JPH10213508A - 電離真空計制御装置 - Google Patents

電離真空計制御装置

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JPH10213508A
JPH10213508A JP2719997A JP2719997A JPH10213508A JP H10213508 A JPH10213508 A JP H10213508A JP 2719997 A JP2719997 A JP 2719997A JP 2719997 A JP2719997 A JP 2719997A JP H10213508 A JPH10213508 A JP H10213508A
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明 郭
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Abstract

(57)【要約】 【課題】フィラメントの断線を確実に防止できる技術を
提供する。 【解決手段】電離真空計制御装置2を用い、電離真空計
1のグリッドGに正電圧を印加し、フィラメントFを発
熱させ熱電子を発生させ、気体分子の電離により生成さ
れたイオンをコレクタCで捕集し、イオン電流Iiの大
きさから圧力を求める場合、電離真空計制御装置2に過
電流保護回路3を設けておき、フィラメントFに流れる
フィラメント電流Ifの大きさを直接検出し、所定の上
限値よりも大きくならないように制限する。エミッショ
ン電流Ieを検出しないでフィラメント電流Ifを制限で
きるので、確実に過電流保護を行うことが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電離真空計の技術
分野に係り、特に、熱電子型の電離真空計を動作させて
圧力測定を行う電離真空計制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】真空計には多数の種類があるが、それら
のうち、電離真空計は真空槽内に残留する気体分子に電
子を衝突させ、電離したイオンをコレクタで捕集し、流
れるイオン電流の大きさを測定して真空槽内の圧力を求
める装置であり、構造が簡単で安価であり、また、測定
圧力範囲が広いことから、スパッタリング装置や蒸着装
置等の真空装置に広く用いられている。
【0003】図4、5の符号101に示すものは、従来
技術の電離真空計であり、ガラスで構成された測定管球
S(図5では図示せず)内に、イオンコレクタC、フィラ
メントF、グリッドGの3つの電極が配置されている。
測定管球Sは、気体導入口120によって真空槽B内部
に接続されており、測定管球S内と真空槽B内とが連通
し、同じ圧力になるように構成されている。
【0004】この電離真空計101は、電離真空計制御
装置102によって制御されており、その電離真空計制
御装置102は、フィラメント電流制御装置112、グ
リッド制御装置113、イオン電流検出装置114を備
えている。
【0005】真空状態にある真空槽B内の圧力を測定す
る場合、フィラメント電流制御装置112内のフィラメ
ント電源104を起動し、フィラメントFにフィラメン
ト電流Ifを流し、フィラメントFを加熱すると共に、
グリッド制御装置113によってグリッドGに正電圧を
印加する。フィラメントFが加熱され、熱電子が放出さ
れると、その熱電子は電位差によってグリッドGに引き
つけられるが、グリッドGに到達する前にその近傍で往
復運動をし、測定管球S内に残留する気体分子と衝突
し、正電荷のイオンを生成する。
【0006】このとき、イオン電流検出装置114によ
ってコレクタCに負電圧を印加しておくと、正電荷のイ
オンはコレクタCに捕集され、イオン電流Iiとなって
グリッドGとコレクタC間を流れる。他方、熱電子は、
グリッドGで捕集され、エミッション電流Ieとなって
フィラメントFとグリットGの間を流れる。
【0007】この場合、グリッドGに印加するグリッド
電圧VGを定電圧にし、エミッション電流Ieを定電流に
