JPH10204687A - 高温短時間焼き付け後の高速溶接性に優れた溶接缶用鋼板 - Google Patents

高温短時間焼き付け後の高速溶接性に優れた溶接缶用鋼板

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JPH10204687A
JPH10204687A JP998897A JP998897A JPH10204687A JP H10204687 A JPH10204687 A JP H10204687A JP 998897 A JP998897 A JP 998897A JP 998897 A JP998897 A JP 998897A JP H10204687 A JPH10204687 A JP H10204687A
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JP
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tin
layer
steel sheet
welding
amount
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JP998897A
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Inventor
Tomoya Oga
智也 大賀
Yasuto Goto
靖人 後藤
Shinichi Yamaguchi
伸一 山口
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Publication date
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  • Electroplating And Plating Baths Therefor (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 錫の融点を超えるような高温で塗料を焼き付
ける際にも実用上十分に良好な高速溶接性と塗装後の耐
食性を発揮する溶接缶用鋼板を提供する。 【解決手段】 鋼板上に0.1〜20重量%のリンを含
有したリン、鉄、錫を含有した100〜600mg/m
2 の合金層を有し、その上層に100〜1500mg/
2 の金属錫めっき層を設け、更にその上層に2〜15
mg/m2 の金属クロム層と2〜20mg/m2 の水和
酸化クロム層を設ける。これにより、高温短時間塗装焼
き付け後に良好な高速溶接性が発揮される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗料を高温短時間
で焼き付ける際に、錫の合金化を抑制し良好な高速シー
ム溶接性を有する溶接缶用鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】金属容器は、大きく2種に大別される。
1つはビール缶などに代表される缶胴と缶蓋が一体化
し、イージーオープンエンドと2つの部分にわかれる2
ピース缶であり、一方は、コーヒー缶等にみられるよう
な缶蓋、イージーオープンエンド、缶胴の3つの部分に
わかれる3ピース缶である。溶接缶は、この3ピース缶
の缶胴を接合する方法としてシーム溶接法を用いて製缶
するものである。溶接缶は、スードロニック社が開発し
た高速ワイヤーシーム溶接法が世界中に広まるにつれ
て、従来の半田缶に代わり急速にその生産が増大してい
る。溶接缶は、現在、3ピース缶の代表的な缶種といっ
ても過言ではない。従来より、溶接缶用材料としては、
特公昭56−169789号公報にみられるニッケルめ
っき鋼板、特公昭62−14240号公報にみられる薄
錫めっき鋼板等が高速シーム溶接可能な材料として広く
使用されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらの材料は、開発
当初は十分な性能を有していたが、製缶会社での使われ
方がより厳しくなったため、大幅な性能向上を要請され
ている。製缶会社での材料の使い方で大きく変化したの
は、次の2点である。1つは、缶コストの低減のために
材料のゲージダウンを推進してきたことであり、もう一
方は、塗装工程の合理化を進めてきた点である。従来、
塗装工程は切り板での塗装が主流であったが、生産性の
向上を狙い、コイルコートでの塗装が実現された。切り
板塗装では200℃前後の温度で10〜20分の時間で
焼き付けるものである。これに対し、コイルコートでの
塗装では、材料はコイルで供給され、ロールで塗装後2
70〜290℃の高温で20秒弱の短時間で塗料を焼き
付けるものである。
【0004】前記のように、材料の使われ方が大きく変
化したため、上記の材料は次のような問題点を抱えるに
至った。まず、ニッケルめっき鋼板は、コイルコートで
の高温短時間焼き付けには十分に対応できるが、表面の
接触抵抗が比較的高いため、材料の板厚が薄くなると十
分な接合強度を有し、かつ溶融した鉄が飛び出す、いわ
ゆるスプラッシュの発生が少ない適正溶接範囲が狭くな
り、実用に供する事が難しくなってくる。これはゲージ
ダウンによるコストダウンに限界があることを示してい
る。
【0005】一方、薄錫めっき鋼板は、金属錫の融点が
低く、軟質であるため溶接性が良好なのでゲージダウン
にはある程度対応できるが、コイルコート塗装の高温短
時間焼き付けにより錫の合金化が従来の切り板塗装焼き
付け時よりも大幅に進むため、残存する金属錫が少なく
なり、溶接性の低下を招いている。良好な高速シーム溶
接性を確保するには、塗装焼き付け後に合金化していな
い金属錫を確保することが必須条件である。この金属錫
を塗装焼き付け後に残存させるためにこれまで多大の努
力が払われてきたが、コイルコートでの高温短時間焼き
付けでも金属錫が残存するという溶接缶用材料はまだ開
発されていない。本発明者は、高温短時間の塗装焼き付
け条件でも錫の合金化が進行せず、高速溶接性に充分な
金属錫を確保できる高速溶接性に優れた溶接缶用鋼板の
提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】コイルコートでの高温短
時間焼き付け後に、良好な高速溶接性を有する本発明の
溶接缶用鋼板は、鋼板上に、リン、鉄、錫を含有した合
金層を有し、その上層に金属錫めっき層を設け、更にそ
の上層に金属クロム層と水和酸化クロム層を有すること
を特徴とする。リン、鉄、錫を含有した合金層は、0.
