JP2007108933A - 電力の取引への入札を行う仲介サーバ - Google Patents

電力の取引への入札を行う仲介サーバ Download PDF

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Abstract

【課題】電気事業者が売りの入札を行う際に、入札量を大きくできるようにする仲介サーバを提供することを目的とする。
【解決手段】PPS40の仲介サーバ40dは、PPS40からのPPS入札データおよび需要家20〜22からの需要家入札データを受け取り、これらに含まれる売買量を、各時間帯および各約定価格について総和する。仲介サーバ40dは、この総和に基づいて共同入札データを作成する。仲介サーバ40dは、この共同入札データによって電力取引所60における電力の取引への入札を行う。
【選択図】図2

Description

この発明は、電力の取引への入札を行う仲介サーバに関する。
商用電力系統を介した電気の需給に関連し、電力の売買取引が行われている。この取引は、実質的に電力取引所を介する必要があり、一般電気事業者以外にも、ある程度の容量の発電設備を有する特定規模電気事業者が取引に参加している。
このような電力の取引の例は、非特許文献1および2に開示される。
総合資源エネルギー調査会電気事業分科会事務局、"総合資源エネルギー調査会電気事業分科会報告"、[online]、平成15年2月、総合資源エネルギー調査会電気事業分科会事務局、[平成17年9月12日検索]、インターネット<URL:http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g30226dj.pdf> 日本卸電力取引所、"取引ガイド Ver. 1.40"、[online]、平成16年、日本卸電力取引所、[平成17年9月12日検索]、インターネット<URL:http://www.jepx.org/doc/Guide_1.40.pdf>
しかしながら、従来の電力の取引において、電気事業者が売りの入札を行う際、その対象は自身が直接的に運用できる発電設備によって発電される電力に限定され、また、入札するためには規定の入札量(kW値)以上が必要となり、この規定容量以下の発電設備を有する者は、入札できないという問題がある。
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、電気事業者が売りの入札を行う際に、入札条件を満たさない電力量しか供給できない者からも入札量を取りまとめることで、入札量をより大きくできるようにすることを目的とする。
上述の問題点を解決するため、この発明に係る仲介サーバは、電力の取引への入札を行う仲介サーバであって、電源を有する複数の需要家にそれぞれ関連する、電気の売りの量または買いの量を含む複数の需要家入札データを入力として受け取り、取引における取引単位ごとに、複数の需要家データに含まれる売りの量または買いの量について総和を算出し、総和に基づいて、共同入札データを作成し、共同入札データを外部に送信することによって入札を行う。
仲介サーバはさらに、入札に関連する約定結果としての約定価格および約定量を入力として受け取り、約定価格と共同入札データとに基づいて、複数の需要家に対する需要家約定価格および需要家約定量を算出し、需要家約定価格および需要家約定量を複数の需要家に送信し、需要家約定価格および需要家約定量に基づいて、電源の出力内容を指示する出力指示データを作成し、出力指示データを複数の需要家に送信し、約定価格、約定量、需要家約定価格、および需要家約定量に関連する決済を指示する決済指示データを作成し、決済指示データを外部に送信してもよい。
この発明に係る仲介サーバは、入札を行う電気事業者以外の者の入札データを含む共同入札データの作成を行い、これを用いて入札を行うので、電気事業者が売りの入札を行う際に、入札量を大きくすることができる。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る商用電力系統10の構成を示す。商用電力系統10は、需要家20〜23を含み、これが消費する電力の全てまたは一部を供給する。ここで、本実施の形態においては需要家20〜23は電気事業者ではないが、これらは電気事業者であってもよい。また、商用電力系統10は、発電所として、火力発電所30および原子力発電所31などの大規模電源を含む。この他の発電方式、すなわち水力、風力、太陽光発電等による発電所を含んでもよい。
また、商用電力系統10は、PPS(Power Producer and Supplier、特定規模電気事業者)40を含む。PPS40は、発電設備を有する電気事業者であり、商用電力系統10を介して、電力供給契約の締結先に電力を供給する。