しておくと、グリッドG近傍で往復運動をする熱電子の
密度が一定になり、生成したイオンの量が測定管球S内
の気体の圧力に比例するようになるので、コレクタCを
流れるイオン電流Iiの値から測定管球S内の気体の密
度、即ち真空槽B内の圧力を測定することが可能とな
る。
【0008】グリッド電圧VGはグリッド制御装置11
3によって定電圧に制御できるが、エミッション電流I
eの大きさは直接制御することができない。しかし、熱
電子の発生量はフィラメントFの温度に依存するため、
フィラメント電流Ifを変化させるとエミッション電流
eの大きさを変えることができる。上述のような電離
真空計制御装置102では、フィラメント電流Ifをエ
ミッション電流Ieの大きさに応じて変化させ、エミッ
ション電流Ieを定電流にするために、エミッション電
流Ieの大きさを検出するエミッション電流制御回路1
05がフィラメント電流制御装置112内に設けられ、
そのエミッション電流制御回路105によってフィラメ
ント電源104が制御されるように構成されており、エ
ミッション電流制御回路105はエミッション電流Ie
が所定値よりも大きい場合にはフィラメント電流If
減少させ、所定値よりも小さい場合にはフィラメント電
流Ifを増加させるように動作する。
【0009】このような電離真空計には種々のものが開
発されており、例えば、熱電子を少なくすることで、1
-1Pa以下の低真空度(高圧力)を測定できるようにし
たシュルツ型電離真空計や、軟X線の影響を低減するこ
とで、10-8Pa以上の高真空度(低圧力)を測定できる
ようにしたベヤード−アルパート型電離真空計等があ
り、測定対象の圧力範囲に応じて適切なタイプの電離真
空計を選択できるようになっている。
【0010】ところで、フィラメントFは、圧力が高い
雰囲気中、特に、酸素や水分等を多く含む雰囲気中で高
温に加熱すると、劣化したり、焼損による断線を起こし
てしまう。断線が起こった場合、フィラメントFの交換
作業は非常に煩雑なので、従来技術の電離真空計では断
線が生じないような圧力範囲が種類に応じて定められて
おり、例えば圧力測定中に真空槽B内の真空度が劣化
し、使用可能な圧力範囲よりも上昇した場合には、上述
のフィラメント電流Ifを直ちに遮断させ、フィラメン
トFの温度を下げるようにしていた。
【0011】しかしながら、真空槽B内が電離真空計1
01の使用可能な圧力範囲内にあり、且つ、フィラメン
トFが劣化していなくても、フィラメントFの断線が発
生してしまう場合がある。そのような断線は、特に、電
離真空計101を点灯させた瞬間に発生することが多
く、原因の究明と対策が望まれていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の不都合を解決するために創作されたもので、その目的
は、フィラメントの断線を確実に防止できる技術を提供
することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】一般に、真空雰囲気に置
かれた物質に通電して発熱させる場合、低圧力(高真空
度)であるほど真空の断熱効果によって昇温し易いこと
が知られており、電離真空計のフィラメントFでも、測
定雰囲気の圧力が低いほど昇温し易く、小さなフィラメ
ント電流Ifで大きなエミッション電流Ieを得ることが
できる。
【0014】他方、高圧力(低真空度)の場合は、真空槽
B内に残留する気体分子の熱伝導によって、フィラメン
トFの熱が奪われ易く、大きなフィラメント電流If
流さないと、フィラメントFを低圧力のときと同じ温度
まで昇温させることができない。従って、規定のエミッ
ション電流Ieを得るためには、低圧力よりも高圧力の
方が必要なフィラメント電流Ifは大きくなる。
【0015】しかし、上述したような従来技術の電離真
空計制御回路102では、エミッション電流Ieを検出
してフィラメント電流Ifを制御しているため、フィラ
メントFに過大な電流が流れた場合でも、エミッション
電流Ieが規定値以上に増加し、更に、そのエミッショ
ン電流Ieの大きさを検出するまではフィラメント電流
