養物は淡色であり粒度の増大を示してい
る。この試験を用いて、正増殖表現型をCA19接種実
生由来の培養物から回収し、実生が異種ハイグロマイシ
ン遺伝子により形質転換されていることを示す。
【0045】実施例10 A.除草剤グリホサイトに対する耐性を与える遺伝子を
担持するA.ツメファシエンス菌株の調製: 1. E.コリRR1ΔM15/pCEL30の培養とプ
ラスミドpCEL30の単離:E.コリRR1ΔM15
/pCEL30を実施例9のパートAの1で記載したよ
うにして増殖し、プラスミドpCEL30を実施例9の
パート1のAで記載したようにして単離する。 2. プラスミドpCEL30のBglII消化と子牛腸ホ
スファターゼによる処理:5gのプラスミドpCEL3
0DNAを実施例9のパートAの3で記載したようにし
て消化し子牛腸ホスファターゼで処理する。
【0046】3. グリホサイト耐性EPSPシンターゼ
遺伝子の単離:グリホサイト耐性5−エノールピルボイ
ルシキミ酸−3リン酸シンターゼ遺伝子(GREPSP
S遺伝子)をコードする遺伝子をコマイ(Comai)等の
“Nature, 317、714(1985)”およびスタル
カー(Stalker)等の“J. Biol. Chem., 260、472
4(1985)”に記載されたようにして単離する(こ
れら文献の記載は参考として本明細書に引用する)。こ
の方法の最終工程において、プラスミドpPMG34か
ら切断されたBamHIのフラグメント中のGREPSP
S遺伝子をプラスミドpUC7にクローン化してプラス
ミドpPMG38を得る。GREPSPS遺伝子はその
後プラスミドpPMG38からEcoRIフラグメントと
して切り取る。EcoRIフラグメントは次いで適当な商
業的に入手できる分子リンカーを用いて修飾してBgl
II消化 pCEL30プラスミド上の特異的BglIIサ
イトと連結反応できるようにまたEcoRIサイトを除去
できるようにする。除草剤グリホサイト(N−ホスホノ
メチル−グリシン)は雑草および作物種の両方を殺す広
汎に使用される広域スペクトル除草剤である。この除草
剤は芳香族化合物の生合成の代謝段階を抑制し、グリホ
サイトの細胞ターゲットは5−エノールピルボイルシキ
ミ酸−3−リン酸シンターゼ(EPSPシンターゼ)で
あり、これはホスホエノールピルベイトとシキメートか
らの5−エノールピルボイルシキミ酸3−リン酸の形成
を触媒し、該シキミ酸塩経路のこの段階の抑制が実際に
細胞死をもたらしている。GREPSPS遺伝子はサル
モネラ チフィムリウム(Salmonella typhimurium)の
aroA部位の変異体対立遺伝子であり、この遺伝子は
EPSPシンターゼをコードし、セリンのプロリンへの
置換により該酵素のグリホサイトに対する親和性を減少
せしめる。
【0047】4. 連結反応:実施例9のパートAの3で
調製した10ngのホスファターゼ処理BglI切断プラ
スミドpCEL30を15μl の0.8ユニットT4 DN
Aリガーゼ含有リガーゼバッファー中で50ngのGRE
PSPS遺伝子(結合リンカーを含む)と混合する。混
合物を15℃で一夜インキュベートする。この連結反応
混合物を用いて実施例9のパートAの3で記載したよう
にして適格E.コリRR1ΔM15細胞を形質転換す
る。 5. GREPSPS遺伝子を担持するミクロ−Tiプラ
スミドの構築:実施例9のパートAの3に記載したよう
なアンピシリン含有L培地上での本実施例のパートAの
4で記載したようにして生成させた形質転換細胞の選定
後、形質転換E.コリRR1ΔM15細胞からのプラス
ミドを、実施例9のパートAの4で記載したように、E
coRIフラグメントとして、広域宿主範囲のベクターp
KT210に転写する。 6. A.ツメファシエンスLBA4013への接合:広
域宿主範囲ベクターpKT210上にGREPSPS遺
伝子を担持するプラスミドを、実施例9のパートAの5
に記載したような接合により、A.ツメファシエンス菌
株LBA4013へ転写する。得られた接合完了体を実
施例9のパートAの5に記載したようにして選択し、G
