JPH10213421A - ヌル波面計測装置 - Google Patents

ヌル波面計測装置

Info

Publication number
JPH10213421A
JPH10213421A JP9018137A JP1813797A JPH10213421A JP H10213421 A JPH10213421 A JP H10213421A JP 9018137 A JP9018137 A JP 9018137A JP 1813797 A JP1813797 A JP 1813797A JP H10213421 A JPH10213421 A JP H10213421A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
null
measurement
aspherical
optical axis
shape
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9018137A
Other languages
English (en)
Inventor
Hajime Ichikawa
元 市川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikon Corp filed Critical Nikon Corp
Priority to JP9018137A priority Critical patent/JPH10213421A/ja
Publication of JPH10213421A publication Critical patent/JPH10213421A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Instruments For Measurement Of Length By Optical Means (AREA)
  • Length Measuring Devices By Optical Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヌル波面を用いたヌル干渉計測によって被検
面の非球面形状を高精度に測定するために必要な情報を
得ることができるヌル波面計測装置あるいはヌル干渉計
を提供する。 【解決手段】 参照面1aにより反射されて形成される
参照光と球面原器12または被検面13aにより反射さ
れて形成される測定光との相互干渉に基づく干渉デー
タ、および検出手段7により検出される移動量データを
演算処理してヌル波面10を校正するのに必要な数値を
算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非球面形状のヌル
波面を校正するヌル波面計測装置および干渉計測により
非球面形状を測定するヌル干渉計に関する。
【0002】
【従来の技術】非球面形状を有する被検面の幾何学的形
状を干渉計を用いて測定する方法として、例えば、特開
平3−243804号公報で開示されている球面の測定
波面を用いた方法が挙げられる。これは、被検面の輪帯
状の領域から反射されて形成されるリング状の干渉縞の
直径と、そのときの被検面の測定光軸方向の位置とを相
関付けることにより、被検面の非球面形状を測定するも
のである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
手法では非球面の球面からの乖離量が大きい場合に、概
略の非球面形状は得られるものの、球面の干渉計測で得
られるような面精度(真球度)データが得られないとい
う欠点があった。
【0004】一方、ヌルレンズやゾーンプレートのよう
な、いわゆるヌル素子を用いて被検面の非球面形状と略
等しい形状のヌル波面を形成し、ヌル干渉計測を行うこ
とも一般的に行われている。
【0005】この場合、理想的なヌル波面が所定の位置
に形成されても、通常、光は直進するために、所定の位
置から干渉計の光軸方向に、ある一定量だけ変位すれ
ば、そのヌル波面は非球面の幾何学的な形状を変えてし
まう。これは、ヌル干渉計測で得られる干渉縞だけから
は、被検面の非球面形状を正確に測定することが原理的
に不可能であり、被検面の光軸方向の位置も正確に把握
する必要があることを示している。
【0006】さらに、例え被検面の位置が正確に確定で
きたとしても、こんどは所定の位置におけるヌル波面自
身が設計形状から乖離していることが充分予想され、こ
の場合には、ヌル波面そのものの校正も必要になってく
るという問題があった。
【0007】本発明の目的は、ヌル波面を用いたヌル干
渉計測によって被検面の非球面形状を高精度に測定する
ために必要な情報を得ることができるヌル波面計測装置
