JPH10195149A - ライニング用樹脂組成物 - Google Patents

ライニング用樹脂組成物

Info

Publication number
JPH10195149A
JPH10195149A JP578597A JP578597A JPH10195149A JP H10195149 A JPH10195149 A JP H10195149A JP 578597 A JP578597 A JP 578597A JP 578597 A JP578597 A JP 578597A JP H10195149 A JPH10195149 A JP H10195149A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
lining
unsaturated
compound
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP578597A
Other languages
English (en)
Inventor
Takehide Yamazaki
勇英 山崎
Toshio Awaji
敏夫 淡路
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP578597A priority Critical patent/JPH10195149A/ja
Publication of JPH10195149A publication Critical patent/JPH10195149A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低臭気のライニング用樹脂組成物を提供す
る。 【解決手段】 ライニング用樹脂組成物は、分子量が1
50以上で分子内に(メタ)アクリロイル基を1つ有す
る重合性不飽和単量体と、不飽和エステルとを含んでな
る。重合性不飽和単量体は、分子量が150以上である
ので沸点が比較的高い(いわゆる高沸点)。従って、該
重合性不飽和単量体の飽和蒸気圧は、従来用いられてい
る溶剤や単量体(例えばスチレン)の飽和蒸気圧と比較
して極端に小さい。不飽和エステルは、例えば、分子内
に炭素数12以上の非芳香族炭化水素基を有すると共
に、カルボキシル基を少なくとも1つ有するカルボキシ
ル基含有不飽和化合物(c)と、多官能エポキシ化合物
(d)とをエステル化反応(2)させてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、防水工事
等、建築物の屋上やベランダ、駐車場等のコンクリート
等の下地をライニングする際に用いられるライニング用
樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば、防水工事等、建築物
の屋上やベランダ、駐車場等のコンクリート等の下地を
ライニングする際に用いられるライニング用樹脂組成物
には、エポキシ樹脂やウレタン樹脂等が用いられてい
る。これら樹脂は粘度が高いので、溶剤に溶解させた状
態で使用されている。従って、該ライニング用樹脂組成
物は溶剤型である。
【0003】一方、不飽和ポリエステル樹脂やビニルエ
ステル樹脂等を用いたライニング用樹脂組成物も知られ
ている。該ライニング用樹脂組成物は非溶剤型であり、
併用されているスチレン等の単量体が溶剤を兼ねてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、溶剤型
のライニング用樹脂組成物は、ライニング層が形成され
る際に、溶剤が蒸発(揮発)するので、該溶剤による臭
気が発生する。また、非溶剤型のライニング用樹脂組成
物は、スチレン等の単量体が或る程度の飽和蒸気圧を有
しているので、その一部が施工時に蒸発(揮発)するこ
とによって臭気が発生する。従って、上記従来のライニ
ング用樹脂組成物は、施工時に著しい臭気が発生する。
【0005】即ち、上記従来のライニング用樹脂組成物
を用いてライニングすると、発生する臭気によって作業
環境が劣悪になると共に、施工現場の周囲(環境問題)
にも悪影響を及ぼすという問題点を有している。
【0006】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は、従来のライニング用樹脂組
成物と比較して臭気が少ないか、若しくは、臭気が殆ど
感じられないライニング用樹脂組成物、即ち、低臭気の
ライニング用樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記従
来の問題点を解決すべく、ライニング用樹脂組成物につ
いて鋭意検討した。その結果、或る特定の構造を有する
不飽和エステルと、分子量が150以上で分子内に(メ
タ)アクリロイル基を1つ有する重合性不飽和単量体、
即ち沸点が比較的高い重合性不飽和単量体とを含むライ
ニング用樹脂組成物が、低臭気であることを見い出し
た。また、該ライニング用樹脂組成物を用いて形成した
ライニング層が、該用途に必要な可撓性や、例えばコン
クリート等の下地との接着性等の各種物性を充分に備え
ていることを確認して、本発明を完成させるに至った。
【0008】即ち、請求項1記載の発明のライニング用
樹脂組成物は、上記の課題を解決するために、分子内に
エポキシ基を1つ有する不飽和化合物(a)と、分子内
にカルボキシル基を2つ以上有すると共に、炭素数12
以上の非芳香族炭化水素基を有する多塩基酸(b)とを
エステル化反応(1)させてなる不飽和エステル
(A)、並びに、分子量が150以上で分子内に(メ
タ)アクリロイル基を1つ有する重合性不飽和単量体、
を含むことを特徴としている。
【0009】請求項2記載の発明のライニング用樹脂組
成物は、上記の課題を解決するために、分子内に炭素数
12以上の非芳香族炭化水素基を有すると共に、カルボ
キシル基を少なくとも1つ有するカルボキシル基含有不
飽和化合物(c)と、多官能エポキシ化合物(d)とを
エステル化反応(2)させてなる不飽和エステル
(B)、並びに、分子量が150以上で分子内に(メ
タ)アクリロイル基を1つ有する重合性不飽和単量体、
を含むことを特徴としている。
【0010】請求項3記載の発明のライニング用樹脂組
成物は、上記の課題を解決するために、分子内に炭素数
12以上の非芳香族炭化水素基を有すると共に、カルボ
キシル基を少なくとも1つ有するカルボキシル基含有不
飽和化合物(c)と、多官能エポキシ化合物(d)と、
不飽和一塩基酸(e)とをエステル化反応(3)させて
なる不飽和エステル(C)、並びに、分子量が150以
上で分子内に(メタ)アクリロイル基を1つ有する重合
性不飽和単量体、を含むことを特徴としている。
【0011】また、請求項4記載の発明のライニング用
樹脂組成物は、上記の課題を解決するために、請求項
1、2または3記載のライニング用樹脂組成物におい
て、上記重合性不飽和単量体が、一般式(I)
【0012】
【化2】
【0013】(式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水
素原子またはメチル基を表し、nは1〜5の正数を表
す)で表される化合物であることを特徴としている。
【0014】上記の構成によれば、ライニング用樹脂組
成物は、或る特定の構造を有する不飽和エステルと、分
子量が150以上で分子内に(メタ)アクリロイル基を
1つ有する重合性不飽和単量体、即ち沸点が比較的高い
重合性不飽和単量体とを含んでいる。該重合性不飽和単
量体の飽和蒸気圧は、従来のライニング用樹脂組成物に
含まれている溶剤や単量体(例えば、スチレン等)の飽
和蒸気圧と比較して、極端に小さい。従って、ライニン
グ用樹脂組成物は、従来のライニング用樹脂組成物と比
較して、臭気が少ないか、若しくは、臭気が殆ど感じら
れない。
【0015】これにより、低臭気のライニング用樹脂組
成物を提供することができる。該ライニング用樹脂組成
物は、施工時に発生する臭気が少ないか、若しくは、殆
ど感じられない程度であるので、作業環境を良好な状態
に保つことができると共に、施工現場の周囲(環境問
題)も良好な状態に保つことができる。また、ライニン
グ用樹脂組成物を用いて形成したライニング層は、該用
途に必要な可撓性や、例えばコンクリート等の下地との
接着性等の各種物性を充分に備えている。さらに、上記
のライニング用樹脂組成物は、粘度が比較的低く、下地
が凹凸を有していても塗布し易いので、作業性に優れて
いると共に、比較的分厚いライニング層を形成すること
ができるので、防水工事等、建築物の屋上やベランダ、
駐車場等のコンクリート等の下地にいわゆる重防食ライ
ニングを施す場合に特に好適である。
【0016】以下に本発明を詳しく説明する。本発明に
かかるライニング用樹脂組成物は、或る特定の構造を有
する不飽和エステル(A)〜(C)と、分子量が150
以上で分子内に(メタ)アクリロイル基を1つ有する重
合性不飽和単量体(以下、単に重合性不飽和単量体と記
す)とを含んでなる。尚、本発明において、「非芳香族
炭化水素基」とは、脂肪族炭化水素基および/または脂
環式炭化水素基を示す。また、例えば、「炭素数12以
上の非芳香族炭化水素基」とは、脂肪族炭化水素基およ
び/または脂環式炭化水素基からなる炭素数12以上の
一連の原子団を示す。
