JPH10215765A - 穀物の殺菌方法およびそれに用いる穀物回動装置 - Google Patents

穀物の殺菌方法およびそれに用いる穀物回動装置

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JPH10215765A
JPH10215765A JP31108197A JP31108197A JPH10215765A JP H10215765 A JPH10215765 A JP H10215765A JP 31108197 A JP31108197 A JP 31108197A JP 31108197 A JP31108197 A JP 31108197A JP H10215765 A JPH10215765 A JP H10215765A
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shaker
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Toru Hayashi
徹 林
Setsuko Suzuki
節子 鈴木
Kenichi Otsubo
研一 大坪
Hidechika Toyoshima
英親 豊島
Hiroshi Okatome
博司 岡留
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 人体や環境に対して無害であり、しかも澱粉
や脂質等の成分変化を引き起こさずに穀物を殺菌する方
法と該方法に用いる装置を提供すること。 【解決手段】 回動している穀物の表面に低エネルギー
の電子線を照射することを特徴とする穀物の殺菌方法並
びに試料トレー、トレー載置台、その下方に直列状に配
設した振動器および振盪器、該振動器および振盪器から
発生する振動と振盪を前記トレー載置台に伝える伝動
具、前記振動器と振盪器を作動させるための電源スイッ
チとこれらの作動用スイッチ並びに振動と振盪のスピー
ドコントローラーを具備した穀物回動装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加工食品の原材料
として使用される穀物の殺菌方法およびそれに用いる穀
物回動装置に関し、詳しくは回動している穀物の表面に
低エネルギーの電子線を均一に照射することによって、
該穀物表面に付着している微生物を殺菌する方法並びに
それに用いる穀物回動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】加工食品の腐敗や加工食品が原因となる
食中毒を防止するためには、加工食品の微生物汚染を防
ぐことが必要である。したがって、原材料の殺菌は、加
工食品の微生物汚染を防止する上で重要な事項である。
従来、食品原材料の殺菌は、化学的方法、物理的方法な
どにより行われているが、これらの方法に使用されてい
たエチレンオキサイド,臭化メチル,過酸化水素等は人
体や環境に有害な影響を与えるばかりでなく、それらの
残留物についても人体に及ぼす影響が懸念されるなど、
安全性の点で種々の問題が指摘されており、その多くは
使用が禁止されているか、もしくは使用が制限されつつ
ある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、穀物のよう
な乾燥状態の食品原材料の表面を汚染している微生物の
多くは、耐熱性の細菌であり、これらの細菌は耐久型の
細胞である芽胞を形成している。この芽胞は、増殖中の
細菌に比べて熱や殺菌剤あるいは乾燥等に対する抵抗力
が強いため、穀物の乾燥状態を維持したまま加熱しても
容易に殺菌することができず、品質に影響を及ぼさずに
加熱殺菌することは非常に困難である。一方、殺菌効果
に優れ、乾燥状態の穀物を容易に殺菌することができる
放射線照射による殺菌は、食品自体の温度上昇がわずか
であるため、熱による品質低下を受けにくい反面、完全
殺菌のためには比較的多くの線量が要求されるため、澱
粉の損傷や脂質の酸化等の成分変化を引き起し、加工原
料としての価値を失わせるなど実用化困難な食品も多
い。このように、人体や環境に対して無害であり、しか
も穀物中の澱粉や脂質等の成分変化を引き起こさずに、
換言すれば穀物の品質変化を起こすことなく、殺菌する
方法は未だ開発されていない。そのため、人体や環境は
勿論のこと、品質を変化させることなく穀物を殺菌し、
無菌の穀物を提供する方法の開発が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、上
記課題を解決すべく鋭意検討を重ね、電子線の殺菌効果
と電子の透過力がエネルギーに依存することに着目し、
電子線を利用した穀物の殺菌方法を完成すると共に、当
該方法に用いる穀物の回動装置についても検討して、本
発明に到達した。
【0005】第1の本発明は、回動している穀物の表面
