JPH10204030A - (メタ)アクリル酸エステルの精製方法及び製造方法並びにその製造装置 - Google Patents

(メタ)アクリル酸エステルの精製方法及び製造方法並びにその製造装置

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JPH10204030A
JPH10204030A JP2598197A JP2598197A JPH10204030A JP H10204030 A JPH10204030 A JP H10204030A JP 2598197 A JP2598197 A JP 2598197A JP 2598197 A JP2598197 A JP 2598197A JP H10204030 A JPH10204030 A JP H10204030A
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meth
ejector
ester
alcohol
distillation
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JP2598197A
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Shinji Okada
慎司 岡田
Takao Murakami
孝雄 村上
Hiroya Mishina
博矢 三品
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Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 (メタ)アクリル酸エステルを効率的、且つ
安全に、しかも安価に製造するための精製方法及び製造
方法並びにこれに用いる製造装置を提供する。 【解決手段】 アクリル酸若しくはメタクリル酸とアル
コールとを反応させ、生成されるアクリル酸エステル若
しくはメタクリル酸エステルを減圧蒸留により精製して
(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法である。ア
クリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステル
(a)、及びこれよりも低沸点の低沸物(b)の少なく
とも一方を留去するに際して、スチームエゼクター5又
は水エゼクターを用いて減圧する。このとき、スチーム
エゼクター5又はエゼクターの段数を2〜5段とし、1
0〜150Torrに減圧してもよい。また、これらの
方法に用いる装置を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、(メタ)アクリル
酸エステル(以下、「アクリル酸エステル若しくはメタ
クリル酸エステルと同義として略記する場合がある。)
の精製方法及び製造方法並びにその製造装置に関する。
更に詳しくは、(メタ)アクリル酸エステルを効率的且
つ安全に、しかも安価に製造するための精製方法、その
製造方法及びこれに用いる製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】(メタ)アクリル酸エステルの製造方法
として、(メタ)アクリル酸とアルコールとをエステル
化させる反応が知られており、この製造方法において
は、生成された(メタ)アクリル酸エステルに混ざって
いる不純物を取り除くため、精製プロセス(蒸留プロセ
ス)が必要となる。そして、このプロセスとして、以下
の3態様を例示できる。
【0003】即ち、生成物である(メタ)アクリル酸
エステル又は未反応の(メタ)アクリル酸と、これらよ
りも沸点が低い低沸分が混在する場合には、低沸分を留
去し、残渣である(メタ)アクリル酸又は(メタ)アク
リル酸エステル等を得ることとなる。また、(メタ)
アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルと、これら
よりも沸点が高い高沸分が混在する場合には、(メタ)
アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルを留去し、
残渣である高沸分を除くこととなる。更に、(メタ)
アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルと、低沸分
