JPH10212771A - 吸音材料及びこれを用いた防音壁 - Google Patents

吸音材料及びこれを用いた防音壁

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JPH10212771A
JPH10212771A JP31164797A JP31164797A JPH10212771A JP H10212771 A JPH10212771 A JP H10212771A JP 31164797 A JP31164797 A JP 31164797A JP 31164797 A JP31164797 A JP 31164797A JP H10212771 A JPH10212771 A JP H10212771A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 排気ガスとの接触効率が高く、耐久性に優
れ、しかも排気ガス浄化効果と防音効果を併せ持った吸
音材料及びこれを用いた防音壁を提供する。 【解決手段】本発明の吸音材料は、多孔質材1の表面
に、酸化チタン光触媒2をコーティングしたものであ
る。この吸音材料からなる吸音板をボックスの前面に設
けて防音パネルとし、これを積み重ねて防音壁とする。
防音壁に吸音板の背面を負圧にする手段を備え、排気ガ
スを吸音板に強制的に透過させて排気ガスと酸化チタン
光触媒との接触の機会を増加させれば、より優れた排気
ガス浄化効果が得られる。多孔質材1としては粒子又は
繊維の集合体からなるものが使用でき、その材質はセラ
ミック質、ガラス質、金属質のいずれでもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の騒音を防
止するとともに、自動車の排気ガスによる空気汚染を抑
制するために利用される吸音材料及びこれを用いた防音
壁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車専用道路や自動車の通行量の多い
道路には、自動車の騒音を防止するための防音壁が設置
されている。この防音壁には、ガラスウール等の繊維質
の吸音材料のほか、耐候性、耐久性に優れたセラミック
多孔質の吸音材料も広く用いられている。
【0003】一方、自動車からの排気ガス中には窒素酸
化物(NOx )や硫黄酸化物(SOx )等の汚染物質が含ま
れており、通産省工業技術院資源環境総合研究所では特
開平6-315614号公報に示されるように、酸化チタン光触
媒をフッ素系樹脂シートやセメントの表面に固定化し、
道路付近のビルの壁面に取り付けて排気ガスにより汚染
された空気を浄化する研究を行っている。この酸化チタ
ン光触媒は太陽光線中の300 〜400nm の波長の近紫外線
により活性化され、その強い酸化力により空気浄化、水
浄化、抗菌等の効果を発揮するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが上記した従来
技術には、次のような問題があった。 酸化チタン光触媒はフッ素系樹脂シートやセメント
の表面に固定化されているため、排気ガスとの接触効率
が低い。 酸化チタン光触媒の脱落による劣化が進行し易く、
耐久性に乏しい。 窒素酸化物や硫黄酸化物は酸化チタン光触媒により
酸化されて硫酸イオンや硝酸イオンとなり、セメントな
どの基材を浸食する。 酸化チタン光触媒の設置位置が排気ガスの発生源か
ら離れているため、排気ガスとの接触効率が低い。 本発明は上記した従来の問題点を解決し、排気ガスとの
接触効率が高く、耐久性に優れ、しかも排気ガス浄化効
果と防音効果を併せ持った吸音材料及びこれを用いた防
音壁を提供するためになされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明の吸音材料は、多孔質材の表面に、
酸化チタン光触媒をコーティングしたことを特徴とする
ものである。この多孔質材としては粒子又は繊維の集合
体からなるものが使用でき、その材質はセラミック質、
ガラス質、金属質のいずれかよりなるものが好ましい。