fを減少させることができない。
【0016】本発明の発明者等は、フィラメントFの断
線が電離真空計制御装置の起動時に発生し易い原因は、
フィラメントFへの通電を開始した瞬間は、フィラメン
ト電流Ifの増加が急速であり、僅かな制御遅れによっ
て大きな過電流が発生してしまうことにあることを見出
した。
【0017】本発明は、上記知見に基づいて創作された
ものであり、フィラメントの断線を確実に防止するため
に、その請求項1記載の発明は、フィラメントとグリッ
ドとコレクタとを有する電離真空計の、前記フィラメン
トと前記グリッドの間に電圧を印加すると共に、前記フ
ィラメントにフィラメント電流を流して熱電子を放出さ
せ、気体分子に衝突させて生成したイオンを前記コレク
タで捕集できるように構成された電離真空計制御装置で
あって、前記フィラメントに流れるフィラメント電流の
大きさを直接検出し、所定の上限値よりも大きくならな
いように制限する過電流保護回路が設けられたことを特
徴とする。
【0018】この請求項1記載の電離真空計制御装置に
ついては、請求項2記載の発明のように、請求項1記載
の電離真空計制御装置にエミッション電流制御回路を設
け、前記コレクタに流れるイオン電流を検出して圧力を
測定する際、前記エミッション電流制御回路は、前記フ
ィラメントと前記グリッドの間に流れるエミッション電
流の大きさを検出し、そのエミッション電流が所定値に
なるように前記フィラメントに流れる電流の大きさを制
御する場合には、前記過電流保護回路は、前記エミッシ
ョン電流を検出しないように構成しておくと、フィラメ
ントに流れる過電流の制限が正確になって好ましい。
【0019】また、請求項1又は請求項2のいずれか1
項記載の電離真空計制御装置については、請求項3記載
の発明のように、前記フィラメントへの通電を開始する
際、前記フィラメントに流れる電流が前記上限値まで上
昇するまでに、前記過電流保護回路が動作を開始するよ
うに構成しておくと、前記過電流保護回路の動作に遅れ
が生じないので、フィラメントに流れる電流を確実に制
限することができる。例えば、過電流保護回路とフィラ
メントが、同じ一次巻線から電力が供給されるように構
成すると、フィラメントに大きな過電流が流れる前に、
過電流保護回路の動作を開始させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図面を用いて
説明する。図1を参照し、符号1は、図5の電離真空計
101と同様の構成の電離真空計であり、図4に示すよ
うに、ガラスで構成された測定管球S内に、イオンコレ
クタC、フィラメントF、グリッドGの3つの電極が配
置されている。測定管球Sは図示しない真空槽に接続さ
れ、その真空槽内の気体が測定管球S内に導入されるよ
うに構成されている。
【0021】この図1の符号2は、本発明の一実施形態
を示す電離真空計制御装置であり、フィラメント電流制
御装置12、グリッド制御装置13、イオン電流検出装
置14を備えている。
【0022】フィラメント電流制御装置12はフィラメ
ントFに接続され、グリッド制御装置13はグリッドG
に接続されており、フィラメント電流制御装置12とグ
リッド制御装置13を起動し、フィラメントFにフィラ
メント電流Ifを流し、グリッドGに正のグリッド電圧
を印加すると、フィラメントFからグリッドGに向けて
熱電子が放出され、フィラメントFとグリッドGの間
に、エミッション電流Ieが流れるように構成されてい
る。
【0023】イオン電流検出装置14はコレクタC接続
され、コレクタCはイオン電流検出装置14によって負
電圧が印加されており、フィラメントFから発生した熱
電子が測定管球S内の気体分子に衝突し、気体分子の電
離によって生成された正電荷のイオンがコレクタCで捕
集されるように構成されている。そのイオンによってコ
レクタCにイオン電流Iiが流れると、その電流値はイ
オン電流検出装置14によって検出される。
【0024】この場合、グリッドGに印加されるグリッ
ド電圧が定電圧であり、エミッション電流Ieが定電流
であると、イオン電流Iiから測定管球S内の圧力を算
