JPH10211262A - 滅菌器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 医療用品などを殺菌するため滅菌器におい
て、被滅菌物にドレンが付着するのを防止し、滅菌槽か
ら速やかに排出すること。 【解決手段】 滅菌槽１の頂壁５に、蒸気の供給口６を
設けるとともに、この頂壁５と所定の隙間をおいて天板
部材９を配置し、前記滅菌槽１の側壁１０に、所定の隙
間をおいて側板部材１１を配置し、この側板部材１１の
上端を、前記天板部材９の下面より下方に位置させると
ともに、前記天板部材９の周縁よりも滅菌槽１の中心側
に位置させ、前記側板部材１１における滅菌槽１の中心
側の面に、受け口１４を設けて、この受け口１４を側壁
１０と側板部材１１との間の隙間と連通させた構成であ
る。さらに、前記の天板部材９を配置し、滅菌槽１内に
配置される棚部材１５の底面側に、側板部材１１に向け
て下り勾配の傾斜板１６を設けた構成である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、医療用品などを
殺菌するため滅菌器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】たとえば、蒸気滅菌器は、被滅菌物を滅
菌槽内に密閉収容し、この滅菌槽に蒸気を送り込むこと
によって加熱殺菌する装置である。この蒸気滅菌装置で
は、このような滅菌行程以外にも、予熱行程などでも蒸
気を導入し、被滅菌物を加熱している。ところで、滅菌
槽内に蒸気を導入する場合、滅菌槽の内壁や被滅菌物を
加熱した蒸気は凝縮し、水滴（これをドレンという）と
なる。ドレンが被滅菌物に付着すると、蒸気の熱が被滅
菌物の内部に伝わるのが阻害され、滅菌不良の原因とな
る。また、被滅菌物にドレンが付着したままであると、
滅菌行程後の乾燥時間が長くかかることになり、乾燥不
良の原因となる。そのため、このドレンを、滅菌槽から
速やかに排出する必要がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】この発明が、解決しよ
うとする課題は、滅菌器において、被滅菌物にドレンが
付着するのを防止し、滅菌槽から速やかに排出すること
である。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この発明は、前記課題を
解決するためになされたもので、請求項１に記載の発明
は、滅菌槽の頂壁に、蒸気の供給口を設けるとともに、
この頂壁と所定の隙間をおいて天板部材を配置し、前記
滅菌槽の側壁に、所定の隙間をおいて側板部材を配置
し、この側板部材の上端を、前記天板部材の下面より下
方に位置させるとともに、前記天板部材の周縁よりも滅
菌槽の中心側に位置させ、前記側板部材における滅菌槽
の中心側の面に、受け口を設けて、この受け口を側壁と
側板部材との間の隙間と連通させた滅菌器である。

【０００５】さらに、請求項２に記載の発明は、滅菌槽
の頂壁に、蒸気の供給口を設けるとともに、この頂壁と
所定の隙間をおいて天板部材を配置し、前記滅菌槽内に
配置される棚部材の底面側に、側板部材に向けて下り勾
配の傾斜板を設けた滅菌器である。

【０００６】さらに、請求項３に記載の発明は、滅菌槽
の頂壁に、蒸気の供給口を設けるとともに、この頂壁と
所定の隙間をおいて天板部材を配置し、前記滅菌槽の側
壁に、所定の隙間をおいて側板部材を配置し、この側板
部材の上端を、前記天板部材の下面より下方に位置させ
るとともに、前記天板部材の周縁よりも滅菌槽の中心側
に位置させ、前記側板部材における滅菌槽の中心側の面
に、受け口を設けて、この受け口を側壁と側板部材との
間の隙間と連通させ、滅菌槽内に配置される棚部材の底
面側に、側板部材に向けて下り勾配の傾斜板を設けた滅
菌器である。

【０００７】

【発明の実施の形態】この発明は、滅菌器の滅菌槽内の
構造として実施される。この滅菌器は、蒸気滅菌器に限
らず、滅菌のために蒸気を用いない滅菌器（たとえば、
ガス滅菌器）であっても、滅菌槽内に蒸気を供給するも
のであれば適用できる。

