JPH10186306A - 液晶表示装置およびその液晶セルの駆動方法 - Google Patents

液晶表示装置およびその液晶セルの駆動方法

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JPH10186306A
JPH10186306A JP34415096A JP34415096A JPH10186306A JP H10186306 A JPH10186306 A JP H10186306A JP 34415096 A JP34415096 A JP 34415096A JP 34415096 A JP34415096 A JP 34415096A JP H10186306 A JPH10186306 A JP H10186306A
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voltage
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metastable
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JP34415096A
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English (en)
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Tetsushi Yoshida
哲志 吉田
Toshiomi Ono
俊臣 小野
Toshihiro Mannouji
敏弘 萬納寺
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Casio Computer Co Ltd
Original Assignee
Casio Computer Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】駆動デューティに対して動作電圧マージンを大
きくして高時分割駆動を可能とするとともに、前記液晶
セルの準安定状態の選択を容易にしかも確実に行なう。 【解決手段】リセット電圧の印加後に印加する準安定状
態選択電圧に応じて液晶分子が第1と第2の準安定状態
のいずれかの状態に配向し、その準安定状態における液
晶分子の配向状態が駆動電圧の実効値に応じて変化する
特性をもった液晶セル10を用い、この液晶セル10の
各画素行の画素部をそれぞれ、前記リセット電圧と前記
準安定状態選択電圧とを順次印加した後に前記駆動電圧
の実効値を制御するための書込み電圧を印加して書換え
るとともに、前記第1および第2の準安定状態選択電圧
として、周波数が互いに異なる波形の電圧を印加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高デューティで
の時分割駆動を可能とした液晶表示装置およびその液晶
セルの駆動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置には、バックライトからの
光を利用して表示する透過型のものと、自然光や室内照
明光等の外光を利用して表示する反射型のものとがあ
る。
【0003】これらの液晶表示装置は、液晶セルをはさ
んでその表面側と裏面側とに偏光板を配置したものであ
り、反射型の液晶表示装置は、裏側偏光板の裏面側に反
射板を配置して構成されている。なお、反射型の液晶表
示装置には、偏光板を1枚だけ備えたものもあり、この
反射型液晶表示装置は、液晶セルの表面側に偏光板を配
置し、前記液晶セルの裏面側に反射板を配置して構成さ
れている。
【0004】これらの液晶表示装置に用いられる液晶セ
ルは、内面に電極が設けられるとともにその上に配向処
理を施した配向膜が形成された一対の基板間に液晶を挟
持した構成となっており、液晶の分子は、それぞれの基
板の近傍における配向方向を前記配向膜により規制され
て、所定の配向状態(例えばツイスト配向状態)で配向
している。
【0005】上記液晶表示装置は、液晶セルの各画素部
の電極間に表示データに応じた駆動電圧を印加して表示
駆動されており、前記電極間に電圧を印加すると、液晶
分子が電圧無印加状態の初期配向状態を保ちながら基板
面に対して立上がるように配向状態を変え、その配向状
態に応じて光の透過が制御される。
【0006】ところで、上記液晶表示装置には、単純マ
トリックス方式の液晶セルを用いるものと、アクティブ
マトリックス方式の液晶セルを用いるものとがあるが、
液晶セルの構造が極く簡単で低コストに得られるという
点では、単純マトリックス方式が有利である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、単純マ
トリックス方式の液晶セルを用いる液晶表示装置は、液
晶セルの各画素部の電極間(走査電極と信号電極との
間)への書込み電圧の印加によって前記電極間に生ずる
駆動電圧の実効値を制御して表示駆動されるため、光の
透過状態を段階的に制御する表示を行なう場合、時分割
数が多くなると、各段階に対応する実効値の差を大きく
とることができなくなり、そのために、高デューティで
時分割駆動しようとすると、液晶セルを駆動する際の動
作電圧マージン(各階調を表示するための電圧の実効値
の差)が小さくなり、明確な段階的表示ができなくな
る。
【0008】このため、単純マトリックス方式の液晶セ
ルを用いる液晶表示装置は、高デューティでの時分割駆
動が難しく、したがって、画素数を多くして表示画像の
高精細化をはかることは困難であった。
【0009】この発明は、駆動デューティに対して動作
電圧マージンを大きくして、高デューティでの時分割駆
動を可能とし、画素数の多い高精細画像の表示を実現す
ることができる液晶表示装置を提供するとともに、あわ
せて、その液晶セルの駆動方法を提供することを目的と
したものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明の液晶表示装置
は、互いに対向する面それぞれに電極が形成された一対
の基板の間に、ネマティック液晶層を挟持した液晶セル
と、この液晶セルの少なくとも表面側に配置された少な
くとも一枚の偏光板と、前記液晶セルの前記電極間に電
圧を供給する駆動系とを備え、前記液晶層は、前記一対
の基板の電極間に、液晶分子の分子長軸を基板面に対し
てほぼ垂直に配向させるリセット電圧を印加した後、そ
れより低い値の第1の準安定状態選択電圧とこの第1の
準安定状態選択電圧とは異なる第2の準安定状態選択電
圧の選択的な印加によって前記液晶分子が所定の配向状
態で配向する第1の準安定状態と、この第1の準安定状
態とは異なる配向状態で配向する第2の準安定状態と、
第1の準安定状態と第2の準安定状態それぞれにおける
液晶層に印加された電圧の実効値に応じて液晶分子の配
向が変化する電界により誘起された書込み配向状態とを
有し、前記駆動系は、前記リセット電圧と、選択的に互
いに周波数が異なる電界を前記液晶層に印加するための
前記第1と第2の準安定状態選択電圧と、前記液晶層に
所定の実効値の電圧を印加するための書込み電圧とを、
前記液晶セルの対向する前記電極間に順次供給する駆動
手段からなることを特徴とするものである。
【0011】この液晶表示装置は、液晶セルの液晶の分
子を上記第1と第2のいずれかの準安定状態に配向さ
せ、それぞれの準安定状態における液晶分子の配向状態
を駆動電圧の実効値に応じて変化させて光の透過状態を
制御するものであり、前記第1と第2の準安定状態は、
リセット電圧の印加により液晶分子をほぼ垂直に立上が
り配向させてその前の配向状態をリセットし、その後に
第1または第2の準安定状態を選択する準安定状態選択
電圧を印加することによって切換えられる。
【0012】この液晶表示装置は、第1の準安定状態を
選択したときは、液晶分子が前記第1の準安定状態に配
向した液晶セルと偏光板とからなる表示装置の電気光学
特性をもち、第2の準安定状態を選択したときは、液晶
分子が前記第2の準安定状態に配向した液晶セルと偏光
板とからなる表示装置の電気光学特性をもつ。
【0013】すなわち、この液晶表示装置は、液晶セル
の液晶分子の配向状態が互いに異なる2つの表示装置の
電気光学特性を合わせ持ったものであり、したがって、
段階的に制御しようとする光の透過状態のうちの複数の
透過状態の制御を一方の電気光学特性を利用して行な
い、他の複数の透過状態の制御を他方の電気光学特性を
利用して行なうことができる。
【0014】このため、この液晶表示装置によれば、透
過状態の全段階数を、前記一方の電気光学特性を利用す
るとき、つまり第1の準安定状態を選択して透過状態を
制御するときと、前記他方の電気光学特性を利用すると
き、つまり第2の準安定状態を選択して透過状態を制御
するときとに振り分けることができ、そのために、それ
ぞれの準安定状態で駆動される段階数が少なくなるか
ら、それぞれの準安定状態の中で、少ない段階数の時分
割駆動を行なうことができる。
【0015】したがって、この液晶表示装置によれば、
液晶セルの駆動デューティに対して動作電圧マージンを
大きくし、高デューティでの時分割駆動を可能として、
画素数の多い高精細画像の表示を実現することができ
る。
【0016】また、この液晶表示装置は、その液晶セル
を駆動するための駆動系を備えており、この駆動系によ
り、液晶セルの各画素行の画素部の電極間に、前記リセ
ット電圧と前記準安定状態選択電圧とを順次印加した後
に前記書込み電圧を印加することにより、前記各画素行
の画素部を書換えて画像を表示する。
【0017】なお、この液晶表示装置は、前記書換え
を、まず前の液晶分子の配向状態をリセットして次の準
安定状態を選択し、その後に次の書込み状態を得るため
の書込み電圧を印加することによって行なうものである
が、その際の前記配向状態のリセットと準安定状態の選
択は短時間で行なえる。
【0018】そして、この液晶表示装置では、前記第1
および第2の準安定状態選択電圧として、周波数が互い
に異なる波形の電圧を印加するようにしているため、前
記準安定状態選択電圧の電圧値(絶対値)を制御して第
1と第2の準安定状態を選択する場合に比べて、準安定
状態の選択を、容易にしかも確実に行なうことができ
る。
【0019】また、この発明の液晶セルの駆動方法は、
所定の期間に前記リセット電圧と、選択的に互いに周波
数が異なる電界を前記液晶層に印加するための前記第1
と第2の準安定状態選択電圧と、前記液晶層に所定の実
効値の電圧を印加するための書込み電圧とを液晶セルの
対向する電極間に順次供給することを特徴とするもので
ある。
【0020】この駆動方法によれば、前記液晶表示装置
に、その液晶セルの各画素行の画素部を書換える画像表
示を行なわせることができるとともに、前記準安定状態
の選択を、容易にしかも確実に行なうことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】この発明の液晶表示装置は、液晶
分子が第1の準安定状態と第2の準安定状態とに配向す
る液晶セルを用い、その各画素部の電極間へのリセット
電圧および準安定選択電圧の印加により前記第1と第2
のいずれかの準安定状態を選択するとともに、その準安
定状態の選択後に、書込み電圧の印加により駆動電圧の
実効値を制御して液晶分子を所望の状態に配向させるこ
とにより、前記第1および第2の準安定状態の各々にお
いて光の透過状態を複数の段階に制御するようにしたも
のである。
【0022】そして、この液晶表示装置は、その液晶セ
ルを駆動する駆動系を備えており、この駆動系により、
前記液晶セルの各画素行の画素部を、前記リセット電圧
を印加してその前の液晶分子の配向状態をリセットした
後に準安定状態選択電圧を印加して前記液晶分子を前記
第1と第2のいずれかの準安定状態に配向させ、その後
に書込み電圧を印加することにより書換えて画像を表示
するとともに、前記第1および第2の準安定状態選択電
圧として、周波数が互いに異なる波形の電圧を印加する
ことにより、前記準安定状態の選択を、容易にしかも確
実に行なうようにしたものである。
【0023】この発明の液晶表示装置において、前記液
晶セルの液晶分子の初期配向状態は、液晶分子がいずれ
か一方の基板の配向処理方向を基準として一方の方向に
ほぼ0°〜ほぼ180°のねじれ角で非ツイストまたは
ツイスト配向したスプレイ配向状態であり、前記第1の
準安定状態は、液晶分子が前記初期配向状態から前記一
方の方向にさらにほぼ180°ねじれて配向してスプレ
イ歪を解消した状態、前記第2の準安定態は、液晶分子
が前記初期配向状態から前記一方の方向とは逆方向にほ
ぼ180°ねじれて配向してスプレイ歪を解消した状態
である。
【0024】また、駆動手段は、印加電界に対して液晶
の誘電異方性が正の値を示す低周波の電界を前記液晶層
に印加するための前記第1の準安定状態選択電圧と、印
加電界に対して液晶の誘電異方性が実質的に0または負
の値を示す高周波の電界を前記液晶層に印加するための
前記第2の準安定状態選択電圧とを前記対向する電極間
に供給するものであるのが好ましい。
【0025】さらに、前記液晶セルの互いに対向する基
板それぞれに形成された電極のうち、一方の電極が一方
の方向に延びる複数の走査電極、他方の電極が前記走査
電極と交差する方向に延びる複数の信号電極である場
合、前記駆動手段は、前記複数の走査電極の全てを順次
選択して駆動信号を供給する期間を1フレームとして、
前記第1の準安定状態選択電圧と第2の準安定状態選択
電圧とを、選択的に1または複数フレームごとに前記対
向する電極間に供給する駆動回路からなるものが望まし
い。
【0026】また、この発明の液晶セルの駆動方法は、
所定の期間に前記リセット電圧と、選択的に互いに周波
数が異なる電界を前記液晶層に印加するための前記第1
と第2の準安定状態選択電圧と、前記液晶層に所定の実
効値の電圧を印加するための書込み電圧とを液晶セルの
対向する電極間に順次供給することにより、前記準安定
状態の選択を、容易にしかも確実に行なうようにしたも
のである。
【0027】この駆動方法においては、前記液晶セルの
各画素行の画素部をそれぞれ、1つの画素行の画素部を
所定数のフレームおきに書換えて駆動するのが望まし
く、その場合は、書換えを行なう書換えフレームに、前
記画素部の電極間に前記リセット電圧と前記準安定状態
選択電圧とを順次印加した後に前記書込み電圧を印加
し、他のフレームには、そのフレームの前の書換えフレ