あるいはヌル干渉計を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】実施の形態を示す図1お
よび図2に対応づけて説明すると、請求項1に記載の発
明は、非球面形状のヌル波面を校正するヌル波面計測装
置に適用される。そして、干渉計本体102と、干渉計
本体102からの光を反射する参照面1aと、干渉計本
体102から射出される波面を被検物13の被検面形状
と等価な非球面波10に変換するヌル素子2と、非球面
波10のNAを校正するための球面原器12と、被検物
13または球面原器12を非球面波10の測定光軸に沿
って移動させる移動手段3,4と、移動手段3,4の移
動量を検出する移動量検出手段7と、参照面1aにより
反射されて形成される参照光と球面原器12または被検
面13aにより反射されて形成される測定光との相互干
渉に基づく干渉データ、および移動量検出手段7により
検出される移動量データを演算処理してヌル波面10を
校正するに必要な数値を算出する演算手段200とを備
えることにより上述の目的が達成される。請求項2に記
載の発明は、請求項1に記載のヌル波面計測装置におい
て、被検物13を非球面波の光軸に沿って走査した際に
演算装置200により検知されるリング状の干渉縞の直
径と被検物13の走査時の移動手段3,4の移動量との
関係から、非球面波の光軸方向のゼロ基準を算出する算
出手段200を備えるものである。請求項3に記載の発
明は、請求項1に記載のヌル波面計測装置において、移
動手段3,4により球面原器12を非球面波10の光軸
に沿って走査することにより得られる、演算装置200
により検知されるリング状の干渉縞の直径と球面原器1
2の走査時の移動手段3,4の移動量との関係、および
非球面波10のNAに基づいて、非球面波10の光軸方
向のゼロ基準あるいは非球面波10の形状の少なくとも
一方を算出する算出手段200を備えるものである。
【0009】なお、本発明の構成を説明する上記課題を
解決するための手段の項では、本発明を分かり易くする
ために発明の実施の形態の図を用いたが、これにより本
発明が実施の形態に限定されるものではない。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図4を用いて本発明
によるヌル波面計測装置(ヌル干渉計)の一実施の形態
について説明する。
【0011】図1において、100は干渉計、200は
演算装置、300はモニタである。干渉計100は光学
系装置101と、干渉系本体102と、干渉計本体10
2内に形成される干渉縞を撮像するための干渉縞撮像装
置(CCDカメラ)103とを備え、干渉縞撮像装置1
03には演算装置200およびアライメント用のモニタ
300がそれぞれ接続されている。
【0012】図2に示すように、光学系装置101は干
渉計本体102から射出された平面波が入射されるフィ
ゾーフラット1と、フィゾーフラット1を透過した光束
をヌル波面に変換するヌル素子(ヌルレンズ)2と、被
検レンズ12等を支持する保持機構3と、保持機構3を
測定光軸方向に移動する移動機構4とを備える。
【0013】図2(a)〜(c)に示すように、保持機
構3には、NA校正用の球面原器12、被検レンズ13
または非球面レフ原器14が選択的に取り付け可能とさ
れており、移動機構4によって、球面原器12、被検レ
ンズ13または非球面レフ原器14を測定光軸方向に移
動させることができる。また、保持機構3を調整するこ
とにより、球面原器12等のアライメントを行うことが
できる。
【0014】図2において、7は保持機構3の測定光軸
方向への変位を検出するための検出装置である。図2で
は、高精度測定のために通常良く用いられるレーザ測長
器が検出装置7として例示されている。検出装置(レー
ザ測長器)7は、測長用の周波数安定化レーザ光を発生
させるとともにビームスプリッタにより光束を参照光と
測定光とに分配し、2光束の干渉計信号を検出するため
の本体7aと、測定光を反射させるためのミラー7bと
を備える。
【0015】アッベ誤差を緩和させるために、検出装置
7の測長光束の光軸は干渉計100の測定光軸Xと一致
されている。また、偏心を測定するために、球面原器原
器12、被検レンズ13あるいは非球面レフ原器14の
裏面(図2(a)〜(c)において上面)からの干渉測
定光を使用する場合には、干渉計100の測定光軸を対
称軸として振り分けた2箇所について測長を行うように
してもよい。
【0016】図2に示すように、干渉計本体102から
射出される平面波は、フィゾーフラット1に形成された
高精度参照面1aに垂直に入射され、干渉縞を形成させ
るための一方の測定波面(反射光)を発生させる。高精
