JPH1021275A - 光学系の自動設計における最適化問題処理方法及びその装置 - Google Patents

光学系の自動設計における最適化問題処理方法及びその装置

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JPH1021275A
JPH1021275A JP8169910A JP16991096A JPH1021275A JP H1021275 A JPH1021275 A JP H1021275A JP 8169910 A JP8169910 A JP 8169910A JP 16991096 A JP16991096 A JP 16991096A JP H1021275 A JPH1021275 A JP H1021275A
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value
optical system
target
optical
optimization problem
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JP8169910A
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Hiroshi Matsui
寛 松居
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来多大なる試行錯誤を要していた各評価関
数にかける適切な重み値を見い出す作業を簡略化し、よ
り短い時間内に効率良く光学設計が行なえる光学系の自
動設計における最適化問題処理方法を提供する。 【解決手段】 所望の光学特性及び/又は制約条件に対
して満足できる目標の幅に関する情報、すなわち光学特
性又は制約条件ごとの目標値と該目標値に対する上限値
および下限値とを含む情報を設定する(S20)ことに
より、該目標の幅に関する情報を用いて、所望の光学特
性及び/又は制約条件にかかる重み値が複数に分割して
解析的に設定され(S30)、分割された重み値に基づ
いて、対象の光学系の光学特性及び/又は制約条件が制
約条件付き最適化問題として解かれる(S40〜S6
0)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の構成要素か
らなる対象の光学系が所望の光学特性をもつように、該
複数の構成要素を自動的に変更していく光学系の自動設
計における最適化問題処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】以下、従来の光学系の自動設計における
最適化問題処理の数例を示す。まず、対象となる光学系
を構成する、面の曲率半径(r)、面間隔(d)、曲折
率(N)といった構成要素を、n個の要素から成る変数
ベクトル;
【0003】
【数1】 該対象の特性を評価する量をm個の要素から成る目的関
数ベクトル;
【0004】
【数2】 で表わす。ただし、
【0005】
【数3】 である。ここで、fk(X) 、fk,tar 、Wk は、それぞ
れ各特性値を表わす評価関数の値とその目標値およびそ
れらにかかる重み値である。これらの評価関数には所望
の値にすることを目的とした特性値の他、制約条件値を
含めてもよい。
【0006】最小自乗法では、一般に各評価関数値の目
標値からのずれ(誤差)量が最小になるように解が求め
られ、そのために単一評価尺度として、次式で表わされ
るスカラー量を用いる。
【0007】
【数4】 (4)式で与えられるスカラー量を、特にレンズ設計の
分野ではメリット関数と呼ぶ。(4)式に評価関数の線
形近似を適用すると、局所的最小値となるためのXの必
要条件は、
【0008】
【数5】 と表わせる。ここで、AはF(X)のJacobianで、
【0009】
【数6】 である。なお、(6)式において、Fi は目的関数ベク
トル(2)式の第i要素Fi(X) のことを意味する。ま
た、△Xは変数ベクトルの次ステップへの変動を表わす
解ベクトルであり、以下のように表わせる。
【0010】
【数7】 一般に、評価関数と変数との関係は非線形であるため、
(5)式をそのまま解く代わりに、2次微分以上の非線
形性成分に対する補正が行なわれる。例えば、K.Levenb
erg とD.W.Marquardt によって考案された、Levenberg-
Marquardt(DLS:Damped Least Squares) 法では、非線形
性を補正するためにダンピングファクタと称されるスカ
ラー量ρを導入し、(5)式の代わりに、
【0011】
【数8】 を解いて最適解を求めている。(8)式においてIは単
位行列を表わす。このDLS法が従来の光学系の自動設
計で最も広く用いられてきた最適化手法である。しか
し、この従来の光学系の自動設計手法では、各評価関数
がそれぞれの目標値を満足させるためにはそれらにかか
