JPH10190239A - プリント配線基板とその製造方法 - Google Patents
プリント配線基板とその製造方法Info
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- JPH10190239A JPH10190239A JP30216997A JP30216997A JPH10190239A JP H10190239 A JPH10190239 A JP H10190239A JP 30216997 A JP30216997 A JP 30216997A JP 30216997 A JP30216997 A JP 30216997A JP H10190239 A JPH10190239 A JP H10190239A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 基材に樹脂を含浸して絶縁層が形成され、か
つ前記絶縁層の所望の層に金属箔パターンが形成されて
いるプリント配線基板において、前記絶縁層中または金
属箔パターン表面に、遊離する金属イオンと結合して難
溶性金属塩を形成するイオン、または前記金属イオンと
反応する含イオウ化合物を存在させることにより、絶縁
破壊の原因となるイオンマイグレーションを抑制する。 【解決手段】 硫化アンモニウム、硫化カリウム、硫化
ナトリウム等の硫化物または含イオウ化合物を樹脂ワニ
スに添加するか、基材に含浸するか、または金属箔パタ
ーン表面に塗布することにより、基材から遊離する金属
イオンを捕捉させる。硫化物は0.1wt%以下、含イ
オウ化合物は10ppm以上添加するのが好ましい。
つ前記絶縁層の所望の層に金属箔パターンが形成されて
いるプリント配線基板において、前記絶縁層中または金
属箔パターン表面に、遊離する金属イオンと結合して難
溶性金属塩を形成するイオン、または前記金属イオンと
反応する含イオウ化合物を存在させることにより、絶縁
破壊の原因となるイオンマイグレーションを抑制する。 【解決手段】 硫化アンモニウム、硫化カリウム、硫化
ナトリウム等の硫化物または含イオウ化合物を樹脂ワニ
スに添加するか、基材に含浸するか、または金属箔パタ
ーン表面に塗布することにより、基材から遊離する金属
イオンを捕捉させる。硫化物は0.1wt%以下、含イ
オウ化合物は10ppm以上添加するのが好ましい。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、絶縁破壊の原因と
なるイオンマイグレーションに対する抑制効果に優れた
プリント配線基板とその製造方法に関するものである。
なるイオンマイグレーションに対する抑制効果に優れた
プリント配線基板とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年電子機器の小型、軽量化および高機
能化に伴い、プリント配線基板に対して、小型、軽量化
および高速信号処理化、さらには高密度実装化が要求さ
れている。このような要求に対して、プリント配線基板
技術は、高多層化、ビアホールの小径化および回路のフ
ァイン化等が加速してきている。特に回路のファイン化
に伴って、配線やビアホール等の間隔が縮小し、イオン
マイグレーションによる絶縁破壊が起こりやすい傾向に
ある。このイオンマイグレーションは、一種の電解作用
であり、電圧の印加された金属間に電解液が存在した場
合、陽極の金属が溶出し、陰極に移行析出する現象であ
る。また、この現象は電気化学的作用に基づくものであ
るので、金属間にイオン電流が流れることが必要条件で
ある。通常、プリント配線基板におけるイオンマイグレ
ーションは、含浸樹脂と基材との界面、回路パターン上
に付着した異物繊維または絶縁層中のクラック等に吸湿
による水のパスが形成され、そのパスにイオン電流が流
れることによって起こる。
能化に伴い、プリント配線基板に対して、小型、軽量化
および高速信号処理化、さらには高密度実装化が要求さ
れている。このような要求に対して、プリント配線基板
技術は、高多層化、ビアホールの小径化および回路のフ
ァイン化等が加速してきている。特に回路のファイン化
に伴って、配線やビアホール等の間隔が縮小し、イオン
マイグレーションによる絶縁破壊が起こりやすい傾向に
ある。このイオンマイグレーションは、一種の電解作用
であり、電圧の印加された金属間に電解液が存在した場
合、陽極の金属が溶出し、陰極に移行析出する現象であ
る。また、この現象は電気化学的作用に基づくものであ
るので、金属間にイオン電流が流れることが必要条件で
ある。通常、プリント配線基板におけるイオンマイグレ
ーションは、含浸樹脂と基材との界面、回路パターン上
に付着した異物繊維または絶縁層中のクラック等に吸湿
による水のパスが形成され、そのパスにイオン電流が流
れることによって起こる。
【0003】従来、プリント配線基板におけるイオンマ
イグレーションを防止する方法として、金属のイオン化
を抑制するために金属を合金化する方法や基板中に還元
剤を添加する方法等が数多く提案されている。他にも溶
出した金属イオンを捕捉するためにキレート化剤等を基
板中に添加する方法が提案されている。
イグレーションを防止する方法として、金属のイオン化
を抑制するために金属を合金化する方法や基板中に還元
剤を添加する方法等が数多く提案されている。他にも溶
出した金属イオンを捕捉するためにキレート化剤等を基
板中に添加する方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法がイオンマイグレーションの対策としてコスト的、
性能的に必ずしも十分に満足しているわけではない。例
えば、金属の合金化は、高価なパラジウムを使うため、
コスト高になる。また、還元剤にはアルデヒド、ハイド
ロキノン、ヒドラジン等を用いることが多く、これらは
化学的に不安定であり、熱や光に分解し易い欠点があ
る。キレート化剤も同様に熱によって、分解し失活する
ものが多い。
方法がイオンマイグレーションの対策としてコスト的、
性能的に必ずしも十分に満足しているわけではない。例
えば、金属の合金化は、高価なパラジウムを使うため、
コスト高になる。また、還元剤にはアルデヒド、ハイド
ロキノン、ヒドラジン等を用いることが多く、これらは
化学的に不安定であり、熱や光に分解し易い欠点があ
る。キレート化剤も同様に熱によって、分解し失活する
ものが多い。
【0005】また、上記の回路のファイン化に加え、プ
リント配線基板の高多層化も加速している。そのため、
安価で軽量である樹脂基板や安価な不織布を用いた基板
等が多用されるようになってきた。通常、樹脂基板は比
較的吸湿性が大きく、よりイオンマイグレーションが起
こり易い傾向にある。さらに、基材にガラスまたはアラ
ミド等の不織布を用いた場合、基材と金属箔との間に含
浸樹脂の存在する確率が小さため、樹脂に覆われていな
い基材繊維やセルロース等の吸湿し易い異物繊維が金属
箔に直接触れている状態になる。したがって、基板の吸
湿により、それらの繊維に水のパスが形成され、イオン
マイグレーションの原因となる。以上より、今後のプリ
ント配線基板は、今以上に優れた耐イオンマイグレーシ
ョン性を有することが強く要求される。
リント配線基板の高多層化も加速している。そのため、
安価で軽量である樹脂基板や安価な不織布を用いた基板
等が多用されるようになってきた。通常、樹脂基板は比
較的吸湿性が大きく、よりイオンマイグレーションが起
こり易い傾向にある。さらに、基材にガラスまたはアラ
ミド等の不織布を用いた場合、基材と金属箔との間に含
浸樹脂の存在する確率が小さため、樹脂に覆われていな
い基材繊維やセルロース等の吸湿し易い異物繊維が金属
箔に直接触れている状態になる。したがって、基板の吸
湿により、それらの繊維に水のパスが形成され、イオン
マイグレーションの原因となる。以上より、今後のプリ
ント配線基板は、今以上に優れた耐イオンマイグレーシ
ョン性を有することが強く要求される。
【0006】そこで本発明は、かかる課題を解決するた
め、基板中で溶出した金属イオンと難溶性金属塩を形成
するイオン、または金属イオンと反応する含イオウ化合
物により沈殿または反応させて捕捉することで、イオン
マイグレーションの抑制効果に優れたプリント配線基板
とその製造方法を提供することを目的とする。
め、基板中で溶出した金属イオンと難溶性金属塩を形成
するイオン、または金属イオンと反応する含イオウ化合
物により沈殿または反応させて捕捉することで、イオン
マイグレーションの抑制効果に優れたプリント配線基板
とその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の第1番目のプリント配線基板は、基材に樹
脂が含浸されて絶縁層が形成され、かつ前記絶縁層の所
望の層に金属箔パターンが形成されているプリント配線
基板であって、前記絶縁層中または前記金属箔パターン
表面に、基板のいずれかの部分から遊離する金属イオン
と結合して難溶性金属塩を形成するイオンを存在させる
ことを特徴とする。