度参照面1aを透過した測定光束は、ヌルレンズ2に入
射され、所定の位置で設計形状と略等価な非球面形状と
なる測定ヌル波面を発生させる。
【0017】保持機構3に取り付けられた球面原器1
2、被検レンズ13または非球面レフ原器14からの反
射光は、他方の測定波面となり、フィゾーフラット1の
高精度参照面1Aにおいて反射された一方の測定波面と
ともに干渉計本体102に戻る。両者の測定波面は干渉
計本体102内で干渉し合い、形成された干渉縞は干渉
縞撮像装置103により撮像され、その撮像信号は演算
装置200およびモニタ300に出力される。
【0018】演算装置200は、撮像装置103からの
信号を受けて、種々の演算等を行う。演算装置200に
は、被検レンズ13の被検面13aの情報が予め入力さ
れ、演算に必要な係数を測定に先立って演算し記憶して
おく機能と、干渉計本体100内の干渉縞撮像装置10
3からの画像情報を光路差データに変換する機能と、上
述の係数に基づいて光路差データを解析処理し、後述す
るような位置決めを行う機能と、被検面13aの形状誤
差を算出する機能と、後述する輪帯の半径aを画像処理
により算出する機能と、測定結果を表示する機能とを備
える。
【0019】モニタ300は干渉縞を表示するために用
いられる。例えば、縞一色(ワンカラー)の状態を形成
する際には、モニター300の画像を見ながら移動機構
4等を調整する。
【0020】<ヌル波面計測の原理>以上のように構成
されたヌル波面計測装置を用いたヌル波面計測につい
て、次に説明する。
【0021】例えば、設計断面形状が、
【数1】 Z=X2 /R/{1+(1−κX2 /R21/2 } +C02 X2 +C04 X4 +C06 X6 +C08 X8 +C10 X10 ・・・式(1) で表される2次非球面をベースとした高次非球面形状を
有する回転対称な被検面13を仮定する。式(1)の各
係数は設計値を表している。
【0022】以下、図3を用いて本発明のヌル波面計測
装置の原理を説明する。まず、XY平面上の原点Oに式
(1)で表される理想的なヌル波面10の頂点が位置
し、ヌル波面10の光軸がZ軸と一致しているものとす
る。このとき、ヌル波面10上の一点P(X=a)を通
過する光は、そのヌル波面10の法線方向に直進し、図
1のZ接片Q(0,b)と交わる。このとき、式(1)
の右辺をf[X]と置くと、bはaの関数として、
【数2】 b[a]=a/f´[a]+f[a] ・・・式(2) と表される。
【0023】ヌル波面として測定に用いる光束の有効径
をφDと置き、式(1)の各係数を適当に設定したと
き、aの値をX=0〜D/2まで走査したとすると、式
(2)で表されるb[a]は、例えば、図4(a)に示
すような曲線で示すような変化をする。このとき、aの
値を限りなく0に近付けた場合のbの極値、すなわちb
接片は、微分の定義により、
【数3】 b[0]=1/f´´[0] ・・・式(3) で計算される。そして、式(3)で与えられるb接片
を、ヌル波面の光軸方向の基準点とすることが可能とな
る。ここで、式(2)および式(3)のダッシュ記号
「´」は1階微分を、「´´」は2階微分をそれぞれ表
している。
【0024】また逆に、光軸(Z軸)の任意の位置b
で、その反射面がZ軸と直交するように反射体11を設
けると、式(2)を満たすaについて、XY座標上で半
径aの輪帯に相当するヌル波面に対し、いわゆるキャッ
ツアイ反射状態が形成され、干渉計本体102内に輪帯
状の干渉縞が形成される。この干渉縞は干渉縞撮像装置
103で撮像され、これを画像処理することにより輪帯
の半径aを読取ることが可能である。
【0025】したがって、b[D/2]の位置から光軸
に即して原点に向って反射体11を走査して行けば、図
4(a)の曲線に沿って輪帯の半径aのデータがプロッ
トできることになる。すなわち、キャッツアイ反射状態
を形成する輪帯の半径aが反射体11の位置に応じた値
として求められる。但し、このデータは、計測誤差、お
よびヌル波面の誤差(設計値からの乖離)を伴ってい
る。
【0026】半径aのデータを得るために、実際には反
射体として被検レンズ13を用い、測定光軸方向に被検
レンズ13を移動させたときの干渉縞を用いる。すなわ
ち、図2(b)に示すように、被検レンズ13を保持機
構3にセットし、移動機構4により被検レンズ13を光
軸方向に走査したときの輪帯の半径aを求めればよい。
このように被検レンズ13を反射体として用いることに
より、被検レンズ13と反射体とを交換する際に生ずる
取付け誤差を排除することができる。
【0027】以下に、このデータ点の性質を利用すれ
ば、被検面13aの光軸方向のオフセット量、さらに
は、式(1)の各係数と等価なヌル波面の係数、がそ
