JPH1020305A - 反射型液晶表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 暗状態の時に入射する円偏光もしくは楕円偏
光は、偏光板９によって遮断されて液晶表示装置より外
へは出射してこない。しかし、偏光板９の偏光特性の不
完全さに起因する漏れ光が存在し、良好なコントラスト
比を得る妨げになっている。 【解決手段】 反射板に偏光特性をもたせ、反射板に入
射する円偏光または楕円偏光を反射しない。偏光板の偏
光特性の不完全さに起因する漏れ光のない、表示品位が
格段に向上した反射型液晶表示装置を提供することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、入射した光を反
射板で反射することによって表示を行う反射型液晶表示
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】反射型液晶表示装置においては、周囲光
をどれだけ有効に活用できるかと云うことが、重要な性
能となる。現在、電卓、ノート型パーソナルコンピュー
タ等で一般に用いられている表示モードは、２枚の偏光
板と反射板を組み合わせたツイステッドネマチック方
式、もしくは２枚の偏光板と反射板の他に光学異方性を
もつフィルム等を組み合わせたスーパーツイステッドネ
マチック方式である。

【０００３】ところが、このような偏光板を２枚用いる
方式では、入射光が反射板で反射して得られる円偏光も
しくは楕円偏光である反射光の一方の直線偏光成分と、
この直線偏光成分に直交する方向の直線偏光成分との、
いずれか一方の直線偏光成分を、偏光板で遮断すること
となる。これにより、該偏光板による光の損失が大きい
ため、明るい表示状態が得られないという課題を有して
いる。

【０００４】そこで偏光板を用いない表示方式として２
色性色素と液晶を組み合わせたホワイトテーラ型の表示
方式を用いた反射型液晶表示装置が提案されている。し
かしながら、この表示方式は液晶のコレステリック−ネ
マチック相転移を基本としているため、液晶に印加され
る駆動電圧が飽和電圧に達するまでの途中の電圧で液晶
中にドメインが形成され、このドメインによって光散乱
を起こすために、階調表示が困難となっている。

【０００５】階調表示が可能でしかも明るい表示が得ら
れる表示方式として、偏光を１枚だけ用いた電界制御複
屈折方式（中村ほか、第１８回液晶討論会３Ｄ１１０）
が提案されている。この表示方式の動作原理を図２を用
いて説明する。図２の液晶表示装置は、偏光板９、光学
異方体である高分子フィルム（位相差板）１１、液晶層
４、及び反射板１０から構成されている。なお、本明細
書では着色防止用の光学異方体である高分子フィルム
（位相差板）をＲＣＦ（Ｒｅｔａｒｄａｔｉｏｎ Ｃｏ
ｍｐｅｎｓａｔｉｏｎ Ｆｉｌｍ）と呼ぶ。図２（１）
に示す暗状態では、液晶層４とＲＣＦ１１を組み合わせ
たときの見かけ上のレターデーション△ｎ・ｄがλ／４
条件となっている。ここで、入射光Ａ１は偏光板９で直
線偏光となり、ＲＣＦ１１、液晶層４を通過後、円偏光
Ａ２となる。更に、反射板１０による反射によって逆回
りの円偏光Ａ３となり、液晶層４、ＲＣＦ１１通過後、
入射したときの直線偏光方向とは９０°回転した状態の
直線偏光となり、偏光板９で光が遮断される。

【０００６】一方、図２（２）に示される明状態では、
前記見かけ上のレターデーション△ｎ・ｄが０となって
いるため、入射した前記直線偏光は、反射板１０による
反射後も偏光状態が変化せず、反射光は偏光板９を通過
する。このようにして電界制御複屈折方式は、表示を実
現することができる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】この表示方式に用いら
れる反射板では、明状態の時に入射する直線偏光は反射
しても直線偏光として保持され、液晶層４、ＲＣＦ１
１、偏光板９を通過して液晶表示装置より出射してく
る。また、暗状態の時に入射する円偏光もしくは楕円偏
光は、最終的に偏光板９によって遮断されて液晶表示装
置より外へは出射してこない。しかし、偏光板９の偏光
特性は一般に完全ではないので、偏光板９の偏光特性の
不完全さに起因する漏れ光が存在し、良好なコントラス
ト比を得る妨げになっている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の反射型液晶表示
装置は、反射板に偏光特性をもたせ、明状態の時に反射
板に入射する直線偏光を直線偏光として反射し、暗状態
の時に反射板に入射する円偏光または楕円偏光を反射し
ない反射板を用いる。偏光板の偏光特性の不完全さに起
因する漏れ光のない、表示品位が格段に向上した反射型
液晶表示装置を提供することができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下に本発明の実施例を、図面に
基づいて具体的に説明する。 （実施例１）図１は本発明の反射型液晶表示装置の構成
を示す断面図である。この反射型液晶表示装置は、上下
一対のガラス基板１、２を用いて構成されており、所定
の間隔を介してシール材３により互いに接合されてい
る。この間隙には正の誘電異方性を有する高度にツイス
トされたネマチック液晶４が保持されている。上側のガ
ラス基板１の内表面には透明電極５及び配向膜６が形成
されている。透明電極５は、例えば行方向に沿ってスト
ライプ状にパターニングされている。配向膜６は例えば
ポリイミド等からなり所定方向にラビングされた配向面
を構成する。下側のガラス基板２の内表面にも透明電極
７及び配向膜８が形成されている。透明電極７は例えば
列方向に沿ってストライプ状にパターニングされてい
る。配向膜８は同じくポリイミド等からなり所定方向に
ラビングされた配向面を構成する。