め、本発明の第1番目のプリント配線基板は、基材に樹
脂が含浸されて絶縁層が形成され、かつ前記絶縁層の所
望の層に金属箔パターンが形成されているプリント配線
基板であって、前記絶縁層中または前記金属箔パターン
表面に、基板のいずれかの部分から遊離する金属イオン
と結合して難溶性金属塩を形成するイオンを存在させる
ことを特徴とする。
【0008】前記構成においては、遊離する金属イオン
と結合するイオンが、硫化物イオンであることが好まし
い。また前記構成においては、硫化物イオンが、硫化ア
ンモニウム、硫化カリウムおよび硫化ナトリウムから選
ばれる少なくとも1種の化合物から供給されることが好
ましい。
と結合するイオンが、硫化物イオンであることが好まし
い。また前記構成においては、硫化物イオンが、硫化ア
ンモニウム、硫化カリウムおよび硫化ナトリウムから選
ばれる少なくとも1種の化合物から供給されることが好
ましい。
【0009】また前記構成においては、難溶性金属塩の
水中(at 25℃)における溶解度積が10-40以上10-10
以下であることが好ましい。また前記構成においては、
遊離する金属イオンと結合するイオンを供給する硫化化
合物の添加量が、基板に対して0.001wt%以上
0.1wt%以下であることが好ましい。
水中(at 25℃)における溶解度積が10-40以上10-10
以下であることが好ましい。また前記構成においては、
遊離する金属イオンと結合するイオンを供給する硫化化
合物の添加量が、基板に対して0.001wt%以上
0.1wt%以下であることが好ましい。
【0010】次に本発明の第2番目のプリント配線基板
は、基材に樹脂を含浸して絶縁層が形成され、かつ前記
絶縁層の所望の層に金属箔パターンが形成されているプ
リント配線基板であって、前記絶縁層中または前記金属
箔パターン表面に、基板のいずれかの部分から遊離する
金属のイオンと反応する含イオウ化合物を存在させるこ
とを特徴とする。
は、基材に樹脂を含浸して絶縁層が形成され、かつ前記
絶縁層の所望の層に金属箔パターンが形成されているプ
リント配線基板であって、前記絶縁層中または前記金属
箔パターン表面に、基板のいずれかの部分から遊離する
金属のイオンと反応する含イオウ化合物を存在させるこ
とを特徴とする。
【0011】前記構成においては、遊離する金属イオン
と反応する含イオウ化合物がチオ尿素であることが好ま
しい。また前記構成においては、遊離する金属イオンと
反応する含イオウ化合物の添加量が、基板に対して10
ppm以上10000ppm以下であることが好まし
い。
と反応する含イオウ化合物がチオ尿素であることが好ま
しい。また前記構成においては、遊離する金属イオンと
反応する含イオウ化合物の添加量が、基板に対して10
ppm以上10000ppm以下であることが好まし
い。
【0012】また前記構成においては、金属箔パターン
が銅、銀およびニッケルから選ばれる少なくとも1種の
金属であることが好ましい。また第1および第2番目の
構成においては、基材がガラス織布、ガラス不織布、ア
ラミド織布、アラミド不織布およびアラミドフィルムか
ら選ばれる少なくとも1種の基材であることが好まし
い。
が銅、銀およびニッケルから選ばれる少なくとも1種の
金属であることが好ましい。また第1および第2番目の
構成においては、基材がガラス織布、ガラス不織布、ア
ラミド織布、アラミド不織布およびアラミドフィルムか
ら選ばれる少なくとも1種の基材であることが好まし
い。
【0013】また第1および第2番目の構成において
は、含浸樹脂がエポキシ樹脂、シアネートエステル樹
脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミド樹脂お
よびポリフェニレンオキサイド(PPO)樹脂から選ば
れる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
は、含浸樹脂がエポキシ樹脂、シアネートエステル樹
脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミド樹脂お
よびポリフェニレンオキサイド(PPO)樹脂から選ば
れる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
【0014】次に本発明の第1番目のプリント配線基板
の製造方法は、基板のいずれかの部分から遊離する金属
イオンと結合して難溶性金属塩を形成するイオンが含ま
れる樹脂ワニスを基材に含浸し乾燥してプリプレグを作
成し、前記プリプレグに金属箔を積層して熱圧着し、前
記金属箔に回路パターンを形成することを特徴とする。
の製造方法は、基板のいずれかの部分から遊離する金属
イオンと結合して難溶性金属塩を形成するイオンが含ま
れる樹脂ワニスを基材に含浸し乾燥してプリプレグを作
成し、前記プリプレグに金属箔を積層して熱圧着し、前
記金属箔に回路パターンを形成することを特徴とする。
【0015】次に本発明の第2番目のプリント配線基板
の製造方法は、基板のいずれかの部分から遊離する金属
イオンと結合して難溶性金属塩を形成するイオンが含ま
れる溶液に基材を浸し乾燥して、さらに前記基材に樹脂
ワニスを含浸し乾燥してプリプレグを作成し、前記プリ
プレグに金属箔を積層して熱圧着し、前記金属箔に回路
パターンを形成することを特徴とする。
の製造方法は、基板のいずれかの部分から遊離する金属
イオンと結合して難溶性金属塩を形成するイオンが含ま
れる溶液に基材を浸し乾燥して、さらに前記基材に樹脂
ワニスを含浸し乾燥してプリプレグを作成し、前記プリ
プレグに金属箔を積層して熱圧着し、前記金属箔に回路
パターンを形成することを特徴とする。
【0016】次に本発明の第3番目のプリント配線基板
の製造方法は、2層以上からなるプリント配線基板の金
属箔パターン表面に、基板のいずれかの部分から遊離す
る金属イオンと結合して難溶性金属塩を形成するイオン
が含まれる溶液を塗布して乾燥し、前記プリント配線基
板に樹脂が含浸された基材を積層し、さらに前記積層物
に金属箔を積層して熱圧着し、前記金属箔に回路パター
ンを形成することを特徴とする。
の製造方法は、2層以上からなるプリント配線基板の金
属箔パターン表面に、基板のいずれかの部分から遊離す
る金属イオンと結合して難溶性金属塩を形成するイオン
が含まれる溶液を塗布して乾燥し、前記プリント配線基
板に樹脂が含浸された基材を積層し、さらに前記積層物
に金属箔を積層して熱圧着し、前記金属箔に回路パター
ンを形成することを特徴とする。
【0017】前記第1〜3番目の方法においては、遊離
した金属と難溶性金属塩を形成するイオンが硫化物イオ
ンであることが好ましい。また前記方法においては、難
溶性金属塩を金属イオンと形成するイオンが硫化アンモ
ニウム、硫化カリウム、硫化ナトリウムから選ばれる少
なくとも1種の化合物から供給されることが好ましい。
また前記方法においては、難溶性金属塩の水中(at 25
℃)における溶解度積が10-40以上10-10以下である
ことが好ましい。
した金属と難溶性金属塩を形成するイオンが硫化物イオ
ンであることが好ましい。また前記方法においては、難
溶性金属塩を金属イオンと形成するイオンが硫化アンモ
ニウム、硫化カリウム、硫化ナトリウムから選ばれる少
なくとも1種の化合物から供給されることが好ましい。
また前記方法においては、難溶性金属塩の水中(at 25
℃)における溶解度積が10-40以上10-10以下である
ことが好ましい。
【0018】次に本発明の第4番目のプリント配線基板
の製造方法は、基板のいずれかの部分から遊離する金属
イオンと反応する含イオウ化合物が含まれる樹脂ワニス
を基材に含浸し乾燥してプリプレグを作成し、前記プリ
プレグに金属箔を積層して熱圧着し、前記金属箔に回路
パターンを形成することを特徴とする。
の製造方法は、基板のいずれかの部分から遊離する金属
イオンと反応する含イオウ化合物が含まれる樹脂ワニス
を基材に含浸し乾燥してプリプレグを作成し、前記プリ
プレグに金属箔を積層して熱圧着し、前記金属箔に回路
パターンを形成することを特徴とする。
【0019】次に本発明の第5番目のプリント配線基板
の製造方法は、基板のいずれかの部分から遊離する金属
イオンと反応する含イオウ化合物が含まれる溶液に基材
を浸し乾燥して、さらに前記基材に樹脂ワニスを含浸し
乾燥してプリプレグを作成し、前記プリプレグに金属箔
を積層して熱圧着し、前記金属箔に回路パターンを形成
することを特徴とする。
の製造方法は、基板のいずれかの部分から遊離する金属
イオンと反応する含イオウ化合物が含まれる溶液に基材
を浸し乾燥して、さらに前記基材に樹脂ワニスを含浸し
乾燥してプリプレグを作成し、前記プリプレグに金属箔
を積層して熱圧着し、前記金属箔に回路パターンを形成
することを特徴とする。
【0020】次に本発明の第6番目のプリント配線基板
の製造方法は、2層以上からなるプリント配線基板の金
属箔パターン表面に、基板のいずれかの部分から遊離す
る金属イオンと反応する含イオウ化合物が含まれる溶液
を塗布して乾燥し、前記プリント配線基板に樹脂が含浸