需要家20は、電源20bを備え、これにより発電する電力および商用電力系統10から供給される電力を消費する負荷20aをも備える。電源20bは、たとえばガスエンジンを使用する発電機であるが、これはガスタービンや重油ディーゼルエンジン等を使用する発電機であってもよく、燃料電池であってもよい。また、蓄電池を電源として使用するものであってもよい。さらに、非常用電源が電源20bとして使用されてもよい。
また、需要家20は、商用電力系統10における高圧たとえば6,600Vの電力と、需要家20における低圧たとえば100Vまたは200Vの電力とを互いに変圧する、変圧器20cを備える。
需要家21および22も、それぞれ、同様の負荷21aおよび22a、電源21bおよび22b、変圧器21cおよび22cを備える。
需要家23は、商用電力系統10から供給される電力を消費する負荷23aと、商用電力系統10から高圧で供給される電力を低圧に変圧して負荷23aに供給する変圧器23cとを備える。
需要家20〜22は、電力の需給契約をPPS40との間で結んでおり、商用電力系統10から供給される電力は、契約上はPPS40から供給されるものとして扱われる。
ここで、たとえば、需要家20の契約電力は5,000kWであり、負荷20aの最大消費電力は5,500kWであり、電源20bの最大供給電力は800kWであるとする。
負荷20aの最大消費電力(5,500kW)が契約電力(5,000kW)を超過しているので、需要家20では超過分に応じて電源20bの出力を制御し、商用電力系統10から供給される電力が契約電力(5,000kW)を超過しないように調整する。たとえば、負荷20aの消費電力が5,500kWとなる時間帯では、電源20bの出力が500kW以上となるように制御する。
この時間帯において、電源20bの出力を500kWとすれば、PPS40から供給される電力は5,000kWとなる。また、電源20bの出力をより大きくして800kWとすれば、すなわちフル稼動の状態とすれば、PPS40から供給される電力は減少して4,700kWとなる。つまり、需要家20が電源20bの出力を300kWだけ増加させることにより、PPS40の供給余力が同じく300kWだけ増加することになる。
同様にして、需要家21および22についても、それぞれの電源21bおよび22bの最大供給電力を800kWとし、その出力が0から最大供給電力まで変動することにより、PPS40の供給余力が変動する。なお、電源21bおよび22bの最大供給電力は、それぞれ電源20bとは異なる値であってもよい。
図2は、商用電力系統10における電力の取引を仲介するコンピュータである、仲介サーバ40dを含む構成を示す。仲介サーバ40dは、PPS40が有するものであり、ネットワーク50に通信可能に接続されている。
ネットワーク50には、需要家20〜22が電力の取引に関連して使用するコンピュータである端末20d〜22dが通信可能に接続されている。
また、ネットワーク50には、電力取引所60の、コンピュータを含む取引システム60dが通信可能に接続されている。電力取引所60は、現物としての電気を商品として取引を行う取引所であり、取引システム60dはこの取引に関連する処理を行っている。
さらに、ネットワーク50には、PPS40および需要家20〜22の口座が設けられる、銀行等の金融機関90〜92の図示されないデータ受信装置が通信可能に接続されている。
電力取引所60は、たとえば日本卸電力取引所であり、様々な形態での電力の取引を扱う市場を提供する。この市場は、定型化された商品の取引を行うスポット市場および先渡定型市場と、自由な取引を行う先渡掲示板市場とを含む。スポット市場は翌日受渡しの電力の取引を行う場であり、先渡定型市場は一定期間後に受渡しを行う電力の取引を行う場であり、先渡掲示板市場は掲示板への自由な書き込みによる取引の場である。
電力取引所60におけるこれらの取引はすべて、取引システム60d上で行われる。
実施の形態1は、スポット市場に関連する。このスポット市場では、1日を30分単位の48時間帯に分割し、各時間帯について電気を取引する。入札者は、各時間帯について、入札価格と量との組み合わせを取引システム60dに送信することにより入札に参加する。
図3は、このようなスポット市場の取引への入札として、仲介サーバ40dから取引システム60dへと送信される共同入札データの内容の例であり、PPS40が約定価格に応じて希望する売買量を表す。価格の単位は円であり、量の単位は1,000kWh/hであり、買いの量を正数で表す。黒塗り三角記号は負数すなわち売りの量を表す。なお、最低取引量すなわち入札量の最小単位は1,000kWh/hである。ここで、kWh/hとは1時間あたりのkWh数を表し、たとえば1,000kWh/hの電気を30分間需給する取引の場合、取引される電気は500kWhとなる。また、価格の最小単位は0.01円である。
