JPH10195659A - 薄膜の製造方法及び製造装置 - Google Patents

薄膜の製造方法及び製造装置

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JPH10195659A
JPH10195659A JP9310409A JP31040997A JPH10195659A JP H10195659 A JPH10195659 A JP H10195659A JP 9310409 A JP9310409 A JP 9310409A JP 31040997 A JP31040997 A JP 31040997A JP H10195659 A JPH10195659 A JP H10195659A
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JP
Japan
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thin film
raw material
gas
metal
vaporizer
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Application number
JP9310409A
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English (en)
Inventor
Masahiro Kiyotoshi
正弘 清利
Kazuhiro Eguchi
和弘 江口
Katsuaki Natori
克晃 名取
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液相供給法を用いてCVD法で金属酸化物薄
膜を成膜する場合に、気化器中の残渣発生に起因する悪
影響をなくして安定な使用を可能とする。 【解決手段】 反応容器内に配置された被処理基体上に
金属酸化物薄膜を成長形成する薄膜の製造装置におい
て、BST原料をTHFに溶解させた液体原料を格納す
る原料容器100と、原料容器100からの液体原料を
搬送する原料搬送用ポンプ110と、このポンプ110
により搬送された液体原料を高温部で気化させる気化器
120と、この気化器120により気化されたガスが導
入されて金属酸化物薄膜の成長に供される反応容器14
0と、気化器120にBST原料を含まないTHFを搬
送して気化器120を洗浄する洗浄用ポンプ115とを
具備してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜の製造技術に
係わり、特に液体原料を気化させて用いるCVD法によ
り薄膜を堆積する薄膜の製造方法及び製造装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】電子デバイスのサイズが小さくなってい
くことに伴い、電子デバイスの機能を単に回路構成のみ
で達成するのではなく、材料自体の特性を利用できる機
能性薄膜を用いることが有利になってきている。
【0003】例えば、トランジスタの組み合わせで情報
の記憶動作を行うSRAM(StaticRandom Access read
write Memory),EEPROM(Electrically Erasab
leand Programmable Read Only Memory )、或いはトラ
ンジスタとキャパシタの組み合わせで情報の記憶動作を
行うDRAM(Dynamic Random Access Memory),FR
AM(Ferroelectric Random Access read write Memor
y )などの集積回路を従来のMOSトランジスタとMO
Sキャパシタで実現することは、これらの素子のセル面
積が縮小されていくなかで非常に困難なものになってい
る。
【0004】特に、キャパシタは集積回路の最小加工寸
法が小さくなってもS/N比を低下させないために一定
のキャパシタ容量を確保し続けていく必要があり、キャ
パシタ誘電体膜としてシリコン酸化膜やシリコン窒化膜
/シリコン酸化膜積層膜(NO膜)等よりも高い誘電率
を発現する機能性材料の採用が検討されるようになって
きている。
【0005】ペロブスカイト結晶構造を有するBax
1-x TiO3 (BST)やPbZrx Ti1-x
3 (PZT)などは、室温で数百以上の誘電率を発現す
るためにキャパシタ誘電体膜として有望である。高
(強)誘電体膜を用いて集積度の高い半導体集積回路の
キャパシタを形成する上で、高(強)誘電体の成膜技術
としては化学的気相成長法(CVD法)が適している。
即ち、CVD法は組成の精密制御性,プロセスの再現
性,及び優れた段差被覆性が得られるので、電子デバイ
スの信頼性が大幅に向上するなどの利点がある。
【0006】ところが、SrやBaなどのアルカリ土類
金属には高い蒸気圧を持つ化合物が少なく、CVD原料
ガスの選定に問題があった。アルカリ土類金属のβジケ
トン錯体は比較的蒸気圧が高いのでCVD原料として用
いられているが、これらの原料は固体原料であり、昇華
によって得られた原料蒸気を搬送ガスを用いて送出する
ことによりCVD原料ガスとして用いている。この種の
CVD原料ガスは、熱的に不安定で昇華温度と原料の熱
分解による劣化が始まる温度との差が極めて小さいため
に(通常十数℃しかない)、原料温度を高くすると短期
的には原料の送出量が増大するものの、経時劣化が著し
い。また、原料温度を低くして用いれば原料の劣化は抑
制できるものの、充分な原料供給が実現できないという
問題がある。
【0007】このような原料の供給の問題を解決するた
めに、固体原料など高い蒸気圧を得ることが困難な原料
を有機溶剤等に溶解した液体原料として用いる液相供給
装置が使われるようになってきている(特開平6−15
8328号公報)。液相供給装置は図13(a)(b)
及び図14に示すように、単一又は複数の有機金属液体
原料容器、単一又は複数の液体用流量制御装置、単一の
気化器から構成されており、その動作原理は以下に記述
する。
【0008】液相供給装置では、複数の固体原料を単一
の有機溶剤に溶かして得られた液体原料、又は固体原料
を有機溶剤に溶かして得られた複数の有機金属液体原料
を混合して成る液体原料を、有機金属液体原料容器10
(又は11,12,13)に格納しておき、液体原料を
液体用流量制御装置20(又は21,22,23)で有
機金属液体原料を気化せしむるに適した温度に設定され
た気化器30と呼ばれる高温部に送り込み、搬送ガスと
混合して反応容器40に供給する。
【0009】ここで、液体用流量制御装置20として
は、液体マスフローコントローラ,ステップモータで駆
動されたピストンで液体流量が制御されるマイクロポン
プ等が用いられる。この方法は、供給系の大部分(気化
器30の上流側)を室温で使用できるために管理が容易
である、前述の固体原料の昇華を利用して搬送ガスによ
り送出する方法に比べて、10〜100倍の供給量が実
現できるなどの利点がある。
【0010】しかしながら、この種の装置にあっては次
のような問題があった。即ち、装置運用を続けていくと
液体原料を気化する気化器中に残渣が発生する。このよ
うな残渣が発生するために充分な膜組成の制御性,再現
性が確保できず、誘電体本来の性能が発揮できない、パ
ーティクルの発生で製品歩留まりが低下する、製造装置
のメインテナンスに多大の時間をかけなければいけない
等の問題があった。
【0011】また、特に微細な素子構造に化合物薄膜を
適用する場合、複雑な立体構造上への化合物薄膜の成膜
が要求される。このような立体構造上への成膜の要請に
合致する手法として、CVD反応を原料の分解が表面反
応律速条件となるような温度域で行うことがよく用いら
れる。表面反応律速条件下では原料の分解は表面温度に
強く依存し、表面に到達した原料の100%が分解する
わけではない。分解しなかった原料は基板表面を移動す
るため、基板表面に一様に化合物薄膜が形成されること
になる。ところが、反応律速条件下での成膜は極めて温
度に敏感なプロセスであるが、液相供給法を用いる場
合、原料を反応容器に導入する際に基板の温度が変動し
てしまい、精密な成膜の制御が困難であるという問題が
あった。
【0012】また、液体原料を搬送する配管は通常外気
に対して密閉されているが、原料を交換或いは補給する
場合、又は閉塞した気化器を交換或いは分解洗浄する場