出できる。
【0025】この電離真空制御装置2では、グリッド制
御装置13は定電圧を出力し、また、フィラメント電流
制御装置12はエミッション電流Ieの電流値を検出
し、そのエミッション電流Ieが一定値になるようにフ
ィラメント電流Ifを制御している。その制御動作を、
図3に示したフィラメント電流制御装置12の内部回路
を参照して説明する。
【0026】このフィラメント電流制御装置12内に
は、過電流保護回路3、フィラメント電源4、エミッシ
ョン電流制御回路5が設けられており、フィラメント電
源4には、電源制御用の集積回路IC1、MOSトラン
ジスタQ1、トランスTが設けられており、また、フォ
トカプラPh1、Ph2内の出力トランジスタQ11、Q12
が設けられている。
【0027】トランスT内には、一次巻線L1と、該一
次巻線L1と磁気結合した二次巻線L2、補助巻線L3
設けられており、集積回路IC1には、電源入力端子
a、ゲート制御端子b、2つのデューティ制御端子c、
dが設けられている。
【0028】電源入力端子aには、一次巻線L1の一端
が接続され、その他端はMOSトランジスタQ1のドレ
イン端子に接続されている。MOSトランジスタQ1
ゲート端子はゲート制御端子bに接続され、ソース端子
は接地電位に接続されており、集積回路IC1が、ゲー
ト制御端子bの電位を振幅させ、MOSトランジスタQ
1を所定のデューティに従ってON/OFFさせると、
電源入力端子aから一次巻線L1に向け、そのデューテ
ィに従ったスイッチング電流が流れるように構成されて
いる。
【0029】補助巻線L3には、ダイオードD2、コンデ
ンサC2が接続されており、一次巻線L1と集積回路IC
1と共に過電流保護回路3用の補助電源が構成されてお
り、一次巻線L1に上述のスイッチング電流が流れ、補
助巻線L3に誘起された電圧がコンデンサC2で平滑さ
れ、過電流保護回路3に供給されるように構成されてい
る。
【0030】また、二次巻線L2には、ダイオードD1
コイルL4、コンデンサC1が接続され、フィラメント電
源4の一次側の一次巻線L1に対する二次側が構成され
ている。コンデンサC1の高電圧側の端子はフィラメン
トFの一端に接続され、低電圧側の端子は、過電流保護
回路3内に設けられたフィラメント電流検出抵抗RS1
介してフィラメントFの他端に接続されており、一次巻
線L1にスイッチング電流が流れ、二次巻線L2に電圧が
誘起されると、コイルL4とコンデンサC1とで平滑さ
れ、フィラメントFにフィラメント電流Ifを供給する
ように構成されている。
【0031】従って、フィラメントFを流れたフィラメ
ント電流Ifは、フィラメント電流検出抵抗RS1を流
れ、フィラメント電流検出抵抗RS1の両端にフィラメン
ト電流Ifの電流値に応じた電圧を発生させる。
【0032】他方、フィラメントFとフィラメント電流
検出抵抗RS1との接続点にはエミッション電流制御回路
5内に設けられたエミッション電流検出抵抗RS2の一端
が接続され、その他端は接地電位に接続されており、グ
リッドGとフィラメントF間に流れたエミッション電流
eは、フィラメント電流検出抵抗RS1を流れずエミッ
ション電流検出抵抗RS2を流れ、その両端にエミッショ
ン電流Ieの電流値に応じた電圧を発生させる。
【0033】エミッション電流制御回路5内には、オペ
アンプOp2、ツェナーダイオードDz2、フォトカプラ
Ph2内の発光ダイオードD12が設けられており、ツェ
ナーダイオードDz2のカソード端子は抵抗R5を介して
電源電圧Vccに接続され、アノード端子は接地電位に接
続されており、電源電圧Vccから電流が供給されると、
ツェナーダイオードDz2のカソード端子からツェナー
電圧Vz2が出力され、オペアンプOp2の非反転入力端
子に入力されるように構成されている。
【0034】オペアンプOp2の電源端子は電源電圧Vc
cに接続され、グラウンド端子は接地電位に接続され、
電源電圧Vccから電力が供給されて動作するように構成
されている。その反転入力端子には、エミッション電流
検出抵抗RS2に生じた電圧が入力されており、エミッシ