れぞれ演算可能であることを簡単に説明する。
【0028】線形の最小自乗法の適用を可能とするため
に、まず式(1)自身に、
【数4】 g[X]=S0 +S1 X2 +S2 X4 +・・・ ・・+S7 X14 +S8 X16 ≡ΣSi/2 Xi (i=0〜16の偶数) ・・・式(4) による最小自乗フィッティングを掛け、式(1)を式
(4)の多項式で近似する。なお、この操作は、(κ,
R)と(C02,C04)とが略等価である意味もあっ
て非常に有用な変換となる。すなわち、(κ,R)と
(C02,C04)とが略等価であるために、仮に、式
(1)をそのまま用いてヌル波面校正を行うと、フィッ
ティング操作に際して係数が安定して収束しないという
問題がある。ところが、式(1)に代えて式(4)を使
用すれば、このような問題が解消するからである。
【0029】ここで、この式(4)の左辺を式(2)お
よび式(3)に代入して得られる関数
【数5】 b[X]=X/g´(X)+g(X) ・・・式(5) および、
【数6】 b[0]=1/g´´(0)=1/(2S1 ) ・・・式(6) をプロットして、図4(a)の曲線との差異を見ると、
図4(b)に示すように、一般的なレーザ測長器の分解
能以下にとどまっており、シミュレーション演算に採用
した設計値で表されたヌル波面を表記するのに、式
(4)の次数(16次)が誤差的に問題なく、充分な精
度で近似できることが判った。
【0030】さて、図4(c)に示すように、実測デー
タはディスクリートに得られる。図4(c)は、説明の
簡略化のため、横軸(観測される輪帯の半径)のサンプ
リング点を等ピッチに採って式(1)を用いて作成した
ものであり、シミュレーション用の理想的なデータであ
る。実際の測定では、縦軸の走査方向に帯して等間隔に
レーザ測長を行う方が現実的であり、その場合、一般に
は横軸が非等ピッチで得られることとなるが、このよう
な実測データに対しても、同様に以下に述べる最小自乗
法の適用が可能である。
【0031】また、図4(c)において原点近傍の測定
点が存在しないことからも判るように、実測データのう
ち、式(6)のb[0]で示される基準点に相当する輪
帯の半径aの計測が原理的に困難であるため、この曲線
を最適フィッティングする式としては、式(5)のみで
よい。
【0032】そして、このような理想データに対して、
式(5)を用いた最小自乗法により最適フィッティング
を掛け、上述のおよびの算出が可能なことを確認し
た。
【0033】具体的には、式(5)の曲線の形状を決定
するSiに微小増分の誤差dSiが加算されることによ
り、実際の測定データDiが得られるものと考え、
【数7】 Sum =Σh[Xi][Di−b[Xi] −Σ{(∂b[Xi]/∂Sj )dSj }] ・・・式(7) が最小となる条件、すなわち、
【数8】 ∂Sum/∂dSj =0 ・・・式(8) を連立方程式として解いて、必要な情報を求めた。
【0034】なお、式(7)の最初の「Σ」は、半径方
向の座標を表す添字iに対して行うものであり、2番目
の「Σ」は式(4)の係数Sj、およびその増分dSj
の添字jに対して行うものである。また、h[Xi]
は、半径方向(Z軸からの距離)について適切な重みを
付けるための非常に重要な係数であり、およびの演
算では、それぞれ異なる重み付けを行った。この重み付
けは、例えば撮像装置103として用いるCCDの画素
数が充分でないことに起因して必要となる操作であり、
干渉画像の端部についてどのような重み付けを行うかに
より、フィッティングの精度が異なってくる。
【0035】実際のシミュレーション演算には、特開平
8−226808号公報に開示された式(4)のS0 と
等価な値であるOffsetを導入し、このOffsetの一次関数
としてj=0以外のdSj を表す。そして、このOffset
を最小自乗法により求め、上述の一次関数に代入するこ
とにより、dSj を算出する手法を採った。さらに、前
述したのヌル波面の係数の算出においては、演算の重
み付け係数として、このOffsetの一次関数の係数に対し
て異なる値を採用することにより精度の向上を図った。
【0036】上述のおよびのシミュレーション演算
を行うにあたり、設計値(κ,R,Ci)を式(2)お
よび式(3)に代入して得られる設計データDiを用い
た。そして、設計データDiに対して、式(7)および
式(8)を用いて演算処理を行い、求まる最適値dS1
を用いて、
【数9】 S1 =S1 +dS1 ・・・式(9) と置き直した後のS1 を式(4)に代入して得られる曲
線と設計曲線との差分を取り、図4(d)のように最適
フィッティングの手法が問題ないことを確認している。