REPSPS遺伝子を担持するA.ツメファシエンスの
新規な菌株(以下、菌株LBA4013/GREPSP
Sと称す)を単離する。 B.とうもろこしの形質転換:近交黄色イオチーフ株と
うもろこしの種実を滅菌し、発芽させ、接種し、さらに
実施例1のパートBとCで記載したようにしてインキュ
ベートしたが、とうもろこし実生は菌株B6ではなく菌
株LBA4013/GREPSPSを接種した。7日間
のインキュベーション後、この感染実生を鉢植土壌を含
む鉢に植付ける。
【0048】C.アッセイ: 1. 花粉中の酵素活性のアッセイ:実生の植付け60日
後に、5本の植付け物の花粉の各サンプルを、それぞ
れ、実施例3のパートBで記載したようにして、リソパ
インデヒドロゲナーゼの存在についてアッセイする。5
本の植付け物から花粉の無細胞抽出物をインキュベート
することによって生じた生成物の電気泳動の結果は花粉
の無細胞抽出物の5つのうちの3つがオクトパインを産
生することを示しており、花粉が形質転換していること
を示している。 2. EPSPシンターゼ活性のアッセイ:分裂組織から
の葉を、実生の植付け7週間後に、ブーコック(Boococ
k)とコギンズ(Coggins)の方法(“FEBS Letters,
154、127(1983)”;その記載は参考として本明
細書に引用する)により、EPSPシンターゼ活性につ
いてアッセイする。5本の個々の植付け物からの5枚の
葉をアッセイし、3枚がEPSPシンターゼ活性を含む
ことが認められ、形質転換が起っていることを示してい
る。 3. グリホサイトに対する耐性のアッセイ:本実施例の
パートCの2の結果として葉中にEPSPシンターゼ活
性を含んでいることを確認した3本の植付け物に0.5kg
/ヘクタールに等価のグリホサイトイソプロピルアミン
塩を噴霧する。3本の植付け物はすべて対照に比べ著し
いグリホサイト耐性を示す。好ましい実施態様を示す以
上の記載により、特許請求する本発明の範囲を何ら限定
する積りはない。当業者ならば多くの修正、変形および
応用が可能であることは理解されるであろう。
【0049】実施例11 A.とうもろこしの形質転換:菌株CA19を実施例9
のパートAで記載したようにして培養し、黄色イオチー
フとうもろこしを滅菌し、発芽させ、CA19を接種
し、実施例1のBとCで記載したようにしてインキュベ
ートした。実生をまたA.ツメファシエンス菌株CA1
7でも接種した。CA17は菌株CA19と同じてある
が、ハイグロマイシン耐性をコードする遺伝子が反対方
向に挿入されている。さらに、実生はまたYEB単独で
も接種した。7日間のインキュベーション後、接種した
実生すべてを植付けた。 B.アッセイ: 1. 形質転換植付物の上部葉中の酵素活性のアッセイ:
植付け物が成熟に達したとき、その上部の葉を実施例3
のパートBの2に記載したようにしてリソパインデヒド
ロゲナーゼ活性の存在についてアッセイした。ただし、
リソパインデヒドロゲナーゼ反応培地を用いた。CA1
9接種実生からの5本の植付け物の葉、CA17接種実
生からの2本の植付け物の葉およびYEB接種の3本の
植付け物の葉をアッセイした。結果は第14図に示す。
第14図において各レーンは次の物質を含む。
【0050】 各レーンの含有物 植付物コ 実生上に用 レーン ード番号 いた菌株 採取した植物部位 備 考 1 − − − 合成オクトパ イン標準物 2 S−1 YEB 刀状葉 − 3 19−6 CA19 刀状葉の下の葉 − 4 19−6 CA19 ひこばえ − 5 17−4 CA17 穂の苗条 − 6 19−3 CA19 〃 − 7 19−3 CA19 刀状葉の下の葉 − 8 S−5 YEB 〃 − 9 17−3 CA17 刀状葉の下の葉 − 10 17−3 CA17 刀状葉の下の第2葉 − 11 19−4 CA19 刀状葉の下の葉 − 12 S−8 YEB 〃 − 13 19−5 CA19 刀状葉 − 14 19−5 CA19 刀状葉の下の葉 − 15 19−2 CA19 刀状葉 − 16 19−2 CA19 刀状葉の下の葉 −