ームにおいて印加した書込み電圧と絶対値が同じ書込み
電圧を印加すればよい。
【0028】また、この駆動方法においては、前記液晶
セルの全画素行を複数行ずつのグループに分け、1フレ
ームごとに、1つのグループの各画素行の画素部のリセ
ットおよび準安定状態の選択と、全ての画素行の画素部
の書込みを行なうのが望ましい。
【0029】その場合、前記画素行のグループ分けは、
全てのグループの画素行のリセットおよび準安定状態選
択と書込みを行なう1サイクルごとに、各ブループの画
素行の編成を変えるように選ぶのが望ましい。
【0030】
【実施例】以下、この発明を反射型の液晶表示装置に適
用した実施例を図面を参照して説明する。
【0031】図1はこの発明の第1の実施例による液晶
表示装置の基本構成を示す斜視図であり、(a)は初期
配向状態、(b)は第1の準安定状態、(c)は第2の
準安定状態を示している。図2は前記液晶表示装置の断
面図である。
【0032】この実施例の液晶表示装置は、図1および
図2に示すように、液晶セル10をはさんでその表面側
と裏面側とに偏光板21,22を配置するとともに、裏
側の偏光板22の背後に反射板30を配置し、さらに前
記液晶セル10に、この液晶セル10を駆動するための
駆動系40を接続して構成されている。
【0033】上記液晶セル10は、図2のように、内面
に透明電極13,14が設けられるとともにその上に配
向処理を施した配向膜15,16が形成された表裏一対
の透明基板11,12間に液晶18を挟持したものであ
り、前記一対の基板11,12は枠状のシール材17を
介して接合されており、液晶18は両基板11,12間
の前記シール材17で囲まれた領域に封入されている。
なお、前記配向膜15,16はポリイミド等からなる水
平配向膜であり、その膜面を所定の方向にラビングする
ことによって配向処理されている。
【0034】この液晶セル10は、単純マトリックス型
のものであり、その表側基板11に設けられた透明電極
13は、一方向(図2において左右方向)に沿わせて形
成された複数本の走査電極、裏側基板12に設けられた
透明電極14は、前記走査電極13とほぼ直交する方向
に沿わせて形成された複数本の信号電極である。
【0035】さらに、この液晶セル10は、その液晶1
8に、カイラル剤を添加してツイスト配向性をもたせた
ネマティック液晶を用いたものであり、その液晶層は、
初期配向状態では、液晶分子がいずれか一方の基板の配
向処理方向を基準として一方の方向に0°〜180°の
ねじれ角で非ツイスト配向またはツイスト配向したスプ
レイ配向状態にある。
【0036】そして、この液晶セル10は、その液晶層
に、液晶分子が基板11,12面に対してほぼ垂直に立
上がり配向する十分高い電圧値のリセット電圧を印加し
た後に第1の準安定状態選択電圧を印加することによ
り、液晶分子が初期配向状態から前記一方の方向(初期
配向状態でのツイスト配向方向と同じ方向)にさらにほ
ぼ180°ねじれてツイスト配向してスプレイ歪を解消
した第1の準安定状態になり、また前記リセット電圧の
印加後、第2の準安定状態選択電圧の印加により、液晶
分子が前記初期配向状態から前記一方の方向とは逆方向
(第1の準安定状態でのツイスト配向方向とは逆の方
向)にほぼ180°ねじった角度でツイスト配向してス
プレイ歪を解消した第2の準安定状態になるとともに、
前記第1および第2の準安定状態における液晶分子の配
向状態が、表示データに応じて印加される駆動電圧の実
効値に応じて変化する電界により誘起された配向状態を
有している。
【0037】なお、この実施例では、前記初期配向状態
での液晶分子のねじれ角をほぼ90°としており、した
がって、前記第1の準安定状態は、液晶分子がいずれか
一方の基板の配向処理方向を基準として一方の方向にほ
ぼ270°のねじれ角でツイスト配向する状態であり、
第2の準安定状態は、液晶分子が前記一方の基板の配向
処理方向を基準として前記第1の準安定状態とは逆の方
向にほぼ90°のねじれ角でツイスト配向する状態であ
る。
【0038】図1において、11a,12aは液晶セル
10の両基板11,12の配向処理方向(配向膜15,
16のラビング方向)を示しており、この実施例では、
表側基板11の配向膜15を、液晶表示装置の画面の横
軸xに対し表面側から見て左回りにほぼ45°ずれた方
向であって前記画面の左下から右上に向かう方向に配向
処理し、裏側基板12の配向膜16を、前記横軸xに対
し表面側から見て右回りにほぼ45°ずれた方向であっ
て前記画面の左上から右下に向かう方向に配向処理して
いる。すなわち、両基板11,12の配向処理方向11
a,12aは、互いにほぼ直交する方向である。
【0039】また、この実施例では、上記液晶18とし
て、表面側から見て左回りのツイスト配向性を有するカ
イラル剤を添加したものを用いており、したがって、こ
の液晶セル10の液晶分子は、初期配向状態では、スプ
レイ歪をもって、表面側から見て左回り方向(カイラル
剤による付与されるねじれ方向)にほぼ90°のねじれ
角でツイスト配向している。
【0040】この初期配向状態は、液晶分子が、両基板
11,12の近傍においてそれぞれの配向処理方向11
a,12aに沿って配向するとともに、いずれか一方の
基板の配向処理方向、例えば裏側基板12の配向処理方
向12aを基準として、図1の(a)に破線矢印で示し
た方向、つまりカイラル剤により付与されるねじれ方向
に、ほぼ90°のねじれ角でツイスト配向したスプレイ
配向状態である。
【0041】上記初期配向状態は、実際に表示には使用
しない状態であり、上記液晶セル10は、その各画素部
の液晶分子の配向状態を、上述した第1および第2の準
安定状態に配向させて表示駆動される。
【0042】上記第1の準安定状態と第2の準安定状態
は、前記初期配向状態から液晶分子のねじれ角がほぼ1
80°変化してスプレイ歪を解消した状態であり、前記
裏側基板12の配向処理方向12aを基準として、カイ
ラル剤により付与されるねじれ方向へのねじれ角を+の
角度、前記カイラル剤により付与されるねじれ方向とは
逆方向(カイラル剤によるねじれをほどく方向)へのね
じれ角を−の角度とすると、第1の準安定状態は、初期
配向状態に対してねじれ角が+180°変化したツイス
ト配向状態であり、第2の準安定状態は、初期配向状態
に対してねじれ角が−180°変化したツイスト配向状
態である。
【0043】上記初期配向状態から第1および第2の準
安定状態への配向状態の切換えは、液晶セル10の各画
素部の電極間(走査電極13と信号電極14との間)
に、まず液晶分子が基板11,12面に対してほぼ垂直
に立上がり配向する十分高い電圧値のスプレイ歪解消電
圧を印加し、その後、前記電極間に、所定の値の選択電
圧を印加することによって行なわれる。
【0044】すなわち、スプレイ歪解消電圧の印加によ
り液晶分子を基板11,12面に対してほぼ垂直に立上
がり配向させた後に、第1の準安定状態選択電圧を印加
すると、液晶分子が初期配向状態でのねじれ角にさらに
ほぼ180°のねじれが加わったねじれ角(90°+1
80°=270°)でツイストする状態に配向してスプ
レイ歪を解消し、第1の準安定状態になる。
【0045】この第1の準安定状態は、液晶分子が、両
基板11,12の近傍においてそれぞれの配向処理方向
11a,12aに沿って配向するとともに、いずれか一
方の基板の配向処理方向、例えば裏側基板12の配向処
理方向12aを基準として、図1の(b)に破線矢印で
示したツイスト方向、つまり表面側から見て左回り方向
(カイラル剤により付与されるねじれ方向)に、ほぼ2
70°のねじれ角でツイスト配向する状態である。
【0046】また、スプレイ歪解消電圧の印加により液
晶分子を基板11,12面に対してほぼ垂直に立上がり
配向させた後に、第2の準安定状態選択電圧を印加する
と、液晶分子が初期配向状態でのねじれ角からほぼ18
0°のねじれを差し引いたねじれ角(90°−180°
=−90°)でツイストする状態に配向してスプレイ歪
を解消し、第2の準安定状態になる。
【0047】この第2の準安定状態は、液晶分子が、両
基板11,12の近傍においてそれぞれの配向処理方向
11a,12aに沿って配向するとともに、いずれか一
方の基板の配向処理方向、例えば裏側基板12の配向処
理方向12aを基準として、図1の(c)に破線矢印で
示したツイスト方向、つまり表面側から見て右回り方向
(カイラル剤により付与されるねじれ方向とは逆方向)
に、ほぼ90°のねじれ角でツイスト配向した状態であ
る。
【0048】さらに、上記第1の準安定状態と第2の準
安定状態とは、その一方から他方に切換えることが可能
であり、液晶分子がいずれの準安定状態に配向している
状態でも、まず電極13,14間に液晶分子が基板1
1,12面に対してほぼ垂直に立上がり配向する十分高
い電圧値のリセット電圧を印加して前記準安定状態をリ
セットし、その後に上記第1または第2の準安定状態選
択電圧を印加すれば、液晶分子の配向状態を、一方の準
安定状態から他方の準安定状態に切換えることができ
る。
【0049】なお、上記第1の準安定状態選択電圧と第
2の準安定状態選択電圧は、使用するネマティック液晶
の特性およびカイラル剤の特性と添加量によって決まる
が、例えば、第1の準安定状態選択電圧は、ほどんどの
液晶分子が電圧無印加時の配向状態(初期配向状態での
プレチルト角で倒伏した配向状態)に配向する電圧であ
る。また、第2の準安定状態選択電圧は、ほとんどの液
晶分子が初期配向状態でのプレチルト角に近い傾き角で
配向する電圧であり、前記第1の準安定状態選択電圧よ
りは大きい値である。
【0050】図3は上記初期配向状態とリセット状態と
第1および第2の準安定状態における液晶分子の配向状
態を液晶セル10の下縁方向(横軸xに対して直交する
方向)から見た模式図であり、18aは液晶分子を示し
ている。
【0051】この模式図のように、上記初期配向状態
(液晶分子が裏側基板12の配向処理方向12aを基準
として表面側から見て左回り方向にほぼ90°のねじれ
角でツイスト配向している状態)は、両基板11,12
の近傍の液晶分子はそれぞれの基板11,12面に対し
てその配向処理方向11a,12aに向かって数度程度
のプレチルト角で斜めに起き上がるように配向している
が、ツイスト配向している液晶分子をそれぞれの分子長
軸が同一平面上にくるように展開して見たときのそれぞ
れの基板11,12側でのプレチルトの傾きが互いに逆
になっている状態であり、したがって液晶分子は、基板
11,12から離れるのにともなってチルト角が小さく
なり、液晶層厚の中間(チルト角が0°になる点)を境
にして基板11,12面に対する傾き方向が逆になった
状態(スプレイ歪をもった状態)のツイスト配向状態に
ある。
【0052】また、上記リセット状態は、両基板11,
12の近傍の液晶分子(図では省略している)は初期配
向状態とほとんど変わらない状態(それぞれの基板1
1,12面に対してその配向処理方向11a,12aに
向かって数度程度のプレチルト角で斜めに起き上がるよ
うに配向している状態)にあるが、基板11,12から
ある程度以上離れているほとんどの液晶分子は基板1
1,12面に対してほぼ垂直に立上がるように配向した
状態である。
【0053】さらに、第1の準安定状態(液晶分子が一
方の方向にほぼ270°のねじれ角でツイスト配向する
状態)は、両基板11,12の近傍の液晶分子の配向状
態は初期配向状態とほとんど変わらないが、液晶分子が
前記初期配向状態よりもさらにほぼ180°ねじれてツ
イスト配向した状態であり、したがって、ツイスト配向
している液晶分子をそれぞれの分子長軸が同一平面上に
くるように展開して見たときの液晶分子18aの傾き方
向は同じ方向であるから、この第1の準安定状態は、ス
プレイ歪の無いツイスト配向状態である。
【0054】また、第2の準安定状態(液晶分子が第1
の準安定状態とは逆方向にほぼ90°のねじれ角でツイ
スト配向する状態)は、両基板11,12の近傍の液晶
分子の配向状態は初期配向状態とほとんど変わらない
が、液晶分子のねじれ角が前記初期配向状態から前記第
1の準安定状態でのツイスト方向とは逆の方向にほぼ1
80°ねじれてツイスト配向した状態であり、したがっ
て、ツイスト配向している液晶分子をそれぞれの分子長
軸が同一平面上にくるように展開して見たときの液晶分
子18aの傾き方向は同じ方向であるから、この第2の
準安定状態も、スプレイ歪の無いツイスト配向状態であ
る。
【0055】上記第1と第2の準安定状態はそれぞれ、
その準安定状態における液晶分子18aのねじれ角を保
持するツイスト配向状態であるが、いずれの準安定状態
においても、液晶分子18aのチルト角、つまり基板1
1,12面に対する立上がり角度は、電極13,14間
に印加される駆動電圧の実効値に応じて変化する(ただ
し、両基板11,12の近傍の液晶分子の配向状態はほ
とんど変わらない)。図3に示した第1および第2の準
安定状態における液晶分子の配向状態のうち、上側に示
した配向状態は、駆動電圧の実効値が比較的小さい値で
あるときの液晶分子の配向状態(第2の書込み状態)を
示し、下側に示した配向状態は、駆動電圧の実効値があ
る程度高い値であるときの液晶分子の配向状態(第1の
書込み状態)を示しており、いずれの準安定状態におい
ても、液晶分子は、その準安定状態におけるツイスト配
向状態を保ちながら、駆動電圧の実効値に応じて立上が
り配向する。
【0056】なお、上記駆動電圧は、その実効値が上記
リセット電圧の電圧値よりも低い範囲で変化する電圧で
あり、上記第1および第2の準安定状態は、駆動電圧の
実効値に応じて液晶分子のチルト角が変化するが、ツイ
スト配向状態はそのまま維持する状態であり、いずれの
準安定状態も、上記リセット電圧の印加により液晶分子
18aを基板11,12面に対してほぼ垂直に立上がり
配向させることによってリセットされる。
【0057】また、図1において、21a,22aは、
液晶セル10をはさんでその表面側と裏面側とに配置し
た一対の偏光板21,22の透過軸を示しており、この
実施例では、表側偏光板21を、その透過軸21aを液
晶セル10の表側基板11の配向処理方向11aとほぼ
平行な方向またはほぼ直交する方向(図ではほぼ平行な
方向)に向けて配置し、裏側偏光板22を、その透過軸
22aを前記表側偏光板21の透過軸21aに対してほ
ぼ直交する方向に向けて配置している。
【0058】この液晶表示装置は、自然光や室内照明光
等の外光を利用し表面側から入射する光を裏面側に配置
した反射板30で反射させて表示するものであり、その