された基材を積層し、さらに前記積層物に金属箔を積層
して熱圧着し、前記金属箔に回路パターンを形成するこ
とを特徴とする。
の製造方法は、2層以上からなるプリント配線基板の金
属箔パターン表面に、基板のいずれかの部分から遊離す
る金属イオンと反応する含イオウ化合物が含まれる溶液
を塗布して乾燥し、前記プリント配線基板に樹脂が含浸
された基材を積層し、さらに前記積層物に金属箔を積層
して熱圧着し、前記金属箔に回路パターンを形成するこ
とを特徴とする。
【0021】前記第4〜6番目の製造方法においては、
遊離する金属イオンと反応する含イオウ化合物がチオ尿
素であることが好ましい。また前記第1〜6番目の方法
においては、金属が銅、銀およびニッケルから選ばれる
少なくとも1種の金属であることが好ましい。
遊離する金属イオンと反応する含イオウ化合物がチオ尿
素であることが好ましい。また前記第1〜6番目の方法
においては、金属が銅、銀およびニッケルから選ばれる
少なくとも1種の金属であることが好ましい。
【0022】また前記第1〜6番目の方法においては、
基材がガラス織布、ガラス不織布、アラミド織布、アラ
ミド不織布およびアラミドフィルムから選ばれる少なく
とも1種の基材であることが好ましい。
基材がガラス織布、ガラス不織布、アラミド織布、アラ
ミド不織布およびアラミドフィルムから選ばれる少なく
とも1種の基材であることが好ましい。
【0023】また前記第1〜6番目の方法においては、
含浸樹脂がエポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、ビ
スマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミド樹脂およびポ
リフェニレンオキサイド(PPO)樹脂から選ばれる少
なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
含浸樹脂がエポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、ビ
スマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミド樹脂およびポ
リフェニレンオキサイド(PPO)樹脂から選ばれる少
なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明のプリント配線基板は、基
材に樹脂を含浸して絶縁層が形成され、かつ前記絶縁層
の所望の層に金属箔パターンが形成されている構成を基
本として、その絶縁層中または所望の層の金属箔パター
ン表面に基板のいずれかの部分から遊離する金属のイオ
ンと反応して難溶性金属塩を形成するイオン、または前
記金属のイオンと反応する含イオウ化合物を存在させ
る。
材に樹脂を含浸して絶縁層が形成され、かつ前記絶縁層
の所望の層に金属箔パターンが形成されている構成を基
本として、その絶縁層中または所望の層の金属箔パター
ン表面に基板のいずれかの部分から遊離する金属のイオ
ンと反応して難溶性金属塩を形成するイオン、または前
記金属のイオンと反応する含イオウ化合物を存在させ
る。
【0025】前記したようにイオンマイグレーション
は、金属電極間に電圧を印可して、さらにその電極間に
電解液が存在した場合、陽極から陰極に金属イオンが溶
出移行する現象である。
は、金属電極間に電圧を印可して、さらにその電極間に
電解液が存在した場合、陽極から陰極に金属イオンが溶
出移行する現象である。
【0026】そこで、本発明は、前記構成のプリント配
線基板の絶縁層または金属パターン表面に、難溶性金属
塩を遊離する金属イオンと形成するイオンを添加するこ
とで、電圧を印可して溶出した金属イオンを捕捉沈降さ
せることができる。その結果、イオンマイグレーション
を効果的に抑制することができる。ただし、前記沈殿物
の水中(at 25℃)における溶解度積が10-40以上10
-10以下であることが好ましく、これより大きい場合、
添加した前記イオンが効果的に金属イオンを捕捉沈降で
きないため、逆にイオン電流が大きくなり、イオンマイ
グレーションを促進する恐れがある。また、添加する前
記イオンとしては、硫化物イオンが好ましく、このイオ
ンを供給する化合物としては、硫化アンモニウム等の水
溶液、または硫化ナトリウム、硫化カリウム等の塩が好
ましい。また、前記イオンが水酸化物イオンでもよい。
なお、前記イオンの添加量としては、基板の総重量に対
して0.1wt%以下が好ましく、これより多い場合、
基板の絶縁耐圧等の電気特性が劣化することがある。
線基板の絶縁層または金属パターン表面に、難溶性金属
塩を遊離する金属イオンと形成するイオンを添加するこ
とで、電圧を印可して溶出した金属イオンを捕捉沈降さ
せることができる。その結果、イオンマイグレーション
を効果的に抑制することができる。ただし、前記沈殿物
の水中(at 25℃)における溶解度積が10-40以上10
-10以下であることが好ましく、これより大きい場合、
添加した前記イオンが効果的に金属イオンを捕捉沈降で
きないため、逆にイオン電流が大きくなり、イオンマイ
グレーションを促進する恐れがある。また、添加する前
記イオンとしては、硫化物イオンが好ましく、このイオ
ンを供給する化合物としては、硫化アンモニウム等の水
溶液、または硫化ナトリウム、硫化カリウム等の塩が好
ましい。また、前記イオンが水酸化物イオンでもよい。
なお、前記イオンの添加量としては、基板の総重量に対
して0.1wt%以下が好ましく、これより多い場合、
基板の絶縁耐圧等の電気特性が劣化することがある。
【0027】また、前記構成のプリント配線基板の絶縁
層または金属パターン表面に、金属イオンと反応(錯体
または沈殿物の生成)する含イオウ化合物を添加するこ
とで、電圧を印可して溶出した金属イオンを捕捉するこ
とができる。その結果、イオンマイグレーションを効果
的に抑制することができる。添加する前記含イオウ化合
物としては、チオ尿素が好ましい。チオ尿素は、水中で
金属イオンおよび水分子と反応して、尿素と金属の硫化
物を生成する。したがって、チオ尿素は、上記の硫化物
イオンの場合と同様の効果が得られる。また、前記含イ
オウ化合物の添加量としては、基板の総重量に対して1
0ppm以上が好ましく、これより少ない場合、含イオ
ウ化合物と反応する金属イオンより電極間を移行析出す
る金属イオンの割合が大きくなり、イオンマイグレーシ
ョンを抑制する効果が得られないことがある。なお、含
浸樹脂の構造にチオ尿素基が組み込まれた樹脂を用いて
も同様の効果が得られる。
層または金属パターン表面に、金属イオンと反応(錯体
または沈殿物の生成)する含イオウ化合物を添加するこ
とで、電圧を印可して溶出した金属イオンを捕捉するこ
とができる。その結果、イオンマイグレーションを効果
的に抑制することができる。添加する前記含イオウ化合
物としては、チオ尿素が好ましい。チオ尿素は、水中で
金属イオンおよび水分子と反応して、尿素と金属の硫化
物を生成する。したがって、チオ尿素は、上記の硫化物
イオンの場合と同様の効果が得られる。また、前記含イ
オウ化合物の添加量としては、基板の総重量に対して1
0ppm以上が好ましく、これより少ない場合、含イオ
ウ化合物と反応する金属イオンより電極間を移行析出す
る金属イオンの割合が大きくなり、イオンマイグレーシ
ョンを抑制する効果が得られないことがある。なお、含
浸樹脂の構造にチオ尿素基が組み込まれた樹脂を用いて
も同様の効果が得られる。
【0028】また、前記構成のプリント配線基板におい
て、前記金属箔パターンに、銅、銀、ニッケルのうち少
なくとも1種以上を任意に選択することができる。ま
た、前記構成のプリント配線基板において、基材にはガ
ラス織布、ガラス不織布、アラミド織布、アラミド不織
布およびアラミドフィルムのうち少なくとも1種以上を
任意に用いることができる。
て、前記金属箔パターンに、銅、銀、ニッケルのうち少
なくとも1種以上を任意に選択することができる。ま
た、前記構成のプリント配線基板において、基材にはガ
ラス織布、ガラス不織布、アラミド織布、アラミド不織
布およびアラミドフィルムのうち少なくとも1種以上を
任意に用いることができる。
【0029】また、前記構成のプリント配線基板におい
て、含浸樹脂がエポキシ樹脂、シアネートエステル樹
脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、
ポリフェニレンオキサイド樹脂のうち少なくとも1種以
上を任意に混合したものでもよい。
て、含浸樹脂がエポキシ樹脂、シアネートエステル樹
脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、
ポリフェニレンオキサイド樹脂のうち少なくとも1種以
上を任意に混合したものでもよい。
【0030】本発明のプリント配線基板の製造方法は、
難溶性金属塩を金属イオンと形成するイオン、または金
属イオンと反応する含イオウ化合物が添加された樹脂ワ
ニスを基材に含浸し乾燥してプリプレグを作成する工程