「取引希望エリア」は、PPS40が電気の受け渡しをする場所を表す。これは、取引システム60dが送電線の利用状況等を考慮して電気が実際に受け渡し可能かどうかを判定するために使用される。
時間帯1では価格および量の組合せが複数指定されているが、これはPPS40が希望する売買量が約定価格に応じて異なることを表す。これは、00:00〜00:30の30分間において、約定価格が5.03円以下であれば20,000kWh/hの買いを入札し、約定価格が5.03円より高く7.45円以下であれば12,000kWh/hの買いを入札し、約定価格が7.45円より高く9.00円より安ければ入札を行わず、約定価格が9.00以上であれば5,000kWh/hの売りを入札する、という入札である。
同様に、時間帯2における指定は、00:30〜01:00の30分間において、約定価格が8.87円以下なら20,000kWh/hの買いを入札することを表し、時間帯3における指定は、01:00〜01:30の30分間において、約定価格が8.50円以上なら20,000kWh/hの売りを入札することを表す。
なお、時間帯によっては入札の指定がない場合もある。
本実施の形態において、需要家20〜22は、端末20dを介してPPS40の仲介サーバ40dと通信し、PPS40に対して入札を行う。仲介サーバ40dは、需要家20〜22の端末20d〜22dと通信し、それぞれの入札をとりまとめ、その結果に基づいて電力取引所60の取引システム60dに対する入札を行う。すなわち、需要家20〜22は、PPS40を介して、間接的に電力取引所60に対する入札を行うことになる。
ただし、電力取引所60に対して直接の取引を行うのはPPS40であるため、取引に関する手数料はすべてPPS40に対して課金され、需要家20〜22に対しては課金されない。
図4は、スポット市場の取引への間接的な入札として、需要家20〜22の端末20d〜22dからそれぞれ仲介サーバ40dへと送信される需要家入札データの内容の例であり、需要家20〜22が約定価格に応じて希望する売買量を表す。
図4において、「需要家名」は需要家20〜22にそれぞれ対応する名称である。その他の表記の意味は図3と同様であるが、最低取引量すなわち入札量の最小単位は1,000kWh/hより小さく、需要家20〜22の需給状況に応じて決められる。本実施形態では、この値は100kWh/hであり、これに対応して入札量の数値入力は0.1単位で可能である。
また、図4の需要家入札データでは、図3の入札データと同様に、約定価格は0.01円単位で指定される。ただし、PPS40および需要家20〜22の間で売買量の集約がより効率的に行われるように、より粗い単位、たとえば1円単位でのみ指定可能であってもよい。
図5に示すフローチャートを用いて、PPS40がスポット市場への入札を行う際に仲介サーバ40dが実行する処理の流れを説明する。
まず、仲介サーバ40dは、キーボード等の入力装置あるいはネットワーク50を介して、PPS40の入札データであるPPS入札データを入力として受け取る(ステップS1)。このPPS入札データの形式は図3に示す形式と同様である。
次に、仲介サーバ40dは、需要家20〜22から、ネットワーク50を介して送信される、需要家20〜22の入札データである、図4に示すような需要家入札データを入力として受信する(ステップS2)。
次に、仲介サーバ40dは、PPS入札データおよび各需要家入札データに基づき、図3に示すものと同形式の共同入札データを作成する(ステップS3)。ここで、共同入札データは、電力取引所60における取引単位、すなわち各時間帯および各約定価格について、売買量の総和を算出することによって作成される。すなわち、売買量を集約することによって作成される。
図6を用いて、この集約の方法を説明する。たとえば00:00〜00:30の時間帯について、8.00円以上の約定価格で、PPS入札データでは5,000kWh/hの売り、需要家20〜22の各需要家入札データではそれぞれ400kWh/hの売り、400kWh/hの売り、200kWh/hの売りが指定されているとする。この場合、共同入札データでは、00:00〜00:30の時間帯について、8.00円以上の約定価格で、総和である6,000kWh/hの売りが、たとえば組合せ1として指定されることになる。
また、同じく00:00〜00:30の時間帯について、9.00円以上の約定価格で、PPS入札データでは8,000kWh/hの売り、需要家20〜22の各需要家入札データではそれぞれ800kWh/hの売り、600kWh/hの売り、600kWh/hの売りが指定されているとする。この場合、共同入札データでは、9.00円以上の約定価格で、総和である10,000kWh/hの売りが、たとえば組合せ2として指定されることになる。
