JPH10204466A - 潤滑油用添加剤及びその製造方法並びに金属加工用潤滑油 - Google Patents

潤滑油用添加剤及びその製造方法並びに金属加工用潤滑油

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JPH10204466A
JPH10204466A JP2423597A JP2423597A JPH10204466A JP H10204466 A JPH10204466 A JP H10204466A JP 2423597 A JP2423597 A JP 2423597A JP 2423597 A JP2423597 A JP 2423597A JP H10204466 A JPH10204466 A JP H10204466A
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康成 押本
Shinji Matsuda
真治 松田
Masaharu Fuchigami
正晴 淵上
Kenichiro Uda
賢一郎 宇田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 全塩基値が小さいにも係わらず優れた潤滑性
能向上効果を発揮するとともに、硫黄化合物を含まない
潤滑油用添加剤及びその製造方法等を提供する。 【解決手段】 本添加剤の製造方法は、酸化カルシウム
及び水酸化カルシウムのうちの少なくとも一方、カルボ
ン酸(ステアリン酸、オレイン酸等)及びグリセリン
を、比重が1.20以下で且つ沸点が40℃〜150℃
の非水溶性溶媒(ソルベントナフサ等)及び/又はアル
コール系溶媒(ブタノール等)中に分散させ、撹拌しな
がら炭酸ガスを通し、その後、余剰のグリセリン及び炭
酸カルシウムを遠心分離により除去し、次いで、該非水
溶性溶媒及び該アルコール系溶媒を、流動性を損なわな
い程度に上層分離除去若しくは減圧除去し、全塩基値を
200〜320とする。添加剤中のグリセリン含有量は
0.01〜5重量%(好ましくは0.05〜2重量%)
とすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、潤滑油用添加剤及
びその製造方法並びにこの潤滑油用添加剤を含む金属加
工用潤滑油に関し、更に詳しくは、潤滑油に使用する添
加剤として、全塩基度が小さいにも係わらず優れた潤滑
性能向上効果を発揮するとともに、燃焼により硫黄酸化
物を生じさせない潤滑油用添加剤及びその製造方法、並
びに、同様に潤滑性能に優れるとともに硫黄酸化物を生
じさせない金属加工用潤滑油に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より広く知られているカルボン酸カ
ルシウム系潤滑油用添加剤としては、超塩基性カルシウ
ム塩があり、これはアルキルアリ−ルスルホン酸塩であ
る。これらの超塩基性カルシウム塩、特に超塩基性スル
ホン酸カルシウムは、例えば国際公開WO87/017
23号公報等に開示されている。しかし、これらのスル
ホン酸塩は、硫黄化合物であり、焼却時に有害な酸化硫
黄系ガスを少量ではあるが発生させて、環境汚染の問題
がある。
【0003】硫黄化合物を含有しない超塩基性カルシウ
ム塩としては、特表平07−500365号公報、特表
平07−502054号公報に開示された超塩基性カル
ボン酸塩組成物がある。しかし、これらの超塩基性カル
ボン酸カルシウムは超塩基性スルホン酸カルシウムに比
べて潤滑性能が劣るという欠点を有する。以上のように
硫黄化合物を含まなくて且つ全塩基値が320以下で潤
滑性能向上効果に優れたカルボン酸塩系潤滑油用添加剤
はまだ見出されていないのが実情である。更に、特表平
07−500365号公報に開示された製造方法では、
まず最初に石灰にてカルボン酸を中和し、その後過剰の