1〜20重量%のリンを含有し、その合金層量が100
〜600mg/m2 であることが好ましい。又、合金層
の上層に存在する金属錫めっき層は島状の形態を呈し、
そのめっき量が100〜1500mg/m2 であること
が望ましい。最上層のクロム、クロメート層に関して
は、2〜15mg/m2 の金属クロム層とクロム換算で
2〜20mg/m2 の水和酸化クロム層であることが好
ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。まず発明の基板としての鋼板は、通常容器用に用
いられるものでよく、特に規制するものではない。本発
明のポイントは、高温短時間の塗装焼き付けで錫の合金
化を抑制する合金層にある。通常の錫めっきを施したぶ
りきでは、リフロー処理により鉄、錫系の合金層が生成
する。又、これまで開発された薄錫めっき鋼板では、下
地処理としてニッケル系の処理を施すために、リフロー
処理によってニッケル、鉄、錫系の合金層が生成してい
る。これら両者の合金層とも、錫の融点を超えるような
高温に短時間でも保持された場合、基板の鋼板と上層の
金属錫の相互拡散が起こり、上層の錫めっき層は殆ど合
金化してしまい、高速シーム溶接に必須な金属錫が残存
しないという結果になる。錫の融点を超えるような高温
でも、鋼板と上層の錫めっき層の相互拡散を抑制するた
めには、種々の検討を重ねた結果、合金層中にリンを含
有させれば良いことが判明した。合金層中のリンの役割
は、鉄と錫の相互拡散のバリヤー層として作用するもの
である。
【0008】リンの含有量が0.1重量%未満では、相
互拡散のバリヤー層として作用する効果が小さく、高温
での焼き付け後に金属錫を残存させるのは難しい。一
方、リンの含有量が20重量%を越えるようになると、
相互拡散のバリヤー層としての効果が飽和するととも
に、合金層の加工性が低下してくるため、ネックイン加
工等の製缶加工により合金層にクラックが発生し、耐食
性に悪影響を与えるようになる。以上の理由から、リ
ン、鉄、錫を含有する合金層中のリンの含有量は0.1
〜20重量%と規制する。このリン、鉄、錫を含有する
合金層の形成方法については特に規制するものではない
が、例えば、工業的には鉄、リンの合金めっきあるいは
リン処理を行い、その後錫めっきを施して、リフロー処
理により形成しても良い。あるいは、リン、鉄、錫の合
金めっきを行い、その後に錫めっきを行っても良い。
【0009】リン、鉄、錫を含有する合金層量について
は、100mg/m2 未満では、鉄、錫の相互拡散のバ
リヤーとなる作用が小さく、耐食性の観点からも十分で
はない。又、その合金層量が600mg/m2 を越える
と、加工性が劣化し、製缶加工時にクラックが発生する
とともに、経済的なデメリットが発生するので好ましく
ない。リン、鉄、錫を含有する合金層の量は100〜6
00mg/m2 に規制する。
【0010】次にリン、鉄、錫の合金層の上層には、金
属錫めっき層が存在する。錫の融点を超えるような高温
で塗料を焼き付ける際に、鋼板と錫めっき層の間で相互
拡散が起こり合金化が進行する。この合金化を抑制する
ために上記のリンを含有した合金層が存在するが、完全
に錫と鉄の合金化を抑制することはできないので、金属
錫めっき量は少なくても100mg/m2 必要である。
金属錫量が100mg/m2 未満では、高温短時間焼き
付け後に良好な高速シーム溶接性に必要な金属錫量が残
存しない。又、金属錫層が1500mg/m2 超えの場
合は、高速シーム溶接性に必要な金属錫の残存する効果