表示駆動は、駆動系40により液晶セル10を駆動して
行なわれる。
【0059】この駆動系40は、その詳細な構成は後述
するが、前記液晶セル10の各画素行の画素部をそれぞ
れ、その電極13,14間に前記リセット電圧と前記準
安定状態選択電圧とを順次印加した後に前記駆動電圧の
実効値を制御するための書込み電圧を印加して書換える
ものであって、前記第1および第2の準安定状態を選択
する準安定状態選択電圧として、周波数が互いに異なる
波形の電圧を印加するように構成されている。
【0060】すなわち、上記第1の準安定状態と第2の
準安定状態は、印加する準安定状態選択電圧の値(絶対
値)を制御することによっても選択できるが、この液晶
表示装置では、液晶分子が電圧無印加時の状態に配向す
る高周波波形の電圧を第1の準安定状態選択電圧として
印加することにより第1の準安定状態を選択し、液晶分
子が初期配向状態でのプレチルト角に近い傾き角で配向
する電圧値の低周波波形の電圧を第2の準安定状態選択
電圧として印加することにより第2の準安定状態を選択
するようにしている。
【0061】そして、液晶セル10の各画素部の液晶の
分子は、その画素部の書換えを行なうフレームに、前記
駆動系40からのリセット電圧の印加によりほぼ垂直に
立上がるように配向してその前の配向状態をリセットさ
れ、その後に印加される準安定状態選択電圧に応じて第
1と第2のいずれかの準安定状態に配向するとともに、
その準安定状態において、前記書込み電圧の印加により
制御される駆動電圧の実効値に応じて配向状態を変え
る。
【0062】なお、液晶表示装置の駆動開始前は、液晶
セル10の全ての画素部の液晶分子が上述した初期配向
状態(スプレイ歪をもった配向状態)に配向している
が、表示駆動を開始すると、最初のリセット電圧が印加
されたときに、その電圧をスプレイ歪解消電圧として液
晶分子がほぼ垂直に立上がるように配向し、前記準安定
状態をリセットしたときと同じ状態になる。
【0063】上記液晶表示装置は、液晶セル10の各画
素部の液晶分子を上記第1と第2のいずれかの準安定状
態に配向させ、それぞれの準安定状態における液晶分子
のチルト角を駆動電圧の実効値に応じて変化させて光の
透過状態を制御するものであり、第1の準安定状態を選
択したときは、液晶分子がいずれか一方の基板の配向処
理方向を基準として一方の方向にほぼ270°のねじれ
角でツイスト配向した液晶セルと偏光板とからなる表示
装置の電気光学特性をもち、第2の準安定状態を選択し
たときは、液晶分子が前記一方の基板の配向処理方向を
基準として前記第1の準安定状態とは逆の方向にほぼ9
0°のねじれ角でツイスト配向した液晶セルと偏光板と
からなる表示装置の電気光学特性をもつ。
【0064】すなわち、この液晶表示装置は、液晶セル
の液晶分子の配向状態が異なる2つの表示装置の電気光
学特性を合わせ持ったものであり、したがって、段階的
に制御しようとする透過状態のうちの複数の透過状態の
制御を一方の電気光学特性を利用して行ない、他の複数
の透過状態の制御を他方の電気光学特性を利用して行な
うことができる。
【0065】この場合、上記実施例では、表側偏光板2
1の透過軸21aの方向を液晶セル10の表側基板11
の配向処理方向11aとほぼ平行またはほぼ直交する方
向にし、裏側偏光板22の透過軸22aを、前記表側偏
光板21の透過軸21aに対してほぼ直交する方向に設
定しているため、第1の準安定状態を選択して透過状態
を制御するときも、第2の準安定状態を選択して透過状
態を制御するときも、ツイステッドネマティックモード
(以下、TNモードと記す)による表示を行なうことが
できる。
【0066】すなわち、第1と第2のいずれの準安定状
態においても、表側偏光板21を透過して入射した直線
偏光が、液晶セル10を透過する過程で液晶層の複屈折
作用により液晶分子のツイスト配向状態に応じて旋光さ
れ、その光が裏側偏光板22に入射して、この裏側偏光
板22により透過を制御される。そして、裏側偏光板2
2を透過した光は、反射板30で反射され、前記裏側偏
光板22と液晶セル10と表側偏光板21とを順に透過
して出射する。
【0067】そして、この液晶表示装置では、上記第1
の準安定状態を選択したときの液晶分子の配向状態が、
ねじれ角がほぼ270°と大きいツイスト配向状態であ
るため、液晶層の複屈折作用における旋光分散により旋
光性が各波長光ごとに異なるため、各波長光が異なる透
過率で裏側偏光板22を透過して、この裏側偏光板22
を透過した光が、その光を構成する各波長光の強度の比
に応じた色の着色光になる。
【0068】このように、上記第1の準安定状態を選択
したときのTNモードによる表示は、着色した表示が得
られるカラー表示であり、その表示色は、電極13,1
4間に印加される駆動電圧の実効値に応じて変化する。
【0069】すなわち、液晶分子は、駆動電圧の実効値
に応じて前記準安定状態における配向状態を保ちながら
立上がり配向するが、このように液晶分子の配向状態が
変化すると、それに応じた液晶層の複屈折性の変化に応
じた旋光分散の変化によって各波長の旋光性が変化する
ため、前記駆動電圧の実効値を制御することにより着色
光の色を変化させることができ、したがって、1つの画
素で複数の色を表示することができる。
【0070】なお、上記カラー表示は、液晶セル10の
液晶層の複屈折作用と一対の偏光板21,22の偏光作
用とを利用して光を着色するものであり、したがってカ
ラーフィルタを用いて光を着色するものに比べて光の吸
収が少ないから、反射型の液晶表示装置であっても、表
示光の透過率を高くして明るい着色表示を得ることがで
きる。
【0071】一方、上記第2の準安定状態を選択したと
きの液晶分子の配向状態は、ねじれ角がほぼ90°のツ
イスト配向状態であるため、このときのTNモードによ
る表示は、通常のTN型液晶表示装置の場合と基本的に
同じであり、この実施例の液晶表示装置では、表側偏光
板21と裏側偏光板22とをそれぞれの透過軸21a,
22aを互いにほぼ直交させて配置しているため、液晶
分子のチルト角がプレチルト角に近いときは無彩色の明
表示である白が表示され、液晶分子のチルト角が大きく
なのにともなって光の透過率が少なくなって、最終的に
無彩色の暗表示である黒が表示される。
【0072】この場合は、駆動電圧の実効値に応じて液
晶分子が立上がり配向し、それに応じて液晶層の複屈折
性が変化するため、前記駆動電圧の実効値を制御するこ
とにより、光の透過状態を段階的に制御して、階調のあ
る白黒表示を行なうことができる。
【0073】なお、上記初期配向状態、つまり液晶分子
がスプレイ歪をもってほぼ90°のねじれ角でツイスト
配向している状態は、実際の表示には使用しないが、こ
の初期配向状態もTNモードによる白黒表示が得られる
状態である。
【0074】図4〜図6は、液晶セル10の両基板1
1,12の配向処理方向11a,12aと表裏の偏光板
21,22の透過軸21a,22aを図1に示したよう
に設定し、液晶セル10のΔnd(液晶の屈折率異方性
Δnと液晶層厚dとの積)の値を約1000nmに選ん
だ液晶表示装置の駆動電圧に対する光の出射率と表示色
の変化を示しており、図4の(a),(b)は初期配向
状態における電圧−出射率特性図およびCIE色度図、
図5の(a),(b)は第1の準安定状態における電圧
−出射率特性図およびCIE色度図、図6の(a),
(b)は第2の準安定状態における電圧−出射率特性図
およびCIE色度図である。なお、各図の(b)の色度
図において、Wは無彩色点を示している。
【0075】まず、初期配向状態について説明すると、
初期配向状態での電圧−出射率特性は図4の(a)のよ
うな特性であり、駆動電圧に対する表示色の変化は、図
4の(b)のように、駆動電圧の実効値が0V(電圧無
印加状態)のときで白、液晶分子がほぼ垂直に立上がり
配向する実効値(例えば約5V)の電圧を印加したとき
で黒である。
【0076】なお、液晶分子の立上がり配向状態は、上
述したリセット電圧を印加したときに最も垂直に近くな
り、そのときに表示が最も黒くなるが、リセット電圧の
印加時間は極く短いため、リセット状態での表示は人間
の目にはほとんど認識されない。
【0077】また、第1の準安定状態での電圧−出射率
特性は図5の(a)のような特性であり、駆動電圧に対
する表示色の変化は、図5の(b)のように、実効値が
1.95Vの電圧を印加したときで赤、実効値が2.9
8Vの電圧を印加したときで青である。
【0078】なお、上記赤のx,yコーデネイト値は、
x=0.353、y=0.350であり、Y値(明る
さ)は28.54である。また、上記青のx,yコーデ
ネイト値は、x=0.274、y=0.296であり、
Y値は11.64である。
【0079】さらに、第2の準安定状態での電圧−出射
率特性は図6の(a)のような特性であり、駆動電圧に
対する表示色の変化は、図6の(b)のように、実効値
が1.55Vの電圧を印加したときで白、実効値が3.
07Vの電圧を印加したときで黒である。
【0080】なお、上記白のx,yコーデネイト値は、
x=0.317、y=0.341であり、Y値は34.
41である。また、上記黒のx,yコーデネイト値は、
x=0.271、y=0.290であり、Y値は1.8
3である。
【0081】すなわち、上記液晶表示装置は、第1の準
安定状態を選択して赤と青を表示し、第2の準安定状態
を選択して白と黒を表示するものであり、したがって、
表示の基本である白と黒の表示に加えて、赤と青の2色
のカラー表示を行なうことができる。
【0082】なお、液晶表示装置の電源を切ると、第1
または第2の準安定状態にある液晶分子の配向状態が、
自然放電により数秒〜数分(使用するネマティック液晶
の特性およびカイラル剤の特性と添加量によって異な
る)で初期配向状態に戻り、画面全体が、初期配向状態
における電圧無印加時の状態(上記実施例では白)にな
る。
【0083】そして、上記液晶表示装置は、液晶セルの
液晶分子の配向状態が異なる2つの表示装置の電気光学
特性を合わせ持ったものであって、段階的に制御しよう
とする透過状態のうちの複数の透過状態の制御を一方の
電気光学特性を利用して行ない、他の複数の透過状態の
制御を他方の電気光学特性を利用して行なうことができ
るものであるため、透過状態の全段階数を、前記一方の
電気光学特性を利用するとき、つまり第1の準安定状態
を選択して透過状態を制御するときと、前記他方の電気
光学特性を利用するとき、つまり第2の準安定状態を選
択して透過状態を制御するときとに振り分けることがで
き、そのために、それぞれの準安定状態で駆動される段
階数が少なくなるから、それぞれの準安定状態の中で、
少ない段階数の時分割駆動を行なうことができる。
【0084】このため、上記液晶表示装置によれば、液
晶セル10の駆動デューティに対して動作電圧マージン
を大きくとることができる。すなわち、上述した白と黒
の表示に加えて赤と青の2色のカラー表示を行なう液晶
表示装置の場合は、その駆動電圧の実効値を、第1の準
安定状態を選択して赤と黒を表示するときは1.95V
と2.98Vの2通りに設定し、第2の準安定状態を選
択して青と白を表示するときは1.55Vと3.07V
の2通りに設定すればよく、したがって、それぞれの準
安定状態における2通りの駆動電圧の実効値の差、つま
り動作電圧マージンを、第1の準安定状態で1.03V
(=2.98V−1.95V)、第2の準安定状態で
1.52V(=3.07V−1.55V)と充分に大き
くとることができる。
【0085】したがって、上記液晶表示装置によれば、
液晶セル10が駆動電圧の実効値を制御して駆動される
単純マトリックス方式のものであっても、その駆動デュ
ーティに対して動作電圧マージンを大きくし、高デュー
ティでの時分割駆動を可能として、画素数の多い高精細
画像の表示を実現することができる。
【0086】なお、上記液晶表示装置は、第1の準安定
状態を選択したときの表示色が赤と青になるものである
が、その表示色は、液晶セル10のΔndの値を変える
ことによって任意に選ぶことができる。
【0087】さらに、上記実施例の液晶表示装置は、第
1と第2のいずれの準安定状態を選択したときもTNモ
ードによる表示を行なうものであって、第1の準安定状
態での表示がカラー表示となり、第2の準安定状態での
表示が白黒表示となるものであるが、少なくとも表側偏
光板21の透過軸21aの方向を、液晶セル10の表側
基板11の配向処理方向11aに対して斜めに交差する
方向にすれば、第1と第2の両方の準安定状態における
表示をそれぞれ複屈折効果モードによるカラー表示とす
ることができる。
【0088】図7はこの発明の第2の実施例による液晶
表示装置の基本構成を示す斜視図であり、(a)は初期
配向状態、(b)は第1の準安定状態、(c)は第2の
準安定状態を示している。
【0089】この実施例の液晶表示装置は、液晶セル1
0の初期配向状態における液晶分子のねじれ角をほぼ3
0°としたものであり、その他の構成は上記第1の実施
例と同じである。
【0090】この実施例では、図7に示したように、液
晶セル10の表側基板11の配向処理方向11aを、液
晶表示装置の画面の横軸xに対し表面側から見て左回り
にほぼ15°ずれた方向であって前記画面の左下から右
上に向かう方向にし、裏側基板12の配向処理方向12
aを、前記横軸xに対し表面側から見て右回りにほぼ1
5°ずれた方向であって前記画面の左上から右下に向か
う方向にしている。すなわち、両基板11,12の配向
処理方向11a,12aは、ほぼ30°の角度で互いに
交差する方向である。
【0091】そして、この実施例では、上記液晶セル1
0の液晶に、表面側から見て左回りのツイスト配向性を
有するカイラル剤を添加したものを用いており、したが
って、その液晶分子は、初期配向状態では、スプレイ歪
をもって、表面側から見て左回り方向(カイラル剤によ
る付与されるねじれ方向)にほぼ30°のねじれ角でツ
イスト配向している。
【0092】この初期配向状態は、液晶分子が、両基板
11,12の近傍においてそれぞれの配向処理方向11
a,12aに沿って配向するとともに、いずれか一方の
基板の配向処理方向、例えば裏側基板12の配向処理方
向12aを基準として、図70の(a)に破線矢印で示
した方向、つまりカイラル剤により付与されるねじれ方
向に、ほぼ30°のねじれ角でツイスト配向したスプレ
イ配向状態である。
【0093】また、第1および第2の準安定状態はそれ
ぞれ、初期配向状態から液晶分子のねじれ角がほぼ18