また本発明の防音壁は、この吸音材料からなる吸音板を
備えたことを特徴とするものである。なお、防音壁は吸
音板の背面を負圧にする手段を備え、排気ガスを吸音板
に強制的に透過させることができるものであることが好
ましい。また吸音板の背面を負圧にする手段として、防
音壁の上部に空気路を設けることが好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に本発明の好ましい実施の形
態を説明する。図1は本発明の第1の実施形態である吸
音材料の断面図であり、1は多孔質材、2はその表面層
の部分にコーティングされた酸化チタン光触媒である。
この第1の実施形態の多孔質材1は直径が0.1mm 〜3mm
程度のセラミック骨材3を釉薬等の無機質結合材により
結合した粒子集合体からなるもので、従来から屋外用の
吸音材料として用いられてきたものと同じでよい。
【0007】酸化チタン光触媒2は、微細な粒径の酸化
チタン粒子を適宜の結合材と混練し、多孔質材1のセラ
ミック骨材3の表面を包み込むようにコーティングした
ものである。コーティングの方法としては、多孔質材1
の製造工程においてセラミック骨材3の表面に酸化チタ
ン粒子を同時焼成し、焼き付けコーティングする方法
や、焼成済みの多孔質材1の表面に酸化チタン粒子を焼
き付けコーティングする方法や接着剤により固着させる
方法等を取ることができる。酸化チタン光触媒2は多孔
質材1の表面のみにコーティングしてもよいが、セラミ
ック骨材3、3間の空隙においても触媒反応を進行させ
ることができるように、表面からある程度の深さまでコ
ーティングすることが好ましい。もっとも光線が到達し
ない内部にまで酸化チタン光触媒2をコーティングする
ことは意味がなく、表面からほぼ1〜10mm程度の深さま
でコーティングすればよい。
【0008】このように構成された第1の実施形態の吸
音材料は、従来のセラミック多孔質材と同様の吸音性能
を発揮するのみならず、太陽光線中の300 〜400nm の波
長の近紫外線の存在下で自動車の排気ガスと接触する
と、窒素酸化物や硫黄酸化物を酸化して硝酸イオンや硫
酸イオンに変化させる。特に本発明の吸音材料は、空隙
率の大きい多孔質材1の表面に酸化チタン光触媒2をコ
ーティングしたため、酸化チタン光触媒2と排気ガスと
の接触表面積が大きくなるうえ、セラミック骨材3の凹
凸による乱流効果によって排気ガスとの接触効率も高ま
り、優れた浄化効果を発揮する。しかも酸化チタン光触
媒2がセラミック質の多孔質材1と強固に接着されてい
るため、従来品のように剥離・脱落するおそれもないも
のである。さらにこの吸音材料は耐薬品性に優れたセラ
ミック質の多孔質材1の表面に酸化チタン光触媒2をコ
ーティングしたものであるから、窒素酸化物や硫黄酸化
物を酸化した結果生じる硝酸や硫酸による劣化のおそれ
もない。
【0009】図2は本発明の第2の実施形態としての吸
音材料の断面図であり、1aは繊維質の多孔質材、2は
その表面にコーティングされた酸化チタン光触媒であ
る。第2の実施形態では多孔質材1aとして耐蝕性に優
れたアルミニウム繊維の集合体が用いられている。この
アルミニウム繊維は例えば直径が5〜200 μm のもので
あってそれ単独で用いてもよいが、繊維集合体の外表面
をアルミニウムやステンレスのパンチングメタルやエキ
スパンドメタルで挟むか、圧縮成形して用いてもよい。
【0010】この第2の実施形態の吸音材料も、第1の
実施形態の吸音材料と同様の作用効果を発揮するもので
あり、従来の繊維質の吸音材料と変わらない吸音性能を
持ち、また太陽光線中の300 〜400nm の波長の近紫外線
の存在下で自動車の排気ガスと接触すると、繊維質の多
孔質材1aの表面にコーティングされた酸化チタン光触
媒2が窒素酸化物や硫黄酸化物を酸化して、硝酸イオン
や硫酸イオンに変化させることができる。なお、繊維質
の多孔質材1aとしてはアルミニウム繊維のような耐食
性に優れた金属繊維の他に、ガラス繊維やセラミック繊
維を用いることもできる。
【0011】上記の各実施形態に示した吸音材料は、図
3に示すような防音パネル4とされ、さらに多数の防音