【0017】上記の重合性不飽和単量体は、分子量が1
50以上であるので沸点が比較的高い(いわゆる高沸
点)。従って、該重合性不飽和単量体は、飽和蒸気圧が
比較的小さく、低臭気である。分子量が150未満であ
る重合性不飽和単量体は沸点が比較的低く、従って、飽
和蒸気圧が比較的大きく、著しい臭気が発生するので好
ましくない。
【0018】上記の重合性不飽和単量体としては、具体
的には、例えば、一般式(I)
【0019】
【化3】
【0020】(式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水
素原子またはメチル基を表し、nは1〜5の正数を表
す)で表される、ラジカル重合性二重結合を有する化合
物が挙げられる。上記のnが5を越える重合性不飽和単
量体、つまり、エチレンオキシドおよび/またはプロピ
レンオキシドの平均付加モル数が5モルを越える重合性
不飽和単量体を含むライニング用樹脂組成物は、粘度が
高くなり過ぎ、ライニングする際の作業性が低下するの
で好ましくない。
【0021】前記一般式(I)で表される重合性不飽和
単量体(以下、重合性不飽和単量体(I)と記す)とし
ては、具体的には、例えば、フェノキシエチル(メタ)
アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、フェノキシプロピレングリコール
(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら化合物
は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併
用してもよい。上記重合性不飽和単量体(I)の飽和蒸
気圧は、例えば従来のライニング用樹脂組成物に含まれ
ている溶剤や単量体(例えば、スチレン等)の飽和蒸気
圧と比較して、極端に小さい。従って、重合性不飽和単
量体(I)は、従来のライニング用樹脂組成物に含まれ
ている溶剤や単量体と比較して、臭気が少ないか、若し
くは、臭気が殆ど感じられない。
【0022】重合性不飽和単量体(I)は、例えば、ポ
リオキシアルキレンモノフェニルエーテルを、アクリル
酸および/またはメタクリル酸でエステル化反応するこ
とにより、容易に得ることができる。重合性不飽和単量
体(I)は、例えば、p−トルエンスルホン酸等の有機
酸や、硫酸等の無機酸を触媒として用いると共に、トル
エン等の有機溶剤を共沸剤として用いる共沸脱水を行っ
てエステル化反応を進行させ、該エステル化反応の終了
後、中和、水洗、溶剤留去等の所定の工程を行うことに
より、製造することができる。また、ポリオキシアルキ
レンモノフェニルエーテルは、フェノールに、エチレン
オキシドおよび/またはプロピレンオキシドを付加させ
ることにより、容易に得ることができる。尚、重合性不
飽和単量体(I)やポリオキシアルキレンモノフェニル
エーテルの製造方法は、特に限定されるものではない。
【0023】上記の不飽和エステル(A)は、分子内に
エポキシ基を1つ有する不飽和化合物(a)と、分子内
にカルボキシル基を2つ以上有すると共に、炭素数12
以上の非芳香族炭化水素基を有する多塩基酸(b)とを
エステル化反応(1)させてなる。上記の不飽和エステ
ル(B)は、分子内に炭素数12以上の非芳香族炭化水
素基を有すると共に、カルボキシル基を少なくとも1つ
有するカルボキシル基含有不飽和化合物(c)と、多官
能エポキシ化合物(d)とをエステル化反応(2)させ
てなる。上記の不飽和エステル(C)は、分子内に炭素
数12以上の非芳香族炭化水素基を有すると共に、カル
ボキシル基を少なくとも1つ有するカルボキシル基含有
不飽和化合物(c)と、多官能エポキシ化合物(d)
と、不飽和一塩基酸(e)とをエステル化反応(3)さ
せてなる。従って、不飽和エステル(A)〜(C)は、
或る特定の分子構造を有している。
【0024】上記の不飽和化合物(a)は、分子内に少
なくとも1つのラジカル重合性二重結合と、少なくとも
1つのエポキシ基(または、グリシジル基)とを有する
化合物であればよい。不飽和化合物(a)としては、具
体的には、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、
2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)
アクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−
4,5−エポキシペンチル、アクリル酸−6,7−エポ
キシペンチル等の(メタ)アクリレート、アリルグリシ
ジルエーテル等が挙げられるが、特に限定されるもので
はない。これら化合物は、一種類のみを用いてもよく、
また、二種類以上を併用してもよい。上記例示の化合物
のうち、(メタ)アクリレートが、重合性不飽和単量体
との重合性に優れているので、より好ましい。また、
(メタ)アクリレートのうち、グリシジル(メタ)アク
リレートが、入手が容易であるので、さらに好ましい。
尚、不飽和化合物(a)が(メタ)アクリレートである
場合には、得られる不飽和エステル(A)〜(C)は、
ラジカル重合性二重結合を含む(メタ)アクリロイル基
を有することとなる。
【0025】上記の多塩基酸(b)は、分子内にカルボ
キシル基を2つ以上有すると共に、炭素数12以上の非
芳香族炭化水素基を有する化合物であればよい。また、
該非芳香族炭化水素基は、不飽和エステル(A)〜
(C)の主鎖となるべき二価基であることがより好まし
い。さらに、非芳香族炭化水素基の炭素数は、55以下
がより好ましく、20以上、55以下がさらに好まし
い。非芳香族炭化水素基の炭素数が11以下である多塩
基酸は、非芳香族炭化水素基が短いため、得られる不飽
和エステルを含むライニング用樹脂組成物によって形成
されるライニング層の可撓性が乏しくなる。従って、該
ライニング層が、下地の寒暖による寸法変化に対応する
こと、つまり、下地の熱膨張・収縮等の動きにあわせて
伸縮することができなくなり、クラック等を生じ易くな
るので好ましくない。非芳香族炭化水素基の炭素数が5
6以上である多塩基酸を用いてなるライニング用樹脂組
成物は、粘度が高くなる。従って、該ライニング用樹脂
組成物をライニングする際の作業性が低下するおそれが
ある。
【0026】上記の多塩基酸(b)としては、具体的に
は、例えば、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサ
デカン二酸、エイコサン二酸、1,16−(6−エチル
ヘキサデカン)ジカルボン酸、1,18−(7,12−
オクタデカジエン)ジカルボン酸、1,12−(6−エ
チルドデカン)ジカルボン酸、1,12−(6−エチニ
ルドデカン)ジカルボン酸、1,18−(7−エチニル
オクタデカン)ジカルボン酸、1,14−(7,8−ジ
フェニルテトラデカン)ジカルボン酸、5−(7−カル
ボキシヘプチル)−2−ヘキシル−3−シクロヘキセン
カルボン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸から得られる
ダイマー酸やトリマー酸、水素化ダイマー酸(水添ダイ
マー酸);或いは、SLB−12、ULB−20、SL
−20、SB−20(商品名,何れも岡村製油株式会社
製);エンポール1022、エンポール1024(商品
名,何れもエメリー社製);バーサダイム216、バー
サダイム228(商品名,何れもヘンケル白水株式会社
製のダイマー酸);ハリダイマー#200(商品名,播
磨化学工業株式会社製のダイマー酸);等が挙げられる
が、特に限定されるものではない。さらに、上記例示の
化合物と、グリコール化合物および/または多官能エポ
キシ化合物等との反応によって得られる、分子鎖末端に
カルボキシル基を有する反応生成物を、多塩基酸(b)
として用いることもできる。これら化合物は、一種類の
みを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよ
い。上記例示の化合物のうち、1,16−(6−エチル
ヘキサデカン)ジカルボン酸、1,12−(6−エチル
ドデカン)ジカルボン酸、ダイマー酸、および、水素化
ダイマー酸がより好ましい。
【0027】上記の不飽和化合物(a)と多塩基酸
(b)とをエステル化反応(1)させることにより、不
飽和エステル(A)が得られる。エステル化反応(1)
させる方法は、特に限定されるものではないが、該エス
テル化反応(1)においては、有機酸亜鉛を触媒として
用いることが好ましい。尚、不飽和化合物(a)と多塩
基酸(b)とをエステル化反応(1)させる際には、必
要に応じて、前記重合性不飽和単量体等の不飽和単量体
を反応系に共存させてもよい。
【0028】上記の有機酸亜鉛は、不飽和化合物(a)
や多塩基酸(b)、反応生成物である不飽和エステル
(A)、或いは、多官能エポキシ化合物(d)等に対す
る溶解性を有する化合物であればよい。有機酸亜鉛とし
ては、具体的には、例えば、オクチル酸亜鉛、ナフテン
酸亜鉛、ラウリル酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、安息香酸
亜鉛、パラオキシ安息香酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、クレ