0°変化してスプレイ歪を解消した状態であり、この実
施例では初期配向状態での液晶分子のねじれ角をほぼ3
0°としているため、第1の準安定状態では、液晶分子
がいずれか一方の基板の配向処理方向を基準としてカイ
ラル剤により付与されるねじれ方向にほぼ210°のね
じれ角でツイスト配向し、第2の準安定状態では、液晶
分子が前記一方の基板の配向処理方向を基準として前記
カイラル剤により付与されるねじれ方向とは逆方向にほ
ぼ150°のねじれ角でツイスト配向する。
【0094】すなわち、上記第1の準安定状態は、液晶
分子が、両基板11,12の近傍においてそれぞれの配
向処理方向11a,12aに沿って配向するとともに、
いずれか一方の基板の配向処理方向、例えば裏側基板1
2の配向処理方向12aを基準として、図7の(b)に
破線矢印で示したツイスト方向、つまり表面側から見て
左回り方向(カイラル剤により付与されるねじれ方向)
に、ほぼ210°のねじれ角でツイスト配向した状態で
ある。
【0095】また、第2の準安定状態は、液晶分子が、
両基板11,12の近傍においてそれぞれの配向処理方
向11a,12aに沿って配向するとともに、いずれか
一方の基板の配向処理方向、例えば裏側基板12の配向
処理方向12aを基準として、図7の(c)に破線矢印
で示したツイスト方向、つまり表面側から見て右回り方
向(カイラル剤により付与されるねじれ方向とは逆方
向)に、ほぼ150°のねじれ角でツイスト配向した状
態である。
【0096】上記第1の準安定状態と第2の準安定状態
とは、第1の実施例と同様に、まず液晶分子を基板1
1,12面に対してほぼ垂直に立上がり配向させる値の
リセット電圧を印加して前記準安定状態をリセットし、
その後に第1または第2の準安定状態選択電圧を印加す
ることにより、一方の準安定状態から他方の準安定状態
に切換えられる。
【0097】この液晶セル10においても、上記第1の
準安定状態選択電圧は、ほどんどの液晶分子が電圧無印
加時の配向状態に配向する電圧であり、第2の準安定状
態選択電圧は、ほとんどの液晶分子が初期配向状態での
プレチルト角に近い傾き角で配向する電圧である。
【0098】また、この実施例では、表側偏光板21
を、その透過軸21aを画面の横軸xに対し表面側から
見て左回りにほぼ45°ずれた方向に向けて配置し、裏
側偏光板22を、その透過軸22aを前記横軸xに対し
表面側から見て右回りにほぼ45°ずれた方向に向けて
配置しており、したがって、表側偏光板21の透過軸2
1aは、液晶セル10の表側基板11の配向処理方向1
1a(横軸xに対し表面側から見て左回りにほぼ15°
ずれた方向)に対してほぼ30°の交差角で斜めにずれ
た方向にあり、裏側偏光板22の透過軸22aは、前記
表側偏光板21の透過軸21aに対してほぼ直交する方
向にある。
【0099】この実施例の液晶表示装置は、液晶セル1
0の液晶分子の初期配向状態を、一方の基板(ここでは
裏側基板)12の配向処理方向12aを基準として一方
の方向にほぼ30°のねじれ角でツイスト配向するスプ
レイ配向状態としているため、第1の準安定状態を選択
したときは、液晶分子が前記一方の基板12の配向処理
方向12aを基準として一方の方向にほぼ210°のね
じれ角でツイスト配向した液晶セルと偏光板とからなる
表示装置の電気光学特性をもち、第2の準安定状態を選
択したときは、液晶分子が前記一方の基板12の配向処
理方向12aを基準として前記第1の準安定状態とは逆
の方向にほぼ150°のねじれ角でツイスト配向した液
晶セルと偏光板とからなる表示装置の電気光学特性をも
つ。
【0100】また、この実施例では、表側偏光板21の
透過軸21aの方向を、液晶セル10の表側基板11の
配向処理方向11aに対してほぼ30°の交差角で斜め
にずれた方向にし、裏側偏光板22の透過軸22aを、
前記表側偏光板21の透過軸21aに対してほぼ直交す
る方向に設定しているため、第1の準安定状態を選択し
て透過状態を制御するときも、第2の準安定状態を選択
して透過状態を制御するときも、複屈折効果モードによ
るカラー表示を行なうことができる。
【0101】この複屈折効果モードによるカラー表示に
ついて説明すると、上記第1と第2のいずれの準安定状
態においても、表側偏光板21を透過して入射した直線
偏光が、液晶セル10を透過する過程で液晶層の複屈折
作用により各波長光がそれぞれ偏光状態の異なる楕円偏
光となった光となり、その各波長光がそれぞれの偏光状
態に応じた透過率で裏側偏光板22を透過して、この裏
側偏光板22を透過した光が、その光を構成する各波長
光の光強度の比に応じた色の着色光になる。この着色光
は、反射板30で反射され、前記裏側偏光板22と液晶
セル10と表側偏光板21とを順に透過して出射する。
【0102】このように、複屈折効果モードによるカラ
ー表示は、液晶セル10の液晶層の複屈折作用と一対の
偏光板21,22の偏光作用とを利用して光を着色する
ものであり、したがってカラーフィルタを用いて光を着
色するものに比べて光の吸収が少ないから、反射型の液
晶表示装置であっても、光の透過率を高くして明るいカ
ラー表示を得ることができる。
【0103】なお、上記初期配向状態、つまり液晶分子
がスプレイ歪をもってほぼ30°のねじれ角でツイスト
配向している状態は、上述したように実際の表示には使
用しないが、この初期配向状態も、複屈折効果モードに
よる表示が得られる状態である。
【0104】そして、上記液晶表示装置では、上記第1
の準安定状態(液晶分子が一方の方向にほぼ210°の
ねじれ角でツイスト配向する状態)を選択したときと、
第2の準安定状態(液晶分子が第1の準安定状態とは逆
方向にほぼ150°のねじれ角でツイスト配向する状
態)を選択したときとの液晶分子の配向状態が異なり、
それに応じて液晶層が異なる複屈折性を示すため、第1
の準安定状態を選択したときと、第2の準安定状態を選
択したときとで、互いに異なる色を表示することができ
る。
【0105】また、この液晶表示装置では、上記第1と
第2のいずれの準安定状態においても、電極13,14
間に印加される駆動電圧の実効値に応じた液晶分子のチ
ルト角の変化によって液晶層の複屈折性が変化し、それ
に応じて裏側偏光板22に入射する各波長光の偏光状態
が変化するため、前記駆動電圧の実効値を制御すること
によって着色光の色を変化させることができ、したがっ
て、1つの画素部で複数の色を表示することができる。
【0106】図8〜図10は、この実施例のように液晶
セル10の初期配向状態での液晶分子のねじれ角をほぼ
30°とし、その両基板11,12の配向処理方向11
a,12aと表裏の偏光板21,22の透過軸21a,
22aの向きとを図7に示したように設定するととも
に、液晶セル10のΔndの値を約800nmに設定し
た液晶表示装置の駆動電圧に対する光の出射率と表示色
の変化を示しており、図8の(a),(b)は初期配向
状態における電圧−出射率特性図およびCIE色度図、
図9の(a),(b)は第1の準安定状態における電圧
−出射率特性図およびCIE色度図、図10の(a),
(b)は第2の準安定状態における電圧−出射率特性図
およびCIE色度図である。各図の(b)の色度図にお
いて、Wは無彩色点である。
【0107】まず、初期配向状態について説明すると、
初期配向状態での電圧−出射率特性は図8の(a)のよ
うな特性であり、駆動電圧に対する表示色の変化は、図
8の(b)のように、駆動電圧の実効値が0V(電圧無
印加状態)のときで黄緑、液晶分子がほぼ垂直に立上が
り配向する実効値(例えば約5V)の電圧を印加したと
きで黒である。
【0108】また、第1の準安定状態での電圧−出射率
特性は図9の(a)のような特性であり、駆動電圧に対
する表示色の変化は、図9の(b)のように、実効値が
1.46Vの電圧を印加したときで赤、実効値が2.0
0Vの電圧を印加したときで白である。
【0109】なお、前記赤のx,yコーデネイト値はx
=0.432,y=0.391であり、Y値(明るさ)
は20.29である。また、前記白のx,yコーデネイ
ト値はx=0.290,y=0.319であり、Y値は
29.70である。
【0110】さらに、第2の準安定状態での電圧−出射
率特性は図10の(a)のような特性であり、駆動電圧
に対する表示色の変化は、図10の(b)のように、実
効値が1.46Vの電圧を印加したときで赤、実効値が
2.00Vの電圧を印加したときで青である。
【0111】なお、前記赤のx,yコーデネイト値はx
=0.424,y=0.399であり、Y値は21.3
1である。また、前記青のx,yコーデネイト値はx=
0.249,y=0.267であり、Y値は11.32
である。
【0112】すなわち、上記液晶表示装置は、第1の準
安定状態を選択して赤と白を表示し、第2の準安定状態
を選択して赤と青を表示するものであり、したがって、
例えば白の背景中に赤と青で画像を表示するカラー表示
を行なうことができる。
【0113】そして、この実施例の液晶表示装置は、そ
の駆動電圧の実効値を、第1の準安定状態を選択して赤
と白を表示するときも、第2の準安定状態を選択して赤
と青を表示するときも、1.46Vと2.00Vの2通
りに設定すればよく、したがって、それぞれの準安定状
態における2通りの駆動電圧の実効値の差、つまり動作
電圧マージンを、第1および第2のいずれの準安定状態
でも0.54V(=2.00V−1.46V)と充分に
大きくとることができる。
【0114】また、第1の準安定状態を選択して表示す
るときの2通りの実効値と、第2の準安定状態を選択し
て表示するときの2通りの実効値とが同(1.46Vと
2.00V)であるため、表示駆動も容易になる。
【0115】図11はこの発明の第3の実施例による液
晶表示装置の基本構成を示す斜視図であり、(a)は初
期配向状態、(b)は第1の準安定状態、(c)は第2
の準安定状態を示している。
【0116】この実施例の液晶表示装置は、液晶セル1
0の初期配向状態における液晶分子のねじれ角をほぼ7
0°としたものであり、その他の構成は上記第1の実施
例と同じである。
【0117】この実施例では、図11に示したように、
液晶セル10の表側基板11の配向処理方向11aを、
液晶表示装置の画面の横軸xに対し表面側から見て左回
りにほぼ35°ずれた方向であって前記画面の左下から
右上に向かう方向にし、裏側基板12の配向処理方向1
2aを、前記横軸xに対し表面側から見て右回りにほぼ
35°ずれた方向であって前記画面の左上から右下に向
かう方向にしている。すなわち、両基板11,12の配
向処理方向11a,12aは、ほぼ70°の角度で互い
に交差する方向である。
【0118】そして、この実施例では、上記液晶セル1
0の液晶に、表面側から見て左回りのツイスト配向性を
有するカイラル剤を添加したものを用いており、したが
って、その液晶分子は、初期配向状態では、スプレイ歪
をもって、表面側から見て左回り方向(カイラル剤によ
る付与されるねじれ方向)にほぼ70°のねじれ角でツ
イスト配向している。
【0119】この初期配向状態は、液晶分子が、両基板
11,12の近傍においてそれぞれの配向処理方向11
a,12aに沿って配向するとともに、いずれか一方の
基板の配向処理方向、例えば裏側基板12の配向処理方
向12aを基準として、図11の(a)に破線矢印で示
した方向、つまりカイラル剤により付与されるねじれ方
向に、ほぼ70°のねじれ角でツイスト配向したスプレ
イ配向状態である。
【0120】また、第1および第2の準安定状態はそれ
ぞれ、初期配向状態から液晶分子のねじれ角がほぼ18
0°変化してスプレイ歪を解消した状態であり、この実
施例では初期配向状態での液晶分子のねじれ角をほぼ7
0°としているため、第1の準安定状態では、液晶分子
がいずれか一方の基板の配向処理方向を基準としてカイ
ラル剤により付与されるねじれ方向にほぼ250°のね
じれ角でツイスト配向し、第2の準安定状態では、液晶
分子が前記一方の基板の配向処理方向を基準として前記
カイラル剤により付与されるねじれ方向とは逆方向にほ
ぼ110°のねじれ角でツイスト配向する。
【0121】すなわち、上記第1の準安定状態は、液晶
分子が、両基板11,12の近傍においてそれぞれの配
向処理方向11a,12aに沿って配向するとともに、
いずれか一方の基板の配向処理方向、例えば裏側基板1
2の配向処理方向12aを基準として、図11の(b)
に破線矢印で示したツイスト方向、つまり表面側から見
て左回り方向(カイラル剤により付与されるねじれ方
向)に、ほぼ250°のねじれ角でツイスト配向した状
態である。
【0122】また、第2の準安定状態は、液晶分子が、
両基板11,12の近傍においてそれぞれの配向処理方
向11a,12aに沿って配向するとともに、いずれか
一方の基板の配向処理方向、例えば裏側基板12の配向
処理方向12aを基準として、図11の(c)に破線矢
印で示したツイスト方向、つまり表面側から見て右回り
方向(カイラル剤により付与されるねじれ方向とは逆方
向)に、ほぼ110°のねじれ角でツイスト配向した状
態である。
【0123】上記第1の準安定状態と第2の準安定状態
とは、第1の実施例と同様に、まず液晶分子を基板1
1,12面に対してほぼ垂直に立上がり配向させる電圧
値のリセット電圧を印加して前記準安定状態をリセット
し、その後に第1または第2の準安定状態選択電圧を印
加することにより、一方の準安定状態から他方の準安定
状態に切換えられる。
【0124】この液晶セル10においても、上記第1の
準安定状態選択電圧は、ほどんどの液晶分子が電圧無印
加時の配向状態に配向する電圧であり、第2の準安定状
態選択電圧は、ほとんどの液晶分子が初期配向状態での
プレチルト角に近い傾き角で配向する電圧である。
【0125】また、この実施例では、表側偏光板21
を、その透過軸21aを画面の横軸xに対し表面側から
見て左回りにほぼ45°ずれた方向に向けて配置し、裏
側偏光板22を、その透過軸22aを前記横軸xに対し
表面側から見て右回りにほぼ45°ずれた方向に向けて
配置しており、したがって、表側偏光板21の透過軸2
1aは、液晶セル10の表側基板11の配向処理方向1
1a(横軸xに対し表面側から見て左回りにほぼ35°
ずれた方向)に対してほぼ10°の交差角で斜めにずれ
た方向にあり、裏側偏光板22の透過軸22aは、前記
表側偏光板21の透過軸21aに対してほぼ直交する方
向にある。
【0126】この実施例の液晶表示装置は、液晶セル1
0の液晶分子の初期配向状態を、一方の基板(ここでは
裏側基板)12の配向処理方向12aを基準として一方