このように、後述する演算では式(1)の形式で示され
る曲線を係数Siを用いた式(4)に置き換えてフィッ
ティング操作を行っている。以下、本発明のヌル波面計
測装置による計測の具体的方法について述べる。
【0037】<被検面の光軸方向のオフセット量を演算
するための第1の方法>まず最初に、被検面の光軸方向
のオフセット量を演算する第1の方法について述べる。
実際のヌル波面が与える図4(a)の曲線は、設計値
(κ,R,Ci)を式(2)および式(3)に代入して
得られる設計データDiと異なることが予想されるた
め、任意の実際値(P,κ* ,R* ,Ci* )を仮定し
て式(2)および式(3)に代入することにより、図4
(e)のような誤差を有するシミュレーション演算用の
データDi* を作成した。なお、Pは演算用のデータD
* の光軸方向のオフセット値である。
【0038】そして、Pに異なる任意の2個のオフセッ
ト値PおよびPを与え、対応する2個のデータ群D
* ,Di* を用意し、このDi* ,Di*
ら上述の2個のオフセット値の偏差として定義できるΔ
Pが算出可能なことをシミュレーションにより確認し
た。具体的には、この両データ群に対して式(7)およ
び式(8)の最適フィッティングを掛けて、(Offset
,dSj* ),(Offset,dSj* )を算出し、
適切な重み付け係数h[Xi]の選択により、
【数10】 ΔP≡P−P=Offset−Offset ・・・式(10) の関係が成立することを見出した。したがって、式(1
0)のΔPを光軸方向のオフセット量として把握するこ
とができる。
【0039】以上述べたような2個のデータ群Di*
,Di* によるシミュレーションの代りに、実際の
測定により得た2つのデータ群を用いることにより、別
個に計測された2つの非球面のオフセット量が算出され
ることになる。
【0040】この方法は、例えば被検レンズ13(図2
(b))について、レフ減算により別途正確に校正され
たレフ原器14(図2(c))との比較演算を行う場合
に有効である。なぜならば、レフ原器14により実測さ
れたデータ群Di* 1に対して、被検レンズ13により
実測されたデータ群Di* の相関(光軸方向のオフセッ
ト量)が式(10)により求まるため、レンズ交換の際
のレーザ測長器の測定値のオフセットが許容できるから
である。
【0041】<被検面の光軸方向のオフセット量を演算
するための第2の方法>被検面の光軸方向のオフセット
量を演算する第2の方法では、第1の方法とは異なる重
み付け係数を採用し、式(6)の係数S1 の算出を行
う。そして、式(6)を用いて、算出された係数S1 に
よりヌル波面の頂点を決定する。
【0042】まず、任意の実際値(P,κ* ,R* ,C
* )を仮定して式(2)および式(3)に代入するこ
とにより、実測データDi* を作成する。次に、式
(7)および式(8)を用い、演算処理して求まるdS
* を用いて、
【数11】 S1* =S1 +dS1* ・・・式(11) と置き直した後のS1* を式(5)に代入して得られる
値をb* とし、同じく設計データDiを演算処理して求
まるdS1 を用いて、式(9)のように置き直した後の
S1 を式(5)に代入して得られる値をbとする。この
とき、このbを基準として両者の差分値
【数12】 Δb=b* −b ・・・式(12) をオフセットの補正値として、実測データDiにフィー
ドバックし、このフィードバック後のDi* を用いて同
じ手順を繰返し、式(12)のΔbがゼロに収束する性
質を利用した。
【0043】これは、実測データDiから定まるヌル波
面の頂点を設計データDiの仮想のヌル波面の頂点に一
致させることが可能であることを示している。すなわ
ち、実測データから統計処理によって得られる、式
(3)で表される実際のヌル波面の頂点を基準点とし
て、干渉計の撮像手段上に半径aの輪帯を与えるキャッ
ツアイ反射状態の、反射体2の光軸方向の位置が確認で
きたことになる。
【0044】以上のいずれの演算においても、半径aの
輪帯が正確に求まるものとした。しかし、実際にはこの
aの値にばらつき誤差はもちろんのこと、偏り誤差も重
畳していることが充分予想される。このaの偏り誤差
は、シミュレーション演算用のデータDi* を作成する
際に、任意に設定した実際値(κ* ,R* ,Ci* )の
変化と等価であるため、これらの値は前述した演算に影
響を及ぼさない。これは、ヌル波面の正確な校正が出来
なくても、光軸方向の位置決めが可能であることを示し
ている。
【0045】<ヌル波面の形状を確定する各係数の算出
>最後に、このヌル波面の正確な校正、すなわち式
(1)と等価なヌル波面の係数の測定を、光軸方向の絶
対的な位置決めと併せて可能とする手順を開示する。こ