【０００８】まず、請求項１に記載の発明は、滅菌槽の
頂壁に、蒸気の供給口を設けるとともに、この頂壁と所
定の隙間をおいて天板部材を配置する。前記滅菌槽の側
壁には、所定の隙間をおいて側板部材を配置する。そし
て、側板部材の上端を、前記天板部材の下面より下方に
位置させるとともに、前記天板部材の周縁よりも滅菌槽
の中心側に位置させる。さらに、前記側板部材における
滅菌槽の中心側の面には、受け口を設けて、この受け口
を側壁と側板部材との間の隙間と連通させたものであ
る。この受け口は、ポケット状に形成するのが好まし
い。

【０００９】この構成によると、前記供給口からの蒸気
は、前記天板部材と頂壁の隙間を通って、天板部材の周
縁から滅菌槽内に流入する。蒸気が天板部材に沿って流
れる間に、蒸気に含まれる液滴分やドレンは天板部材上
に落ち、このドレンは、天板部材の周縁から、前記側板
部材の上端と側壁との間の隙間に落下し、この隙間を通
って滅菌槽の底部に落下する。したがって、滅菌槽内に
流入する蒸気は、液滴分が除去されて乾き度が高くな
る。さらに、前記側板部材に付着したドレンは、前記同
様に、受け口から側板部材と側壁との間の隙間に導か
れ、この隙間を通って滅菌槽の底部に落ちる。そのた
め、ドレンが飛散して被滅菌物に付着するのを防止でき
る。また、ドレンが側板を滴り落ちるのを防止できるた
め、被滅菌物を前記側板に立てかけるようにして収容し
ても、この被滅菌物がドレンによって濡れることがな
い。

【００１０】請求項２に記載の発明は、滅菌槽の頂壁
に、蒸気の供給口を設けるとともに、この頂壁と所定の
隙間をおいて天板部材を配置し、前記滅菌槽内に配置さ
れる棚部材の底面側に、前記傾斜板を設けたものであ
る。前記棚部材は、この上に被滅菌物を載置して滅菌す
るため、被滅菌物の底側にも蒸気が流通するように、線
材を組合せて構成したり、多数の穴を空けた板材を用い
て構成したものである。この構成によると、滅菌槽内に
導入される蒸気は、天板部材の周縁から滅菌槽に流れ込
むため、最上段の棚部材上の被滅菌物には、供給される
蒸気に含まれるドレンが落下することが無い。さらに、
前記被滅菌物との接触によって生じたドレンは、前記棚
部材を通過し、前記傾斜板上に落ちる。傾斜板に落ちた
ドレンは、この傾斜板を伝わって側壁に向けて流れ、前
記ドレンの受け口から滅菌槽の底部に誘導される。その
ため、ある棚部材に置いた被滅菌物によって生じたドレ
ンが、その下の棚部材に置いた被滅菌物に掛かって、こ
の被滅菌物を濡らすのを防止できる。

【００１１】ここで、前記傾斜板は、棚部材の一方の側
から他方の側に傾斜させて設けるほか、山形をなすよう
に中央部分からその両側に向かって傾斜するように構成
することもでき、さらに、錐形をなすように中心部分か
ら周囲に向かって傾斜するように構成することもでき
る。

【００１２】請求項３に記載の発明は、前記天板部材、
および側板部材を具えた滅菌器に、前記傾斜板を具えた
棚部材を配置したものである。この構成により、棚部材
に落下したドレンを、側板部材に向けて速やかに流し、
さらにこのドレンを受け口から側板部材と側壁と隙間を
介して滅菌槽の底部に流すことができるので、滅菌器に
おいて、被滅菌物の濡れを防止できる。

【００１３】

【実施例】以下、この発明に係る滅菌器の第一実施例に
ついて、図１、図２を参照しながら説明する。図１は、
この発明に係る滅菌器の縦断面の説明図、図２は、図１
のII−II線に沿う断面の説明図である。

【００１４】先ず、この発明を適用する蒸気滅菌器の一
例について説明する。図１、図２において、被滅菌物を
収容する滅菌槽１は、耐圧扉２を設けた被滅菌物の出入
口を備えている。この耐圧扉２を閉じることで滅菌槽１
内を完全に密閉する。ここで、滅菌槽１には、通常、そ
の周囲に、予熱や保温のための蒸気ジャケットなどの加
熱手段を備えるが、図面では省略している。