【0051】第14図に示すように、YEB接種実生か
らの葉の抽出物はいずれもオクトパインを産生せず、一
方CA−19接種およびCA−17接種実生の12抽出
物のうちの8つがオクトパインを産生した。 2. 形質転換植付物の上部葉中の微生物のアッセイ:本
実施例のパートBの2で記載したリソパインデヒドロゲ
ナーゼアッセイに用いた葉の抽出物のアリコートを塗抹
してこれらの抽出物中に何らかの微生物が存在するかど
うかを測定した。これらの塗抹の結果として増殖する微
生物コロニーをアクロバクテリウム検出用ラクトーズ含
有培地に転写した。原塗抹の結果として増殖しラクトー
スを酸化してラクトン酸として微生物はなく(YEB接
種実生、CA19接種実生またはCA17接種実生の葉
からのいずれの抽出物においても)、微生物中には実生
を接種するのに用いた種類のアグロバクリウムは存在し
ないことが示された。
【0052】3. F1 植付物の葉中の酵素活性のアッセ
イ:上記アッセイの結果を用いて、植付物19−5およ
び19−3を用いてさらに試験を行った。植付物19−
5はその最上部の2枚の葉の抽出物が該植付物が房毛
(tassel)まで拡大する形質転換領域を有し得ることを
示すリソパインデヒドロゲナーゼ活性に対して陽性であ
ったので用いた。植付物19−3はその“穂の苗条”、
および“刀状葉の下の葉”の抽出物が該植付け物が穂ま
で延びた形質転換領域および房毛まで延びた形質転換領
域を有し得ることを示すリソパインデヒドロゲナーゼ活
性に対して陽性であるので用いた。これら2本の植付物
は自己受粉させた。次いで、受粉26〜27日後、植付
物19−3と 19−5の未成熟穂を採取し表面を滅菌
した。これら植付物からの穂の遅成熟胚を切り取り半強
力カラシゲースリーグ培地に植付けた。胚を光中で8〜
10日間無菌状態で発芽させ、その時点で土壌に植付け
た。土壌に移植して生長したF1 種実の分裂組織由来の
葉を実施例3のパートBの2に記載したようにして、た
だし、リソパインデヒドロゲナーゼ反応培地を用いてリ
ソパインデヒドロゲナーゼ活性についてアッセイした。
オクトパインと共遊走(co-migration)した電気泳動図
上のスポットの染色度を評価した。結果は第1表に示
す。そこで示されるように、実生のいくつかはオクトパ
インを産生し、本特性のF1 世代への有性伝播を示し
た。
【0053】 植付物19−3から採取した 植付物19−5から採取した 評 価 胚より生じた植付物の葉 胚より生じた植付物の葉 死 滅 85 9 (試験せず) 陰 性 71 76 (その後死滅25) (その後死滅7) 弱陽性 5 17 (その後死滅3) (その後死滅0) 陽 性 34 27 (その後死滅8) (その後死滅3) 強陽性 3 3 (その後死滅0) (その後死滅0)
【0054】実施例12 A.ツメファシエンス菌株B6の単コロニーを酵母エキ
スブイヨンに接種し、この微生物を実施例1のパートA
で記載したようにしてインキュベートした。ライムギの
種実を滅菌し、発芽させ、接種し、さらに、実施例1の
BとCで記載したようにして7〜14日間インキュベー
トした。実生は先端分裂組織、即ち、生殖系細胞を生じ
る急速分裂細胞領域に接種した。7〜14日インキュベ
ーション期間終了時に、実生を実施例1のパートDで記
載したようにして酵素活性についてアッセイした。B6
接種ライムギ実生の無細胞抽出物をリソパインデヒドロ
ゲナーゼ反応培地に加えることによって生じた生成物の
電気泳動の結果は第10図に示す。この図においては、
レーン1が合成オクトパイン標準物を含み、レーン2−
6は単B6接種ライムギ実生の無細胞抽出物をリソパイ
ンデヒドロゲナーゼ反応培地でインキュベートすること
によって生じた生成物を含む。第10図に示された結果
はオクトパイ産生が試験した4つのB6接種ライムギ実
生(レーン2、3、4および6)のうちの3つにより生
じていることを示している。これらの結果はライムギ実
生が vir+ A.ツメファシエンス菌株B6による感染に
よって形質転換されていることを示している。
【0055】実施例13 A.ツメファシエンス菌株B6の単コロニーを酵母エキ