ョン電流検出抵抗RS2に生じた電圧が、非反転入力端子
に入力されるツェナー電圧Vz2よりも大きいときに、
出力端子がローレベルになるように構成されている。
【0035】オペアンプOp2の出力端子には、抵抗R4
を介して、フォトカプラPh2内の発光ダイオードD12
のカソード端子が接続され、そのアノード端子は電源電
圧Vccに接続されており、出力端子がローレベルになる
と、発光ダイオードD12に電流が流れ、発光するように
構成されている。なお、符号Cfは発振防止用のコンデ
ンサである。
【0036】その発光ダイオードD12とフィラメント電
源4内に設けられたトランジスタQ12とは、フォトカプ
ラPh2内で光結合されており、オペアンプOp2がロー
レベルを出力し、発光ダイオードD12が発光したとき
に、そのトランジスタQ12がON状態になるように構成
されている。
【0037】トランジスタQ12のコレクタ端子とエミッ
タ端子は、集積回路IC1の2つのデューティ制御端子
c、dにそれぞれ接続されている。集積回路IC1は、
トランジスタQ12がOFF状態にあり、従ってデューテ
ィ制御端子c、d間が開放されている場合にMOSトラ
ンジスタQ1のONデューティを大きくし、逆に、トラ
ンジスタQ12がON状態にあり、デューティ制御端子
c、d間が短絡されている場合にMOSトランジスタQ
1のONデューティを小さくするように構成されてい
る。
【0038】従って、発光ダイオードD12が発光すると
MOSトランジスタQ1のONデューティが小さくな
り、一次巻線L1側から二次巻線L2と補助巻線L3側に
向けて伝達されるエネルギーが減少し、その結果、コン
デンサC1の電圧が下がり、フィラメント電流Ifが減少
する。逆に発光ダイオードD12が発光を停止するとフィ
ラメント電流Ifが増加する。
【0039】上述のように、エミッション電流制御回路
5では、エミッション電流Ieの電流値が大きく、エミ
ッション電流検出抵抗RS2に生じた電圧Ie・RS2が、
ツェナー電圧Vz2よりも高い場合にオペアンプOp2
出力端子がローレベルになり、発光ダイオードD12が発
光する。
【0040】従って、エミッション電流制御回路5は、
エミッション電流Ieが所定の値よりも大きいと、フィ
ラメント電流Ifを減少させるように動作し、その結
果、フィラメントFの温度が低下し、エミッション電流
eを減少させ、逆に、エミッション電流Ieの電流値が
小さく、エミッション電流検出抵抗RS2に生じた電圧I
e・RS2がツェナー電圧Vz2よりも低い場合に、エミッ
ション電流制御回路5はフィラメント電流Ifを増加さ
せるように動作し、その結果、フィラメントFの温度が
上昇し、エミッション電流Ieが大きくなる。
【0041】従って、このエミッション電流制御回路5
では、フィラメント電流Ifの電流値を制御することに
より、エミッション電流Ieを、 Ie = Vz2/RS2 の一定値になるように制御していることになる。
【0042】このように、エミッション電流Ieの電流
値によって制御されるフィラメント電流Ifはフィラメ
ントFを流れた後、過電流保護回路3内に設けられたフ
ィラメント電流検出抵抗RS1を流れ、フィラメント電流
検出抵抗RS1の両端にIf・RS1の電圧を発生させる。
【0043】過電流保護回路3内には、オペアンプOp
1、ツェナーダイオードDz1、フォトカプラPh1内の
発光ダイオードD11が設けられており、ツェナーダイオ
ードDz1のカソード端子は、抵抗R1を介してコンデン
サC2の高電圧側の端子に接続されており、アノード端
子はコンデンサC2の低電圧側の端子に接続されてお
り、コンデンサC2の高電圧側の端子から電流が供給さ
れるとカソード端子に定電圧のツェナー電圧Vz1を発
生させるように構成されている。そのツェナー電圧Vz
1は可変抵抗R2で所望の値に分圧され、オペアンプOp
1の非反転入力端子に入力されている。
【0044】オペアンプOp1の電源端子とグラウンド
端子は、コンデンサC2の高電圧側の端子と低電圧側の
端子にそれぞれ接続され、補助巻線L3、ダイオード