に低エネルギーの電子線を照射することを特徴とする穀
物の殺菌方法である。第2の本発明は、試料トレー、ト
レー載置台、その下方に直列状に配設した振動器および
振盪器、該振動器および振盪器から発生する振動と振盪
を前記トレー載置台に伝える伝動具、前記振動器と振盪
器を作動させるための電源スイッチとこれらの作動用ス
イッチ並びに振動と振盪のスピードコントローラーを具
備した穀物回動装置である。
【0006】
【発明の実施の形態】現在用いられている放射線には、
透過力が強く食品深部の殺菌が可能なγ線(電磁波)、
電子線加速装置から得られる電子線、X線発生装置によ
るX線(電磁波)がある。このうち本発明に用いる電子
線は、本質的に透過力が弱いものであり、穀物の表層部
にしか到達することができないという性質を持ってい
る。電子線源としては、スキャン形電子線照射装置とエ
リアビーム形電子線照射装置があるが、本発明にはエリ
アビーム形電子線照射装置を用いることが好ましい。本
発明では、穀物の表層部に生育している微生物の殺菌を
目的としているため、低エネルギーの電子線、すなわち
ソフトエレクトロンを利用する。ここで、低エネルギー
の電子線としてはエネルギーが160〜250keVの
電子線が好ましく、対象の穀物の種類、形状などを考慮
して、この範囲内で適切な低エネルギーの電子線を選択
する。例えば、玄米や小麦などに対しては160〜18
0keV、籾や殻付蕎麦豆類などに対しては200〜2
50keVのソフトエレクトロンを照射することが適当
である。穀物への電子線の照射時間は、ビーム量により
異なるが、さらに穀物の種類、形状、量などを考慮して
適宜決定すればよい。例えば、ビーム量が20〜50m
Aの実用機の場合は1〜10秒程度を目安とすればよ
い。
【0007】本発明の対象とされる穀物は特に制限はな
いが、例えば玄米、籾、小麦、殻付蕎麦、小豆、黒豆、
大豆等は好適なものである。なお、本発明の方法は穀物
の他に粒コショウ、コリアンダー、セージ等の香辛料に
も適用することができる。
【0008】穀物表面に付着している微生物を殺菌する
ためには、すべての穀物表面に電子線を均一に照射する
必要がある。そのため、本発明では穀物に縦方向の振動
と横方向の振盪を同時に与えて回動させ、この状態で電
子線を照射する。この場合、穀物に与える振動や振盪の
強さ(速度)は適切に調節しながら行う。振動と振盪の
どちらか一方を単独で与えた場合は、それらの速度を変
化させても、すべての穀物を回動させて電子線を穀物表
面に均一に照射することが困難であるばかりでなく、殺
菌処理に長時間を要することとなり、殺菌効率が著しく
低下する。
【0009】このため本発明者らは、穀物に振動と振盪
を与えて回動させることのできる穀物回動装置を開発し
た。この装置は、穀物の種類、形状や比重の違い等を考
慮して、それぞれの穀物に適した速度で振動および振盪
を与えることによって、均一に穀物粒を回動させること
ができる。この穀物回動装置は、図1および図2に示し
た構造のものであり、試料トレー1、トレー載置台2、
その下方に直列状に配設した振動器4および振盪器5、
該振動器および振盪器から発生する振動と振盪を前記ト
レー載置台に伝える伝動具3、前記振動器と振盪器を作
動させるための電源スイッチ6とこれらの作動用スイッ
チ7(振動器作動用)、8(振盪器作動用)並びに振動
器と振盪器のスピードコントローラー9、10を主要な
構成要素としている。図中の11は装置の外板であり、
装置正面の外板(計器板)には、図示したように、各種
計器類が配設されている。12は電源ランプ、13は振
動器ランプ、14は振盪器ランプ、15はヒューズ、1
6はアジャストボルトである。
【0010】この装置の材質や寸法は、使用目的等に応
じて適宜に設定すればよいが、後記する実施例で用いた
装置の本体(外板で囲った部分)は、幅35cm×奥行
き30cm×高さ30cm(試料トレー上端までの高さ
は45cm)であり、トレーはプラスチック製が好適
で、幅30cm×奥行き9cm×深さ3.5cmのもの
を使用した。また、トレー載置台上のトレーの振幅は3
cm、上下動は0.2cmとなるように設定した。な
お、伝動具としてはスプリングが好ましい。
【0011】この装置を使用して穀物を殺菌する方法に
ついて説明する。まず、装置を電子線発生装置の下に置
くと共に、装置を起動させるため、電源(図示してな
い)と接続する。次いで、殺菌を必要とする穀物を2段
乃至多段に重ならないように収容した試料トレー1をト
レー載置台2上に取り付け、電源スイッチ6をONにす
る。さらに、振動器作動用スイッチ7並びに振盪器作動
用スイッチ8をそれぞれONにして作動させる。振動器
および振盪器によって発生した振動と振盪は、伝動具3
を介してトレー載置台2に伝えられ、それに伴い試料ト
レー1内の穀物は縦方向の振動と横方向の振盪が与えら
れ、回動する。なお、振動器のスピードコントローラー
9と振盪器のスピードコントローラー10により振動器