スブイヨンに接種し、この微生物を実施例1のパートA
に記載したようにしてインキュベートした。オオムギの
種実を滅菌し、発芽させ、接種し、さらに、実施例1の
BとCに記載したようにして7〜14日間インキュベー
トした。実生は先端分裂組織、即ち、生殖系細胞を生ず
る急速分裂細胞領域で接種した。7〜14日インキュベ
ーション期間の終了時に、実生を実施例1のパートDで
記載したようにして酵素活性についてアッセイした。B
6接種オオムギ実生の無細胞抽出物をリソパインデヒド
ロゲナーゼ反応培地に加えることによって生じた生成物
の電気泳動の結果は第11図に示す。この図において
は、レーン1が合成オクトパイン標準物を含み、レーン
2〜6は単B6接種オオムギ実生の無細胞抽出物をリソ
パインデヒドロゲナーゼ反応培地でインキュベートする
ことによって生じた生成物を含む。第11図に示す結果
はオクトパイン産生がB6接種オオムギ実生の5つの無
細胞抽出物のうちの5つによって生じていることおよび
実生が形質転換されていることを示している。
【0056】実施例14 A.ツメファシエンス菌株C58の単コロニーをYEB
に接種し、この微生物を実施例2のパートAに記載した
ようにしてインキュベートした。オ−トムギの種実を滅
菌し、発芽させ、接種し、さらに実施例1のパートBと
Cで記載したようにして7〜14日間インキュベートし
た。実生を先端分裂組織、即ち、生殖系細胞を生じる急
速分裂細胞領域に接種した。7〜14日間のインキュベ
ート期間終了時に、実生を実施例2のパートDに記載し
たようにしてアッセイした。結果は第12図に示す。第
12図では、レーン1がノパリンデヒドロゲナーゼ反応
培地のみを含み、レーン2はノパリン標準物を含み、レ
ーン3〜11は1回C58接種オートムギ実生の無細胞
抽出物をノパリンデヒドロゲナーゼ反応培地でインキュ
ベートすることによって生じた生成物を含み、レーン1
2は合成オクトパインを含む。明らかに、1回C58接
種オートムギ実生の無細胞抽出物を9つのうちの6つは
ノパリンを産生し実生が形質転換されていることを示し
ている。
【0057】実施例15 A.ツメファシエンス菌株C58の単コロニーをYEB
に接種し、この微生物を実施例2のパートAに記載した
ようにしてインキュベートした。コムギの種実を滅菌
し、発芽させ、接種し、さらに実施例1のパートBとC
に記載したようにして7〜14日間インキュベートし
た。実生は先端分裂組織、即ち、生殖系細胞を生じる急
速分裂細胞領域に接種した。7〜14日間のインキュベ
ーション期間終了時に、実生を実施例2のパートDに記
載したようにしてアッセイした。結果は第13図に示
す。第13図において、レーン1はノパリン標準物を含
み、レーン2〜6は1回C58接種コムギ実生の無細胞
抽出物をノパリンデヒドロゲナーゼ反応培地でインキュ
ベートすることによって生じた生成物を含み、レーン7
は合成オクトパインを含み、レーン8は合成オクトパイ
ンとリソパインデヒドロゲナーゼ反応培地との混合物を
含み、レーン9〜15は1回C58接種コムギ実生の無
細胞抽出物をリソパインデヒドロゲナーゼ反応培地でイ
ンキュベートすることによって生じた生成物を含む。明
らかに、C58接種コムギ実生の5つの無細胞抽出物の
うちの3つがノパリンデヒドロゲナーゼ反応培地とイン
キュベートさせたときノパリンを産生し、実生が形質転
換されていることを示している。リソパインデヒドロゲ
ナーゼ反応培地でインキュベートした場合にはノパイン
を産生した無細胞抽出物はなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は96時間令のとうもろこし実生を示
す。第1A図は実生の側面図であり、第1B図は同じ実
生の前面図である。
【図2】第2A図はA.テュメファシエンスB6株を植
菌した黄色 Iochiefとうもろこし実生の無細胞抽出液を
リゾピンデヒドロゲナーゼ酵素活性の検出ができる試薬
を含有する反応培地(リゾピンデヒドロゲナーゼ反応培
地)を用いてインキュベートすることによって生産した