2、コンデンサC2で構成される補助電源から電力が供
給されるように構成されている。
【0045】補助巻線L3は、二次巻線L2と共に、同じ
一次巻線L1から電力が供給されているので、二次巻線
2と補助巻線L3の巻数を適当に選択することにより、
二次巻線L2に電圧が誘起され、フィラメントFへフィ
ラメント電流Ifが供給された直後に過電流保護回路3
が動作を開始できる。
【0046】その過電流保護回路3内にオペアンプOp
1の反転入力端子には、前述の電流検出抵抗RS1に生じ
た電圧If・RS1が入力されており、フィラメント電流
検出抵抗RS1に生じた電圧If・RS1が、非反転入力端
子に入力されるツェナー電圧Vz1を分圧した電圧より
も高い場合に出力端子がローレベルになるように構成さ
れている。
【0047】オペアンプOp1の出力端子には、フォト
カプラPh1内の発光ダイオードD11のカソード端子
が、抵抗R3を介して接続され、そのアノード端子はコ
ンデンサC2の高電圧側の端子に接続されており、出力
端子がローレベルになる場合に発光ダイオードD11に電
流が流れ、発光するように構成されている。
【0048】発光ダイオードD11は、フィラメント電源
4内のトランジスタQ11とフォトカプラPh1内で光結
合されており、発光ダイオードD11が発光するとトラン
ジスタQ11がON状態になるように構成されている。
【0049】トランジスタQ11は、フォトカプラPh2
内のトランジスタQ12と同様に、コレクタ端子をデュー
ティ制御端子cに、エミッタ端子をデューティ制御端子
dに接続されており、従って、一方のトランジスタ(Q
11)がON状態になった場合には、他方のトランジスタ
(Q12)の状態にかかわらず、2つのデューティ制御端子
c、d間が短絡し、フィラメント電流Ifが減少する。
【0050】この電離真空計制御装置2では、測定管球
S内が所定の圧力範囲内にあり、規定のエミッション電
流Ieを流す場合、フィラメント電流Ifの電流値は、過
電流保護回路3内のオペアンプOp1の出力端子をロー
レベルにさせないように構成されている。従って、測定
系が定常状態にあるときは、過電流保護回路3内の発光
ダイオードD11は発光せず、その発光ダイオードD11
光結合したトランジスタQ11はONしないので、フィラ
メント電流Ifは、エミッション電流検出装置5内のフ
ォトダイオードD12と光結合したトランジスタQ12のO
N/OFFによって制御され、エミッション電流Ie
電流値が一定に保たれる。
【0051】他方、フィラメント電流検出抵抗RS1は、
フィラメントFに断線に到らない程度の過電流が流れる
と過電流保護回路3内の発光ダイオードD11を発光させ
るように設定されており、例えば、定常状態でのフィラ
メント電流Ifが最大1.2Aである場合、過電流保護
回路3内のオペアンプOp1がローレベルを出力し、発
光ダイオードD11を発光させるフィラメント電流If
2.0Aに設定されている。
【0052】従って、電源投入時等、過大なフィラメン
ト電流Ifが流れた場合、エミッション電流制御回路5
によって制御されるトランジスタQ12がON状態になる
前に、過電流検出回路3によって制御されるトランジス
タQ11がON状態になるので、エミッション電流制御回
路5が動作を開始するよりも早くMOSトランジスタQ
1のONデューティが下がり、フィラメント電流Ifが減
少し始める。
【0053】このように、フィラメントFに過大なフィ
ラメント電流Ifが流れた場合、エミッション電流Ie
介さずに、過電流保護回路3が直接フィラメント電流I
fの電流値を検出し、所定の上限値以上にならないよう
に構成されているので、過電流保護動作が早く、確実で
ある。
【0054】図2に、フィラメントFに印加されるフィ
ラメント電圧Vfを横軸に、流れるフィラメント電流If
を縦軸にとり、フィラメント電流Ifを上限値Ifmaxで
制限する場合の関係をグラフに示す。
【0055】この図2のグラフを参照し、電源投入時の
f=0、If=0の状態から、フィラメント電流If
増加し、上限値のIfmaxになったところで、フィラメン