次に、仲介サーバ40dは、このように作成される共同入札データを、取引システム60dに対し、ネットワーク50を介して、出力として送信する(ステップS4)。これによって、PPS40から電力取引所60に対する入札がなされる。
その後、図5には示されないが、取引システム60dがPPS40の仲介サーバ40dからの共同入札データおよびその他の事業者等からの入札データを受信し、これらに基づいて約定処理を行い、各時間帯について約定価格および約定量を決定する。この約定処理は、周知の取引市場で行われる処理であり、たとえば「売り」の量・価格線と「買い」の量・価格線を作成し、その交点を求めることによって行われる。
約定処理の後、取引システム60dは、各時間帯の約定価格および約定量を含む約定結果データを仲介サーバ40dに送信する。ここでは、たとえば00:00〜00:30の時間帯について、図6に示す共同入札データの組合せ1に基づき、8.50円の約定価格で、6,000kWh/hの売りが成立したとする。
仲介サーバ40dは、取引システム60dから、ネットワーク50を介して送信される、約定結果データを入力として受信する(ステップS5)。
次に、仲介サーバ40dは、各時間帯について、約定結果データに含まれる約定価格に対応する、共同入札データの組合せを検索する(ステップS6)。たとえば00:00〜00:30の時間帯については、図6の組合せ1が「8.00円以上」という価格指定であり、8.50円という約定価格はこれに該当するので、組合せ1が検索の結果として得られる。
次に、仲介サーバ40dは、端末20d〜22dに対し、それぞれ需要家20〜22の各時間帯についての約定結果を含む約定通知を、ネットワーク50を介して、需要家20〜22に対して出力として送信する(ステップS7)。この約定通知は、約定価格と、ステップS6で得られた組合せとに基づいて算出される。たとえば00:00〜00:30の時間帯については、需要家20〜22それぞれに対し、約定価格8.50円で400kWh/hの売り、約定価格8.50円で400kWh/hの売り、約定価格8.50円で200kWh/hの売りを指定する約定通知が送信される。
このように、ステップS7において、仲介サーバ40dは、各需要家に対する需要家約定価格および需要家約定量を算出し、これらを端末20d〜22dに送信する。
次に、仲介サーバ40dは、需要家約定価格および需要家約定量に基づいて、電源20b〜22bの出力内容を指示する出力指示データを作成し、この出力指示データを、それぞれ端末20d〜22dに送信する(ステップS8)。
電源20b〜22bの出力の制御は、端末20d〜22dを介して出力指示を受け取った操作員が行う。または、電源20b〜22bは、それぞれネットワーク50に通信可能に接続された制御装置を有してもよく、この制御装置が出力指示を受信し、これに応じて、対応する電源20b〜22dの出力を制御してもよい。
なお、PPS40および需要家20〜22は、同一の商用電力系統10に対して電力を供給する。このため、電力の需給関係については、需要家20〜22が商用電力系統10に対して電力を供給すると解釈することもでき、需要家20〜22がPPS40に対して電力を供給し、PPS40がこの供給を受けて供給余力を増やし、この供給余力を商用電力系統10に対して供給すると解釈することもできる。
次に、仲介サーバ40dは、約定に関する決済を金融機関90〜92に依頼することにより、精算を行う(ステップS9)。ステップS9において、仲介サーバ40dは、上記の約定価格、約定量、需要家約定価格、および需要家約定量に関連する決済を指示する決済指示データを作成し、この決済指示データを金融機関90〜92に送信することによってこの精算を行う。この決済指示データは、周知の決済プロトコル、たとえばEDI(Electronic Data Interchange、電子データ交換)プロトコルに従うものである。
このステップS9における精算は、たとえば上記の約定に関する約定価格、約定量、需要家約定価格、および需要家約定量の精算のみを行うものであるが、その他の精算を含んでもよい。たとえば、電力取引所60における手数料を、PPS40と、その取引に間接的に参加した需要家20〜22との間で分担する精算を含んでもよい。また、電力取引所60が課金する手数料とは異なる料金を、PPS40が需要家20〜22に課金してもよく、この手数料の精算を含んでもよい。
このように、実施の形態1においては、仲介サーバ40dが、PPS40からのPPS入札データおよび需要家20〜22からの需要家入札データに含まれる売買量を集約し、これに基づいて共同入札データを作成するので、電気事業者が売りの入札を行う際に、入札量を大きくすることができる。