合等には、配管系の一部或いは全部を大気解放する必要
があるために配管内の液体原料を抜き取る作業が必要に
なる。このような原料抜き取り作業のために通常、配管
の任意の部分を真空排気により原料を抜き取れる工夫が
なされている。図14に示した例では、配管を真空排気
するためのベントライン55,56,57が設けてあ
る。これには、化学的気相成長装置の原料供給配管(通
常気体原料が流れている)のパージ及至ベントには真空
排気を用いることが常道であるために真空排気が採用さ
れてきた経緯がある。
【0013】ところが、アルカリ土類金属の液体原料の
場合には、前述のように極めて気化温度の高い原料であ
るアルカリ土類金属のβジケトン錯体を比較的気化温度
の低い溶剤(例えば、頻繁に用いられるテトラハイドロ
フラン(C4 8 O)の場合66℃)に溶かしているた
めに、原料の交換又は部品のオーバーホール等の際に上
述の真空排気を用いて配管より液体原料を抜き取ろうと
した場合、液体原料の大部分は排出することができて
も、配管内面に付着した液体原料の一部については気化
温度の低い有機溶剤のみ選択的に気化してしまい、気化
温度の高い有機金属は配管内面に付着残存してしまう。
【0014】このように一旦配管内面に膜状に付着残留
した原料は、その後有機溶剤等を流しても完全に除去す
ることは非常に困難であり、やむを得ず有機金属が付着
残留した状態で配管を大気解放した場合、しばしば配管
中に残留した有機金属原料が大気中の空気又は水分と反
応して劣化してしまい、難気化性又は難溶解性の残留物
を生成してしまうという問題があった。
【0015】液相供給の運用の際に液体原料の補給交換
は避けられないが、液体原料の補給の際に配管内に劣化
した有機金属を生成付着させてしまうと、この劣化した
原料が成膜時の原料輸送の際に気化器まで輸送される。
劣化した原料、例えばアルカリ土類金属の場合アルカリ
土類金属の炭酸塩は難気化性の物質であり、300℃ま
で昇温できる超高温の気化器をもってしても気化させる
ことは困難であり、結局は気化器の閉塞を招くことにな
る。また、劣化した原料は例え気化できた場合にも所望
のCVDの反応形態と異なる反応を引き起こし、薄膜の
異常成長、或いは発塵等による素子特性の劣化を引き起
こすことになる。
【0016】このような残留物が発生すると、液体原料
全体の劣化を招き素子特性の劣化にもつながる他に、配
管や気化器の詰まりが発生し頻繁な製造装置のメンテナ
ンスを要求され、しかもそのメンテナンスが新たな残留
物の発生を引き起こしてしまう。
【0017】また、CVDにおいては一般に、スパッタ
等の成膜方法に比べて成膜速度が低いという問題があ
る。これは、充分に高い有機金属濃度を反応容器内で実
現することが困難であることによっている。本発明の対
象である液体原料供給装置は高い有機金属濃度を実現す
るための一つの解答ではあるが、以下に記述するような
限界を持っている。即ち、有機金属を溶剤に溶かして液
体原料として供給する場合、反応容器内の有機金属の分
圧PMOは有機金属の濃度をC[mol/l]とすると以
下の値を越えることはない。
【0018】PMO=P×C/[1000×G/m] 但し、Pは反応容器内の全圧、Gは有機溶剤の比重、m
は有機溶剤の分子量である。
【0019】これは、反応器内の有機金属の分圧は液体
原料の気化した蒸気のみで反応容器内を満たした時に最
大になるからである。従って、液体原料供給装置を用い
て更に反応容器内の有機金属の分圧を高くするには、有
機金属の濃度Cを高くする以外に方法はない。ところ
が、有機金属濃度Cは有機金属の溶剤に対する溶解度ま
でしか高くすることができないという問題があった。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】このように従来、液相
供給法を利用しCVD法で金属薄膜や金属化合物薄膜を
製造する方法では、高い成膜速度と有機金属液体原料容
器に保管されている原料の経時劣化が生じないなどの利
点が得られるものの、装置運用を続けていくと気化器中
に残渣が発生し、膜組成の制御性,再現性が確保でき
ず、安定的な使用が困難であるという問題があった。ま
た、従来の液相供給法では反応容器内に有機金属原料ガ
スを切り換えた際に基板温度が変動するために、精密な
膜成長制御ができないという問題があった。
【0021】また、従来の液相供給法では、原料の交
換,部品の交換等に伴う配管の一部又は全部の大気解放
に際して、配管内に残留した原料等に起因する付着物が
劣化して難気化性又は難溶解性の物質に変化し、気化器
等の閉塞をもたらすことにより安定な成膜が阻害される
問題があった。
【0022】本発明は、上記事情を考慮して成されたも
ので、その目的とするところは、液相供給法を用いてC
VD法で金属薄膜や金属化合物を成膜する場合に、気化
器中の残渣発生に起因する悪影響をなくすことができ、
安定な使用を可能とした薄膜の製造方法及び製造装置を
提供することにある。
【0023】また、本発明の他の目的は、液相供給法を
用いてCVD法で金属薄膜や金属化合物薄膜を成膜する
場合に、基板温度の変化に起因する悪影響をなくすこと
ができ、精密な膜成長制御を可能とした薄膜の製造方法
及び製造装置を提供することにある。
【0024】また、本発明の更に他の目的は、原料の交
換,部品の交換等に伴う配管の一部又は全部の大気解放
に際して、配管内の液体原料を確実に洗浄除去すること
ができ、残留原料等に起因する弊害を無くすことができ
る薄膜の製造方法及び製造装置を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
(構成)上記課題を解決するために本発明は、次のよう
な構成を採用している。
【0026】即ち、本発明(請求項1)は、有機金属又
は有機金属を有機溶剤に溶かした液体原料を気化器によ
り気化させて反応容器内に導入し、該容器内に配置され
た被処理基体上に金属薄膜又は金属化合物薄膜を成長形
成する薄膜の製造方法において、前記薄膜の成長時以外
の任意の時に、前記気化器に有機金属を含まない有機溶
剤を搬送して該気化器を洗浄することを特徴とする。
【0027】また、本発明(請求項2)は、反応容器内
に配置された被処理基体上に金属薄膜又は金属化合物薄
膜を成長形成する薄膜の製造装置において、有機金属又
は有機金属を有機溶剤に溶かした液体原料を搬送する原
料搬送用ポンプと、このポンプにより搬送された液体原
料を高温部で気化させる気化器と、この気化器により気
化されたガスが導入されて金属薄膜又は金属化合物薄膜
の成長に供される反応容器と、前記気化器に有機金属を
含まない有機溶剤を搬送して該気化器を洗浄する洗浄用
ポンプとを具備してなることを特徴とする。
【0028】ここで、本発明の望ましい実施態様として
は次のものがあげられる。
【0029】(1) 液体原料は有機金属を有機溶剤に溶か
したものであり、洗浄用ポンプは該液体原料中の有機溶
剤と同じ溶剤を搬送すること。
【0030】(2) 気化器の洗浄を、成膜終了毎に行うこ
と。
【0031】(3) 気化器の洗浄を、1日毎に成膜終了後
に行うこと。
【0032】また、本発明(請求項3)は、有機金属又
は有機金属を有機溶剤に溶かした液体原料を気化して得
られるガスを搬送ガスと混合して得られる反応ガスを反
応容器内に導入し、該容器内に配置された被処理基体上
に金属薄膜又は金属化合物薄膜を成長形成する薄膜の製
造方法において、薄膜の成長前に前記反応容器内に、前
記反応ガスと熱容量の差が10%以内の補償ガスを予め
流しておき、薄膜の成長開始時に前記反応容器内に、前
記補償ガスを前記反応ガスに切り替えて流すことを特徴
とする。
【0033】また、本発明は、反応容器内に配置された
被処理基体上に金属薄膜又は金属化合物薄膜を成長形成
する薄膜の製造装置において、前記薄膜の構成元素の有
機化合物液体原料又は該構成元素の有機化合物固体を有
機溶剤に溶かした液体原料を気化して得られるガスを搬
送ガスと混合して得られる反応ガスを供給する手段と、
前記反応ガスと熱容量の差が10%以内の補償ガスを供
給する手段と、前記反応ガスと補償ガスとの一方を選択
して前記反応容器内に導入し、所定の時期に反応ガスと
補償ガスとを切り替える手段とを具備してなることを特
徴とする。
【0034】ここで、本発明の望ましい実施態様として
は次のものがあげられる。
【0035】(1) 補償ガスを供給する機構として、有機
化合物固体の溶媒である有機溶剤を収納する容器と、該