が飽和するとともに経済的なデメリットが発生する。更
に、鉄と錫の相互拡散は鋼板断面方向に進行するので、
錫めっき層の形態は島状にすることによって、島状錫の
頂上には合金化していない金属錫が残存しやすくなる。
以上の理由より、リン、鉄、錫合金層の上層には、島状
の形態をした金属錫層が100〜1500mg/m2
在すればよい。島状の錫めっき層の形成方法も特に規制
するものではないが、例えば錫めっき後にリフロー処理
を行い錫をはじかせて島状の錫層を形成しても良い。
又、電析時に島状に錫をめっきしても、何らかまわな
い。
【0011】更に、金属錫めっき層の上層に良好な塗料
密着性を確保するという目的で金属クロム層と水和酸化
クロム層を設ける。錫めっき鋼板の塗料密着性は、電解
クロム酸鋼板に比べて一般に良くないといわれている。
この理由は、保管時あるいは塗装焼き付け時に脆い錫酸
化膜層が生成し、それが凝集破壊を起こすからである。
錫酸化膜層の成長を防ぐためには、錫金属の表面を金属
クロム層で被覆することが有効である。錫めっき層上の
金属クロム量が2mg/m2 未満の場合は、錫表面の被
覆が十分でなく保管時あるいは塗装焼き付け時に錫酸化
膜層が成長し、良好な塗料密着性を得ることが難しい。
一方、金属クロム量が15mg/m2 を越える場合は、
良好な塗料密着性を確保するという効果が飽和する。
又、水和酸化クロム層ほどではないが、金属クロムは、
高融点で硬質のため、高速シーム溶接性という観点から
も15mg/m2 を越えないことが望ましい。
【0012】金属クロム層の上層には水和酸化クロム層
が存在するが、これは塗料との界面での良好な密着性を
確保するために必要である。水和酸化クロム層の量が2
mg/m2 未満では金属クロム層を十分に被覆できず、
良好な密着性を確保するのが困難である。又、水和酸化
クロム層は、絶縁体で高速シーム溶接性を大きく劣化さ
せる原因となる。そのため水和酸化クロム層の量が20
mg/m2 を越える場合は、溶接性が劣化し、溶接缶が
高速で製缶できなくなる。これらの理由から、水和酸化
クロム層の量は2〜20mg/m2 と規制する。このよ
うにして、コイルコートなどの高温短時間で塗料を焼き
付ける塗装方法でも、良好な高速シーム溶接性を発揮す
る溶接缶用鋼板が得られる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例について述べる。 (実施例1)板厚0.18mmの容器用鋼板を、80℃
で5%水酸化ナトリウム中で電解脱脂し、常温の10%
硫酸中で電解酸洗を行い、鋼板表面を活性化させた。そ
の後に浴温50℃の硫酸鉄250g/l、次亜リン酸1
50g/l水溶液中で電解し、鉄、リン合金めっきを行
った。合金めっき量は供給クーロン数で調整した。その
後水洗して、フェノールスルホン酸錫めっき浴中で錫め
っきを施し、島状錫を形成させるためフラックスを塗布
しないで速やかにリフロー処理を行った。錫めっき量
は、電解時の供給クーロン数で調整した。そして、温度
45℃のクロム酸100g/l、硫酸イオン1g/l水
溶液中で電解し、金属クロムと水和酸化クロム層を形成
させた。金属クロム、水和酸化クロム量とも電解時の供
給クーロン数で調整するとともに、水和酸化クロム量に
ついては電解が終了し、水洗までの溶解時間を調整して
制御した。
【0014】このようにして作製した本発明例と合わせ
て作成した比較例の明細を表1に示す。ここで、最初に
蛍光X線法にて全錫量を測定した後、5%水酸化ナトリ
ウム水溶液中で陽極電解し、残った合金錫量を同じく蛍