の方向にほぼ70°のねじれ角でツイスト配向するスプ
レイ配向状態としているため、第1の準安定状態を選択
したときは、液晶分子が前記一方の基板12の配向処理
方向12aを基準として一方の方向にほぼ250°のね
じれ角でツイスト配向した液晶セルと偏光板とからなる
表示装置の電気光学特性をもち、第2の準安定状態を選
択したときは、液晶分子が前記一方の基板12の配向処
理方向12aを基準として前記第1の準安定状態とは逆
の方向にほぼ110°のねじれ角でツイスト配向した液
晶セルと偏光板とからなる表示装置の電気光学特性をも
つ。
【0127】また、この実施例では、表側偏光板21の
透過軸21aの方向を、液晶セル10の表側基板11の
配向処理方向11aに対してほぼ10°の交差角で斜め
にずれた方向にし、裏側偏光板22の透過軸22aを、
前記表側偏光板21の透過軸21aに対してほぼ直交す
る方向に設定しているため、第1の準安定状態を選択し
て透過状態を制御するときも、第2の準安定状態を選択
して透過状態を制御するときも、複屈折効果モードによ
るカラー表示を行なうことができる。
【0128】そして、この実施例の液晶表示装置では、
上記第1の準安定状態(液晶分子が一方の方向にほぼ2
50°のねじれ角でツイスト配向する状態)を選択した
ときと、第2の準安定状態(液晶分子が第1の準安定状
態とは逆方向にほぼ110°のねじれ角でツイスト配向
する状態)を選択したときとの液晶分子の配向状態が異
なり、それに応じて液晶層が異なる複屈折性を示すた
め、第1の準安定状態を選択したときと、第2の準安定
状態を選択したときとで、互いに異なる色を表示するこ
とができる。
【0129】また、この液晶表示装置では、上記第1と
第2のいずれの準安定状態においても、電極13,14
間に印加される駆動信号の実効値に応じた液晶分子のチ
ルト角の変化によって液晶層の複屈折性が変化し、それ
に応じて裏側偏光板22に入射する各波長光の偏光状態
が変化するため、前記駆動信号の実効値を制御すること
によって着色光の色を変化させることができ、したがっ
て、1つの画素部で複数の色を表示することができる。
【0130】図12〜図14は、この実施例のように液
晶セル10の初期配向状態での液晶分子のねじれ角をほ
ぼ70°とし、その両基板11,12の配向処理方向1
1a,12aと表裏の偏光板21,22の透過軸21
a,22aの向きとを図11に示したように設定すると
ともに、液晶セル10のΔndの値を約900nmに設
定した液晶表示装置の駆動電圧に対する光の出射率と表
示色の変化を示しており、図12の(a),(b)は初
期配向状態における電圧−出射率特性図およびCIE色
度図、図13の(a),(b)は第1の準安定状態にお
ける電圧−出射率特性図およびCIE色度図、図14の
(a),(b)は第2の準安定状態における電圧−出射
率特性図およびCIE色度図である。各図の(b)の色
度図において、Wは無彩色点である。
【0131】まず、初期配向状態について説明すると、
初期配向状態での電圧−出射率特性は図12の(a)の
ような特性であり、駆動電圧に対する表示色の変化は、
図12の(b)のように、駆動電圧の実効値が0V(電
圧無印加状態)のときで白、液晶分子がほぼ垂直に立上
がり配向する実効値(例えば約5V)の電圧を印加した
ときで黒である。
【0132】また、第1の準安定状態での電圧−出射率
特性は図13の(a)のような特性であり、駆動電圧に
対する表示色の変化は、図13の(b)のように、実効
値が1.53Vの電圧を印加したときで赤、実効値が
2.03Vの電圧を印加したときでオレンジ色である。
【0133】なお、前記赤のx,yコーデネイト値はx
=0.343,y=0.322、Y値は24.31であ
り、オレンジ色のx,yコーデネイト値はx=0.32
2,y=0.378、Y値は31.98である。
【0134】さらに、第2の準安定状態での電圧−出射
率特性は図14の(a)のような特性であり、駆動電圧
に対する表示色の変化は、図14の(b)のように、実
効値が1.53Vの電圧を印加したときで白、実効値が
2.03Vの電圧を印加したときで青である。
【0135】なお、前記白のx,yコーデネイト値はx
=0.320,y=0.349、Y値は34.36であ
り、青のx,yコーデネイト値はx=0.260,y=
0.278、Y値は9.05である。
【0136】すなわち、上記液晶表示装置は、第1の準
安定状態を選択して赤とオレンジ色を表示し、第2の準
安定状態を選択して白と青を表示するものであり、した
がって、例えば白の背景中に赤とオレンジ色と青で画像
を表示するカラー表示を行なうことができる。
【0137】そして、この実施例の液晶表示装置は、そ
の駆動電圧の実効値を、第1の準安定状態を選択して赤
とオレンジ色を表示するときも、第2の準安定状態を選
択して白と青を表示するときも、1.53Vと2.03
Vの2通りに設定すればよく、したがって、それぞれの
準安定状態における2通りの駆動電圧の実効値の差、つ
まり動作電圧マージンを、第1および第2のいずれの準
安定状態でも0.50V(=2.03V−1.53V)
と充分に大きくとることができる。
【0138】また、第1の準安定状態を選択して表示す
るときの2通りの実効値と、第2の準安定状態を選択し
て表示するときの2通りの実効値とが同(1.53Vと
2.03V)であるため、表示駆動も容易になる。
【0139】上述したように、上記第2および第3の実
施例の液晶表示装置も、第1の実施例のものと同様に、
液晶セルの液晶分子の配向状態が異なる2つの表示装置
の電気光学特性を合わせ持ったものであり、したがって
段階的に制御しようとする透過状態のうちの複数の透過
状態の制御を一方の電気光学特性を利用して行ない、他
の複数の透過状態の制御を他方の電気光学特性を利用し
て行なうことができるから、液晶セル10が単純マトリ
ックス方式のものであっても、その駆動デューティに対
して動作電圧マージンを大きくし、高デューティでの時
分割駆動を可能として、画素数の多い高精細画像の表示
を実現することができる。
【0140】なお、上記第2の実施例の液晶表示装置
は、第1の準安定状態を選択して赤と白を表示し、第2
の準安定状態を選択して青と黒を表示するものであり、
上記第3の実施例の液晶表示装置は、第1の準安定状態
を選択して赤とオレンジ色を表示し、第2の準安定状態
を選択して白と青を表示するものであるが、その表示色
は、液晶セル10のΔndの値や表裏の偏光板21,2
2の透過軸21a,22aの向きを変えることによって
任意に選ぶことができる。
【0141】また、この発明の液晶表示装置において、
液晶セル10の初期配向状態は、上記第1〜第3の実施
例に限られるものではなく、液晶分子がいずれか一方の
基板の配向処理方向を基準として一方の方向にほぼ0°
〜ほぼ180°のねじれ角で非ツイストまたはツイスト
配向したスプレイ配向状態にあればよい。
【0142】なお、例えば、初期配向状態が、全ての液
晶分子が一方の基板の配向処理方向に沿って配向した、
ねじれ角がほぼ0°の非ツイスト配向状態である場合、
第1の準安定状態は、前記一方の基板の配向処理方向を
基準として一方の方向にほぼ180°のねじれ角でツイ
スト配向してスプレイ歪を解消した状態であり、第2の
準安定状態は、前記一方の基板の配向処理方向を基準と
して前記第1の準安定状態とは反対の方向にほぼ180
°のねじれ角でツイスト配向してスプレイ歪を解消した
状態である。
【0143】また、例えば、初期配向状態が、液晶分子
が一方の基板の配向処理方向を基準として一方の方向に
ほぼ180°のねじれ角で配向したツイスト配向状態で
ある場合、第1の準安定状態は、前記一方の基板の配向
処理方向を基準として一方の方向にほぼ360°のねじ
れ角でツイスト配向してスプレイ歪を解消した状態であ
り、第2の準安定状態は、全ての液晶分子が前記一方の
基板の配向処理方向に沿って非ツイスト配向してスプレ
イ歪を解消した状態である。
【0144】このように液晶セル10の初期配向状態と
第1および第2の準安定状態を選んだ場合も、液晶セル
10をはさんで配置した一対の偏光板21,22のうち
の少なくとも表側偏光板21の透過軸21aの方向を前
記液晶セル10の表側基板11の配向処理方向11aに
対して斜めに交差する方向に設定すれば、第1の準安定
状態を選択して透過状態を制御するときも、第2の準安
定状態を選択して透過状態を制御するときも、複屈折効
果モードによるカラー表示を行なうことができる。
【0145】さらに、上記各実施例の液晶表示装置は、
液晶セル10の液晶層の複屈折作用と一対の偏光板2
1,22の偏光作用とを利用して表示するものである
が、それに加えて、表裏の偏光板21,22のいずれか
一方または両方と液晶セル10との間に位相差板を配置
してもよい。
【0146】この位相差板の付加は、特に、複屈折効果
モードによるカラー表示を行なう液晶表示装置において
効果的であり、この液晶表示装置に位相差板を付加すれ
ば、各波長光が前記位相差板と液晶セル10の液晶層と
の両方の複屈折作用によりそれぞれの偏光状態を大きく
変えて裏側偏光板22に入射するため、裏側偏光板22
を透過する各波長光の透過率の差が大きくなり、したが
って、裏側偏光板22を透過した光が、その光を構成す
る各波長光の強度の差が大きい鮮明な着色光になるし、
また、駆動電圧の実効値に応じた液晶分子の配向状態の
変化にともない、前記各波長光の透過率とその透過率差
が大きく変化して前記着色光の色が変化するため、表示
色数も多くなる。
【0147】なお、上記第1〜第3の実施例の液晶表示
装置はいずれも、その裏面側に反射板30を配置した反
射型のものであるが、この発明は、バックライトからの
光を利用して表示する透過型の液晶表示装置(反射板3
0の無いもの)にも適用することができる。
【0148】さらに、この発明は、偏光板を1枚だけ備
え、液晶セルの表面側に偏光板を配置し、前記液晶セル
の裏面側に反射板を配置した反射型液晶表示装置にも適
用できるものであり、その場合は、液晶セルの裏側基板
の外面に反射板を配置してもよいし、あるいは、前記裏
側基板の内面に設ける電極を金属膜で形成し、この電極
で反射板を兼用してもよい。
【0149】次に、上記駆動系40および、この駆動系
40による上記液晶セル10の駆動方法を、上述した第
2または第3の実施例の液晶表示装置に適用する例につ
いて説明する。
【0150】前記駆動系40は、上述したように、液晶
セル10の各画素行の画素部をそれぞれ、その電極1
3,14間にリセット電圧と準安定状態選択電圧とを順
次印加した後に駆動電圧の実効値を制御するための書込
み電圧を印加して書換えるものであり、準安定状態選択
電圧として液晶の誘電異方性が実質的に0または負の値
を示す高い周波数の高周波電圧を第1の準安定状態選択
電圧として印加することにより第1の準安定状態を選択
し、液晶の誘電異方性が正の値を示す低い周波数の低周
波電圧を第2の準安定状態選択電圧として印加すること
により第2の準安定状態を選択する。
【0151】そして、この実施例では、前記駆動系40
を、前記液晶セル10の各画素行の画素部をそれぞれ、
1つの画素行の画素部を所定数のフレームおきに書換え
て駆動するとともに、前記画素部の電極間に、その画素
部の書換えを行なう書換えフレームには、リセット電圧
と第1と第2の準安定状態のいずれかを選択する準安定
状態選択電圧とを順次印加した後に駆動電圧の実効値を
制御するための書込み電圧を印加し、他のフレームに
は、そのフレームの前の書換えフレームにおいて印加し
た書込み電圧と絶対値が同じ書込み電圧を印加する構成
としている。
【0152】図15は前記駆動系40の構成を示してお
り、この駆動系40は、液晶セル10の各走査電極13
に走査信号を供給する行ドライバ41と、前記液晶セル
10の各信号電極14にデータ信号を供給する列ドライ
バ42と、これらのドライバの電源部43と、書込/制
御データ発生回路44とからなっている。
【0153】前記電源部43は、前記走査信号の基準電
位V0 と、液晶セル10の電極間にリセット電圧を印加
するためのリセット電位VR と、前記電極間に駆動電圧
の実効値を制御するための書込み電圧を印加するための
書込み期間を規定する書込み期間電位VC とを発生し、
その各電位を行ドライバ41に供給する。
【0154】さらに、この電源部43は、液晶セル10
の電極間に交番波形の準安定状態選択電圧を印加するた
めの準安定状態選択電位+VS ,−VS と、前記電極間
に前記書込み電圧を印加するための書込み電位VD1,V
D2を発生し、その各電位を列ドライバ42に供給する。
【0155】前記準安定状態選択電位+VS ,−VS
は、第1および第2の準安定状態選択電圧のうちの低周
波の交番波形電圧である第2の準安定状態選択電圧を形
成するための電位である。
【0156】なお、上記第2または第3の実施例の液晶
表示装置の場合は、第1の準安定状態を選択して表示す
るときの2通りの実効値と、第2の準安定状態を選択し
て表示するときの2通りの実効値とが同じであるため、
前記書込み電位は2通りの電位VD1,VD2だけでよい。
【0157】また、第1および第2の準安定状態選択電
圧のうちの第1の準安定状態選択電圧は、高周波波形の
電圧であり、液晶分子は、高周波電圧の印加により実質
的に0または負の誘電異方性を示すため、その電圧値に
関係なく電圧無印加時の配向状態を保持するか、あるい
は、基板面に対して平行に配向しようとする。よって、
この第1の準安定状態選択電圧の電圧値は任意でよい。
【0158】そこで、この実施例では、前記低周波波形
の第2準安定状態選択電圧を形成するための前記準安定
状態選択電位+VS ,−VS を、高周波波形の第1準安
定状態選択電圧の電圧値を設定するための電位としても
利用するようにしており、このようにすれば、前記電源
部43で発生する準安定状態選択電位が前記第2準安定
状態選択電圧に応じて設定する電位だけでよいから、電
源部43の構成を簡単にすることができる。
【0159】さらに、この実施例では、液晶セル10を
フレーム反転方式で駆動するため、走査信号の基準電位
V0 に対して正(+)の電位と負(−)の電位(絶対値
は同じ)のリセット電位+VR ,−VR と書込み期間電
位+VC ,−VC を電源部43から行ドライバ41に供
給するとともに、データ信号の準安定状態選択電位+V
S ,−VS の中間値に対して+の電位と−の電位(絶対
値は同じ)の書込み電位+VD1,−VD1および+VD2,
−VD2を電源部43から列ドライバ42に供給するよう
にしている。
【0160】一方、上記書込/制御データ発生回路44