及び高沸分が混在する場合には、先ず、(メタ)アクリ
ル酸又は(メタ)アクリル酸エステル及び低沸分を留去
し、残渣である高沸分を取り除く。その後、留去した
(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステル及
び低沸分から、更に低沸分を留去し、残渣である(メ
タ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルを得る
こととなる。
【0004】一方、(メタ)アクリル酸及び(メタ)ア
クリル酸エステルは、分子内に2重結合を有し、反応性
に富む化合物であるため、高温で重合し易い。そして、
上記精製工程において、この重合を起こした場合には、
(メタ)アクリル酸エステルの収率の低下及び設備の操
業トラブル(配管閉塞等)の原因となることが多い。こ
のため、この重合を防止するため、(メタ)アクリル酸
又は(メタ)アクリル酸エステルの蒸留(精製)を、高
真空下で、出来るだけ温度を低くして実施するのが一般
的である。これに加え、蒸留系にフェノチアジン、モノ
メチルエーテルハイドロキノン、ハイドロキノン等の重
合防止剤を添加し、酸素含有不活性ガス(酸素が重合防
止に効果があることは公知である。)を供給することが
多い。そして、上記「高真空下」とするために用いられ
る「真空発生装置」として、往復型(ピストン型)、ル
ーツ型等の乾式機械的ポンプが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この種
のポンプでは、その吸い込みガス中に、凝縮温度での蒸
気圧分の(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エ
ステルを含有することが多い。従って、このポンプの駆
動部を構成する金属部品が接触して(以下、「メタルタ
ッチ」という。)火花を発生すれば、爆発を起こす危険
性を有している。そして、これを回避するために、この
ポンプの吸入部に対し、不活性ガスを供給して、爆発性
混合ガス(以下、「爆鳴気」という。)の形成を防止す
ることが従来から行われてきたが、その分、製造プロセ
スが複雑となったり、このポンプに余分な動力が要求さ
れる等の問題を生じていた。また、供給する不活性ガス
の経費分だけ、(メタ)アクリル酸エステルの製造経費
が上昇するという問題も生じていた。
【0006】更に、この種のポンプでは、その内部に
(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルが
暫し滞留することが多い。このため、このポンプを、耐
食性に富んだ高価な素材(例えば、「SUS316」以
上)を用いて作製する必要があり、ポンプの製造コス
ト、引いては、(メタ)アクリル酸エステルの製造コス
トを高くすることが多い。また、この種のポンプでは、
その前段側に、アクリル酸等を回収するコンデンサが設
置されることが多いが、このコンデンサで回収しきれな
かった(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エス
テルが凝縮重合し、ポンプの駆動部が、この凝縮重合物
を噛み込み、ポンプが停止するというトラブルが発生す
ることも多い。
【0007】一方、上記の様な「爆発の危険性」を回避
するために、封液式ナッシュ型ポンプ、油封回転型真空
ポンプ等の他の形式の湿式機械的ポンプを採用すること
もあるが、この様なポンプを用いた場合にも、上記「凝
縮重合物」を原因としたトラブルを生じ易い。以上の様
な事情より、上記各問題点、トラブルを生ずることな
く、(メタ)アクリル酸エステルを効率的に精製又は製
造するための方策の出現が望まれていた。
【0008】本発明は、上記観点に鑑みてなされたもの
であり、(メタ)アクリル酸エステルを効率的且つ安全
に、しかも安価に精製又は製造するための方法及びこれ
に用いる製造装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本第1発明の(メタ)ア
クリル酸エステルの精製方法(以下、「精製方法」とい
う。)は、(メタ)アクリル酸エステルを含有する混合
物を減圧蒸留するに際して、スチームエゼクター又は水
エゼクターを用いて減圧することを特徴とする。また、