【００１５】前記滅菌槽１には、蒸気供給ライン３と、
排出ライン４とを接続してある。前記蒸気供給ライン３
は、ボイラなどの蒸気発生器からの蒸気を滅菌槽１内に
供給するものである。この蒸気供給ライン３は、前記滅
菌槽１の頂壁５に開口する供給口６に連通している。一
方、前記排出ライン４は、滅菌槽１から蒸気や、凝縮し
た蒸気（ドレン）を排出するためのもので、前記滅菌槽
１の底壁７に開口する排出口８に連通している。

【００１６】前記滅菌槽１内において、頂壁５と所定の
隙間をおいて天板部材９を配置している。この天板部材
９は、前記頂壁５のほぼ全域を覆うように取り付けてあ
る。さらに、前記天板部材９の周縁部分は、滅菌槽１の
側壁１０の上部にかかるように、垂れ下がるように下方
に向けて曲げた形状となっている。ここで、この滅菌槽
１は、内周壁の隅部を湾曲した形状となっており、それ
に合わせて、前記天板部材９の周縁部も湾曲形状として
ある。

【００１７】さらに、前記滅菌槽１内において、滅菌槽
１の側壁１０には、所定の隙間をおいて側板部材１１を
配置している。この側板部材１１の上端は、前記天板部
材９の下面より下方に位置してある。すなわち、側板部
材１１の上端は、前記天板部材９の上面より低い位置と
なっている。この実施例では、前記側板部材１１の上端
は、前記垂れ下がり部分１２の近くとなっている。そし
て、この側板部材１１の上部を、滅菌槽１の中心方向に
向けて折り曲げ、側板部材１１の上端を、前記垂れ下が
り部分１２の下端よりも滅菌槽１の中心側よりの位置と
なっている。前記側壁１０と側板部材１１との間には、
開口部１３が形成されるが、この開口部１３は、前記垂
れ下がり部分１２と側壁１０との間の隙間よりも前記滅
菌槽１の中心方向に広くなっている。一方、前記側板部
材１１の下端は、滅菌槽１の底壁７の近くに位置してい
る。

【００１８】前記側板部材１１には、前記開口部１３の
下方に、多数のポケット状の受け口１４を設けてある。
これらの受け口１４は、側壁１０と側板部材１１との間
の隙間と連通している。この実施例では、受け口１４の
開口長さ（図２における左右方向の長さ）は、開口部１
３よりも短く設定してある。この受け口１４は、滅菌槽
１内に取り付ける棚部材１５の上方に所定段数で設け
る。このとき、受け口１４は、図２に示すように、上段
側のものと下段側のものとが千鳥状になるように配置す
るのが好ましい。これは、隣り合う受け口１４間を伝わ
って落ちるドレンをその下の段の受け口１４によって捕
捉できるからである。

【００１９】前記棚部材１５は、この実施例では、上下
方向に３枚取り付けてある。この棚部材１５は、この上
に被滅菌物を載置して滅菌するため、被滅菌物の底側に
も蒸気が流通するように、線材を組合せて構成したり、
多数の穴を空けた板材を用いて構成している。この棚部
材１５には、その底面側に、傾斜板１６を設けている。
この傾斜板１６は、棚部材１５の底面をほぼ覆う大きさ
で、側板部材１１に向けて下り勾配となっている。この
実施例においては、傾斜板１６は断面山形とし、その両
側を側板部材１１に向けて下り勾配としてある。

【００２０】以上の構成の蒸気滅菌器において、滅菌行
程では、前記蒸気供給ライン３から滅菌槽１内に蒸気を
供給し、ドレンは、排出ライン４から排出する。この
際、蒸気供給ライン３からの蒸気は、前記供給口６から
滅菌槽１内に供給される。この蒸気は、滅菌槽１の頂壁
５と天板部材９の隙間を通って、開口部１３から滅菌槽
１内に噴出する。この際、蒸気に含まれるドレンは、前
記垂れ下がり部分１２から開口部１３に落下し、さらに
この開口部１３から、前記側板部材１１と側壁１０の隙
間から滅菌槽１の底部に落下し、排出口８から排出ライ
ン４を介して排出される。