と、前記プリプレグに金属箔を積層して熱圧着する工程
と、前記金属箔に回路パターンを形成する工程を少なく
とも含むことが特徴である。この製造方法によって、電
圧の印加によって溶出した金属イオンを捕捉することが
できる物質が、前記構成のプリント配線基板の絶縁層中
に存在することになり、イオンマイグレーションを抑制
できる。なお、チオ尿素基が組み込まれた構造を持つ含
浸樹脂をワニスに用いてもよい。
難溶性金属塩を金属イオンと形成するイオン、または金
属イオンと反応する含イオウ化合物が添加された樹脂ワ
ニスを基材に含浸し乾燥してプリプレグを作成する工程
と、前記プリプレグに金属箔を積層して熱圧着する工程
と、前記金属箔に回路パターンを形成する工程を少なく
とも含むことが特徴である。この製造方法によって、電
圧の印加によって溶出した金属イオンを捕捉することが
できる物質が、前記構成のプリント配線基板の絶縁層中
に存在することになり、イオンマイグレーションを抑制
できる。なお、チオ尿素基が組み込まれた構造を持つ含
浸樹脂をワニスに用いてもよい。
【0031】また、難溶性金属塩を金属イオンと形成す
るイオン、または金属イオンと反応する含イオウ化合物
が含まれる溶液に基材を浸し乾燥して、さらに前記基材
に樹脂ワニスを含浸し乾燥してプリプレグを作成する工
程と、前記プリプレグに金属箔を積層して熱圧着する工
程と、前記金属箔に回路パターンを形成する工程を少な
くとも含むことを特徴とするプリント配線基板の製造方
法である。この製造方法は、電圧の印加によって溶出し
た金属イオンを捕捉することができる物質を予め基材に
付着させることができ、前記構成のプリント配線基板の
絶縁層中、または基材表面に存在することになり、イオ
ンマイグレーションを抑制できる。基材に前記イオンま
たは前記含イオウ化合物を付着させる方法としては、前
記イオンまたは前記含イオウ化合物の溶液を基材に含浸
させることが好ましい。また、前記溶液を基材にスプレ
ー等で吹き付けてもよい。なお、前記溶液の溶媒とし
て、水、アルコール系が好ましい。
るイオン、または金属イオンと反応する含イオウ化合物
が含まれる溶液に基材を浸し乾燥して、さらに前記基材
に樹脂ワニスを含浸し乾燥してプリプレグを作成する工
程と、前記プリプレグに金属箔を積層して熱圧着する工
程と、前記金属箔に回路パターンを形成する工程を少な
くとも含むことを特徴とするプリント配線基板の製造方
法である。この製造方法は、電圧の印加によって溶出し
た金属イオンを捕捉することができる物質を予め基材に
付着させることができ、前記構成のプリント配線基板の
絶縁層中、または基材表面に存在することになり、イオ
ンマイグレーションを抑制できる。基材に前記イオンま
たは前記含イオウ化合物を付着させる方法としては、前
記イオンまたは前記含イオウ化合物の溶液を基材に含浸
させることが好ましい。また、前記溶液を基材にスプレ
ー等で吹き付けてもよい。なお、前記溶液の溶媒とし
て、水、アルコール系が好ましい。
【0032】また、2層以上からなるプリント配線基板
の金属箔パターン表面に、難溶性金属塩を金属イオンと
形成するイオン、または金属イオンと反応する含イオウ
化合物が含まれる溶液を塗布して乾燥する工程と、前記
プリント配線基板に樹脂が含浸された基材を積層し、さ
らに前記積層物に金属箔を積層して熱圧着する工程と、
前記金属箔に回路パターンを形成する工程を少なくとも
含むことを特徴とするプリント配線基板の製造方法であ
る。この製造方法によって、電圧の印加によって溶出し
た金属イオンを捕捉することができる物質が、前記構成
のプリント配線基板の金属箔パターン表面に存在するこ
とになり、イオンマイグレーションを抑制できる。前記
金属箔パターンの表面に、前記イオンまたは前記含イオ
ウ化合物を塗布する方法としては、前記イオンまたは前
記含イオウ化合物の溶液にプリント配線基板をディップ
するか、またはプリント配線基板表面に前記溶液をスプ
レー等で吹き付けることが好ましい。なお、前記溶液の
溶媒として、水、アルコール系が好ましい。
の金属箔パターン表面に、難溶性金属塩を金属イオンと
形成するイオン、または金属イオンと反応する含イオウ
化合物が含まれる溶液を塗布して乾燥する工程と、前記
プリント配線基板に樹脂が含浸された基材を積層し、さ
らに前記積層物に金属箔を積層して熱圧着する工程と、
前記金属箔に回路パターンを形成する工程を少なくとも
含むことを特徴とするプリント配線基板の製造方法であ
る。この製造方法によって、電圧の印加によって溶出し
た金属イオンを捕捉することができる物質が、前記構成
のプリント配線基板の金属箔パターン表面に存在するこ
とになり、イオンマイグレーションを抑制できる。前記
金属箔パターンの表面に、前記イオンまたは前記含イオ
ウ化合物を塗布する方法としては、前記イオンまたは前
記含イオウ化合物の溶液にプリント配線基板をディップ
するか、またはプリント配線基板表面に前記溶液をスプ
レー等で吹き付けることが好ましい。なお、前記溶液の
溶媒として、水、アルコール系が好ましい。
【0033】上記の各プリント配線基板の製造方法にお
いて、基板中で金属と前記イオンとが難溶性金属塩を形
成する際、その難溶性金属塩の水中(at 25℃)における
溶解度積が10-40以上10-10以下であることが好まし
い。溶解度積がこれ以上であると、前記したようにイオ
ンマイグレーションの抑制ができない。また、前記イオ
ンとして硫化物イオンが好ましく、そのイオンを供給す
る化合物としては、硫化アンモニウム等の水溶液、また
は硫化ナトリウム、硫化カリウム等の塩が好ましい。ま
た、前記イオンとして水酸化物イオンでもよく、そのイ
オンを供給する化合物としては、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウムがよい。金属イオンと反応する含イオウ化
合物として、チオ尿素が好ましい。
いて、基板中で金属と前記イオンとが難溶性金属塩を形
成する際、その難溶性金属塩の水中(at 25℃)における
溶解度積が10-40以上10-10以下であることが好まし
い。溶解度積がこれ以上であると、前記したようにイオ
ンマイグレーションの抑制ができない。また、前記イオ
ンとして硫化物イオンが好ましく、そのイオンを供給す
る化合物としては、硫化アンモニウム等の水溶液、また
は硫化ナトリウム、硫化カリウム等の塩が好ましい。ま
た、前記イオンとして水酸化物イオンでもよく、そのイ
オンを供給する化合物としては、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウムがよい。金属イオンと反応する含イオウ化
合物として、チオ尿素が好ましい。
【0034】また、前記構成のプリント配線基板の製造
方法において、前記金属箔パターンに、銅、銀、ニッケ
ルのうち少なくとも1種以上を任意に選択することがで
きる。
方法において、前記金属箔パターンに、銅、銀、ニッケ
ルのうち少なくとも1種以上を任意に選択することがで
きる。
【0035】また、前記構成のプリント配線基板の製造
方法において、基材にはガラス織布、ガラス不織布、ア
ラミド織布、アラミド不織布およびアラミドフィルムの
うち少なくとも1種以上を任意に用いることができる。
方法において、基材にはガラス織布、ガラス不織布、ア
ラミド織布、アラミド不織布およびアラミドフィルムの
うち少なくとも1種以上を任意に用いることができる。
【0036】また、前記構成のプリント配線基板の製造
方法において、含浸樹脂がエポキシ樹脂、シアネートエ
ステル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミ
ド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂のうち少なくと
も1種以上を任意に混合したものでもよい。
方法において、含浸樹脂がエポキシ樹脂、シアネートエ
ステル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミ
ド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂のうち少なくと
も1種以上を任意に混合したものでもよい。
【0037】
【実施例】以下に本発明の実施例について説明する。以
下の実施例において、部は重量部を示す。
下の実施例において、部は重量部を示す。
【0038】
【比較例1】臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂3
0部、3官能エポキシ樹脂35部、ノボラック型フェノ
ール樹脂30部、カルボニルジイミダゾール0.1部、
メチルエチルケトン67部からなる樹脂ワニスをアラミ
ド不織布(帝人(株):テクノーラ)に含浸し乾燥してプ
リプレグを作成した。ここで含浸樹脂量がプリプレグの
総重量に対して50±1wt%になるように含浸して、
乾燥条件は140℃で3分間とした。次に炭酸ガスレー
ザーで、前記プリプレグの所定の箇所をビア加工し、前