カルシウム化合物を加え、最後に希釈剤を添加してい
る。従って、二段のカルシウム化合物の添加及び希釈剤
の添加があり工程が複雑であり、更に、炭酸ルカシウム
を除去しないので、全塩基値が通常400〜550と大
きく且つ組成物の安定性にも欠ける。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決するものであり、潤滑油に使用する添加剤とし
て、全塩基値が小さいにも係わらず優れた潤滑性能向上
効果を発揮するとともに、硫黄化合物を含まない潤滑油
用添加剤及びそれを容易に製造する方法、並びに、同様
に優れた潤滑性能を発揮するとともに、硫黄化合物を含
まない金属加工用潤滑油を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため、硫黄元素を含まない過塩基性カルボン
酸塩であって、超塩基性スルホン酸塩と同等以上の優れ
た潤滑性能をもつとともに、炭酸カルシウムの含有量が
少なく且つ安定した組成物が得られないかについて、鋭
意検討した結果、(1)グリセリンを含有させるとこれ
らの効果が得られること、及び(2)このグリセリン及
び炭酸カルシウムの比重の大きさに着目すればこの組成
物を容易に製造できることを見出して本発明を完成する
に至ったのである。
【0006】本第1発明の潤滑油用添加剤の製造方法
(以下、本製造方法ともいう。)は、酸化カルシウム及
び水酸化カルシウムのうちの少なくとも一方、カルボン
酸及びグリセリンを、グリセリンよりも比重が小さい溶
媒中に分散させ、撹拌しながら炭酸ガスを通し、その
後、余剰のグリセリン及び炭酸カルシウムを遠心分離に
より除去し、流動性を損なわない程度以上に該非水溶性
溶媒を含有し、全塩基値を200〜320とすることを
特徴とする。
【0007】本第2発明の製造方法は、酸化カルシウム
及び水酸化カルシウムのうちの少なくとも一方、カルボ
ン酸及びグリセリンを、比重が1.20以下で且つ沸点
が40℃〜150℃の非水溶性溶媒及びアルコール系溶
媒中に分散させ、撹拌しながら炭酸ガスを通し、その
後、余剰のグリセリン及び炭酸カルシウムを遠心分離に
より除去し、次いで、該非水溶性溶媒及び該アルコール
系溶媒を、流動性を損なわない程度に上層分離除去若し
くは減圧除去し、全塩基値を200〜320とすること
を特徴とする。
【0008】本第3発明の製造方法は、酸化カルシウム
及び水酸化カルシウムのうちの少なくとも一方、カルボ
ン酸及びグリセリンを、鉱物油及び比重が1.20以下
で且つ沸点が40〜150℃のアルコール系溶媒中に分
散させ、撹拌しながら炭酸ガスを通し、その後、余剰の
グリセリン及び炭酸カルシウムを遠心分離により除去
し、次いで、該アルコール系溶媒を、流動性を損なわな
い程度に上層分離除去若しくは減圧除去し、全塩基値を
200〜320とすることを特徴とする。
【0009】本発明において、上記「カルボン酸」とし
ては、(1)パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン
酸、オレイン酸、リノ−ル酸等の鎖状カルボン酸、
(2)安息香酸、ステアリル安息香酸、ナフタレンカル
ボン酸等の脂環式カルボン酸等が挙げられる。この鎖状
カルボン酸としては、通常、炭素原子数10〜30、好
ましくは12〜18の鎖状カルボン酸が使用される。炭
素原子数が10未満の鎖状カルボン酸は、分散媒との親
和性に乏しく凝集物を生じさせ、炭素原子数が30を越
える鎖状カルボン酸は、炭酸カルシウムの分散性が不十
分だからである。この脂環式カルボン酸としては、通
常、炭素原子数6〜30、好ましくは炭素原子数10〜
22の脂環式カルボン酸が使用される。炭素原子数が6
未満の脂環式カルボン酸は、分散媒との親和性に乏しく
凝集物を生じさせ、炭素原子数が30を越える脂環式カ