生産物の電気泳動の結果を示す、展開したペーパー電気
泳動グラムの図である。ある種のコントロールも電気泳
動した。第2B図は黄色 Iochiefとうもろこし実生の無
細胞抽出液をノパリンデヒドロゲナーゼ酵素活性を検出
することができる試薬を含有する反応培地(ノパリンデ
ヒドロゲナーゼ反応培地)を用いてインキュベートする
ことによって生産した生産物の電気泳動の結果を示す、
展開したペーパー電気泳動グラムの図である。ある種の
コントロールも電気泳動した。第2C図は種々の物質中
のピロノパリンの存在又は不存在を示す、展開したペー
パー電気泳動グラムの図である。第2D図は展開したペ
ーパー電気泳動グラムの図である。電気泳動された物質
はA.テュメファシエンスC58を植菌した黄色 Iochi
efとうもろこし実生の無細胞抽出液をノパリンデヒドロ
ゲナーゼ反応培地を用いてインキュベートすることによ
って生産した生産物をA.テュメファシエンスのある菌
株によって異化することによって生産された。ある種の
コントロールも電気泳動した。
【図3】第3A図は単一B6植菌黄色 Iochiefとうもろ
こし実生の無細胞抽出液をリゾピンデヒドロゲナーゼ反
応培地を用いてインキュベートすることによって生産し
た生産物の電気泳動の結果を示す、展開したペーパー電
気泳動グラムの図である。第3B図はA.テュメファシ
エンスA348株または238MX株を植菌した単一黄
色 Iochiefとうもろこし実生の無細胞抽出液をリゾピン
デヒドロゲナーゼ反応培地を用いてインキュベートする
ことによって生産した生産物の電気泳動の結果を示す、
展開したペーパー電気泳動グラムの図である。第3C図
は単一C58植菌黄色 Iochiefとうもろこし実生の無細
胞抽出液をノパリンデヒドロゲナーゼ反応培地を用いて
インキュベートすることによって生産した生産物の電気
泳動の結果を示す、展開したペーパー電気泳動グラムの
図である。第3D図はA.テュメファシエンスJK19
5株を植菌した単一黄色 Iochiefとうもろこし実生の無
細胞抽出液をノパリンデヒドロゲナーゼ反応培地を用い
てインキュベートすることによって生産した生産物の電
気泳動の結果を示す、展開したペーパー電気泳動グラム
の図である。
【図4】第4A図はA.テュメファシエンスB6及びC
58株の無細胞超音波処理液の電気泳動の結果である、
展開したペーパー電気泳動グラムの図である。第4B図
はA.テュメファシエンスB6及びC58株の無細胞超
音波処理液を適当な反応培地を用いてインキュベートす
ることによって生産した生産物の電気泳動の結果を示
す、展開したペーパー電気泳動グラムの図である。反応
培地単独も電気泳動した。第4C図はとうもろこしの黄
色 Iochief株の単一未感染実生の無細胞抽出液をリゾピ
ンデヒドロゲナーゼ反応培地又はノパリンデヒドロゲナ
ーゼ反応培地を用いて4時間インキュベートすることに
よって生産した生産物の電気泳動の結果を示す、展開し
たペーパー電気泳動グラムの図である。
【図5】第5A図はC58植菌黄色 Iochiefとうもろこ
し実生から生長した植物からの単一のほう芽期の葉の無
細胞抽出液をノパリンデヒドロゲナーゼ反応培地を用い
てインキュベートすることによって生産した生産物の電
気泳動の結果である、展開した電気泳動グラムの図であ
る。第5B図はノパリンデヒドロゲナーゼ活性の検定の
ために切開した部分を示す分裂起源(meriste-matic or
igin)のとうもろこし葉の図である。第5C図はC58
植菌黄色 Iochiefとうもろこし実生から生長した4つの
植物体からの4つの分裂葉の切開部の無細胞抽出液をノ
パリンデヒドロゲナーゼ反応培地を用いてインキュベー
トすることによって生産した生産物の電気泳動の結果を
示す、展開した電気泳動グラムの図である。第5D図は
C58植菌黄色 Iochiefとうもろこし実生から生長した
個々の植物体からの花粉の無細胞抽出液をノパリンデヒ
ドロゲナーゼ反応培地を用いてインキュベートすること
によって生産した生産物の電気泳動の結果を示す、展開
した電気泳動グラムの図である。