光X線法で測定し、その差を金属錫量とした。金属錫量
は水酸化ナトリウム溶液中で陽極電解により溶解した錫
量である。又、クロム量については全クロム量を蛍光X
線法で測定した後、pHを10に調整した炭酸ナトリウ
ム水溶液中で陽極電解し、残ったクロム量を蛍光X線法
で測定し、その差を金属クロム量とした。水和酸化クロ
ム量は、全クロム量から金属クロム量を差し引いて求め
た。
【0015】これらの発明例と比較例の性能を以下の項
目で評価した。 (1)溶接性各種の発明例と比較例の試験片を280℃
まで20秒で昇温させ、その後に200℃で10分と1
80℃で8分の追い焼きを行った。その後にワイヤース
ピード70m/分の高速シーム溶接機でラップ代0.4
mmで溶接し、適正溶接範囲を求めた。適正溶接範囲
は、溶接電流が大きすぎるために溶融金属の飛び出す、
即ちスプラッシュの発生しない溶接電流を上限とし、溶
接部を引き裂くピール試験において充分な接合強度が得
られる溶接電流を下限として求めた。表1に溶接性を評
価した結果を示すが、評価基準は以下の基準によった。 ◎;適正溶接範囲が充分に広く、良好な溶接性を有する
レベル。 〇;適正溶接範囲は狭いが、実用的には問題ないレベ
ル。 △;適正溶接範囲が狭く、実用に供する事ができないレ
ベル。 ×;適正溶接範囲が存在しないレベル。
【0016】(2)塗装後耐食性 各種の発明例と比較例の試験片に缶用のエポキシフェノ
ール系塗料を60mg/dm2 塗布し、その後280℃
まで20秒で昇温させ塗装の焼き付けを行い、続いて2
00℃で10分と180℃で8分の追い焼きを行った。
その後に50×50mmにカットし端面、裏面をラッカ
ーでシールした。塗装面にカッターで鉄面に達するクロ
スカット傷を入れ、試験片を作成した。作成した試験片
を脱気していない1.5%クエン酸と1.5%塩化ナト
リウム混合水溶液500mlの中に浸漬し、50℃で9
6時間放置した。試験後速やかに試験片を取り出し、テ
ーピング剥離を行い、塗装後の耐食性を評価した。評価
結果を表1に示すが、評価基準は、以下の基準によっ
た。 〇;クロスカット部近傍で塗膜剥離がなく、その他の塗
装部でも点状腐食の認められないレベル。 △;クロスカット近傍の塗膜が0.2〜0.5mm剥離
しており、その他の塗装部にも点状の腐食が若干認めら
れる。 ×;クロスカット近傍の塗膜が0.5mm以上剥離し、
その他の塗装部にも多くの点状腐食が認められる。
【0017】(3)実缶試験 各種の発明例と比較例の試験片に缶用のエポキシフェノ
ール系塗料を溶接部を除いて60mg/dm2 塗布し、
その後280℃まで20秒で昇温させ塗装の焼き付けを
行い、続いて200℃で10分と180℃で8分の追い
焼きを行った。その後に、ワイヤースピード70m/分
の高速シーム溶接機でラップ代0.4mmで溶接し、溶
接部はオルガノゾル系の塗料で補修し、溶接缶の胴を作
製した。胴をダブルネックイン加工をするとともにアル
ミ製のイージーオープンエンドを巻き締め、内容物とし
てコーヒーとオレンジジュースを充填し、電解クロム酸
処理鋼板の塗装板で作製した蓋を巻き締めた。このよう
にして、作製した実缶を38℃で12ケ月保管し、鉄の
内容物中への溶出量を測定した。測定結果を表1に示
す。鉄の溶出量は、コーヒーに関しては、0.5ppm
以下を良好と考え、オレンジジュースに関しては0.8
ppm以下を良好と考えた。表1の総合的評価から明ら
かなように、本発明の鋼板は、高温短時間焼き付け後の
高速溶接性に優れるとともに、実用的な耐食性に関して