ト電流検出抵抗RS1に生じた電圧RS1・Ifmaxが、可変
抵抗R2から得られる電圧よりも大きくなるように設定
されており、従って、フィラメント電流Ifが上限値If
maxに達したとき、フィラメント電圧Vfは最大値のVfm
axとなる。その後、例えばフィラメントFの温度が下が
った場合等、フィラメント電流Ifが更に増加しようと
する場合には、過電流保護回路3はフィラメント電圧V
fを低下させ、フィラメント電流Ifが上限値Ifmax以上
にならないように制御する。
【0056】なお、以上説明した過電流保護回路3は、
MOSトランジスタQ1のON/OFFを制御して、フ
ィラメント電圧Vfを減少させ、フィラメント電流If
上限値を制限したが、本発明はそれに限定されるもので
はない。また、本発明が用いられる電離真空計は、シュ
ルツ型電離真空計やベヤード−アルパート型電離真空計
等のフィラメントFから放出された熱電子を用いる電離
真空計を広く含む。要するに、フィラメントFに通電し
て発熱させ、熱電子を放出させる際に、フィラメント電
流Ifをフィラメント電流検出抵抗Rfその他の手段で直
接検出し、フィラメントFの過電流保護を行う電離真空
計制御装置(分圧計(MSQ)を含む)であれば本発明に含
まれる。
【0057】
【発明の効果】フィラメントの断線を確実に防止するこ
とができる。低真空度で電離真空計の電源を投入しても
フィラメントが断線することがない。従って、電離真空
計の取り扱いが容易になる。また、電源投入時であって
もフィラメントには突入電流が流れないので、フィラメ
ントや電源の劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の電離真空計制御装置を説
明するための回路ブロック図
【図2】その電離真空計制御装置の過電流保護の状態を
説明するためのグラフ
【図3】その電離真空計制御装置の内部回路図
【図4】一般的な電離真空計の構造を説明するための図
【図5】従来技術の電離真空計制御装置のブロック図
【符号の説明】
1…電離真空計 2…電離真空計制御装置 3…過電流
保護回路 F…フィラメント G…グリッド C…コレクタ Ii
…イオン電流 Ie…エミッション電流 If…フィラメ
ント電流 上限値…Ifmax

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィラメントとグリッドとコレクタとを
    有する電離真空計の、前記フィラメントと前記グリッド
    の間に電圧を印加すると共に、前記フィラメントにフィ
    ラメント電流を流して熱電子を放出させ、気体分子に衝
    突させて生成したイオンを前記コレクタで捕集できるよ
    うに構成された電離真空計制御装置であって、 前記フィラメントに流れるフィラメント電流の大きさを
    直接検出し、所定の上限値よりも大きくならないように
    制限する過電流保護回路が設けられたことを特徴とする
    電離真空計制御装置。
  2. 【請求項2】 エミッション電流制御回路が設けられ、 前記コレクタに流れるイオン電流を検出して圧力を測定
    する際、 前記エミッション電流制御回路は、前記フィラメントと
    前記グリッドの間に流れるエミッション電流の大きさを
    検出し、そのエミッション電流が所定値になるように前
    記フィラメントに流れる電流を制御するように構成され
    た請求項1記載の電離真空計制御装置であって、 前記過電流保護回路は、前記エミッション電流を検出し
    ないように構成されたことを特徴とする電離真空計制御
    装置。
  3. 【請求項3】 前記フィラメントに通電を開始する際、
    前記フィラメント電流が前記上限値まで上昇するまで
    に、前記過電流保護回路が動作を開始するように構成さ
    れたことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか
    1項記載の電離真空計制御装置。
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