また、仲介サーバ40dが、需要家20〜22からの需要家入札データに基づいて共同入札データを作成するので、電気事業者でない需要家20〜22が電力の取引に参加することができる。
また、需要家20〜22の電源20b〜22bの最大供給電力はそれぞれ800kWであり、電力取引所60の最低取引量である1,000kWh/hを供給することができない。にもかかわらず、上記のように、仲介サーバ40dにおいて売買量が集約されるので、1,000kWh/h未満の量でも売りの入札が可能となり、間接的に電力取引所60における売りの入札に参加することができる。
同様に、PPS40の最大供給電力が1,000kWh/h未満である場合でも、需要家入札データの売買量との集約が行われるので、その結果が1,000kWh/h以上となれば売りの入札に参加することができる。
さらに、買いの入札について、PPS40または需要家20〜22の需要に対して電力取引所60の最低取引量が比較的大きい単位である場合は、それぞれ単独の入札では最適量の電力を買うことは困難である。これに対し、実施の形態1における仲介サーバ40dは、PPS入札データおよび需要家入札データの売買量を集約するので、それぞれの入札データにおいて電力取引所60の最低取引量より小さい単位での指定が可能となり、最適量の電力を買うことを可能とする。
また、電力を提供する電源が、PPS40の発電施設および電源20b〜20dを含んで複数となるので、単一の施設等から電力を提供する場合に比べて安定した供給が可能であり、事故等の影響をより小さくすることができる。
さらに、需要家20〜22の電源20b〜22bが、それぞれ対応する負荷20a〜22aに適合するよりも大きい最大供給能力を有する場合には、その余剰分を取引に使用することにより、電源20b〜22bを有効に活用することができる。
このような状態は、たとえば工場の初期稼動段階において生じる。工場の最大消費電力を想定した電源が設置されており、工場の稼動は初期段階であって消費電力が比較的小さく、電源の供給能力に余剰分が発生する。
実施の形態2.
実施の形態2は、実施の形態1のようなスポット市場ではなく、先渡定型市場に関連する。先渡定型市場では、出力が一定である電気を月単位で受け渡す取引が行われる。以下、実施の形態1と異なる点を説明する。
図7は、先渡定型市場の取引への入札として、仲介サーバ40dから取引システム60dへと送信される共同入札データの内容であり、PPS40が希望する取引の内容を表す。
「商品」は、PPS40が売買しようとする商品を表す。ここでは、9月の一ヶ月間に渡り、24時間常に一定出力の電気を受け渡すことを示す。この商品は、電力取引所60において扱われるものであれば他のものであってもよく、たとえば一ヶ月間のうち特定の日について、昼間帯すなわち8:00〜22:00において一定出力の電気を受け渡すものであってもよい。
「売買」は、売りまたは買いのどちらかの取引かを指定する。
「売買するエリア」は、PPS40が電気の受け渡しをする場所を表す。これは、実施の形態1の図3における「取引希望エリア」に相当する。
「取引量」および「価格」は、それぞれPPS40が入札する電気の量および価格を指定する。
「入札オプション」は、取引量の分割を行うかどうかを指定する。「アイスバーグオーダー」は、入力された量を指定された数量で自動的に分割して入札することを示す。図7では、23,000kWh/hの電気を10,000kWh/h単位に分割することが指定されている。これは、まず取引量23,000kWh/hの一部である10,000kWh/hの入札が行われ、その全量が約定した後に再び10,000kWh/hの入札が行われ、さらにこの全量が約定した後に残り3,000kWh/hの入札が行われることを意味する。
「全量約定制約」は、指定された量の全量が、相手方の1つの入札と約定することを約定の条件とすることを示す。
図示しないが、需要家入札データは、実施の形態1における共同入札データ(図3)に対する実施の形態1における需要家入札データ(図4)に相当するものを、図7に示される共同入札データに対して作成することによって得られる。需要家入札データは、実施の形態1と同様に、「需要家名」の表示を含み、最低取引量は1,000kWh/hより小さく、たとえば100kWh/hである。
また、図5のステップS3における共同入札データの作成は、実施の形態1と同様に、約定価格ごとに売買量を集約することによって行われる。
このように、実施の形態2においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