および振盪器の動きを調節して試料トレー1内の穀物が
均一、かつ適切に回動するように設定することができ
る。
【0012】この状態で電子線発生装置からソフトエレ
クトロンを照射して穀物の殺菌を行う。この場合、電子
線発生装置からトレー底面までの距離は30cm程度ま
で、好ましくは5〜20cmに調節する。この距離が近
すぎると、穀物表面を均一に殺菌することが困難とな
り、離れすぎると、十分な殺菌効果が得られない。とこ
ろで、電子線発生装置から照射されたソフトエレクトロ
ンが穀物に当たるときのエネルギーは、下記の計算式に
より測定することができる。
【0013】
【数1】電子のエネルギー(keV) = 元のエネルギー(k
eV) −阻止能(keV・cm2/g)×物質の厚さ(cm)×比重(g/c
m3)
【0014】例えば、電子線発生装置からトレー底面ま
での距離が5cmの場合、電子線発生装置出口直近(チ
タン窓箔の内側)での電子エネルギーが160keVの
ときは、該装置出口(チタン窓箔の外側)での電子エネ
ルギーを上記の式から求めると、チタンの阻止能: 228
7keV・cm2/g (ICRU REPORT 37、Stopping Powers for
Electrons and Positrons 、84頁、1984年10月1 日発行
を参照) 、物質(チタン窓箔)の厚さ:0.005cm、比重:
4.54g/cm3を代入して108.1keVとなる。電子線発生装置
から5cm離れた位置、すなわち穀物に当たるときの電
子エネルギーは、空気の阻止能: 3637keV ・cm2/g (IC
RU REPORT 37、Stopping Powers for Electrons and Po
sitrons 、120 頁、1984年10月1 日発行を参照) 、物質
の厚さ:5cm、比重:1.20 ×10-3g/cm3 を代入して 86.3k
eVとなる。該装置から20cm離れた位置、すなわち穀
物に当たるときの電子エネルギーは、同様の計算により
20.8keVとなる。一方、電子線発生装置からの電子エネ
ルギーが250keVのとき、該装置からトレー底面ま
での距離が5cmの場合、穀物に当たるときのエネルギ
ーは同様の計算により、194.2keV、該装置からトレー底
面までの距離が20cmの場合、穀物に当たるときのエ
ネルギーは 149.6keV となる。
【0015】ソフトエレクトロンを所定時間照射して穀
物表面の殺菌を終了した後、作動用スイッチ7、8をO
FFとし、さらに電源スイッチ6をOFFとする。本発
明の穀物回動装置において、1回の操作で処理可能な穀
物の量は、基本的にはトレーの底面積に依存するが、通
常は10〜70g、好ましくは20〜40gである。
【0016】
【実施例】次に、本発明を実施例によって詳しく説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 玄米、籾、小麦および殻付蕎麦のそれぞれについて別々
に殺菌試験を行った。すなわち、各試料20gを試料ト
レー上に収容し、穀物回動装置(図示)で前記した操作
によって回動させながら、バンデグラーフ型電子加速器
を線源とした160〜230keVの範囲の低エネルギ
ーの電子線(ソフトエレクトロン)をビーム量4μAで
1時間照射した後、穀物表面の生菌数および穀物の粘度
を測定した。
【0017】生菌数の測定は、以下の方法で実施した。
試料5gを0.9%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩
水)25ml中でホモジナイズ(日本精機(株)製、
「エースホモジナイザー」を使用)した懸濁液を用い
た。この懸濁液0.2mlを普通寒天培地(日水製薬
(株)製、「ニッスイ普通寒天培地」)上に塗布し、3
0℃で48時間培養した後、培地上に生成したコロニー
数より求めた。生菌数が100個以下、特に10個以下
であれば、ほぼ殺菌されたとした判定した。なお、無処
理の穀物表面に存在する生菌数は、後記するように、1
4 〜107 個程度である。また、粘度の測定は、以下
の方法で実施した。試料をコーヒーミルを用いて粉砕し
た後、精製水を加えて7.5%の濃度の水懸濁液40m
lを調製し、これに33%水酸化ナトリウム溶液2ml
を加え、よく攪拌した後に沸騰水浴中で30分間加熱し
た。次に、25℃で3時間放置し、回転粘度計(ハーケ
社製)にて測定した。なお、対照として、電子線を照射
しない(無処理)穀物について上記と同様に測定した。
生菌数の測定結果を第1表に、粘度測定の結果を第2表
に示す。
【0018】比較例1 電子線の代わりに、線源として60Coを用いてγ線を1
0kGy照射したこと以外は、すべて実施例1と同様に
行った。生菌数の測定結果を第1表に、粘度測定の結果
を第2表に示す。
【0019】