【００２１】さらに、蒸気は、滅菌槽１内で被滅菌物な
どと接触してドレンとなり、前記側板部材１１や被滅菌
物に付着する。前記側板部材１１に付着したドレンは、
この側板部材１１を伝わって落下するうちに、前記受け
口１４から側板部材１１の裏面側に流れ込む。そして、
このドレンは、側板部材１１と側壁１０の隙間を通っ
て、滅菌槽１の底部に落下し、排出口８から排出され
る。そのため、各棚部材１５に載置する被滅菌物を、前
記側板部材１１に立てかけるように載置してあっても、
この被滅菌物に付着するドレンの増加を防止できる。一
方、前記被滅菌物に付着したドレンは、棚部材１５を通
って傾斜板１６上に落下し、側板部材１１に向けて流れ
る。そして、このドレンは、前記側板部材１１を伝わっ
て落下するうちに、受け口１４に捕捉され、側板部材１
１の裏面側に流れ込み、側板部材１１と側壁１０の隙間
を通って、滅菌槽１の底部に落下し、排出口８から排出
される。すなわち、上の段の棚部材１５から下の段の棚
部材１５にドレンが落下するのを防止できるため、下の
段の棚部材１５に置いた被滅菌物が、上の段の被滅菌物
からのドレンによって濡れるのを防止できる。

【００２２】以上の説明においては、滅菌行程について
の説明であるが、この発明は、滅菌行程以外にも、滅菌
槽内に蒸気を供給する行程において、被滅菌物へのドレ
ンの付着を防止できる。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、側板部材を滴り落ちるドレンを受け口から速やかに
排出でき、棚部材に落下したドレンは、傾斜板によって
側板部材に向けて流すことにより、前記受け口から速や
かに排出できる。さらに、前記傾斜板は、その下段の棚
部材上の被滅菌物にドレンが落下するのを防止する。そ
のため、この発明によれば、滅菌槽内で生じたドレンを
速やかに滅菌槽から排出することができ、また被滅菌物
にドレンが付着するのを防止できるため、滅菌処理を確
実に、しかもムラなく行え、また、乾燥不良も防止でき
る。この効果は、蒸気滅菌器において、とくに顕著に発
揮される。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係る滅菌器の縦断面の説明図であ
る。

【図２】図１のII−II線に沿う断面の説明図である。

【符号の説明】

１ 滅菌槽 ５ 頂壁 ６ 供給口 ９ 天板部材 １０ 側壁 １１ 側板部材 １４ 受け口 １５ 棚部材 １６ 傾斜板

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 滅菌槽１の頂壁５に、蒸気の供給口６を
   設けるとともに、この頂壁５と所定の隙間をおいて天板
   部材９を配置し、前記滅菌槽１の側壁１０に、所定の隙
   間をおいて側板部材１１を配置し、この側板部材１１の
   上端を、前記天板部材９の下面より下方に位置させると
   ともに、前記天板部材９の周縁よりも滅菌槽１の中心側
   に位置させ、前記側板部材１１における滅菌槽１の中心
   側の面に、受け口１４を設けて、この受け口１４を側壁
   １０と側板部材１１との間の隙間と連通させたことを特
   徴とする滅菌器。
2. 【請求項２】 滅菌槽１の頂壁５に、蒸気の供給口６を
   設けるとともに、この頂壁５と所定の隙間をおいて天板
   部材９を配置し、滅菌槽１内に配置される棚部材１５の
   底面側に、側板部材１１に向けて下り勾配の傾斜板１６
   を設けたことを特徴とする滅菌器。
3. 【請求項３】 滅菌槽１の頂壁５に、蒸気の供給口６を
   設けるとともに、この頂壁５と所定の隙間をおいて天板
   部材９を配置し、前記滅菌槽１の側壁１０に、所定の隙
   間をおいて側板部材１１を配置し、この側板部材１１の
   上端を、前記天板部材９の下面より下方に位置させると
   ともに、前記天板部材９の周縁よりも滅菌槽１の中心側
   に位置させ、前記側板部材１１における滅菌槽１の中心
   側の面に、受け口１４を設けて、この受け口１４を側壁
   １０と側板部材１１との間の隙間と連通させ、滅菌槽１
   内に配置される棚部材１５の底面側に、側板部材１１に
   向けて下り勾配の傾斜板１６を設けたことを特徴とする
   滅菌器。