【００１０】これにより、単純マトリクス型の液晶セル
が得られる。この液晶セルの上側に偏光板９を置く。上
側ガラス基板１と偏光板９の間にはＲＣＦ１１が介在し
ている場合がある。この液晶セルの下側に反射板１０を
置く。反射板１０の表面は、ヘアライン加工されてお
り、細かな溝が特定の方向にのみ形成されている。

【００１１】ここでは、液晶セルのツイスト角は２４０
°で、レターデーションは８５０ｎｍとした。偏光板９
の透過軸を１０°とした。なお角度は向かって右側、い
わゆる３時方向を０°として反時計方向にプラス、時計
方向にマイナスとして定義した。ＲＣＦ１１の光学軸は
５５°で、レターデーションは４４０ｎｍとした。反射
板１０のヘアラインの方向は１７０°とした。コントラ
スト比の大きく、表示品質の良好な反射型液晶表示装置
が得られた。

【００１２】（実施例２）実施例１と同様の構成で、液
晶セルのツイスト角は２４０°で、レターデーションは
７００ｎｍとした。偏光板９の透過軸を９０°とした。
ＲＣＦ１１の光学軸は４５°で、レターデーションは７
０ｎｍとした。反射板１０のヘアラインの方向は０°と
した。コントラスト比の大きく、表示品質の良好な反射
型液晶表示装置が得られた。

【００１３】（実施例３）実施例１と同様の構成で、液
晶セルのツイスト角は２４０°で、レターデーションは
６００ｎｍとした。偏光板９の透過軸を９０°とした。
ＲＣＦ１１の光学軸は３０°で、レターデーションは７
０ｎｍとした。反射板１０のヘアラインの方向は０°と
した。コントラスト比の大きく、表示品質の良好な反射
型液晶表示装置が得られた。

【００１４】（実施例４）実施例１と同様の構成で、液
晶セルのツイスト角は２４０°で、レターデーションは
５００ｎｍとした。偏光板９の透過軸を９０°とした。
ＲＣＦ１１の光学軸は２０°で、レターデーションは７
０ｎｍとした。反射板１０のヘアラインの方向は０°と
した。コントラスト比の大きく、表示品質の良好な反射
型液晶表示装置が得られた。

【００１５】（実施例５）実施例１と同様で、ＲＣＦの
無い構成とした。液晶セルのツイスト角は２４０°で、
レターデーションは７００ｎｍとした。偏光板９の透過
軸を７５°とした。反射板１０のヘアラインの方向は０
°とした。コントラスト比の大きく、表示品質の良好な
反射型液晶表示装置が得られた。

【００１６】（実施例６）実施例５と同様の構成とし
た。液晶セルのツイスト角は２４０°で、レターデーシ
ョンは６００ｎｍとした。偏光板９の透過軸を８０°と
した。 反射板１０のヘアラインの方向は０°とした。
コントラスト比の大きく、表示品質の良好な反射型液晶
表示装置が得られた。

【００１７】（実施例７）実施例５と同様の構成とし
た。液晶セルのツイスト角は２４０°で、レターデーシ
ョンは５００ｎｍとした。偏光板９の透過軸を８０°と
した。 反射板１０のヘアラインの方向は０°とした。
コントラスト比の大きく、表示品質の良好な反射型液晶
表示装置が得られた。

【００１８】なおここでは反射板１０が液晶セルの下側
にある実施例のみ説明したが、反射板が下側ガラス基板
２の内表面にあり、その上に絶縁膜を形成し透明電極７
及び配向膜８を形成する場合、また、単独の反射板を設
けず下側基板の内表面に透明電極に代えて反射板兼用の
金属電極を形成する場合でも良い。

【００１９】

【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、入
射した光を反射板で反射することによって表示を行う反
射型液晶表示装置において、コントラスト比の大きく、
表示品質の良好な反射型液晶表示装置を実現することが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の反射型液晶表示装置の構成を示す断面
図である。

【図２】従来の反射型液晶表示装置の一例を示す模式図
である。

【符号の説明】

１ 上側ガラス基板 ２ 下側ガラス基板 ４ 液晶 ５、７ 透明電極 ６、８ 配向膜 ９ 偏光板 １０ 反射板 １１ 光学異方体である高分子フィルム（位相差
板）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 海老原 照夫 千葉県千葉市美浜区中瀬１丁目８番地 セ イコー電子工業株式会社内 (72)発明者 千本松 茂 千葉県千葉市美浜区中瀬１丁目８番地 セ イコー電子工業株式会社内 (72)発明者 谷口 香 千葉県千葉市美浜区中瀬１丁目８番地 セ イコー電子工業株式会社内

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 入射した光を反射板で反射することによ
   って表示を行う反射型液晶表示装置において、反射板に
   細かな溝が形成されていることを特徴とする反射型液晶
   表示装置
2. 【請求項２】 前記反射板の細かな溝はヘアライン加工
   による溝であることを特徴とする請求項１記載の反射型
   液晶表示装置
3. 【請求項３】 着色防止用の光学異方体を有することを
   特徴とする請求項１記載の反射型液晶表示装置
4. 【請求項４】 前記着色防止用の光学異方体の設置角度
   は２０°から５５°の範囲であることを特徴とする請求
   項３記載の反射型液晶表示装置
5. 【請求項５】 液晶セルのレターデーションが５００ｎ
   ｍから７００ｎｍの範囲にあることを特徴とする請求項
   １記載の反射型液晶表示装置