は、外部から供給される表示データに基づいて、リセッ
ト電圧の印加を制御するための制御データと、第1また
は第2の準安定状態の選択およびその後の書込みを行な
うための書込みデータとを発生し、前記制御データを行
ドライバ41に、前記書込みデータを列ドライバ42に
供給する。
【0161】そして、上記行ドライバ41は、図示しな
いクロック信号発生回路から供給されるクロック信号に
より、あらかじめ定められた周期で上記基準電位V0 を
基準として、リセット電位VR (+VR または−VR )
と書込み期間電位VC (+VC または−VC )とを順次
発生し、また、前記書込/制御データ発生回路44から
の制御データに応じて、リセット電位VR (+VR また
は−VR )の発生が抑制された波形の走査信号を発生
し、液晶セル10の各走査電極に供給する。
【0162】この行ドライバ41から液晶セル10の各
走査電極に供給する走査信号は、いずれも、それを供給
する走査電極が対応する画素行のリセット期間と書込み
期間以外の期間は基準電位V0 を保ち、前記リセット期
間にリセット電位VR のパルス波形になり、書込み期間
に書込み期間電位VC のパルス波形になる信号であり、
その波形が所定フレームごとに、例えば1フレームごと
に、前記基準電位V0を基準として反転する。
【0163】また、上記列ドライバ42は、前記クロッ
ク信号と前記書込/制御データ発生回路44からの書込
みデータに応じて、上記準安定状態選択電位+VS ,−
VSと書込み電位VD1(+VD1または−VD1),VD2
(+VD2または−VD2)を前記走査信号に同期させた波
形のデータ信号を発生し、液晶セル10の各信号電極に
供給する。
【0164】この列ドライバ42から液晶セル10の各
信号電極に供給するデータ信号は、各画素行のリセット
期間の直後の準安定状態選択期間ごとに、電位が+VS
と−VS2とに交互に変化する高周波または低周波の交番
パルス波形(準安定状態選択波形)になり、各画素行の
書込み期間ごとに2通りの書込み電位VD1,VD2のいず
れかになる波形の信号であり、その波形が所定フレーム
ごと(この実施例では1フレームごと)に、前記交番パ
ルス波形の振幅の中心(準安定状態選択電位+VS ,−
VS の中間値)を基準として反転する。
【0165】上記駆動系40による液晶セル10の駆動
方法を説明すると、この実施例では、フレーム周波数を
高くして画面のちらつきをなくすため、液晶セル10の
全画素行を複数行ずつのグループに分け、1フレームご
とに、1つのグループの各画素行の画素部の書込み状態
(準安定状態とその状態での液晶分子の配向状態)のリ
セットおよび次の準安定状態の選択と、全ての画素行の
画素部の書込みを行なうことにより、1フレームの間
に、1つの画素行グループの各行の画素部の書込み状態
のリセットおよび次の準安定状態の選択とその後の新た
な書込みを行ない、他のグループの画素行にはその書込
み状態を維持するための再書込みだけを行なうようにし
ている。
【0166】すなわち、上記液晶セル10を駆動する方
法としては、1フレームの間に、まず全ての画素行のリ
セットおよび準安定状態の選択を順次行ない、その後に
各画素行への書込みを順次行なってもよいが、前記画素
行のリセットおよび準安定状態選択にはある程度の時間
を要するため、リセットおよび準安定状態選択に長い時
間がとられ、1フレームが長くなり、フレーム周波数が
低くなってしまう。
【0167】しかも、この方法では、準安定状態を選択
された画素行が、残りの全ての画素行のリセットおよび
準安定状態選択が終了し、その後各画素行への順次書込
みが開始されて前記画素行への書込み期間になるまでの
間、新たな書込みを行なわれないままの状態にあり、特
に早い時期に準安定状態を選択された画素行ほどその状
態が長く続くため、画面のちらつきが発生する。
【0168】そこで、この実施例では、液晶セル10の
全画素行を複数行ずつのグループに分け、1フレームご
とに、1つの画素行グループの各行の画素部のリセット
および準安定状態の選択と、全ての画素行の画素部の書
込みを行なうようにしたのであり、このようにすれば、
1フレームに確保するリセットおよび準安定状態選択時
間が、1つのグループの各画素行のリセットおよび準安
定状態選択に要する時間だけでよいため、1フレームを
短くして、フレーム周波数を高くすることができる。
【0169】そして、この実施例の方法によれば、準安
定状態を選択された画素行への書込みが、そのグループ
の残りの画素行のリセットおよび準安定状態選択が終了
し、その後このグループの各画素行への順次書込みが開
始されて前記画素行への書込み期間になったときに行な
われるため、グループの中の最初にリセットおよび準安
定状態選択が行なわれる画素行でも、新たな書込みを行
なわれないままの状態にある時間は極く短く、したがっ
て画面のちらつきが発生することはない。
【0170】なお、このように液晶セル10の画素行を
複数行ずつのグループに分けて駆動する場合は、1フレ
ームごとに1グループの画素行だけが書換えられ、その
フレームでは他のグループの画素行はその書込み状態を
維持するための再書込みを行なわれるだけであるため、
画素行のグループ数と同じフレーム数で1画面分の画像
の書換えが行なわれることになり、そのため、1画面分
の画像を書換えるのに必要なフレーム数が多いと、画面
の切換わりが遅くなる。
【0171】したがって、画素行のグループ分けは、1
グループの画素行数を、高いフレーム周波数が得られる
ように選ぶとともに、グループ数を、1画面分の画像を
書換えるのに必要なフレーム数があまり多くならないよ
うに選ぶのが望ましい。
【0172】その例をあげると、単純マトリックス型の
液晶セルには、32行、64行、128行等の画素行数
のものがあるが、例えば、液晶セルの画素行数が64行
である場合は、その画素行を8行ずつのグループに分け
るのが好ましく、1グループの画素行数が8行程度であ
れば、十分に高いフレーム周波数が得られるし、また、
64行を8行ずつのグループに分ければ、8〜9フレー
ム程度で1画面分の画像を書換えるため、画面の切換わ
りも良好である。
【0173】すなわち、例えばフレーム周波数が1/3
0secであるとすると、1画面分の画像を書換えるの
に必要なフレーム数が8〜9フレームであれば、1秒間
に約3〜4画面の書換えを行なえるため、画面の切換わ
りを良好にすることができる。
【0174】ただし、上記画素行のグループ分けは、1
画面分の画像を書換えるごとに、つまり、全てのグルー
プの画素行のリセットおよび準安定状態選択と書込みを
行なう1サイクルごとに、各ブループの画素行の編成を
変えるように選ぶのが望ましい。
【0175】これは、前の書込み状態をリセットして次
の準安定状態の選択と書込み電圧の印加により書換えを
行なう画素行グループが対応する領域(以下、書換え領
域という)のリセット時から書込み時までの表示状態
が、前記書換えを行なわずに前の書込み状態を維持させ
る画素行グループが対応する領域(以下、非書換え領域
という)の表示状態と異なるため、各ブループの画素行
の編成が常に同じであると、前記書換え領域と非書換え
領域との境界が1サイクルごとに同じ箇所に見えて、表
示ムラが目立つためである。
【0176】すなわち、例えば上述したように、液晶セ
ルの全画素行数が64行であって、それを8行ずつのグ
ループに分ける場合のように、全画素行数が1グループ
の画素行数で割り切れる数である場合、1〜8行、9〜
16行、17〜24行…57〜64行というように画素
行をグループ分けすると、各ブループの画素行の編成が
常に同じになり、各画素行グループの境界が固定して、
書換え領域と非書換え領域との境界が1サイクルごとに
同じ箇所に見える。
【0177】これに対して、上述したように、1サイク
ルごとに各ブループの画素行の編成の一部を変えるよう
に画素行をグループ分けすれば、1サイクルごとに書換
え領域と非書換え領域との境界がずれるため、これらの
領域の表示状態の差による表示ムラを目立たなくするこ
とができる。
【0178】その例を、64行の画素行を8行ずつのグ
ループに分ける場合について説明すると、例えば各グル
ープの最後の画素行と次のグループの最初の画素行とを
重複させてグループ分けし、1サイクル目は1〜8行、
8〜15行、15〜22行…57〜64行の各画素行グ
ループの書換えを1フレームに1グループずつ順次行な
い、2サイクル目は64〜7行、7〜14行、14〜2
1行…56〜63行の各画素行グループの書換えを1フ
レームに1グループずつ順次行ない、3サイクル目は6
3〜6行、6〜13行、13〜20行…55〜62行の
各画素行グループの書換えを1フレームに1グループず
つ順次行なえば、1サイクルごとに書換え領域と非書換
え領域との境界を1画素行分ずつずらすことができる。
【0179】なお、各グループの画素行の重複数は1行
に限らず、複数行としてもよく、例えば各グループの画
素行の重複数を2行とすれば、1サイクルごとに書換え
領域と非書換え領域との境界が2行分ずつずれる。
【0180】ただし、液晶セルの全画素行数が1グルー
プの画素行数で割り切れない数である場合は、各グルー
プの画素行の一部を重複させなくても、1サイクルごと
に書換え領域と非書換え領域との境界をずらすことがで
きる。
【0181】図16は、全画素行数が64行である液晶
セルを、その画素行を8行ずつのグループに分けて、1
サイクルごとに書換え領域と非書換え領域との境界を1
画素行分ずつずらす方法で駆動する場合の走査信号とデ
ータ信号の波形図であり、ここでは、第1行と第2行と
第8行および第9行の走査電極に供給する走査信号C1
,C2 ,C8 ,C9 と、第1列の信号電極に供給する
データ信号S1 の波形を示している。
【0182】図16に示すように、この駆動方法では、
全てのフレームT1 ,T2 …の初期の期間をそれぞれ1
つの画素行グループのリセット/準安定状態選択期間T
S とし、残りの期間を、1〜64行の全ての画素行の書
込み期間TD としている。
【0183】そして、この実施例では、前記リセット/
準安定状態選択期間TS を第1〜第9の期間TS1〜TS9
に9等分し、その第1分割期間TS1に1グループの画素
行(8行)のうちの第1行のリセットを行ない、第2分
割期間TS2に前記第1行の準安定状態選択と第2行のリ
セットを行ない、以下同様にして各画素行のリセットお
よび準安定状態選択を行なって、第8分割期間TS8に第
7行の準安定状態選択と第8行のリセットを行ない、最
後の第9分割期間TS9に前記第8行の準安定状態選択を
行なうようにしている。上記それぞれの期間は、例え
ば、リセット/準安定状態選択期間TS が約300mse
c であり、分割された各期間TS1〜TS9がそれぞれ約3
3msec である。
【0184】また、この駆動方法では、上記書込み期間
TD を液晶セル10の画素行数と同じ64の期間TD1〜
TD64 に等分し、その各期間TD1,TD2,TD3…TD64
ごとに1行ずつの画素行の書込みを順次行なうようにし
ている。この場合の上記各期間は、例えば、書込み期間
TD が約10msec であり、等分された各期間TD1,T
D2,TD3…TD64 がそれぞれ約0.16msec である。
【0185】上記走査信号とデータ信号について説明す
ると、液晶セル10の各走査電極に供給する各走査信号
はいずれも、上述したように、その信号を供給する走査
電極が対応する画素行のリセット期間と書込み期間以外
の期間は基準電位V0 に設定され、リセット期間にリセ
ット電位VR が供給され、書込み期間に書込み期間電位
VC が供給される波形であって、その波形が1フレーム
ごとに前記基準電位V0 を基準として反転する信号であ
る。
【0186】各走査信号にリセット電位VR が供給され
るのは、各グループの最後の画素行と次のグループの最
初の画素行とを重複させてグループ分けした場合で、各
グループの最初の画素行を除いて9フレーム(1サイク
ル)に1回であり、各グループの最後の画素行は、1つ
のフレームのリッセト期間の最後と次のフレームの最初
とに1回ずつリセット電位VR が供給される。
【0187】また、各走査信号に書込み期間電位VC が
供給されるのは各フレームごとに1回ずつであり、前記
リセット電位VR が供給される期間は9フレームごとに
1リセット期間分ずつずれるが、書込み期間電位VC が
供給される期間は、どのフレームでも同じ期間(その走
査信号を印加する走査電極が対応する画素行の選択期
間)である。
【0188】一方、液晶セル10の各信号電極に印加さ
れる各データ信号はいずれも、基本的には上述したよう
に、各画素行についてリセット期間の直後の準安定状態
選択期間ごとに、+VS と−VS2(例えば+VS に対し
て約0.6Vの電位差を有する電位)の電位を交互に供
給されて高周波または低周波の交番パルス波形(準安定
状態選択波形)になり、各画素行の書込み期間ごとに2
通りの書込み電位VD1,VD2のいずれかを供給される波
形であって、その波形が1フレームごとに前記交番パル
ス波形の振幅の中心を基準として反転する信号である。
【0189】この実施例では、上記駆動系40の列ドラ
イバ42および電源部43の構成をより簡易にするた
め、図16に示したように、前記電位+VSD,−VSDの
うち、+VSDを前記交番パルス波形の+側の電位と同じ
電位、−VSDを前記交番パルス波形の−側の電位と同じ
電位とすることにより、データ信号S1 を、電位が+V
SDと−VSDとの2通りに変化する単純な波形の信号とし
ている。
【0190】なお、これらの+VSD,−VSDの中間値
(交番パルス波形の振幅の中心)は、上記走査信号の基
準電位V0 とほぼ同じに選ぶのが望ましく、このように
すれば、データ信号の印加による液晶セル10の両基板
間における電荷の偏りを低減することができる。
【0191】そして、この実施例では、上記走査信号の
書込み期間電位VC (+VC と−VC )の絶対値が、前
記データ信号の+VSDおよび−VSDとの電位差が第1お
よび第2の準安定状態において、それぞれ異なる駆動電
圧の実効値が得られるように設定されている。
【0192】すなわち、この実施例では、走査信号の書
込み期間電位VC のうち、+の書込み期間電位+VC と
データ信号の+VSDに対する電位差が、図3に示した第
1および第2の準安定状態における駆動電圧の実効値に
応じた液晶分子配向状態のうちの駆動電圧の実効値が比
較的低い値であるときの配向状態(図3において上側の