上述の実施の形態1および2において、図5のステップS3における共同入札データの作成は、売買量を集約する以外の処理を含んでもよい。
たとえば、集約後の売買量が最低取引量で割り切れない値となった場合は、PPS40自身の売買量を増減させることにより、共同入札データにおける売買量を最低取引量で割り切れる値としてもよい。例として、共同入札データに5,700kWh/hの買いを指定する組合せがある場合、PPS40が300kWh/hの買いを追加して、あるいは売りを減少させて6,000kWh/hの買いとしてもよいし、PPS40が700kWh/hの買いを減少させて、あるいは売りを追加して5,000kWh/hの買いとしてもよい。
また、同じくステップS3において、たとえば、相場の変動に応じて、利益を増加させるよう価格を調整してもよい。例として、電力が不足し価格の上昇が予想される時期または時間帯では、共同入札データ中の売り取引における価格を上げ、逆に、電力が過剰となり価格の低下が予想される時期または時間帯では、共同入札データ中の買い取引における価格を下げるという処理が行われてもよい。
これによって増加した利益の配分は、図5のステップS9においてなされてもよい。
また、上述の実施の形態1および2では、入札において取引相手のエリアを指定することはできないが、これが指定できる場合は、エリアごとの電力需給の相違に応じて、利益を増加させるよう価格を調整してもよい。例として、夏季において、中部エリアで気温が高くなるが東京エリアではそれほど高くならない日では、東京エリアにおける供給力の余剰が比較的大きくなる。これに応じて、東京エリアから中部エリアに向けた共同入札データ中の売り取引における価格を上げるという処理が行われてもよい。
これによって増加した利益の配分は、図5のステップS9においてなされてもよい。
また、上述の実施の形態1および2では、それぞれスポット市場および先渡定型市場に対する入札が行われるが、これは先渡掲示板市場に対する入札が行われてもよい。この場合、PPS入札データ、需要家入札データ、および共同入札データは、取引システム60dが先渡掲示板市場への入札に要求する形式に合わせて変更されてもよい。
また、上述の実施の形態1および2において、仲介サーバ40dは図2に示すように単一のネットワーク50に接続されているが、これは複数のネットワークに接続されていてもよい。たとえば、仲介サーバ40dと端末20d〜22dとの通信を媒介するネットワーク、仲介サーバ40dと取引システム60dとの通信を媒介するネットワーク、および、仲介サーバ40dと金融機関90〜92との通信を媒介するネットワークがそれぞれ別であってもよい。
この発明の実施の形態1および2に係る商用電力系統10の構成を示す図である。 実施の形態1および2に係る仲介サーバ40dが接続される、ネットワーク50周辺の構成を示す図である。 実施の形態1に係る共同入札データの例を示す図である。 実施の形態1に係る需要家入札データの例を示す図である。 実施の形態1および2に係る仲介サーバ40dが実行する処理の流れを説明するフローチャートである。 仲介サーバ40dにおける売買量の集約の方法を説明する図である。 実施の形態2に係る共同入札データの例を示す図である。
符号の説明
21 需要家、21b 電源、40d 仲介サーバ。

Claims (2)

  1. 電力の取引への入札を行う仲介サーバであって、
    電源を有する複数の需要家にそれぞれ関連する、電気の売りの量または買いの量を含む複数の需要家入札データを入力として受け取り、
    前記取引における取引単位ごとに、前記複数の需要家データに含まれる前記売りの量または前記買いの量について総和を算出し、
    前記総和に基づいて、共同入札データを作成し、
    前記共同入札データを外部に送信することによって前記入札を行う、仲介サーバ。
  2. 前記仲介サーバはさらに、
    前記入札に関連する約定結果としての約定価格および約定量を入力として受け取り、
    前記約定価格と前記共同入札データとに基づいて、前記複数の需要家に対する需要家約定価格および需要家約定量を算出し、
    前記需要家約定価格および前記需要家約定量を前記複数の需要家に送信し、
    前記需要家約定価格および前記需要家約定量に基づいて、前記電源の出力内容を指示する出力指示データを作成し、
    前記出力指示データを前記複数の需要家に送信し、
    前記約定価格、前記約定量、前記需要家約定価格、および前記需要家約定量に関連する決済を指示する決済指示データを作成し、
    前記決済指示データを外部に送信する
    請求項1に記載の仲介サーバ。
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