ソチン酸亜鉛、2,3−オキシナフトエ酸亜鉛等が挙げ
られるが、特に限定されるものではない。これら化合物
は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併
用してもよい。有機酸亜鉛を用いることにより、不飽和
化合物(a)等の重合によるゲル化を起こすことなく、
エステル化反応(1)を促進させることができる。
【0029】有機酸亜鉛の添加量は、不飽和化合物
(a)および多塩基酸(b)の合計量(総重量)に対し
て、該有機酸亜鉛が有する亜鉛が0.005重量%〜
3.0重量%の範囲内となるように設定することが好ま
しいが、特に限定されるものではない。
【0030】そして、エステル化反応(1)させること
により不飽和エステル(A)を得る場合の、不飽和化合
物(a)と多塩基酸(b)との割合は、特に限定される
ものではないが、不飽和化合物(a)が有するエポキシ
基1当量に対して、多塩基酸(b)が有するカルボキシ
ル基が0.9当量〜1.1当量の範囲内となるように、
両者の割合を設定すればよい。
【0031】上記カルボキシル基含有不飽和化合物
(c)の合成方法は、特に限定されるものではないが、
具体的には、例えば、上記の不飽和化合物(a)と多塩
基酸(b)とをエステル化反応(1)させることにより
得られる。該合成方法によってカルボキシル基含有不飽
和化合物(c)を得る場合における、不飽和化合物
(a)と多塩基酸(b)との割合は、特に限定されるも
のではないが、不飽和化合物(a)が有するエポキシ基
1当量に対して、多塩基酸(b)が有するカルボキシル
基が1.1当量〜4.0当量の範囲内となるように、よ
り好ましくは1.5当量〜3.0当量の範囲内となるよ
うに、両者の割合を設定すればよい。
【0032】エステル化反応(1)の反応温度や反応時
間は、不飽和化合物(a)と多塩基酸(b)との組み合
わせや、有機酸亜鉛の添加量等に応じて設定すればよ
く、特に限定されるものではない。但し、不飽和化合物
(a)が有するエポキシ基が実質的に消費されるまで、
エステル化反応(1)を行うことがより好ましい。ま
た、エステル化反応(1)においては、不飽和化合物
(a)やカルボキシル基含有不飽和化合物(c)等の重
合によるゲル化を防止するために、重合禁止剤や分子状
酸素(酸素ガス)を反応系に添加することがより好まし
い。尚、不飽和化合物(a)、多塩基酸(b)、およ
び、有機酸亜鉛の混合順序は、特に限定されるものでは
ない。
【0033】上記の重合禁止剤としては、具体的には、
例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、p−
t−ブチルカテコール、2−t−ブチルハイドロキノ
ン、トルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、
p−ベンゾキノン、ナフトキノン、ハイドロキノンモノ
メチルエーテル、フェノチアジン、ナフテン酸銅等が挙
げられるが、特に限定されるものではない。これら化合
物は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を
併用してもよい。
【0034】分子状酸素としては、具体的には、例え
ば、空気;窒素等の不活性ガスと、空気または酸素との
混合ガス;等を用いることができるが、特に限定される
ものではない。分子状酸素を用いる場合には、反応系に
分子状酸素を吹き込む(いわゆる、バブリング)ように
すればよい。そして、上記のゲル化を充分に防止するた
めには、重合禁止剤と分子状酸素とを併用することが特
に好ましい。
【0035】上記の多官能エポキシ化合物(d)は、分
子内にエポキシ基(または、グリシジル基)を2つ以上
有する化合物であればよい。多官能エポキシ化合物
(d)としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ化
合物、水素化ビスフェノール型エポキシ化合物、ノボラ
ック型エポキシ化合物、水素化ノボラック型エポキシ化
合物、および、上記ビスフェノール型エポキシ化合物や
ノボラック型エポキシ化合物が有する水素原子の一部
を、臭素原子や塩素原子等のハロゲン原子で置換してな
るハロゲン化エポキシ化合物等が挙げられるが、特に限
定されるものではない。これら化合物は、一種類のみを
用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0036】ビスフェノール型エポキシ化合物として
は、具体的には、例えば、エピクロルヒドリンまたはメ
チルエピクロルヒドリンと、ビスフェノールA、ビスフ
ェノールFまたはビスフェノールSとの反応によって得
られるグリシジルエーテル型のエポキシ化合物;エピク
ロルヒドリンまたはメチルエピクロルヒドリンと、ビス
フェノールA、ビスフェノールFまたはビスフェノール
Sの、アルキレンオキシド付加物との反応によって得ら
れるエポキシ化合物;等が挙げられるが、特に限定され
るものではない。
【0037】水素化ビスフェノール型エポキシ化合物と
しては、具体的には、例えば、エピクロルヒドリンまた
はメチルエピクロルヒドリンと、水素化ビスフェノール
Aまたは水素化ビスフェノールFとの反応によって得ら
れるグリシジルエーテル型のエポキシ化合物;エピクロ
ルヒドリンまたはメチルエピクロルヒドリンと、水素化
ビスフェノールAまたは水素化ビスフェノールFの、ア
ルキレンオキシド付加物との反応によって得られるエポ
キシ化合物;等が挙げられるが、特に限定されるもので
はない。
【0038】ノボラック型エポキシ化合物としては、具
体的には、例えば、エピクロルヒドリンまたはメチルエ
ピクロルヒドリンと、フェノールノボラックまたはクレ
ゾールノボラックとの反応によって得られるエポキシ化
合物等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0039】水素化ノボラック型エポキシ化合物として
は、具体的には、例えば、エピクロルヒドリンまたはメ
チルエピクロルヒドリンと、水素化フェノールノボラッ
クまたは水素化クレゾールノボラックとの反応によって
得られるエポキシ化合物等が挙げられるが、特に限定さ
れるものではない。
【0040】多官能エポキシ化合物(d)の平均エポキ
シ当量は、特に限定されるものではないが、150〜7
00の範囲内がより好ましく、150〜500の範囲内
が特に好ましい。平均エポキシ当量が700を越える多
官能エポキシ化合物(d)を用いてなるライニング用樹
脂組成物は、粘度が高くなる。従って、該ライニング用
樹脂組成物をライニングする際の作業性が低下するおそ
れがある。
【0041】上記のカルボキシル基含有不飽和化合物
(c)と、多官能エポキシ化合物(d)とをエステル化
反応(2)させることにより、不飽和エステル(B)が
得られる。エステル化反応(2)させる方法は、特に限
定されるものではないが、該エステル化反応(2)にお
いては、アミン類、アミン類の酸付加物、第四アンモニ
ウム塩、アミド類、イミダゾール類、ピリジン類、ホス
フィン類、ホスホニウム塩、および、スルホニウム塩か
らなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を触媒
(以下、触媒化合物と称する)として用いることが好ま
しい。尚、エステル化反応(2)させる際には、必要に
応じて、前記重合性不飽和単量体等の不飽和単量体を反
応系に共存させてもよい。
【0042】上記の触媒化合物は、カルボキシル基含有
不飽和化合物(c)や多官能エポキシ化合物(d)、反
応生成物である不飽和エステル(B)等に対する溶解性
を有する化合物であればよい。これら化合物は、一種類
のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよ
い。
【0043】アミン類としては、具体的には、例えば、
トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルア
ミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメ
チルラウリルアミン、N,N−ジメチルアニリン、トリ
エタノールアミン、ジエチルアミノエチルメタクリレー
ト、ヘキサメチレンジアミン、1,8−ジアザビシクロ
〔5,4,0〕ウンデセン−7、トリス(ジメチルアミ
ノメチル)フェノール等が挙げられるが、特に限定され
るものではない。
【0044】アミン類の酸付加物は、上記のアミン類に
有機酸および/または無機酸を付加してなる化合物であ
る。アミン類の酸付加物としては、具体的には、例え
ば、ジメチルアミン塩酸塩、ジエチルアミン塩酸塩、ト
リエチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン酢酸塩、ジエチ
ルアミン酢酸塩、トリエチルアミン酢酸塩等が挙げられ
るが、特に限定されるものではない。
【0045】第四アンモニウム塩としては、具体的に
は、例えば、テトラメチルアンモニウムクロライド、テ
トラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルドデシ
ルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモ
ニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムク
ロライド等が挙げられるが、特に限定されるものではな
い。
【0046】アミド類としては、具体的には、例えば、
ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−エチルホ
ルムアミド、アセトアミド、ベンズアミド、N,N−ジ
メチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、
N,N−ジメチルアクリルアミド等が挙げられるが、特
に限定されるものではない。
【0047】イミダゾール類としては、具体的には、例
えば、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾー
ル、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチル
イミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、
2−エチル−5−メチルイミダゾール等が挙げられる
が、特に限定されるものではない。
【0048】ピリジン類としては、具体的には、例え
ば、ピリジン、ピリジン塩酸塩、ビニルピリジン、p−
ジメチルアミノピリジン、γ−ピコリン等が挙げられる
が、特に限定されるものではない。
【0049】ホスフィン類としては、具体的には、例え
ば、トリフェニルホスフィン、トリ(2−メチルフェニ
ル)ホスフィン、トリ(3−メチルフェニル)ホスフィ
ン、トリ(4−メチルフェニル)ホスフィン等が挙げら
れるが、特に限定されるものではない。
【0050】ホスホニウム塩としては、具体的には、例
えば、トリフェニルメチルホスホニウムヨーダイド、ト
リメチルフェニルホスホニウムブロマイド、トリフェニ
ルメチルホスホニウムブロマイド、トリメチルベンジル
ホスホニウムブロマイド等が挙げられるが、特に限定さ
れるものではない。
【0051】スルホニウム塩としては、具体的には、例
えば、トリフェニルスルホニウムクロライド、トリメチ
ルスルホニウムクロライド、ジメチルフェニルスルホニ
ウムクロライド等が挙げられるが、特に限定されるもの
ではない。
【0052】触媒化合物は、カルボキシル基含有不飽和
化合物(c)および多官能エポキシ化合物(d)の合計
量(総重量)に対して、0.005重量%〜3.0重量
%の範囲内となるように設定することが好ましいが、特
に限定されるものではない。
【0053】そして、カルボキシル基含有不飽和化合物
(c)と、多官能エポキシ化合物(d)との割合は、特
に限定されるものではないが、多官能エポキシ化合物
(d)が有するエポキシ基1当量に対して、カルボキシ
ル基含有不飽和化合物(c)が有するカルボキシル基が
0.9当量〜1.1当量の範囲内となるように、両者の
割合を設定すればよい。
【0054】エステル化反応(2)の反応温度や反応時
間は、カルボキシル基含有不飽和化合物(c)と多官能
エポキシ化合物(d)との組み合わせや、触媒化合物の
添加量等に応じて設定すればよく、特に限定されるもの
ではない。但し、多官能エポキシ化合物(d)が有する
エポキシ基が実質的に消費されるまで、エステル化反応
(2)を行うことがより好ましい。また、エステル化反
応(2)においては、カルボキシル基含有不飽和化合物
(c)や不飽和エステル(B)等の重合によるゲル化を
防止するために、前記の重合禁止剤や分子状酸素を反応
系に添加することがより好ましい。尚、カルボキシル基
含有不飽和化合物(c)、多官能エポキシ化合物
(d)、および、触媒化合物の混合順序は、特に限定さ
れるものではない。
【0055】上記の不飽和一塩基酸(e)は、分子内
に、少なくとも1つのラジカル重合性二重結合を有する
一塩基酸である。不飽和一塩基酸(e)としては、具体
的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、
クロトン酸、ソルビン酸、および、不飽和二塩基酸のハ
ーフエステル等が挙げられるが、特に限定されるもので
はない。また、該ハーフエステルとしては、具体的に
は、例えば、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノプ
ロピル、マレイン酸モノブチル等が挙げられるが、特に
限定されるものではない。これら化合物は、一種類のみ
を用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
上記例示の化合物のうち、アクリル酸、メタクリル酸
が、入手が容易であるので、より好ましい。
【0056】前記のカルボキシル基含有不飽和化合物
(c)と、多官能エポキシ化合物(d)と、不飽和一塩
基酸(e)とをエステル化反応(3)させることによ
り、不飽和エステル(C)が得られる。エステル化反応
(3)させる方法は、特に限定されるものではないが、
該エステル化反応(3)においては、前記の触媒化合物
を用いることが好ましい。尚、エステル化反応(3)さ
せる際には、必要に応じて、前記重合性不飽和単量体等
の不飽和単量体を反応系に共存させてもよい。
【0057】触媒化合物は、カルボキシル基含有不飽和
化合物(c)や多官能エポキシ化合物(d)、不飽和一
塩基酸(e)、反応生成物である不飽和エステル(C)
等に対する溶解性を有する化合物であればよい。これら
化合物は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以
上を併用してもよい。そして、触媒化合物は、カルボキ
シル基含有不飽和化合物(c)、多官能エポキシ化合物
(d)、および不飽和一塩基酸(e)の合計量(総重
量)に対して、0.005重量%〜3.0重量%の範囲
内となるように設定することが好ましいが、特に限定さ
れるものではない。
【0058】そして、カルボキシル基含有不飽和化合物
(c)と、多官能エポキシ化合物(d)と、不飽和一塩
基酸(e)との割合は、特に限定されるものではない
が、多官能エポキシ化合物(d)が有するエポキシ基1
当量に対して、カルボキシル基含有不飽和化合物(c)
および不飽和一塩基酸(e)が有する合計のカルボキシ
ル基が0.9当量〜1.1当量の範囲内となるように、
3者の割合を設定すればよい。また、カルボキシル基含
有不飽和化合物(c)が有するカルボキシル基と、不飽
和一塩基酸(e)が有するカルボキシル基との当量比
(カルボキシル基含有不飽和化合物(c):不飽和一塩
基酸(e))は、特に限定されるものではないが、9
5:5〜1:1の範囲内となるように設定することがよ
り好ましい。
【0059】エステル化反応(3)の反応温度や反応時
間は、カルボキシル基含有不飽和化合物(c)と、多官
能エポキシ化合物(d)と、不飽和一塩基酸(e)との
組み合わせや、触媒化合物の添加量等に応じて設定すれ
ばよく、特に限定されるものではない。但し、多官能エ
ポキシ化合物(d)が有するエポキシ基が実質的に消費
されるまで、エステル化反応(3)を行うことがより好
ましい。また、エステル化反応(3)においては、カル
ボキシル基含有不飽和化合物(c)や不飽和エステル
(C)等の重合によるゲル化を防止するために、前記の
重合禁止剤や分子状酸素を反応系に添加することがより
好ましい。尚、カルボキシル基含有不飽和化合物
(c)、多官能エポキシ化合物(d)、不飽和一塩基酸
(e)、および、触媒化合物の混合順序は、特に限定さ
れるものではない。
【0060】さらに、エステル化反応(2)・(3)に
おいては、不飽和エステル(B)・(C)に所望される
分子量分布や、該不飽和エステル(B)・(C)を含ん
でなるライニング用樹脂組成物の粘度、或いは、該ライ
ニング用樹脂組成物によって形成されるライニング層に
要求される可撓性等の各種物性等に応じて、例えば、ア
ジピン酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テ
レフタル酸、或いは、ドデカン二酸やダイマー酸等の多
塩基酸(多塩基酸(b)と同一であってもよく、異なっ
ていてもよい。以下、その他の多塩基酸と記す)を反応
系に共存させてもよい。
【0061】上記その他の多塩基酸の使用量は、特に限
定されるものではないが、例えば、エステル化反応
(2)においては、カルボキシル基含有不飽和化合物
(c)が有するカルボキシル基1当量に対して、その他
の多塩基酸が有するカルボキシル基が10当量以下とな
るように設定することがより好ましい。また、例えば、
エステル化反応(3)においては、カルボキシル基含有
不飽和化合物(c)および不飽和一塩基酸(e)が有す
る合計のカルボキシル基1当量に対して、その他の多塩
基酸が有するカルボキシル基が10当量以下となるよう
に設定することがより好ましい。
【0062】上記のエステル化反応(1)〜(3)を行
うことにより、本発明にかかる不飽和エステル(A)〜
(C)が得られる。該不飽和エステル(A)〜(C)
は、分子内に少なくとも2つのラジカル重合性二重結合
を有している。そして、不飽和エステル(A)〜(C)
は、ラジカル重合性不飽和結合を含む(メタ)アクリロ