配向状態)を得るための書込み電圧、+の書込み期間電
位+VC と前記データ信号の−VSDとの電位差が、駆動
電圧の実効値がある程度高い値であるときの配向状態
(図3において下側の配向状態)を得るための書込み電
圧、−の書込み期間電位−VC とデータ信号の+VSDに
対する電位差が、前記実効値が高い値であるときの配向
状態を得るための書込み電圧、−の書込み期間電位−V
C と前記データ信号の−VSDに対する電位差が、前記実
効値が低い値であるときの配向状態を得るための書込み
電圧となる。
【0193】なお、上記走査信号のリセット電位VR の
絶対値は、データ信号の+VSD,−VSDのいずれの電位
に対しても、液晶分子をほぼ垂直に立上がり配向させる
のに十分な電位差(リセット電圧)が得られる値に設定
してある。
【0194】図17は、上記走査信号C1 ,C2 ,C8
,C9 とデータ信号S1 が図16に示したような波形
であるときの、第1列の第1行、第2行、第8行および
第9行の走査電極と第1列の信号電極との間に印加され
る電圧の波形図であり、C1 −S1 は第1行の走査電極
と前記信号電極との間に印加される電圧、C2 −S1 は
第2行の走査電極と前記信号電極との間に印加される電
圧、C8 −S1 は第8行の走査電極と前記信号電極との
間に印加される電圧、C9 −S1 は第9行の走査電極と
前記信号電極との間に印加される電圧を示している。
【0195】上記液晶セル10の各行の画素部の駆動
を、それぞれの行の第1列目の画素部について、走査電
極および信号電極に図16に示したような波形の走査信
号およびデータ信号を供給する場合を例にとって図17
を参照して説明する。なおこの例は、最初の1サイクル
(第1〜第9フレーム)での1画面分の画像の書換えを
1行目の画素行から開始する例である。
【0196】まず、最初の1サイクルでの1画面分の画
像の書換えについて説明すると、図において最初のフレ
ーム(以下、第1フレームという)T1 では、そのリセ
ット/準安定状態選択期間TS の第1分割期間TS1に、
1〜8行の画素行グループのうちの1行目の画素部の電
極間に走査信号C1 のリセット電位VR とデータ信号S
1 の電位との差に相当するリセット電圧が印加され、こ
の画素部の液晶分子がほぼ垂直に立上がり配向して、そ
の前の書込み状態、つまり、前の準安定状態とその状態
での液晶分子の配向状態がリセットされる。
【0197】この液晶分子の前の配向状態のリセット
は、次の書込みを、前の準安定状態とは異なる準安定状
態を選択して行なう場合はもちろん、前の準安定状態と
同じ準安定状態を選択して行なう場合にも行なう。
【0198】次に、前記リセット/準安定状態選択期間
TS の第2分割期間TS2に、前記1行目の画素部の電極
間に走査信号C1 の基準電位V0 とデータ信号S1 の電
位との差に相当する振幅の高周波または低周波の準安定
状態選択電圧が印加され、この画素部の液晶分子の配向
状態が第1または第2の準安定状態に選択されるととも
に、同時に、2行目の画素部の電極間に走査信号C2 の
リセット電位VR とデータ信号S1 の電位との差に相当
するリセット電圧が印加され、この2行目の画素部がリ
セットされる。
【0199】次に、前記リセット/準安定状態選択期間
TS の第3分割期間TS3に、前記2行目の画素部の電極
間に前記走査信号C2 の基準電位V0 とデータ信号S1
の電位との差に相当する振幅の高周波または低周波の準
安定状態選択電圧が印加され、この2行目の画素部が第
1または第2の準安定状態に選択されるとともに、同時
に、3行目の画素部の電極間に前記リセット電圧が印加
されて、この3行目の画素部がリセットされる。
【0200】以下、同様に、前記リセット/準安定状態
選択期間TS の各分割期間ごとに、1つの行の画素部の
準安定状態選択とその次の行の画素部のリセットが順次
行なわれ、最後の第9分割期間TS9に、1グループの最
終行である8行目の画素部が第1または第2の準安定状
態に選択される。
【0201】なお、この第1フレームT1 のリセット/
準安定状態選択期間TS の各走査信号C1 ,C2 …C8
のリセット電位VR は、いずれも、基準電位V0 に対し
て+か−のいずれか一方の電位(図16では−VR )で
あり、データ信号S1 は、第1分割期間TS1に+VS ま
たは−VS2のパルス波形になり、第2〜第9分割期間T
S2〜TS9にはその各分割期間ごとに、電位が+VS と−
VS2とに交互に変化する高周波または低周波の交番パル
ス波形になるが、この実施例では上述したように、前記
リセット電位VR の絶対値を、データ信号の+VSD,−
VSDのいずれの電位に対しても、液晶分子をほぼ垂直に
立上がり配向させるのに十分な電位差が得られる値に設
定しているため、第1〜第8分割期間TS1〜TS8での各
行の画素部のリセットを確実に行なうことができる。
【0202】また、各画素部には、そのリセット後に、
データ信号S1 の波形に応じて選択された周波数の準安
定状態選択電圧(走査信号C1 ,C2 …C8 の基準電位
V0とデータ信号S1 の電位との差)が印加され、その
準安定状態選択電圧の周波数に応じて液晶分子が第1ま
たは第2のいずれかの準安定状態に配向する。
【0203】すなわち、データ信号S1 が図16のよう
な波形である場合は、1行目の画素部の準安定状態を選
択する第2分割期間TS2のデータ信号の波形が高周波の
交番パルス波形であり、したがって、この1行目の画素
部に印加される準安定状態選択電圧が高周波波形の第1
準安定状態選択電圧であるから、この画素部の液晶分子
には印加された電界に対する相互作用が働かないか、あ
るいは液晶分子を基板面と平行に配向させる力が働くの
で、第1の準安定状態が選択される。
【0204】また、図16のデータ信号S1 の波形で
は、2行目の画素部の準安定状態を選択する第3分割期
間TS3のデータ信号の波形が低周波の交番パルス波形で
あり、したがって、2行目の画素部には低周波波形の第
2準安定状態選択電圧が印加され、その電界が、液晶分
子に所定のチルト角で立ち上がり配向させる力として作
用するので、第2の準安定状態が選択される。
【0205】このようにして1〜8行目の画素部の準安
定状態が選択された後は、次の書込み期間TD の第1行
書込み期間TD1に、上記1行目の画素部が、上記走査信
号C1 の書込み期間電位VC とデータ信号S1 の電位と
の差に相当する書込み電圧が電極間に印加されて書込ま
れ、以下、同様に、第2行書込み期間TD2に2行目の画
素部、第3行書込み期間TD3に3行目の画素部…第64
行書込み期間TD64 に64行目の画素部の順に全ての行
の画素部が書換えられる。
【0206】なお、この第1フレームT1 の書込み期間
TD の各走査信号の書込み期間電位VC は、いずれも、
基準電位V0 に対して+か−のいずれか一方の電位(図
16では+VC )であり、この期間TD のデータ信号S
1 の波形は、各行の書込み期間TD1,TD2…TD64 ごと
に、書込みデータに応じて+VSDと−VSDのいずれかの
電位が選択された波形である。
【0207】したがって、例えば図16のように、各走
査信号の書込み期間電位VC が+VC であり、第1行書
込み期間TD1のデータ信号電位が−VSDであるときは、
1行目の画素部に前記+VC と−VSDとの電位差に相当
する書込み電圧が印加され、次のフレーム(以下、第2
フレームという)T2 の第1行書込み期間TD1になるま
での駆動電圧の実効値がある程度高い値になって、この
画素部が、図3に示した準安定状態における配向状態の
うちの高い実効値電圧が印加されたときの配向状態に液
晶分子が配向した第1の書込み状態になる。
【0208】また、図16のデータ信号S1 の波形で
は、第2行書込み期間TD2のデータ信号電位が+VSDで
あり、したがって、2行目の画素部には+VC と+VSD
との電位差に相当する書込み電圧が印加されるから、次
の第2フレームT2 の第2行書込み期間TD2になるまで
の駆動電圧の実効値が比較的小さい値になり、この2行
目の画素部が、図3に示した準安定状態における配向状
態のうちの低い実効値電圧が印加されたときの配向状態
に液晶分子が配向した第2の書込み状態になる。これ
は、他の行の画素部においても同じであり、その行の書
込み期間TD2のデータ信号電位が−VSDであれば、その
画素部が前記高い実効値電圧が印加されたときの配向状
態に液晶分子が配向した第1の書込み状態になり、前記
データ信号電位が+VSDであれば、その画素部が前記低
い実効値電圧が印加されたときの配向状態に液晶分子が
配向した第2の書込み状態になる。
【0209】また、最終行である64行目の画素部の書
込みが終了し、次の第2フレームT2 になると、この第
2フレームT2 では、そのリセット/準安定状態選択期
間TS に、上記第1フレームT1 でリセットおよび準安
定状態の選択を行なった画素行グループ(1〜8行)の
最後の画素行を含む8〜15行の画素行グループの各行
の画素部が順次リセットされるとともに第1または第2
の準安定状態に選択され、その後の書込み期間TD に、
1〜64行の画素部が順次書込まれる。
【0210】なお、この第2フレームT2 では、各走査
信号とデータ信号の波形が、第1フレームT1 の波形に
対して反転するが、各行の画素部のリセットおよび準安
定状態選択とその後の書込みは第1フレームT1 と同様
に行なわれる。
【0211】すなわち、例えば8行目の画素部は、第1
フレームT1 に続いて、第2フレームT2 でも、そのリ
セット/準安定状態選択期間TS の第1分割期間TS1で
リセットされ、第2分割期間TS2で準安定状態を選択さ
れるとともに、次の書込み期間TD の第8行書込み期間
TD8に書込みを行なわれるが、図16に示すように、こ
の8行目の画素部の液晶分子は、その行の準安定状態を
選択する第2分割期間TS2に第2の準安定状態が選択さ
れ、その行の書込みを行なう第8行書込み期間TD8に低
い実効値電圧が印加された第2の書込み状態になる。
【0212】また、9行目の画素部は、第1フレームT
1 ではリセットおよび準安定状態選択は行なわれずに書
込みだけを行なわれ、第2フレームT2 に、そのリセッ
ト/準安定状態選択期間TS の第2分割期間TS2でリセ
ットされ、第3分割期間TS3で準安定状態を選択される
とともに、次の書込み期間TD の第9行書込み期間TD9
に書込みを行なわれ、図16に示すように、この9行目
の画素部の液晶分子は、その行の準安定状態を選択する
第3分割期間TS3に第1の準安定状態が選択され、その
行の書込みを行なう第9行書込み期間TD9に高い実効値
電圧が印加された第1の書込み状態になる。
【0213】上記第2フレームT2 でリセットおよび準
安定状態選択を行なう前記8〜15行の画素行グループ
のうちの最初の行である8行目の画素部は、前の第1フ
レームT1 で一旦リセットおよび準安定状態選択と書込
みが行なわれ、第2フレームT2 で、第1フレームT1
での書込み状態をリセットされ、準安定状態を選択し直
された後再び書込まれて、次の第3フレームT3 の第8
行書込み期間TD8になるまでの駆動電圧の実効値に応じ
た書込み状態になる。
【0214】また、前記第2フレームT2 でリセットお
よび準安定状態の選択を行なう8〜15行の画素行グル
ープ以外の全ての行の画素部に印加する書込み電圧は、
第1フレームT1 で書込んだ状態を維持するための再書
込み電圧であり、これらの行に画素部に印加する再書込
み電圧は、前記第1フレームT1 での書込み電圧と同じ
である。
【0215】以下、同様にして、各フレームごとに、1
つの画素行グループのリセットおよび準安定状態選択と
全ての画素行の書込みが行なわれ、第9フレームに、5
7〜64行の画素行グループのリセットおよび準安定状
態選択と全ての画素行の書込みが行なわれて、1画面分
の画像が書換えられる。
【0216】また、次の1サイクル(第10〜第18フ
レーム)では、その各フレームごとに、64〜7行、7
〜14行、14〜21行…56〜63行の各画素行グル
ープのうちの1つのグループのリセットおよび準安定状
態選択と全ての画素行の書込みが行なわれ、1画面分の
画像が書換えられる。
【0217】さらに、その次の1サイクル(第19〜第
27フレーム)では、その各フレームごとに、63〜6
行、6〜13行、13〜20行…55〜62行の各画素
行グループのうちの1つのグループのリセットおよび準
安定状態選択と全ての画素行の書込みが行なわれ、1画
面分の画像が書換えられる。
【0218】さらにまた、その次の1サイクル(第28
〜第36フレーム)では、その各フレームごとに、62
〜5行、5〜12行、12〜19行…54〜61行の各
画素行グループのうちの1つのグループのリセットおよ
び準安定状態選択と全ての画素行の書込みが行なわれ、
1画面分の画像が書換えられる。
【0219】これらのサイクルにおいて、その9フレー
ムのうちの1つのフレームで表示の書換えが行なわれる
のは、そのフレームにおいてリセットおよび準安定状態
を選択されてその後に書込まれるグループの8行の画素
部であり、他の行の画素部は、上述したように、前の書
換えフレームにおいて印加した書込み電圧と同じ絶対値
の再書込み電圧を印加され、以下、その後の各フレーム
ごとに前記再書込み電圧を印加されて、前記前の書換え
フレームで書込まれた書込み状態を、次にその画素行の
書換えを行なう書換えフレームまで維持する。
【0220】また、各画素行のうち、2つのグループに
重複する行(例えば最初のサイクルにおける1〜8行、
8〜15行、15〜22行…57〜66行のグループ分
けでは、8行、15行、22行…57行)の画素部は、
連続する2つのフレームにおいて2度続けてリセットお
よび準安定状態選択と書込みを行なわれ、その後の各フ
レームごとに再書込み電圧を印加されて、前記連続する
2つのフレームのうちの後のフレームで書込まれた書込
み状態を、次にその画素行のリセットおよび準安定状態
選択を行なうフレームまで維持する。
【0221】なお、これらの行の画素部に対する前記連
続する2つのフレームのうちの前のフレームでの準安定
状態選択と書込みは、次のフレームで再びリセットされ
るまでの間の一時的なものであるが、前のフレームでの
準安定状態の選択と書込みは、それ以前の準安定状態お
よび書込み状態と同じにするか、あるいは次のフレーム
で選択する準安定状態およびの書込み状態と同じにする
のが望ましい。
【0222】このように、上記液晶セルの駆動方法は、
上記液晶セル10を、その各画素行の画素部をそれぞれ