ルボン酸は、炭酸カルシウムの分散性が不十分だからで
ある。
【0010】本発明においては、塩基原料としては、上
記「酸化カルシウム」及び/又は「水酸化カルシウム」
を用いるので、組成物中には、カルボン酸カルシウムお
よひ炭酸カルシウムが含まれることとなる。このように
塩基元素として、カルシウムを用いるのは、マグネシウ
ムと比べると塩基性が大きく、ストロンチウム及びバリ
ウムと比べると、媒体中の分散安定性に優れるとととも
に原料が安価であるからである。
【0011】本発明における「グリセリン」は、過塩基
性カルボン酸塩の合成における反応助剤として作用する
とともに、潤滑性能の向上に寄与する。このグリセリン
を用いると、比重が他のアルコール(エチレングリコー
ル、エタノール、メタノール等)と比べると大きいの
で、遠心分離による除去効果に優れる。尚、グリコー
ル、エチレングリコール及びメタノールの各比重は、
1.26、 1.11、0.793である。また、この
グリセリンの親水性が他のアルコールと比べて大きいの
で、生成水及び炭酸ガスの溶解性に優れ、そのためカル
ボン酸とカルシウム原料との反応性及びカルシウム原料
と炭酸ガスとの反応性に優れると考えられる。更に、グ
リセリンを用いる場合、2官能性のエチレングリコール
と比べると、表2に示すように、組成物の全塩基値を低
下させるにも係わらず摩擦係数をも小さくできる。これ
は、3官能性のグリセリンを含むことにより摩擦面によ
り低剪断性の摩擦被膜を生じるためと考えられる。
【0012】本第1発明において使用される「グリセリ
ンよりも比重が小さい溶媒」としては、グリセリンより
も比重が小さいものであればよく、非水溶性溶媒でもよ
いし、アルコール系の水溶性溶媒でもよいし、更にこれ
らの両者を混合して使用してもよい。また、この溶媒の
沸点の大きさも特に限定されない。そして、この溶媒と
しては、分散媒としても作用するが炭酸ガス等との反応
性を高めるような反応触媒作用を示すアルコール系溶媒
でもよいし、反応触媒には係わらないが、分散媒として
作用する非水溶性溶媒を使用してもよい。
【0013】例えば、この溶媒としては、(1)ソルベ
ントナフサ、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン
等の非水溶性溶媒、(2)鉱物油、流動パラフィン、合
成エステル、ポリグリコ−ル、ポリオレフィン等の潤滑
油基油等、(3)メタノ−ル、エタノ−ル、1−ブタノ
−ル、2−ブタノ−ル、アミルアルコ−ル、1−ヘキサ
ノ−ル、1−ヘプタノ−ル、オクチルアルコ−ル、1−
オクタデカノ−ル、エチレングリコ−ルモノメチルエ−
テル、エチレングリコ−ルモノエチルエ−テル等のアル
コ−ル系溶媒等を挙げることができる。
【0014】但し、溶媒としての鉱物油、パラフィンオ
イル等の非水溶性基油にグリセリンを混合する場合に
は、グリセリンの凝集、沈降が起きる。その場合は凝
集、沈降したグリセリンを遠心分離等によって分離して
もよい。又、残存するグリセリンを例えばカルボン酸塩
に使用したカルボン酸、ホウ酸又はリン酸等の酸と反応
させ、可溶化してもよいし、生成するエステル及び水を
分離してもよい。
【0015】本第2発明において、使用溶媒は、比重が
1.20以下で且つ沸点が40〜150℃(好ましくは
60〜150℃)の非水溶性溶媒、及び比重が1.20
以下で且つ沸点が40〜150℃(好ましくは60〜1
50℃)のアルコール系溶媒である。本第3発明におい
て、使用溶媒は、比較的高沸点の非水溶性溶媒としての
鉱物油及び比重が1.20以下で且つ沸点が40〜15
0℃(好ましくは60〜150℃)のアルコール系溶媒
である。上記において、比重が1.20を越える場合
は、グリセリンとの分離効率が低下するためである。ま
た、沸点が40℃未満では反応中に容易に揮散してしま
うし、150℃を越えると蒸発除去しにくくなるからで