れは、上述のフィッティングが設計データDiから定ま
る仮想のヌル波面の頂点を基準としたのに対して、NA
(ニューメリカルアパーチャ)校正用の球面原器12を
用いることにより、輪帯の半径aを正確に規格化し、実
際のヌル波面の絶対精度を保証するものである。この方
法では、被検レンズ13に代えて球面原器12を測定光
軸に沿って走査させ、輪帯の半径aを順次求める。な
お、この場合、図3における点Q(頂点反射における反
射点)は球面原器の球心が対応する。
【0046】具体的な演算手順としては、
【数13】 θ≡sin-1 NA ・・・式(13) を導入し、予めこのヌル波面のθをNAが既知の球面原
器12により校正しておき、さらに被検面13の半径h
dを正確に測定しておく。このとき、前述した図4
(e)の誤差を与えた実測データDi* のうち、輪帯の
最外径に対応する光軸方向の測定長をDnで表すと、
【数14】 Dn=hd/tanθ+g** [hd] ・・・式(14)
【数15】 g** [X]=ΣSi**i (i=0〜16の偶数) ・・・式(15) が成立する。この関係から、ヌル波面の頂点からの距離
として、Dn(Di* )を定めることが可能となる。
【0047】ここで、式(15)は測定対象となる正確
なヌル波面形状を表している。しかし、式(15)の係
数Si** は未知であるため、代りに実測データDi*
に対して式(11)のS1* と同じ手順で求まるSi*
を式(4)に代入した、
【数16】 g* [X]=ΣSi*i (i=0〜16の偶数) ・・・式(16) を用いることとする。このとき、Si** とSi* とが
等しくないとすると、式(14)の等号は成立しなくな
り、
【数17】 ΔD=Dn −hd /tanθ−g* [hd] ・・・式(17) で表される偏差ΔD(≠0)が計算される。
【0048】実測データDi* からこの偏差ΔDをオフ
セットとして減算し、再度、式(7)および式(8)の
最適フィッティングを掛けて、dSi* を計算し、Si
* を算出しなおす。以下、式(17)の偏差ΔDがゼロ
に収束する性質を利用して、同じ手順を繰返し、ΔDを
ゼロに収束させる。このとき、Si* の値も式(15)
の係数Si** に収束する。このため、ヌル波面の頂点
とともに、Si** を高精度に算出することが可能とな
る。
【0049】図4(f)はシミュレーション演算により
与えられた測定ヌル波面と、測定された測定ヌル波面の
形状差をプロットしたものであり、ΔD≒8×10-8
であった。このことは非球面の形状が充分な精度で校正
可能であることを示している。
【0050】<ヌル波面校正および形状測定の手順>最
後に、本発明によるヌル波面計測装置を用いたヌル波面
の校正、および校正されたヌル波面を基準とした被検面
13aの形状測定を行う場合の手順について述べる。
【0051】まず、図2(a)に示すように球面原器1
2を保持機構3にセットし、球面原器12を測定光軸に
沿って走査する。これにより、測定ヌル波面10の校正
を行い、測定ヌル波面10の形状を算出するとともに、
測定ヌル波面10の基準原点と検出手段7の検出値との
相関を取る。
【0052】次に、球面原器12を保持機構3から取り
外し、図2(b)に示すように球面原器12の代りに被
検レンズ13をセットし、干渉計測を行う。一般的に、
干渉計測では被検物のアライメント状態に依存して、得
られる干渉縞の解析結果にアライメント誤差が混入する
ため、この場合も、アライメント誤差を排除するために
アライメント誤差補正を掛けることが必要となる。一
旦、アライメント誤差補正後の干渉計測データが安定す
れば、採用する干渉計測データに対応した被検面13a
の位置、すなわち干渉計測を行った際の被検面13aの
光軸方向の位置を確定するために、被検レンズ13を光
軸方向に移動して輪帯の半径aを計測する。これによ
り、被検面13aの位置が測定ヌル波面10の基準点か
らの距離として求められる。なお、この手順は干渉計測
の前に行ってもよい。
【0053】この距離を演算装置200にフィードバッ
クすることにより、採用した干渉計測データのベースと
なる、測定ヌル波面10の形状が確定し、被検レンズ1
3の形状測定を完了させることができる。なお、図3
(c)のように、予め正確に校正されたレフ原器14を
用いた比較測定を行う場合には、図3(a)に示す配置
による球面原器12を用いたヌル波面校正は必ずしも必
要ではない。
【0054】本実施の形態では、レーザ測長器7を検出
装置として用いているが、検出装置の種類は必要な精度
に応じて適宜選択することができる。また、本実施の形
態で行っているアッベ誤差の緩和も必ずしも必要ではな
い。なおヌル素子としては、本実施の形態のヌルレンズ