パネル4をH型鋼からなる支柱間に嵌めて防音壁が構成
される。防音パネル4は図4に断面構造を示したよう
に、鋼板製のボックス5の前面に本発明の吸音材料から
なる吸音板6を取付けたものである。吸音板6の厚さは
一般に1〜50mm程度であり、その背後に50〜100mm 程度
の空気層7を形成することが好ましい。このような構成
を取ることにより、本発明の防音壁は従来と同様の防音
機能とともに、優れた排気ガス浄化機能をも発揮するこ
とができる。特に本発明の防音壁は排気ガス発生源の至
近位置に配置されるため、排気ガスが大気中に拡散する
前に効果的に浄化を行うことができる。以下に本発明の
実施例を示す。
【0012】
【実施例】(実施例1) 粒径が0.1mm 〜3mm のセラミック骨材3を釉薬により結
合したセラミック質の多孔質材1の表面に、酸化チタン
光触媒2をコーティングして本発明の吸音材料を製造し
た。フッ素系樹脂シートの表面に酸化チタン光触媒2を
コーティングした従来品とこの吸音材料とを図5に示し
た反応器8の内部にセットし、窒素酸化物の除去率を測
定した。測定は常温、常圧下で行われ、反応ガス組成は
NO=5ppm、O2=21%、N2=バランスガス、反応ガス流量
は500mL/min とした。また紫外線(320〜400nm)強度は昼
間の太陽光と同程度の1000μW/cm2 とした。測定結果を
表1に示した。このデータから明らかなように、本発明
の吸音材料は従来品に比較して優れた窒素酸化物の除去
性能を持つものである。
【0013】
【表1】
【0014】またJIS に規定される方法により、本発明
の吸音材料の垂直入射吸音率を測定した結果を図6に示
す。この図に示されたように、酸化チタン光触媒2をコ
ーティングしたことによる吸音率の変化はほとんどな
い。
【0015】前記したように本発明の吸音材料は優れた
排気ガス浄化機能を有するため、従来と同様に高速道路
の高さ5mの両側の防音壁に用いれば、自動車走行によ
る風や空気の流れによって排気ガスが酸化チタン光触媒
2と接触し、窒素酸化物や硫黄酸化物を10%程度除去す
ることができる。しかし吸音板6の背面を負圧にする手
段を設け、排気ガスを防音パネル4の内部に吸引して吸
音板4を強制的に透過させれば、窒素酸化物や硫黄酸化
物の除去率をさらに向上させることができる。
【0016】このためには例えば図4に示すように、防
音パネル4に通気口9を設けておき、図7に示すように
多段に積まれた防音パネル4の内部を連通させ、上部か
らファン10で吸引する構造とすることができる。これに
より排気ガスは多孔質の吸音板6を通過して防音パネル
4の内部に吸引されることとなり、酸化チタン光触媒2
との接触機会が格段に増加する。このため単に防音パネ
ル4の表面に沿って排気ガスが流れるだけの場合に比較
して、浄化効率を向上させることができる。
【0017】上記のファン10は通常の電力により駆動し
てもよいが、太陽電池と組み合わせた電動ファンを用い
れば、太陽エネルギーを利用して経済的に排気ガスの浄
化を図ることができる。この場合、夜間には太陽電池の
出力が低下してファン10が停止することとなるが、太陽
光線のない場合には酸化チタン光触媒2の触媒作用も停
止するため、ファン10が停止しても支障はない。
【0018】さらに図8、図9に示すように防音壁の上
部に空気路11を取付け、自然の風が空気路11を通り抜け
る際に防音パネル4の内部を負圧にすることにより吸引
効果を発揮させることもできる。この構造の防音壁も太
陽電池を用いたものと同様に電力を必要とせず、浄化効
率を高めることができる利点がある。なお、空気路11を
風向に応じて回転する構造としたり、空気路11の内部に
絞りを加えて吸引効果を増せば、より好ましい結果が得
られる。
【0019】酸化チタン光触媒2は排ガス中の窒素酸化
物や硫黄酸化物を酸化し、硝酸イオン、硫酸イオンに変
化するが、両者が雨等の水分に溶け、硝酸、硫酸が生じ
ても多孔質材1をセラミック質やガラス質としておけ
ば、酸による劣化は生じない。また、定期的降雨により
硝酸、硫酸は洗浄されるが前述の太陽電池等を利用した