ある。60〜150℃の場合(特にアルコール系溶媒の
場合は65〜150℃)は反応時の操作がし易く且つ減
も適度に実施できるので、大変バランスがよい。
尚、アルコールの場合、メタノールの沸点が64.7℃
である。そして、これらの場合、この非水溶性溶媒(鉱
物油は除く。)及び該アルコール系溶媒を、静置して得
られた2層分離液のうちの上層を分離除去したり、減圧
除去したりすることができる。但し、その場合、流動性
を損なわない程度にこの溶媒を残存させることが必要で
ある。完全に(略完全に)除去すると流動性がなくな
り、取扱いが不便になるからである。尚、鉱物油は比重
が比較的大きいとともに高沸点のため、ほとんど除去さ
れずに、そのまま組成物中に残存することとなる。この
場合の残存した鉱物油は基油の1成分として取り扱うこ
ともできる。
【0016】更に、上記各発明において製造される潤滑
油用添加剤の全塩基値は、200〜320(好ましくは
200〜300、更に好ましくは200〜280)であ
る。遠心分離法により炭酸カルシウムを除去するので、
炭酸カルシウム量が減少しそのため、この程度の比較的
低い全塩基値となる。この全塩基値が180未満では、
十分な潤滑性能が得られにくくなり、その全塩基値が3
20を越えると、炭酸カルシウムが多くなり組成物の安
定性が悪くなるからである。以上より、過剰の炭酸カル
シウムを除去するので、炭酸カルシウムが超過剰に含有
されて全塩基値が350以上となる超塩基性組成物に比
べて、組成物の安定性に優れる。尚、この全塩基値と
は、試料1g中に含まれる全塩基成分を中和するのに要
する塩酸又は過塩素酸と当量の水酸化カリウムの量(m
g数)を示す。
【0017】本第4発明の潤滑油用添加剤は、カルボン
酸カルシウム、炭酸カルシウム及びグリセリンを含有
し、更に流動性を損なわない程度に非水溶性溶媒を含有
し、全塩基値が200〜320であることを特徴とす
る。本発明において、カルボン酸カルシウムを構成する
アシルオキシ基を提供することとなるカルボン酸として
は、前記に示すステアリン酸、オレイン酸、パルミチン
酸、安息香酸、シクロヘキシル酸、石油ナフテン酸等と
することができる。この鎖状カルボン酸の炭素原子数
も、前記と同様に、10〜30、好ましくは12〜18
とすることができる。この非水溶性溶媒としては、前記
に例示する溶媒を挙げることができる。
【0018】このグリセリンの含有量は、第5発明に示
すように、潤滑油用添加剤組成物を100重量%とした
場合に、0.01〜5重量%(好ましくは0.05〜2
重量%)とすることができる。配合量が0.01重量%
未満では潤滑性能向上効果が不十分となるからであり、
5重量%を越えても潤滑性能向上効果が変わらないし、
前記本発明の製造方法においてはこれ以上の含有量とな
りにくいからである。
【0019】この非水溶性溶媒の含有量は、第6発明に
示すように、潤滑油用添加剤組成物を100重量%とし
た場合に、0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜
2重量%とすることができる。配合量が0.01重量%
未満では組成物の流動性が損なわれるからであり、本発
明の前記製造方法においてはこれ以上の含有量となりに
くいからである。
【0020】本第7発明の金属加工用潤滑油は、上記本
発明の4〜6のいずれかに記載される潤滑油用添加剤を
含有し、平均摩擦係数が0.09〜0.15(好ましく
は0.10〜0.12)、焼き付き始まる摺動回数が5
0回以上であることを特徴とする。この平均摩擦係数が
0.09未満では、摩擦係数が低すぎるためスリップに
よる表面損傷が発生し易く、その平均摩擦係数が0.1
5を越えると、摩擦係数が大きいために、スリップ発生
は少ないものの、焼き付きが発生し易くなるからであ
る。また、潤滑油の焼き付き始まる摺動回数は50回以
