JPH10191582A - 電気エネルギ制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】電力系統の信頼性を確保した上で、電力の売買
を効率的に行える制御装置を提供する。 【解決手段】電気エネルギ制御装置は外部から電気エネ
ルギを購入し貯蔵するシステムにおいて、電力系統の信
頼性を判断した上でより安価な料金を設定する購入相手
先から電気エネルギを購入する手段を備え、また貯蔵さ
れた電気エネルギを電力系統の信頼性を判断した上で販
売価格がより高くなる販売相手先に電気エネルギを販売
する手段を備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は電気エネルギ制御装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、電気エネルギは特定の電気会社よ
り供給を受けており買い入れ費用を低減する装置として
は特開平5−292874 号公報に示されているように購入単
価が時間帯別に変化する場合に対応する装置が知られて
いる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の技術で
は単に電気エネルギの購入量を制御するのみであり、電
気エネルギの販売量の制御には対応していなかった。
又、電力系統の信頼性を確保する制御には対応していな
かった。本発明は電気エネルギの売買を電力系統の信頼
性を考慮しかつ電気エネルギの購入，販売を効率的に行
うことを可能にすることを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明の電気エネルギ制
御装置は外部から電気エネルギを購入し貯蔵するシステ
ムにおいて、電力系統の信頼性を判断した上でより安価
な料金を設定する購入相手先から電気エネルギを購入す
る手段を備え、また本発明の電気エネルギ制御装置は貯
蔵された電気エネルギを電力系統の信頼性を判断した上
で販売価格がより高くなる販売相手先に電気エネルギを
販売する手段を備えることを要旨とする。さらに本発明
の電気エネルギ制御装置は電気エネルギの買い取り価格
を系統信頼度を考慮して決定する手段を備えることを要
旨とする。

【０００５】本発明は以上の構成を備えているので、電
気エネルギ購入時において電力系統の信頼が確保された
上で、購入料金の低減を可能にし、また貯蔵した電気エ
ネルギを電気系統の信頼性を確保した上で販売利益を増
大することを可能にする。

【０００６】さらに本発明は系統の信頼度を考慮して買
い取り価格を決定する手段を備えているので、電力系統
の信頼性を向上させることを可能にする。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を説明す
る。

【０００８】図１は電力売買制御装置のブロック図を示
す。電力売買制御装置は通信装置１０１と計算機１０２
と制御装置１０３と蓄電池１０４と発電装置１０５を備
えている。通信装置１０１はコンピュータネットワーク
を介して購入相手先あるいは販売相手先の電気料金の情
報や電力系統の周波数，電圧，潮流といった系統情報の
データ通信を行う。計算機１０２は通信装置１０１より
得られた情報と購入予定電力量あるいは販売予定電力量
から信頼度計算を実行し、系統信頼度を確保した上で最
も大きな利益となる購入相手先，販売相手先を決定す
る。制御装置１０３は計算機１０２の決定に従い、購入
電力量，販売電力量を調整し又、良質の電気を販売する
ため周波数，電圧等の調整を行う。蓄電池１０４は外部
から購入した電気あるいは内部で発電した電気を貯蔵す
る装置であり、必要に応じて外部あるいは内部に電気を
供給する。発電装置１０５は電気を発電し、発電した電
気を蓄電池あるいは内部で消費する。

【０００９】次に、第一実施例について説明する。図２
は購入制御処理のフローチャートである。これは計算機
１０２により電力購入時毎に起動される。購入制御処理
の起動時は、まず購入電力量を設定する（２０１）。購
入電力量は消費電力と蓄電池１０４の充電許容量の合計
を超えない量を設定する。次に購入料金の安い購入相手
先を選択する（２０２）。これは設定された購入電力量
に対して複数の購入相手先より購入単価の最も安くなる
購入相手先を選択する。次に電力系統の信頼性の確認を
実行する（２０３）。これは潮流計算に基づいた電力購
入時の系統シミュレーションを実行し、購入相手先との
送電経路を中心とした特定の領域についても過負荷，電
圧異常等の信頼性の問題は発生しないか判定する。もし
信頼性が確保できなければ、次に購入単価の安い購入相
手先に購入相手先を変更し(204）、再度電力系統信頼性
の確認を行う。以上を系統の信頼性が確保されているこ
とを確認するまで繰り返し実行する（２０３，２０
４）。系統の信頼性を確認した時、その時点で選択され
ている購入相手先に対し電力の購入を開始する。