記ビアに導電性ペーストを充填した。ここで導電性ペー
ストは、導電物質として平均粒径が2μmの銅粉、バイ
ンダ樹脂として無溶剤型のエポキシ樹脂からなり、銅粉
の含有量は85wt%であり、銅粉とバインダ樹脂を三
本ロールにて混練して作成したものである。この導電性
ペーストが充填された前記プリプレグの両面を銅箔で挟
み、温度:200℃、圧力:55kg/cm2で1時間
の条件下、真空熱プレスで加熱加圧した後、内層用回路
パターンをエッチングによって形成し、両面板を構成し
た。これに予め所定の箇所を炭酸ガスレーザーで厚さ方
向に孔を開けてビア加工し、その孔(ビア)に導電性ペ
ーストが充填された前記プリプレグで前記両面板の両面
を挟み、さらにその両面に銅箔を積層し、温度:200
℃、圧力:55kg/cm2で1時間の条件で熱圧着し
た後、外層用回路パターンをエッチングによって形成
し、4層構造のプリント配線基板を得た。この4層構造
のプリント配線基板について評価した。評価結果は後に
表1〜3の基板No.1に示す。なお、前記の一連の工
程を繰り返すことにより、任意の層数のプリント配線基
板を得ることができる。
0部、3官能エポキシ樹脂35部、ノボラック型フェノ
ール樹脂30部、カルボニルジイミダゾール0.1部、
メチルエチルケトン67部からなる樹脂ワニスをアラミ
ド不織布(帝人(株):テクノーラ)に含浸し乾燥してプ
リプレグを作成した。ここで含浸樹脂量がプリプレグの
総重量に対して50±1wt%になるように含浸して、
乾燥条件は140℃で3分間とした。次に炭酸ガスレー
ザーで、前記プリプレグの所定の箇所をビア加工し、前
記ビアに導電性ペーストを充填した。ここで導電性ペー
ストは、導電物質として平均粒径が2μmの銅粉、バイ
ンダ樹脂として無溶剤型のエポキシ樹脂からなり、銅粉
の含有量は85wt%であり、銅粉とバインダ樹脂を三
本ロールにて混練して作成したものである。この導電性
ペーストが充填された前記プリプレグの両面を銅箔で挟
み、温度:200℃、圧力:55kg/cm2で1時間
の条件下、真空熱プレスで加熱加圧した後、内層用回路
パターンをエッチングによって形成し、両面板を構成し
た。これに予め所定の箇所を炭酸ガスレーザーで厚さ方
向に孔を開けてビア加工し、その孔(ビア)に導電性ペ
ーストが充填された前記プリプレグで前記両面板の両面
を挟み、さらにその両面に銅箔を積層し、温度:200
℃、圧力:55kg/cm2で1時間の条件で熱圧着し
た後、外層用回路パターンをエッチングによって形成
し、4層構造のプリント配線基板を得た。この4層構造
のプリント配線基板について評価した。評価結果は後に
表1〜3の基板No.1に示す。なお、前記の一連の工
程を繰り返すことにより、任意の層数のプリント配線基
板を得ることができる。
【0039】
【実施例1】比較例1記載の樹脂ワニスに硫化物の塩ま
たはチオ尿素を加えて混合した以外は比較例1記載の製
造方法で4層構造のプリント配線基板を作成した。
たはチオ尿素を加えて混合した以外は比較例1記載の製
造方法で4層構造のプリント配線基板を作成した。
【0040】表1の基板No.2〜17に、用いた硫化
物の塩の種類、硫化物イオンおよびチオ尿素の添加量を
示す。それぞれの4層基板に対して、絶縁信頼性試験を
60℃、95%RH、15Vの条件下で1200時間試
験した。4層基板の絶縁抵抗値が1.0×10-7Ω以下
になったものを不良として、不良率および不良発生時間
(最初の不良が発生するまでの時間)について各種基板
で比較した。その結果を表1に示す。なお、表1の添加
量は、プリント配線基板の総重量に対するwt%であ
る。
物の塩の種類、硫化物イオンおよびチオ尿素の添加量を
示す。それぞれの4層基板に対して、絶縁信頼性試験を
60℃、95%RH、15Vの条件下で1200時間試
験した。4層基板の絶縁抵抗値が1.0×10-7Ω以下
になったものを不良として、不良率および不良発生時間
(最初の不良が発生するまでの時間)について各種基板
で比較した。その結果を表1に示す。なお、表1の添加
量は、プリント配線基板の総重量に対するwt%であ
る。
【0041】
【表1】
【0042】
【実施例2】硫化物の塩またはチオ尿素の水溶液にアラ
ミド不織布をディップして乾燥した。以下この基材を用
いて、比較例1記載の製造方法で4層構造のプリント配
線基板を作成した。
ミド不織布をディップして乾燥した。以下この基材を用
いて、比較例1記載の製造方法で4層構造のプリント配
線基板を作成した。
【0043】表2の基板No.18〜33に、用いた硫
化物の塩の種類、硫化物イオンおよびチオ尿素の添加量
を示した。それぞれの4層基板に対して、絶縁信頼性試
験を60℃、95%RH、15Vの条件下で1200時
間試験した。4層基板の絶縁抵抗値が1.0×10-7Ω
以下になったものを不良として、不良率および不良発生
時間(最初の不良が発生するまでの時間)について各種
基板で比較した。その結果を表2に示す。なお、表2の
添加量は、プリント配線基板の総重量に対するwt%で
ある。
化物の塩の種類、硫化物イオンおよびチオ尿素の添加量
を示した。それぞれの4層基板に対して、絶縁信頼性試
験を60℃、95%RH、15Vの条件下で1200時
間試験した。4層基板の絶縁抵抗値が1.0×10-7Ω
以下になったものを不良として、不良率および不良発生
時間(最初の不良が発生するまでの時間)について各種
基板で比較した。その結果を表2に示す。なお、表2の
添加量は、プリント配線基板の総重量に対するwt%で
ある。
【0044】
【表2】
【0045】
【実施例3】比較例1記載の製造方法で作成された2層
構造のプリント配線基板を硫化物の塩またはチオ尿素の
水溶液にディップして乾燥した。次に予め比較例1に記
載のプリプレグを炭酸ガスレーザーで所定の箇所にビア
加工し、そのビアに比較例1に記載の導電性ペーストを
充填した。前記プリント配線基板の両面をペーストが充
填された前記プリプレグで挟み、さらにその両面に銅箔
を積層し、比較例1に記載の条件で熱圧着した後、外層
用回路パターンをエッチングによって形成し、4層構造
のプリント配線基板を作成した。なお、前記の一連の工
程を繰り返すことにより、任意の層数のプリント配線基
板を得ることができ、任意の層に硫化物イオン、または
含イオウ化合物を存在させることができる。
構造のプリント配線基板を硫化物の塩またはチオ尿素の
水溶液にディップして乾燥した。次に予め比較例1に記
載のプリプレグを炭酸ガスレーザーで所定の箇所にビア
加工し、そのビアに比較例1に記載の導電性ペーストを
充填した。前記プリント配線基板の両面をペーストが充
填された前記プリプレグで挟み、さらにその両面に銅箔
を積層し、比較例1に記載の条件で熱圧着した後、外層
用回路パターンをエッチングによって形成し、4層構造
のプリント配線基板を作成した。なお、前記の一連の工
程を繰り返すことにより、任意の層数のプリント配線基
板を得ることができ、任意の層に硫化物イオン、または
含イオウ化合物を存在させることができる。
【0046】表3の基板No.34〜49に、用いた硫
化物の塩の種類、硫化物イオンおよびチオ尿素の添加量
を示した。それぞれの4層基板に対して、絶縁信頼性試
験を60℃、95%RH、15Vの条件下で1200時
間試験した。4層基板の絶縁抵抗値が1.0×10-7Ω
以下になったものを不良として、不良率および不良発生
時間(最初の不良が発生するまでの時間)について各種
基板で比較した。その結果を表3に示す。なお、表3の
添加量は、プリント配線基板の総重量に対するwt%で
ある。
化物の塩の種類、硫化物イオンおよびチオ尿素の添加量
を示した。それぞれの4層基板に対して、絶縁信頼性試
験を60℃、95%RH、15Vの条件下で1200時
間試験した。4層基板の絶縁抵抗値が1.0×10-7Ω
以下になったものを不良として、不良率および不良発生
時間(最初の不良が発生するまでの時間)について各種
基板で比較した。その結果を表3に示す。なお、表3の
添加量は、プリント配線基板の総重量に対するwt%で
ある。
【0047】
【表3】
【0048】
【比較例2】臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂3
0部、3官能エポキシ樹脂35部、ノボラック型フェノ
ール樹脂30部、カルボニルジイミダゾール0.1部、
メチルエチルケトン67部からなる樹脂ワニスをガラス
織布基材(日東紡績)に含浸し乾燥してプリプレグを作
成した。ここで、含浸樹脂量がプリプレグの総重量に対
して50±1wt%になるように含浸して、乾燥条件は
140℃で3分間とした。次に前記プリプレグの両面を
銅箔で挟み、200℃、55kg/cm2で1時間の条
件下、真空熱プレスで加熱加圧した後、内層用回路パタ
ーンをエッチングによって形成し、両面板を構成した。
この両面板の両面を前記プリプレグで挟み、さらにその
両面に銅箔を積層し、前記の条件で熱圧着した。次に内
層回路と外層回路との電気的導通を確保するために、ド
リルにより所望の位置に貫通孔を形成し、銅メッキし
た。最後に外層用回路パターンをエッチングによって形