上とすることができる。平均摩擦係数及び焼き付き始ま
る摺動回数は、付着滑り試験機を使用し、実施例でのべ
た試験条件にて測定する。
【0021】本発明の金属加工用潤滑油は、通常、基油
を含む。この基油の含有量は、潤滑油組成物を100重
量%とした場合に、33〜99重量%、好ましくは65
〜95重量%とすることができる。配合量が30重量%
未満では金属表面への濡れ拡がり性が不十分であり、配
合量が99重量%を越えると本添加剤の効果が著しく低
下するからである。その他の任意添加剤として、従来よ
り金属加工用潤滑油に用いられている種々の添加剤を適
宜配合して使用することができる。即ち、防腐剤、消泡
剤、防食剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤等を挙げる
ことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、実施例及び比較
例により更に詳しく説明する。 (1)潤滑油用添加剤の調製及び組成 実施例1 水酸化カルシウム50g、オレイン酸50g、グリセリ
ン20g及びソルベントナフサ100gを1−ブタノー
ル中に分散させ、100℃で撹拌しながら炭酸ガスを約
10時間通した。得られた生成物を遠心分離(室温、5
000rpm×3時間)し、余剰のグリセリン及び大粒
径炭酸カルシウムを除去した。その後、5〜10mmH
g、80〜90℃にて、減圧蒸留し、組成物の流動性が
保持される程度に溶媒を除去して、過塩基性カルボン酸
カルシウム組成物130gを得た。得られた組成物を潤
滑油用添加剤Aとした。この組成を表1に示す。表1の
各成分の数値は重量%を表し、全量が100重量%であ
る。この組成物の外観は略透明であり、1週間放置して
も固形物が沈降せず安定であった。この添加剤Aを潤滑
油〔スピンドル油、粘度:100mm2 /s(40
℃)〕に10重量%添加し、潤滑油Aとした。
【0023】
【表1】
【0024】実施例2 ソルベントナフサの代わりに鉱物油〔粘度;100mm
2 /s(40℃)〕を用いたこと及びこの鉱物油を除去
しなかったこと以外は実施例1と同様にして過塩基性カ
ルボン酸カルシウム組成物180gを得た。得られた組
成物を潤滑油用添加剤Bとした。この組成を表1に示
す。この組成物の外観は略透明であり、1週間放置して
も固形物が沈降せず安定であった。この添加剤Bを実施
例1と同様の潤滑油に10重量%添加し、潤滑油Bとし
た。
【0025】実施例3 水酸化カルシウム50gの代わりに68gを用いたこと
及び遠心分離時間を1時間としたこと以外は実施例1と
同様にして過塩基性カルボン酸カルシウム組成物150
gを得た。得られた組成物を潤滑油用添加剤Cとした。
この組成を表1に示す。この組成物の外観はやや濁って
いるが、1週間放置してもほとんど固形物が沈降せず安
定であった。この添加剤Cを実施例1と同様の潤滑油に
10重量%添加し、潤滑油Cとした。
【0026】実施例4 遠心分離時間を5時間としたこと以外は実施例1と同様
にして過塩基性カルボン酸カルシウム組成物125gを
得た。得られた組成物を潤滑油用添加剤Dとした。この
組成を表1に示す。この組成物の外観は略透明であり、
1週間放置しても固形物が沈降せず安定であった。この
添加剤Dを実施例1と同様の潤滑油に10重量%添加
し、潤滑油Dとした。
【0027】比較例 グリセリンの代わりにエチレングリコ−ル50gを用い
た以外は、実施例1と同様にして過塩基性カルボン酸カ
ルシウム組成物135gを得た。得られた組成物を潤滑
油用添加剤Eとした。この組成を表1に示す。この組成
物の外観も略透明であり、1週間放置しても固形物が沈
降せず、前記と同様に安定であった。この添加剤Eを実
施例1と同様の潤滑油に10重量%添加し、潤滑油Eと
した。
【0028】従来例1 市販の超塩基性スルホン酸カルシウム(商品名「LU5