イル基を有していることがより好ましい。(メタ)アク
リロイル基を有する不飽和エステル(A)〜(C)は、
前記重合性不飽和単量体との重合性がより一層良好とな
る。
【0063】不飽和エステル(A)〜(C)の数平均分
子量(Mn)は、600〜10,000の範囲内が好ま
しく、1,000〜5,000の範囲内がより好まし
い。数平均分子量が600よりも小さい場合には、該不
飽和エステルを含むライニング用樹脂組成物によって形
成されるライニング層の可撓性が乏しくなる。従って、
該ライニング用樹脂組成物によって形成されるライニン
グ層が、下地の寒暖による寸法変化に対応すること、つ
まり、下地の熱膨張・収縮等の動きにあわせて伸縮する
ことができなくなり、クラック等を生じ易くなるので好
ましくない。一方、数平均分子量が10,000よりも
大きい場合には、該不飽和エステルを含むライニング用
樹脂組成物の粘度が高くなる。従って、該ライニング用
樹脂組成物をライニングする際の作業性が低下するので
好ましくない。
【0064】尚、不飽和エステル(A)〜(C)は、用
いる不飽和化合物(a)や多塩基酸(b)、カルボキシ
ル基含有不飽和化合物(c)、多官能エポキシ化合物
(d)、不飽和一塩基酸(e)等の組み合わせや使用量
等を適宜設定することによって、ライニング用樹脂組成
物によって形成されるライニング層に、例えば、引張強
度や引裂強度等の機械的強度、可撓性(耐クラック
性)、耐水性、撥水性、耐薬品性、耐候性、電気絶縁性
や誘電特性等の電気特性、耐熱性、難燃性等の各種物性
をバランス良く付与することができる。
【0065】本発明にかかるライニング用樹脂組成物
は、前記の重合性不飽和単量体、並びに、上記構成の不
飽和エステル(A)〜(C)の何れか1つを含んでな
る。重合性不飽和単量体と不飽和エステル(A)(或い
は(B),(C))との重量比(重合性不飽和単量体:
不飽和エステル)は、20:80〜70:30の範囲内
が好ましい。重合性不飽和単量体の割合が上記の範囲よ
りも少ない場合には、ライニング用樹脂組成物の粘度が
高くなり、取り扱い性が低下するので好ましくない。重
合性不飽和単量体の割合が上記の範囲よりも多い場合に
は、ライニング用樹脂組成物によって形成されるライニ
ング層の可撓性が乏しくなるので好ましくない。ライニ
ング用樹脂組成物は、保存安定性を向上させるために、
或いは、硬化速度等の硬化性を調整するために、前記の
重合禁止剤を含んでいてもよい。
【0066】さらに、ライニング用樹脂組成物は、「低
臭気のライニング用樹脂組成物を提供する」という本発
明の目的が損なわれない範囲内、或いは、該ライニング
用樹脂組成物を用いて形成したライニング層が、該用途
に必要な可撓性や、下地との接着性等の各種物性を充分
に備えることができ得る範囲内で、重合性不飽和単量体
以外の重合性不飽和単量体を含んでいてもよい。該単量
体としては、具体的には、例えば、スチレン、α−メチ
ルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、パラ
メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジアリルフタレ
ート等の芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレ
ート、ブチル(メタ)アクリレート、エチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;等
が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0067】また、ライニング用樹脂組成物は、必要に
応じて、即ち、ライニング層に要求される各種物性等に
応じて、補強材、副資材(添加剤)等をさらに含んでい
てもよい。上記の補強材としては、例えば、ガラス繊
維;ポリアラミドやポリエステル等の有機繊維;炭素繊
維;等の繊維が挙げられ、これら繊維は、チョップドス
トランドや不織布、織布の形態で用いることができる。
上記の副資材としては、具体的には、例えば、無機充填
剤、有機充填剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、パラフィ
ンワックス、シランカップリング剤、可塑剤、レベリン
グ剤、消泡剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、増粘剤、低
収縮化剤、骨剤、顔料や染料等の着色剤等が挙げられ
る。また、無機充填剤としては、具体的には、例えば、
水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、クレー、タルク
等が挙げられる。尚、補強材、副資材等の添加量や添加
方法は、特に限定されるものではない。
【0068】上記構成のライニング用樹脂組成物は、加
熱することにより、および/または、紫外線や電子線、
放射線等の活性エネルギ線を照射することにより、ラジ
カル重合が開始されるので、容易に硬化させることがで
きる。そして、ライニング用樹脂組成物には、使用時
に、即ち、硬化を行わせる際に、加熱硬化型または光硬
化型の硬化剤を添加・混合することがより好ましい。
【0069】上記加熱硬化型の硬化剤としては、具体的
には、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネー
ト、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパ
ーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−
ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,
1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチ
ルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチル
ヘキサノエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、
t−ブチルパーオキシネオジケネート、t−ブチルパー
オキシベンゾエート、クメンハイドロパーオキサイド等
の有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリ
ル、2,2’−アゾビスジエチルバレロニトリル等のア
ゾ化合物;等が挙げられるが、特に限定されるものでは
ない。上記光硬化型の硬化剤(光増感剤)としては、具
体的には、例えば、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾ
インイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエー
テル等のベンゾインエーテル類;ジメトキシフェニルア
セトフェノン、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケト
ン等のベンジルケタール類;ジエトキシアセトフェノン
等のアセトフェノン類;ベンゾフェノン、ベンジル、2
−クロロチオキサントン等のケトン類;アントラキノ
ン、メチルフェニルグリオキシレート;等が挙げられる
が、特に限定されるものではない。これら硬化剤は、一
種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用して
もよい。尚、硬化剤の添加量や添加方法は、特に限定さ
れるものではなく、ライニング用樹脂組成物の組成等に
応じて適宜設定すればよい。
【0070】さらに、加熱硬化型の硬化剤を用いる場合
には、硬化(ラジカル重合)をより一層促進させる硬化
促進剤を必要に応じて併用することができる。上記の硬
化促進剤としては、例えば、オクテン酸コバルト等の有
機金属塩、有機アミン類、β−ジケトン類等が挙げられ
るが、特に限定されるものではない。これら硬化促進剤
は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併
用してもよい。尚、硬化促進剤の添加量や添加方法は、
特に限定されるものではなく、ライニング用樹脂組成物
の組成、硬化剤の種類等に応じて適宜設定すればよい。
【0071】本発明にかかるライニング用樹脂組成物
は、以上のように、重合性不飽和単量体、並びに、不飽
和エステル(A)〜(C)の何れか1つを含んでなる構
成である。
【0072】上記重合性不飽和単量体の飽和蒸気圧は、
従来のライニング用樹脂組成物に含まれている溶剤や単
量体(例えば、スチレン等)の飽和蒸気圧と比較して、
極端に小さい。従って、ライニング用樹脂組成物は、従
来のライニング用樹脂組成物と比較して、臭気が少ない
か、若しくは、臭気が殆ど感じられない。
【0073】これにより、低臭気のライニング用樹脂組
成物を提供することができる。該ライニング用樹脂組成
物は、施工時に発生する臭気が少ないか、若しくは、殆
ど感じられない程度であるので、作業環境を良好な状態
に保つことができると共に、施工現場の周囲(環境問
題)も良好な状態に保つことができる。また、ライニン
グ用樹脂組成物を用いて形成したライニング層は、該用