る重みを適切な値に設定しなければならないが、それを
従来は設計者の経験と勘によって行なうしかなかった。
さらに設計対象の光学系によっては評価関数の数が数百
にものぼるため、それらすべての評価関数について適切
な重み値を設定するには多大な試行錯誤作業を要すると
いう重大な欠点があった。この欠点は、前記メリット関
数のような単一評価尺度(スカラー量)を用いる手法で
は、原理的に避けられないものである。
【0012】一方、上記欠点を克服する試みには、単一
評価尺度を用いずに個々の評価関数を個別に最適化する
多目的計画法がある。この多目的計画法に属する手法の
1つとして、各評価関数に対して希求水準(この程度で
あれば満足できるという基準)というパラメータを設定
することにより適切な重み値を解析的に設定する、“満
足化トレードオフ法”が応用数学の分野で報告されてい
る。この満足化トレードオフ法が提案された原著論文
(中山広隆、“多目的計画に対する満足化トレードオフ
法の提案”、計測自動制御学会論文集、vol.27,no.12
(1983)、785-792)によれば、処理手順は以下のようにな
る。
【0013】<step1(理想点の設定)>各評価関
数fk (X) に対して理想点fk *(k=1,2,…,
m)を設定する。ただし、fk *は充分大きい値で、例え
ば、
【0014】
【数9】 とする。 <step2(希求水準の設定)>各評価関数に対する
希求水準fk +を意思決定者に設定させる。ただし、fk +
<fk *とする。
【0015】<step3(重みの決定とMin−Ma
x解)>
【0016】
【数10】 として、Min−Max問題の解を次の等価な問題を解
くことによって与える。
【0017】
【数11】 問題の(10)式の解をXs とする。 <step4(トレードオフ)>f1(XS), f2(XS),
…, fm(XS)を意思決定者に見せて、もっと水準を高め
たい目的とそのために犠牲にしてもよい目的、および現
状のままでよい目的の3つのクラスに分ける。もっと水
準を高めたい目的がなければ終了、そうでなければ希求
水準を設定し直して、step3へ戻る。
【0018】Min−Max問題の(10)式におい
て、zはチェビシェフノルムと呼ばれるスカラー量であ
り、数学的には、
【0019】
【数12】 と表される。これは、実際には、
【0020】
【数13】 と等価であり、目的関数値の絶対値が最大となるものの
値を示している。以上のような多目的計画法のアプロー
チをそのまま光学設計に適用することはできない。何故
なら、通常の光学設計においては、各評価関数の理想値
を明確に与えることは難しい(ある数値範囲に入ってい
ればよいという場合が多い)こと、“希求水準”と称さ
れるパラメータは、従来の光学設計分野では使われたこ
とのない新規なものであること、などのためである。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、従来多大なる試行錯誤を要していた各評価
関数にかける適切な重み値を見い出す作業を簡略化し、
より短い時間内に効率良く光学設計が行なえる光学系の
自動設計における最適化問題処理方法を提供することで
ある。
【0022】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に、本発明の光学系の自動設計における最適化問題処理
方法は、複数の構成要素から成る対象の光学系が所望の
光学特性および制約条件を達成するように、該複数の構
成要素を自動的に変更しながら最適な光学系の形状を求
める光学系の自動設計における最適化問題処理方法であ
って、所望の光学特性及び/又は制約条件に対して満足
できる目標の幅に関する情報を設定することにより、該
目標の幅に関する情報を用いて、前記所望の光学特性及
び/又は制約条件にかかる重み値が解析的に設定される
ことを特徴とする。
【0023】ここで、1つの光学特性又は制約条件に対
して前記目標の幅に関する情報が複数設定され、前記光
学特性又は制約条件には複数に分割して重み値が設定さ
れる。また、前記目標の幅に関する情報は、光学特性又
は制約条件ごとの目標値と該目標値に対する上限値およ
び下限値とを含む。また、前記目標値と上限値および前
記目標値と下限値とを用いて、前記光学特性又は制約条
件には複数に分割して重み値が設定される。また、前記
目標値と上限値および前記目標値と下限値は、該上限値
と目標値の差および該目標値と下限値の差のうち絶対値
が小さい方の値が略10-15 以上となるように設定され
る。
【0024】又、本発明の情報処理装置は、複数の構成
要素から成る対象の光学系が所望の光学特性および制約
条件を達成するように、該複数の構成要素を自動的に変
更しながら最適な光学系の形状を求める光学系の自動設
計における最適化問題を処理する情報処理装置であっ
て、所望の光学特性及び/又は制約条件に対して、光学
特性又は制約条件ごとの目標値と該目標値に対する上限