【００１０】第一実施例により、系統の信頼性を確保し
た上で、かつ購入単価の安い購入相手先から電力を購入
することができ、系統の信頼性の向上と電力料金の低減
を可能にする。

【００１１】次に第二実施例について説明する。図３は
販売制御処理のフローチャートである。これは計算機１
０２により電力販売時毎に起動される。販売制御処理の
起動時、まず蓄電池１０４に充電されている電力量を超
えない範囲で販売電力量を設定する（３０１）。次に販
売相手先を選択する（３０２）。これは設定された販売
電力量に対して複数の販売相手先より販売単価の最も高
くなる販売相手先を選択する。次に電力系統の信頼性の
確認を実行する（３０３）。これは潮流計算に基づいた
電力販売時の系統シミュレーションを実行し、販売相手
先との送電経路を中心とした特定の領域について過負
荷，電圧異常等の信頼性の問題は発生しないか判定す
る。もし信頼性を確保できなければ、次に販売価格を高
くする事ができる販売相手先に販売相手先を変更し(３
０４)、再度信頼性の確認を行う。以上を系統の信頼性
が確保されていることを確認するまで繰り返し実行する
（３０３，３０４）。系統の信頼性を確認した時、その
時点で、選択されている販売相手に対し電力の販売を開
始する（３０５）。

【００１２】以上に説明した第二実施例により系統の信
頼性を確保した上で最も販売価格が高くなる販売相手先
を選択することが可能となり、系統の信頼性の向上と販
売利益の増大をはかれる。

【００１３】次に第三実施例について説明する。図４は
本発明が適用される電力系統の概略を示したものであ
る。電力系統４０１と電力系統４０２は送電線４０３に
より連係されている。通信装置４０６は通信網４０４，
４０５を介して電力系統４０１，４０２の電圧や電流な
どの系統情報を周期的に取り込む。計算機４０７は通信
装置４０６を介して得られる系統情報に基づいて電力買
い取り価格の算出を実行する。

【００１４】ここで、送電線４０３に、故障、例えば落
雷などによるルート断が発生し、電力系統４０２にＰ
［ＭＷ］の電力供給支障が生じた場合の電力買い取り価
格の決定処理について説明する。このとき、ルート断発
生以前の買い取り価格はＣ［円］であったとする。

【００１５】図５は買い取り価格決定処理のフローチャ
ートである。これは計算機４０７によって、電力購入時
毎に実行される。買い取り価格決定処理の起動時、電力
の購入を行う電力系統を電力系統４０２としたとき電力
系統４０２について電力供給支障量Ｐ［ＭＷ］を算出す
る（５０２）。これは、通信装置４０６を介して得られ
る電力系統４０２の総負荷と発電量の差により算出され
る。そして供給支障量Ｐ［ＭＷ］に基づいて買い取り価
格の計算を実行する（５０３）。買い取り価格は、「買
い取り価格＝Ｃ＋Ｐ×α」の演算式により算出される。
ここで、係数αは各購入元で設定されているものとす
る。以上により買い取り価格が決定される。供給支障量
が多いと買い取り価格が高くなり、電力系統４０２への
電力の供給が増加するため、供給支障量の解消を促進す
ることが可能となる。

【００１６】以上の第三実施例により系統の信頼性を考
慮した購入価格の決定が可能となり、上記の場合、供給
支障量の変化に従って購入料金を変更しているため、供
給支障の解消を促進することが可能となる。

【００１７】次に第四実施例について説明する。図６は
本発明が適用される住宅電力売買制御装置のブロック図
である。住宅電力売買制御装置は住宅６０１に計算機６
０２と蓄電池６０３とインバータ６０４と太陽電池６０
５と電力会社６０８に計算機６０９とＩＰＰ（独立系発
電事業者）６１０に計算機６１１と計算機６０２と６０
９と６１０を結ぶインターネット６０７と住宅６０１と
連係している電力系統６０６から構成されている。蓄電
池６０３には外部から購入される電力と太陽電池６０５
により発電された電力が蓄えられる。