本第2発明の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法
(以下、「製造方法」という。)は、アクリル酸若しく
はメタクリル酸とアルコールとを反応させ、生成される
アクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルを減
圧蒸留により精製して(メタ)アクリル酸エステルを製
造する方法において、上記アクリル酸エステル若しくは
メタクリル酸エステル(a)、及びこれよりも低沸点の
低沸物(b)の少なくとも一方を留去するに際して、ス
チームエゼクター又は水エゼクターを用いて減圧するこ
とを特徴とする。
【0010】上記「スチームエゼクター」は、高圧の駆
動蒸気をノズルから噴出させ、その高圧噴流の吸引、搬
送力により2次蒸気を排出することにより、これらに接
続された対象物(蒸留缶等)の減圧を行う装置である。
また、上記「水エゼクター」では、この「駆動蒸気」の
代わりに「水」を用いる。そして、本第1発明及び第2
発明では、構造が簡単で、主要部分に機械的な可動部を
必要としない「スチームエゼクター又は水エゼクター」
を用いるため、上記「メタルタッチ」を生じない。ま
た、これらのエゼクターは、いずれも湿式で、各エゼク
ター内をスチーム又は水が常時流れているため、たと
え、上記の様な「凝縮重合物」を生じても、直ぐに、系
外に排出され、目詰まり等の問題を生じ難い。
【0011】また、この様に、エゼクター内での(メ
タ)アクリル酸等の滞留が防止されるため、各エゼクタ
ーを耐食性の低い、比較的、安価な素材(例えば、「S
US304」)で作製してもよい。更に、図3に示す様
に、多数の蒸留工程を経ながら、本発明の製造方法を実
施する場合には、各蒸留工程から選ばれる任意の一の蒸
留工程のみで、上記「エゼクターを利用した減圧」を行
っても、二以上の蒸留工程(全ての蒸留工程であっても
よい。)で、この減圧を行ってもよい。
【0012】上記「アルコール」は、脂肪族アルコー
ル、脂環式アルコール、芳香族アルコールのいずれであ
ってもよい。そして、この「脂肪族アルコール」として
は、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルア
ルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコ
ール、イソブチルアルコール、n−ヘプチルアルコー
ル、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアル
コール、イソオクチルアルコール、n−ノニルアルコー
ル、イソノニルアルコール、ステアリルアルコール等を
例示できる。但し、脂肪族アルコールとしては、炭素数
が4以上のものが好ましい。炭素数が3以下である場合
には、水の沸点よりも低くなり、エステル化反応の際
に、水を留去することが困難になる恐れがあるからであ
る。また、「脂環式アルコール」としては、シクロヘキ
シルアルコール、メチルヘキシルアルコール等が例示で
きる。更に、「芳香族アルコール」としては、ベンジル
アルコール、メチルベンジルアルコール等を例示でき
る。
【0013】また、上記「アクリル酸若しくはメタクリ
ル酸とアルコールとの反応」に際しては触媒を用いるこ
とができる。そして、この「触媒」としては、硫酸、塩
酸等の鋼酸や、パラトルエンスルホン酸、メタスルホン
酸等の有機酸等の様に、通常、エステル化触媒として用
いられているものが例示できる。更に、この「触媒」の
他に、「共沸剤」を用いることもできる。この「共沸
剤」の種類は、使用するアルコールとの関係を考慮して
定められる。即ち、水と共沸混合物を形成するものであ
り、反応原料及び生成物と反応せず、反応原料の沸点よ
り低い温度に共沸点を有するものが好ましい。例えば、
使用するアルコールが2−エチルヘキシルアルコール、
n−ブタノールの場合には、イソプロピルエーテル等を
用いることができ、使用するアルコールが、イソブタノ
ールの場合には、シクロヘキサンを用いることができ
る。
【0014】また、上記「触媒」等の他に、所定の「重
合防止剤」を併用することが好ましい。この「重合防止
剤」は、従来技術において重合性液体を取り扱う際に用
いられるものと同様であり、フェノチアジン等の芳香族
アミン類やハイドロキノン及びその誘導体等のフェノー