【表1】 第 1 表 穀物表面の生菌数 ──────────────────────────────────── エネルギー 玄米 籾 小麦 殻付蕎麦 ──────────────────────────────────── 無処理 5.8×106 3.8×107 3.5×104 2.1×106 150 3.7×104 4.8×106 1.4×103 3.1×105 160 <10 7.3×105 <10 6.0×104 170 <10 5.1×105 <10 4.7×103 180 <10 8.8×104 <10 3.8×103 190 <10 7.3×103 <10 8.3×102 200 <10 <10 <10 <10 210 <10 <10 <10 <10 220 <10 <10 <10 <10 230 <10 <10 <10 <10 γ線 <10 <100 <10 <10 ──────────────────────────────────── 単位は、すべて個/gである。
【0020】
【表2】 第 2 表 穀物の粘度 ──────────────────────────────────── エネルギー 玄米 籾 小麦 殻付蕎麦 ──────────────────────────────────── 無処理 208.0 154.9 291.7 223.8 150 207.2 155.7 291.6 211.6 160 210.8 153.0 292.8 221.9 170 205.9 159.1 290.2 218.1 180 205.5 152.0 291.5 225.5 190 195.3 153.1 278.6 214.1 200 188.8 151.7 243.0 220.6 210 132.6 153.3 208.4 210.1 220 103.4 133.9 194.3 194.5 230 96.6 111.9 145.8 133.5 γ線 21.1 31.9 34.6 26.8 ──────────────────────────────────── 単位は、すべてmpa.sである。
【0021】第1表の生菌数の測定結果から、玄米と小
麦では160keV以上、籾と殻付蕎麦では200ke
V以上のエネルギーのソフトエレクトロンを照射するこ
とによって、表面に存在した微生物をほぼ殺菌すること
ができた。一方、粘度については、第2表から明らかな
ように、玄米と小麦では190keV以上、籾と殻付蕎
麦では220keV以上のソフトエレクトロンを照射し
た場合に、粘度の低下が観察された。また、電子線の代
わりにγ線を照射した場合は、いずれの穀物の場合もほ
ぼ殺菌されていたが、穀物の粘度が著しく低下してい
た。以上のことから、玄米と小麦では160〜180k
eV、籾と殻付蕎麦では200〜210keVの電子線
を照射した場合、澱粉の分解を殆ど起こさずに殺菌でき
ることが示された。
【0022】実施例2 前記の穀物回動装置を用いて、玄米20gを回動させな
がら、バンデグラーフ型電子加速器を線源とした160
〜200keVの電子線をビーム量4μAで1時間照射
した後、歩留り90%または88%となるように搗精し
た精米について、脂質の過酸化の指標としてチオバルビ
ツル酸価(以下、TBA値と称する。)を測定した。な
お、対照として無搗精米についても同様に試験した。T
BA値の測定は、試料250mgを用い、常法(金田
尚志、植田 伸夫編集、「過酸化脂質実験法」、医歯薬
出版(株)発行、p84〜85)に基づいて測定した。
その結果を第3表に示す。
【0023】比較例2 電子線を照射しないこと以外は、すべて実施例2と同様
に行った。得られた結果を第3表に示す。
【0024】比較例3 電子線の代わりに、線源として60Coを用いてγ線を1
0kGy照射したこと以外は、すべて実施例2と同様に
行った。得られた結果を第3表に示す。
【0025】
【表3】 第 3 表 ─────────────────────────── 玄米粉および精米粉のTBA値 ─────────────────────────── 無搗精 搗精歩留り エネルギー 90% 88% (玄米) (精米) (精米) ─────────────────────────── 無処理 18.3 4.5 4.4 160 27.6 4.7 4.5 170 29.8 4.9 4.7 180 34.2 8.4 4.8 190 41.4 9.5 9.4 200 55.2 14.3 14.4 γ線 56.2 46.6 45.2 ───────────────────────────
【0026】第3表から明らかなように、ソフトエレク
トロンのエネルギーに関わらず、ソフトエレクトロンで
処理した無搗精(玄米)のTBA値は、無処理の1.5
〜3.0倍を示した。しかし、160〜170keVの
エネルギーで処理した後、90%もしくは88%の歩留
りで搗精した精米においては、無処理のものと同様のT
BA値を示した。また、180keVの電子線で処理
後、88%の歩留りで搗精した精米においても、無処理