の代りに、ゾーンプレートで代表される回折格子型ヌル
素子を用いてもよい。
【0055】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、非球面
波の正確な校正が可能となる。請求項2に記載の発明に
よれば、リング状の干渉縞の直径と移動手段の移動量と
の関係に基づいて算出するので、非球面波の光軸方向の
ゼロ基準が正確に求まる。請求項3に記載の発明によれ
ば、球面原器を用いるので、非球面波の光軸方向のゼロ
基準あるいは非球面波の形状の少なくとも一方が正確に
求まる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるヌル波面計測装置の一実施の形態
を示すブロック図。
【図2】一実施の形態のヌル波面計測装置における光学
配置を示す図であり、(a)は球面原器をセットした状
態を示す図、(b)は被検レンズをセットした状態を示
す図、(c)は非球面レフ原器をセットした状態を示す
図。
【図3】本発明の原理を示す図。
【図4】測定光軸上の頂点反射の位置と輪帯の半径aの
関係等を示す図であり、(a)は頂点反射の位置と半径
aとの関係を示す図、(b)は式(4)の多項式による
フィッティングに基づく誤差を示す図、(c)はシミュ
レーション用のデータを示す図、(d)は設計曲線と最
適フィッティングとの差分を示す図、(e)は誤差を有
するシミュレーション演算用のデータの一例を示す図、
(f)はシミュレーション演算により与えられた測定ヌ
ル波面と、測定された測定ヌル波面との形状差を示す
図。
【符号の説明】
1 フィゾーフラット 1a 高精度参照面 2 ヌル素子 3 保持機構 4 移動機構 7 検出装置 10 ヌル波面 12 球面原器 13 被検レンズ 13a 被検面 102 干渉計本体 200 演算装置

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非球面形状のヌル波面を校正するヌル波
    面計測装置であって、 干渉計本体と、 前記干渉計本体からの光を反射する参照面と、 前記干渉計本体から射出される波面を被検物の被検面形
    状と等価な非球面波に変換するヌル素子と、 前記非球面波のNAを校正するための球面原器と、 前記被検物または前記球面原器を前記非球面波の測定光
    軸に沿って移動させる移動手段と、 前記移動手段の移動量を検出する移動量検出手段と、 前記参照面により反射されて形成される参照光と前記球
    面原器または前記被検面により反射されて形成される測
    定光との相互干渉に基づく干渉データ、および前記移動
    量検出手段により検出される移動量データを演算処理し
    て前記ヌル波面を校正するに必要な数値を算出する演算
    手段とを備えることを特徴とするヌル波面計測装置。
  2. 【請求項2】 前記被検物を前記非球面波の光軸に沿っ
    て走査した際に前記演算装置により検知されるリング状
    の干渉縞の直径と前記被検物の走査時の前記移動手段の
    移動量との関係から、前記非球面波の光軸方向のゼロ基
    準を算出する算出手段を備えることを特徴とする請求項
    1に記載のヌル波面計測装置。
  3. 【請求項3】 前記移動手段により球面原器を前記非球
    面波の光軸に沿って走査することにより得られる、前記
    演算装置により検知されるリング状の干渉縞の直径と前
    記球面原器の走査時の前記移動手段の移動量との関係、
    および前記非球面波のNAに基づいて、前記非球面波の
    光軸方向のゼロ基準あるいは前記非球面波の形状の少な
    くとも一方を算出する算出手段を備えることを特徴とす
    る請求項1に記載のヌル波面計測装置。
JP9018137A 1997-01-31 1997-01-31 ヌル波面計測装置 Pending JPH10213421A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9018137A JPH10213421A (ja) 1997-01-31 1997-01-31 ヌル波面計測装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9018137A JPH10213421A (ja) 1997-01-31 1997-01-31 ヌル波面計測装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10213421A true JPH10213421A (ja) 1998-08-11

Family

ID=11963226