も優れている。
【0018】
【表1】
【0019】(実施例2)板厚0.15mmの容器用鋼
板を、80℃で5%水酸化ナトリウム中で電解脱脂し、
常温の10%硫酸中で電解酸洗を行い、鋼板表面を活性
化させた。その後に浴温50℃のリン酸150g/l、
次亜リン酸カリウム90g/l水溶液中で電解し、リン
酸塩めっきを行った。めっき量は供給クーロン数で調整
した。その後水洗して、塩化酸錫めっき浴中で錫めっき
を施し、島状錫を形成させるためフラックスを塗布しな
いで速やかにリフロー処理を行った。錫めっき量は、電
解時の供給クーロン数で調整した。そして、温度45℃
のクロム酸100g/l、フッ化アンモニウム2.9g
/l水溶液中で電解し金属クロムを析出させ、続いて4
5℃のクロム酸150g/l、珪フッ化ナトリウム5.
0g/l水溶液中で水和酸化クロム層を形成させた。金
属クロム、水和酸化クロム量とも電解時の供給クーロン
数で調整するとともに、水和酸化クロム量については電
解が終了し、水洗までの溶解時間を調整して制御した。
【0020】このようにして作製した本発明例と比較例
の明細を表2に示す。ここで錫、クロムに関するめっき
量の分析方法と作製した本発明例と比較例の評価項目は
実施例1と同じである。但し、加熱および塗料焼き付け
は310℃まで23秒で昇温させ、その後180℃で1
0分、190℃で10分で追い焼きを行うという条件で
行った。性能特性の評価結果も併せて表2に示す。鉄の
溶出量は、コーヒーに関しては、0.5ppm以下を良
好と考え、オレンジジュースに関しては0.8ppm以
下を良好と考えた。表2の総合的評価から明らかなよう
に、本発明の鋼板は、高温短時間焼き付け後の高速溶接
性に優れるとともに、実用的な耐食性に関しても優れて
いる。
【0021】
【表2】
【0022】
【発明の効果】本発明の溶接缶用鋼板は、リン、鉄、錫
を含有した合金層を有し、その上層に金属錫めっき層を
設け、更にその上層に金属クロム層と水和酸化クロム層
を有しているので、錫の融点を超えるような高温で塗料
を焼き付ける様な場合でも、実用上十分良好な高速溶接
性を有し、塗装後の耐食性に関しても良好な性能が確保
されている。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板上に、リン、鉄、錫を含有した合金
    層を有し、その上層に金属錫めっき層を設け、更にその
    上層に金属クロム層と水和酸化クロム層を有することを
    特徴とする高温短時間塗装焼き付け後の高速溶接性に優
    れた溶接缶用鋼板。
  2. 【請求項2】 鋼板上に、0.1〜20重量%のリンを
    含有したリン、鉄、錫合金層を有し、その合金層量が1
    00〜600mg/m2 であることを特徴とする請求項
    1記載の溶接缶用鋼板。
  3. 【請求項3】 金属錫めっき層が島状の形態を呈し、そ
    のめっき量が100〜1500mg/m2 であることを
    特徴とする請求項1記載の溶接缶用鋼板。
  4. 【請求項4】 2〜15mg/m2 の金属クロム層とク
    ロム換算で2〜20mg/m2 の水和酸化クロム層を有
    することを特徴とする請求項1記載の溶接缶用鋼板。
JP998897A 1997-01-23 1997-01-23 高温短時間焼き付け後の高速溶接性に優れた溶接缶用鋼板 Withdrawn JPH10204687A (ja)

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