容器から該有機溶剤を秤量輸送するポンプと、該有機溶
剤を気化する気化器とを用いること。
【0036】(2) 補償ガスを供給する機構として、有機
化合物固体の溶媒である有機溶剤を収納する容器と、該
容器から該有機溶剤をガス状態で輸送する気体流量制御
装置とを用いること。
【0037】(3) 反応容器内に導入するガスを、薄膜の
成長開始時に補償ガスから反応ガスに切り替え、成長終
了時に反応ガスから補償ガスに切り替えること。
【0038】また、本発明(請求項4)は、金属薄膜又
は金属化合物薄膜の構成元素の有機化合物液体原料又は
該構成元素の有機化合物固体を有機溶剤に溶かした液体
原料を気化して得られるガスを搬送ガスと混合して得ら
れる反応ガスを反応容器内に導入し、該容器内に配置さ
れた被処理基体上に金属薄膜又は金属化合物薄膜を成長
形成する薄膜の製造方法において、前記有機溶剤を気化
して得られる希釈ガスを前記反応容器内に供給する機構
を設け、前記反応容器内の該有機溶剤の分圧を一定に維
持することを特徴とする。
【0039】また、本発明(請求項5)は、反応容器内
に配置された被処理基体上に金属薄膜又は金属化合物薄
膜を堆積する薄膜の製造装置において、前記薄膜の構成
元素の有機化合物液体原料又は該構成元素の有機化合物
固体を有機溶剤に溶かした液体原料を気化して得られる
ガスを搬送ガスと混合して得られる反応ガスを反応容器
内に導入する手段と、前記有機溶剤を気化して得られる
希釈ガスを前記反応容器内に導入する手段と、前記反応
ガス及び希釈ガスの導入量の調整により前記反応容器内
の該有機溶剤の分圧を一定に維持する手段とを具備して
なることを特徴とする。
【0040】また、本発明(請求項6)は、有機金属又
は有機金属を溶剤に溶かした液体原料を気化器により気
化させて反応容器内に導入し、該容器内に配置された被
処理気体上に金属薄膜又は金属化合物薄膜を成長形成す
る薄膜の製造方法において、前記液体原料を搬送する搬
送経路を洗浄するために、前記薄膜の成長時以外の任意
の時に、前記搬送経路に加圧された気体又は液体を圧送
することにより、前記搬送経路の液体原料を排出するこ
とを特徴とする。
【0041】また、本発明(請求項7)は、有機金属又
は有機金属を溶剤に溶かした液体原料を気化器により気
化させて反応容器内に導入し、該容器内に配置された被
処理気体上に金属薄膜又は金属化合物薄膜を成長形成す
る薄膜の製造装置において、前記液体原料を搬送する搬
送経路を洗浄するために、前記液体原料を搬送する搬送
経路に加圧された気体又は液体を圧送する手段と、前記
搬送経路から排出される前記液体原料を回収する手段と
を具備してなることを特徴とする。
【0042】ここで、本発明の望ましい実施態様として
は次のものがあげられる。
【0043】(1) 搬送経路に供給する気体は、液体原料
を溶かした溶媒の蒸気圧以上の圧力を有すること。
【0044】(2) 搬送経路に供給する気体は、1気圧以
上の圧力を有すること。
【0045】(3) 液体原料を搬送するための配管、又は
原料容器及び配管を含む設置空間を所定温度に加熱する
機構を有すること。
【0046】(4) 搬送経路を洗浄するために、搬送経路
内に酸を含む洗浄液を導入する機構を有すること。
【0047】(5) 液体原料容器及び配管の温度を、液体
原料中の有機金属の濃度が該有機金属の溶剤に対する溶
解度よりも小さくなるように、室温よりも昇温した状態
に保持し、この状態で成膜を行うこと。
【0048】(作用) 〈請求項1,2〉本発明によれば、液体原料の気化器を
洗浄する機能を設けることにより、気化器中での有機金
属原料の劣化を防ぐことができ、良質な金属薄膜或いは
金属酸化物薄膜をCVD法で成膜することができるよう
になる。液相供給の運用で最も問題になるのは気化器中
での原料の分解による残渣の発生であり、原料の分解が
進行すると気化器のコンダクタンスが次第に低下し、最
終的には気化器が閉塞してしまう。また、気化器の閉塞
にまで至らなくても気化器のコンダクタンスが低下する
と、以下に示すような問題が生じる。
【0049】図6は、マイクロポンプ61,流体流量計
(liq MFM)62,気化器63,気体流量計(gas M
FM)64を直列につないだ実験装置である。この装置
を用い本発明者らが、マイクロポンプから送出される液
体原料流量(図中のliq MFM)と該液体原料流量が気
化器で気化されて得られた原料気体流量(図中のgasM
FM)とを計測した結果を、図7に示す。但し、気化器
を洗浄直後の特性と気化器を長期運用後の特性を併せて
示し、比較を容易にするために各流量はモル数に換算し
て示した。ここで、長期運用とは1日2時間の成膜を行
い1週間経過後の状態を指す。液体原料としては、チタ
ンイソプロポキシドをTHF(テトラヒドロフラン:C
4 8 O)に溶解した原料(濃度0.5 mol/l)を用
い、気化器温度を150℃に設定した。
【0050】図7(a)に示すように、気化器洗浄直後
では一様な液体原料流と気体原料流が実現されている。
しかし、図7(b)に示すように、長期使用後では液体
原料流はやはり一様であるが、気体原料流は平均すると
(図中点線を参照)洗浄後と同じ流量が流れているもの
の脈動を起こしていることが分る。このような脈動が起
こる原因は、以下のようなものである。一旦液体原料を
流して気化器を使用した後に気化器を停止しておくと、
気化器の高温部分には一定の容積があるためにこの高温
部分に残された液体原料は、まず揮発性の有機溶剤(こ
の場合THF)が気化してしまい、低揮発性の有機金属
が残留する。残留した有機金属は気化器の高温部分内で
徐々に分解を起こし、不揮発性の残渣を生成する。
【0051】このように、もともとコンダクタンスの低
い気化器内に残渣が形成されていくと、本来液体原料が
マイクロポンプから送出される圧力では気化器を液体原
料が潤滑に流動しなくなってしまう。一方、マイクロポ
ンプからは一定量の液体が送出されるので、気化器内の
液体の圧力は設定値以上に昇圧する。気化器のコンダク
タンス低下によって液体原料圧がある程度上昇すると、
コンダクタンスの低下した気化器の中を丁度閉まってい
た弁が開いたかのように液体原料が一気に流れて気化す
る。その結果、液体原料の圧力は本来の設定値以下に急
激に低下し気化器内を原料が流れにくくなる。このよう
な一連の機構により脈動が起こるのである。
【0052】図7(c)は、同様の設定で本発明の方法
を用いた場合について比較したものである。即ち、気化
器を洗浄する機構を設けて1日毎に成膜終了後に気化器
の洗浄を行った。ここで、気化器洗浄機構は本発明者ら
が考案したTHFの容器とTHFを昇圧供給するマイク
ロポンプとからなる。本発明の方法の採用により、長期
使用後にも安定した成膜が実現できていることが分る。
実際にSrTiO3 をSr(THD)2 ,TiO(TH
D)2 (THD=2,2,6,6,tetramethyl-3,5-he
ptanedionate:C11192 )をTHF(テトラヒドロ
フラン:C4 8 O)溶液に溶かして得られた有機金属
原料を用いて成膜を行ったが、1ヶ月間の連続使用後で
も安定した気化特性が得られた。
【0053】〈請求項3〜5〉さて、従来BSTのよう
な多元系の金属酸化物膜は組成の精密制御が容易な供給
律速条件で成膜を行うことが普通だったが、近年集積回
路の高集積化に伴って立体素子構造へ薄膜を段差被覆性
良く成長させることが要求されるようになっている。こ
のような要請に答えるべく、BSTのような多元系の金
属酸化物膜の場合にも表面反応律速条件で成膜すること
が試みられるようになっている。一方、表面反応律速条
件では成膜速度は成膜温度に強く依存するので、成膜速
度を一定に保持するには基板温度を一定に保持すること
が重要である。仮に、基板温度が変動すると多元系金属
酸化膜の場合、構成元素である各金属元素によって活性
化エネルギーが異なり堆積速度の温度依存性が異なるた
めに、膜組成が膜厚方向に変動してしまうことになり、
このような膜では最悪の場合には結晶化が不可能になっ
てしまうことも考えられる。
【0054】一般に、減圧CVD法では反応容器内の圧
力が変動すると、基板とヒータとの間の熱伝導条件が変
化するために基板温度が変動する。そのために一般の減
圧CVD法では、成膜の際の反応容器内の圧力の変動を
抑止するために、以下のようなシーケンスを採用してい
る。
【0055】即ち、反応容器内に気化器を流れる搬送ガ