ル類化合物等の重合防止剤等が挙げられる。例えば、p
−ハイドロオキシ・ジフェニールアミン、N,N’−ジ
フェニールジアミン及び2,5−ジ−tert.−ブチ
ルハイドロキノン等である。更に好ましくは、ハイドロ
キノン、モノメチルエーテルハイドロキノン、フェノチ
アジン等が挙げられる。
【0015】また、この「重合防止剤」として、酸素を
用いることもでき、また上記ハイドロキノン等と併用す
ることもできる。即ち、酸素を含有する気体の雰囲気下
で重合性液体を操作し、又は酸素を含有する気体を重合
性液体内に導入してバブリング(曝気)することによ
り、酸素を重合性液体中に溶存させ、重合防止剤として
用いるものである。尚、酸素を溶存させるために用いら
れる酸素を含有する気体は、特に限定されるものではな
い。但し、空気等の場合に、酸素濃度が高いと爆鳴気を
形成し危険性が増大するので、酸素濃度を21容積%
(空気)以下に抑えた気体であることが望ましい。ま
た、酸素濃度が3容積%より低い場合は、酸素分圧が減
少し、高い溶存酸素濃度が得にくいので、酸素濃度は3
容積%以上にすることが好ましい。
【0016】本第3発明では、上記アルコールはブチル
アルコール又は2−エチルヘキシルアルコールであり、
上記スチームエゼクター又は上記水エゼクターの段数は
2〜5段であり、蒸留缶を10〜150Torrに減圧
している。好ましい減圧度は、40〜60Torrであ
る。上記アルコールをブチルアルコール又は2−エチル
ヘキシルアルコールとする場合、150Torrを越え
る圧力に減圧しても、目的の生成物以外のものを留去す
る際に、運転操作温度が高くなり、(メタ)アクリル酸
及び(メタ)アクリル酸エステルが重合してしまう恐れ
がある。一方、10Torrを下回る圧力に減圧する場
合、「スチームエゼクター又は水エゼクター」を、より
頑丈で、複雑な構造とする必要が生じ、設備費、引いて
は(メタ)アクリル酸エステルの製造コストの高騰を招
く恐れがあるからである。そして、10〜150Tor
rに減圧するためには、通常、スチームエゼクター又は
水エゼクターの段数を2〜5段とする必要あるからであ
る。
【0017】本第4発明である(メタ)アクリル酸エス
テルの製造装置(以下、「製造装置」という。)は、ア
クリル酸若しくはメタクリル酸とアルコールとを反応さ
せ、生成されるアクリル酸エステル若しくはメタクリル
酸エステルを減圧蒸留により精製して(メタ)アクリル
酸エステルを製造する装置において、生成されるアクリ
ル酸エステル若しくはメタクリル酸エステル(a)、及
びこれよりも低沸点の低沸物(b)の少なくとも一方の
留去が行われる蒸留缶と、該蒸留缶に接続され、且つ該
蒸留缶で発生する蒸気を液化するコンデンサと、該コン
デンサに接続され、上記蒸留缶を減圧する多段型スチー
ムエゼクター又は多段型水エゼクターと、を備えること
を特徴とする。
【0018】本第4発明は、上記第1〜第3発明を実施
するための装置である。また、本第4発明では、蒸留缶
で発生する蒸気を液化するコンデンサを備えるため、蒸
留缶で留去される蒸気をエゼクターの前段で回収でき
る。従って、この蒸気が、エゼクターに殆ど吸引されな
いため、エゼクターは効率的に蒸気缶の減圧を行うこと
ができ、また、エゼクター内の腐食を防止することがで
きる。
【0019】また、本製造装置が、「反応缶」、「製品
回収缶」等の多数の「缶」を備える場合には、これらの
「缶」から選ばれる一又は二以上の「缶」を、上記「蒸
留缶」とすることができる。更に、「蒸留缶」及び「コ
ンデンサ」の接続は、直接的になされても、間接的にな
されてもよい。例えば、図1に示す様に、「蒸留缶」と
して選択された反応缶1と、コンデンサ3とを、所定の
精留塔(補助な蒸留缶と考えてもよい。)2を挟んで、
間接的に接続することもできる。尚、これらの点に関し
ては、上記第1及び2発明を実施する場合も同様であ
る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。 (1)製造装置の概要 本製造装置は、図1に示す様に、反応缶1と、精留塔2
と、凝縮器3と、真空発生装置5とを備える。また、反
応缶1及び精留塔2は、所定の管Y1 を用いて接続され
ている。更に、精留塔2及び凝縮器3も、所定の管Y2
を用いて接続され、真空発生装置5及び凝縮器3も、所