値および下限値とを含む情報を入力する手段と、前記目
標値と上限値および前記目標値と下限値とを用いて、前
記所望の光学特性及び/又は制約条件にかかる重み値が
複数に分割して算出する重み値算出手段と、前記分割さ
れた重み値に基づいて、前記対象の光学系の光学特性及
び/又は制約条件を制約条件付き最適化問題として解く
最適化手段とを備えることを特徴とする。
【0025】又、本発明のコンピュータ可読メモリは、
複数の構成要素から成る対象の光学系が所望の光学特性
および制約条件を達成するように、該複数の構成要素を
自動的に変更しながら最適な光学系の形状を求める光学
系の自動設計における最適化問題を処理する処理プログ
ラムを格納するコンピュータ可読メモリであって、前記
処理プログラムは、少なくとも、所望の光学特性及び/
又は制約条件に対して満足できる目標の幅に関する情報
を設定する目標幅設定モジュールと、該目標の幅に関す
る情報を用いて、前記所望の光学特性及び/又は制約条
件にかかる重み値が解析的に設定する重み値設定モジュ
ールと、前記重み値に基づいて、前記対象の光学系の光
学特性及び/又は制約条件を制約条件付き最適化問題と
して解く最適解モジュールとを含むことを特徴とする。
更に、光学系を作成するための光学系要素のデータベー
スを格納する。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明では前述の多目的計画法の
計算概念を、光学系の自動設計に適用できるように、以
下のような技術的工夫を行う。 <本発明の概念>光学系の自動設計では通常、各評価関
数に対してこの程度あれば最適とみなせる値は、1点で
はなく、ある有限の数値幅をもっていることが多い。そ
の数値幅は、予め設計者(意思決定者とも言う)によっ
て与えられた上限値と下限値という形で設定できる。こ
の上限値および下限値は、評価関数値がそれ以下または
以上の値であれば満足できるという設計者の価値基準を
表わすもので、上限値と下限値の間にその評価関数の理
想値があるとみなすことができる。しかし、理想値は必
ずしも上限値と下限値とのちょうど中間にあるわけでは
なく、上限値あるいは下限値のどちらかに偏っている場
合もある。従って、そのような場合には、上限値と下限
値の間でさらに理想とする値として目標値を指定するこ
とが必要となる。そこで、第i番目の評価関数fi(X)
について理想値として目標値を設定し、かつそれに対す
る上限値と下限値とを設定して、上限値と目標値および
目標値と下限値との2つに分割した新しい評価関数fi '
(X)を以下のように定義する。
【0027】
【数14】 ここで、fi,tar は、第i評価関数に対して予め設定さ
れた目標値である。このように新たに定義された評価関
数fi '(X)に対して、前記満足化トレードオフ法を適
用すると、各評価関数にかかる重みの最適値は、
【0028】
【数15】 として解析的に設定できる。ここで、fi,up、fi,low
は、第i評価関数に対して予め設定された上限値および
下限値である。このとき各目的関数は、
【0029】
【数16】 と構成される。こうすることにより、解くべき最適化問
題は以下のようなMin−Max問題に帰着する。
【0030】
【数17】 上記Min−Max問題の(16)式は、いわゆる制約
条件付き最適化問題であり、一般の制約条件付最適化手
法(乗数法、準ニュートン法など)を用いて解くことが
できる。また、fi '(X)が評価関数ではなく、制約条
件である場合も同様に処理することができ、その際には
強制的にz=0とすればよい。
【0031】<本実施の形態の処理装置の構成例>図7
は、本実施の形態の処理装置の構成例を示すブロック図
である。図中、1は演算・制御用のCPU、2は固定値
あるいは変更のないOS21や以下で述べる各プログラ
ムモジュール22を格納するROMである。3はCPU
1が使用する補助記憶用のRAMであり、例えば、対象
の光学系を構成する各要素の光学特性や制約条件を記憶
する光学特性記憶部31、制約条件記憶部32と、外部
から設定あるいは内部で計算された結果を記憶する目標
幅記憶部33、重み値記憶部34、最適解記憶部35
と、対象の光学系の構成を記憶する対象光学系記憶部3
6と、プログラムがフロッピーディスク等の外部記憶装
置4からロードされる場合のプログラムロード領域37
とを含む。尚、プログラムのロード元は、ホストコンピ
ュータや通信回線を介するものであっても構わない。
【0032】4はデータベースやプログラムを格納する
大容量の外部記憶装置であり、例えば、ディレクトリ4
1に従って、光学系データベース42や、プログラムと
して、所望の光学特性及び/又は制約条件に対して満足
できる目標の幅に関する情報を設定する目標幅設定モジ
ュール43、目標の幅に関する情報を用いて、所望の光
学特性及び/又は制約条件にかかる重み値が解析的に設
定する重み値設定モジュール44、重み値に基づいて、
対象の光学系の光学特性及び/又は制約条件を制約条件