スと液体原料を気化して得られる気体原料の流量(例え
ばTHFにSr(THD)2 が溶解してある場合、Sr
(THD)2 自体の圧力は反応容器圧力に対して無視し
得る程小さいので)、 (THF流量)×(THF比重)÷(THF分子量)
[モル量] の窒素又はアルゴンを反応容器中に流しておき、成膜を
開始するときにはそれまでベントラインに流しておいた
反応ガスと切り換えるという手法をとる。このような手
法は、従来のバブリング法でよく用いられてきた方法で
もある。
【0056】ところが、本発明者らが実際に前述の手法
によって成膜を試みた結果、原料を反応容器に導入開始
する際にやはり基板温度が変動することを発見した。本
発明者らが鋭意検討した結果、このような基板温度の変
動原因が明らかになった。即ち、前述のような補償ガス
を流すことにより反応容器内の圧力変動はなくなるが、
反応ガスと前述の不活性ガスとでは比熱が異なるために
等しい流量でも熱容量は等しくない。そのため、ヒータ
と基板との間の熱伝導の状態が反応ガスと補償ガスの切
り換えの前後で変化して基板温度が変動するのである。
【0057】そこで本発明者らは、原料中の有機溶剤と
熱容量が等しくなるように(熱容量の差が10%以内と
なるように)補償ガスの窒素流量を設定し、反応容器内
の圧力制御を行わずに(この条件では総ガス流量は一定
にならないのでガスの切り換えの前後で圧力を一定にで
きない)ガスの切り換えを行った結果、基板温度の変動
を十分に抑制することができるようになった。特に、反
応ガスと熱容量の差が10%以内の補償ガスを用いるこ
とにより、基板温度の変動を1℃未満に抑制することが
できた。
【0058】ここでは、反応ガスと熱容量のほぼ同じ窒
素ガスを補償ガスとして用いているが、液体原料と同じ
有機溶剤を補償ガスとして用いる方法も有効である。こ
の方法は、分解しやすい溶剤や原料との間で反応を起こ
す溶剤等を用いる場合に有効である。前述の少量のSr
(THD)2 を多量のTHFに溶かした液体原料の場合
では、流量の等しいTHFを補償ガスに用いることで、
反応ガスと補償ガスの切り換えを基板温度変動を引き起
こすことなく実現でき、反応容器内の圧力も一定に保つ
ことが可能である。一方、金属或いはシリコン酸化膜の
CVD法のように原料の有機化合物がもともと液体であ
り、有機溶剤を溶媒として用いることなく、直接有機化
合物(例えばCu(HFA)2 ,TEOS)を気化器で
気化して反応ガスとして用いる場合には、熱容量の等し
い任意のガスを補償ガスに用いればよい。
【0059】このように本発明によれば、良質な金属薄
膜や金属化合物薄膜を制御性良く、かつ再現性良く形成
することが可能になり、例えば本発明をBa0.5 Sr
0.5 TiO3 膜等の高誘電率薄膜製造に利用すれば、非
常に高い蓄積電荷密度を示す高(強)誘電体薄膜キャパ
シタを安定に製造できる。従って、DRAM,FRAM
などの記憶素子においても3次元素子構造に極薄膜を適
用することが可能になり、優れた半導体装置を実現する
ことが可能となる。
【0060】〈請求項6,7〉また本発明では、液体原
料を搬送する配管中の液体原料を1気圧以上に加圧され
た気体又は液体によって圧送する機構を設けることによ
り、配管内への原料起因の付着物の生成を抑制すること
ができる。また、液体原料を搬送する配管を有機金属の
有機溶剤に対する溶解度が有機金属の濃度より大きくな
る温度に保持できるように加熱する機構を設けることに
より、原料供給量の増大と配管の効果的な洗浄を可能に
することができる。
【0061】従って、原料補給,メンテナンス等に際し
て液体原料を搬送する配管系の一部又は全部を解放する
場合にも、配管部に除去しきれなかった有機金属原料が
付着残留することにより、大気と反応して劣化した原料
に起因する難気化性又は難溶解性の付着物が生成される
ことを防ぐことができ、バルブ,気化器等の閉塞を抑止
できる。その結果として良質な化合物薄膜、例えば高誘
電体膜をCVD法で安定に長期的に高速成膜することが
できる。そして、この高誘電体薄膜を半導体集積回路の
キャパシタ素子として用いれば、極めて蓄積電荷能力の
高いキャパシタを安定して製造することができ、集積度
の高い記憶素子を再現性良く製造することが可能とな
る。
【0062】さらに、本発明の洗浄処理により配管部に
有機金属原料が付着残留するのを防止できることから、
配管部を大気解放しても毒性のガスが大気放出されるこ
とはなく、これにより装置の安全性向上をはかることも
可能である。
【0063】なお、上記圧送を用いる方法では配管内へ
の有機金属の残留を極めて小さくすることができ、極め
て安定した薄膜の製造が可能になるが、有機金属原料を
搬送する配管内への劣化した有機金属原料の付着を完全
に抑制ではない場合もある。これは、成膜に用いる有機
金属原料自体が長期保管中に自己分析、或いは複数の分
子の会合を起こして有機溶剤に対する難溶解性の付着物
を生成することがあるからである。このような場合、配
管内に硝酸等の酸化力の強い酸を洗浄液として導入する
ことにより、配管内から完全に有機金属、特に前述した
原料の劣化に基づく付着物を除去することができる。
【0064】また、液体原料中の有機金属の濃度が該有
機金属の溶剤に対する溶解度よりも小さくなるように、
液体原料容器及び配管の温度を昇温することにより、反
応容器内の原料分圧を高くせしめることができ、これに
より反応律速条件を維持しながら高い成膜速度を実現す
ることができる。従って、優れた段差被覆性と高速の成
膜と高温での成膜による膜質の向上とを実現できる。
【0065】さらに、配管から原料を完全に抜き取る際
に有機金属原料を配管内より圧送除去した後に、改めて
配管内に洗浄用の有機溶剤を導入してから配管の温度を
上昇させることよより、残存した原料を完全に溶解しき
ることができる。改めて洗浄用の有機溶剤を圧送により
除去することで、配管の汚染を最小限に留めることがで
きる。
【0066】さらにまた、一般に配管を酸や水で洗浄を
行った場合、配管内への酸や水が残留して除去しきれな
いことが懸念されるが、本発明の加圧した圧送ガスによ
る洗浄液の排出、及び配管の加熱機構を併用すること
で、実用上支障がないレベルまで配管から酸や水を除去
乾燥できる。
【0067】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細を図示の実施
形態によって説明する。
【0068】(第1の実施形態)図1は、本発明の第1
の実施形態に係わる金属酸化物薄膜のCVD装置を示す
概略構成図である。
【0069】有機金属液体原料として、Ba(THD)
2 ,Sr(THD)2 ,TiO(THD)2 を適切な割
合で混合し、溶剤のTHFに溶解せしめた原料(以下B
ST原料)がステンレスの原料容器100内に格納され
ている。このBST原料は、マイクロポンプ110で秤
量,昇圧,輸送され、気化器120に導入される。
【0070】成膜のシーケンスは、以下の手順で行われ
る。BST原料はマイクロポンプ110で搬送され気化
器120で気化後、搬送ガスライン130より導入され
たアルゴンガス100sccmと混合されてベントライン1
39に流され整流される。ここで、BST原料流量は1
sccmである。また、1slm の酸素を反応容器140内に
予め流しておく。一方、ステンレス原料容器105に格
納されたTHFは、マイクロポンプ115で秤量,昇
圧,搬送され、気化器125に供給される。ここで、T
HF流量はBST原料と同じ1sccmである。気化器12
5で気化されたTHFは、搬送ガスライン135より導
入されたアルゴンガス100sccmと混合され、補償ガス
として反応容器140内に供給される。基板温度が安定
するのを待って(Ba,Sr)TiO3 膜の成膜を行
う。
【0071】成膜開始の際には、切り換え連動バルブ1
50,155により今までベントライン139に流して
いたBST原料ガスを反応容器140内に導入し、反応
容器140内に流していた補償ガスをベントライン13
9に流す。これによって、基板温度の変動を招くことな
く原料ガスを反応容器140内に導入することが可能に
なった。成膜を終了する時には、切り換え連動バルブ1
50,155により再度原料ガスと補償ガスを切り替え
ればよい。ここで本実施形態では、BST原料の溶剤と
してのTHFを補償ガスとして用いており、原料ガスと
補償ガスは熱容量がほぼ等しいものであるため、原料ガ
スと補償ガスとの切り替えにより基板温度の変動を招く