定の管Y3 を用いて接続されている。従って、反応缶1
と、真空発生装置5とは、精留塔2及び凝縮器3を中間
に挟んだ状態で接続されている。
【0021】上記反応缶1(容量;5m3 )では、アク
リル酸、2−エチルヘキシルアルコール、触媒及び共沸
剤等を用いて、エステル化反応が行われる。また、この
反応缶1の内部には、所定の熱源(ヒータ等)11が配
置されており、この熱源11の発する熱を利用して蒸留
が行われる。そして、共沸剤、反応缶1で生成されるア
クリル酸2−エチルヘキシル及び水の蒸気並びに未反応
のアクリル酸及び2−エチルヘキシルアルコール等の蒸
気が、精留塔2へと送られる。
【0022】この精留塔2では、減圧蒸留を行うことに
より、アクリル酸2−エチルヘキシルの蒸気から、アク
リル酸、2−エチルヘキシルアルコール、共沸剤及び水
を留去する。そして、留去されるアクリル酸、2−エチ
ルヘキシルアルコール及び共沸剤の蒸気は、凝縮器3に
送られ、凝縮され、回収される。一方、精留塔2内に残
るアクリル酸2−エチルヘキシルは、所定の還流管Y4
を用いて、反応缶1に戻される。そして、反応缶1に後
続する製品回収工程の側へと所定の管Y5 を用いて送ら
れる。
【0023】上記凝縮器(コンデンサ)3は、精留塔2
からのアクリル酸及び2−エチルヘキシルアルコール及
び共沸剤の蒸気を液化する。そして、この液体を所定の
管Y6 を用いて、系外に導いて回収する。この様に、こ
の凝縮器3が、真空発生装置5の前段で、アクリル酸2
−エチルヘキシルアルコール及び共沸剤の蒸気を液化す
るため、真空発生装置5が、このアクリル酸2−エチル
ヘキシルアルコール及び共沸剤の蒸気を吸引すること
が、極力防止される。従って、真空発生装置5は効率的
に、反応缶1、精留塔2等の減圧を行う。
【0024】上記真空発生装置5は、2段ブースタ式4
段スチーム形式のスチームエゼクターである。即ち、こ
の装置5は、4つのエゼクター(E1 〜E4 )を備える
が、前方に並ぶ2つのエゼクターE1 及びE2 は、いず
れもブースターエゼクターである。また、前方から2番
目のエゼクターE2 と3番目のエゼクターE3 の間、及
び3番目のエゼクターE3 と4番目のエゼクターE4
の間には、各々中間コンデンサC1 、C2 が配置されて
いる。これらのエゼクターE1 〜E4 は、図2に示す様
な構造とされ、駆動蒸気入口81より駆動蒸気(通常
1.5〜15kg/cm2 Gの圧力の蒸気を使用)S1
を吸引し、末広がりのノズル82より噴出させる。
【0025】そして、この駆動蒸気S1 は、ノズル82
の喉部821を通過するときに限界速度となる。更に、
この駆動蒸気S1 は、ノズル82の末広がり部822を
通過することで、圧力エネルギーを速度エネルギーに変
換し、超音速流となりながら吸入室83へと噴出する。
このとき、超音速流とされた駆動蒸気S1 は、吸入室8
3内のガスGを巻き込み、これと混合しながら、ディフ
ユーザ85の最細部851を高速のまま通過し、ディフ
ユーザ85の喉部852を通過するときに衝撃波を形成
する。このとき、各エゼクターE1 〜E4 の前段側より
到達した蒸気S2 も、吸入口86を通じて吸入室83に
導かれ、超音速流とされた駆動蒸気S1に巻き込まれ、
これと挙動を共にする。
【0026】そして、この衝撃波を形成することで、駆
動蒸気S1 の圧力が急激に上昇し、ディフユーザ85の
末広がり部853を通過する間に、この駆動蒸気S1
持っていた速度エネルギーを圧力エネルギーに変換して
行く。この駆動蒸気S1 は、上記ガスG及び蒸気S2
共に、吐出口87より各エゼクターE1 〜E4 の外部へ
と排出されることとなる。この結果、各エゼクターE1
〜E4 が、前段側(精留塔2の側)から、ガス等を吸引
することとなる。尚、本真空発生装置5が、4つのエゼ
クターE1 〜E4 を備えるのは、10〜150Torr
に減圧するために、複数のエゼクターを用いることが必
要であるからである。
【0027】尚、本実施の形態では、スチームエゼクタ
ーを用いているが、水エゼクターを用いてもよい。ま
た、エゼクターE1 〜E4 の段数、ブースターエゼクタ
ーE1、E2 の数等は、目的に応じて適宜、選択でき
る。例えば、2段ブースタ式3段エゼクタ形式、3段ブ
ースタ式4段エゼクタ形式、2段ブースタ式4段エゼク
タ形式等としてもよい。また、各中間コンデンサC1