付き最適化問題として解く制約条件付き最適解モジュー
ル45等を格納する。
【0033】5は入力インタフェースであって、キーボ
ード51やマウス(ポインチングデバイス)52等から
の入力データをデータバスに転送する。一方、6は出力
インタフェースであって、CRTやLCD等の表示部6
1やプリンタ62等にデータバスからのデータを出力す
る。 <本実施の形態の処理手順例>図8は、上記の装置にお
ける本実施の形態の処理手順例を示すフローチャートで
ある。尚、計算の手順を詳細に示すと煩雑になるので、
図8には概略を示してある。
【0034】ます、ステップS10で、最適解を求める
対象の光学系を設定する。その例が、例えば、以下の実
施例1や2に示されている。ステップS20で、対象の
光学系の所望の光学特性及び/又は制約条件を選択し
て、それぞれの目標値幅、本例では目標値とそれを含む
上限値及び下限値を設定する。ステップS30では、設
定された目標値幅に基づいて、処理を目標値と上限値の
間と目標値と下限値の間で分割して、それぞれの重み値
を算出する。ステップS40で、それぞれの重み値に従
って、上記(16)式から制約条件付き最適化問題とし
て解く。ステップS50でその解を出力(表示またはプ
リント)する。ステップS60で処理の終了か否かを判
断し、終了でない場合はステップS40又はステップS
20に戻って、制約条件付き最適化問題として解を求め
ることを繰り返す。解は、この繰り返しに従って、最適
解へ収束して行く。この収束の速度がそのまま計算時間
の短縮、ひいては光学設計の簡略化に繋る。
【0035】なお、本発明は、複数の機器(例えばホス
トコンピュータ,インタフェイス機器,リーダ,プリン
タなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの
機器からなる装置に適用してもよい。また、本発明の目
的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェア
のプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあ
るいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコン
ピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納さ
れたプログラムコードを読出し実行することによって
も、達成されることは言うまでもない。
【0036】この場合、記憶媒体から読出されたプログ
ラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現するこ
とになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は
本発明を構成することになる。プログラムコードを供給
するための記憶媒体としては、例えば、フロッピディス
ク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,C
D−ROM,CD−R,磁気テープ,不揮発性のメモリ
カード,ROMなどを用いることができる。
【0037】また、コンピュータが読出したプログラム
コードを実行することにより、前述した実施形態の機能
が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示
に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレ
ーティングシステム)などが実際の処理の一部または全
部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が
実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0038】さらに、記憶媒体から読出されたプログラ
ムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボード
やコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わる
メモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に
基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わ
るCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、そ
の処理によって前述した実施形態の機能が実現される場
合も含まれることは言うまでもない。
【0039】本発明を上記記憶媒体に適用する場合、そ
の記憶媒体には、先に説明したフローチャートに対応す
るプログラムコードを格納することになるが、簡単に説
明すると、図7の外部記憶装置のメモリマップ例に示す