【図6】第6図はA.テュメファシエンスCA19株を
植菌した、黄色 Iochiefとうもろこしの単一実生の無細
胞抽出液をリゾピンデヒドロゲナーゼ反応培地を用いて
インキュベートすることによって生産した生産物の電気
泳動の結果である、展開したペーパー電気泳動グラムの
図である。
【図7】第7図はとうもろこしPA91株の単一C58
植菌実生の無細胞抽出液をノパリンデヒドロゲナーゼ反
応培地を用いてインキュベートすることによって生産し
た生産物の電気泳動の結果を示す、展開したペーパー電
気泳動グラムの図である。
【図8】第8図はプラスミドpCEL30の制限部位及
び機能地図である。
【図9】第9図はプラスミドpCEL44の制限部位及
び機能地図である。
【図10】第10図は単一B6植菌ライ麦実生の無細胞抽
出液をリゾピンデヒドロゲナーゼ反応培地を用いてイン
キュベートすることによって生産した生産物の電気泳動
の結果を示す、展開したペーパー電気泳動グラムの図で
ある。
【図11】第11図は単一B6細菌大麦実生の無細胞抽出
液をリゾピンデヒドロゲナーゼ反応培地を用いてインキ
ュベートすることによって生産した生産物の電気泳動の
結果を示す、展開したペーパー電気泳動グラムの図であ
る。
【図12】第12図は単一C58細菌オート麦実生の無細
胞抽出液をノパリンデヒドロゲナーゼ反応培地を用いて
インキュベートすることによって生産した生産物の電気
泳動の結果を示す、展開したペーパー電気泳動グラムの
図である。
【図13】第13図は単一C58細菌小麦実生の無細胞抽
出液をノパリンデヒドロゲナーゼ反応培地及びリゾピデ
ヒドロゲナーゼ反応培地を用いてインキュベートするこ
とによって生産した生産物の電気泳動の結果である、展
開した電気泳動グラムの図である。
【図14】第14図はCA19接種実生からの5本の植付
け物の葉、CA17接種実生からの2本の植付け物の葉
およびYEB接種の3本の植付け物の葉の無細胞抽出液
をリソパインデヒドロゲナーゼ反応培地を用いてインキ
ュベートすることによって生産した生産物の電気泳動の
結果を示す、展開した電気泳動グラムの図である。これ
らすべての図において、「O」及び「OCT」はオクト
ピンを、「N」又は「NOP」はノパリンを表わす。こ
れらの記号は各図において、合成オクトピン又はノパリ
ン標品を含有する電気泳動グラムのレーンに言及するた
め、又電気泳動後の合成オクトピン又はノパリン標品に
よって生じたスポットの位置を示すために用いられてい
る。いくつかの図面においては、合成オクトピン又はノ
パリン標品と共に移動しないスポットがある。これらの
スポットは反応培地中の未反応試薬によって、又とうも
ろこし実生の無細胞抽出液中に見い出される天然に生じ
た物質によって形成される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アン シー エフ グレイヴス アメリカ合衆国 オハイオ州 43402 ボーリング グリーン クレストヴィュ ー ドライヴ 627 (56)参考文献 Nature,Vol.319(1986) p.791−793 高水準種苗関係技術開発委員会編集 「組織培養技術の今後の展開方向」(昭 59年3月)社団法人日本種苗協会 p. 49−89 Plant Molecular B iology,Vol.7,p.43−50 (1986) Science,Vol.236,p. 1259−1262(5 June 1987) BIO/TECHNOLOGY,Vo l.8,No.6,p.535−542(Ju ne 1990)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.アグロバクテリウムを介して形質転換されたとうも
    ろこし植物であって、新たに出現した幼根及び幹を有す
    とうもろこしの実生中に傷をつけ、その傷を急速に分
    裂している細胞を含む実生の胚盤瘤の基盤から子葉鞘瘤
    のわずかに先までまたがるような領域内に傷を作り、そ
    の傷にvir+アグロバクテリウム・テュメファシエンスを