成し、4層構造のプリント配線基板を得た。評価結果は
後に表4〜6の基板No.98に示す。
0部、3官能エポキシ樹脂35部、ノボラック型フェノ
ール樹脂30部、カルボニルジイミダゾール0.1部、
メチルエチルケトン67部からなる樹脂ワニスをガラス
織布基材(日東紡績)に含浸し乾燥してプリプレグを作
成した。ここで、含浸樹脂量がプリプレグの総重量に対
して50±1wt%になるように含浸して、乾燥条件は
140℃で3分間とした。次に前記プリプレグの両面を
銅箔で挟み、200℃、55kg/cm2で1時間の条
件下、真空熱プレスで加熱加圧した後、内層用回路パタ
ーンをエッチングによって形成し、両面板を構成した。
この両面板の両面を前記プリプレグで挟み、さらにその
両面に銅箔を積層し、前記の条件で熱圧着した。次に内
層回路と外層回路との電気的導通を確保するために、ド
リルにより所望の位置に貫通孔を形成し、銅メッキし
た。最後に外層用回路パターンをエッチングによって形
成し、4層構造のプリント配線基板を得た。評価結果は
後に表4〜6の基板No.98に示す。
【0049】
【実施例4】比較例2記載の樹脂ワニスに硫化物の塩ま
たはチオ尿素を加えて混合した以外は比較例2記載の製
造方法で4層構造のプリント配線基板を作成した。
たはチオ尿素を加えて混合した以外は比較例2記載の製
造方法で4層構造のプリント配線基板を作成した。
【0050】表4の基板No.50〜65に、用いた硫
化物の塩の種類、硫化物イオンおよびチオ尿素の添加量
を示した。それぞれの4層基板に対して、絶縁信頼性試
験を60℃、95%RH、15Vの条件下で1200時
間試験した。4層基板の絶縁抵抗値が1.0×10-7Ω
以下になったものを不良として、不良率および不良発生
時間(最初の不良が発生するまでの時間)について各種
基板で比較した。その結果を表4に示す。なお、表4の
添加量は、プリント配線基板の総重量に対するwt%で
ある。
化物の塩の種類、硫化物イオンおよびチオ尿素の添加量
を示した。それぞれの4層基板に対して、絶縁信頼性試
験を60℃、95%RH、15Vの条件下で1200時
間試験した。4層基板の絶縁抵抗値が1.0×10-7Ω
以下になったものを不良として、不良率および不良発生
時間(最初の不良が発生するまでの時間)について各種
基板で比較した。その結果を表4に示す。なお、表4の
添加量は、プリント配線基板の総重量に対するwt%で
ある。
【0051】
【表4】
【0052】
【実施例5】硫化物の塩またはチオ尿素の水溶液にガラ
ス織布基材をディップして乾燥した。以下この基材を用
いて、比較例2記載の製造方法で4層構造のプリント配
線基板を作成した。
ス織布基材をディップして乾燥した。以下この基材を用
いて、比較例2記載の製造方法で4層構造のプリント配
線基板を作成した。
【0053】表5の基板No.66〜81に、用いた硫
化物の塩の種類、硫化物イオンおよびチオ尿素の添加量
を示した。それぞれの4層基板に対して、絶縁信頼性試
験を60℃、95%RH、15Vの条件下で1200時
間試験した。4層基板の絶縁抵抗値が1.0×10-7Ω
以下になったものを不良として、不良率および不良発生
時間(最初の不良が発生するまでの時間)について各種
基板で比較した。その結果を表5に示す。なお、表5の
添加量は、プリント配線基板の総重量に対するwt%で
ある。
化物の塩の種類、硫化物イオンおよびチオ尿素の添加量
を示した。それぞれの4層基板に対して、絶縁信頼性試
験を60℃、95%RH、15Vの条件下で1200時
間試験した。4層基板の絶縁抵抗値が1.0×10-7Ω
以下になったものを不良として、不良率および不良発生
時間(最初の不良が発生するまでの時間)について各種
基板で比較した。その結果を表5に示す。なお、表5の
添加量は、プリント配線基板の総重量に対するwt%で
ある。
【0054】
【表5】
【0055】
【実施例6】比較例2記載の製造方法で作成された2層
構造のプリント配線基板を硫化物の塩またはチオ尿素の
水溶液にディップして乾燥した。このプリント配線基板
の両面を比較例2記載のプリプレグで挟み、さらにその
両面に銅箔を積層し、比較例2の条件で熱圧着した。次
に内層回路と外層回路との電気的導通を確保するため
に、ドリルにより所望の位置に貫通孔を形成し、銅メッ
キした。最後に外層用回路パターンをエッチングによっ
て形成し、4層構造のプリント配線基板を得た。
構造のプリント配線基板を硫化物の塩またはチオ尿素の
水溶液にディップして乾燥した。このプリント配線基板
の両面を比較例2記載のプリプレグで挟み、さらにその
両面に銅箔を積層し、比較例2の条件で熱圧着した。次
に内層回路と外層回路との電気的導通を確保するため
に、ドリルにより所望の位置に貫通孔を形成し、銅メッ
キした。最後に外層用回路パターンをエッチングによっ
て形成し、4層構造のプリント配線基板を得た。
【0056】表6の基板No.82〜97に、用いた硫
化物の塩の種類、硫化物イオンおよびチオ尿素の添加量
を示した。それぞれの4層基板に対して、絶縁信頼性試
験を60℃、95%RH、15Vの条件下で1200時
間試験した。4層基板の絶縁抵抗値が1.0×10-7Ω
以下になったものを不良として、不良率および不良発生
時間(最初の不良が発生するまでの時間)について各種
基板で比較した。その結果を表6に示す。なお、表6の
添加量は、プリント配線基板の総重量に対するwt%で
ある。
化物の塩の種類、硫化物イオンおよびチオ尿素の添加量
を示した。それぞれの4層基板に対して、絶縁信頼性試
験を60℃、95%RH、15Vの条件下で1200時
間試験した。4層基板の絶縁抵抗値が1.0×10-7Ω
以下になったものを不良として、不良率および不良発生
時間(最初の不良が発生するまでの時間)について各種
基板で比較した。その結果を表6に示す。なお、表6の
添加量は、プリント配線基板の総重量に対するwt%で
ある。
【0057】
【表6】
【0058】以上の実施例1〜6の表1〜6に示した結
果より、比較例1および比較例2に対して、硫化物イオ
ン、またはチオ尿素を添加した基板No.5〜15、2
0〜32、36〜48、52〜64、68〜80、85
〜96の不良率が小さく、それらの不良発生時間も大幅
に長くなっていることがわかる。また、基板No.4、
16、84の不良率は比較例1および比較例2と同じで
あるが、それらの不良発生時間が大幅に長いことがわか
る。これらの結果より、硫化物イオンまたはチオ尿素を
基板中に添加することで、イオンマイグレーションを効
果的に抑制できると言える。
果より、比較例1および比較例2に対して、硫化物イオ
ン、またはチオ尿素を添加した基板No.5〜15、2
0〜32、36〜48、52〜64、68〜80、85
〜96の不良率が小さく、それらの不良発生時間も大幅
に長くなっていることがわかる。また、基板No.4、
16、84の不良率は比較例1および比較例2と同じで
あるが、それらの不良発生時間が大幅に長いことがわか
る。これらの結果より、硫化物イオンまたはチオ尿素を
基板中に添加することで、イオンマイグレーションを効
果的に抑制できると言える。
【0059】一方、基板No.2、3、17〜19、3
3〜35、49〜51、65〜67、81〜83、97
については、前記した結果より効果が小さくなってい
る。しかし、比較例1および比較例2より不良が発生す
るまでの時間が長くなっており、優位性は維持している
と考えられる。これについて以下に説明する。
3〜35、49〜51、65〜67、81〜83、97
については、前記した結果より効果が小さくなってい
る。しかし、比較例1および比較例2より不良が発生す
るまでの時間が長くなっており、優位性は維持している
と考えられる。これについて以下に説明する。
【0060】まず、今回の基板に硫化ナトリウムを用い
た場合について説明する。表1〜表6より、その添加量
が1.0wt%を越えるとイオンマイグレーションを抑
制する効果が低下することがわかる。これは、多量のイ
オンを添加することで、基板の電極間のイオン電流が増
加し、その結果電極の金属イオンの溶出量も増加するた
めである。しかし、全くイオンを添加していないものよ
りは、その不良発生までの時間が長くなっており、添加
したイオンが溶出した金属を捕捉する能力はあると考え
られる。他の硫化カリウムおよび硫化アンモニウムにつ
いても同様の結果が得られており、用いる塩には関係な
く硫化物イオンの添加量に依存する。以上より、硫化物
イオンの添加量は、基板の総重量に対して1.0wt%
以下であることが好ましい。
た場合について説明する。表1〜表6より、その添加量
が1.0wt%を越えるとイオンマイグレーションを抑
制する効果が低下することがわかる。これは、多量のイ
オンを添加することで、基板の電極間のイオン電流が増
加し、その結果電極の金属イオンの溶出量も増加するた
めである。しかし、全くイオンを添加していないものよ
りは、その不良発生までの時間が長くなっており、添加
したイオンが溶出した金属を捕捉する能力はあると考え