各モジュールを記憶媒体に格納することになる。すなわ
ち、少なくとも目標幅設定モジュール、重み値設定モジ
ュール、および制約条件付き最適解モジュールの各モジ
ュールのプログラムコードを記憶媒体に格納すればよ
い。更に、この記憶媒体に光学系を作成するための光学
系要素のデータベースを格納してもよい。
【0040】
【実施例】ここでは、レンズ設計を例にとって、本発明
の具体的適応例を説明する。 <実施例1>図1は実施例1に用いた薄肉単レンズモデ
ルである。同図では見易くするためにレンズに厚みを付
けてあるが、計算上すべてのレンズ肉厚および面間隔は
0としてある。このレンズ系に対してr3 を全系の焦点
距離が正確に1となるために用い、残りの2つr1 ,r
2 を変数とした。評価関数としては、3次の球面収差係
数Iとコマ収差係数IIの2つを採用した。
【0041】出発点は、(1/r1 ,1/r2 )の座標
で表わして、 1/r1=−4.0, 1/r2=−4.0 (17) に選んだ。そして、評価関数に採用した2つの3次収差
係数の目標値を、 Itar=4.60 IItar=−2.20 (18) とした。
【0042】しかしながら実際のレンズ設計では、これ
らの収差計数値を厳密に目標値に一致させる必要はな
く、ある数値幅に入っていればよい。そこで、これら2
つの評価関数の目標値に対する満足できる数値幅を設定
するとともに、それら設定された数値幅から、それを達
成するのに最適な各評価関数にかかる重み値を解析的に
設定する。すなわち、本例では、予め設定された各光学
特性および各制約条件に対する意思決定者の満足度に関
する情報を設定し、この満足度に関する情報を用いて、
各光学特性および制約条件にかかる重み値を解析的に設
定する。
【0043】一般にある数値幅を厳密に指定するには、
その範囲を規定する上で少なくとも2つの数値を指定す
る必要がある。それにともない、以降の処理は数値範囲
を規定する少なくとも2つの手続きが必要となる。従っ
て、本例では、意思決定者の満足度に関する情報を複数
設定し、各光学特性および各制約条件の値によって分割
して処理する。
【0044】各目標値に対して満足できる数値幅を設定
する具体的な手段として、目標値に対する上限値と下限
値とを指定するやり方がある。本例では、評価関数に採
用した2つの3次収差係数に対して、それぞれ以下のよ
うに上限値および下限値を設定する。 Iup = 4.601 (19) Ilow = 4.599 (20) IIup = −2.199 (21) IIlow = −2.201 (22) ここで、Ilow 、Iupは収差係数Iに対する下限値と上
限値、IIlow 、IIupは収差係数IIに対する下限値と上限
値である。
【0045】このようにして、予め設定された光学特性
および各制約条件に対する意思決定者の満足度として、
各光学特性および各制約条件ごとにそれらの値に対する
目標値と該目標値に対する上限値及び下限値を設定す
る。次に、評価関数に採用した2つの3次収差係数I,
IIについて、それぞれの目標値との大小関係によって分
割した新しい評価関数を、以下のようにして導入する。
【0046】
【数18】 上記新たに導入した評価関数に前記多目的計画法の計算
概念を応用すると、各評価関数にかかる適切な重み値w
I 、wIIは、前記上限値と目標値および目標値と下限値
とから、
【0047】
【数19】 として、解析的に求めることができ、実際の最適化演算
で処理される目的関数は、
【0048】
【数20】 となる。このように、意思決定者の満足度を示す目標値
と上限値および目標値と下限値を用いて、各光学特性お
よび各制約条件の値によって分割して処理する。
【0049】目標値と下限値あるいは上限値と目標値に
よって指定される数値範囲は、ある程度の幅をもってい
ればよいが、極端に狭い数値範囲を指定すると数値計算
上の悪条件を発生させることになり、好ましくない。本
例では、この数値範囲が略10-15 以上となるようにし
て処理する。すなわち、目標値と上限値の差および目標
値と下限値の差のうち絶対値が小さい方の値が略10
-15 以上となるように設定して処理する。
【0050】以上のように設定したレンズ設計問題を、
本発明による方法と従来から主として用いられてきたD
LS法とによって最適化演算処理を実行し、結果を比較
したものが図2である。同図では横軸に最適化演算反復
回数(step)、縦軸にメリット関数の相対値を対数
スケールでとりプロットしてある。また、本発明による
方法ではメリット関数は使用しないが、DLS法と比較
するために換算したものである。この結果から、本発明
による方法の方がより少ない反復回数でメリット関数の
小さい解を検出しており、従来手法に比べて効果がある
ことが分かる。
【0051】<実施例2>図3は実施例2に用いた薄肉
はりあわせレンズモデルである。同図では見易くするた
めにレンズに厚みを付けてあるが、計算上すべてのレン
ズ肉厚および面間隔は0としてある。このレンズ系に対