2 は、エゼクターの駆動蒸気を液化して排出し、後続
するエゼクター(例えば、コンデンサC1 に後続するエ
ゼクターE3 )に、エゼクターE1 及びE2 の駆動蒸気
1 が吸入されるのを防止する。即ち、エゼクターE3
における駆動蒸気S1 の消費量の低減を図ることを主目
的に用いられる。尚、本形態では、これらの中間コンデ
ンサC1 、C2 として、バロメトリックコンデンサを用
いている。このため、各中間コンデンサC1 、C2 にお
ける凝縮及び冷却の効率が高く、機内の圧力損失が小さ
い。また、分解、点検も容易である。但し、各中間コン
デンサC1 、C2 の形式は、これに限定されるものでは
ない。また、各コンデンサC1 、C2 の数は、本形態に
示すものに限定されない。
【0028】(2)性能試験 以上のように構成される製造装置の性能を評価するため
に、以下に述べる「実施試験」及び「比較試験」を行っ
た。 実施試験 本試験は、上記製造装置を以下の条件で稼働させ、アク
リル酸2エチルヘキシルを製造したものである。即ち、
上記反応缶1に、アクリル酸2−エチルヘキシル90容
量部と、アクリル酸ブチル10容量部と、0.5%(重
量比)のフェノチアジン/アクリル酸2−エチルヘキシ
ル溶液1容量部と、空気30容量部とを連続的に供給し
た。
【0029】これと同時に、真空発生装置5及び凝縮器
3稼働させ、精留塔2及び反応缶1の内部を減圧しなが
ら蒸留を行った。このとき、凝縮器3から、アクリル酸
ブチル10容量部と、アクリル酸2−エチルヘキシル1
0容量部とを回収した。また、各エゼクターE1 〜E4
からは、アクリル酸ブチル及びアクリル酸2−エチルヘ
キシルを0.05%の割合(重量比)で含む排出水が系
外へと導かれた。但し、この排出水に対し単蒸留等を施
せば、この排出水中の有効成分(アクリル酸ブチル及び
アクリル酸2−エチルヘキシル)を回収できる。更に、
反応缶1の底部から80容量部のアクリル酸2−エチル
ヘキシル(純度:99.7%)が、後続する製品回収工
程の側へと導かれた。尚、この試験中に、精留塔2の塔
頂圧は50Torrを示していた。
【0030】比較試験 真空発生装置として、ルーツ型乾式ポンプを用いたこ
と、爆鳴気の形成防止のため、このポンプのサクション
側に、120容量部の窒素を連続供給したこと以外は、
「実施試験」と同様な試験を行った。
【0031】(3)性能評価 上記「比較試験」では、操業開始後10日間で、真空ポ
ンプの可動部に、アクリル酸ブチルの凝縮重合物を噛み
込み、ポンプの運転が不能となった。これに対し、「実
施試験」では、操業開始後100日間が経過しても、全
く問題無く、順調に操業を継続できた。この様に、スチ
ームエゼクターを用いた場合、長期間の連続運転が可能
となる。従って、アクリル酸2エチルヘキシルの製造効
率を大きく向上させられる。
【0032】また、実施試験の場合には、上記「メタル
タッチ」を無くすことができるため、アクリル酸2−エ
チルヘキシルの製造を安全に行うことができる。更に、
実施試験の場合、「比較試験」に示す「不活性ガスの供
給」を行う必要がないため、アクリル酸2−エチルヘキ
シルの製造コストの低廉化が図られる。また、各エゼク
ターE1 〜E4 内をスチームが常時流れ、アクリル酸2
−エチルヘキシル等が滞留し難いため、真空発生装置5
を比較的、安価な素材(例えば、「SUS304」)で
作製するれば足り、アクリル酸2−エチルヘキシルの製
造コストが低く抑えられる。
【0033】尚、本発明においては、上記具体的な実施
の形態に示すもに限らず、目的、用途に応じて本発明の
範囲内で種々変更した別の実施の形態、変形的な形態、
別の実施例、変形例とすることができる。即ち、図3に
示す様に、アクリル酸2−エチルヘキシルの製造過程
で、実施の形態で例示した「反応工程に付随する蒸留工
程」以外に、他の蒸留工程(第2蒸留工程等)を実施す
る場合には、これらの他の蒸留工程においても、上記第
1、第4発明を適用できる。例えば、反応工程の下流側
にある「製品回収工程」に付随した「製品回収用蒸留工
程」等の様に、低圧において行うことが望ましい他の蒸
留工程に対しても、上記第1、第4発明を適用できる。
また、アクリル酸2−エチルヘキシルの製造過程で実施
される全蒸留工程から選ばれる2以上の蒸留工程におい
て、上記第1〜第4発明を適用してもよい。更に、上記