られる。他の硫化カリウムおよび硫化アンモニウムにつ
いても同様の結果が得られており、用いる塩には関係な
く硫化物イオンの添加量に依存する。以上より、硫化物
イオンの添加量は、基板の総重量に対して1.0wt%
以下であることが好ましい。
【0061】また、チオ尿素に関して説明すると、表1
〜6より、その添加量が10ppm未満では、イオンマ
イグレーションを遅延させる効果が小さくなっている。
これは、チオ尿素の添加量が少なすぎるため、溶出した
金属イオンを補足する速度が小さくなると考えられる。
しかし、この場合も溶出した金属イオンを補足する能力
は維持していると思われる。以上より、チオ尿素の添加
量は、基板の総重量に対して10ppm以上であること
が好ましい。
〜6より、その添加量が10ppm未満では、イオンマ
イグレーションを遅延させる効果が小さくなっている。
これは、チオ尿素の添加量が少なすぎるため、溶出した
金属イオンを補足する速度が小さくなると考えられる。
しかし、この場合も溶出した金属イオンを補足する能力
は維持していると思われる。以上より、チオ尿素の添加
量は、基板の総重量に対して10ppm以上であること
が好ましい。
【0062】以上より、基材および製造方法に問わず、
プリント配線基板の絶縁層中または前記基板の銅箔パタ
ーン表面に、硫化物イオンまたはチオ尿素を存在させる
ことで基板中のイオンマイグレーションを効果的に抑制
できると言える。なお、本発明は、実施例に示した基
材、含浸樹脂、金属箔および製造方法に限定されるもの
ではない。
プリント配線基板の絶縁層中または前記基板の銅箔パタ
ーン表面に、硫化物イオンまたはチオ尿素を存在させる
ことで基板中のイオンマイグレーションを効果的に抑制
できると言える。なお、本発明は、実施例に示した基
材、含浸樹脂、金属箔および製造方法に限定されるもの
ではない。
【0063】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、プリント
配線基板の絶縁層中または金属箔パターン表面に、難溶
性金属塩を基板のいずれかの部分から遊離する金属イオ
ンと形成するイオン、または反応する含イオウ化合物を
存在させることで、電圧の印加により溶出した金属イオ
ンを効果的に捕捉することができる。そのため、金属イ
オンの陽極から陰極への移行析出を抑制することがで
き、耐マイグレーション性に優れたプリント配線基板を
提供することができる。
配線基板の絶縁層中または金属箔パターン表面に、難溶
性金属塩を基板のいずれかの部分から遊離する金属イオ
ンと形成するイオン、または反応する含イオウ化合物を
存在させることで、電圧の印加により溶出した金属イオ
ンを効果的に捕捉することができる。そのため、金属イ
オンの陽極から陰極への移行析出を抑制することがで
き、耐マイグレーション性に優れたプリント配線基板を
提供することができる。
Claims (47)
- 【請求項1】 基材に樹脂が含浸されて絶縁層が形成さ
れ、かつ前記絶縁層の所望の層に金属箔パターンが形成
されているプリント配線基板であって、前記絶縁層中ま
たは前記金属箔パターン表面に、基板のいずれかの部分
から遊離する金属イオンと結合して難溶性金属塩を形成
するイオンを存在させることを特徴とするプリント配線
基板。 - 【請求項2】 遊離する金属イオンと結合するイオン
が、硫化物イオンである請求項1に記載のプリント配線
基板。 - 【請求項3】 硫化物イオンが、硫化アンモニウム、硫
化カリウムおよび硫化ナトリウムから選ばれる少なくと
も1種の化合物から供給される請求項2に記載のプリン
ト配線基板。 - 【請求項4】 難溶性金属塩の水中(at 25℃)における
溶解度積が10-40以上10-10以下である請求項1に記
載のプリント配線基板。 - 【請求項5】 遊離する金属イオンと結合するイオンを
供給する硫化化合物の添加量が、基板に対して0.00
1wt%以上0.1wt%以下である請求項1に記載の
プリント配線基板。 - 【請求項6】 金属箔パターンが銅、銀およびニッケル
から選ばれる少なくとも1種の金属である請求項1に記
載のプリント配線基板。 - 【請求項7】 基材がガラス織布、ガラス不織布、アラ
ミド織布、アラミド不織布およびアラミドフィルムから
選ばれる少なくとも1種の基材である請求項1に記載の
プリント配線基板。 - 【請求項8】 含浸樹脂がエポキシ樹脂、シアネートエ
ステル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミ
ド樹脂およびポリフェニレンオキサイド(PPO)樹脂
から選ばれる少なくとも1種の樹脂である請求項1に記
載のプリント配線基板。 - 【請求項9】 基材に樹脂を含浸して絶縁層が形成さ
れ、かつ前記絶縁層の所望の層に金属箔パターンが形成
されているプリント配線基板であって、前記絶縁層中ま
たは前記金属箔パターン表面に、基板のいずれかの部分
から遊離する金属のイオンと反応する含イオウ化合物を
存在させることを特徴とするプリント配線基板。 - 【請求項10】 遊離する金属イオンと反応する含イオ
ウ化合物がチオ尿素である請求項9に記載のプリント配
線基板。 - 【請求項11】 遊離する金属イオンと反応する含イオ
ウ化合物の添加量が、基板に対して10ppm以上10
000ppm以下である請求項9に記載のプリント配線
基板。 - 【請求項12】 金属箔パターンが銅、銀およびニッケ
ルから選ばれる少なくとも1種の金属である請求項9に
記載のプリント配線基板。 - 【請求項13】 基材がガラス織布、ガラス不織布、ア
ラミド織布、アラミド不織布およびアラミドフィルムか
ら選ばれる少なくとも1種の基材である請求項9に記載
のプリント配線基板。 - 【請求項14】 含浸樹脂がエポキシ樹脂、シアネート
エステル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイ
ミド樹脂およびポリフェニレンオキサイド(PPO)樹
脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂である請求項9に
記載のプリント配線基板。 - 【請求項15】 基板のいずれかの部分から遊離する金
属イオンと結合して難溶性金属塩を形成するイオンが含
まれる樹脂ワニスを基材に含浸し乾燥してプリプレグを
作成し、前記プリプレグに金属箔を積層して熱圧着し、
前記金属箔に回路パターンを形成することを特徴とする
プリント配線基板の製造方法。 - 【請求項16】 遊離する金属と結合するイオンが硫化
物イオンである請求項15に記載のプリント配線基板の
製造方法。 - 【請求項17】 硫化物イオンが硫化アンモニウム、硫
化カリウム、硫化ナトリウムから選ばれる少なくとも1
種の化合物から供給される請求項16に記載のプリント
配線基板の製造方法。 - 【請求項18】 難溶性金属塩の水中(at 25℃)におけ
る溶解度積が10-40以上10-10以下である請求項15
に記載のプリント配線基板の製造方法。 - 【請求項19】 金属が銅、銀およびニッケルから選ば
れる少なくとも1種の金属である請求項15に記載のプ
リント配線基板の製造方法。 - 【請求項20】 基材がガラス織布、ガラス不織布、ア
ラミド織布、アラミド不織布およびアラミドフィルムか
ら選ばれる少なくとも1種の基材である請求項15に記
載のプリント配線基板の製造方法。 - 【請求項21】 含浸樹脂がエポキシ樹脂、シアネート
エステル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイ
ミド樹脂およびポリフェニレンオキサイド(PPO)樹
脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂である請求項15
に記載のプリント配線基板の製造方法。 - 【請求項22】 基板のいずれかの部分から遊離する金
属イオンと結合して難溶性金属塩を形成するイオンが含
まれる溶液に基材を浸し乾燥して、さらに前記基材に樹
脂ワニスを含浸し乾燥してプリプレグを作成し、前記プ
リプレグに金属箔を積層して熱圧着し、前記金属箔に回
路パターンを形成することを特徴とするプリント配線基
板の製造方法。 - 【請求項23】 遊離する金属と結合するイオンが硫化
物イオンである請求項22に記載のプリント配線基板の
製造方法。 - 【請求項24】 硫化物イオンが硫化アンモニウム、硫
化カリウム、硫化ナトリウムから選ばれる少なくとも1
種の化合物から供給される請求項23に記載のプリント
配線基板の製造方法。 - 【請求項25】 難溶性金属塩の水中(at 25℃)におけ
る溶解度積が10-40以上10-10以下である請求項22
に記載のプリント配線基板の製造方法。 - 【請求項26】 金属が銅、銀およびニッケルから選ば
れる少なくとも1種の金属である請求項22に記載のプ
リント配線基板の製造方法。 - 【請求項27】 基材がガラス織布、ガラス不織布、ア
ラミド織布、アラミド不織布およびアラミドフィルムか
ら選ばれる少なくとも1種の基材である請求項22に記