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9018137A Pending JPH10213421A (ja) 1997-01-31 1997-01-31 ヌル波面計測装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10213421A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008534986A (ja) * 2005-04-05 2008-08-28 キューイーディー・テクノロジーズ・インターナショナル・インコーポレーテッド 非球形表面の高分解能の精密測定方法
JP2008292438A (ja) * 2007-05-23 2008-12-04 J Tec:Kk 超精密形状測定方法及びその装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008534986A (ja) * 2005-04-05 2008-08-28 キューイーディー・テクノロジーズ・インターナショナル・インコーポレーテッド 非球形表面の高分解能の精密測定方法
JP4917088B2 (ja) * 2005-04-05 2012-04-18 キューイーディー・テクノロジーズ・インターナショナル・インコーポレーテッド 非球形表面の高分解能の精密測定方法
JP2008292438A (ja) * 2007-05-23 2008-12-04 J Tec:Kk 超精密形状測定方法及びその装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5898501A (en) Apparatus and methods for measuring wavefront aberrations of a microlithography projection lens
US6268923B1 (en) Optical method and system for measuring three-dimensional surface topography of an object having a surface contour
KR100972571B1 (ko) 비구면 렌즈의 면 어긋남 측정 방법 및 장치
US6894788B2 (en) Interferometric system for automated radius of curvature measurements
US8411280B2 (en) Surface shape measurement apparatus
JPS6039518A (ja) 干渉計システム
JP2011095239A (ja) 面形状計測装置
US6734979B2 (en) Rapid in situ mastering of an aspheric Fizeau with residual error compensation
KR20110065365A (ko) 비구면체 측정 방법 및 장치
US20200240770A1 (en) Device and Method for Calibrating a Measuring Apparatus Using Projected Patterns and a Virtual Plane
JPH1089935A (ja) 非球面干渉計測装置
Albrecht Estimation of the 2D measurement error introduced by in-plane and out-of-plane electronic speckle pattern interferometry instruments
JP4100663B2 (ja) 絶対厚み測定装置
JPH10213421A (ja) ヌル波面計測装置
JP2009244227A (ja) 光波干渉測定装置
JP2002206915A (ja) 面形状測定装置の横座標較正方法および面形状測定装置
JP4203831B2 (ja) 光学材料の群屈折率精密計測方法
JPH10221029A (ja) 非球面形状測定装置
JPH10260020A (ja) 非球面形状測定装置及び方法
Sharma et al. Phase-stepping interferometry for parallelism measurement of step gauge faces
JP4007473B2 (ja) 波面形状測定方法
JPH10221031A (ja) 非球面形状測定装置
JP2003254747A (ja) 真直度測定法
JP2000275021A (ja) 面形状測定装置
JPH03156305A (ja) 非球面形状測定装置