「反応工程に付随する蒸留工程」には、上記第1〜第4
発明を適用せずに、上記「他の蒸留工程」から選ばれる
1以上の蒸留工程に対して上記第1、第4発明を適用し
てもよい。
【0034】また、本実施試験では、アクリル酸2−エ
チルヘキシルの製造工程を述べたが、その他のアクリル
酸エステル(例えば、アクリル酸ブチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸メチル等)や、メタクリル酸エステル
の製造工程にも適用できる。更に、本実施の形態では、
中間コンデンサC1 、C2 として、バロメトリックコン
デンサを用いたが、サーフェスコンデンサ等の他の形式
のコンデンサを用いてもよい。このサーフェスコンデン
サを用いる合には、冷却水が吸入気体で汚されることが
ないため、冷却水の循環使用が可能であると共に、凝縮
液を容易に回収することができる。
【0035】
【発明の効果】以上の様に、本第1発明の精製方法、本
第2、第3発明の製造方法及び第4発明の製造装置によ
れば、(メタ)アクリル酸エステルを、効率的、且つ安
全に、しかも安価に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態で示した製造装置の一部を示
す説明図である。
【図2】発明の実施の形態で示した製造装置が備えるエ
ゼクターの概略的な縦断面図である。
【図3】発明の実施の形態の変形的な形態を説明するた
めの説明図である。
【符号の説明】
1;反応缶、11;熱源、2;精留塔、3;凝縮器、
5;真空発生装置、E1〜E4 ;エゼクター、81;駆
動蒸気入口、82;ノズル、821;喉部、822;末
広がり部、83;吸入室、85;ディフユーザ、85
1;最細部、852;喉部、853;末広がり部、8
6;吸入口、87;吐出口、C1 、C2 ;中間コンデン
サ、Y1 〜Y6 ;管、S1 ;駆動蒸気、G;ガス、
2 ;蒸気。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (メタ)アクリル酸エステルを含有する
    混合物を減圧蒸留するに際して、スチームエゼクター又
    は水エゼクターを用いて減圧することを特徴とする(メ
    タ)アクリル酸エステルの精製方法。
  2. 【請求項2】 アクリル酸若しくはメタクリル酸とアル
    コールとを反応させ、生成されるアクリル酸エステル若
    しくはメタクリル酸エステルを減圧蒸留により精製して
    (メタ)アクリル酸エステルを製造する方法において、 上記アクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステル
    (a)、及びこれよりも低沸点の低沸物(b)の少なく
    とも一方を留去するに際して、スチームエゼクター又は
    水エゼクターを用いて減圧することを特徴とする(メ
    タ)アクリル酸エステルの製造方法。
  3. 【請求項3】 上記アルコールはブチルアルコール又は
    2−エチルヘキシルアルコールであり、上記スチームエ
    ゼクター又は上記水エゼクターの段数は2〜5段であ
    り、10〜150Torrに減圧することを特徴とする
    請求項2記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 アクリル酸若しくはメタクリル酸とアル
    コールとを反応させ、生成されるアクリル酸エステル若
    しくはメタクリル酸エステルを減圧蒸留により精製して
    (メタ)アクリル酸エステルを製造する装置において、 生成されるアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エ
    ステル(a)、及びこれよりも低沸点の低沸物(b)の
    少なくとも一方の留去が行われる蒸留缶と、 該蒸留缶に接続され、且つ該蒸留缶で発生する蒸気を液
    化するコンデンサと、 該コンデンサに接続され、上記蒸留缶を減圧する多段型
    スチームエゼクター又は多段型水エゼクターと、を備え
    ることを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造
    装置。
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