    植菌することを含む方法により生産された該とうもろこ
    し植物。 2.遺伝学的に設計されたT−DNAを含有するベクタ
    ーを含むvir+アグロバクテリウム・チュメファシエンス
    に感染した実生から導かれた形質転換されたとうもろこ
    し植物体である請求項1に記載のとうもろこし植物。 3.遺伝学的に設計されたT−DNAを含有するベクタ
    ーを含むvir+アグロバクテリウム・チュメファシエンス
    に感染した実生から生長した植物体によって生産され
    た、とうもろこし植物の形質転換された花粉粒である請
    求項1に記載のとうもろこし植物。 4.遺伝学的に設計されたT−DNAを含有するベクタ
    ーを含むvir+アグロバクテリウム・チュメファシエンス
    に感染した実生から生長した植物体によって生産され
    た、とうもろこし植物の形質転換された花粉粒から導か
    れたとうもろこし植物である請求項1に記載のとうもろ
    こし植物。 5.アグロバクテリウムがvir+アグロバクテリウム・チ
    ュメファシエンスである請求項1に記載のとうもろこし
    植物。 6.アグロバクテリウムがノパリン−利用株である請求
    に記載のとうもろこし植物。 7.分裂組織から誘導された細胞を形質転換することに
    より得られた形質転換されたとうもろこし植物体であっ
    て、新たに出現した幼根及び幹を有するとうもろこしの
    実生中に傷をつけ、その傷を急速に分裂している細胞を
    含む実生の胚盤瘤の基盤から子葉鞘瘤のわずかに先まで
    またがるような領域内に傷を作り、その傷にvir+アグロ
    バクテリウム・テュメファシエンスを植菌して、分裂組
    織から誘導された細胞を形質転換することを含む方法に
    より生産された該とうもろこし植物体である請求項1に
    記載のとうもろこし植物。 8.生殖系列細胞のもととなる細胞を形質転換すること
    により得られた形質転換されたとうもろこし植物体であ
    って、新たに出現した幼根及び幹を有するとうもろこし
    実生中に傷をつけ、その傷を急速に分裂している細胞
    を含む実生の胚盤瘤の基盤から子葉鞘瘤のわずかに先ま
    でまたがるような領域内に傷を作り、その傷にvir+アグ
    ロバクテリウム・テュメファシエンスを植菌して、生殖
    系列細胞のもととなる細胞を形質転換することを含む方
    法により生産された該とうもろこし植物体である請求項
    1に記載のとうもろこし植物。 9.急速分裂性の、比較的に未分化な細胞を形質転換す
    ることにより得られた形質転換されたとうもろこし植物
    であって、新たに出現した幼根及び幹を有するとうも
    ろこしの実生中に傷をつけ、その傷を急速に分裂してい
    る細胞を含む実生の胚盤瘤の基盤から子葉鞘瘤のわずか
    に先までまたがるような領域内に傷を作り、その傷にvi
    r+アグロバクテリウム・テュメファシエンスを植菌し
    て、急速分裂性の、比較的に未分化な細胞を形質転換す
    ることを含む方法により生産された該とうもろこし植物
    体である請求項1に記載のとうもろこし植物。 10.異種構造遺伝子及び転写単位を作動できる順序で
    含む遺伝学的に設計されたT−DNAを含む形質転換さ
    れたとうもろこし植物体であって、新たに出現した幼根
    及び幹を有するとうもろこしの実生中に傷をつけ、その
    傷を急速に分裂している細胞を含む実生の胚盤瘤の基盤
    から子葉鞘瘤のわずかに先までまたがるような領域内に
    傷を作り、その傷に、更に異種構造遺伝子及び転写単位
    を作動できる順序で含む遺伝学的に設計されたT−DN
    Aを含むvir+アグロバクテリウム・テュメファシエンス
    を植菌することを含む方法により生産された該とうもろ
    こし植物体である請求項1に記載のとうもろこし植物
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