のものと同様のTBA値を示した。しかし、190ke
V以上のエネルギーのソフトエレクトロンで処理した玄
米では、90%もしくは88%の歩留りで搗精した場
合、いずれも無処理のものよりも2.1〜3.3倍とい
う高いTBA値を示した。したがって、玄米の場合は、
160〜170keVの低エネルギーの電子線で処理
後、90%の歩留りで搗精することによって、電子線の
照射された部分は除去され、このため精白米(胚乳部)
の脂質は電子線による影響を受けていない。なお、歩留
り88%で搗精する場合は、180keVまでの電子線
で処理すれば、精白米(胚乳部)の脂質は電子線による
影響を受けない。一方、電子線の代わりにγ線を照射し
た場合、無搗精の玄米では無処理の3.1倍、歩留り9
0%もしくは88%で搗精した精米においては、いずれ
も無処理の約10倍のTBA値を示し、搗精後の精白米
においても脂質の過酸化が進んでいることが明らかとな
った。
【0027】実施例3 実施例1において、玄米等の代わりに豆類を用いたこと
以外は同様にして殺菌試験を行った。穀物表面の生菌数
の測定結果を第4表に示す。
【0028】
【表4】 第 4 表 穀物表面の生菌数 ───────────────────────────── エネルギー 小豆 黒豆 大豆 ───────────────────────────── 無処理 7.5×103 1.5×104 2.8×103 150 <100 <100 <100 160 <10 <10 <10 170 <10 <10 <10 180 <10 <10 <10 190 <10 <10 <10 200 <10 <10 <10 220 <10 <10 <10 230 <10 <10 <10 γ線 <10 <100 <10 ───────────────────────────── 単位は、すべて個/gである。
【0029】表から明らかなように、豆類の場合は、1
60keV以上のエネルギーのソフトエレクトロンを照
射することにより、表面に存在した微生物をほぼ殺菌す
ることができた。
【0030】
【発明の効果】本発明の方法によれば、穀物を均一、か
つ確実に回動させながら、殺菌に必要最低限度のエネル
ギーの電子線を照射することによって、穀物成分の澱粉
に損傷を与えることなく、穀物表面に付着している微生
物を効率良く殺菌することができる。また、玄米の殺菌
を行った場合は、処理後に搗精することによって、電子
線が照射された部位を除去することができるので、本発
明の方法により殺菌した玄米から得られる精白米は、脂
質の酸化を受けていない。本発明の方法は、穀物回動装
置を用いることにより効率よく実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に用いる穀物回動装置の1態様の正面
図で、点線部は内部の振動器と振盪器を示している。
【図2】 本発明に用いる穀物回動装置の1態様の側面
図で、点線部は内部の振動器と振盪器を示している。
【符号の説明】
1 試料トレー 2 トレー載置台 3 伝動具 4 振動器 5 振盪器 6 電源スイッチ 7 振動器作動用スイッチ 8 振盪器作動用スイッチ 9 振動器スピードコントローラー 10 振盪器スピードコントローラー
フロントページの続き (72)発明者 豊島 英親 茨城県つくば市吾妻2丁目13−1−909− 402 (72)発明者 岡留 博司 茨城県つくば市吾妻2丁目11−804−402

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回動している穀物の表面に低エネルギー
    の電子線を照射することを特徴とする穀物の殺菌方法。
  2. 【請求項2】 低エネルギーの電子線が、エネルギーが
    160〜250keVの電子線である請求項1記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 穀物に縦方向の振動と横方向の振盪を同
    時に与えながら低エネルギーの電子線を照射する請求項
    1記載の方法。
  4. 【請求項4】 試料トレー、トレー載置台、その下方に
    直列状に配設した振動器および振盪器、該振動器および
    振盪器から発生する振動と振盪を前記トレー載置台に伝
    える伝動具、前記振動器と振盪器を作動させるための電
    源スイッチとこれらの作動用スイッチ並びに振動と振盪
    のスピードコントローラーを具備した穀物回動装置。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の穀物回動装置を電子線発
    生装置の下に置き、試料トレーに収容した穀物に縦方向
    の振動と横方向の振盪を与えながら低エネルギーの電子
    線を照射する請求項1記載の殺菌方法。
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