してr3 を全系の焦点距離が正確に1となるために用
い、残りの2つr1 ,r2 を変数とした。評価関数とし
ては軸上色収差係数L、3次の球面収差係数Iの2つを
採用した。
【0052】出発点は、(1/r1 ,1/r2 )の座標
で表わして、 (出発点1):1/r1 = 1.0、 1/r2 = 3.0 (29) (出発点2):1/r1 =−10.0、 1/r2 = 1.0 (30) (出発点3):1/r1 =− 4.0、 1/r2 =−8.0 (31) の3通りに選んだ。そして、評価関数に採用した2つの
収差係数の目標値を、 Ltar =0.0 (32) Itar =1.5 (33) とした。ここで、Ltar 、Itar はそれぞれ2つの収差
係数L、Iに対する目標値を表わす。しかしながら実際
のレンズ設計では、これらの収差系数値を厳密に目標値
に一致させる必要はなく、ある数値幅に入っていればよ
い。そこで、これら2つの評価関数の目標値に対する満
足できる数値幅を設定するとともに、それら設定された
数値幅からそれを達成するのに最適な各評価関数にかか
る重み値を解析的に設定する。
【0053】一般に前記評価関数あるいは制約条件の数
値幅を厳密に指定するには、それらの値によって範囲を
規定する少なくとも2つの数値を設定する必要がある。
それにともない、以降の処理は数値範囲を規定する少な
くとも2つの手続きが必要となる。各目標値に対して満
足できる数値幅を設定する具体的な手段として、その上
限値と下限値を指定するやり方がある。本実施例では、
評価関数に採用した2つの収差係数に対して、それぞれ
以下のように上限値および下限値を設定する。
【0054】Lup = 0.001 (34) Llow = −0.001 (35) Iup = 1.501 (36) Ilow = 1.499 (37) ここで、Llow 、Lupは収差係数Lに対する下限値と上
限値、Ilow 、Iupは収差係数Iに対する下限値と上限
値である。
【0055】次に、評価関数に採用した2つの収差係数
L、Iについて、それぞれの値と各目標値との大小関係
に応じて分割した新しい評価関数を以下のようにして導
入する。
【0056】
【数21】 上記新たに導入した評価関数に前記多目的計画法の計算
概念を応用すると、各評価関数にかかる適切な重み値w
L 、wI は、前記目標値と上/下限値とから、
【0057】
【数22】 として、解析的に求めることができ、実際の最適化演算
で処理される目的関数は、
【0058】
【数23】 となる。本例においても、目標値と上限値および目標値
と下限値によってそれぞれ指定される数値範囲の絶対値
の小さい方が略10-15 以上となるようにして処理す
る。
【0059】以上のように設定した実施例2のレンズ設
計問題を各出発点について、本発明による方法と従来か
ら主として用いられてきたDLS法とによって最適化演
算を実行し、結果を比較したものが図4から図6までで
ある。これらの図では横軸に最適化演算反復回数(st
ep)、縦軸にメリット関数の相対値を対数スケールで
とりプロットしてある。また、本発明による方法ではメ
リット関数は使用しないが、DLS法と比較するために
換算したものである。これらの結果から、本発明による
方法の方が、特に図4及び図6の結果ではより少ない反
復回数でメリット関数の小さい解を検出しており、従来
手法に比べて効果があることが分かる。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
従来多大なる試行錯誤を要していた各評価関数にかける
適切な重み値を見い出す作業を簡略化し、光学系の自動
設計においてより少ない反復回数でより良い解を検出で
きるため、より短い時間内に効率良く光学設計が行なえ
る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に用いたレンズ断面図である。
【図2】実施例1において本発明の効果を示す図であ
る。
【図3】実施例2に用いたレンズ断面図である。
【図4】実施例2の出発点1において本発明の効果を示
す図である。
【図5】実施例2の出発点2において本発明の効果を示
す図である。
【図6】実施例2の出発点3において本発明の効果を示
す図である。
【図7】本実施の形態を実現する装置の構成例を示す図
である。
【図8】本実施の形態を実現する処理手順例を示すフロ
ーチャートである。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の構成要素から成る対象の光学系が
    所望の光学特性および制約条件を達成するように、該複
    数の構成要素を自動的に変更しながら最適な光学系の形
    状を求める光学系の自動設計における最適化問題処理方
    法であって、 所望の光学特性及び/又は制約条件に対して満足できる
    目標の幅に関する情報を設定することにより、 該目標の幅に関する情報を用いて、前記所望の光学特性