水洗装置を取り付けてもよい。
【0020】(実施例2)直径が5〜200 μm のアルミ
ニウム繊維集合体の表面に、酸化チタン光触媒2をコー
ティングして吸音材料を製造した。この吸音材料を第1
の実施例と同様に図5に示した反応器8の内部にセット
し、窒素酸化物の除去率を測定した。その結果、この吸
音材料の窒素酸化物除去性能は98%に達し、従来品に比
較して優れた効果を持つことが確認された。
【0021】
【発明の効果】以上に述べた本発明の効果を要約する
と、次の通りである。 酸化チタン光触媒を多孔質材の表面にコーティング
したので、従来の酸化チタン光触媒を平板表面に固定化
したものと比較して排気ガスとの接触効率が高く、優れ
た浄化効率を得ることができる。 酸化チタン光触媒が脱落しにくく、特にセラミック
質、ガラス質の多孔質材を用いたものは、窒素酸化物や
硫黄酸化物が酸化された硝酸や硫酸による浸食もないた
め、耐久性に優れる。 酸化チタン光触媒を排気ガスの発生源の至近位置に
配置できるため、排気ガスとの接触効率が高い。 特に吸音板の背面を負圧にする手段を設け排気ガス
が吸音板を強制的に透過するようにすれば、窒素酸化物
や硫黄酸化物の除去率をさらに向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の吸音材料の断面図である。
【図2】第2の実施形態の吸音材料の断面図である。
【図3】本発明の吸音材料を用いた防音パネルの斜視図
である。
【図4】防音パネルの断面図である。
【図5】窒素酸化物の除去率の測定装置を示すブロック
図である。
【図6】垂直入射吸音率を示すグラフである。
【図7】防音壁の実施例を示す断面図である。
【図8】防音壁の他の実施例を示す断面図である。
【図9】防音壁の他の実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 多孔質材、1a 繊維質の多孔質材、2 酸化チタ
ン光触媒、3 セラミック骨材、4 防音パネル、5
ボックス、6 吸音板、7 空気層、8 反応器、9
通気口、10 ファン、11 空気路

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質材の表面に、酸化チタン光触媒を
    コーティングしたことを特徴とする吸音材料。
  2. 【請求項2】 多孔質材が粒子又は繊維の集合体からな
    るものである請求項1記載の吸音材料。
  3. 【請求項3】 多孔質材がセラミック質、ガラス質、金
    属質のいずれかよりなるものである請求項1又は2記載
    の吸音材料。
  4. 【請求項4】請求項1〜3の何れかに記載の吸音材料か
    らなる吸音板を備えたことを特徴とする防音壁。
  5. 【請求項5】 吸音板の背面を負圧にする手段を備えた
    請求項4記載の防音壁。
  6. 【請求項6】 吸音板の背面を負圧にする手段として、
    防音壁の上部に空気路を設けた請求項5記載の防音壁。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007051505A (ja) * 2005-08-19 2007-03-01 Univ Kinki 背後気流層を有する大気汚染物質除去型防音壁
WO2009108071A1 (en) * 2008-02-28 2009-09-03 Stahlton Engineered Concrete (A Division Of Fulton Hogan Limited) Barrier system
KR100935155B1 (ko) 2007-11-06 2010-01-27 메이저위드(주) 회전 흡음판이 구비된 방음벽
US7691452B1 (en) * 2004-03-01 2010-04-06 Lockheed Martin Corporation Anti-contamination coated multi-layer insulation

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