ことがないのである。
【0072】以上のシーケンスを繰り返して成膜を終了
した後には、以下のシーケンスで気化器120の洗浄を
行う。ステンレス原料容器105に格納されたTHFは
マイクロポンプ115で秤量,昇圧,搬送される。ここ
で、THF流量は1sccmである。加圧されたTHFは、
バルブ160,161を閉じ切り換えバルブ170を開
にすることによって気化器120に導入される。気化器
120の容積の3倍の流量のTHFを流した後、THF
の供給を停止し切り換えバルブ170を閉にし、気化器
120の温度を下げる。
【0073】このシーケンスにより、気化器120内に
残留している液体は、低温で揮発する熱的に安定な有機
溶剤と高温でしか気化せず熱的に不安定な有機金属の混
合物から、熱的に安定な有機溶剤に置き換えられたの
で、長期休止しても気化器120中の有機溶剤が単に気
化するだけで残渣の発生等は起こらないことが確認され
た。
【0074】このように本実施形態によれば、液相供給
法を用いてCVD法で金属酸化物薄膜を製造するに際
し、定期的に気化器120内にBSTを含まないTHF
を流して洗浄を行うことにより、気化器120内に残渣
が発生するのを防止することができる。このため、膜組
成の制御性,再現性を確保することができ、長期にわた
り装置を安定に使用できる。また、成膜開始時及び成膜
終了時に熱容量のほぼ等しい反応ガスと補償ガスを切り
替えるようにしているので、成膜開始時及び成膜終了時
における基板温度の変動を抑制することができ、精密な
膜成長制御が可能となる。
【0075】(第2の実施形態)図2は、本発明の第2
の実施形態に係わる金属酸化物薄膜のCVD装置を示す
概略構成図である。
【0076】有機金属液体原料として、Ba(THD)
2 ,Sr(THD)2 ,TiO(THD)2 をそれぞれ
溶剤のTHFに溶解せしめた原料(以下それぞれBa原
料,Sr原料,Ti原料と呼ぶことにする)がステンレ
スの原料容器201,202,203内にそれぞれ格納
されている。原料濃度はBa原料とSr原料が0.02
mol/l、Ti原料が0.5 mol/lである。これらの原料
は加圧されてミキシングマニフォールド280で1:
1:1の割合で混合されて(以下BST原料と呼ぶこと
にする)マイクロポンプ210で秤量,昇圧,輸送さ
れ、気化器220に導入される。
【0077】成膜のシーケンスは、以下の手順で行われ
る。BST原料はマイクロポンプ210で搬送され気化
器220で気化後、搬送ガスライン230より導入され
たアルゴンガス100sccmと混合された後、ベントライ
ン239に流されて整流される。ここで、BST原料流
量は1sccmである。また、1slm の酸素を反応容器24
0内に流しておく。一方、ステンレス原料容器205に
格納されたTHFは、マイクロポンプ215で秤量,昇
圧,搬送され、気化器225に供給される。ここで、T
HF流量はBST原料と同じ1sccmである。気化器22
5で気化されたTHFは、搬送ガスライン235より導
入されたアルゴンガス100sccmと混合され、補償ガス
として反応容器240内に供給される。基板温度が安定
するのを待って(Ba,Sr)TiO3 膜の成膜を行
う。
【0078】成膜開始の際には、切り換え連動バルブ2
50,255により今までベントライン239に流して
いたBST原料ガスを反応容器240内に導入し、反応
容器240内に流していた補償ガスをベントライン23
9に流す。これによって、基板温度の変動を招くことな
く原料ガスを反応容器240内に導入することが可能に
なった。成膜を終了する時には、切り換え連動バルブ2
50,255により再度原料ガスと補償ガスを切り替え
ればよい。この実施形態においても、原料ガスと補償ガ
スは熱容量がほぼ等しいものであるため、原料ガスと補
償ガスとの切り替えにより基板温度の変動を招くことが
ないのである。
【0079】以上のシーケンスを繰り返して成膜を終了
した後には、以下のシーケンスで気化器220の洗浄を
行う。ステンレス原料容器205に格納されたTHFは
マイクロポンプ215で秤量,昇圧,搬送される。ここ
で、THF流量は1sccmである。加圧されたTHFは、
バルブ260,261を閉じ切り換えバルブ270を開
にすることによって気化器220に導入される。気化器
220の容積の3倍の流量のTHFを流した後、THF
の供給を停止し切り換えバルブ270を閉にし、気化器
220の温度を下げる。このシーケンスにより、気化器
220内に残留している液体は、低温で揮発する熱的に
安定な有機溶剤と高温でしか気化せず熱的に不安定な有
機金属の混合物から、熱的に安定な有機溶剤に置き換え
られたので、長期休止しても気化器220中の有機溶剤
が単に気化するだけで残渣の発生等は起こらないことが
確認された。
【0080】(第3の実施形態)図3は、本発明の第3
の実施形態に係わる金属酸化物薄膜のCVD装置を示す
概略構成図である。
【0081】有機金属液体原料としてBa(TH
D)2 ,Sr(THD)2 ,TiO(THD)2 を溶剤
のTHFに溶解せしめた原料(以下それぞれBa原料,
Sr原料,Ti原料と呼ぶことにする)がステンレスの
原料容器301,302,303内にそれぞれ格納され
ている。原料濃度は、Ba原料とSr原料が0.02mo
l/l、Ti原料が0.5mol/l である。これらの原料は
加圧されてそれぞれ独立のマイクロポンプ311,31
2,313で秤量,昇圧,輸送され、共通の気化器32
0に導入される。
【0082】成膜のシーケンスは、以下の手順で行われ
る。Ba原料,Sr原料,Ti原料は、それぞれマイク
ロポンプ311,312,313で搬送され気化器32
0で気化後、搬送ガスライン330より導入されたアル
ゴンガス100sccmと混合された後、ベントライン33
9に流されて整流される。ここで、BST原料流量は1
sccmである。また、1slm の酸素を反応容器340内に
流しておく。一方、ステンレス原料容器305に格納さ
れたTHFは、マイクロポンプ315で秤量,昇圧,搬
送され、気化器325に供給される。ここで、THF流
量はBST原料と同じ1sccmである。気化器325で気
化されたTHFは、搬送ガスライン335より導入され
たアルゴンガス100sccmと混合され、補償ガスとして
反応容器340内に供給される。基板温度が安定するの
を待って(Ba,Sr)TiO3膜の成膜を行う。
【0083】成膜開始の際には、切り換え連動バルブ3
50,355により今までベントライン339に流して
いたBST原料ガスを反応容器340内に導入し、反応
容器340内に流していた補償ガスをベントライン33
9に流す。これによって、基板温度の変動を招くことな
く原料ガスを反応容器340内に導入することが可能に
なった。成膜を終了する時には、切り換え連動バルブ3
50,355により再度原料ガスと補償ガスを切り替え
ればよい。
【0084】以上のシーケンスを繰り返して成膜を終了
した後には、以下のシーケンスで気化器320の洗浄を
行う。ステンレス原料容器305に格納されたTHFは
マイクロポンプ315で秤量,昇圧,搬送される。ここ
で、THF流量は1sccmである。加圧されたTHFは、
バルブ360,361を閉じ切り換えバルブ370を開
にすることによって気化器320に導入される。気化器
320の容積の3倍の流量のTHFを流した後、THF
の供給を停止し切り換えバルブ370を閉にし、気化器
320の温度を下げる。
【0085】このシーケンスにより、気化器320内に
残留している液体は、低温で揮発する熱的に安定な有機
溶剤と高温でしか気化せず熱的に不安定な有機金属の混
合物から、熱的に安定な有機溶剤に置き換えられたの
で、長期休止しても気化器中の有機溶剤が単に気化する
だけで残渣の発生等は起こらないことが確認された。
【0086】(第4の実施形態)図4は、本発明の第4
の実施形態に係わる金属酸化物薄膜のCVD装置を示す
概略構成図である。
【0087】有機金属液体原料として、Bi(C
5 5 2 ,Sr(THD)2 ,Ta(OC2 5 5
をそれぞれ溶剤のTHF,tetraglyme,ethanol に溶解
せしめた原料(以下それぞれBi原料,Sr原料,Ta
原料と呼ぶことにする)がステンレスの原料容器40
1,402,403内にそれぞれ格納されている。原料
濃度はBi原料とSr原料が0.1mol/l である。これ
らの原料は加圧されてそれぞれ独立のマイクロポンプ4