途に必要な可撓性や、例えばコンクリート等の下地との
接着性等の各種物性を充分に備えている。さらに、上記
のライニング用樹脂組成物は、粘度が比較的低く、下地
が凹凸を有していても塗布し易いので、作業性に優れて
いると共に、比較的分厚いライニング層を形成すること
ができるので、防水工事等、建築物の屋上やベランダ、
駐車場等のコンクリート等の下地にいわゆる重防食ライ
ニングを施す場合に特に好適である。
【0074】尚、ライニング層の厚みは、特に限定され
るものではない。また、本発明にかかるライニング用樹
脂組成物を用いたライニングの施工方法は、特に限定さ
れるものではない。さらに、下地の表面には、いわゆる
プライマー層が予め形成されていてもよい。
【0075】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら
限定されるものではない。尚、実施例および比較例に記
載の「部」は、「重量部」を示す。
【0076】〔実施例1〕不飽和エステル(B)を合成
した。即ち、温度計、空気吹込管、還流冷却器、および
攪拌機を備えた四ツ口フラスコを反応器とした。この反
応器に、不飽和化合物(a)としてのグリシジルメタク
リレート49部、多塩基酸(b)としてのダイマー酸
(ヘンケル白水株式会社製,商品名・バーサダイム22
8,樹脂酸価194mgKOH/g)200部、有機酸
亜鉛(触媒)としてのオクチル酸亜鉛(亜鉛の含有量1
5重量%)1.4部、および、重合禁止剤としてのハイ
ドロキノン0.09部を仕込んだ。
【0077】次に、上記の混合物を空気を吹き込みなが
ら攪拌して、115℃で2時間、エステル化反応(1)
させた。これにより、樹脂酸価が78mgKOH/gの
カルボキシル基含有不飽和化合物(c)を反応生成物と
して得た。この反応生成物に、多官能エポキシ化合物
(d)としてのビスフェノールA型エポキシ化合物(チ
バ・ガイギー株式会社製,商品名・アダルダイドGY−
250,平均エポキシ当量185)64部と、触媒化合
物としてのトリエチルアミン1.4部とを添加・混合し
た。
【0078】そして、この混合物を空気を吹き込みなが
ら攪拌して、115℃で3時間、エステル化反応(2)
させた。これにより、ソリッド酸価が4.0mgKOH
/gの不飽和エステル(B)を反応生成物として得た。
【0079】この不飽和エステル(B)に、重合性不飽
和単量体としてのフェノキシエチルメタクリレート31
3部を混合することにより、本発明にかかるライニング
用樹脂組成物を得た。該ライニング用樹脂組成物は、樹
脂酸価が2.0mgKOH/g、不揮発分が50.0重
量%、粘度が6.5ポイズであった。尚、「樹脂酸価」
とは、ライニング用樹脂組成物の酸価を示す。また、
「ソリッド酸価」とは、不飽和エステル(B)の酸価を
示す。
【0080】得られたライニング用樹脂組成物の臭気の
有無を判定すると共に、該ライニング用樹脂組成物を硬
化してなる硬化物の機械的強度を測定した。また、上記
ライニング用樹脂組成物のタックフリー性を評価すると
共に、該ライニング用樹脂組成物を用いて形成したライ
ニング層の接着力を測定した。上記の測定方法等を以下
に示す。
【0081】(ア)臭気 ライニング用樹脂組成物の臭気の有無は、人の嗅覚にて
判定した。即ち、平板の上に拡げたライニング用樹脂組
成物から20cm離れた位置に鼻を近づけて臭いを嗅
ぎ、臭気を感じない場合を「無し」と判定し、臭気を感
じる場合を「有り」と判定した。
【0082】(イ)機械的強度 ライニング用樹脂組成物100部に、硬化剤(化薬アク
ゾ株式会社製,商品名・328EM)1.0部と、硬化
促進剤としてのオクテン酸コバルト(コバルトの含有量
8重量%)0.5部とを添加・混合した。次いで、この
混合物を脱泡した後、所定の条件下で注型することによ
り、厚さ3mmの注型板を作製した。この注型板を室温
で一晩放置した後、110℃で2時間、後硬化(アフタ
ーキュア)させた。これにより、硬化物である機械的強
度測定用テストピースを作製した。そして、得られたテ
ストピースを用いて、引張試験をJIS K 7113
に準拠して行い、引張強度(MPa)、および、引張伸
び率(%)を測定した。
【0083】(ウ)タックフリー性 ライニング用樹脂組成物100部に、硬化剤(化薬アク
ゾ株式会社製,商品名・328EM)1.0部と、オク
テン酸コバルト(コバルトの含有量8重量%)0.5部
と、副資材としての135°Fワックス0.05部とを
添加・混合した。次に、1プライのガラスマット(補強
材,40mm×40mm)に上記の混合物を含浸させる
ことにより、補強材および副資材を含むライニング用樹
脂組成物を作製した。その後、補強材および副資材を含
むライニング用樹脂組成物を所定温度で放置し、該ライ
ニング用樹脂組成物の表面を所定時間毎に指で触ること
により、表面の状態、つまり、タックフリー性を評価し
た。そして、補強材および副資材を含むライニング用樹
脂組成物を作製した後、4時間以内に表面がタックフリ
ーとなった場合を「○」と評価し、4時間以内に表面が
タックフリーとならなかった場合を「×」と評価した。
【0084】(エ)接着力 下地であるコンクリート敷石(縦300mm,横300
mm,高さ70mm)の上面に、一液湿気硬化型ウレタ
ン樹脂(株式会社日本触媒製,商品名・エポラックNS
−YP)を200g/m2 となるように塗布した後、該
ウレタン樹脂を温度30℃,湿度40%で4時間乾燥さ
せた。これにより、コンクリート敷石上面にプライマー
層を形成した。次いで、該プライマー層上に、ライニン
グ用樹脂組成物100部、硬化剤(化薬アクゾ株式会社
製,商品名・328EM)1.0部およびオクテン酸コ
バルト(コバルトの含有量8重量%)0.5部からなる
混合物を塗布した。該混合物に2プライのガラスマット
(40mm×40mm)を重ね合わせることにより、該
ガラスマットに混合物を含浸させると共に、ガラスマッ
トをプライマー層上に密着させてコンクリート敷石をラ
イニングした。該補強材を含むライニング用樹脂組成物
に、接着強度測定用治具(アタッチメント)を載置した
後、所定温度で24時間硬化させた。これにより、硬化
物であるライニング層を形成した。そして、建研式接着
力試験機を用いて接着力試験を行い、接着力(kg/c
2 )を測定した。
【0085】上記(ア)〜(エ)の測定等を行った結
果、ライニング用樹脂組成物の臭気は「無し」であり、
硬化物の引張強度は6.0MPa、引張伸び率は88.
0%であった。また、ライニング用樹脂組成物のタック
フリー性は「○」であり、ライニング層の接着力は28
kg/cm2 であった。結果を表1にまとめた。
【0086】〔実施例2〕不飽和エステル(A)を合成
した。即ち、実施例1の反応器と同様の反応器に、グリ
シジルメタクリレート98部、ダイマー酸(ヘンケル白
水株式会社製,商品名・バーサダイム228)200
部、オクチル酸亜鉛(亜鉛の含有量15重量%)1.4
部、および、ハイドロキノン0.09部を仕込んだ。次
に、上記の混合物を空気を吹き込みながら攪拌して、1
15℃で4時間、エステル化反応(1)させた。これに
より、ソリッド酸価が6.0mgKOH/gの不飽和エ
ステル(A)を反応生成物として得た。
【0087】この不飽和エステル(A)に、フェノキシ
エチルメタクリレート298部を混合することにより、
本発明にかかるライニング用樹脂組成物を得た。該ライ
ニング用樹脂組成物は、樹脂酸価が3.0mgKOH/
g、不揮発分が50.0重量%、粘度が2.1ポイズで
あった。
【0088】得られたライニング用樹脂組成物を用い
て、実施例1と同様の測定等を行った。その結果、ライ
ニング用樹脂組成物の臭気は「無し」であり、硬化物の
引張強度は11MPa、引張伸び率は65.0%であっ
た。また、ライニング用樹脂組成物のタックフリー性は
「○」であり、ライニング層の接着力は26kg/cm
2 であった。結果を表1にまとめた。
【0089】〔実施例3〕不飽和エステル(C)を合成
した。即ち、実施例1の反応器と同様の反応器に、グリ
シジルメタクリレート49部、ダイマー酸(ヘンケル白
水株式会社製,商品名・バーサダイム228)200
部、オクチル酸亜鉛(亜鉛の含有量15重量%)1.7
部、および、ハイドロキノン0.11部を仕込んだ。次
に、上記の混合物を空気を吹き込みながら攪拌して、1
15℃で2時間、エステル化反応(1)させた。これに
より、樹脂酸価が78mgKOH/gのカルボキシル基
含有不飽和化合物(c)を反応生成物として得た。この
反応生成物に、ビスフェノールA型エポキシ化合物(チ
バ・ガイギー株式会社製,商品名・アダルダイドGY−
250)102部と、不飽和一塩基酸(e)としてのメ
タクリル酸18部と、トリエチルアミン1.7部とを添
加・混合した。
【0090】そして、この混合物を空気を吹き込みなが
ら攪拌して、115℃で3時間、エステル化反応(3)
させた。これにより、ソリッド酸価が3.4mgKOH
/gの不飽和エステル(C)を反応生成物として得た。
この不飽和エステル(C)に、フェノキシエチルメタク
リレート369部を混合することにより、本発明にかか
るライニング用樹脂組成物を得た。該ライニング用樹脂
組成物は、樹脂酸価が1.7mgKOH/g、不揮発分
が50.0重量%、粘度が5.2ポイズであった。