283」、ルーブリゾール社製、全塩基価;370)を
潤滑油用添加剤Fとした。この組成を表1に示す。この
組成物の外観は白色不透明であり、1週間放置しても外
観に変化は認められず安定であった。この添加剤Fを実
施例1と同様の潤滑油に10重量%添加し、潤滑油Fと
した。
【0029】従来例2 市販のカルボン酸カルシウム(商品名「LU532
1」、ルーブリゾール社製、全塩基価;395)を潤滑
油用添加剤Gとした。この組成を表1に示す。この組成
物の外観は略透明であり、1週間放置しても固形物が沈
降せず安定であった。この添加剤Gを実施例1と同様の
潤滑油に10重量%添加し、潤滑油Gとした。
【0030】(2)化学的性質(全塩基値)及び性能の
評価 本発明の潤滑油用添加剤の化学的性質(全塩基値)及び
性能を明らかにするため、下記の方法により、各潤滑油
A〜Gについて試験を行った。これらの試験結果を表2
に示す。全塩基値は、ASTM標準D2896−73に
より測定した。この全塩基値とは、試料1g中に含まれ
る全塩基成分を中和するのに要する塩酸又は過塩素酸と
当量の水酸化カリウムの量(mg数)を示す。平均摩擦
係数及び焼き付きの始まる摺動回数は、図1に示す付着
滑り試験機を使用し、下記に示す試験条件にて測定し
た。この試験機における試験方法は、以下の通りであ
る。即ち、図1に示すように、潤滑油(試料)1を塗布
した試験片(鋼板)2に、鋼球3を荷重(P)で押し付
け、試験片2を水平に摺動させ、鋼球3に働く摩擦力
(F)を歪ゲージを用いて測定する。そして、摩擦係数
(μ)は、μ=F/Pの式を用いて算出する。 付加荷重:4Kgf 摺動速度:4.0mm/s 摺動距離:25mm 試験片材質:SPCC−SB 摩擦球材質:SUJ−2
【0031】
【表2】
【0032】表2の結果によれば、市販の超塩基性スル
ホン酸カルシウムを使用した従来例1の潤滑油では、全
塩基値が370、平均摩擦係数が0.12、焼き付き始
まる摺動回数が50回以上であり、潤滑性能は優れてい
るが、焼却時に有害な酸化硫黄系ガスを発生させる環境
汚染の問題がある。市販の塩基性カルシウムを使用した
従来例2の潤滑油では、全塩基値が395、平均摩擦係
数が0.20、焼き付き始まる摺動回数が24回であ
り、潤滑性能が劣ることが判る。また、エチレングリコ
ールを使用した比較例においては、全塩基値が260と
比較的小さいが、平均摩擦係数が0.20と大きく、潤
滑性が十分ではない。更に、これらの組成物の炭酸カル
シウムの分散安定性は十分とはいえない。
【0033】一方、本発明の潤滑油用添加剤を使用した
実施例1及び2の各潤滑油では、全塩基値が220、平
均摩擦係数が0.11、焼き付き始まる摺動回数が50
回以上であり、全塩基値が小さいにも係わらず、平均摩
擦係数及び焼き付き始まる摺動回数の双方の面からも、
潤滑性能が優れていることが判る。また、炭酸カルシウ
ム含有量がやや多い実施例3の場合には潤滑性能に優れ
るとともに、分散安定性も悪くはない。炭酸カルシウム
含有量がやや少ない実施例4の場合には、全塩基値はや
や小さい(200)ものの、平均摩擦係数は0.12、
焼き付きが始まる摺動回数は50回以上であり、潤滑性
能は他実施例と略同等であり、分散安定性も良い。そし
て、これらの実施例1〜4の潤滑油は、硫黄化合物を含
まないので、酸化硫黄系ガスによる環境汚染の問題がな
い。従って、実施例1〜4、特に実施例1及び2の潤滑
油(及びその添加剤)は、潤滑性能、組成物の安定性及
び低環境汚染性の全ての点が優れ、大変バランスのよい
ものである。本発明においては、前記具体的実施例に示
すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内
で種々変更した実施例とすることができる。
【0034】
【発明の効果】本発明の潤滑油用添加剤及び金属加工用