11,412,413で秤量,昇圧,輸送され、それぞ
れ190℃,230℃,160℃に保持された気化器4
21,422,423に導入される。
【0088】成膜のシーケンスは、以下の手順で行われ
る。Bi原料,Sr原料,Ta原料は、それぞれマイク
ロポンプ411,412,413で搬送されそれぞれの
気化器421,422,423で気化後、搬送ガスライ
ン431,432,433より導入されたアルゴンガス
(それぞれ25sccm,25sccm,50sccm)と混合され
た後、ベントライン439に流されて整流される。ま
た、1slm の酸素を予め反応容器440内に流してお
く。一方、ステンレス原料容器405に格納された各液
体原料の溶剤を混合したTHF/tetraglyme/ethanol
混合液(以下混合溶剤:図中の mixed solvent)は、マ
イクロポンプ415で秤量,昇圧,搬送され、気化器4
25に供給される。ここで、THF流量はBi原料,S
r原料,Ta原料の総和に等しい1sccmである。気化器
425で気化された混合溶剤は、搬送ガスライン435
より導入されたアルゴンガス100sccm(これはB
i原料,Sr原料,Ta原料の搬送ガスの総和と等し
い)と混合され、補償ガスとして反応容器440内に供
給される。基板温度が安定するのを待ってSrBi2
2 9 膜の成膜を行う。
【0089】成膜開始の際には、切り換え連動バルブ4
51,452,453,455により今までベントライ
ン439に流していた原料ガスを反応容器440内に導
入すると共に、反応容器440内に流していた補償ガス
をベントライン439に流す。これによって、基板温度
の変動を招くことなく原料ガスを反応容器440内に導
入することが可能になった。成膜を終了する時には、切
り換え連動バルブ451,452,453,455によ
り、再度原料ガスと補償ガスを切り替えればよい。
【0090】以上のシーケンスを繰り返して成膜を終了
した後には、以下のシーケンスで気化器420の洗浄を
行う。ステンレス原料容器405に格納された混合溶剤
はマイクロポンプ415で秤量,昇圧,搬送される。こ
こで、混合溶剤流量は1sccmである。加圧された混合溶
剤は、バルブ461,462,463,464を閉じ切
り換えバルブ471,472,473を開にすることに
よって気化器421,422,423に導入される。気
化器421,422,423の容積のそれぞれ3倍の流
量の混合溶剤を流した後、混合溶剤の供給を停止し切り
換えバルブ471,472,473を閉にし、気化器4
21,422,423の温度を下げる。このシーケンス
により、気化器内421,422,423内に残留して
いる液体は、低温で揮発する熱的に安定な有機溶剤と高
温でしか気化せず熱的に不安定な有機金属の混合物か
ら、熱的に安定な有機溶剤に置き換えられたので、長期
休止しても気化器中の有機溶剤が単に気化するだけで残
渣の発生等は起こらないことが確認された。
【0091】なお、第1〜第4の実施形態では、原料の
溶剤と共通なTHFを補償ガスとして用いたが、原料ガ
スと熱容量がほぼ等しいガスであれば補償ガスとして用
いることが可能である。本発明者らの実験によれば、原
料ガスと10%程度の熱容量の差であれば、反応容器圧
力が1Torrの場合に基板温度の変動は1℃以下であり、
補償ガスとして十分用いることができるのが確認され
た。
【0092】(第5の実施形態)第1〜第4の実施形態
では、補償ガスのTHFをマイクロポンプを用いて加圧
搬送しているが、これに代わって図5に示すような機構
を用いることもできる。即ち図5(a)に示すように、
THF原料容器501,自動圧力制御器502,マスフ
ローコントローラ503から成る配管系で、THFを不
活性ガスでバブリングして供給することが可能である。
また、図5(b)に示すように、THF原料容器50
4、テープヒータにより120℃に保持された配管50
5,506、マスフローコントローラ507より成る配
管系で、THFを加熱してTHFの蒸気圧自体を利用し
て供給することも可能である。
【0093】また、図5に示したような機構を第1の実
施形態から第4の実施形態の配管系に加え、図5の機構
を用いて有機溶剤を希釈ガスとして反応容器内に供給
し、補償ガスと希釈ガスとの和を一定にすることで、反
応容器内の有機溶剤の分圧を一定に保持したままで、C
VD原料である有機金属の分圧のみを制御することがで
きる。これは研究開発用途などに用いる場合、他のパラ
メータを変化させずに原料分圧のみを変化させることが
できるので便利である。但し、本発明の第1の実施形態
から第4の実施形態に示した方法では補償ガス用のTH
F供給にもマイクロポンプを用いることで、同じTHF
供給系を気化器の洗浄器用としても使えるために第1の
実施形態から第4の実施形態にも示したように比較的部
品点数を少なく配管系を構成することができる利点があ
る。
【0094】(第6の実施形態)図8は、本発明の第6
の実施形態に係わる金属酸化物薄膜のCVD装置を示す
概略構成図である。
【0095】有機金属液体原料として、Ba(THD)
2 ,Sr(THD)2 ,Ti(THD)2 (i−OC3
7 2 を適切な割合で混合し、溶剤のTHFに溶解せ
しめた原料(以下BST原料)がステンレスの原料容器
中600に格納されている。BST原料供給系は前記原
料容器600、BST原料を秤量搬送するマイクロポン
プ610及びマイクロポンプより吐出されたBST原料
を一気に気化させる気化器620から成る。反応容器6
40内における成膜の基本的シーケンスは前述の実施形
態と同様であるので、ここでは省略する。
【0096】BST原料の交換等で配管の一部又は全部
を大気解放する必要が生じた場合には、以下のシーケン
スで配管の洗浄を行った後に配管の大気解放を行う。即
ち、大気解放する必要のある部位をバルブ654,65
5によって供給系から隔離した後、1.2気圧に加圧さ
れた高純度Arガスをバルブ656を通して配管内に導
入すると共に、排出バルブ657を開けて排液を排液回
収タンク658に排出する。排液回収タンク658は、
図6に示されるように圧送されてきた液体を冷却してト
ラップすることができるようになっているため、殆どの
BST液体原料は排液回収タンク658内に残留し、圧
送するためのArガス及びBST原料中の有機溶剤に起
因する蒸気のみがミストの飛散を抑制するためのフィル
ター659を通してダクト660に排出される。
【0097】配管内からBST原料の排出を行った後
は、適宜洗浄用の有機溶剤をバルブ661を開けて配管
内に導入し、上述のシーケンスによって排液回収タンク
658を通してダクト660へと排出することを繰り返
す。その後、配管加熱機構670によって配管温度を昇
温し付着した有機溶剤を完全に気化した後に、大気解放
を行う。このシーケンスにより配管内に有機金属が付着
した状態で配管を大気解放することがなくなったため
に、原料交換を繰り返しながら長期間運用しても、配管
内に付着した有機金属残留物が大気解放に伴って劣化し
気化器の閉塞をもたらす等の問題が発生しないことが確
認された。
【0098】(第7の実施形態)図9は、本発明の第7
の実施形態に係わる金属酸化物薄膜のCVD装置を示す
概略構成図である。
【0099】有機金属液体原料として、Sr(THD)
2 ,Bi(THD)3 ,Ta(THD)2 (i−OC3
7 2 を溶剤のTHFに溶解せしめた原料がステンレ
スの原料容器701,702,703中に格納されてい
る。
【0100】Sr,Bi,Taの原料は、加圧されてミ
キシングマニフォールド780で1:1:10の割合で
混合されて、マイクロポンプ710で秤量,昇圧,輸送
され気化器720に導入され、一気に気化されて反応ガ
スとなり反応容器740内に導入され、SrBi2 Ta
2 9 の成膜ガスとして用いられる。原料の交換,気化
器の取り外し等の目的で配管の一部又は全部の大気解放
を行う際には、以下のシーケンスで配管の酸洗浄を行
う。
【0101】まず、配管内の有機金属原料を除去するた
めに、バルブ756より1.2気圧に加圧された高純度
Arガスを導入して、配管内に残留する液体原料をバル
ブ759を通して第6の実施形態に記載したものと同様
の排液回収容器758に回収し、圧送ガスと有機溶剤の
蒸気はダクト760に排出する。
【0102】次いで、バルブ758,759を閉じバル
ブ762を開けて、硝酸容器707内の硝酸を圧送して
配管内に満たす。次いで、再びバルブ756より加圧さ