【0091】得られたライニング用樹脂組成物を用い
て、実施例1と同様の測定等を行った。その結果、ライ
ニング用樹脂組成物の臭気は「無し」であり、硬化物の
引張強度は12MPa、引張伸び率は56.0%であっ
た。また、ライニング用樹脂組成物のタックフリー性は
「○」であり、ライニング層の接着力は32kg/cm
2 であった。結果を表1にまとめた。
【0092】〔実施例4〕不飽和エステル(B)を合成
した。即ち、実施例1の反応器と同様の反応器に、グリ
シジルメタクリレート49部、ダイマー酸(ヘンケル白
水株式会社製,商品名・バーサダイム228)200
部、オクチル酸亜鉛(亜鉛の含有量15重量%)1.4
部、および、ハイドロキノン0.09部を仕込んだ。次
に、上記の混合物を空気を吹き込みながら攪拌して、1
15℃で2時間、エステル化反応(1)させた。これに
より、樹脂酸価が78mgKOH/gのカルボキシル基
含有不飽和化合物(c)を反応生成物として得た。この
反応生成物に、多官能エポキシ化合物(d)としてのフ
ェノールノボラック型エポキシ化合物(日本化薬株式会
社製,商品名・EPPN−201,平均エポキシ当量1
87)65部と、トリエチルアミン1.4部とを添加・
混合した。
【0093】そして、この混合物を空気を吹き込みなが
ら攪拌して、115℃で3時間、エステル化反応(2)
させた。これにより、ソリッド酸価が4.2mgKOH
/gの不飽和エステル(B)を反応生成物として得た。
この不飽和エステル(B)に、フェノキシエチルメタク
リレート314部を混合することにより、本発明にかか
るライニング用樹脂組成物を得た。該ライニング用樹脂
組成物は、樹脂酸価が2.1mgKOH/g、不揮発分
が50.0重量%、粘度が7.5ポイズであった。
【0094】得られたライニング用樹脂組成物を用い
て、実施例1と同様の測定等を行った。その結果、ライ
ニング用樹脂組成物の臭気は「無し」であり、硬化物の
引張強度は29MPa、引張伸び率は52.0%であっ
た。また、ライニング用樹脂組成物のタックフリー性は
「○」であり、ライニング層の接着力は31kg/cm
2 であった。結果を表1にまとめた。
【0095】〔実施例5〕不飽和エステル(B)を合成
した。即ち、実施例1の反応器と同様の反応器に、不飽
和化合物(a)としてのグリシジルメタクリレート37
部およびアリルグリシジルエーテル10部、ダイマー酸
(ヘンケル白水株式会社製,商品名・バーサダイム22
8)200部、オクチル酸亜鉛(亜鉛の含有量15重量
%)1.4部、並びに、ハイドロキノン0.09部を仕
込んだ。次に、上記の混合物を空気を吹き込みながら攪
拌して、115℃で2時間、エステル化反応(1)させ
た。これにより、樹脂酸価が78mgKOH/gのカル
ボキシル基含有不飽和化合物(c)を反応生成物として
得た。この反応生成物に、ビスフェノールA型エポキシ
化合物(チバ・ガイギー株式会社製,商品名・アダルダ
イドGY−250)64部と、トリエチルアミン1.4
部とを添加・混合した。
【0096】そして、この混合物を空気を吹き込みなが
ら攪拌して、115℃で3時間、エステル化反応(2)
させた。これにより、ソリッド酸価が3.0mgKOH
/gの不飽和エステル(B)を反応生成物として得た。
この不飽和エステル(B)に、フェノキシエチルメタク
リレート311部を混合することにより、本発明にかか
るライニング用樹脂組成物を得た。該ライニング用樹脂
組成物は、樹脂酸価が1.5mgKOH/g、不揮発分
が50.0重量%、粘度が6.6ポイズであった。
【0097】得られたライニング用樹脂組成物を用い
て、実施例1と同様の測定等を行った。その結果、ライ
ニング用樹脂組成物の臭気は「無し」であり、硬化物の
引張強度は5.0MPa、引張伸び率は66.0%であ
った。また、ライニング用樹脂組成物のタックフリー性
は「○」であり、ライニング層の接着力は22kg/c
2 であった。結果を表1にまとめた。
【0098】〔実施例6〕不飽和エステル(B)を合成
した。即ち、実施例1の反応器と同様の反応器に、グリ
シジルメタクリレート284部、多塩基酸(b)として
の1,12−(6−エチルドデカン)ジカルボン酸と
1,16−(6−エチルヘキサデカン)ジカルボン酸と
の混合物(岡村製油株式会社製,商品名・SB−20,
樹脂酸価328mgKOH/g)685部、オクチル酸
亜鉛(亜鉛の含有量15重量%)4.1部、および、ハ
イドロキノン0.4部を仕込んだ。次に、上記の混合物
を空気を吹き込みながら攪拌して、115℃で2時間、
エステル化反応(1)させた。これにより、樹脂酸価が
115mgKOH/gのカルボキシル基含有不飽和化合
物(c)を反応生成物として得た。この反応生成物に、
ビスフェノールA型エポキシ化合物(チバ・ガイギー株
式会社製,商品名・アダルダイドGY−250)374
部と、トリエチルアミン1.4部とを添加・混合した。
【0099】そして、この混合物を空気を吹き込みなが
ら攪拌して、115℃で3時間、エステル化反応(2)
させた。これにより、ソリッド酸価が5.0mgKOH
/gの不飽和エステル(B)を反応生成物として得た。
この不飽和エステル(B)に、フェノキシエチルメタク
リレート1,343部を混合することにより、本発明に
かかるライニング用樹脂組成物を得た。該ライニング用
樹脂組成物は、樹脂酸価が2.5mgKOH/g、不揮
発分が50.0重量%、粘度が5.5ポイズであった。
【0100】得られたライニング用樹脂組成物を用い
て、実施例1と同様の測定等を行った。その結果、ライ
ニング用樹脂組成物の臭気は「無し」であり、硬化物の
引張強度は12MPa、引張伸び率は50.0%であっ
た。また、ライニング用樹脂組成物のタックフリー性は
「○」であり、ライニング層の接着力は27kg/cm
2 であった。結果を表1にまとめた。
【0101】〔比較例1〕実施例1の反応および操作と
同様の反応および操作を行うことにより、不飽和エステ
ル(B)を合成した。この不飽和エステル(B)に、ス
チレンモノマー134部を混合することにより、比較用
のライニング用樹脂組成物を得た。該比較用ライニング
用樹脂組成物は、樹脂酸価が2.8mgKOH/g、不
揮発分が70.0重量%、粘度が11.0ポイズであっ
た。
【0102】得られた比較用ライニング用樹脂組成物を
用いて、実施例1と同様の測定等を行った。その結果、
比較用ライニング用樹脂組成物を硬化してなる硬化物の
引張強度は11MPa、引張伸び率は87.0%であっ
た。また、比較用ライニング用樹脂組成物のタックフリ
ー性は「○」であり、ライニング層の接着力は24kg
/cm2 であった。しかしながら、比較用ライニング用
樹脂組成物の臭気は「有り」であった。つまり、比較用
ライニング用樹脂組成物は、著しい臭気を発生した。結
果を表1にまとめた。
【0103】〔比較例2〕実施例1の反応器と同様の反
応器に、メタクリル酸214部、ビスフェノールA型エ
ポキシ化合物(東都化成株式会社製,商品名・エポトー
トYD−901,平均エポキシ当量454)1,136
部、トリエチルアミン5.8部、および、ハイドロキノ
ン0.27部を仕込んだ。次に、上記の混合物を空気を
吹き込みながら攪拌して、115℃で5.5時間、エス
テル化反応させた。これにより、ソリッド酸価が6.8
mgKOH/gの比較用の不飽和エステルを反応生成物
として得た。この比較用不飽和エステルに、フェノキシ
エチルメタクリレート1,350部を混合することによ
り、比較用のライニング用樹脂組成物を得た。該比較用
ライニング用樹脂組成物は、樹脂酸価が3.4mgKO
H/g、不揮発分が50.0重量%、粘度が38.2ポ
イズであった。
【0104】得られた比較用ライニング用樹脂組成物を
用いて、実施例1と同様の測定等を行った。その結果、
比較用ライニング用樹脂組成物の臭気は「無し」であ
り、硬化物の引張強度は84MPaであったが、引張伸
び率は5.4%であり、本発明にかかるライニング用樹
脂組成物を硬化してなる硬化物よりも劣っていた。ま
た、比較用ライニング用樹脂組成物のタックフリー性は
「×」であり、ライニング層の接着力は12kg/cm
2 であり、本発明にかかるライニング用樹脂組成物並び
にライニング層よりも劣っていた。結果を表1にまとめ
た。
【0105】
【表1】
【0106】上記実施例1〜6および比較例1・2の結
果から明らかなように、本発明にかかるライニング用樹
脂組成物は、比較用のライニング用樹脂組成物と比較し
て、低臭気であり、しかも、硬化物が各種物性に優れて
いることがわかる。
【0107】
【発明の効果】本発明の請求項1記載のライニング用樹
脂組成物は、以上のように、分子内にエポキシ基を1つ
有する不飽和化合物(a)と、分子内にカルボキシル基
を2つ以上有すると共に、炭素数12以上の非芳香族炭
化水素基を有する多塩基酸(b)とをエステル化反応
(1)させてなる不飽和エステル(A)、並びに、分子
量が150以上で分子内に(メタ)アクリロイル基を1
つ有する重合性不飽和単量体、を含む構成である。
【0108】本発明の請求項2記載のライニング用樹脂
組成物は、以上のように、分子内に炭素数12以上の非
芳香族炭化水素基を有すると共に、カルボキシル基を少
なくとも1つ有するカルボキシル基含有不飽和化合物
(c)と、多官能エポキシ化合物(d)とをエステル化