【００１８】電力購入時では計算機６０２へ購入電力量
を設定する。計算機６０２は電力会社６０８に設置され
ている計算機６０９とIPP610に設置されている計算機６
１１からインターネット６０７を介して購入価格に関す
る情報を受け取り、最も購入価格が高くなる購入相手先
を選択する。ここで、IPP610からの購入価格が電力会社
６０８からの購入価格より高い場合、IPP610を購入相手
先として選択する。次に、選択された購入相手先（IPP6
10）との送電経路に関して電力会社６０８の計算機６０
９より得られる系統情報に基づいて潮流計算により線路
過負荷と電圧異常のチェックを行う。もし、IPP610と住
宅６０１との電力のやりとりのため線路過負荷あるいは
電圧異常等が発生するようであれば、次に購入価格の高
い購入相手先（電力会社６０８）を購入相手先として選
択し、再度電力系統の信頼性の確認を行う。系統の信頼
性が確認されれば電力会社６０８から電力を購入する。

【００１９】電力販売時においては計算機６０２へ販売
電力量を設定する。計算機６０２は電力会社６０８に設
置されている計算機６０９とIPP610に設置されている計
算機６１１からインターネット６０７を介して販売価格
に関する情報を受け取り、最も販売価格が安くなる販売
相手先を選択する。ここで、IPP610からの販売価格が電
力会社６０８からの販売価格が安い場合、IPP610を販売
相手先として選択する。次に、選択された販売相手先と
の送電経路に関して電力会社６０８の計算機６０９より
得られる系統情報に基づいて潮流計算による線路過負荷
と電圧異常のチェックを行う。もし、IPP610と住宅６０
１との電力のやりとりのため線路過負荷が発生するよう
であれば、次に購入価格の安い電力会社６０８を販売相
手先として選択し、再度電力系統の信頼性の確認を行
う。ここで、系統の信頼性が確認されれば電力会社６０
８から電力を購入する。

【００２０】ここで、電力会社６０８とIPP610で提示さ
れている買い取り電力料金は住宅６０１が含まれる電力
系統内での供給支障量に基づき算出され、供給支障が発
生している場合は供給支障が発生していない場合より高
い買い取り料金が設定されている。

【００２１】以上の第五実施例により、電力売買者にと
って系統信頼性を確保したうえで、電力売買の利益を上
げられるという効果を得る。また、供給支障発生時は買
い取り料金を高く設定しているため、電力の供給が促進
され、供給支障の早期解消が促進される。

【００２２】

【発明の効果】本発明の電力売買制御装置は購入相手先
に対応して電力系統の信頼性を判定する手段を備えてい
るため、安定に電気エネルギを購入することが可能であ
り、かつ価格の異なる複数の購入相手先の中から購入料
金の安い購入相手先を選択し電力を購入する手段を備え
ているので、購入料金の低減が可能となる。又、貯蔵し
た電気エネルギを販売価格の高くなる販売相手先に対し
販売する手段を備えているため高い利益を上げることが
可能となり、かつ電気エネルギ販売時に電力系統の信頼
性を判断するので電力系統の信頼性を維持することが可
能となる。又、電力系統の信頼性を考慮して購入価格を
設定する手段を備えているため、電力系統への電力供給
量を制御することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第一実施例のブロック図。

【図２】購入制御処理のフローチャート。

【図３】販売制御処理のフローチャート。

【図４】本発明の第三実施例によるブロック図。

【図５】買い取り価格決定処理のフローチャート。

【図６】本発明の第四実施例によるブロック図。

【符号の説明】

１０１…通信装置、１０２…計算機、１０３…制御装
置、１０４…蓄電池、１０５…発電装置。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 紺野 伸一 茨城県日立市大みか町五丁目２番１号 株 式会社日立製作所大みか工場内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】外部から電気エネルギを購入し貯蔵するシ
   ステムにおいて電力系統の信頼性を考慮しかつより安価
   な料金を設定する購入相手先より電気エネルギを購入す
   る手段を備える電気エネルギ制御装置。
2. 【請求項２】請求項１において、貯蔵された電気エネル
   ギを電力系統の信頼性を考慮した上で、かつ販売価格を
   より高く設定できる販売相手先へ販売する手段を備える
   電気エネルギ制御装置。
3. 【請求項３】請求項１において電気エネルギの買い取り
   価格を系統信頼度を考慮して決定する手段を備える電気
   エネルギ制御装置。