れた高純度Arガスを導入し、配管内の硝酸をバルブ7
64を通して排液ライン765に排出し、更にバルブ7
66より超純水を配管内に導入し、バルブ764を通し
て排液ライン765に排出し、配管内の酸を完全に除去
する。
【0103】次いで、バルブ756より高純度Arガス
を再び導入し、配管加熱機構770により配管を昇温し
ながらArパージすることにより、配管内から完全に水
分を除去する。このシーケンスにより配管内への有機金
属或いは有機金属起因の難溶解性又は難気化性の不純物
を完全に除去することができ、配管の大気解放後にも安
定した成膜が可能であることが確認された。
【0104】なお、本実施形態では硝酸を洗浄液に用い
ているが、これは硝酸が酸化力の強い酸であるために有
機金属を金属酸化物に変えて溶解しやすくすることに適
しているからであり、同様の性質を有する他の洗浄液に
代えることも可能である。
【0105】(第8の実施形態)図10は、本発明の第
8の実施形態に係わる金属酸化物薄膜のCVD装置を示
す概略構成図である。
【0106】有機金属液体原料として、Ba(THD)
2 ,Sr(THD)2 ,Ti(THD)2 (t−OC4
9 2 を溶剤のTHDに溶解せしめた原料を収納した
ステンレスの原料容器801,802,803、及び液
体原料を輸送する液体流量制御装置811,812,8
13、各原料共通の気化器820に至る配管は、50℃
に保持された恒温槽870に収納されている。各金属原
料溶液は液体用流量制御装置811,812,813を
通して輸送され、気体流量制御装置889で流量制御さ
れて、搬送ガスライン890より導入される高純度N2
ガスと混合されて霧状になって高温の気化器820中に
吐出され一気に気化して反応ガスとなり、反応容器84
0内に導入される。
【0107】Ba(THD)2 ,Sr(THD)2 ,T
i(THD)2 (t−OC4 9 2 は室温(25℃)
では溶解度は1mol/lであるが、原料容器801,
802,803及び原料容器801,802,803か
ら気化器820に至るまでの供給系を恒温槽870に収
容することで、室温の場合の濃度に比べて5倍の5mo
l/lまで高くした原料濃度の利用を実現している。
【0108】図11に、本実施形態の50℃に保持した
恒温槽を用いてBa,Sr,Ti原料の5mol/l溶
液を用いた場合と(a)、該恒温槽の設定温度を25℃
として(室温で管理されていない状態に等しい)Ba,
Sr,Ti原料の1mol/l溶液を用いた場合と
(b)、について段差被覆性を比較した結果を示す。こ
こで、反応容器内に導入する反応ガスの総流量は2sl
m、酸素流量1slm、反応圧力は200Paとした。
以上の条件を満足する条件範囲内で最大のBST成膜速
度が得られるようにBa,Sr,Ti原料の供給速度を
選択した。原料濃度が異なるために成膜速度が異なるの
で、平坦なウエハー上に成膜されたBST膜厚が等しく
なるようにBSTの成膜時間を選んだ。
【0109】図11から、濃度の濃い原料を用いること
で、同じ成膜温度でも段差被覆性が改善していることが
分かる。一般に供給系の限界まで原料供給を増大させた
場合に、更に段差被覆性を改善するためには成膜温度を
低温化する手法が一般的であるが、成膜温度の低温化は
薄膜中への不純物の取り込み、成膜時間の長時間化、結
晶化ができずに非晶質の薄膜が成膜されるなど問題が生
じる可能性がある。本実施形態の方法により、成膜温
度,成膜圧力等の反応条件は同じ場合でも薄膜の段差被
覆性を改善することが可能になり、これは集積度の高い
半導体記憶装置のようにBST等の誘電体薄膜を立体構
造を有する電極上に段差被覆性良く成膜することが要求
される場合には有利である。
【0110】なお、本実施形態の恒温槽の代わりに温度
調節装置によって制御されたテープヒーター、或いはマ
ントルヒーター、単純にはエアコンディショナー等の空
調装置での代用が可能である。また、本実施形態の恒温
槽は第7の実施形態に示した配管の付着物を有機溶剤に
溶解せしめるための機構、或いは配管に残留した水分を
除去するための加熱機構として用いることも可能であ
る。
【0111】また、このように液体原料を搬送する配管
温度を高温に保持できる機構を設けることは、前述の配
管から原料を完全に抜き取る際にも有効である。即ち、
本発明に基づいて有機金属原料を配管内より圧送除去し
た後、改めて配管内に有機溶剤を導入した後に配管の温
度を上昇させることで、残留した原料を完全に溶解しき
ることができるので、洗浄用の有機溶剤を圧送により除
去することで配管の汚染を最小限に留めることができ
る。
【0112】(第9の実施形態)本発明の第9の実施形
態を、図12を参照して説明する。
【0113】図12(a)に示すようなSr(THD)
2 の1mol/lの濃度のTHD溶液をいれた原料容器
901、マイクロポンプ902、気化器903、反応容
器904を直列につなぎ、配管内より液体を抜きとるベ
ントライン905を設けた実験装置を用いた。この装置
で本発明者らがSrOの連続成膜を行い、同条件でのS
rO成膜速度の再現性を評価した結果を図12(b)に
示す。但し、●は直前に原料を交換したことを示し、◎
は直前に気化器が閉塞して気化器の洗浄を行ったことを
示す。
【0114】図12(b)より最初に原料の交換を行う
までは気化器の閉塞は起こっていないのに対し、一旦原
料を交換した後には気化器の閉塞が発生するようにな
り、その頻度が増していくことが分かる。本発明者らが
気化器の閉塞を引き起こした残渣を分析した結果、Sr
の炭酸塩であることが分った。そこで、真空排気と有機
溶剤による洗浄を繰り返した配管の一部を切り出して切
開して調べてみたところ主にバルブ等のコンダクタンス
の低い部位に有機金属原料が残留する傾向にあることが
分った。
【0115】図12(c)は、同様の液体原料供給系の
設定において本発明の方法を付加した実験装置を示す。
即ち、配管に加圧されたアルゴンガスを導入する機構を
設けて、圧送された排液は排液回収容器906に回収
し、圧送ガスはダクト907に排出した。このときの成
膜速度の再現性を図12(d)に示すが、原料交換を繰
り返しても成膜速度は安定であり気化器の閉塞も殆ど起
こらないことが分り、本実施形態の方法の採用により、
長期使用後にも安定した成膜が実現できていることが分
る。
【0116】また、従来の有機金属原料を真空排気によ
り除去する方法では真空ポンプに多量の有機溶剤を吸入
させるために真空ポンプへの負荷が大きく、図12
(b)に示されているようにポンプのオーバーホールを
必要とするようなポンプの機能の劣化を招くが、本実施
形態では有機溶剤は圧送によってダクトに排出して真空
排気を用いていないためにこのような問題は生じない。
【0117】(変形例)なお、本発明は上述した各実施
形態に限定されるものではない。有機金属原料としては
実施形態に記述されたものに限らず、Sr,Ba,L
a,Pb,Ti,Nb,Zr,Sn,Bi,Taのアセ
チルアセトナト,ジピバロイルメタナト,アルコキシ
ド,ヘキサフルオロアセチルアセトナト,シクロペンタ
ジエニル、或いはそれらの誘導体を単独で、又はTH
F,triglyme,tetraglyme等の有機溶剤に溶かした液体
原料でもよい。また、実施形態では金属酸化膜としてキ
ャパシタ誘電体膜を例にとったが、本発明はSrRuO
3 ,BaRuO3 ,ReO3 ,RuO2 ,IrO2 等の
酸化物導電体膜やY−Ba−Cu−O或いはBi−Sr
−Ca−Cu−Oなどの酸化物超伝導体膜の成膜に適用
することも可能である。
【0118】また、本発明は金属酸化膜の成膜に限るも
のではなく、例えば銅或いはシリコン酸化膜のCVDに
対して用いてもよい。この場合、銅の有機金属液体原料
やTEOSと熱容量のほぼ等しい有機溶剤を補償ガスと
して用いることで同様の効果を得ることができる。この
場合、気化器の洗浄に用いる有機溶剤は上記銅或いはシ
リコン酸化膜のCVD原料である有機化合物が溶解する
溶媒を選べばよく、特に該有機化合物と共沸を起こす有
機溶剤であれば一層好ましい。本発明を適用すること
で、液相供給を用いたCVD法により銅等の金属膜を半
導体集積回路の配線として、或いはシリコン酸化膜を半
導体集積回路の層間絶縁膜として成膜することで、従来
のバブリング法では得られない高い成膜速度を安定に再
現性良く実現することができるようになる。
【0119】また、本発明におる配管等の搬送経路の洗