反応(2)させてなる不飽和エステル(B)、並びに、
分子量が150以上で分子内に(メタ)アクリロイル基
を1つ有する重合性不飽和単量体、を含む構成である。
【0109】本発明の請求項3記載のライニング用樹脂
組成物は、以上のように、分子内に炭素数12以上の非
芳香族炭化水素基を有すると共に、カルボキシル基を少
なくとも1つ有するカルボキシル基含有不飽和化合物
(c)と、多官能エポキシ化合物(d)と、不飽和一塩
基酸(e)とをエステル化反応(3)させてなる不飽和
エステル(C)、並びに、分子量が150以上で分子内
に(メタ)アクリロイル基を1つ有する重合性不飽和単
量体、を含む構成である。
【0110】本発明の請求項4記載のライニング用樹脂
組成物は、以上のように、上記重合性不飽和単量体が、
一般式(I)
【0111】
【化4】
【0112】(式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水
素原子またはメチル基を表し、nは1〜5の正数を表
す)で表される化合物である構成である。
【0113】これにより、低臭気のライニング用樹脂組
成物を提供することができるという効果を奏する。該ラ
イニング用樹脂組成物は、施工時に発生する臭気が少な
いか、若しくは、殆ど感じられない程度であるので、作
業環境を良好な状態に保つことができると共に、施工現
場の周囲(環境問題)も良好な状態に保つことができ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分子内にエポキシ基を1つ有する不飽和化
    合物(a)と、分子内にカルボキシル基を2つ以上有す
    ると共に、炭素数12以上の非芳香族炭化水素基を有す
    る多塩基酸(b)とをエステル化反応(1)させてなる
    不飽和エステル(A)、並びに、 分子量が150以上で分子内に(メタ)アクリロイル基
    を1つ有する重合性不飽和単量体、を含むことを特徴と
    するライニング用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】分子内に炭素数12以上の非芳香族炭化水
    素基を有すると共に、カルボキシル基を少なくとも1つ
    有するカルボキシル基含有不飽和化合物(c)と、多官
    能エポキシ化合物(d)とをエステル化反応(2)させ
    てなる不飽和エステル(B)、並びに、 分子量が150以上で分子内に(メタ)アクリロイル基
    を1つ有する重合性不飽和単量体、を含むことを特徴と
    するライニング用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】分子内に炭素数12以上の非芳香族炭化水
    素基を有すると共に、カルボキシル基を少なくとも1つ
    有するカルボキシル基含有不飽和化合物(c)と、多官
    能エポキシ化合物(d)と、不飽和一塩基酸(e)とを
    エステル化反応(3)させてなる不飽和エステル
    (C)、並びに、 分子量が150以上で分子内に(メタ)アクリロイル基
    を1つ有する重合性不飽和単量体、を含むことを特徴と
    するライニング用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】上記重合性不飽和単量体が、一般式(I) 【化1】 (式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水素原子または
    メチル基を表し、nは1〜5の正数を表す)で表される
    化合物であることを特徴とする請求項1、2または3記
    載のライニング用樹脂組成物。
JP578597A 1997-01-16 1997-01-16 ライニング用樹脂組成物 Withdrawn JPH10195149A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP578597A JPH10195149A (ja) 1997-01-16 1997-01-16 ライニング用樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP578597A JPH10195149A (ja) 1997-01-16 1997-01-16 ライニング用樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10195149A true JPH10195149A (ja) 1998-07-28

Family

ID=11620769

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP578597A Withdrawn JPH10195149A (ja) 1997-01-16 1997-01-16 ライニング用樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10195149A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004143393A (ja) * 2002-08-27 2004-05-20 Dainippon Ink & Chem Inc 樹脂組成物
WO2011048970A1 (ja) * 2009-10-23 2011-04-28 Dic株式会社 ラジカル硬化性樹脂組成物、それを用いた舗装材、及び舗装構造体

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004143393A (ja) * 2002-08-27 2004-05-20 Dainippon Ink & Chem Inc 樹脂組成物
WO2011048970A1 (ja) * 2009-10-23 2011-04-28 Dic株式会社 ラジカル硬化性樹脂組成物、それを用いた舗装材、及び舗装構造体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US3882187A (en) Radiation curable epoxy ester-saturated alkyd compositions
JPS6211006B2 (ja)
JPH10195149A (ja) ライニング用樹脂組成物
JP3667385B2 (ja) 硬化性樹脂組成物
JP2672315B2 (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物
JP3019412B2 (ja) ビニルエステル樹脂組成物
JP3144868B2 (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物
JP4066243B2 (ja) ラジカル硬化性樹脂組成物及びそれを含む土木建築用材料
JP3244077B2 (ja) ビニルエステル樹脂組成物
JP4947333B2 (ja) 電気絶縁用樹脂組成物及びそれを用いた電気機器絶縁物の製造方法
JP2003040954A (ja) ラジカル重合性樹脂組成物
JP4768161B2 (ja) ラジカル重合性樹脂組成物
JPH1087764A (ja) ビニルエステル樹脂組成物及びこれを用いたコンクリートライニング材
JP3585639B2 (ja) ライニング用組成物
JP2002080545A (ja) ラジカル重合性樹脂組成物
JP3625485B2 (ja) セメント性基材の保護方法および表面保護されたセメント性基材
JP2891088B2 (ja) 貯蔵安定性に優れたコンクリートまたはモルタル保護材料
JP4697511B2 (ja) 樹脂組成物、電気絶縁用樹脂組成物及び電気機器絶縁物の製造方法
JPH10287788A (ja) シラップ組成物、及びこれを用いた樹脂モルタル又はコンクリート、並びにライニング材
JP7424500B2 (ja) 光硬化型ライニング材用樹脂組成物、光硬化型ライニング材、及びその硬化物
JPH05230423A (ja) 接着剤組成物およびアスファルト複合被覆構造体
JP2002060607A (ja) 防水材組成物、防水被覆構造体、およびその施工方法
JP3536083B2 (ja) 硬化性樹脂組成物、それを用いた塗料組成物およびそれらの硬化方法
JP3585640B2 (ja) レジンコンクリート用組成物およびレジンコンクリート
JP4427741B2 (ja) 樹脂組成物、電気絶縁用樹脂組成物及び電気機器絶縁物の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20040107

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20040107

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20040107

A761 Written withdrawal of application

Effective date: 20051017

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761