載のプリント配線基板の製造方法。 - 【請求項28】 含浸樹脂がエポキシ樹脂、シアネート
エステル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイ
ミド樹脂およびポリフェニレンオキサイド(PPO)樹
脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂である請求項22
に記載のプリント配線基板の製造方法。 - 【請求項29】 2層以上からなるプリント配線基板の
金属箔パターン表面に、基板のいずれかの部分から遊離
する金属イオンと結合して難溶性金属塩を形成するイオ
ンが含まれる溶液を塗布して乾燥し、前記プリント配線
基板に樹脂が含浸された基材を積層し、さらに前記積層
物に金属箔を積層して熱圧着し、前記金属箔に回路パタ
ーンを形成することを特徴とするプリント配線基板の製
造方法。 - 【請求項30】 遊離する金属と結合するイオンが硫化
物イオンである請求項29に記載のプリント配線基板の
製造方法。 - 【請求項31】 硫化物イオンが硫化アンモニウム、硫
化カリウム、硫化ナトリウムから選ばれる少なくとも1
種の化合物から供給される請求項30に記載のプリント
配線基板の製造方法。 - 【請求項32】 難溶性金属塩の水中(at 25℃)におけ
る溶解度積が10-40以上10-10以下である請求項29
に記載のプリント配線基板の製造方法。 - 【請求項33】 基板のいずれかの部分から遊離する金
属イオンと反応する含イオウ化合物が含まれる樹脂ワニ
スを基材に含浸し乾燥してプリプレグを作成し、前記プ
リプレグに金属箔を積層して熱圧着し、前記金属箔に回
路パターンを形成することを特徴とするプリント配線基
板の製造方法。 - 【請求項34】 遊離する金属イオンと反応する含イオ
ウ化合物がチオ尿素である請求項33に記載のプリント
配線基板の製造方法。 - 【請求項35】 金属が銅、銀およびニッケルから選ば
れる少なくとも1種の金属である請求項33に記載のプ
リント配線基板の製造方法。 - 【請求項36】 基材がガラス織布、ガラス不織布、ア
ラミド織布、アラミド不織布およびアラミドフィルムか
ら選ばれる少なくとも1種の基材である請求項33に記
載のプリント配線基板の製造方法。 - 【請求項37】 含浸樹脂がエポキシ樹脂、シアネート
エステル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイ
ミド樹脂およびポリフェニレンオキサイド(PPO)樹
脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂である請求項33
に記載のプリント配線基板の製造方法。 - 【請求項38】 基板のいずれかの部分から遊離する金
属イオンと反応する含イオウ化合物が含まれる溶液に基
材を浸し乾燥して、さらに前記基材に樹脂ワニスを含浸
し乾燥してプリプレグを作成し、前記プリプレグに金属
箔を積層して熱圧着し、前記金属箔に回路パターンを形
成することを特徴とするプリント配線基板の製造方法。 - 【請求項39】 遊離する金属イオンと反応する含イオ
ウ化合物がチオ尿素である請求項38に記載のプリント
配線基板の製造方法。 - 【請求項40】 金属が銅、銀およびニッケルから選ば
れる少なくとも1種の金属である請求項38に記載のプ
リント配線基板の製造方法。 - 【請求項41】 基材がガラス織布、ガラス不織布、ア
ラミド織布、アラミド不織布およびアラミドフィルムか
ら選ばれる少なくとも1種の基材である請求項38に記
載のプリント配線基板の製造方法。 - 【請求項42】 含浸樹脂がエポキシ樹脂、シアネート
エステル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイ
ミド樹脂およびポリフェニレンオキサイド(PPO)樹
脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂である請求項38
に記載のプリント配線基板の製造方法。 - 【請求項43】 2層以上からなるプリント配線基板の
金属箔パターン表面に、基板のいずれかの部分から遊離
する金属イオンと反応する含イオウ化合物が含まれる溶
液を塗布して乾燥し、前記プリント配線基板に樹脂が含
浸された基材を積層し、さらに前記積層物に金属箔を積
層して熱圧着し、前記金属箔に回路パターンを形成する
ことを特徴とするプリント配線基板の製造方法。 - 【請求項44】 遊離する金属イオンと反応する含イオ
ウ化合物がチオ尿素である請求項43に記載のプリント
配線基板の製造方法。 - 【請求項45】 金属が銅、銀およびニッケルから選ば
れる少なくとも1種の金属である請求項43に記載のプ
リント配線基板の製造方法。 - 【請求項46】 基材がガラス織布、ガラス不織布、ア
ラミド織布、アラミド不織布およびアラミドフィルムか
ら選ばれる少なくとも1種の基材である請求項43に記
載のプリント配線基板の製造方法。 - 【請求項47】 含浸樹脂がエポキシ樹脂、シアネート
エステル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイ
ミド樹脂およびポリフェニレンオキサイド(PPO)樹
脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂である請求項43
に記載のプリント配線基板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30216997A JP3155733B2 (ja) | 1996-11-08 | 1997-11-04 | プリント配線基板とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8-296651 | 1996-11-08 | ||
JP29665196 | 1996-11-08 | ||
JP30216997A JP3155733B2 (ja) | 1996-11-08 | 1997-11-04 | プリント配線基板とその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10190239A true JPH10190239A (ja) | 1998-07-21 |
JP3155733B2 JP3155733B2 (ja) | 2001-04-16 |
Family
ID=26560782
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30216997A Expired - Fee Related JP3155733B2 (ja) | 1996-11-08 | 1997-11-04 | プリント配線基板とその製造方法 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3155733B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6524721B2 (en) | 2000-08-31 | 2003-02-25 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Conductive adhesive and packaging structure using the same |
JP2013171939A (ja) * | 2012-02-20 | 2013-09-02 | Fujitsu Ltd | 配線構造及びその製造方法並びに電子装置及びその製造方法 |
-
1997
- 1997-11-04 JP JP30216997A patent/JP3155733B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6524721B2 (en) | 2000-08-31 | 2003-02-25 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Conductive adhesive and packaging structure using the same |
US6666994B2 (en) | 2000-08-31 | 2003-12-23 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Conductive adhesive and packaging structure using the same |
JP2013171939A (ja) * | 2012-02-20 | 2013-09-02 | Fujitsu Ltd | 配線構造及びその製造方法並びに電子装置及びその製造方法 |
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JP3155733B2 (ja) | 2001-04-16 |
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