    及び/又は制約条件にかかる重み値が解析的に設定され
    ることを特徴とする光学系の自動設計における最適化問
    題処理方法。
  2. 【請求項2】 1つの光学特性又は制約条件に対して前
    記目標の幅に関する情報が複数設定され、前記光学特性
    又は制約条件には複数に分割して重み値が設定されるこ
    とを特徴とする請求項1記載の光学系の自動設計におけ
    る最適化問題処理方法。
  3. 【請求項3】 前記目標の幅に関する情報は、光学特性
    又は制約条件ごとの目標値と該目標値に対する上限値お
    よび下限値とを含むことを特徴とする請求項2記載の光
    学系の自動設計における最適化問題処理方法。
  4. 【請求項4】 前記目標値と上限値および前記目標値と
    下限値とを用いて、前記光学特性又は制約条件には複数
    に分割して重み値が設定されることを特徴とする請求項
    3記載の光学系の自動設計における最適化問題処理方
    法。
  5. 【請求項5】 前記目標値と上限値および前記目標値と
    下限値は、該上限値と目標値の差および該目標値と下限
    値の差のうち絶対値が小さい方の値が略10 -15 以上と
    なるように設定されることを特徴とする請求項3記載の
    光学系の自動設計における最適化問題処理方法。
  6. 【請求項6】 複数の構成要素から成る対象の光学系が
    所望の光学特性および制約条件を達成するように、該複
    数の構成要素を自動的に変更しながら最適な光学系の形
    状を求める光学系の自動設計における最適化問題を処理
    する情報処理装置であって、 所望の光学特性及び/又は制約条件に対して、光学特性
    又は制約条件ごとの目標値と該目標値に対する上限値お
    よび下限値とを含む情報を入力する手段と、 前記目標値と上限値および前記目標値と下限値とを用い
    て、前記所望の光学特性及び/又は制約条件にかかる重
    み値が複数に分割して算出する重み値算出手段と、 前記分割された重み値に基づいて、前記対象の光学系の
    光学特性及び/又は制約条件を制約条件付き最適化問題
    として解く最適化手段とを備えることを特徴とする情報
    処理装置。
  7. 【請求項7】 複数の構成要素から成る対象の光学系が
    所望の光学特性および制約条件を達成するように、該複
    数の構成要素を自動的に変更しながら最適な光学系の形
    状を求める光学系の自動設計における最適化問題を処理
    する処理プログラムを格納するコンピュータ可読メモリ
    であって、 前記処理プログラムは、少なくとも、 所望の光学特性及び/又は制約条件に対して満足できる
    目標の幅に関する情報を設定する目標幅設定モジュール
    と、 該目標の幅に関する情報を用いて、前記所望の光学特性
    及び/又は制約条件にかかる重み値が解析的に設定する
    重み値設定モジュールと、 前記重み値に基づいて、前記対象の光学系の光学特性及
    び/又は制約条件を制約条件付き最適化問題として解く
    最適解モジュールとを含むことを特徴とするコンピュー
    タ可読メモリ。
  8. 【請求項8】 更に、光学系を作成するための光学系要
    素のデータベースを格納することを特徴とする請求項7
    記載のコンピュータ可読メモリ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6567226B2 (en) 1998-03-03 2003-05-20 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Method for designing a refractive or reflective optical system and method for designing a diffraction optical element
CH699575A1 (de) * 2008-10-06 2010-04-15 Nectar Imaging S R L Optisches System für ein Konfokalmikroskop.

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6567226B2 (en) 1998-03-03 2003-05-20 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Method for designing a refractive or reflective optical system and method for designing a diffraction optical element
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