1つの画素行の画素部を所定数のフレームおきに書換え
て駆動するものであって、前記画素部の電極間に、書換
えを行なう書換えフレームには、リセット電圧と第1と
第2の準安定状態のいずれかを選択する準安定状態選択
電圧とを順次印加した後に駆動電圧の実効値を制御する
ための書込み電圧を印加し、他のフレームには、そのフ
レームの前の書換えフレームにおいて印加した書込み電
圧と絶対値が同じ書込み電圧を印加するものである。
【0223】すなわち、上記液晶表示装置は、書換えフ
レームにおいて書込んだ画素部の電圧と、次の書換えフ
レームになるまでの間にその間の各フレームに印加され
る同じ絶対値の再書込み電圧とによる電圧の実効値に応
じて液晶分子が挙動するものであり、各画素行の画素部
を、前記書換えフレームごとの周期に応じて所定数のフ
レームごとに書換えて画像を表示する。
【0224】そして、上記液晶表示装置は、上記駆動方
法のように、第1および第2の準安定状態選択電圧とし
て、周波数が互いに異なる波形の電圧を印加するように
しているため、前記準安定状態選択電圧の電圧値(絶対
値)を制御して第1と第2の準安定状態を選択する場合
に比べて、準安定状態の選択を、容易にしかも確実に行
なうことができる。
【0225】すなわち、第1または第2の準安定状態
を、準安定状態選択電圧の電圧値を制御して選択する場
合は、これらの準安定状態の誤選択を防ぐために、第1
と第2の準安定状態選択電圧の電圧値を変動させること
な高精度に制御する必要がある。
【0226】それに対して、上記駆動方法は、高周波波
形の準安定状態選択電圧の印加によって第1の準安定状
態を選択し、低周波波形の準安定状態選択電圧の印加に
よって第2の準安定状態を選択するものであり、液晶分
子は、その誘電異方性が実質的に0または負を示す高周
波電圧に対しては実質的に挙動しない。よって、前記高
周波波形の準安定状態選択電圧の電圧値は任意でよい。
【0227】また、上記駆動方法では、第2の準安定状
態、つまり、液晶分子を所定のチルト角で配向させるた
めの準安定状態を液晶分子の誘電異方性が正の値を示す
低周波波形の電圧により選択しているため、第1と第2
の準安定状態選択電圧は、それらの周波数を明確に設定
すればよく、したがって、第1と第2の準安定状態の選
択を、容易にしかも確実に行なうことができる。
【0228】また、上記実施例の駆動方法においては、
液晶セル10の全画素行を複数行ずつのグループに分
け、1フレームごとに、1つのグループの各画素行の画
素部のリセットおよび準安定状態の選択と、全ての画素
行の画素部の書込みを行なうようにしているため、上述
したように、フレーム周波数を高くして画面のちらつき
をなくすことができる。
【0229】この場合、上記実施例では、前記画素行の
グループ分けを、全てのグループの画素行のリセットお
よび準安定状態選択と書込みを行なう1サイクルごと
に、各ブループの画素行の編成を変えるように選んでい
るため、前記1サイクルごとに、前の書込み状態をリセ
ットして次の準安定状態の選択と書込み電圧の印加によ
り書換えを行なう画素行グループが対応する書換え領域
と、書換えを行なわずに前の書込み状態を維持させる画
素行グループが対応する非書換え領域との境界をずらし
て、これらの領域の表示状態の差による表示ムラを目立
たなくすることができる。
【0230】なお、上記液晶表示装置は、液晶セル10
の各画素行の画素部の書換えを、表示データの変更の有
無にかかわらず、前記書換えフレームに、まずリセット
電圧の印加により前の液晶分子の配向状態(書込み状
態)をリセットして次の準安定状態を選択し、その後に
次の書込み状態を得るための書込み電圧を印加すること
によって行なうものであるが、これに限ることなく、表
示データに変更が無い画素部、あるいは準安定状態を変
更する必要のない表示データが供給される画素部につい
ては、前記リセット電圧を印加することなく、書込み電
圧を印加するようにしてもよい。この場合は、液晶分子
がリセットおよび再配向をする必要がなくなるので、画
素部の表示が鮮明になる。
【0231】なお、上記上記駆動方法では、液晶セル1
0の画素行を、1〜8行、8〜15行、15〜22行…
というように、隣接する所定数の画素行で1つのグルー
プをつくるようにグループ分けしたが、この画素行は、
1行おきあるいは複数行おきの所定数の画素行で1つの
グループをつくるようにグループ分けしてもよい。
【0232】また、各フレームにおいてリセットおよび
準安定状態の選択とその後の新たな書込みを行なう画素
行グループの選択順は、1グループおきあるいは複数グ
ループおきにしてもよく、このように画素行グループを
選択してそのグループの各画素行のリセットおよび準安
定状態の選択とその後の新たな書込みを行なえば、より
画面のちらつきを少なくすることができる。
【0233】さらに上記駆動方法では、駆動系40の列
ドライバ42および電源部43の構成を簡易にするた
め、液晶セル10の各信号電極に供給するデータ信号
を、図16に示したような、電位が+VSDと−VSDの2
通りに変化する単純な波形の信号としたが、図15に示
したように、電源部43から、準安定状態選択電位VS
と書込み電位VD1,VD2を列ドライバ42に供給し、こ
の列ドライバ42から、書込みデータに応じて前記各V
S ,VD1,VD2を選択した波形のデータ信号を液晶セル
10の各走査電極に供給するようにしてもよい。
【0234】なお、上記駆動方法は、第1の実施例の液
晶表示装置の液晶セルの駆動にも適用できるものであ
り、その場合は、第1の準安定状態を選択して表示する
ときの2通りの実効値と、第2の準安定状態を選択して
表示するときの2通りの実効値とがそれぞれ異なるた
め、電源部43で4通りの書込み電位を発生し、その各
電位を行ドライバ41に供給すればよい。
【0235】
【発明の効果】この発明の液晶表示装置は、液晶セルの
液晶分子の配向状態が互いに異なる2つの表示装置の電
気光学特性を合わせ持ったものであり、したがって、段
階的に制御しようとする透過状態のうちの複数の透過状
態の制御を一方の電気光学特性を利用して行ない、他の
複数の透過状態の制御を他方の電気光学特性を利用して
行なうことができる。
【0236】このため、この液晶表示装置によれば、透
過状態の全段階数を、前記一方の電気光学特性を利用す
るとき、つまり第1の準安定状態を選択して透過状態を
制御するときと、前記他方の電気光学特性を利用すると
き、つまり第2の準安定状態を選択して透過状態を制御
するときとに振り分けることができ、そのために、それ
ぞれの準安定状態で駆動される段階数が少なくなるか
ら、それぞれの準安定状態の中で、少ない段階数の時分
割駆動を行なうことができる。
【0237】したがって、この液晶表示装置によれば、
駆動デューティに対して動作電圧マージンを大きくし、
高デューティでの時分割駆動を可能として、画素数の多
い高精細画像の表示を実現することができる。
【0238】そして、この液晶表示装置は、その液晶セ
ルを駆動するための駆動系を備えており、この駆動系に
より、液晶セルの各画素行の画素部の電極間に、リセッ
ト電圧と準安定状態選択電圧とを順次印加した後に前記
書込み電圧を印加することにより、前記各画素行の画素
部を書換えて画像を表示するものであるが、この発明で
は、前記第1および第2の準安定状態選択電圧として、
周波数が互いに異なる波形の電圧を印加するようにして
いるため、準安定状態の選択を、容易にしかも確実に行
なうことができる。
【0239】また、この発明の液晶セルの駆動方法は、
所定の期間に前記リセット電圧と、選択的に互いに周波
数が異なる電界を前記液晶層に印加するための前記第1
と第2の準安定状態選択電圧と、前記液晶層に所定の実
効値の電圧を印加するための書込み電圧とを液晶セルの
対向する電極間に順次供給することを特徴とするもので
あり、この駆動方法によれば、前記液晶表示装置に、そ
の液晶セルの各画素行の画素部を書換える画像表示を行
なわせることができるとともに、前記準安定状態の選択
を、容易にしかも確実に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例による液晶表示装置の
基本構成を示す、初期配向状態と第1の準安定状態と第
2の準安定状態の斜視図。
【図2】前記液晶表示装置の断面図。
【図3】前記液晶表示装置の初期配向状態とリセット状
態と第1および第2の準安定状態における液晶分子の配
向状態を示す模式図。
【図4】前記液晶表示装置の初期配向状態における電圧
−出射率特性図およびCIE色度図。
【図5】前記液晶表示装置の第1の準安定状態における
電圧−出射率特性図およびCIE色度図。
【図6】前記液晶表示装置の第2の準安定状態における
電圧−出射率特性図およびCIE色度図。
【図7】この発明の第2の実施例による液晶表示装置の
基本構成を示す、初期配向状態と第1の準安定状態と第
2の準安定状態の斜視図。
【図8】前記液晶表示装置の初期配向状態における電圧
−出射率特性図およびCIE色度図。
【図9】前記液晶表示装置の第1の準安定状態における
電圧−出射率特性図およびCIE色度図。
【図10】前記液晶表示装置の第2の準安定状態におけ
る電圧−出射率特性図およびCIE色度図。
【図11】この発明の第3の実施例による液晶表示装置
の基本構成を示す、初期配向状態と第1の準安定状態と
第2の準安定状態の斜視図。
【図12】前記液晶表示装置の初期配向状態における電
圧−出射率特性図およびCIE色度図。
【図13】前記液晶表示装置の第1の準安定状態におけ
る電圧−出射率特性図およびCIE色度図。
【図14】前記液晶表示装置の第2の準安定状態におけ
る電圧−出射率特性図およびCIE色度図。
【図15】液晶セルを駆動する駆動系の構成を示すブロ
ック図。
【図16】前記液晶セルに供給する走査信号とデータ信
号の波形図。
【図17】前記液晶セルの走査電極と信号電極との間に
印加される電圧の波形図。
【符号の説明】 10…液晶セル 11a…表側基板の配向処理方向 12a…裏側基板の配向処理方向 18…カイラル剤が添加されたネマティック液晶 21,22…偏光板 21a,22a…透過軸 30…反射板 40…駆動系 41…行ドライバ 42…列ドライバ 43…電源部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】互いに対向する面それぞれに電極が形成さ
    れた一対の基板の間に、ネマティック液晶層を挟持した
    液晶セルと、この液晶セルの少なくとも表面側に配置さ
    れた少なくとも一枚の偏光板と、前記液晶セルの前記電
    極間に電圧を供給する駆動系とを備え、 前記液晶層は、前記一対の基板の電極間に、液晶分子の
    分子長軸を基板面に対してほぼ垂直に配向させるリセッ
    ト電圧を印加した後、それより低い値の第1の準安定状
    態選択電圧とこの第1の準安定状態選択電圧とは異なる
    第2の準安定状態選択電圧の選択的な印加によって前記
    液晶分子が所定の配向状態で配向する第1の準安定状態
    と、この第1の準安定状態とは異なる配向状態で配向す
    る第2の準安定状態と、第1の準安定状態と第2の準安
    定状態それぞれにおける液晶層に印加された電圧の実効
    値に応じて液晶分子の配向が変化する電界により誘起さ
    れた書込み配向状態とを有し、 前記駆動系は、前記リセット電圧と、選択的に互いに周
    波数が異なる電界を前記液晶層に印加するための前記第
    1と第2の準安定状態選択電圧と、前記液晶層に所定の
    実効値の電圧を印加するための書込み電圧とを、前記液
    晶セルの対向する前記電極間に順次供給する駆動手段か
    らなることを特徴とする液晶表示装置。
  2. 【請求項2】前記駆動手段は、印加電界に対して液晶の
    誘電異方性が正の値を示す低周波の電界を前記液晶層に
    印加するための前記第1の準安定状態選択電圧と、印加
    電界に対して液晶の誘電異方性が実質的に0または負の
    値を示す高周波の電界を前記液晶層に印加するための前
    記第2の準安定状態選択電圧とを前記対向する電極間に
    供給することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装
    置。
  3. 【請求項3】前記液晶セルの互いに対向する基板それぞ
    れに形成された電極は、その一方が一方の方向に延びる
    複数の走査電極、他方が前記走査電極と交差する方向に
    延びる複数の信号電極からなり、 前記駆動手段は、前記複数の走査電極の全てを順次選択
    して駆動信号を供給する期間を1フレームとして、前記
    第1の準安定状態選択電圧と第2の準安定状態選択電圧
    とを、選択的に1または複数フレームごとに前記対向す
    る電極間に供給する駆動回路からなることを特徴とする
    請求項1に記載の液晶表示装置。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の液晶表示装置の液晶セル
    を駆動する方法であって、所定の期間に前記リセット電
    圧と、選択的に互いに周波数が異なる電界を前記液晶層
    に印加するための前記第1と第2の準安定状態選択電圧
    と、前記液晶層に所定の実効値の電圧を印加するための
    書込み電圧とを液晶セルの対向する電極間に順次供給す
    ることを特徴とする液晶セルの駆動方法。
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KR1019970070154A KR100295195B1 (ko) 1996-12-17 1997-12-17 양안정성네마틱액정을이용한액정표시소자및그구동방법
CNB971297851A CN1153087C (zh) 1996-12-17 1997-12-17 具有双稳态向列液晶的液晶显示器及其驱动方法

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103226263A (zh) * 2012-01-25 2013-07-31 斯坦雷电气株式会社 液晶元件、液晶显示装置
JP2015040960A (ja) * 2013-08-21 2015-03-02 スタンレー電気株式会社 液晶素子、液晶表示装置

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