潤滑油によれば、全塩基値が小さいにも係わらず優れた
潤滑性能向上効果を発揮するとともに、組成物の安定性
にも優れ、更に、硫黄酸化物による環境汚染の問題がな
い、大変バランス性能に優れたものである。本発明の製
造方法によれば、上記優れた効果を有する潤滑油用添加
剤を容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例において用いた付着滑り試験機の使用
状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1:潤滑油(試料)、2:試験片(鋼板)、3:鋼球、
4:ヒータ、P:荷重、F:摩擦力。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10M 129:08) C10N 10:04 40:24 (72)発明者 宇田 賢一郎 神奈川県高座郡寒川町田端1580番地 ユシ ロ化学工業株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化カルシウム及び水酸化カルシウムの
    うちの少なくとも一方、カルボン酸及びグリセリンを、
    グリセリンよりも比重が小さい溶媒中に分散させ、撹拌
    しながら炭酸ガスを通し、その後、余剰のグリセリン及
    び炭酸カルシウムを遠心分離により除去し、流動性を損
    なわない程度以上に該非水溶性溶媒を含有し、全塩基値
    を200〜320とすることを特徴とする潤滑油用添加
    剤の製造方法。
  2. 【請求項2】 酸化カルシウム及び水酸化カルシウムの
    うちの少なくとも一方、カルボン酸及びグリセリンを、
    比重が1.20以下で且つ沸点が40℃〜150℃の非
    水溶性溶媒及びアルコール系溶媒中に分散させ、撹拌し
    ながら炭酸ガスを通し、その後、余剰のグリセリン及び
    炭酸カルシウムを遠心分離により除去し、次いで、該非
    水溶性溶媒及び該アルコール系溶媒を、流動性を損なわ
    ない程度に上層分離除去若しくは減圧除去し、全塩基値
    を200〜320とすることを特徴とする潤滑油用添加
    剤の製造方法。
  3. 【請求項3】 酸化カルシウム及び水酸化カルシウムの
    うちの少なくとも一方、カルボン酸及びグリセリンを、
    鉱物油及び比重が1.20以下で且つ沸点が40〜15
    0℃のアルコール系溶媒中に分散させ、撹拌しながら炭
    酸ガスを通し、その後、余剰のグリセリン及び炭酸カル
    シウムを遠心分離により除去し、次いで、該アルコール
    系溶媒を、流動性を損なわない程度に上層分離除去若し
    くは減圧除去し、全塩基値を200〜320とすること
    を特徴とする潤滑油用添加剤の製造方法。
  4. 【請求項4】 カルボン酸カルシウム、炭酸カルシウム
    及びグリセリンを含有し、更に流動性を損なわない程度
    に非水溶性溶媒を含有し、全塩基値が200〜320で
    あることを特徴とする潤滑油用添加剤。
  5. 【請求項5】 上記潤滑油用添加剤組成物を100重量
    %とした場合に、上記グリセリンの含有量は0.01〜
    5重量%である請求項4記載の潤滑油用添加剤。
  6. 【請求項6】 潤滑油用添加剤組成物を100重量%と
    した場合に、上記非水溶性溶媒の含有量は0.01〜5
    重量%である請求項4又は5記載の潤滑油用添加剤。
  7. 【請求項7】 上記請求項4乃至6のいずれかに記載さ
    れる潤滑油用添加剤を含有し、平均摩擦係数が0.09
    〜0.15、焼き付き始まる摺動回数が50回以上であ
    ることを特徴とする金属加工用潤滑油。
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