浄方法は配管の大気解放の場合に用いるものだけではな
く、例えば従来用いていた原料を変更する場合、例えば
Tiの原料を流していた配管にTaの原料を流す場合に
配管に以前使用していたTi原料が残留することを抑止
する手法としても有効である。
【0120】その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲
で、種々変形して実施することができる。
【0121】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、液
体原料を気化するための気化器を洗浄する機能や反応ガ
スと熱容量が10%以内の補償ガスを切り替える機能等
を設けることにより、優れた膜質を有する金属薄膜或い
は金属化合物薄膜を、液相供給法を用いて長期間安定に
高い成膜制御性を実現して成膜することが可能になる。
また本発明によれば、液体原料を搬送するための搬送経
路に加圧された気体又は液体を圧送することで搬送経路
の液体原料を排出することにより、配管の一部又は全部
の大気解放に際して、配管内の液体原料を確実に洗浄除
去することができ、残留原料等に起因する弊害を無くす
ことができる。
【0122】従って、本発明の方法で形成した高誘電率
薄膜を半導体集積回路記憶素子に適用することで、高性
能な半導体記憶素子を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係わる金属酸化物薄膜のCV
D装置を示す概略構成図。
【図2】第2の実施形態に係わる金属酸化物薄膜のCV
D装置を示す概略構成図。
【図3】第3の実施形態に係わる金属酸化物薄膜のCV
D装置を示す概略構成図。
【図4】第4の実施形態に係わる金属酸化物薄膜のCV
D装置を示す概略構成図。
【図5】第5の実施形態に係わる補償ガス又は希釈ガス
供給装置の一例を示す図。
【図6】液体原料流量と原料気体流量とを計測するため
の実験装置の例を示す図。
【図7】図6の実験装置を用いた場合の液体原料流量と
原料気体流量とのプロセス時間依存性を示す図。
【図8】第6の実施形態に係わる金属酸化物薄膜のCV
D装置を示す概略構成図。
【図9】第7の実施形態に係わる金属酸化物薄膜のCV
D装置を示す概略構成図。
【図10】第8の実施形態に係わる金属酸化物薄膜のC
VD装置を示す概略構成図。
【図11】第8の実施形態における段差被覆性を従来と
比較して示す図。
【図12】第9の実施形態に係わる金属酸化物薄膜のC
VD装置及び成膜速度の再現性を従来例と比較して示す
図。
【図13】従来の金属酸化膜の製造方法を示す装置模式
図。
【図14】従来の金属酸化膜の製造方法を示す装置模式
図。
【符号の説明】
100,201〜203,301〜303,401〜4
03…原料容器(反応ガス用) 105,205,305,405…原料容器(補償ガス
用) 110,210,311〜313,411〜413…マ
イクロポンプ(反応ガス用) 115,215,315,415…マイクロポンプ(補
償ガス用) 120,220,320,421〜423…気化器(反
応ガス用) 125,225,325,425…気化器(補償ガス
用) 140,240,340,440…反応容器 130,230,330,431〜433…搬送ガスラ
イン(反応ガス用) 135,235,335,435…搬送ガスライン(補
償ガス用) 139,239,339,439…ベントライン 150,155,250,255,350,355,4
51〜453,455…切り換え連動バルブ 160,260,360,461〜463…バルブ 170,270,370,471〜473…切り換えバ
ルブ 280…ミキシングマニホールド 501,504…THF原料容器 502…自動圧力制御器 503,507…マスフローコントローラ 505,506…配管 61…マイクロポンプ 62…液体流量計 63…気化器 64…気体流量計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01L 27/108 H01L 27/10 651 21/8242

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機金属又は有機金属を有機溶剤に溶かし
    た液体原料を気化器により気化させて反応容器内に導入
    し、該容器内に配置された被処理基体上に金属薄膜又は
    金属化合物薄膜を成長形成する薄膜の製造方法におい
    て、 前記薄膜の成長時以外の任意の時に、前記気化器に有機
    金属を含まない有機溶剤を搬送して該気化器を洗浄する
    ことを特徴とする薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】有機金属又は有機金属を有機溶剤に溶かし
    た液体原料を搬送する原料搬送用ポンプと、このポンプ
    により搬送された液体原料を高温部で気化させる気化器
    と、この気化器により気化されたガスが導入されて金属
    薄膜又は金属化合物薄膜の成長に供される反応容器と、
    前記気化器に有機金属を含まない有機溶剤を搬送して該
    気化器を洗浄する洗浄用ポンプとを具備してなることを
    特徴とする薄膜の製造装置。
  3. 【請求項3】有機金属又は有機金属を有機溶剤に溶かし
    た液体原料を気化して得られるガスを搬送ガスと混合し
    て得られる反応ガスを反応容器内に導入し、該容器内に
    配置された被処理基体上に金属薄膜又は金属化合物薄膜
    を成長形成する薄膜の製造方法において、 薄膜の成長前に前記反応容器内に、前記反応ガスと熱容
    量の差が10%以内の補償ガスを予め流しておき、薄膜
    の成長開始時に前記反応容器内に、前記補償ガスを前記
    反応ガスに切り替えて流すことを特徴とする薄膜の製造
    方法。
  4. 【請求項4】金属薄膜又は金属化合物薄膜の構成元素の
    有機化合物液体原料又は該構成元素の有機化合物固体を
    有機溶剤に溶かした液体原料を気化して得られるガスを
    搬送ガスと混合して得られる反応ガスを反応容器内に導
    入し、該容器内に配置された被処理基体上に金属薄膜又
    は金属化合物薄膜を成長形成する薄膜の製造方法におい
    て、 前記有機溶剤を気化して得られる希釈ガスを前記反応容
    器内に供給する機構を設け、前記反応容器内の該有機溶
    剤の分圧を一定に維持することを特徴とする薄膜の製造
    方法。
  5. 【請求項5】反応容器内に配置された被処理基体上に金
    属薄膜又は金属化合物薄膜を成長形成する薄膜の製造装
    置において、 前記薄膜の構成元素の有機化合物液体原料又は該構成元
    素の有機化合物固体を有機溶剤に溶かした液体原料を気
    化して得られるガスを搬送ガスと混合して得られる反応
    ガスを反応容器内に導入する手段と、前記有機溶剤を気
    化して得られる希釈ガスを前記反応容器内に導入する手
    段と、前記反応ガス及び希釈ガスの導入量の調整により
    前記反応容器内の該有機溶剤の分圧を一定に維持する手
    段とを具備してなることを特徴とする薄膜の製造装置。
  6. 【請求項6】有機金属又は有機金属を溶剤に溶かした液
    体原料を気化器により気化させて反応容器内に導入し、
    該容器内に配置された被処理気体上に金属薄膜又は金属
    化合物薄膜を成長形成する薄膜の製造方法において、 前記液体原料を搬送する搬送経路を洗浄するために、前
    記薄膜の成長時以外の任意の時に、前記搬送経路に加圧
    された気体又は液体を圧送することにより、前記搬送経
    路の液体原料を排出することを特徴とする薄膜の製造方
    法。
  7. 【請求項7】有機金属又は有機金属を溶剤に溶かした液
    体原料を気化器により気化させて反応容器内に導入し、
    該容器内に配置された被処理気体上に金属薄膜又は金属
    化合物薄膜を成長形成する薄膜の製造装置において、 前記液体原料を搬送する搬送経路を洗浄するために、前
    記液体原料を搬送する搬送経路に加圧された気体又は液
    体を圧送する手段と、前記搬送経路から排出される前記
    液体原料を回収する手段とを具備してなることを特徴と
    する薄膜の製造装置。
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